JP3237193B2 - スチレン系ブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系ブロック共重合体及びその製造方法

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JP3237193B2
JP3237193B2 JP12704492A JP12704492A JP3237193B2 JP 3237193 B2 JP3237193 B2 JP 3237193B2 JP 12704492 A JP12704492 A JP 12704492A JP 12704492 A JP12704492 A JP 12704492A JP 3237193 B2 JP3237193 B2 JP 3237193B2
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修司 町田
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  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスチレン系ブロック共重
合体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、高性能
耐熱エラストマーとして、あるいはポリマーアロイや高
耐衝撃材料などの素材として好適なシンジオタクチック
スチレン系ブロック共重合体及びこれを効率よく製造す
る方法、さらには該シンジオタクチックスチレン系ブロ
ック共重合体を水添することにより、耐溶剤性,耐候
性,耐熱性の高度に改良された水添ブロック共重合体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来からラジカル重合法などにより製造
されるスチレン系重合体は、種々の成形法によって様々
な形状のものに成形され、家庭電気器具,事務機器,家
庭用品,包装容器,玩具,家具,合成紙その他産業資材
などとして幅広く用いられているが、その立体構造がア
タクチック構造を有しており、耐熱性,耐薬品性に劣る
という欠点があった。本発明者らのグループは、このよ
うなアタクチック構造のスチレン系重合体の欠点を解消
したものとして、これまでに高度のシンジオタクチック
構造であるスチレン系重合体の開発に成功し、さらにこ
のスチレン系モノマーと他の成分を共重合したスチレン
系共重合体をも開発した。例えば、エラストマーとし
て、又ポリオレフィン系樹脂の相溶化剤として有用なオ
レフィンとスチレンとのシンジオタクチック系ブロック
共重合体(特願平2−251360号明細書)や、オレ
フィン又はジエンとスチレンとのシンジオタクチック系
グラフト共重合体(特願平2−407148号明細書)
を見出した。しかしながら、前者のオレフィンとスチレ
ンとのシンジオタクチック系ブロック共重合体は、比較
的低分子量重合体であって、エラストマーとして展開す
る場合、オレフィン重合体部位の分子量を高くすること
ができず、従って、エラストマーとしての特徴を十分に
引き出すことができないという問題があった。一方、後
者のオレフィン又はジエンとスチレンとのグラフト共重
合体においては、グラフト開始点濃度やグラフト効率な
どの共重合因子を高度に制御する必要があり、より簡便
に製造する方法が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情の下で、高性能耐熱エラストマーとして、あるいは
ポリマーアロイや高耐衝撃材料などの素材として好適な
スチレン系ブロック共重合体、及びこれを効率よく製造
する方法を開発することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、高度のシンジ
オタクチック構造を有するスチレン系重合体セグメント
とアニオン重合性モノマーの重合体セグメントからなる
ブロック共重合体がエラストマーとして、あるいは相溶
化能が付与されていることからポリマーアロイや耐衝撃
材料などの素材として有用であること、そしてこのブロ
ック共重合体を水添することにより、耐溶剤性,耐候
性,耐熱性が高度に改良されたものが得られることを見
出した。さらに、該ブロック共重合体は、アニオン重合
開始剤の存在下にアニオン重合性モノマーを重合させた
のち、遷移金属化合物で処理し、さらに特定の触媒の存
在下にスチレン系モノマーをブロック共重合させること
により、容易に得られることを見出した。本発明はこの
ような知見に基づいて完成したものである。すなわち、
本発明は、一般式(I)
【0005】
【化3】
【0006】〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子あ
るいは炭素原子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか一
種以上を含む置換基を示し、mは1〜5の整数であり、
mが複数の場合、各R1 は同一でも異なるものであって
もよく、またR1 はベンゼン環とともに縮合環を形成し
ていてもよい。〕 で表わされる繰り返し単位と、(B)Q(共鳴因子)値
が0.2以上で、かつe(極性因子)値が−1.50以上の
共役性モノマーからなるアニオン重合性モノマーから誘
導される繰り返し単位とを含有し、かつ(A)繰り返し
単位の立体規則性が高度のシンジオタクチック構造を有
するスチレン系ブロック共重合体、及び該スチレン系ブ
ロック共重合体を部分水添又は完全水添してなる水添ブ
ロック共重合体を提供するものである。また、前記スチ
レン系ブロック共重合体は、一官能性又は多官能性アニ
オン重合開始剤の存在下、Q(共鳴因子)値が0.2以上
で、かつe(極性因子)値が−1.50以上の共役性モノ
マーからなるアニオン重合性モノマーを重合させて、実
質上重合体を生成させたのち、(a)遷移金属化合物と
接触反応させ、次いで、(b)アルミノキサン又は
(c)該遷移金属化合物と反応して、イオン性錯体を形
成しうる化合物の存在下に、一般式(II)
【0007】
【化4】
【0008】 〔式中、R1 及びmは前記と同じである。〕 で表わされるスチレン系モノマーとブロック共重合させ
ることにより、製造することができる。本発明のスチレ
ン系ブロック共重合体の原料の一つとして用いられるア
ニオン重合性モノマーについては特に制限はないが、
「ポリマーハンドブック(PolymerHandbook) 」(ジョン
ウイリー・アンド・サンズ社出版)、第2章記載のモノ
マーのうち、Q(共鳴因子)値が0.2以上で、かつe
(極性因子)値が−1.50以上の共役性モノマーが好適
である。このような共役性モノマーとしては、例えばジ
フェニルエチレンやインデンなどのオレフィン類、イソ
プレン;1,3−ブタジエン;2−フルオロ−1,3−
ブタジエン;2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン;
1,3−シクロヘキサジエンなどのジエン類、α−メチ
ルスチレン;2,4,6−トリメチルスチレンなどのア
ルキル、ハロゲン,ハロアルキル置換スチレンや、1−
ビニルナフタレン,2−イソプロペニルナフタレン,4
−クロロ−1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化
合物用いることができる。これらのアニオン重合性モ
ノマーは一種用いてよく、二種以上を組合わせてもよい
が、これらの中で、特にオレフィン類及びジエン類が好
適である。
【0009】本発明のスチレン系ブロック共重合体を製
造するには、まず、前記のアニオン重合性モノマーをア
ニオン重合開始剤の存在下に重合させる。この際用いら
れるアニオン重合開始剤の中で一官能性開始剤として
は、例えばセシウム,ルビジウム,カリウム,ナトリウ
ム,リチウムなどのアルカリ金属、n−ブチルリチウ
ム,オクチルカリウム,ベンジルバリウムなどのアルカ
リ金属アルキル又はアルカリ土類金属アルキル、ナトリ
ウム−ナフタレンなどのアルカリ金属芳香族化合物錯
体、カリウムアミド,ジエチルリチウムアミドなどのア
ルカリ金属アミド、フェニルマグネシウムブロミド,ジ
エチルマグネシウムなどのマグネシウム化合物、(C6
5)2 C−O- Na+ などのアルカリ金属ケチル、リチ
ウムアルミニウムヒドリド(LiAlH4)、ジメトキシ
エトキシナトリウムアルミニウムヒドリド(NaAlH
2(OCH2 CH2 OCH3)2)などのアート錯体、n−ブ
トキシカリウムなどのアルコキシド、p−ビニルベンジ
ルマグネシウムクロリドなどの官能基含有金属化合物な
どの中から、使用するモノマーの種類に応じて適宜選ば
れる。例えばモノマーとしてエチレンを用いる場合に
は、アルキル金属化合物に第三級ジアミン化合物を組合
わせたものが効果的である。また、多官能性開始剤とし
ては、ジビニルベンゼン,トリビニルベンゼンあるいは
α,ω非共役ジオレフィンとアルキルリチウムなどと炭
素−炭素二重結合との等モル反応物などが挙げられる。
【0010】これらのアニオン重合開始剤を用いて、前
記アニオン重合性モノマーをアニオン重合させるが、こ
の際溶媒は用いなくてもよいし、用いてもよい。溶媒を
使用する場合は、例えばペンタン,ヘキサン,ヘプタ
ン,オクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン,
シクロペンタンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン,トル
