JP3086329B2 - 樹脂組成物及びそれを用いた多層材料 - Google Patents

樹脂組成物及びそれを用いた多層材料

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JP3086329B2
JP3086329B2 JP04154131A JP15413192A JP3086329B2 JP 3086329 B2 JP3086329 B2 JP 3086329B2 JP 04154131 A JP04154131 A JP 04154131A JP 15413192 A JP15413192 A JP 15413192A JP 3086329 B2 JP3086329 B2 JP 3086329B2
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な樹脂組成物及びそ
れを用いた多層材料に関するものである。さらに詳しく
は、本発明は、シンジオタクチック構造のスチレン系樹
脂が本来有する耐溶剤性,耐加水分解性,耐熱性,耐熱
水性などの長所を損なうことなく複合化してなる、自動
車部品,電子・電気機器部品,包装材などに好適な樹脂
組成物、及びこれを用いた多層材料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来からラジカル重合法などにより製造
されるスチレン系重合体は、種々の成形法によって様々
な形状のものに成形され、家庭電気器具,事務機器,家
庭用品,包装容器,玩具,家具,合成紙その他産業資材
などとして幅広く用いられているが、その立体構造がア
タクチック構造を有しており、耐熱性,耐薬品性に劣る
という欠点があった。これに対し、シンジオタクチック
ポリスチレンは耐熱性,耐薬品性及び電気的特性に優
れ、多方面にわたる応用が期待されている。しかしなが
ら、このシンジオタクチックポリスチレンは界面接着
性,相溶化能が不足するため、複合化により高性能樹脂
を製造することに限界があった。一方、ポリエチレンや
ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂は機械的性
質や電気的性質などに優れており、様々な成形体として
広く利用されているが、エンジニアリングプラスチック
などと比較して、耐熱性が不十分であるという欠点を有
している。また、エンジニアリングプラスチックは、一
般に縮合型高分子重合体で、優れた機械的性質や耐熱性
を有しているが、極性基を多く含むため、誘電率が高
く、電子材料として利用する場合には好ましくない。さ
らに、エンジニアリングプラスチックは吸水性があるた
め、成形前に乾燥する必要がある上、成形後も吸湿によ
る変化を受けやすいという欠点を有している。そこで、
これらの高分子材料とシンジオタクチックポリスチレン
を複合化することが可能となれば、さらに一層の応用が
可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情の下で、シンジオタクチックポリスチレンが本来有
する耐溶剤性,耐加水分解性,耐熱性,耐熱水性などの
長所を損なうことなく、他材料と複合化することによ
り、高性能の樹脂組成物及びこれを用いた多層材料を提
供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の高度の
シンジオタクチック構造を有する末端官能化スチレン系
重合体と、熱可塑性樹脂,無機充填剤や有機充填剤とを
含有した樹脂組成物により、その目的を達成しうること
を見出した。本発明は、この知見に基づいて完成したも
のである。すなわち、本発明は、(A)一般式(I)
【0005】
【化2】
【0006】〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子あ
るいは炭素原子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか一
種以上を含む置換基を示し、mは1〜5の整数であり、
mが複数の場合、各R1 は同一でも異なるものであって
もよく、またR1 はベンゼン環とともに縮合環を形成し
ていてもよい。〕で表わされる構造単位の停止末端がカ
ルボン酸基,カルボン酸エステル基,水酸基,アミノ
基,エーテル基及びイソシアネート基のいずれかの官能
基を含み、かつ、1,2,4−トリクロロベンゼン中、
135℃の温度で測定した0.05g/デシリットルの濃
度での還元粘度が0.01〜20デシリットル/gであっ
て、前記構造単位の連鎖の立体規則性が高度のシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体と、(B)熱
可塑性樹脂,無機充填剤及び有機充填剤の中から選ばれ
た少なくとも一種とを含有してなる樹脂組成物を提供す
るとともに、該樹脂組成物からなる層を少なくとも一層
有する多層材料をも提供するものである。
【0007】本発明の樹脂組成物における(A)成分の
スチレン系重合体は、原料として、一般式(II)
【0008】
【化3】
【0009】〔式中、R1 及びmは前記と同じである〕
で表わされるスチレン系単量体が用いられる。
【0010】上記一般式(II)で表わされるスチレン系
単量体としては、例えば、スチレン;p−メチルスチレ
ン;o−メチルスチレン;m−メチルスチレン;2,4
−ジメチルスチレン;2,5−ジメチルスチレン;3,
4−ジメチルスチレン;3,5−ジメチルスチレン;p
−ターシャリーブチルスチレンなどのアルキルスチレ
ン、p−クロロスチレン;m−クロロスチレン;o−ク
ロロスチレン;p−ブロモスチレン;m−ブロモスチレ
ン;o−ブロモスチレン;p−フルオロスチレン;m−
フルオロスチレン;o−フルオロスチレン;o−メチル
−p−フルオロスチレンなどのハロゲン化スチレン、4
−ビニルビフェニル;3−ビニルビフェニル;2−ビニ
ルビフェニルなどのビニルビフェニル類、1−(4−ビ
ニルフェニル)−ナフタレン;2−(4−ビニルフェニ
ル)−ナフタレン;1−(3−ビニルフェニル)−ナフ
タレン;2−(3−ビニルフェニル)−ナフタレン;1
−(2−ビニルフェニル)−ナフタレン;2−(2−ビ
ニルフェニル)ナフタレンなどのビニルフェニルナフタ
レン類、1−(4−ビニルフェニル)−アントラセン;
2−(4−ビニルフェニル)−アントラセン;9−(4
−ビニルフェニル)−アントラセン;1−(3−ビニル
フェニル)−アントラセン;2−(3−ビニルフェニ
ル)−アントラセン;9−(3−ビニルフェニル)−ア
ントラセン;1−(2−ビニルフェニル)−アントラセ
ン;2−(2−ビニルフェニル)−アントラセン;9−
(2−ビニルフェニル)−アントラセンなどのビニルフ
ェニルアントラセン類、1−(4−ビニルフェニル)−
フェナントレン;2−(4−ビニルフェニル)−フェナ
ントレン;3−(4−ビニルフェニル)−フェナントレ
ン;4−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;9
−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;1−(3
−ビニルフェニル)−フェナントレン;2−(3−ビニ
ルフェニル)−フェナントレン;3−(3−ビニルフェ
ニル)−フェナントレン;4−(3−ビニルフェニル)
−フェナントレン;9−(3−ビニルフェニル)−フェ
ナントレン;1−(2−ビニルフェニル)−フェナント
レン;2−(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;
3−(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;4−
(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;9−(2−
ビニルフェニル)−フェナントレンなどのビニルフェニ
ルフェナントレン類、1−(4−ビニルフェニル)−ピ
レン;2−(4−ビニルフェニル)−ピレン;1−(3
−ビニルフェニル)−ピレン;2−(3−ビニルフェニ
ル)−ピレン;1−(2−ビニルフェニル)−ピレン;
2−(2−ビニルフェニル)−ピレンなどのビニルフェ
ニルピレン類、4−ビニル−p−ターフェニル;4−ビ
ニル−m−ターフェニル;4−ビニル−o−ターフェニ
ル;3−ビニル−p−ターフェニル;3−ビニル−m−
ターフェニル;3−ビニル−o−ターフェニル;2−ビ
ニル−p−ターフェニル;2−ビニル−m−ターフェニ
ル;2−ビニル−o−ターフェニルなどのビニルターフ
ェニル類、4−(4−ビニルフェニル)−p−ターフェ
ニルなどのビニルフェニルターフェニル類、4−ビニル
−4’−メチルビフェニル;4−ビニル−3’−メチル
ビフェニル;4−ビニル−2’−メチルビフェニル;2
−メチル−4−ビニルビフェニル;3−メチル−4−ビ
ニルビフェニルなどのビニルアルキルビフェニル類、4
−ビニル−4’−フルオロビフェニル;4−ビニル−
3’−フルオロビフェニル;4−ビニル−2’−フルオ
ロビフェニル;4−ビニル−2−フルオロビフェニル;
4−ビニル−3−フルオロビフェニル;4−ビニル−
4’−クロロビフェニル;4−ビニル−3’−クロロビ
フェニル;4−ビニル−2’−クロロビフェニル;4−
ビニル−2−クロロビフェニル;4−ビニル−3−クロ
ロビフェニル;4−ビニル−4’−ブロモビフェニル;
4−ビニル−3’−ブロモビフェニル;4−ビニル−
2’−ブロモビフェニル;4−ビニル−2−ブロモビフ
