JP2966990B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2966990B2
JP2966990B2 JP33284291A JP33284291A JP2966990B2 JP 2966990 B2 JP2966990 B2 JP 2966990B2 JP 33284291 A JP33284291 A JP 33284291A JP 33284291 A JP33284291 A JP 33284291A JP 2966990 B2 JP2966990 B2 JP 2966990B2
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稔典 田崎
徳行 谷
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂組成物に関し、詳し
くは、耐溶剤性,耐加水分解性,剛性,耐熱性,耐熱水
性等にすぐれたスチレン系グラフト共重合体を含有する
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
らラジカル重合法等により製造されるスチレン系重合体
は、種々の成形法によって様々な形状のものに成形さ
れ、家庭電気器具,事務機器,家庭用品,包装容器,玩
具,家具,合成紙その他産業資材などとして幅広く用い
られているが、その立体構造がアタクチック構造を有し
ており、耐熱性,耐薬品性に劣るという欠点があった。
本発明者らのグループは、このようなアタクチック構造
のスチレン系重合体の欠点を解消したものとして、これ
までに高度のシンジオタクチック構造であるスチレン系
重合体の開発に成功し、さらにこのスチレン系モノマー
と他の成分を共重合したスチレン系共重合体をも開発し
た(特開昭62−104818号公報,同62−187
708号公報,同63−241009号公報)。これら
の重合体は、耐熱性,耐薬品性及び電気的特性に優れ、
多方面にわたる応用が期待されている。しかしながら、
上記重合体、特にシンジオタクチックポリスチレンは、
他の樹脂との相溶性が乏しく、また、金属等への接着性
がほとんどない。しかも、耐衝撃性が不充分であるとい
う問題がある。
【0003】ところで、特開平3−7705号公報や特
願平2−251360号明細書,同2−314327号
明細書および同3−89509号明細書には、オレフィ
ンとシンジオタクチックポリスチレンとの共重合体ある
いは不飽和カルボン酸エステル等とシンジオタクチック
ポリスチレンとの共重合体が開示されている。これらの
共重合体は、コモノマーの含量が低い場合には、結晶性
の高い共重合体が得られるが、コモノマー含量が増加す
ると、非晶性の重合体が生じ、シンジオタクチックポリ
スチレンの機械的性質,熱的性質,化学的性質を充分に
生かすことができない。したがって、高度なシンジオタ
クティシティを保持するためには、共重合しうるコモノ
マー量に限界があり、他の熱可塑性樹脂や充填剤との複
合化によってシンジオタクチックポリスチレンの特徴を
生かした材料を広範囲に得ることができないという欠点
がある。また、第三成分として樹脂相溶化剤を用いるこ
とも考えられるが、シンジオタクチックポリスチレンの
成形温度が高く、適当なものがないばかりか、第三成分
の添加によって性能低下を招く恐れもあり、好ましくな
い。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特にシンジ
オタクチック構造を有するスチレン系共重合体に、エチ
レン性不飽和性モノマーをグラフト重合してなるスチレ
ン系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物を用いるこ
とによって、上記問題を解決できることを見出した。
【0005】本発明はかかる知見に基づいて完成したも
のである。すなわち本発明は、スチレン系モノマーおよ
び不飽和結合を有する炭化水素基含有スチレン系モノマ
ーからなる共重合体にエチレン性不飽和モノマーをグラ
フト重合してなるスチレン系グラフト共重合体と、熱可
塑性樹脂,無機充填剤および有機充填剤の少なくとも一
種からなる樹脂組成物を提供するものである。
【0006】本発明の樹脂組成物に用いられるスチレン
系グラフト共重合体は、スチレン系モノマーおよび不飽
和結合を有する炭化水素基含有スチレン系モノマーから
なる共重合体にエチレン性不飽和モノマーをグラフト重
合してなるものである。ここで用いられるスチレン系モ
ノマーは、各種のものがあるが、通常は下記一般式
〔1〕
【0007】
【化4】
【0008】〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子又
は炭素原子,酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原
子,セレン原子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1
種以上を含む置換基を示し、mは1〜3の整数を示す。
但し、mが複数のときは、各R1 は同一でも異なるもの
であってもよい。〕で表わされるスチレン系モノマーI
である。このスチレン系モノマーIは、具体的にはスチ
レン;p−メチルスチレン;o−メチルスチレン;m−
メチルスチレン;2,4−ジメチルスチレン;2,5−
ジメチルスチレン;3,4−ジメチルスチレン;3,5
−ジメチルスチレン;p−ターシャリーブチルスチレン
などのアルキルスチレン、p−クロロスチレン;m−ク
ロロスチレン;o−クロロスチレン;p−ブロモスチレ
ン;m−ブロモスチレン;o−ブロモスチレン;p−フ
ルオロスチレン;m−フルオロスチレン;o−フルオロ