エンなどの芳香族炭化水素などの無極性溶媒が好ましく
用いられる。これらの溶媒は一種用いてもよいし、二以
上を混合して用いてもよい。アニオン重合の温度は、通
常−78〜200℃の範囲で使用するモノマーの種類に
応じて適宜選ばれる。例えばエチレンを用いる場合は3
0〜70℃の範囲で、ジエン類を用いる場合は0〜60
℃の範囲で、不飽和カルボン酸誘導体を用いる場合は−
78〜−20℃の範囲で選ぶのが有利である。さらに、
アニオン重合性モノマーは、アニオン重合開始剤に対
し、通常2モル倍以上の割合で用いられる。また、アニ
オン重合性モノマーとしてエチレンを用いる場合には、
その重合開始剤1モルに対し、1.5〜2.5モルの割合で
第三級ジアミン化合物を添加するのが触媒活性の向上の
点から望ましい。
【0011】このようにして、実質上重合体を生成させ
たのち、必要に応じて未反応アニオン重合性モノマー
を、通常の方法、例えばフラッシュ蒸留などの方法によ
り除去したのち、これに触媒の(a)成分として遷移金
属化合物を添加して、接触反応させる。但し、未反応の
アニオン重合性モノマーが、引き続き反応するスチレン
系モノマーと共重合してブロック鎖を形成する場合は、
該未反応アニオン重合性モノマーを除去する必要はな
い。上記(a)成分の遷移金属化合物としては様々なも
のがあるが、好ましくは一般式 M1 2 ・・・・・Rk ・・・(III) 〔式中、M1 はTi,Zr,Cr,V,Nb,Ta又は
Hfを示し、R2 〜Rkは、それぞれ水素原子,酸素原
子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基;炭素
数1〜20のアルコキシ基;炭素数6〜20のアリール
基;アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基;
炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリ
ル基,アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナ
ート基,ケイ素原子を含む置換基、あるいはカルボニ
ル,酸素分子,窒素分子,ルイス塩基,鎖状不飽和炭化
水素又は環状不飽和炭化水素などの配位子,シクロペン
タジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニ
ル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,
置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基又は置
換フルオレニル基を示す。また、kは金属の原子価を示
し、通常2〜5の整数を示す〕で表わされる化合物を挙
げることができる。
【0012】ここで、置換シクロペンタジエニル基とし
ては、例えば、メチルシクロペンタジエニル基,エチル
シクロペンタジエニル基,イソプロピルシクロペンタジ
エニル基,1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基,
テトラメチルシクロペンタジエニル基,1,3−ジメチ
ルシクロペンタジエニル基,1,2,3−トリメチルシ
クロペンタジエニル基,1,2,4−トリメチルシクロ
ペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル
基,トリメチルシリルシクロペンタジエニル基などが挙
げられる。また、R2 〜Rk の配位子は、配位子間で共
有結合によって架橋体を形成してもよい。ハロゲン原子
の具体例としては、フッ素原子,塩素原子,臭素原子,
ヨウ素原子;炭素数1〜20のアルキル基としては、メ
チル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル
基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基
など、炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキ
シ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,フェノ
キシ基など、炭素数6〜20のアリール基,アルキルア
リール基若しくはアリールアルキル基としては、フェニ
ル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基など、炭素数
1〜20のアシルオキシ基としては、ヘプタデシルカル
ボニルオキシ基など、ケイ素原子を含む置換基として
は、トリメチルシリル基,(トリメチルシリル)メチル
基など、ルイス塩基としては、ジメチルエーテル,ジエ
チルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル類、
テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エチル
ベンゾエートなどのエステル類、ベンゾニトリルなどの
ニトリル類、トリメチルアミン,トリエチルアミン,ト
リブチルアミン;N,N−ジメチルアニリン,ピリジ
ン;2,2’−ビピリジン,フェナントロリンなどのア
ミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィ
ンなどのホスフィン類など、鎖状不飽和炭化水素として
は、エチレン,ブタジエン,1−ペンテン,イソプレ
ン,ペンタジエン,1−ヘキセン及びこれらの誘導体な
ど、環状不飽和炭化水素としては、ベンゼン,トルエ
ン,キシレン,シクロヘプタトリエン,シクロオクタジ
エン,シクロオクタトリエン,シクロオクタテトラエン
及びこれらの誘導体などが挙げられる。共有結合による
架橋としては、例えば、メチレン架橋,ジメチルメチレ
ン架橋,エチレン架橋,ジメチルシリレン架橋,ジメチ
ルスタニレン架橋などが挙げられる。
【0013】チタニウム化合物の具体例としては、テト
ラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−n
−ブトキシチタン,テトライソプロポキシチタン,四塩
化チタン,三塩化チタン,二塩化チタン,水素化チタ
ン,シクロペンタジエニルトリメチルチタン,シクロペ
ンタジエニルトリエチルチタン,シクロペンタジエニル
トリプロピルチタン,シクロペンタジエニルトリブチル
チタン,メチルシクロペンタジエニルトリメチルチタ
ン,1,2−ジメチルシクロペンタジエニルトリメチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリメチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリエチル
チタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリプロピ
ルチタン,ペンタメチルシクロペンタジエニルトリブチ
ルチタン,シクロペンタジエニルメチルチタンジクロリ
ド,シクロペンタジエニルエチルチタンジクロリド,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルメチルチタンジクロリ
ド,ペンタメチルクシクロペンタジエニルエチルチタン
ジクロリド,シクロペンタジエニルジメチルチタンモノ
クロリド,シクロペンタジエニルジエチルチタンモノク
ロリド,シクロペンタジエニルチタントリメトキシド,
シクロペンタジエニルチタントリエトキシド,シクロペ
ンタジエニルチタントリプロポキシド,シクロペンタジ
エニルチタントリフェノキシド,ペンタメチルシクロペ
ンタジエニルチタントリメトキシド,ペンタメチルシク
ロペンタジエニルチタントリエトキシド,ペンタメチル
シクロペンタジエニルチタントリプロポキシド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルチタントリブトキシド,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルチタントリフェノキシ
ド,シクロペンタジエニルチタントリクロリド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルチタントリクロリド,シク
ロペンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シクロペ
ンタジエニルジメトキシチタンクロリド,ペンタメチル
シクロペンタジエニルメトキシチタンジクロリド,シク
ロペンタジエニルトリベンジルチタン,ペンタメチルシ
クロペンタジエニルメチルジエトキシチタン,インデニ
ルチタントリクロリド,インデニルチタントリメトキシ
ド,インデニルチタントリエトキシド,インデニルトリ
メチルチタン,インデニルトリベンジルチタンなどが挙
げられる。
【0014】また、一般式(111)で表わされる遷移金属
化合物のうち、M1 がジルコニウムであるジルコニウム
化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエニルジル
コニウムジクロリド,テトラブトキシジルコニウム,四
塩化ジルコニウム,テトラフェニルジルコニウム,シク
ロペンタジエニルジルコニウムトリメトキシド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリメトキシ
ド,シクロペンタジエニルトリベンジルジルコニウム,
ペンタメチルシクロペンタジエニルトリベンジルジルコ
ニウム,ビスインデニルジルコニウムジクロリド,ジル
コニウムジベンジルジクロリド,ジルコニウムテトラベ
ンジル,トリブトキシジルコニウムクロリド,トリイソ
プロポキシジルコニウムクロリド,(ペンタメチルシク
ロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタ
メチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウ
ム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロ
ルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメチル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリフェニル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリクロロル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)ジメチル(メ
トキシ)ジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニ
ル)トリメチルジルコニウム,(メチルシクロペンタジ
エニル)トリフェニルジルコニウム,(メチルシクロペ
ンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(メチルシ
クロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(メチ
ルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコ
ニウム,(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロ
ジルコニウム,(トリメチルシクロペンタジエニル)ト
リクロロジルコニウム,(トリメチルシリルシクロペン
タジエニル)トリメチルジルコニウム,(テトラメチル
シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,ビス
(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス
(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム,ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム,ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,
ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコニウ
ム,ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウ
ム,ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニ
ウム,ビス(シクロペンタジエニル)モノクロロモノヒ
ドリドジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)ジメチルジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタ
ジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(メチルシクロ
ペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペン
タメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウ
ム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロ
ロジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエ
ニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム,ビス
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチル
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)(ペンタメチ
ルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,エチ
レンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム,エチレ
ンビス(テトラヒドロインデニル)ジメチルジルコニウ
ム,エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジクロロ
ジルコニウム,ジメチルシリレンビス(シクロペンタジ
エニル)ジメチルジルコニウム,ジメチルシリレンビス
(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソ
プロピル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニ
ル)ジメチルジルコニウム,イソプロピル(シクロペン
タジエニル)(9−フルオレニル)ジクロロジルコニウ
ム,〔フェニル(メチル)メチレン〕(9−フルオレニ
ル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フ
ルオレニル)ジメチルジルコニウム,エチリデン(9−
フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジル
コニウム,シクロヘキシル(9−フルオレニル)(シク
ロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,シクロペン
シル(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジ
メチルジルコニウム,シクロブチル(9−フルオレニ
ル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,
ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(シクロペンタ
ジエニル)ジメチルジルコニウム,ジメチルシリレンビ
ス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジ
クロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(2,3,
5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコ
ニウムなどが挙げられる。
【0015】ハフニウム化合物の具体例としては、シク
ロペンタジエニルハフニウムトリメトキイシド,ペンタ
メチルシクロペンタジエニルハフニウムトリメトキイシ
ド,シクロペンタジエニルトリベンジルハフニウム,ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルトリベンジルハフニウ
ム,ビスインデニルハフニウムジクロリド,ハフニウム
ジベンジルジクロリド,ハフニウムテトラベンジル,ト
リブトキシハフニウムクロリド,トリイソプロポキシハ
フニウムクロリド,四塩化ハフニウム,ジシクロペンタ
ジエニルハフニウムジクロリド,テトラエトキシハフニ
ウムなどが挙げられる。バナジウムの具体例としては、
バナジウムトリクロリド,バナジルトリクロリド,バナ
ジウムトリアセチルアセトナート,バナジウムテトラク
ロリド,バナジウムトリブトキシド,バナジルジクロリ
ド,バナジルビスアセチルアセトナート,バナジルトリ
アセチルアセトナート,ジベンゼンバナジウム,ジシク
ロペンタジエニルバナジウム,ジシクロペンタジエニル
バナジウムジクロリド,シクロペンタジエニルバナジウ
ムジクロリド,ジシクロペンタジエニルメチルバナジウ
ムなどが挙げられる。ニオブ化合物の具体例としては、
五塩化ニオブ,テトラクロロメチルニオブ,ジクロロト
リメチルニオブ,ジシクロペンタジエニルニオブジクロ
リド,ジシクロペンタジエニルニオブトリヒドリド,ペ
ンタブトキシニオブなどが挙げられる。タンタル化合物
の具体例としては、五塩化タンタル,ジクロルトリメチ
ルタンタル,ジシクロペンタジエニルタンタルトリヒド
リド,ペンタブトキシニオブなどが、クロム化合物の具
体例としては、三塩化クロム,テトラブトキシクロム,
テトラメチルクロム,ジシクロペンタジエニルクロム,
ジベンゼンクロムなどが挙げられる。
【0016】さらに、その他の遷移金属化合物として、
上記遷移金属化合物をマグネシウム化合物やケイ素化合
物などの担体に担持したものを用いることができ、また
上記遷移化合物を電子供与性化合物で変性したものも用
いることができる。これらの遷移金属化合物の中でも特
に好ましいものは、チタニウム化合物及びジルコニウム
化合物である。これらの遷移金属化合物の使用量は、通
常前記アニオン重合開始剤1モルに対して、0.5〜10
0モル、好ましくは0.5〜30モル、より好ましくは0.