ェニル;4−ビニル−3−ブロモビフェニルなどのハロ
ゲン化ビニルビフェニル類、4−ビニル−4’−トリメ
チルシリルビフェニルなどのトリアルキルシリルビニル
ビフェニル類、4−ビニル−4’−トリメチルスタンニ
ルビフェニル;4−ビニル−4’−トリブチルスタンニ
ルビフェニルなどのトリアルキルスタンニルビニルビフ
ェニル類、4−ビニル−4’−トリメチルシリルメチル
ビフェニルなどのトリアルキルシリルメチルビニルビフ
ェニル類、4−ビニル−4’−トリメチルスタンニルメ
チルビフェニル;4−ビニル−4’−トリブチルスタン
ニルメチルビフェニルなどのトリアルキルスタンニルメ
チルビニルビフェニル類、p−クロロエチルスチレン;
m−クロロエチルスチレン;o−クロロエチルスチレン
などのハロゲン置換アルキルスチレン、p−トリメチル
シリルスチレン;m−トリメチルシリルスチレン;o−
トリメチルシリルスチレン;p−トリエチルシリルスチ
レン;m−トリエチルシリルスチレン;o−トリエチル
シリルスチレン;p−ジメチルターシャリ−ブチルシリ
ルスチレンなどのアルキルシリルスチレン類、p−ジメ
チルフェニルシリルスチレン;p−メチルジフェニルシ
リルスチレン;p−トリフェニルシリルスチレンなどの
フェニル基含有シリルスチレン類、p−ジメチルクロロ
シリルスチレン;p−メチルジクロロシリルスチレン;
p−トリクロロシリルスチレン;p−ジメチルブロモシ
リルスチレン;p−ジメチルヨードシリルスチレンなど
のハロゲン含有シリルスチレン類、p−(p−トリメチ
ルシリル)ジメチルシリルスチレンなどのシリル基含有
シリルスチレン類などが挙げられる。これらのスチレン
系単量体はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0011】本発明のスチレン系重合体を製造するに
は、触媒として、(イ)(a)遷移金属化合物及び
(b)アルミノキサンを主成分とするもの、又は(ロ)
(a)遷移金属化合物及び(c)遷移金属化合物と反応
してイオン性錯体を形成しうる化合物を主成分とするも
のが用いられる。上記(a)成分の遷移金属化合物とし
ては様々なものがあるが、好ましくは一般式(III) M1 2 ・・・・・Rk ・・・(III) 〔式中、M1 はTi,Zr,Cr,V,Nb,Ta又は
Hfを示し、R2 〜Rkは、それぞれ水素原子,酸素原
子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基;炭素
数1〜20のアルコキシ基;炭素数6〜20のアリール
基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基;
炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリ
ル基,アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナ
ート基,ケイ素原子を含む置換基、あるいはカルボニ
ル,酸素分子,窒素分子,ルイス塩基,鎖状不飽和炭化
水素又は環状不飽和炭化水素などの配位子,シクロペン
タジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニ
ル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,
置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基又は置
換フルオレニル基を示す。また、kは金属の原子価を示
し、通常2〜5の整数を示す〕で表わされる化合物を挙
げることができる。
【0012】ここで、置換シクロペンタジエニル基とし
ては、例えば、メチルシクロペンタジエニル基,エチル
シクロペンタジエニル基,イソプロピルシクロペンタジ
エニル基,1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基,
テトラメチルシクロペンタジエニル基,1,3−ジメチ
ルシクロペンタジエニル基,1,2,3−トリメチルシ
クロペンタジエニル基,1,2,4−トリメチルシクロ
ペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル
基,トリメチルシリルシクロペンタジエニル基などが挙
げられる。また、R2 〜Rk の配位子は、配位子間で共
有結合によって架橋体を形成してもよい。ハロゲン原子
の具体例としては、フッ素原子,塩素原子,臭素原子,
ヨウ素原子;炭素数1〜20のアルキル基としては、メ
チル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル
基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基
など、炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキ
シ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,フェノ
キシ基など、炭素数6〜20のアリール基,アルキルア
リール基若しくはアリールアルキル基としては、フェニ
ル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基など、炭素数
1〜20のアシルオキシ基としては、ヘプタデシルカル
ボニルオキシ基など、ケイ素原子を含む置換基として
は、トリメチルシリル基,(トリメチルシリル)メチル
基など、ルイス塩基としては、ジメチルエーテル,ジエ
チルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル類、
テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エチル
ベンゾエートなどのエステル類、ベンゾニトリルなどの
ニトリル類、トリメチルアミン,トリエチルアミン,ト
リブチルアミン;N,N−ジメチルアニリン,ピリジ
ン;2,2’−ビピリジン,フェナントロリンなどのア
ミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィ
ンなどのホスフィン類など、鎖状不飽和炭化水素として
は、エチレン,ブタジエン,1−ペンテン,イソプレ
ン,ペンタジエン,1−ヘキセン及びこれらの誘導体な
ど、環状不飽和炭化水素としては、ベンゼン,トルエ
ン,キシレン,シクロヘプタトリエン,シクロオクタジ
エン,シクロオクタトリエン,シクロオクタテトラエン
及びこれらの誘導体などが挙げられる。共有結合による
架橋としては、例えば、メチレン架橋,ジメチルメチレ
ン架橋,エチレン架橋,ジメチルシリレン架橋,ジメチ
ルスタニレン架橋などが挙げられる。
【0013】チタニウム化合物の具体例としては、テト
ラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−n
−ブトキシチタン,テトライソプロポキシチタン,四塩
化チタン,三塩化チタン,二塩化チタン,水素化チタ
ン,シクロペンタジエニルトリメチルチタン,シクロペ
ンタジエニルトリエチルチタン,シクロペンタジエニル
トリプロピルチタン,シクロペンタジエニルトリブチル
チタン,メチルシクロペンタジエニルトリメチルチタ
ン,1,2−ジメチルシクロペンタジエニルトリメチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリメチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリエチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリプロピ
ルチタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリブチ
ルチタン,シクロペンタジエニルメチルチタンジクロリ
ド,シクロペンタジエニルエチルチタンジクロリド,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルメチルチタンジクロリ
ド,ペンタメチルクシクロペンタジエニルエチルチタン
ジクロリド,シクロペンタジエニルジメチルチタンモノ
クロリド;シクロペンタジエニルジエチルチタンモノク
ロリド,シクロペンタジエニルチタントリメトキシド,
シクロペンタジエニルチタントリエトキシド,シクロペ
ンタジエニルチタントリプロポキシド,シクロペンタジ
エニルチタントリフェノキシド,ペンタメチルシクロペ
ンタジエニルチタントリメトキシド,ペンタメチルシク
ロペンタジエニルチタントリエトキシド,ペンタメチル
シクロペンタジエニルチタントリプロポキシド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルチタントリブトキシド,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルチタントリフェノキシ
ド,シクロペンタジエニルチタントリクロリド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルチタントリクロリド,シク
ロペンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シクロペ
ンタジエニルジメトキシチタンクロリド,ペンタメチル
シクロペンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シク
ロペンタジエニルトリベンジルチタン,ペンタメチルシ
クロペンタジエニルメチルジエトキシチタン,インデニ
ルチタントリクロリド,インデニルチタントリメトキシ
ド,インデニルチタントリエトキシド,インデニルトリ
メチルチタン,インデニルトリベンジルチタンなどが挙
げられる。
【0014】また、一般式(III)で表わされる遷移金属
化合物のうち、M1 がジルコニウムであるジルコニウム
化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエニルジル
コニウムジクロリド,テトラブトキシジルコニウム,四
塩化ジルコニウム,テトラフェニルジルコニウム,シク
ロペンタジエニルジルコニウムトリメトキシド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリメトキシ
ド,シクロペンタジエニルトリベンジルジルコニウム,
ペンタメチルシクロペンタジエニルトリベンジルジルコ
ニウム,ビスインデニルジルコニウムジクロリド,ジル
コニウムジベンジルジクロリド,ジルコニウムテトラベ
ンジル,トリブトキシジルコニウムクロリド,トリイソ
プロポキシジルコニウムクロリド,(ペンタメチルシク
ロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタ
メチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウ
ム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロ
ルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメチル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリフェニル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリクロロル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)ジメチル(メ
トキシ)ジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニ
ル)トリメチルジルコニウム,(メチルシクロペンタジ
エニル)トリフェニルジルコニウム,(メチルシクロペ
ンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(メチルシ
クロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(メチ
ルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコ
ニウム,(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロ
ジルコニウム,(トリメチルシクロペンタジエニル)ト
リクロロジルコニウム,(トリメチルシリルシクロペン
タジエニル)トリメチルジルコニウム,(テトラメチル
シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,ビス
(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス
(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム,ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム,ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,
ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコニウ
ム,ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウ
ム,ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニ
ウム,ビス(シクロペンタジエニル)モノクロロモノヒ
ドリドジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)ジメチルジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタ
ジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(メチルシクロ
ペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペン
タメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウ
ム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロ
ロジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエ
ニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム,ビス
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)(ペンタメチ
ルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,エチ
レンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム,エチレ
ンビス(テトラヒドロインデニル)ジメチルジルコニウ
ム,エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジクロロ
ジルコニウム,ジメチルシリレンビス(シクロペンタジ
エニル)ジメチルジルコニウム,ジメチルシリレンビス
(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソ
プロピル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニ
ル)ジメチルジルコニウム,イソプロピル(シクロペン
タジエニル)(9−フルオレニル)ジクロロジルコニウ
ム,〔フェニル(メチル)メチレン〕(9−フルオレニ
ル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フ
ルオレニル)ジメチルジルコニウム,エチリデン(9−
フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジル
コニウム,シクロヘキシル(9−フルオレニル)(シク
ロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,シクロペン
シル(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジ
メチルジルコニウム,シクロブチル(9−フルオレニ
ル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,
ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(シクロペンタ
ジエニル)ジメチルジルコニウム,ジメチルシリレンビ
ス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジ
クロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(2,3,
5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコ
ニウムなどが挙げられる。
【0015】ハフニウム化合物の具体例としては、シク
ロペンタジエニルハフニウムトリメトキイシド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルハフニウムトリメトキイシ
ド,シクロペンタジエニルトリベンジルハフニウム,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルトリベンジルハフニウ
ム,ビスインデニルハフニウムジクロリド,ハフニウム
ジベンジルジクロリド,ハフニウムテトラベンジル,ト
リブトキシハフニウムクロリド,トリイソプロポキシハ
フニウムクロリド,四塩化ハフニウム,ジシクロペンタ
ジエニルハフニウムジクロリド,テトラエトキシハフニ
ウムなどが挙げられる。バナジウムの具体例としては、
バナジウムトリクロリド,バナジルトリクロリド,バナ
ジウムトリアセチルアセトナート,バナジウムテトラク
ロリド,バナジウムトリブトキシド,バナジルジクロリ
ド,バナジルビスアセチルアセトナート,バナジルトリ
アセチルアセトナート,ジベンゼンバナジウム,ジシク
ロペンタジエニルバナジウム,ジシクロペンタジエニル
バナジウムジクロリド,シクロペンタジエニルバナジウ
ムジクロリド,ジシクロペンタジエニルメチルバナジウ
ムなどが挙げられる。ニオブ化合物の具体例としては、
五塩化ニオブ,テトラクロロメチルニオブ,ジクロロト
リメチルニオブ,ジシクロペンタジエニルニオブジクロ
リド,ジシクロペンタジエニルニオブトリヒドリド,ペ
ンタブトキシニオブなどが挙げられる。タンタル化合物