スチレン;o−メチル−p−フルオロスチレンなどのハ
ロゲン化スチレン、4−ビニルビフェニル;3−ビニル
ビフェニル;2−ビニルビフェニルなどのビニルビフェ
ニル類、1−(4−ビニルフェニル)−ナフタレン;2
−(4−ビニルフェニル)−ナフタレン;1−(3−ビ
ニルフェニル)−ナフタレン;2−(3−ビニルフェニ
ル)−ナフタレン;1−(2−ビニルフェニル)−ナフ
タレン;2−(2−ビニルフェニル)ナフタレンなどの
ビニルフェニルナフタレン類、1−(4−ビニルフェニ
ル)−アントラセン;2−(4−ビニルフェニル)−ア
ントラセン;9−(4−ビニルフェニル)−アントラセ
ン;1−(3−ビニルフェニル)−アントラセン;2−
(3−ビニルフェニル)−アントラセン;9−(3−ビ
ニルフェニル)−アントラセン;1−(2−ビニルフェ
ニル)−アントラセン;2−(2−ビニルフェニル)−
アントラセン;9−(2−ビニルフェニル)−アントラ
センなどのビニルフェニルアントラセン類、1−(4−
ビニルフェニル)−フェナントレン;2−(4−ビニル
フェニル)−フェナントレン;3−(4−ビニルフェニ
ル)−フェナントレン;4−(4−ビニルフェニル)−
フェナントレン;9−(4−ビニルフェニル)−フェナ
ントレン;1−(3−ビニルフェニル)−フェナントレ
ン;2−(3−ビニルフェニル)−フェナントレン;3
−(3−ビニルフェニル)−フェナントレン;4−(3
−ビニルフェニル)−フェナントレン;9−(3−ビニ
ルフェニル)−フェナントレン;1−(2−ビニルフェ
ニル)−フェナントレン;2−(2−ビニルフェニル)
−フェナントレン;3−(2−ビニルフェニル)−フェ
ナントレン;4−(2−ビニルフェニル)−フェナント
レン;9−(2−ビニルフェニル)−フェナントレンな
どのビニルフェニルフェナントレン類、1−(4−ビニ
ルフェニル)−ピレン;2−(4−ビニルフェニル)−
ピレン;1−(3−ビニルフェニル)−ピレン;2−
(3−ビニルフェニル)−ピレン;1−(2−ビニルフ
ェニル)−ピレン;2−(2−ビニルフェニル)−ピレ
ンなどのビニルフェニルピレン類、4−ビニル−p−タ
ーフェニル;4−ビニル−m−ターフェニル;4−ビニ
ル−o−ターフェニル;3−ビニル−p−ターフェニ
ル;3−ビニル−m−ターフェニル;3−ビニル−o−
ターフェニル;2−ビニル−p−ターフェニル;2−ビ
ニル−m−ターフェニル;2−ビニル−o−ターフェニ
ルなどのビニルターフェニル類、4−(4−ビニルフェ
ニル)−p−ターフェニルなどのビニルフェニルターフ
ェニル類、4−ビニル−4’−メチルビフェニル;4−
ビニル−3’−メチルビフェニル;4−ビニル−2’−
メチルビフェニル;2−メチル−4−ビニルビフェニ
ル;3−メチル−4−ビニルビフェニルなどのビニルア
ルキルビフェニル類、4−ビニル−4’−フルオロビフ
ェニル;4−ビニル−3’−フルオロビフェニル;4−
ビニル−2’−フルオロビフェニル;4−ビニル−2−
フルオロビフェニル;4−ビニル−3−フルオロビフェ
ニル;4−ビニル−4’−クロロビフェニル;4−ビニ
ル−3’−クロロビフェニル;4−ビニル−2’−クロ
ロビフェニル;4−ビニル−2−クロロビフェニル;4
−ビニル−3−クロロビフェニル;4−ビニル−4’−
ブロモビフェニル;4−ビニル−3’−ブロモビフェニ
ル;4−ビニル−2’−ブロモビフェニル;4−ビニル
−2−ブロモビフェニル;4−ビニル−3−ブロモビフ
ェニルなどのハロゲン化ビニルビフェニル類、4−ビニ
ル−4’−トリメチルシリルビフェニルなどのトリアル
キルシリルビニルビフェニル類、4−ビニル−4’−ト
リメチルスタンニルビフェニル;4−ビニル−4’−ト
リブチルスタンニルビフェニルなどのトリアルキルスタ
ンニルビニルビフェニル類、4−ビニル−4’−トリメ
チルシリルメチルビフェニルなどのトリアルキルシリル
メチルビニルビフェニル類、4−ビニル−4’−トリメ
チルスタンニルメチルビフェニル;4−ビニル−4’−
トリブチルスタンニルメチルビフェニルなどのトリアル
キルスタンニルメチルビニルビフェニル類、p−クロロ
エチルスチレン;m−クロロエチルスチレン;o−クロ
ロエチルスチレンなどのハロゲン置換アルキルスチレ
ン、p−トリメチルシリルスチレン;m−トリメチルシ
リルスチレン;o−トリメチルシリルスチレン;p−ト
リエチルシリルスチレン;m−トリエチルシリルスチレ
ン;o−トリエチルシリルスチレン;p−ジメチルター
シャリ−ブチルシリルスチレンなどのアルキルシリルス
チレン類、p−ジメチルフェニルシリルスチレン;p−
メチルジフェニルシリルスチレン;p−トリフェニルシ
リルスチレンなどのフェニル基含有シリルスチレン類、
p−ジメチルクロロシリルスチレン;p−メチルジクロ
ロシリルスチレン;p−トリクロロシリルスチレン;p
−ジメチルブロモシリルスチレン;p−ジメチルヨード
シリルスチレンなどのハロゲン含有シリルスチレン類、
p−(p−トリメチルシリル)ジメチルシリルスチレン
などのシリル基含有シリルスチレン類、更にはこれらの
2種以上の混合物が挙げられる。
【0009】また、不飽和結合を有する炭化水素基含有
スチレン系モノマーについては、各種のものがあるが、
通常は下記一般式〔2〕
【0010】
【化5】
【0011】〔式中、R2 は不飽和結合を有する炭化水
素基を示し、nは1又は2の整数を示す。R1 およびm
は上記と同じである。〕で表わされるスチレン系モノマ
ーIIである。上記式中のR2 は、不飽和結合を有する炭
化水素基、特に炭素数2〜10の不飽和結合を有する炭
化水素基が好ましく、例えばビニル基;アリル基;メタ
リル基;ホモアリル基;ペンテニル基;デセニル基等を
示す。この場合、α−オレフィン骨格を含むモノマー使