8〜2モルの範囲で選ばれる。また、この遷移金属化合
物と接触反応させる際の温度は、通常−78〜100
℃、好ましくは−78〜80℃の範囲で選ばれ、また、
接触時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜1時
間程度である。本発明において、このようにして遷移金
属化合物を添加して接触反応させたのち、触媒として
(b)アルミノキサン(c)該遷移金属化合物と反応し
て、イオン性錯体を形成しうる化合物の存在下に、前記
一般式(II)で表わされるスチレン系モノマーをブロッ
ク共重合させる。
【0017】該一般式(II)で表わされるスチレン系モ
ノマーとしては、例えば、スチレン;p−メチルスチレ
ン;o−メチルスチレン;m−メチルスチレン;2,4
−ジメチルスチレン;2,5−ジメチルスチレン;3,
4−ジメチルスチレン;3,5−ジメチルスチレン;p
−ターシャリーブチルスチレンなどのアルキルスチレ
ン、p−クロロスチレン;m−クロロスチレン;o−ク
ロロスチレン;p−ブロモスチレン;m−ブロモスチレ
ン;o−ブロモスチレン;p−フルオロスチレン;m−
フルオロスチレン;o−フルオロスチレン;o−メチル
−p−フルオロスチレンなどのハロゲン化スチレン、4
−ビニルビフェニル;3−ビニルビフェニル;2−ビニ
ルビフェニルなどのビニルビフェニル類、1−(4−ビ
ニルフェニル)−ナフタレン;2−(4−ビニルフェニ
ル)−ナフタレン;1−(3−ビニルフェニル)−ナフ
タレン;2−(3−ビニルフェニル)−ナフタレン;1
−(2−ビニルフェニル)−ナフタレン;2−(2−ビ
ニルフェニル)ナフタレンなどのビニルフェニルナフタ
レン類、1−(4−ビニルフェニル)−アントラセン;
2−(4−ビニルフェニル)−アントラセン;9−(4
−ビニルフェニル)−アントラセン;1−(3−ビニル
フェニル)−アントラセン;2−(3−ビニルフェニ
ル)−アントラセン;9−(3−ビニルフェニル)−ア
ントラセン;1−(2−ビニルフェニル)−アントラセ
ン;2−(2−ビニルフェニル)−アントラセン;9−
(2−ビニルフェニル)−アントラセンなどのビニルフ
ェニルアントラセン類、1−(4−ビニルフェニル)−
フェナントレン;2−(4−ビニルフェニル)−フェナ
ントレン;3−(4−ビニルフェニル)−フェナントレ
ン;4−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;9
−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン;1−(3
−ビニルフェニル)−フェナントレン;2−(3−ビニ
ルフェニル)−フェナントレン;3−(3−ビニルフェ
ニル)−フェナントレン;4−(3−ビニルフェニル)
−フェナントレン;9−(3−ビニルフェニル)−フェ
ナントレン;1−(2−ビニルフェニル)−フェナント
レン;2−(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;
3−(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;4−
(2−ビニルフェニル)−フェナントレン;9−(2−
ビニルフェニル)−フェナントレンなどのビニルフェニ
ルフェナントレン類、1−(4−ビニルフェニル)−ピ
レン;2−(4−ビニルフェニル)−ピレン;1−(3
−ビニルフェニル)−ピレン;2−(3−ビニルフェニ
ル)−ピレン;1−(2−ビニルフェニル)−ピレン;
2−(2−ビニルフェニル)−ピレンなどのビニルフェ
ニルピレン類、4−ビニル−p−ターフェニル;4−ビ
ニル−m−ターフェニル;4−ビニル−o−ターフェニ
ル;3−ビニル−p−ターフェニル;3−ビニル−m−
ターフェニル;3−ビニル−o−ターフェニル;2−ビ
ニル−p−ターフェニル;2−ビニル−m−ターフェニ
ル;2−ビニル−o−ターフェニルなどのビニルターフ
ェニル類、4−(4−ビニルフェニル)−p−ターフェ
ニルなどのビニルフェニルターフェニル類、4−ビニル
−4’−メチルビフェニル;4−ビニル−3’−メチル
ビフェニル;4−ビニル−2’−メチルビフェニル;2
−メチル−4−ビニルビフェニル;3−メチル−4−ビ
ニルビフェニルなどのビニルアルキルビフェニル類、4
−ビニル−4’−フルオロビフェニル;4−ビニル−
3’−フルオロビフェニル;4−ビニル−2’−フルオ
ロビフェニル;4−ビニル−2−フルオロビフェニル;
4−ビニル−3−フルオロビフェニル;4−ビニル−
4’−クロロビフェニル;4−ビニル−3’−クロロビ
フェニル;4−ビニル−2’−クロロビフェニル;4−
ビニル−2−クロロビフェニル;4−ビニル−3−クロ
ロビフェニル;4−ビニル−4’−ブロモビフェニル;
4−ビニル−3’−ブロモビフェニル;4−ビニル−
2’−ブロモビフェニル;4−ビニル−2−ブロモビフ
ェニル;4−ビニル−3−ブロモビフェニルなどのハロ
ゲン化ビニルビフェニル類、4−ビニル−4’−トリメ
チルシリルビフェニルなどのトリアルキルシリルビニル
ビフェニル類、4−ビニル−4’−トリメチルスタンニ
ルビフェニル;4−ビニル−4’−トリブチルスタンニ
ルビフェニルなどのトリアルキルスタンニルビニルビフ
ェニル類、4−ビニル−4’−トリメチルシリルメチル
ビフェニルなどのトリアルキルシリルメチルビニルビフ
ェニル類、4−ビニル−4’−トリメチルスタンニルメ
チルビフェニル;4−ビニル−4’−トリブチルスタン
ニルメチルビフェニルなどのトリアルキルスタンニルメ
チルビニルビフェニル類、p−クロロエチルスチレン;
m−クロロエチルスチレン;o−クロロエチルスチレン
などのハロゲン置換アルキルスチレン、p−トリメチル
シリルスチレン;m−トリメチルシリルスチレン;o−
トリメチルシリルスチレン;p−トリエチルシリルスチ
レン;m−トリエチルシリルスチレン;o−トリエチル
シリルスチレン;p−ジメチルターシャリ−ブチルシリ
ルスチレンなどのアルキルシリルスチレン類、p−ジメ
チルフェニルシリルスチレン;p−メチルジフェニルシ
リルスチレン;p−トリフェニルシリルスチレンなどの
フェニル基含有シリルスチレン類、p−ジメチルクロロ
シリルスチレン;p−メチルジクロロシリルスチレン;
p−トリクロロシリルスチレン;p−ジメチルブロモシ
リルスチレン;p−ジメチルヨードシリルスチレンなど
のハロゲン含有シリルスチレン類、p−(p−トリメチ
ルシリル)ジメチルシリルスチレンなどのシリル基含有
シリルスチレン類などが挙げられる。これらのスチレン
系モノマーはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上
を組合わせて用いてもよい。また、(b)触媒成分とし
て用いられるアルミノキサンは、有機アルミニウム化合
物と縮合剤を接触させることにより得られるものであっ
て、一般式(IV)
【0018】
【化5】
【0019】〔式中、R3 は炭素数1〜20のアルキル
基、好ましくはメチル基を示し、pは0〜50、好まし
くは5〜30の数を示す。〕で表わされる鎖状アルミノ
キサンや、一般式(V)
【0020】
【化6】
【0021】〔式中、R3 は上記と同じであり、qは2
〜50、好ましくは5〜30の数を示す。〕で表わされ
る環状アルミノキサンなどがある。該有機アルミニウム
化合物としては、例えばトリメチルアルミニウム,トリ
エチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウムなど
のトリアルキルアルミニウムなどが挙げられるが、これ
らの中でトリメチルアルミニウムが好適である。また、
縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられる
が、この他にトリアルキルアルミニウムが縮合反応する
任意のもの、例えば硫酸銅5水塩,無機物や有機物への
吸着水など、各種のものが挙げられる。
【0022】一般に、トリアルキルアルミニウムなどの
有機アルミニウム化合物と水との接触生成物は、上述の
鎖状アルキルアルミノキサンや環状アルキルアルミノキ
サンとともに、未反応のトリアルキルアルミニウム,各
種の縮合生成物の混合物、さらには、これらが複雑に会
合した分子であり、これらはトリアルキルアルミニウム
と縮合剤である水との接触条件によって様々な生成物と
なる。この際のアルキルアルミニウム化合物と水との接
触方法には特に限定はなく、公知の手法に準じて反応さ
せればよい。例えば、有機アルミニウム化合物を有機
溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、重
合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に
水を添加する方法、さらには金属塩などに含有されて
いる結晶水,無機物や有機物への吸着水を有機アルミニ
ウム化合物と反応させる方法などがある。なお、上記の
水にはアンモニア,エチルアミンなどのアミン、硫化水
素などの硫黄化合物,亜燐酸エステルなどの燐化合物な
どが20%程度まで含有されていてもよい。また、この
反応は無溶媒下でも進行するが、溶媒中で行なうことが
好ましく、好適な溶媒としては、ヘキサン,ヘプタン,
デカン等の脂肪族炭化水素あるいはベンゼン,トルエ
ン,キシレンなどの芳香族炭化水素を挙げることができ
る。
【0023】このアルミノキサン(例えばアルキルアル
ミノキサン)は、上記の接触反応後、含水化合物などを
使用した場合には、固体残渣を濾別し、濾液を常圧下あ
るいは減圧下で30〜200℃の温度、好ましくは40
〜150℃の温度で、20分〜8時間、好ましくは30