の具体例としては、五塩化タンタル,ジクロルトリメチ
ルタンタル,ジシクロペンタジエニルタンタルトリヒド
リド,ペンタブトキシニオブなどが、クロム化合物の具
体例としては、三塩化クロム,テトラブトキシクロム,
テトラメチルクロム,ジシクロペンタジエニルクロム,
ジベンゼンクロムなどが挙げられる。
【0016】さらに、その他の遷移金属化合物として、
上記遷移金属化合物をマグネシウム化合物やケイ素化合
物などの担体に担持したものを用いることができるし、
上記遷移化合物を電子供与性化合物で変性したものも用
いることができる。これらの遷移金属化合物の中でも特
に好ましいものは、チタニウム化合物及びジルコニウム
化合物である。該(イ)触媒には、上記(a)遷移金属
化合物とともに(b)アルミノキサンが用いられる。こ
のアルミノキサンは、有機アルミニウム化合物と縮合剤
を接触させることにより得られるものであって、一般式
(IV)
【0017】
【化4】
【0018】〔式中、R3 は炭素数1〜20のアルキル
基、好ましくはメチル基を示し、pは0〜50、好まし
くは5〜30の数を示す。〕で表わされる鎖状アルミノ
キサンや、一般式(V)
【0019】
【化5】
【0020】〔式中、R3 は上記と同じであり、qは2
〜50、好ましくは5〜30の数を示す。〕で表わされ
る環状アルミノキサンなどがある。該有機アルミニウム
化合物としては、例えばトリメチルアルミニウム,トリ
エチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウムなど
のトリアルキルアルミニウムなどが挙げられるが、これ
らの中でトリメチルアルミニウムが好適である。また、
縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられる
が、この他にトリアルキルアルミニウムが縮合反応する
任意のもの、例えば硫酸銅5水塩,無機物や有機物への
吸着水など、各種のものが挙げられる。
【0021】一般に、トリアルキルアルミニウムなどの
有機アルミニウム化合物と水との接触生成物は、上述の
鎖状アルキルアルミノキサンや環状アルキルアルミノキ
サンとともに、未反応のトリアルキルアルミニウム,各
種の縮合生成物の混合物、さらには、これらが複雑に会
合した分子であり、これらはトリアルキルアルミニウム
と縮合剤である水との接触条件によって様々な生成物と
なる。この際のアルキルアルミニウム化合物と水との接
触方法には特に限定はなく、公知の手法に準じて反応さ
せればよい。例えば、有機アルミニウム化合物を有機
溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、重
合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に
水を添加する方法、さらには金属塩などに含有されて
いる結晶水,無機物や有機物への吸着水を有機アルミニ
ウム化合物と反応させる方法などがある。なお、上記の
水にはアンモニア,エチルアミンなどのアミン、硫化水
素などの硫黄化合物,亜燐酸エステルなどの燐化合物な
どが20%程度まで含有されていてもよい。また、この
反応は無溶媒下でも進行するが、溶媒中で行なうことが
好ましく、好適な溶媒としては、ヘキサン,ヘプタン,
デカン等の脂肪族炭化水素あるいはベンゼン,トルエ
ン,キシレンなどの芳香族炭化水素を挙げることができ
る。
【0022】このアルミノキサン(例えばアルキルアル
ミノキサン)は、上記の接触反応後、含水化合物などを
使用した場合には、固体残渣を濾別し、濾液を常圧下あ
るいは減圧下で30〜200℃の温度、好ましくは40
〜150℃の温度で、20分〜8時間、好ましくは30
分〜5時間の範囲で溶媒を留去しつつ熱処理したものが
好ましい。この熱処理にあたっては、温度は各種の状況
によって適宜定めればよいが、通常は、上記範囲で行
う。一般に、30℃未満の温度では、効果が発現せず、
また200℃を超えるとアルキルアルミノキサン自体の
熱分解が起こり、いずれも好ましくない。そして、熱処
理の処理条件により反応生成物は、無色の固体又は溶液
状態で得られる。このようにして得られた生成物を、必
要に応じて炭化水素溶媒で溶解あるいは希釈して触媒溶
液として使用することができる。
【0023】このような触媒成分として用いる有機アル
ミニウム化合物と縮合剤との接触生成物であるアルミノ
キサン、特にアルキルアルミノキサンの好適な例は、プ
ロトン核磁気共鳴スペクトルで観測されるアルミニウム
−メチル基(Al−CH3 )結合に基づくメチルプロト
ンシグナル領域における高磁場成分が50%以下のもの
である。つまり、上記の接触生成物を室温下、トルエン
溶媒中でそのプロトン核磁気共鳴( 1H−NMR)スペ
クトルを観測すると、「Al−CH3 」に基づくメチル
プロトンシグナルはテトラメチルシラン(TMS)基準
において1.0〜−0.5ppmの範囲に見られる。TMS
のプロトンシグナル(0ppm)が「Al−CH3 」に
基づくメチルプロトン観測領域にあるため、この「Al
−CH3」に基づくメチルプロトンシグナルを、TMS
基準におけるトルエンのメチルプロトンシグナル2.35
ppmを基準に測定し高磁場成分(即ち、−0.1〜−0.
5ppm)と他の磁場成分(即ち、1.0〜−0.1pp
m)とに分けたときに、該高磁場成分が全体の50%以
下、好ましくは45〜5%のものが触媒成分として好適
に使用できる。
【0024】該(ロ)触媒には、上記(a)遷移金属化
合物とともに、(c)遷移金属化合物と反応してイオン
性錯体を形成しうる化合物が用いられる。この化合物に
ついては特に制限はないが、カチオンと複数の基が元素
に結合したアニオンとからなる化合物、すなわち化合物
(c)が周期律表のIIIB族,VB族,VIB 族,VIIB族,VI
II族,IA族,IB族,IIA 族,IIB 族,IVA 族及びVIIA族
から選ばれる元素を含むカチオンと複数の基が周期律表
のVB族,VIB 族,VIIB族,VIII族,IB族,IIB族,IIIA
族,IVA 族及びVA族から選ばれる元素に結合したアニオ
ンとからなる化合物、特にカチオンと複数の基が元素に
結合したアオニンとからなる配位錯化合物を好適に用い
ることができる。例えば一般式(VI)又は(VII) 〔L1 −R4 u+V (M2 1 2 ・・・Ze (e-f)-W ・・・(VI) 又は (〔L2 U+V (M3 1 2 ・・・Ze (e-f)-W ・・・(VII) (但し、L2 はM4 ,R5 6 5 ,R7 3C又はR8
5 である)〔式中、L1 はルイス塩基、M2 及びM3
それぞれ周期律表のVB 族,VIB 族,VIIB族,VIII族,
IB 族,IIB 族,IIIA族,IVA 族及びV族から選ばれる
元素、M4 及びM5 はそれぞれ周期律表のIIIB族,IV
族,V族,VIB 族,VIIB族,VIII族,I族,IB 族,II
A 族,IIB 族及びVIIA族から選ばれる元素、Z1 〜Ze
はそれぞれ水素原子,ジアルキルアミノ基,アルコキシ
基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20の
アリールオキシ基,炭素数1〜20のアルキル基,炭素
数6〜20のアリール基,アルキルアリール基,アリー
ルアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素
基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド
基又はハロゲン原子を示し、Z1 〜Ze ははその2以上
が互いに結合して環を形成していてもよい。R4 は水素
原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20の
アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル
基を示し、R5 及びR6 はそれぞれシクロペンタジエニ
ル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又は
フルオレニル基、R7 は炭素数1〜20のアルキル基,
アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル
基を示す。R8 はテトラフェニルポルフィリン,フタロ
シアニンなどの大環状配位子を示す。fはM2,M3
原子価で1〜7の整数、eは2〜8の整数、uは〔L1
−R4 〕,〔L2 〕のイオン価数で1〜7の整数、vは
1以上の整数、w=(v×u)/(e−f)である。〕
で表わされる化合物である。
【0025】ここで、上記L1 で示されるルイス塩基の
具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリ
ン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニ
リン,ジフェニルアミン,トリメチルアミン,トリエチ
ルアミン,トリ−n−ブチルアミン,N,N−ジメチル
アニリン,メチルジフェニルアミン,ピリジン;2,
2’−ビピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニ
リン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン,フェナ
ントロリンなどのアミン類、トリエチルフォスフィン,
トリフェニルフォスフィン,ジフェニルフォスフィンな
