JP3086462B2

JP3086462B2 - タイムインジケーター

Info

Publication number: JP3086462B2
Application number: JP01111091A
Authority: JP
Inventors: 達栄伊藤; 裕子田渕; 重正青木; 潤一郎目崎; 昭西村
Original assignee: アース製薬株式会社
Priority date: 1989-04-28
Filing date: 1989-04-28
Publication date: 2000-09-11
Anticipated expiration: 2015-09-11
Also published as: JPH02290591A

Description

【発明の詳細な説明】＜産業上の利用分野＞本発明は、タイムインジケーター、詳しくは色素を利
用し、その色調変化によつて特に防虫剤、忌避剤、芳香
剤、脱臭剤、防菌防バイ剤、医薬品等の有効期間の限ら
れた製品の有効期間を目視判別するためのタイムインジ
ケーターに関する。

＜従来の技術＞従来より、色調変化を利用するタイムインジケーター
は、種々提案されている。それらは、中和反応、酸化還
元反応等のある種の化合物との化学反応によつて色調変
化を伴う指示薬を利用するもの（たとえば特開昭60−95
381公報参照）及び大気中のO₂ガス、CO₂ガス等との接触
によつて色調変化を起す指示薬を利用するもの（たとえ
ば特開昭60−124681公報参照）に大別される。

＜発明が解決しようとする問題点＞しかしながら、これらはいずれもその色調変化に複雑
な反応機構等を応用しており、これらの反応が環境条
件、例えば湿度、光等に重大な影響を受けることを考慮
すれば、その色調変化が正確に製品の有効期間と対応せ
ず、従つてインジケーター本来の目的は異なり確実性に
乏しいことが欠点となり、その用途にかなりの制約を受
ける不利がある。しかも、従来知られているタイムイン
ジケーターは、その製造、保存にも繁雑な操作等を有
し、これが、コストの増大にもつながり、経済的にも不
利であり、更に一般に特定の大きさに限定されており、
実用時に任意の大きさに切断等を行なうことはできず、
その使用の簡便さでも不利がある。

＜問題点を解決するための手段＞本発明は、従来のこの種のインジケーターに見られる
欠点をすべて解消し、殊に使用条件に実質的に制限を受
けず、非常に簡単な機構で色調変化を起し、この色調変
化を製品の有効期間と一致させることができ、更に製
造、保存、使用等が簡便で、経済的にも低コストの新し
いインジケーターを提供することができた。

すなわち、本発明により、電子供与性呈色性有機化合
物と、揮散性を持つフエノール性水酸基を有する化合物
から選んだ１種または２種以上の化合物と常温で液体の
難揮散性の有機化合物から選んだ１種または２種以上の
化合物との混合物を基材に塗布、含浸または、滴下によ
り、保持させて構成され、密封状態から大気中に露出す
る場合に上記揮散性を持つフエノール性水酸基を有する
化合物の揮散によつて生じた一定経時色調変化を検知利
用することを特徴とするタイムインジケーターを提供す
ることにより従来の技術の欠点を克服できた。

＜作用＞本発明のタイムインジケーターは、その使用開始時に
は、着色しており、経時的に揮散性を持つフエノール性
水酸基を有する化合物が揮散し、その結果、フエノール
性水酸基を有する化合物の顕色作用が弱まり、さらに常
温で液体の難揮散性の化合物の減色作用も加わり、退色
が始まり、揮散が終るか又は、その付近で消色し終点と
なる。