分〜5時間の範囲で溶媒を留去しつつ熱処理したものが
好ましい。この熱処理にあたっては、温度は各種の状況
によって適宜定めればよいが、通常は、上記範囲で行
う。一般に、30℃未満の温度では、効果が発現せず、
また200℃を超えるとアルキルアルミノキサン自体の
熱分解が起こり、いずれも好ましくない。そして、熱処
理の処理条件により反応生成物は、無色の固体又は溶液
状態で得られる。このようにして得られた生成物を、必
要に応じて炭化水素溶媒で溶解あるいは希釈して触媒溶
液として使用することができる。
【0024】このような触媒成分として用いる有機アル
ミニウム化合物と縮合剤との接触生成物であるアルミノ
キサン、特にアルキルアルミノキサンの好適な例は、プ
ロトン核磁気共鳴スペクトルで観測されるアルミニウム
−メチル基(Al−CH3 )結合に基づくメチルプロト
ンシグナル領域における高磁場成分が50%以下のもの
である。つまり、上記の接触生成物を室温下、トルエン
溶媒中でそのプロトン核磁気共鳴( 1H−NMR)スペ
クトルを観測すると、「Al−CH3 」に基づくメチル
プロトンシグナルはテトラメチルシラン(TMS)基準
において1.0〜−0.5ppmの範囲に見られる。TMS
のプロトンシグナル(0ppm)が「Al−CH3 」に
基づくメチルプロトン観測領域にあるため、この「Al
−CH3」に基づくメチルプロトンシグナルを、TMS
基準におけるトルエンのメチルプロトンシグナル2.35
ppmを基準に測定し高磁場成分(即ち、−0.1〜−0.
5ppm)と他の磁場成分(即ち、1.0〜−0.1pp
m)とに分けたときに、該高磁場成分が全体の50%以
下、好ましくは45〜5%のものが触媒成分として好適
に使用できる。
【0025】また、(c)触媒成分として用いられる該
遷移金属化合物と反応してイオン性錯体を形成しうる化
合物については特に制限はないが、カチオンと複数の基
が元素に結合したアニオンとからなる化合物、すなわち
化合物(c)が周期律表のIIIB族,IVB族,VB族,VIB
族,VIIB族,VIII族,IA族,IB族,IIA 族,IIB 族,IV
A 族及びVIIA族から選ばれる元素を含むカチオンと複数
の基が周期律表のVB族,VIB 族,VIIB族,VIII族,IB
族,IIB 族,IIIA族,IVA 族及びVA族から選ばれる元素
に結合したアニオンとからなる化合物、特にカチオンと
複数の基が元素に結合したアオニンとからなる配位錯化
合物を好適に用いることができる。例えば一般式(VI)又
は(VII) (〔L1 −R4 U+V (M2 1 2 ・・・Ze (e-f)-W ・・・(VI) 又は (〔L2 U+V (M3 1 2 ・・・Ze (e-f)-W ・・・(VII) (但し、L2 はM4 ,R5 6 5 ,R7 3C又はR8
5 である)〔式中、L1 はルイス塩基、M2 及びM3
それぞれ周期律表のVB 族,VIB 族,VIIB族,VIII族,
IB 族,IIB 族,IIIA族,IVA 族及びV族から選ばれる
元素、M4 及びM5 はそれぞれ周期律表のIIIB族,IV
族,V族,VIB 族,VIIB族,VIII族,I族,IB 族,II
A 族,IIB 族及びVIIA族から選ばれる元素、Z1 〜Ze
化はそれぞれ水素原子,ジアルキルアミノ基,アルコキ
シ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20
のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアルキル基,炭
素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基,アリ
ールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水
素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイ
ド基又はハロゲン原子を示し、Z1 〜Ze ははその2以
上が互いに結合して環を形成していてもよい。R4 は水
素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20
のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキ
ル基を示し、R5 及びR6 はそれぞれシクロペンタジエ
ニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又
はフルオレニル基、R7 は炭素数1〜20のアルキル
基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアル
キル基を示す。R8 はテトラフェニルポルフィリン,フ
タロシアニンなどの大環状配位子を示す。fはM 2 ,M
3 の原子価で1〜7の整数、eは2〜8の整数、uは
〔L1 −R4 〕,〔L2 〕のイオン価数で1〜7の整
数、vは1以上の整数、w=(v×u)/(e−f)で
ある。〕で表わされる化合物である。
【0026】ここで、上記L1 で示されるルイス塩基の
具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリ
ン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニ
リン,ジフェニルアミン,トリメチルアミン,トリエチ
ルアミン,トリ−n−ブチルアミン,N,N−ジメチル
アニリン,メチルジフェニルアミン,ピリジン;2,
2’−ビピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニ
リン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン,フェナ
ントロリンなどのアミン類、トリエチルフォスフィン,
トリフェニルフォスフィン,ジフェニルフォスフィンな
どのフォスフィン類、ジメチルエーテル,ジエチルエー
テル,テトラヒドロフランジオキサンなどのエーテル
類、ジエチルチオエーテル,テトラヒドロチオフェンな
どのチオエーテル類、エチルベンゾエートなどのエステ
ル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル
類などが挙げられる。
【0027】また、M2 及びM3 の具体例としては、
B,Al,Si,P,As,Sbなど、M4 の具体例と
しては、Li,Na,Ag,Cu,Br,I,I3
ど、M5の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,
Znなどが挙げられる。Z1 〜Z e の具体例としては、
例えば、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,
ジエチルアミノ基;炭素数1〜20のアルコキシ基とし
てメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基、炭素数6
〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6
−ジメチルフェノキシ基,ナフチルオキシ基、炭素数1
〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プ
ロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,n−オ
クチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数6〜20のア
リール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキ
ル基としてフェニル基,p−トリル基,ベンジル基,ペ
ンタフルオロフェニル基,3,5−ジ(トリフルオロメ
チル)フェニル基,4−ターシャリーブチルフェニル
基,2,6−ジメチルフェニル基,3,5−ジメチルフ
ェニル基,2,4−ジメチルフェニル基,2,3−ジメ
チルフェニル基,1,2−ジメチルフェニル基、炭素数
1〜20のハロゲン置換炭化水素基としてp−フルオロ
フェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタク
ロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル
基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ジ(トリフル
オロメチル)フェニル基、ハロゲン原子としてF,C
l,Br,I、有機メタロイド基として五メチルアンチ
モン基,トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,
ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン
基,ジフェニル硼素基が挙げられる。R4 ,R7 の具体
例としては先に挙げたものと同様なものが挙げられる。
5 及びR6 の置換シクロペンタジエニル基の具体例と
しては、メチルシクロペンタジエニル基,ブチルシクロ
ペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル
基などのアルキル基で置換されたものが挙げられる。こ
こで、アルキル基は通常炭素数が1〜6であり、置換さ
れたアルキル基の数は1〜4の整数で選ぶことができ
る。
【0028】上記一般式(VI),(VII) の化合物の中で
は、M2 ,M3 が硼素であるものが好ましい。一般式
(VI) ,(VII) の化合物の中で、具体的には、下記のも