どのフォスフィン類、ジメチルエーテル,ジエチルエー
テル,テトラヒドロフランジオキサンなどのエーテル
類、ジエチルチオエーテル,テトラヒドロチオフェンな
どのチオエーテル類、エチルベンゾエートなどのエステ
ル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル
類などが挙げられる。
【0026】また、M2 及びM3 の具体例としては、
B,Al,Si,P,As,Sbなど、M4 の具体例と
しては、Li,Na,Ag,Cu,Br,I,I3
ど、M5の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,
Znなどが挙げられる。Z1 〜Ze の具体例としては、
例えば、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,
ジエチルアミノ基;炭素数1〜20のアルコキシ基とし
てメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基、炭素数6
〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6
−ジメチルフェノキシ基,ナフチルオキシ基、炭素数1
〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プ
ロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,n−オ
クチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数6〜20のア
リール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキ
ル基としてフェニル基,p−トリル基,ベンジル基,ペ
ンタフルオロフェニル基,3,5−ジ(トリフルオロメ
チル)フェニル基,4−ターシャリーブチルフェニル
基,2,6−ジメチルフェニル基,3,5−ジメチルフ
ェニル基,2,4−ジメチルフェニル基,2,3−ジメ
チルフェニル基,1,2−ジメチルフェニル基、炭素数
1〜20のハロゲン置換炭化水素基としてp−フルオロ
フェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタク
ロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル
基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ジ(トリフル
オロメチル)フェニル基、ハロゲン原子としてF,C
l,Br,I;有機メタロイド基として五メチルアンチ
モン基,トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,
ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン
基,ジフェニル硼素基が挙げられる。R4 ,R7 の具体
例としては先に挙げたものと同様なものが挙げられる。
5 及びR6 の置換シクロペンタジエニル基の具体例と
しては、メチルシクロペンタジエニル基,ブチルシクロ
ペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル
基などのアルキル基で置換されたものが挙げられる。こ
こで、アルキル基は通常炭素数が1〜6であり、置換さ
れたアルキル基の数は1〜4の整数で選ぶことができ
る。
【0027】上記一般式(VI),(VII)の化合物の中で
は、M2 ,M3 が硼素であるものが好ましい。一般式
(VI),(VII)の化合物の中で、具体的には、下記のも
のを特に好適に使用できる。例えば、一般式(VI)の化
合物としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリ(n−ブチル)アンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テ
トラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフ
ェニル硼酸メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム,テ
トラフェニル硼酸ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸メチルトリフェニルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テ
トラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル
硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル
(2−シアノピリジニウム),テトラフェニル硼酸トリ
メチルスルホニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルメチ
ルスルホニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
酸トリエチルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム,テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニ
ウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラブ
チルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)
硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸〔メチルトリ(n−ブチル)アンモニ
ウム〕,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸〔ベン
ジルトリ(n−ブチル)アンモニウム〕,テトラ(ペン
タフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウ
ム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルトリ
フェニルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム,テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テト
ラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウ
ム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチル
アニリニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
ジメチル(m−ニトロアニリニウム),テトラ(ペンタ
フルオロフェニルメチル)硼酸ジメチル(p−ブロモア
ニリニウム),テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
ピリジニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(p−シアノピリジニウム),テトラ(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸(N−メチルピリジニウム),テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N−ベンジルピリジ
ニウム),テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸(O
−シアノ−N−メチルピリジニウム),テトラ(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−メチルピリ
ジニウム),テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(p−シアノ−N−ベンジルピリジニウム),テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルスルホニウ
ム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルジ
メチルスルホニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸テトラフェルホスホニウム,テトラ(3,5−
ジトリフルオロメチルフェニル)硼酸ジメチルアニリニ
ウム,ヘキサフルオロ砒素酸トリエチルアンモニウムト
ウなどが挙げられる。
【0028】一方、一般式(VII)の化合物としては、テ
トラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸
銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸
(テトラフェニルポルフィリンマンガン),テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニ
ウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸アセチル
フェロセニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
酸ホルミルフェロセニウム,テトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸シアノフェロセニウム,テトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸銀,テトラ(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸トリチル,テトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸リチウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)
硼酸ナトリウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
酸(テトラフェニルポルフィリンマンガン),テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポル
フィリン鉄クロライド),テトラ(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリン亜鉛),テト
ラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,ヘキサフ
ルオロアンチモン酸銀などが挙げられる。そして、一般
式(VI) ,(VII)以外の化合物としては、例えば、トリ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸,トリ〔3,5−ジ
(トリフルオロメチル)フェニル〕硼酸,トリフェニル
硼酸なども使用することができる。
【0029】本発明においては、上記(イ)触媒又は
(ロ)触媒とともに、所望により(d)成分として有機
金属化合物を併用することができる。この所望により併
用される(d)有機金属化合物としては、一般式(VIII) M6 (R9)r ・・・(VIII) で表わされる化合物が用いられる。この一般式(VIII)に
おいて、R9 は、炭素数1〜20のアルキル基,炭素数
2〜20のアルケニル基,炭素数3〜20のシクロアル
キル基,炭素数6〜20のアリール基あるいは炭素数7
〜20のアラルキル基を示す。具体的には、例えば、メ
チル基,エチル基,n−プロピル基,i−プロピル基,
n−ブチル基,i−ブチル基,ヘキシル基,2−エチル
ヘキシル基,フェニル基などが挙げられる。そして、M
6 はリチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,
亜鉛,カドミウム,アルミニウム,ホウ素,ガリウム,
ケイ素あるいはスズを示す。また、rはM6 の原子価を
表わす。一般式(VIII)で表わされる化合物としては、様
々なものがある。具体的には、メチルリチウム,エチル
リチウム,プロピルリチウム,ブチルリチウムなどのア
ルキルリチウム化合物、ジエチルマグネシウム,エチル
ブチルマグネシウム,ジノルマルブチルマグネシウムな
どのアルキルマグネシウム化合物、ジメチル亜鉛,ジエ
チル亜鉛,ジプロピル亜鉛,ジブチル亜鉛などのジアル
キル亜鉛化合物、トリメチルガリウム,トリエチルガリ
ウム,トリプロピルガリウムなどのアルキルガリウム化
合物,トリエチルホウ素,トリプロピルホウ素,トリブ
チルホウ素などのアルキルホウ素化合物、テトラエチル
スズ,テトラプロピルスズ,テトラフェニルスズなどの
アルキルスズ化合物などが挙げられる。また、M6 が、
アルミニウムである場合の化合物としては、様々なもの
がある。具体的には、トリメチルアルミニウム,トリエ
チルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,ト
リイソブチルアルミニウム,トリn−ヘキシルアルミニ
ウム,トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルア
ルミニウム化合物などが挙げられる。
【0030】前記触媒における各成分の使用割合につい
ては特に制限はないが、該(イ)触媒においては、
(a)成分と(b)成分とのモル比が1:20〜1:1
0000、好ましくは1:100〜1:2000になる
ように両成分を用いるのがよい。一方、(ロ)触媒にお
いては、(a)成分と(c)成分とのモル比が1:0.0
1〜1:100、好ましくは1:1〜1:10になるよ
うに両成分を用いるのがよい。この場合、(a)成分と
(c)成分は予め接触させ、接触処理物を分離,洗浄し
て用いてもよいし、重合系内で接触させてもよい。ま
た、(イ)触媒又は(ロ)触媒において、所望に応じて
用いられる(d)成分の使用量は、該(a)成分1モル
に対して、通常0〜100モルの範囲で選ばれる。この
(d)成分を用いることにより、重合活性の向上を図る
ことができるが、あまり多く用いても添加量に相当する
効果は発現しない。なお、この(d)成分は、(a)成
分,(c)成分あるいは(a)成分と(c)成分との接
触処理物と接触させて用いてもよい。この接触は、予め
接触させてもよいし、重合系内へ順次添加して接触させ
てもよい。また、スチレン系単量体と触媒との使用割合
についてと特に制限はないが、通常スチレン系単量体/
遷移金属化合物のモル比が10〜109 、好ましくは1
2 〜107 の範囲にあるように選ばれる。
【0031】本発明のスチレン系重合体を製造するに
は、まず、前記スチレン系単量体を上記触媒のいずれか
の存在下に重合させる。この際、重合方法、重合条件
(重合温度,重合時間)、溶媒などは適宜選定すればよ
い。通常は−50〜200℃、好ましくは30〜100
℃の温度において、1秒〜10時間、好ましくは1分〜
6時間程度重合が行われる。また、重合方法としては、
スラリー重合法,溶液重合法,塊状重合法,気相重合法
など、いずれも用いることができるし、連続重合,非連
続重合のいすれであってもよい。ここで、溶液重合にあ
っては、溶媒として、例えばベンゼン,トルエン,キシ
レン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素,シクロペ
ンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪族炭
化水素などを一種又は二種以上を組合わせて使用するこ
とががきる。この場合、単量体/溶媒(体積比)は任意
に選択することができる。また、重合体の分子量制御や
組成制御は、通常用いられている方法によって行えばよ
い。分子量制御は例えば水素,温度,モノマー濃度など
で行うことができる。
【0032】本発明組成物においては、該(A)成分と
して用いられるスチレン系重合体は、このようにして実
質上重合体を生成させたのち、重合末端の官能化処理を
行い、前記一般式(I)で表わされる構造単位の停止末
端に、カルボン酸基,カルボン酸エステル基,水酸基,
エーテル基及びイソシアネート基のいずれかの官能基を
含有させたものである。この末端官能化処理に用いられ
る官能化処理剤としては、例えば4−ブロモフェネチル
アルコール,4−ブロモフェノール,3−ブロモ−1−
プロパノール,2−ブロモベンジルアルコール,4−ブ
ロモ−2,6−ジメチルフェノール,2−ブロモエタノ
ール,4−ブロモ−2−ナフトールなどのハロゲン置換
アルコール類やフェノール類、α−ブロモ−p−トルイ
ル酸,o−ブロモ安息香酸,m−ブロモ安息香酸,p−
ブロモ安息香酸,無水コハク酸,2−ブロモ−n−酪
酸,6−ブロモヘキサン酸,α−ブロモイソ酪酸,2−
ブロモイソ酪酸,2−ブロモプロピオン酸,3−ブロモ
プロピオン酸,11−ブロモウンデカン酸,5−ブロモ
吉草酸,クロロ酢酸,ブロモ酢酸などのカルボン酸及び
これらのエステル化合物、o−ブロモアニソール,エピ
クロロヒドリン,4−ブロモジフェニルエーテル,エピ
ブロモヒドリン,2−ブロモエチルエチルエーテル,ブ
ロモメチルエーテルなどのエーテル類、o−ブロモアニ
リン,m−ブロモアニリン,p−ブロモアニリン,4−
ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,2−ブロモ−4−
メチルアニリン,3−ブロモフェニルヒドラジン塩酸
塩,3−ブロモプロピルアミンなどのアミン類、さらに
はイソシアナート化合物,二酸化炭素などが挙げられ
る。これらの化合物は、一種用いてもよいし、二種以上
を組合わせて用いてもよい。
【0033】重合末端の官能化処理の条件については特
に制限はないが、通常−80〜100℃、好ましくは−
30〜80℃の温度において、0.1秒〜3時間、好まし
くは1秒〜1時間程度反応させればよい。また、末端官
能化剤の使用量は、遷移金属化合物1モルに対して通常
0.1〜106 モル、好ましくは1〜104 モルの範囲で
選ばれる。このようにして、高度のシンジオタクチック
構造を有する末端官能化スチレン系重合体が得られる。
ここでいうシンジオタクチック構造とは、立体化学構造
がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形
成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェ
ニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するも
のであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核
磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13
−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続
する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合は
ダイアッド,3個の場合はトリアッド,5個の場合はペ
ンタッドによって示すことができる。本発明に言う高度
のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体と
は、スチレン系繰返し単位の連鎖において、好ましくは
ラセミダイアッドで75%以上、より好ましくは85%
以上、若しくはラセミペンタッドで好ましくは30%以
上、より好ましくは50%以上のシンジオタクティシテ
ィーを有するものを示す。しかしながら、置換基の種類
などによってシンジオタクティシティーの度合いは若干
変動する。
【0034】該スチレン系重合体の分子量は、1,2,
4−トリクロロベンゼン中、135℃の温度で測定した
0.05g/デシリットルの濃度での還元粘度が0.01〜
20デシリットル/gの範囲にあることが必要である。
この還元粘度が0.01デシリットル/g未満では重合体
としての物性が十分に発現されないし、20デシリット
ル/gを超えると成形加工性に劣るようになる。本発明
の樹脂組成物におていは、(B)成分として、熱可塑性
樹脂,無機充填剤及び有機充填剤の中から選ばれた少な
くとも一種が用いられる。該熱可塑性樹脂としては、例
えばポリオレフィン樹脂,ポリスチレン樹脂,縮合系高
分子重合体,付加重合系高分子重合体などが挙げられ
る。該ポリオレフィン樹脂の具体例としては、高密度ポ
リオレフィン,低密度ポリエチレン,ポリ−3−メチル
−ブテン−1;ポリ−4−メチル−ペンテン−1、若し
くはコモノマー成分してブテン−1;ヘキセン−1;オ
クテン−1;4−メチルペンテン−1;3−メチルブテ
ン−1などを用いて得られる直鎖状低密度ポリエチレン
及びそれらの化学変性物、エチレン−酢酸ビニル共重合
体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物,エチレン
−アクリル酸共重合体,エチレン−アクリル酸エステル
共重合体,エチレン系アイオノマー ポリプロピレン及
びそれらの化学変性物などが挙げられる。ポリスチレン
樹脂の具体例としては、汎用ポリスチレン,アイソタク
チックポリスチレン他のシンジオタクチックポリスチレ
ン,ハイインパクトポリスチレン(ゴム変性)などが挙
げられる。縮合系高分子重合体の具体例としては、ポリ
アセタール樹脂,ポリカーボネート樹脂,ナイロン6,
ナイロン6・6などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリ
エステル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂,ポリイミ
ド樹脂,ポリスルホン樹脂,ポリエーテルスルホン樹
脂,ポリフェニレンスルフィド樹脂などが挙げられる。
付加重合系高分子重合体としては、例えば極性ビニルモ
ノマーから得られた重合体やジエン系モノマーから得ら
れた重合体、具体的にはポリメチルメタクリレート,ポ
リアクリロニトリル,アクリルニトリル−ブタジエン共
重合体,アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体,ジエン鎖を水添したジエン系重合体、さらには熱
可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0035】これらの熱硬化性樹脂の中で好ましいもの
は、前記(A)成分のスチレン系重合体の官能基と反応
する置換基又は末端官能基を有するものである。また、
これらの熱可塑性樹脂は一種用いてもよく、二種以上を
組合わせて用いてもよい。また、無機充填剤及び有機充
填剤は、その形状については特に制限はなく、粉末状,
粒状,板状,繊維状,ウイスカー状など、いずれの形状
のものも用いることができる。無機充填剤としては、無
機質充填剤,金属系充填剤,セラミックス系充填剤など
を使用することができる。該無機充填剤としては、例え
ばシリカ,ケイ藻土,バリウムフェライト,酸化ベリリ
ウム,軽石,軽石バルーンなどの酸化物、水酸化アルミ
ニウム,水酸化マグネシウム,塩基性炭酸マグネシウム
などの水酸化物、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,
ドロマイト,ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウ
ム,硫酸バリウム,硫酸アンモニウム,亜硫酸カルシム
ウなどの硫酸塩又は亜硫酸塩、タルク,クレー,マイ
カ,アスベスト,ガラス繊維,ガラスバルーン,ガラス
ビーズ,ケン酸カルシウム,モンモリロナイト,ベント
ナイトなどのケイ酸塩、カーボンブラック,グラファイ
ト,炭素繊維,炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブ
デン,ボロン繊維,ホウ酸亜鉛,メタホウ酸バリウム,
ホウ酸カルシウム,ホウ酸ナトリウムなどを挙げること
ができる。
【0036】また、金属系充填剤としては、金属元素,
金属化合物,合金などの粉体や粒状体、あるいは金属繊
維や金属ウイスカーなどが用いられる。具体的には、亜
鉛,銅,鉄,鉛,アルミニウム,ニッケル,クロム,チ
タン,マンガン,スズ,白金,タングステン,金,マグ
ネシウム,コバルト,ストロンチウムなどの金属元素及
びこれらの金属の酸化物、ステンレス鋼,ハンダ,しん
ちゅうなどの合金、アルミニウム繊維,ステンレス繊
維,銅繊維,黄銅繊維,ニッケル繊維,チタン酸カリウ
ム繊維や、その他単体金属繊維,合金繊維などの金属繊
維、及びこれらに対応する金属ウイスカーなどを挙げる
ことができる。さらに、セラミックス系充填剤として
は、例えば炭化ケイ素,窒化ケイ素,ジルコニア,窒化
アルミニウム,炭化チタンなどの粉体,粒状体,繊維,
ウイスカーなどを挙げることができる。一方、有機充填
剤としては、例えばモミ殻などの殻繊維,木粉,木綿,
ジュート,紙細片,セロハン片,芳香族ポリアミド繊
維,ポリイミド繊維,セルロース繊維,ナイロン繊維,
ポリエステル繊維,超高分子量ポリエチレン繊維,ポリ
プロピレン繊維,熱硬化性樹脂粉末などを挙げることが
できる。これらの充填剤は一種用いてもよく、また二種
以上を組合わせて用いてもよい。
【0037】本発明の組成物には、所望に応じ各種添加
剤、例えば耐熱安定剤,耐候安定剤,帯電防止剤,スリ
ップ剤,アンチブロッキング剤,防曇剤,滑剤,発泡
剤,染料,顔料,天然油,合成油,ワックスなどを配合
することができ、その配合量は適宜選ばれる。前記安定
剤の具体例としては、テトラキス〔メチレン−3(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕メタン;β−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステ
ル;2,2’−オキザミドビス〔エチル−3(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)〕プロピオ
ネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸亜
鉛,ステアリン酸カルシウム,12−ヒドロキシステア
リン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリンモノ
ステアレート,グリセリンモノラウリレート,グリセリ
ンジステアレート,ペンタエリスリトールモノステアレ
ート,ペンタエリスリトールジスステアレート,ペンタ
エリスリトールトリステアレートなどの多価アルコール
脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらは、
単独で配合してもよいが、組合わせて配合してもよく、
例えばテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタ
ンとステアリン酸亜鉛及びグリセリンモノステアレート
との組合わせが好ましい。
【0038】本発明の組成物において、(B)成分とし
て熱可塑性樹脂を用いる場合には、(A)成分のスチレ
ン系重合体と(B)成分の熱可塑性樹脂との配合割合
は、通常、重量比0.5:99.5ないし99.5:0.5、好
ましくは1:95ないし99:5の範囲で選ばれる。ま
た、(B)成分として無機充填剤や有機充填剤を用いる
場合には、該(A)成分と(B)成分との重量比が2
0:80ないし95:5、好ましくは40:60ないし
90:10となるように配合するのが望ましい。さら
に、(B)成分として、熱可塑性樹脂と無機充填剤や有
機充填剤とを用いる場合には、該スチレン系重合体と熱
可塑性樹脂とからなる樹脂成分と無機充填剤や有機充填
剤とが、重量比が20:80ないし95:5、好ましく
は40:60ないし90:10となるように配合するの
が望ましい。本発明の樹脂組成物の調製方法については
特に制限はないが、従来熱可塑性樹脂組成物において慣
用されている溶融混練方法が好適である。この溶融混練
方法は、例えばバンバリーミキサー,単軸又は二軸押出