用の場合には比較的共重合比率を上げても架橋反応が抑
制されるのでグラフト開始点を多く持つグラフト共重合
体に適している。上記スチレン系モノマーIIの具体例を
あげれば、p−ジビニルベンゼン;m−ジビニルベンゼ
ン;トリビニルベンゼンの他、スチレン骨格とα−オレ
フィン骨格を同一分子中に有するモノマーであるp−ア
リルスチレン;m−アリルスチレン;ブテニルスチレ
ン;ペンテニルスチレン;デセニルスチレン;p−(2
−メチル−3−ブテニル)スチレン;m−(2−メチル
−3−ブテニル)スチレン等、あるいはこれらの2種以
上混合したものがあげられる。
【0012】エチレン性不飽和モノマーも各種のものが
あるが、通常は下記一般式〔3〕
【0013】
【化6】
【0014】〔式中、Q1 ,Q2 ,Q3 およびQ4 はそ
れぞれ水素原子,ハロゲン原子または炭素原子,酸素原
子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン原子,ケイ
素原子および錫原子のいずれか1種以上を含む置換基を
示し、これらQ1 〜Q4 は同一でも異なるものであって
もよい。〕で表わされる。このエチレン性不飽和モノマ
ーとしては、例えば(1) アクリル酸,メタクリル酸,そ
れらの誘導体,(2) アクリルアミド,メタクリルアミ
ド,それらの誘導体,(3) 酢酸ビニル,その誘導体,
(4) ケイ皮酸,クロトン酸,それらの誘導体,(5) アク
リロニトリル,メタクリロニトリル,それらの誘導体,
(6) マレイン酸,フマール酸,無水マレイン酸,それら
の誘導体,(7) マレイミド,その誘導体,(8) イタコン
酸,無水イタコン酸,それらの誘導体,(9) アクロレイ
ン類,(10)ビニルケトン類,(11)ジエン類,(12)スチレ
ン,その誘導体,(13)α−オレフィン類あるいは(14)
環状オレフィン類があげられる。
【0015】ここで(1) の化合物のうち(メタ)アクリ
ル酸の誘導体としては、アクリル酸アリル;アクリル酸
イソプロピル;アクリル酸エチル;アクリル酸2,3−
エポキシプロピル;アクリル酸2−クロロエチル;アク
リル酸クロリド;アクリル酸シクロドデシル;アクリル
酸ジブロモプロピル;アクリル酸6,8−ジメチル−1
−オキシ−5−クロマニルメチル;アクリル酸1,2,
2,2−テトラクロロエチル;アクリル酸テトラヒドロ
フルフリル;アクリル酸ヒドロキシエチル;アクリル酸
ヒドロキシプロピル;η6 −(アクリル酸2−フェニル
エチル)トリカルボニルクロム;アクリル酸ブチル;ア
クリル酸2−プロピニル;アクリル酸ベンジル;メタク
リル酸2−(1−アジリジニル)エチル;メタクリル酸
p−アセチルフェニル;メタクリル酸2−アセトキシル
エチル;メタクリル酸1−(9−アンスリル)エチル;
メタクリル酸エチル;メタクリル酸2,3−エピチオプ
ロピル;メタクリル酸2,3−エポキシプロピル;メタ
クリル酸オクタデシル;メタクリル酸オクタフルオロペ
ンチル;メタクリル酸p−クロロフェニル;メタクリル
酸クロロメチル;メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)
エチル;メタクリル酸シクロヘキシル;メタクリル酸
2,6−ジ−tert−ブチルフェニル;メタクリル酸
p−ジメチルアミノベンジル;メタクリル酸2−(N,
N−ジメチルカルバモイルオキシエチル);メタクリル
酸2,6−ジメチルフェニル;メタクリル酸1,2,
2,2−テトラクロロエチル;メタクリル酸トリフルオ
ロエチル;メタクリル酸2,2,4−トリメチル−3−
オン−1−ペンチル;メタクリル酸p−ニトロフェノー
ル;メタクリル酸2−ピリジル;メタクリル酸フェニ
ル;メタクリル酸フェロセンエチル;メタクリル酸te
rt−ブチル;メタクリル酸フッ化物;メタクリル酸ベ
ンジル;メタクリル酸p−メチルフェニル;メタクリル
酸3,4−メチレンジオキシベンジル;メタクリル酸2
−メルカプトベンツチアゾール;メタクリル酸(−)−
3−メンチルなどがある。
【0016】上記(2) の化合物である(メタ)アクリル
アミドの誘導体としては、N−メチルアクリルアミド;
N−エチルアクリルアミド;N−イソプロピルアクリル
アミド;N−n−ブチルアクリルアミド;N−sec−
ブチルアクリルアミド;N−イソブチルアクリルアミ
ド;N−tert−ブチルアクリルアミド;N−(1,
1−ジメチルプロピル)アクリルアミド;N−シクロヘ
キシルアクリルアミド;N−(1,1−ジメチルブチ
ル)アクリルアミド;N−(1−エチル−1−メチルプ
ロピル)アクリルアミド;N−(1,1,2−トリメチ
ルプロピル)アクリルアミド;N−n−ヘプチルアクリ
ルアミド;N−(1,1−ジメチルペンチル)アクリル
アミド;N−(1−エチル−1−メチルブチル)アクリ
ルアミド;N−(1−エチル−1,2−ジメチルプロピ
ル)アクリルアミド;N−(1,1−ジエチルプロピ
ル)アクリルアミド;N−n−オクチルアクリルアミ
ド;N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アク
リルアミド;N−(1,2,3,3−テトラメチルブチ
ル)アクリルアミド;N−(1−エチル−1,3−ジメ
チルブチル)アクリルアミド;N−(1,1−ジエチル
ブチル)アクリルアミド;N−(1−エチル−1−メチ
ルペンチル)アクリルアミド;N−(1−プロピル−
1,3−ジメチルブチル)アクリルアミド;N−(1,
1−ジエチルペンチル)アクリルアミド;N−(1−ブ
チル−1,3−ジメチルブチル)アクリルアミド;N−
ドデシルアクリルアミド;N−(1−メチルウンデシ
ル)アクリルアミド;N−(1,1−ジブチルペンチ
ル)アクリルアミド;N−(1−メチルトリデシル)ア