のを特に好適に使用できる。例えば、一般式(VI) の化
合物としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリ(n−ブチル)アンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テ
トラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフ
ェニル硼酸メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム,テ
トラフェニル硼酸ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸メチルトリフェニルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テ
トラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル
硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル
(2−シアノピリジニウム),テトラフェニル硼酸トリ
メチルスルホニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルメチ
ルスルホニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
酸トリエチルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム,テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニ
ウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラブ
チルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)
硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸〔メチルトリ(n−ブチル)アンモニ
ウム〕,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸〔ベン
ジルトリ(n−ブチル)アンモニウム〕,テトラ(ペン
タフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウ
ム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルトリ
フェニルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム,テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テト
ラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウ
ム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチル
アニリニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
ジメチル(m−ニトロアニリニウム),テトラ(ペンタ
フルオロフェニルメチル)硼酸ジメチル(p−ブロモア
ニリニウム),テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
ピリジニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(p−シアノピリジニウム),テトラ(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸(N−メチルピリジニウム),テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N−ベンジルピリジ
ニウム),テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸(O
−シアノ−N−メチルピリジニウム),テトラ(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−メチルピリ
ジニウム),テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(p−シアノ−N−ベンジルピリジニウム),テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルスルホニウ
ム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルジ
メチルスルホニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸テトラフェルホスホニウム,テトラ(3,5−
ジトリフルオロメチルフェニル)硼酸ジメチルアニリニ
ウム,ヘキサフルオロ砒素酸トリエチルアンモニウムト
ウなどが挙げられる。
【0029】一方、一般式(VII)の化合物としては、テ
トラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸
銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸
(テトラフェニルポルフィリンマンガン),テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニ
ウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸アセチル
フェロセニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
酸ホルミルフェロセニウム,テトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸シアノフェロセニウム,テトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸銀,テトラ(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸トリチル,テトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸リチウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)
硼酸ナトリウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
酸(テトラフェニルポルフィリンマンガン),テトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポル
フィリン鉄クロライド),テトラ(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリン亜鉛),テト
ラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,ヘキサフ
ルオロアンチモン酸銀などが挙げられる。そして、一般
式(VI) ,(VII) 以外の化合物としては、例えば、トリ
(ペンタフルオロフェニル)硼酸,トリ〔3,5−ジ
(トリフルオロメチル)フェニル〕硼酸,トリフェニル
硼酸なども使用することができる。
【0030】本発明においては、前記(b)触媒成分又
は(c)触媒成分とともに、所望により(d)成分とし
て有機金属化合物を併用することができる。この所望に
より併用される(d)有機金属化合物としては、一般式 M6 (R9)r ・・・(VIII) で表わされる化合物が用いられる。この一般式(VIII)
において、R9 は、炭素数1〜20のアルキル基,炭素
数2〜20のアルケニル基,炭素数3〜20のシクロア
ルキル基,炭素数6〜20のアリール基あるいは炭素数
7〜20のアラルキル基を示す。具体的には、例えば、
メチル基,エチル基,n−プロピル基,i−プロピル
基,n−ブチル基,i−ブチル基,ヘキシル基,2−エ
チルヘキシル基,フェニル基などが挙げられる。そし
て、M6 はリチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシ
ウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,ホウ素,ガリ
ウム,ケイ素あるいはスズを示す。また、r はM6 の原
子価を表わす。一般式(VIII)で表わされる化合物とし
ては、様々なものがある。具体的には、メチルリチウ
ム,エチルリチウム,プロピルリチウム,ブチルリチウ
ムなどのアルキルリチウム化合物、ジエチルマグネシウ
ム,エチルブチルマグネシウム,ジノルマルブチルマグ
ネシウムなどのアルキルマグネシウム化合物、ジメチル
亜鉛,ジエチル亜鉛,ジプロピル亜鉛,ジブチル亜鉛な
どのジアルキル亜鉛化合物、トリメチルガリウム,トリ
エチルガリウム,トリプロピルガリウムなどのアルキル
ガリウム化合物,トリエチルホウ素,トリプロピルホウ
素,トリブチルホウ素などのアルキルホウ素化合物、テ
トラエチルスズ,テトラプロピルスズ,テトラフェニル
スズなどのアルキルスズ化合物などが挙げられる。ま
た、M6 が、アルミニウムである場合の化合物として
は、様々なものがある。具体的には、トリメチルアルミ
ニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルア
ルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリn−ヘ
キシルアルミニウム,トリオクチルアルミニウムなどの
トリアルキルアルミニウム化合物などが挙げられる。
【0031】前記触媒における各成分の使用割合につい
ては特に制限はないが、触媒として(b)成分を用いる
場合には、(a)成分と(b)成分とのモル比が1:2
0〜1:10000、好ましくは1:100〜1:20
00になるように(b)成分を用いるのがよい。一方、
(c)成分を用いる場合には、(a)成分と(c)成分
とのモル比が1:0.01〜1:100、好ましくは1:
1〜1:10になるように(c)成分を用いるのがよ
い。また、所望に応じて用いられる(d)成分の使用量
は、該(a)成分1モルに対して、通常0〜100モル
の範囲で選ばれる。この(d)成分を用いることによ
り、重合活性の向上を図ることができるが、あまり多く
用いても添加量に相当する効果は発現しない。なお、こ
の(d)成分は、(a)成分,(c)成分あるいは
(a)成分と(c)成分との接触処理物と接触させて用
いてもよい。この接触は、予め接触させてもよいし、重
合系内へ順次添加して接触させてもよい。また、スチレ
ン系モノマーと触媒との使用割合についてと特に制限は
ないが、通常スチレン系単量体/遷移金属化合物のモル
比が10〜109 、好ましくは102 〜107 の範囲に
あるように選ばれる。
【0032】なお、重合温度,重合時間,重合方法など
については適宜選定すればよいが、通常は0〜120
℃、好ましくは10〜80℃であり、重合時間は1秒〜
10時間の範囲で選定すればよい。重合方法としては塊
状,溶液,懸濁重合のいずれも可能である。また、溶液
重合にあっては、使用できる溶媒としてはペンタン,ヘ
キサン,ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサ
ンなどの脂環式炭化水素,ベンゼン,トルエン,キシレ
ンなどの芳香族炭化水素などがある。これらの中でも脂
肪族炭化水素,芳香族炭化水素が好ましい。この場合、
モノマー/溶媒(体積比)は任意に選択することができ
る。このようにして、一般式(I)で表わされる(A)
繰り返し単位からなる高度のシンジオタクチック構造を
有するスチレン系重合体セグメントと、(B)アニオン
重合性モノマーから誘導される繰り返し単位からなる重
合体セグメントとを有するスチレン系ブロック共重合体
が得られる。ここでいうシンジオタクチック構造とは、
立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭
素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル
基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構
造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体
炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量
される。13C−NMR法により測定されるタクティシテ
ィーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば
2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリアッド,5
個の場合はペンタッドによって示すことができる。本発
明に言う高度のシンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系重合体とは、スチレン系繰返し単位の連鎖におい
て、好ましくはラセミダイアッドで75%以上、より好
ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで好ま
しくは30%以上、より好ましくは50%以上のシンジ
オタクティシティーを有するものを示す。しかしなが
ら、置換基の種類などによってシンジオタクティシティ
ーの度合いは若干変動する。
【0033】該スチレン系ブロック共重合体は、前記
(A)繰り返し単位を0.05〜99.5モル%の割合で含
有し、かつその分子量は1,2,4−トリクロロベンゼ
ン中、135℃の温度で測定した0.05g/デシリット
ルの濃度での還元粘度が0.01〜20デシリットル/g
の範囲にあることが望まれる。この還元粘度が0.01デ
シリットル/g未満では重合体としての物性が十分に発
現されないし、20デシリットル/gを超えると成形加
工性に劣るようになる。このスチレン系ブロック共重合
体は、通常(A)繰り返し単位と(B)繰り返し単位の
配列が、(A)−(B)のジブロック重合体若しくは
(A)−(B)−(A)のトリブロック重合体又はこれ
らの混合物である。本発明においては、また、前記のス
チレン系ブロック共重合体を部分水添又は完全水添して
なる水添ブロック共重合体をも提供する。この部分水添
又は完全水添する方法については特に制限はなく、従来
芳香環の水素化において慣用されている方法を用いるこ
とができる。具体的には、適当な溶媒、好ましくは脂環
式炭化水素溶媒に該スチレン系ブロック共重合体を溶解
し、この溶液にラネーニッケルや、カーボンに担持した
パラジウム,ルテニウム,白金などの水素化触媒を加
え、このスラリーを水素の加圧下に加熱する方法などを
用いることができる。水素化の温度は通常50〜300
℃,水素圧力は通常、常圧ないし200kg/cm2
の範囲で選ばれる。このようにして得られた水添ブロッ
ク共重合体は、部分又は完全水添された前記(A)繰り
返し単位の立体規則性が高度のシンジオタクチック構造
を有している。また、該繰り返し単位の含有量が0.05
〜99.5モル%の範囲にあり、かつ1,2,4−トリク
ロロベンゼン中、135℃の温度で測定した0.05g/
デシリットルの濃度での還元粘度が0.01〜20デシリ
ットル/gの範囲にあるものが望ましい。この水添ブロ
ック共重合体は、未水添の前記スチレン系ブロック共重
合体に比べて耐溶剤性,耐候性,耐熱性などが著しく向
上している。
【0034】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1 (1)メチルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、トルエン200ミリリットル,硫酸銅5水塩
(CuSO4 ・5H2 O)17.7g( 71ミリモル)及
びトリメチルアルミニウム24ミリリットル(250ミ
リモル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、
固体成分を除去して得られた溶液から、さらにトルエン
を減圧留去して接触処理物(メチルアルミノキサン)6.
7gを得た。このものの凝固点降下法により測定した分
子量は610であった。また、特開昭62−32539
1号公報に基づく 1H−NMR測定による高磁場成分、
すなわち室温下トルエン溶液中でそのプロトン核磁気共
鳴スペクトルを観測すると(Al−CH3 ) 結合に基づ
くメチルプロトンシグナルはテトラメチルシラン基準に
おいて1.0〜−0.5ppmの範囲にみられる。テトラメ
チルシランのプロトンシグナルは(0ppm)がAl−
CH3 結合に基づくメチルプロトンに基づく観測領域に
あるため、このAl−CH3 結合に基づくメチルプロト
ンシグナルをテトラメチルシラン基準におけるトルエン
のメチルプロトンシグナル2.35ppmを基準にして測
定し、高磁場成分(即ち、−0.1〜−0.5ppm)と他
の磁場成分(即ち、1.0〜−0.1ppm)とに分けたと
きに、該高磁場成分が全体の43%であった。
【0035】(2)ブロック前駆体(ポリブタジエン)
の製造 十分に乾燥した200ミリリットルフラスコを乾燥窒素
で置換後、これにトルエン50ミリリットル,n−ブチ
ルリチウム2.0ミリモルを仕込み、30℃に昇温したの
ち、ジビニルベンゼン(m体39.0wt%,p体11.0
wt%)のm体,p体合わせて1.0ミリモルをトルエン
で希釈して20ミリリットルとし、20分間を要して滴
下した。滴下終了後、15分間反応した。次いで、これ
に、モレキュラーシーブ(4A)で十分乾燥した1,3
−ブタジエンを常圧流通で先の反応系へ導入し、30℃
で4時間30分アニオン重合を行った。その後、これ
に、ペンタメチルシクロベンタジエニルトリメトキシチ
タニウム〔Cp* Ti(OMe)3〕2.0ミリモルを添加
して50分間反応した。この間、1,3−ブタジエンの
導入を停止し、代わりに窒素を導入して未反応の1,3
−ブタジエンを系外へ放出した。
【0036】(3)ブロック共重合体の製造 この重合物10ミリリットルを、予め用意したアルミノ
キサン20ミリモルを含むスチレン20ミリリットルの
溶液に投入し、70℃で2時間接触反応を行った。反応
終了後、反応混合物を多量のメタノールへ投入し、十分
に脱灰洗浄して白色パウダー状ポリマー2.80gを得
た。得られた重合体がブロック共重合体であることを以
下に証明する。まず、少なくとも1,3−ブタジエンの
単独重合体を含まない共重合体を分離するために、上記
ブロック前駆体(1,3−ブタジエン単独重合体)を完
全に溶解する四塩化炭素を用いて抽出分別を行った。得
られた溶媒不溶部は82wt%であり、1,3−ブタジ
エン単位含有量は 1H−NMR解析の結果、18.7wt
%であった。このものの融点は 256.5℃であった。な
お融点は、セイコー電子社製,DSC−200型を用
い、窒素雰囲気下、下記のプロファイルに従い、(4)