即ち、本発明のインジケーターは、これに利用するフ
エノール性水酸基を有する化合物の揮散によつてその終
点が判別できるものであり、終点は、用いるフエノール
性水酸基を有する化合物の種類、使用量に応じて非常に
容易に変更調節できる。さらに詳しく説明すると、本発
明のインジケーターは、主として三種の必要成分を組み
合せた共存系からなる。その第１は、色彩成分としての
電子供与性呈色性有機化合物で、第２は、電子受容体と
してのフエノール性水酸基を有する化合物で、第３は常
温で液体の有機化合物である。この第１と第２の成分
が、接触すれば瞬時に発色し、無色が有色となる。しか
しその発色状態は、必ずしも安定ではなく、これに過剰
の第３成分を添加すると、いわゆる「減感剤」の作用に
よつて容易に解離し、すなわち消色する。このことから
本発明のインジケーターは、色素である第１成分に対し
揮散性の過剰の第２成分と難揮散性の少量の第３成分と
なつているので、色調変化は、有色から無色へとなるの
である。従つて、本発明のタイムインジケーターは、こ
れを有効期限のある各種製品に適用して、その有効期限
（終点）を正確に目視判別することができる。

本発明インジケーターに用いられる色素としては、電
子供与性呈色性有機化合物であれば、特に限定はない。
例えば、クリスタルバイオレツトラクトン、マラカイト
グリーンラクトン、ローダミンβラクタム、２−N,N−
ジベンジルアミノ−６−ジエチルアミノフルオラン、６
−ジエチルアミノ−ベンゾ［α］−フルオラン、1,3−
ジメチル−６−ジエチルアミノフルオラン、３・６−ビ
ス（ジエチルアミノ）フルオラン−γ−（４′−ニト
ロ）−アニリノラクタム、２−（２−クロロアニリノ）
−６−ジブチルアミノフルオラン、３・７−ビス（ジメ
チルアミノ）−10−ベンゾイルフエノチアジン、２−ア
ニリノ−３−メチル−６−（Ｎ−エチル−Ｎ−フルフリ
ルアミノ）フルオランなどが例示できる。

これらの電子供与性呈色性有機化合物は、１種単独で
も、２種以上組み合せても利用でき、更に他の色素とも
併用することができる。例えば、黄色の色素と、赤色に
呈色するロイコ体色素とを併用すれば、最初は赤味の橙
色で終点は、黄色となる。

上記電子供与性呈色性有機化合物の使用量は、インジ
ケーター本来の色調変化が鮮明となるように適宜決定さ
れ、通常処理基材100cm²当り0.01〜100mg程度の範囲か
ら選択されるのが望ましい。

本発明インジケーターに用いられる常圧で沸点が350
℃以下のフエノール性水酸基を有する化合物としては、
ｏ−キシレノール、ｍ−キシレノール、ｐ−キシレノー
ル、ｐ−エチルフエノール、ｐ−iso−プロピルフエノ
ール、ｐ−ｎ−ブチルフエノール、ｐ−sec−ブチルフ
エノール、ｐ−tert−ブチルフエノール、ｍ−tert−ブ
チルフエノール、ｏ−sec−ブチルフエノール、ｏ−ter
t−ブチルフエノール、ｐ−ｎ−アミルフエノール、ｐ
−tert−アミルフエノール、ｐ−クレゾール、２・４−
ジ−tert−ブチルフエノール、BHA、BHT、ｏ−フェニル
フエノール、４−ヒドロキシアセトフエノン、PCMX、チ
モール、オイゲノール、サリゲニンカルバクロール、ワ
ニリン、２・４−ジメチルフエノール、２・５−ジメチ
ルフエノール、２・３・５−トリメチルフエノール、ｐ
−フェニルフエノール、ピロカテキン、グアヤコール、
レゾルシン、β−ナフトール、ｐ−ヒドロキシベンジル
アルコール、ｐ−ヒドロキシ安息香酸メチル、同エチ
ル、ｍ−ヒドロキシ安息香酸メチル、同エチル、サリチ
ル酸メチル、同エチル、同プロピル、同ブチル、２・４
・５−トリクロロフエノール、ｐ−クロロ−ｍ−クレゾ
ール、ｐ−ブロムフエノール、３−メチル−４−イソプ
ロピルフエノール、ｐ−ｎ−ブトキシフエノール、ｏ−
エトキシフエノール等が例示されるが、これらに限定さ
れるものではない。