クリルアミド;N−(1−メチルペンタデシル)アクリ
ルアミド;N−(1−メチルヘプタデシル)アクリルア
ミド;N−(1−アダマンチル)アクリルアミド;N−
(7,7−ジメチルビシクロ〔3,2,0〕ヘプト−6
−ニル)アクリルアミド;N−アリルアクリルアミド;
N−(1,1−ジメチルプロピニル)アクリルアミド;
N−ベンジルアクリルアミド;N−フェニルアクリルア
ミド;N−(2−メチルフェニル)アクリルアミド;N
−(4−メチルフェニル)アクリルアミド;N−(1−
ナフチル)アクリルアミド;N−(2−ナフチル)アク
リルアミド;N−メチルメタクリルアミド;N−エチル
メタクリルアミド;N−n−ブチルメタクリルアミド;
N−tert−ブチルメタクリルアミド;N−n−オク
チルメタクリルアミド;N−n−ドデシルメタクリルア
ミド;N−シクロヘキシルメタクリルアミド;N−
(7,7−ジメチルビシクロ〔3,2,0〕ヘプト−6
−ニル)メタクリルアミド;N−アリルメタクリルアミ
ド;N−(1,1−ジメチルプロペニル)メタクリルア
ミド;N−ベンジルメタクリルアミド;N−〔1−(4
−クロロフェニル)〕エチルメタクリルアミド;N−フ
ェニルメタクリルアミド;N−(2−メチルフェニル)
メタクリルアミド;N−(3−メチルフェニル)メタク
リルアミド;N−(4−メチルフェニル)メタクリルア
ミド;N,N−ビス(2−シアノエチル)アクリルアミ
ド;N−(4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)アクリルアミド;N−(2−シアノ
エチル)メタクリルアミト;N−(1,1−ジメチル−
2−シアノエチル)アクリルアミド;N−(ヒドロキシ
メチル)アクリルアミド;N−(メトキシメチル)アク
リルアミド;N−(エトキシメチル)アクリルアミド;
N−(n−プロポキシメチル)アクリルアミド;N−
(イソプロポキシメチル)アクリルアミド;N−(n−
ブトキシメチル)アクリルアミド;N,N’−メチレン
ビスアクリルアミド;1,2−ビスアクリルアミドエタ
ン;1,3−ビスアクリルアミドプロパン;1,4−ビ
スアクリルアミドブタン;1,5−ビスアクリルアミド
ペンタン;1,6−ビスアクリルアミドヘキサン;1,
7−ビスアクリルアミドヘプタン;1,8−ビスアクリ
ルアミドオクタン;1,9−ビスアクリルアミドノナ
ン;1,10−ビスアクリルアミドデカン;1,12−
ビスアクリルアミドドデカン;1,1,1−トリメチル
アミン−2−(N−フェニル−N−アクリロイル)プロ
パンイミド;1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキ
シ)プロピルアミン−N−フェニル−N−メタクリロイ
ルグリシンイミド;N−(2−ジメチルアミノエチル)
アクリルアミド;N−(2−ジエチルアミノエチル)ア
クリルアミド;N−(2−モノホリノエチル)アクリル
アミド;N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリル
アミド;N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリル
アミド;N−(3−プロピルアミノプロピル)アクリル
アミド;N−〔3−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミ
ノプロピル〕アクリルアミド;N−(1,1−ジメチル
−2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド;N−
(2,2−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)ア
クリルアミド;N−(2,2−ジメチル−3−ジエチル
アミノプロピル)アクリルアミド;N−(2,2−ジメ
チル−3−ジブチルアミノプロピル)アクリルアミド;
N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピ
ル)アクリルアミド;N−アクリロイルグリシンアミ
ド;N−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)メチ
レンアクリルアミド;2−アクリルアミドプロパンスル
ホン酸;2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸;
2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸;2−ア
クリルアミド−n−オクタンスルホン酸;2−アクリル
アミド−n−ドデカンスルホン酸;2−アクリルアミド
−n−テトラデカンスルホン酸;2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸;2−アクリルアミド−
2−フェニルプロパンスルホン酸;2−アクリルアミド
−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸;2−ア
クリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸;
2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロ
パンスルホン酸;2−アクリルアミド−2−カルボキシ
メチルプロパンスルホン酸;2−アクリルアミド−2−
(2−ピリジル)プロパンスルホン酸;2−アクリルア
ミド−1−メチルプロパンスルホン酸;3−アクリルア
ミド−3−メチルブタンスルホン酸;2−メタクリルア
ミド−n−デカンスルホン酸;2−メタクリルアミド−