で観察される値を測定して求めた。 (1)30〜305℃ 20℃/分(昇温) (2)305℃ 5分間保持 (3)305〜30℃ 7℃/分 (降温) (4)30〜300℃ 20℃/分(昇温) さらに、次に示す条件で、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)に示差屈折計を検出器として装
着して測定を行った。 装置 :ウォーターズ ALC/GPC 150C カラム:TSK HM+GMH6×2 溶媒 :TCB(1,2,4−トリクロロベンゼン) 温度 :135℃ その結果、スチレンサイドにのみ感度を有する単分散の
分布のパターンを示した。スチレン換算の重量平均分子
量Mwは89500,Mw/Mnは2.6であった。ま
た、13C−NMRにより、スチレン連鎖のフェニルC1
の吸収位置は 145.2ppmであり、極めて良好なシン
ジオタクティシティーを示した。以上の分析結果より、
1,3−ブタジエン連鎖と高度のシンジオタクチック構
造を有するスチレン連鎖とが化学結合したトリブロック
共重合体であることが判明した。
【0037】実施例2 実施例1(2)において、トルエン80ミリリットルを
用い、かつジビニルベンゼンを用いず、n−ブチルリチ
ウム1.0ミリモル及び1,3−ブタジエンに代えてスチ
レン30ミリリットルを用い、20℃で140分間反応
させた。次いで、これにシクロペンタジエニルチタニウ
ムトリクロリド(CpTiCl 3)1.0ミリモルを投入し
て15分間反応させた。その後、予め用意したトルエン
30ミリリットル,スチレン30ミリリットル,アルミ
ノキサン20ミリモルを含む溶液に、上記重合物12.5
ミリリットルを添加し、50℃で7分間共重合を行っ
た。得られた共重合体は2.8gであった。この共重合体
について、実施例1(3)と同様の方法で解析を行っ
た。
【0038】上記ブロック前駆体(ポリスチレン)を完
全に溶解するアセトン/クロロホルム(80/20体積
比)混合溶媒で十分に抽出分別を行った。この溶媒不溶
部は72wt%であった。また、このものの融点は 25
9.3℃であり、GPCより求めた重量平均分子量は54
900、Mw/Mnは2.07であった。さらに、13C−
NMRにより、スチレン連鎖のフェニルC1は 145.2
ppmに観測され、それより近磁場側にアタクチックポ
リスチレンに認められる吸収が存在した。一方、 1H−
NMRにより、ポリスチレンの主鎖のメチン,メチレン
のプロトンに相当する領域に、シンジオタクチックポリ
スチレンとアタクチックポリスチレンの両者が存在する
ことを確認した。このもののアタクチックポリスチレン
の含有量は12wt%であった。
【0039】実施例3 (1)テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリn−
ブチルアンモニウムの調製 プロモペンタフルオロベンゼン(152ミリモル)とブ
チルリチウム(152ミリモル)より調製したペンタフ
ルオロフェニルリチウムを45ミリモルの三塩化ホウ素
とヘキサン中で反応させて、トリ(ペンタフルオロフェ
ニル)硼素を白色固体として得た。このトリ(ペンタフ
ルオロフェニル)硼素41ミリモルとペンタフルオロフ
ェニルリチウム41ミリモルとを反応させ、リチウムテ
トラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸を白色固体として
得た。次いで、リチウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸16ミリモルとトリn−ブチルアンモニウム塩
酸塩16ミリモルとを水中で反応させて、テトラ(ペン
タフルオロフェニル)硼酸トリn−ブチルアンモニウム
を白色固体として12.8ミリモルを得ることができた。 (2)1,3−ブタジエンとのブロック共重合体の製造 実施例1−(2)において、Cp* Ti(OMe)3を添
加して20分間反応させて得られた重合物10ミリリッ
トルを予め用意した、スチレン100ミリリットル,ト
リイソブチルアルミニウム(TIBA)1ミリモル、上
記(1)で調製したテトラ(ペンタフルオロフェニル)
硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム0.1ミリモルを含む
溶液に添加し、70℃で4時間共重合した。ブロック共
重合体の収量は3.2gであった。
【0040】実施例4 実施例1で得られたブロック共重合体を、デカヒドロナ
フタレン溶媒中、温度140℃,該重合体濃度2wt
%,水素分圧30kg/cm2 G,カーボン担持ルテニ
ウム触媒(Ru含有量5wt%)濃度4wt%,反応時
間6時間の条件下にて水素添加した。次いで、得られた
重合体を反応溶液より単離した。このもののNMRスペ
クトル及びIRスペクトルには、ベンゼン環,ブタジエ
ンに基づく吸収は認められなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明のスチレン系ブロック共重合体
は、高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系
重合体セグメントと、アニオン重合性モノマーの重合体
セグメントとからなるものであって、高性能耐熱エラス
トマーとして、あるいはポリマーアロイや高耐衝撃材料
などの素材として好適に用いられる。また、本発明の方
法によると、前記スチレン系ブロック共重合体、特に両
末端に高度のシンジオタクチック構造をもつスチレン系
重合体のセグメントを有する高性能のトリブロック共重
合体を容易に製造することができる。さらに、本発明の
前記スチレン系ブロック共重合体の部分又は完全水素添
加物は、耐溶剤性,耐候性,耐熱性などに著しく優れて
いる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−130114(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 297/00 - 297/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式 【化1】 〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子あるいは炭素原
    子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか一種以上を含む
    置換基を示し、mは1〜5の整数であり、mが複数の場
    合、各R1 は同一でも異なるものであってもよく、また
    1 はベンゼン環とともに縮合環を形成していてもよ
    い。〕 で表わされる繰り返し単位と、(B)Q(共鳴因子)値
    が0.2以上で、かつe(極性因子)値が−1.50以上の
    共役性モノマーからなるアニオン重合性モノマーから誘
    導される繰り返し単位とを含有し、かつ(A)繰り返し
    単位の立体規則性が高度のシンジオタクチック構造を有
    するスチレン系ブロック共重合体。
  2. 【請求項2】 (A)繰り返し単位の含有量が0.05〜
    99.5モル%の範囲にあり、かつ1,2,4−トリクロ
    ロベンゼン中、135℃の温度で測定した0.05g/デ
    シリットルの濃度での還元粘度が0.01〜20デシリッ
    トル/gである請求項1記載のスチレン系ブロック共重
    合体。
  3. 【請求項3】 (A)繰り返し単位と(B)繰り返し単
    位の配列が(A)−(B)若しくは(A)−(B)−
    (A)又はその両方の混合物である請求項1又は2記載
    のスチレン系ブロック共重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3記載のスチレン系ブ
    ロック共重合体を部分水添又は完全水添してなるブロッ
    ク共重合体。
  5. 【請求項5】 部分又は完全水添された(A)繰り返し
    単位の立体規則性が高度のシンジオタクチック構造を有
    するとともに、その含有量が0.05〜99.5モル%の範
    囲にあり、かつ、1,2,4−トリクロロベンゼン中、
    135℃の温度で測定した0.05g/デシリットルの濃
    度での還元粘度が0.01〜20デシリットル/gである
    請求項4記載のブロック共重合体。
  6. 【請求項6】 一官能性又は多官能性アニオン重合開始
    剤の存在下、Q(共鳴因子)値が0.2以上で、かつe
    (極性因子)値が−1.50以上の共役性モノマーからな
    アニオン重合性モノマーを重合させて、実質上、重合
    体を生成させたのち、(a)遷移金属化合物と接触反応
    させ、次いで、(b)アルミノキサン又は(c)該遷移
    金属化合物と反応して、イオン性錯体を形成しうる化合
    物の存在下に、一般式 【化2】 〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子あるいは炭素原
    子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか一種以上を含む
    置換基を示し、mは1〜5の整数であり、mが複数の場
    合、各R1 は同一でも異なるものであってもよく、また
    1 はベンゼン環とともに縮合環を形成していてもよ
    い。〕 で表わされるスチレン系モノマーとブロック共重合させ
    ることを特徴とする請求項1,2又は3記載のスチレン
    系ブロック共重合体の製造方法。
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