し機,ニーダー,連続ミキサー,ミキシングロールなど
の公知の手段を用いて行うことができる。また、良溶媒
を用いた溶液ブレンド法を用いてもよい。
【0039】本発明の多層材料は,このようにして得ら
れた樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有するもの
であって、他の層の材料については特に制限はなく、例
えば熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂,金属その他材料な
ど、いずれも用いることができる。熱可塑性樹脂として
は、前記(B)成分の説明において例示したものと同じ
ものを挙げることができる。また、熱硬化性樹脂として
は、例えばフェノール樹脂,エポキシ樹脂,不飽和ポリ
エステル樹脂、あるいはこれらの繊維強化物などが挙げ
られる。一方、金属材料としては、例えばアルミニウ
ム,銅,鉄,ニッケル,スズ,クロム,銀,ステンレス
鋼,ジュラルミン,しんちゅうなどが挙げられ、その他
の材料としては、例えばセラミックス,ガラス,紙,繊
維,布,木などが挙げられる。これらの材料は、使用目
的に応じて一種又は二種以上を組合わせて用いることが
できる。本発明の多層材料を構成する各層あるいは部分
の形状や状態は、様々であり、例えは、フィルム状,シ
ート状,繊維(織布,不織布)状をはじめ、各種成形
体,焼結体,単結晶,発泡体,多孔質体などがある。ま
た、各材料を多層化する方法ついては、特に制限はな
く、従来から行われている様々な方法によればよい。例
えば上記他の材料が熱可塑性樹脂の場合には、共押出
法,ラミネーション法,プレス法などが用いられ、また
他の材料が金属の場合、特に積層すべき金属が比較的薄
いものである場合には、ラミネーション法,金属蒸着
法,静電塗装法などが用いられる。さらに、成形体や厚
物材料に積層する場合には、フィルム,シートの加熱融
着や含浸,塗布などにより表面を被覆するような方法を
用いることができる。本発明の多層材料の形状及び態様
は、様々であるが、例えばフィルム状,シート状,繊維
状,布状、さらには成形体,焼結体,単結晶,発泡体あ
るいは多孔質体の表面を該スチレン系重合体からなる層
で、積層,含浸あるいは塗布して被覆したものなど、あ
るいはこれの複合体などがある。さらに、本発明の多層
材料は、フィルム,シート(特にスタンパブルシー
ト),容器,包装材をはじめ、自動車部品,電気・電子
部品など様々な分野で幅広く利用される。
【0040】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。 製造例1〜5 200ミリリットルフラスコを十分窒素置換したのち、
第1表に示す量のトルエン,スチレン及びアルミノキサ
ンを入れ、75℃で5時間攪拌した。次いで、これに、
第1表に示す量のペンタメチルシクロペンタジエニルチ
タニウムトリメトキシド{Cp* Ti(OMe)3 }を
入れ、一定時間重合したのち、末端停止剤(末端官能化
剤)を添加して所定時間反応した。重合終了後、重合物
をメタノール/塩酸混合溶液に投入して脱灰し、さらに
メタノールで十分洗浄したのち、白色粉末として回収し
た。反応条件などを含めて結果を第1表に示す。なお、
製造例1〜4はスチレンを、製造例5はp−メチルスチ
レンを使用し、製造例1〜4の重合温度を75℃,製造
例5の重合温度を50℃とした。また、重合体の融点は
セイコー電子製,DSC−200型を用い、窒素雰囲気
下、下記のプロファイルに従い、(4)で観測される融
点を求めた。 (1)30〜305℃ 20℃/分(昇温) (2)305℃ 5分間保持 (3)305〜30℃ 7℃/分 (降温) (4)30〜300℃ 20℃/分(昇温) さらに、重合体の還元粘度は135℃の1,2,4−ト
リクロロベンゼン中、0.05g/デシリットルの濃度に
て測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】注1)MIP:メチルエチルケトンによる
ソックスレー抽出残部
【0045】実施例1〜5 製造例1〜5で得られたシンジオタクチックスチレン系
重合体と相溶化樹脂とを、第2表に示す割合で混合し、
小型成形機(Custom Scientific Instrument Inc製:Mo
del CS-183)で300℃,5分間混練し、その後押出し
によりストランドを成形した。ストランドの破断面の電
子顕微鏡写真(×1000倍)を、図1〜図5に示す。
【0046】
【表4】
【0047】注1)出光石油化学(株)製,商品名 ポ
リタック,無水マレイン酸変性量 2.14wt% 2)宇部興産(株)製,商品名 2020B
【0048】比較例1〜5 第2表に示した製造例1〜5の重合体に代えて、比較例
1〜4では、対応する実施例1〜4と同一条件で末端停
止剤を添加しないで製造したシンジオタクチックポリス
チレンを用い、比較例5では実施例5と同一条件で末端
停止剤を添加しないで製造したシンジオタクチックポリ
p−メチルスチレンを用い、第2表に示した割合で、同
様に組成物を調製した。それぞれのストランドの破断面
の電子顕微鏡写真を図6〜図10に示す。 比較例1(実施例1に対応): 図6 比較例2(実施例2に対応): 図7 比較例3(実施例3に対応): 図8 比較例4(実施例4に対応): 図9 比較例5(実施例5に対応): 図10
【0049】実施例6(多層材料) 第3表に示した条件で多層材料を製造した。
【0050】
【表5】
【0051】注1)290℃,5分間加圧 2)分子量(Mw)430000 3)出光石油化学(株)製,640UF 成分A 3×3×0.05cmのシート 成分B 3×3×0.05cmのシート又は板状 いずれの多層材料も、界面接着性は良好であった。
【0052】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、高度のシンジオ
タクチック構造を有する末端官能化スチレン系重合体と
熱可塑性樹脂や無機充填剤や有機充填剤とを含有してな
るシンジオタクチック構造のスチレン系樹脂が本来有す
る耐溶剤性,耐加水分解性,耐熱性,耐熱水性をそこな
うことなく複合化したものであって、高性能の成形体
や、フィルム,シートなどの多層材料の製造が可能で、
例えば自動車部品,電子・電気機器部品,包装材などに
好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図2】実施例2で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図3】実施例3で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図4】実施例4で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図5】実施例5で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図6】比較例1で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図7】比較例2で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図8】比較例3で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図9】比較例4で得られた樹脂組成物からなるストラ
ンドの破断面の電子顕微鏡写真図。
【図10】比較例5で得られた樹脂組成物からなるスト
ランドの破断面の電子顕微鏡写真図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−320251(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 25/00 - 25/18 C08F 8/00 - 8/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式 【化1】 〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子あるいは炭素原
    子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか一種以上を含む
    置換基を示し、mは1〜5の整数であり、mが複数の場
    合、各R1 は同一でも異なるものであってもよく、また
    1 はベンゼン環とともに縮合環を形成していてもよ
    い。〕で表わされる構造単位の停止末端にカルボン酸
    基,カルボン酸エステル基,水酸基,アミノ基,エーテ
    ル基及びイソシアネート基のいずれかの官能基を含み、
    かつ、1,2,4−トリクロロベンゼン中、135℃の
    温度で測定した0.05g/デシリットルの濃度での還元
    粘度が0.01〜20デシリットル/gであって、前記構
    造単位の連鎖の立体規則性が高度のシンジオタクチック
    構造を有するスチレン系重合体と、(B)熱可塑性樹
    脂,無機充填剤及び有機充填剤の中から選ばれた少なく
    とも一種とを含有してなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の樹脂組成物からなる層を
    少なくとも一層有する多層材料
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