n−テトラデカンスルホン酸;4−メタクリルアミドベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム;N−(2,3−ジメチル
フェニル)メタクリルアミド;N−(2−フェニルフェ
ニル)メタクリルアミド;N−(2−ヒドロキシフェニ
ル)メタクリルアミド;N−(2−メトキシフェニル)
メタクリルアミド;N−(4−メトキシフェニル)メタ
クリルアミド;N−(3−エトキシフェニル)メタクリ
ルアミド;N−(4−エトキシフェニル)メタクリルア
ミド;N−(2−クロロフェニル)メタクリルアミド;
N−(3−クロロフェニル)メタクリルアミド;N−
(4−クロロフェニル)メタクリルアミド;N−(4−
ブロモフェニル)メタクリルアミド;N−(2,5−ジ
クロロフェニル)メタクリルアミド;N−(2,3,6
−トリクロロフェニル)メタクリルアミド;N−(4−
ニトロフェニル)メタクリルアミド;N,N−ジメチル
アクリルアミド;N,N−ジエチルアクリルアミド;
N,N−ジブチルアクリルアミド;N,N−ジイソブチ
ルアクリルアミド;N,N−ジシクロヘキシルアクリル
アミド;N,N−ビス(4−メチルペンチル)アクリル
アミド;N,N−ジフェニルアクリルアミド;N,N−
ビス(5−メチルヘキシル)アクリルアミド;N,N−
ジベンジルアクリルアミド;N,N−ビス(2−エチル
ヘキシル)アクリルアミド;N−メチル−N−フェニル
アクリルアミド;N−アクリロイルピロリジン;N−ア
クリロイルピベリジン;N−アクリロイルモルホリン;
N−アクリロイルチアモルホリン;N,N−ジメチルメ
タクリルアミド;N,N−ジエチルメタクリルアミド;
N,N−ジフェニルメタクリルアミド;N−メチル−N
−フェニルメタクリルアミド;N−メタクリロイルピベ
リジン;N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミ
ド;N−(2−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド;
N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アク
リルアミド;N−(1−エチル−2−ヒドロキシエチ
ル)アクリルアミド;N−(1,1−ジメチル−3−ヒ
ドロキシブチル)アクリルアミド;N−(2−クロロエ
チル)アクリルアミド;N−(1−メチル−2−クロロ
エチル)アクリルアミド;N−(2,2,2−トリクロ
ロ−1−ヒドロキシエチル)アクリルアミド;N−
(2,2,2−トリクロロ−1−メトキシエチル)アク
リルアミド;N−(1,2,2,2−テトラクロロエチ
ル)アクリルアミド;N−(2,2,3−トリクロロ−
2−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド;N−(2−
クロロシクロヘキシル)アクリルアミド;N−(2,2
−ジフルオロエチル)アクリルアミド;N−(2,2,
2−トリフルオロエチル)アクリルアミド;N−(3,
3,3−トリフルオロプロピル)アクリルアミド;N−
(3,3−ジフルオロブチル)アクリルアミド;N,N
−ビス(2,2−ジフルオロエチル)アクリルアミド;
N,N−ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アク
リルアミド;エチル−2−アクリルアミドアセテート;
アクリロイルジシアンジアミド;メタクリロイルジシア
ンジアミド;N−(1−ナフチル)メタクリルアミド;
N−(2−ナフチル)メタクリルアミド;N−ホルミル
アクリルアミド;N−アセチルアクリルアミド;N−
(2−オキソプロピル)アクリルアミド;N−(1−メ
チル−2−オキソプロピル)アクリルアミド;N−(1
−イソブチル−2−オキソプロピル)アクリルアミド;
N−(1−ベンジル−2−オキソプロピル)アクリルア
ミド;N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)ア
クリルアミドなどがある。
【0017】さらに、(3) の化合物である酢酸ビニル,
その誘導体としては、例えば酢酸ビニル,チオ酢酸ビニ
ル,α−(1−シクロヘキセニル)酢酸ビニルなどがあ
る。(4) の化合物であるケイ皮酸やクロトン酸の誘導体
としては、ケイ皮酸エチル,ケイ皮酸フェニル,ケイ皮
酸tert−ブチル,クロトンアルデヒド,クロトン酸メチ
ル,α−シアノクロトン酸エチル,α−メトキシクロト
ン酸メチルなどがある。 (5) の化合物のうち(メタ)
アクリロニトリルの誘導体としては、シアン化ビニリデ
ン,α−メトキシアクリロニトリル,α−フェニルアク
リロニトリル,α−アセトキシアクリロニトリルなどが
ある。(6) の化合物のうちマレイン酸,フマール酸や無
水マレイン酸の誘導体としては、マレイン酸,フマール
酸のエステル体やマレイン酸,フマール酸,無水マレイ
ン酸の置換体が挙げられ、例えばフマル酸ジエチル,フ
マル酸ジフェニル,フマロニトリル,メチルフマル酸,
メチルフマル酸ジエチル,メチル無水マレイン酸,ジメ
チル無水マレイン酸,フェニル無水マレイン酸,ジフェ
ニル無水マレイン酸,クロロ無水マレイン酸,ジクロロ
無水マレイン酸,フルオロ無水マレイン酸,ジフルオロ
無水マレイン酸,ブロモ無水マレイン酸,ジブロモ無水
マレイン酸,メチルマレイン酸,ジメチルマレイン酸,
フェニルマレイン酸,クロロマレイン酸,ジクロロマレ
イン酸,フルオロマレイン酸,ジフルオロマレイン酸,
ブロモマレイン酸,マレイン酸ジメチル,マレイン酸ジ
エチル,メチルマレイン酸ジエチル,マレイン酸ジプロ
ピル,マレイン酸ジイソプロピル,マレイン酸ジブチ
ル,マレイン酸ジイソブチル,マレイン酸ジペンチル,
マレイン酸ジイソペンチル,マレイン酸ジヘキシル,マ