これらは、１種単独でもよく２種以上組み合せても利
用できる。

上記フエノール性水酸基を有する化合物の種類及び使
用量は、適用される製品の有効期間に合せて適宜選択す
れば良い。

本発明のインジケーターに用いられる、常温で液体で
あり、常圧で沸点が250℃以上の有機化合物としては、
炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エ
ステル類、アミド類、油脂類、液状高分子化合物類（酸
性基、塩基性基を含まないもの）などがあり、これら
は、１種単独でも、また２種以上組み合せてもよい。

上記常温で液体の有機化合物は、終点での色調変化を
より明確にするために使用するものであり、これらの使
用量は、通常電子供与性呈色性有機化合物１に対して、
0.1〜1000倍量、好ましくは、0.5〜300倍量程度の範囲
から選択されるのが望ましい。

本発明に使用される揮散性を持つフエノール性水酸基
を有する化合物の大多数は、防黴・防腐作用などを有し
ており、従つて、本発明インジケーターを兼ね備えた所
望の防黴シートが得られる。

本発明インジケーターは、前述の電子供与性呈色性有
機化合物、フエノール性水酸基を有する化合物、常温で
液体の有機化合物と必要に応じて揮散性の溶剤を添加し
た混合物を基材に塗布、含浸、滴下又は印刷することに
より製造される。

ここで用いられる基材は、特に制限されるものではな
く、通常紙、不織布、布やこれらと他の無機及び有機繊
維シートないし合成樹脂シートとの積層シート等を例示
でき、特に上記混合物を吸収しやすいものが望ましい。

また、これらシート基材は、本発明に従い色調変化が
目視判断容易な色調を有しているものが望ましく、特に
白色のものが好ましい。

得られた本発明インジケーターは、密封包装を開封し
てから、そのまま又は使用時に鋏やナイフで任意に切断
するか、あるいは予め任意の大きさとなるように入れら
れたミシン目に従い切断して、有効期限を有する製品に
適用される。

その適用は、前述したように本発明インジケーター自
体が防黴シートとなるものであつてもよく、殺虫剤、防
虫剤、忌避剤、芳香剤、脱臭剤、防菌防バイ等の有効期
限のある製品の包装材料としてもよく、またタツクシー
ル等として、上記製品に貼り付けたり、製品に添付して
適用することができる。更に、本発明インジケーター
は、揮散性を持つフエノール性水酸基を有する化合物の
揮散性を調節するためにPE,PP,EVA等のフイルムでカバ
ーすることも可能である。

＜実施例＞以下、本発明のタイムインジケーターの実施例を挙
げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、この実
施例に限定されるものではない。

実施例１〜38 第１表に示すフエノール性水酸基を有する化合物（成
分Ａ）50mg、電子供与性呈色性有機化合物（成分Ｂ）1m
g、常温で液体の有機化合物（成分Ｃ）15mgを含むアセ
トン溶液0.5mlを直径7cmのNo.2のろ紙に含浸させ、風乾
後本発明のインジケーターを得た。

得られた、インジケーターにつき、これらを40℃の恒
温室に吊り下げ、その経時的色調変化を目視判定し色の
変化の有無を調べた。

結果を第一表に併記する。

実施例中に使用した略語の意味は、下記の通りＯ−DCF 1,3−ジメチル−６−ジエチルアミノフルオラ
ンＰ−DCF 3,6−ビス（ジエチルアミノ）フルオラン−γ
−（４′−ニトロ）−アニリノラムタムＧ−DCF ２−Ｎ・Ｎ−ジベンチルアミノ−６−ジエチ
ルアミノフルオランＲ−DCF ６−ジエチルアミノ−ベンゾ［α］−フルオ
ラン CVL クルスタルバイオレツトラクトンＲ−ＬローダミンＢラクタム BMLM 3,7−ビス（ジメチルアミノ）−10−ベンゾイル
フエノチアジン TH−107 ２−（２−クロロアニリノ）−６−ジエチル
アミノフルオラン CF−51 ２−アニリノ−３−メチル−６−（Ｎ−エチル
−Ｎ−フルフリルアミノ）−フルオラン以下実施例中の略語は、これと同様である。