レイン酸ジヘプチル,マレイン酸ジオクチル,マレイン
酸ビス(2−エチルヘキシル),マレイン酸ジノニル,
マレイン酸ジヘキサデシル,マレイン酸ジプロパルギ
ル,マレイン酸ビス〔2−(2−クロロエトキシ)エチ
ル〕,マレイン酸ジペンジル,マレイン酸メチルアリ
ル,マレイン酸メチル−2−ブテニル,マレイン酸メチ
ル−3−ブテニル,マレイン酸アリル−3−メチルチオ
プロピル,マレイン酸アリル−3−エチルチオプロピ
ル,マレイン酸アリル−3−アセチルチオプロピル,マ
レイン酸アリル−3−フェニルチオプロピル,マレイン
酸メチル−p−クロロフェニル,マレイン酸ブチル−p
−クロロフェニル,マレイン酸ベンジル−p−クロロフ
ェニル,マレイン酸ジフェニル,マレイン酸ジ−m−ク
レジル,マレイン酸ジ−p−クレジル,マレイン酸−n
−ヘプチル,マレイン酸ノニル,マレイン酸デシル,マ
レイン酸ドデシル,マレイン酸オクタデシル,マレイン
酸フルオロアルキルなどがある。
【0018】(7) の化合物のうちマレイミドの誘導体と
しては、N−ブチルマレイミド,N−フェニルマレイミ
ド,N−(2−メチルフェニル)マレイミド,N−シク
ロヘキシルマレイミド,N−(2,6−ジメチル)マレ
イミド,N−(2,6−ジエチル)マレイミド,N−
(α−ナフチル)マレイミドなどがある。(8) の化合物
のうちイタコン酸や無水イタコン酸の誘導体としては、
イタコン酸ジエチル,イタコン酸ジ−nオクチル,ci
s−グルタコン酸,cis−グルタコン酸ジエチル,t
rans−グルタコン酸,trans−グルタコン酸ジ
エチルなどがある。(9) の化合物のアクロレイン類とし
ては、アクロレイン,メタクロレイン,α−クロロアク
ロレイン,β−シアノアクロレインなどがある。(10)
の化合物のビニルケトン類としては、メチルビニルケト
ン,フェニルビニルケトン,エチルビニルケトン,n−
プロピルビニルケトン,シクロヘキシルビニルケトン,
イソブチルビニルケトンなどがある。(11)の化合物のジ
エン類としては、1,3−ブタジエン;イソプレン;1
−エトキシ−1,3−ブタジエン;クロロプレン;1−
メトキシ−1,3−シクロヘキサジエン;1−アセトキ
シ−1,3−ブタジエン;2−アセトキシ−3−メチル
−1,3−ブタジエン;1−クロロ−1,3−ブタジエ
ン;1−(4−ピリジル)−1,3−ブタジエン;ムコ
ン酸;ムコン酸ジエチルなどがある。(12)の化合物のス
チレンまたはその誘導体としては、例えば前記一般式
〔1〕で表わされるスチレン系モノマーIを充当するこ
ともできるが、その他、p−ジメチルアミノスチレン;
スチレンスルホン酸ブチル;p−ニトロスチレン;p−
ヒドロキシスチレン;p−ビニル安息香酸2,3−エポ
キシプロピル;p−ビニル安息香酸クロリド;p−ビニ
ル安息香酸フェニル;p−ビニル安息香酸メチル;p−
ビニル安息香酸3−メトキシフェニル;p−イソプロペ
ニルフェノール;p−シアノスチレン;p−アセトキシ
スチレン等の酸素原子,窒素原子等のヘテロ原子を含む
スチレン誘導体あるいはα−メチルスチレン類であって
もよい。
【0019】(13)の化合物のα−オレフィン類として
は、エチレン;プロピレン;1−ブテン;1−オクテ
ン;4−メチルペンテン−1;3−メチルブテン−1な
どがある。(14)の化合物の環状オレフィン類として
は、シクロブテン;シクロペンテン;シクロヘキセンな
どの単環状オレフィン、3−メチルシクロペンテン;3
−メチルシクロヘキセンなどの置換単環状オレフィン、
ノルボルネン;1,2−ジヒドロジシクロペンタジエ
ン;1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクトヒドロナフタレンなどの多環
状オレフィン、5−メチルノルボルネン;5−エチルノ
ルボルネン;5−プロピルノルボルネン;5,6−ジメ
チルノルボルネン;1−メチルノルボルネン;7−メチ
ルノルボルネン;5,5,6−トリメチルノルボルネ
ン;5−フェニルノルボルネン;5−ベンジルノルボル
ネン;5−エチリデンノルボルネン;5−ビニルノルボ
ルネン;2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,
2,3,4,4a,5,8,8a−オクトヒドロナフタ
レン;2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,
2,3,4,4a,5,8,8a−オクトヒドロナフタ
レン;2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクトヒドロナ
フタレン;5−クロロノルボルネン;5,5−ジクロロ
ノルボルネン;5−フルオロノルボルネン;5,5,6
−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネ
ン;5−クロロメチルノルボルネン;5−メトキシノル
ボルネン;5−ジメチルアミノノルボルネンなどの置換
多環状オレフィンなどが挙げられる。
【0020】本発明の樹脂組成物に用いられるスチレン
系グラフト共重合体は、種々の方法によって得られる
が、例えば上記スチレン系モノマーIとスチレン系モノ
マーIIを共重合させてスチレン系共重合体を製造する工
程(工程1)およびこのスチレン系共重合体に、上記エ
チレン性不飽和モノマーをグラフト重合させる工程(工
程2)からなる方法等が挙げられる。
【0021】上記工程1では、スチレン系モノマーと不
飽和結合を有する炭化水素基含有スチレン系モノマー、
特に上記スチレン系モノマーIとスチレン系モノマーII
を共重合させるが、この際使用する触媒は、(A)遷移
金属化合物及び(B)有機アルミニウム化合物と縮合剤
との接触生成物を主成分とする触媒である。
【0022】ここで(A)遷移金属化合物としては様々
なものがあるが、好ましくは下記一般式〔4〕,
〔5〕,〔6〕あるいは〔7〕
【0023】
【化7】
【0024】〔式中、R3 〜R14は、それぞれ水素原
子;ハロゲン原子;炭素数1〜20のアルキル基;炭素
数1〜20のアルコキシ基;炭素数6〜20のアリール
基;炭素数7〜20のアリールアルキル基,炭素数6〜
20のアリールオキシ基;炭素数1〜20のアシルオキ
シ基;アセチルアセトニル基;シクロペンタジエニル
基;置換シクロペンタジエニル基あるいはインデニル基
を示す。また、a,b,cは、それぞれ0≦a+b+c
≦4を満たす0以上の整数を示し、d,eはそれぞれ0
≦d+e≦3を満たす0以上の整数を示し、fは0≦f
≦2を満たす0以上の整数を示し、g,hは各々0≦g
+h≦3を満たす0以上の整数を示す。更に、M1 ,M
2 はチタン;ジルコニウム;ハフニウムあるいはバナジ
ウムを示し、M3 ,M4 はバナジウムを示す。〕で表わ
される遷移金属化合物から選ばれた少なくとも1種の化
合物である。これらの遷移金属化合物の中でも、前記一
般式〔4〕中のM1 がチタンあるいはジルコニウムであ
るものを用いるのが好ましい。ここで、前記式中のR3
〜R14で示されるもののうち、ハロゲン原子として、具
体的には塩素原子,臭素原子,沃素原子あるいはフッ素
原子がある。また、置換シクロペンタジエニル基は、例
えば炭素数1〜6のアルキル基で1個以上置換されたシ
クロペンタジエニル基、具体的には、メチルシクロペン
タジエニル基;1,2−ジメチルシクロペンタジエニル
基;ペンタメチルシクロペンタジエニル基等である。ま
た、前記式中のR3 〜R14はそれぞれ独立に水素原子,
炭素数1〜20のアルキル基(具体的には、メチル基,
エチル基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,
アミル基,イソアミル基,オクチル基,2−エチルヘキ
シル基)、炭素数1〜20のアルコキシ基(具体的に
は、メトキシ基;エトキシ基;プロポキシ基;ブトキシ
基;ヘキシルオキシ基;オクチルオキシ基;2−エチル
ヘキシルオキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基
(具体的には、フェニル基,ナフチル基等)、炭素数7
〜20のアリールアルキル基(具体的には、ベンジル
基;フェネチル基;9−アントリルメチル基等)、炭素
数1〜20のアシルオキシ基(具体的には、アセチルオ
キシ基;ステアロイルオキシ基等)であってもよい。こ
れらR3 〜R14は上記条件を具備する限り、同一のもの
であっても、異なるものであってもよい。
【0025】このような、前記一般式〔4〕〜〔7〕で
表わされる遷移金属化合物のうちチタン化合物の具体例
としては、テトラメトキシチタン;テトラエトキシチタ
ン;テトラ−n−ブトキシチタン;テトライソプロポキ
シチタン;シクロペンタジエニルトリメチルチタン;四
塩化チタン;三塩化チタン;ジメトキシチタンジクロリ
ド;メトキシチタントリクロリド;トリメトキシチタン
クロリド;シクロペンタジエニルトリエチルチタン;シ
クロペンタジエニルトリプロピルチタン;シクロペンタ
ジエニルトリブチルチタン;メチルシクロペンタジエニ
ルトリメチルチタン;メチルシクロペンタジエニルトリ
ベンジルチタン;1,2−ジメチルシクロペンタジエニ
ルトリメチルチタン;テトラメチルシクロペンタジエニ
ルトリメチルチタン;ペンタメチルシクロペンタジエニ
ルトリメチルチタン;ペンタメチルシクロペンタジエニ
ルトリエチルチタン;ペンタメチルシクロペンタジエニ
ルトリプロピルチタン;ペンタメチルシクロペンタジエ
ニルトリブチルチタン;ペンタメチルシクロペンタジエ
ニルチタントリフェニル;ペンタメチルクシクロペンタ
ジエニルトリベンジルチタン;シクロペンタジエニルメ
チルチタンジクロリド;シクロペンタジエニルエチルチ
タンジクロリド;ペンタメチルシクロペンタジエニルメ
チルチタンジクロリド;ペンタメチルシクロペンタジエ
ニルエチルチタンジクロリド;シクロペンタジエニルジ
メチルチタンモノクロリド;シクロペンタジエニルジエ
チルチタンモノクロリド;シクロペンタジエニルチタン
トリメトキシド;シクロペンタジエニルチタントリエト
キシド;シクロペンタジエニルチタントリプロポキシ
ド;シクロペンタジエニルチタントリフェノキシド;ペ
ンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメトキシ
ド;ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリエト
キシド;ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリ
プロポキシド;ペンタメチルシクロペンタジエニルチタ
ントリブトキシド;ペンタメチルシクロペンタジエニル
チタントリフェノキシド;シクロペンタジエニルチタン
トリクロリド;ペンタメチルシクロペンタジエニルチタ
ントリクロリド;シクロペンタジエニルメトキシチタン
ジクロリド;シクロペンタジエニルジメトキシチタンク
ロリド;ペンタメチルシクロペンタジエニルメトキシチ
タンジクロリド;シクロペンタジエニルトリベンジルチ
タン;シクロペンタジエニルジメチルメトキシチタン;
メチルシクロペンタジエニルジメチルメトキシチタン;
ペンタメチルシクロペンタジエニルメチルジエトキシチ
タン;インデニルチタントリクロリド;インデニルチタ
ントリメトキシド;インデニルチタントリエトキシド;
インデニルトリメチルチタン;インデニルトリベンジル
チタンなどが挙げられる。また、チタン化合物のうちの