第１表より、本発明インジケーターは、いずれも明確
な色調変化が認められ、この色調変化によつて、インジ
ケーター本来の機能を十分に発揮できるものである。

実施例39〜48 第２表に示すフエノール性水酸基を有する化合物（成
分Ａ）、電子供与性呈色性有機化合物（成分Ｂ）、常温
で液体の有機化合物（成分Ｃ）をそれぞれ（）内の重量
（mg）を含むアセトン溶液20μを、裏面PEコートした
ろ紙（東洋紙（株）製規格No.2）（2.5×2.5cm）に均
一含浸させて、本発明のタイムインジケーターを作製し
た。

得られた各インジケーターを室温下に吊り下げて、色
調変化が認められる時期を目視判定し、各インジケータ
ーの有効期間を調べた。

結果を第２表に併記する。

第２表より、本発明のタイムインジケーターは、使用
したフエノール性水酸基を有する化合物の種類と供試量
によつて、色調変化の認められる時（終点）を自由に設
定できることが明らかである。

実施例49 ｐ−tert−ブチルフエノール3mg、グリセリン4mg、CV
L 0.12mgを含むアセトン溶液20μを片面にPEコート
し、さらにPEに粘着剤を処理した、白色上質紙（坪量8
1.4g/m²、２×2cm）に均一に含浸させて、タツクシール
状の本発明タイムインジケーターを作製した。このもの
は、色調変化に約２ケ月を要し、該２ケ月のタイムイン
ジケーターとして利用できる。

実施例50 PCMX 150mg、DOS 30mg、Ｇ−DCF 2mgを含むアセト
ン溶液2mlを10×10cmの不織布TCF−408（二村化学工
業）に均一含浸させて、防バイシートを兼ねた本発明の
タイムインジケーターを作成した。このものは、約２ケ
月で色調変化が認められ、PCMXの揮散とよく一致した。

＜発明の効果＞本発明インジケーターは、上記のように３成分を組合
せることで、環境条件に左右されず、非常に簡単な機構
で色調変化を起し、この色調変化を製品の有効期間と一
致させることができ、更に製造、保存、使用が簡便で、
きわめて低コストで得られる等多くの特徴を有する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭62−179640（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−281802（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G04F 1/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】電子供与性呈色性有機化合物、揮散性を有
する過剰のフェノール性水酸基を有する化合物及び難揮
散性の少量の常温で液体の有機化合物からなる混合物を
基材に保持させてなり、前記電子供与性呈色性有機化合
物の基材への処理量が、100cm²当たり0.01〜100mgの範
囲であり、前記電子供与性呈色性有機化合物１に対し
て、前記常温で液体の有機化合物を0.5〜300倍となるよ
うに混合し、大気中に露出時に上記混合物の揮散による
一定経時退色変化（赤色から無色を除く）を利用するこ
とを特徴とする、タイムインジケーター。
【請求項２】揮散性を有する過剰のフェノール性水酸基
を有する化合物が常圧で沸点が350℃以下である、請求
項（１）に記載のタイムインジケーター。
【請求項３】難揮散性の少量の常温で液体の有機化合物
が、常圧で沸点が250℃以上である請求項（１）に記載
のタイムインジケーター。
【請求項４】難揮散性の少量の常温で液体の有機化合物
の沸点が揮散性を有する過剰のフェノール性水酸基を有
する化合物の沸点よりも高い請求項（１）に記載のタイ
ムインジケーター。