ビスシクロペンタジエニル置換体として、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ジメチルチタン;ビス(シクロペンタ
ジエニル)ジフェニルチタン;ビス(シクロペンタジエ
ニル)ジエチルチタン;ビス(シクロペンタジエニル)
ジベンジルチタン;ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)ジメチルチタン;ビス(ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル)ジメチルチタン;ビス(メチルジシクロペン
タジエニル)ジベンジルチタン;ビス(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)ジベンジルチタン;ビス(ペンタ
メチルシクロペンタジエニル)クロロメチルチタン;ビ
ス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチ
ルチタンなどが挙げられる。さらに、エチレンビス(イ
ンデニル)ジメチルチタン;エチレンビス(テトラヒド
ロインデニル)ジメチルチタン;ジメチルシリレンビス
(シクロペンタジエニル)ジメチルチタンのような架橋
型の配位子を含むチタン化合物も挙げられる。また、こ
れら遷移金属化合物は、ルイス塩基と錯体を形成したも
のでもよい。
【0026】これらチタン化合物のうち、触媒成分
(B)との組合せ触媒系においては、スチレン系重合体
部の分子量を高くする必要のある場合、アルコキシド,
置換π電子系配位子をもつチタン化合物が好ましい。ま
た、分子量を低くする場合はπ電子系配位子,ハロゲン
配位子をもつチタン化合物が好ましい。また、前記一般
式〔4〕〜〔7〕で表わされる遷移金属化合物のうち、
ジルコニウム化合物の具体例としては、シクロペンタジ
エニルジルコニウムトリメトキシド;ペンタメチルシク
ロペンタジエニルジルコニウムトリメトキシド;シクロ
ペンタジエニルトリベンジルジルコニウム;ペンタメチ
ルシクロペンタジエニルトリベンジルジルコニウム;ビ
スインデニルジルコニウムジクロリド;ジルコニウムジ
ベンジルジクロリド;ジルコニウムテトラベンジル;ト
リブトキシジルコニウムクロリド;トリイソプロポキシ
ジルコニウムクロリドなどが挙げられる。さらに、同様
にハフニウム化合物の具体例としては、シクロペンタジ
エニルハフニウムトリメトキシド;ペンタメチルシクロ
ペンタジエニルハフニウムトリメトキシド;シクロペン
タジエニルトリベンジルハフニウム;ペンタメチルシク
ロペンタジエニルトリベンジルハフニウム;ビスインデ
ニルハフニウムジクロリド;ハフニウムジベンジルジク
ロリド;ハフニウムテトラベンジル;トリブトキシハフ
ニウムクロリド;トリイソプロポキシハフニウムクロリ
ド等が挙げられる。また、同様にバナジウム化合物の具
体例としては、バナジウムトリクロリド;バナジルトリ
クロリド;バナジウムトリアセチルアセトナート;バナ
ジウムテトラクロリド;バナジウムトリブトキシド;バ
ナジルジクロリド;バナジルビスアセチルアセトナー
ト;バナジルトリアセチルアセトナートなどが挙げられ
る。
【0027】一方、触媒の(B)成分は、有機アルミニ
ウム化合物と縮合剤との接触生成物である。ここで有機
アルミニウム化合物としては、通常、一般式 AlR15 3 〔式中、R15は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕で
表わされる有機アルミニウム化合物、具体的にはトリメ
チルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソ
ブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムが
挙げられ、中でもトリメチルアルミニウムが好ましい。
なお、縮合剤については、典型的には水が挙げられる
が、そのほか上記トリアルキルアルミニウムが縮合反応
するもの、例えば、硫酸銅5水塩,無機物や有機物への
吸着水など各種のものが挙げられる。触媒の(B)成分
である有機アルミニウム化合物と縮合剤との接触生成物
の代表例としては、前記一般式AlR15 3 で表わされる
トリアルキルアルミニウムと水との接触生成物がある
が、具体的には下記一般式〔8〕
【0028】
【化8】
【0029】〔式中、qは重合度を示し、0〜50であ
り、R16は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕で表わ
される鎖状アルキルアルミノキサンあるいは下記一般式
〔9〕
【0030】
【化9】
【0031】〔式中、R16は前記と同じである。〕で表
わされる繰り返し単位を有する環状アルキルアルミノキ
サン(繰り返し単位2〜50)等がある。一般に、トリ
アルキルアルミニウムなどのアルミニウムと水との接触
生成物は、上述の鎖状アルキルアルミノキサンや環状ア
ルキルアルミノキサンとともに、未反応のトリアルキル
アルミニウム,各種の縮合生成物の混合物、さらには、
これらが複雑に会合した分子であり、これらはトリアル
キルアルミニウムと縮合剤である水との接触条件によっ
て様々な生成物となる。この際のアルキルアルミニウム
と縮合剤との反応は特に限定はなく、公知の手法に準じ
て反応させれば良い。例えば、有機アルミニウム化合
物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方
法、重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えてお
き、後に水を添加する方法、さらには金属塩などに含
有されている結晶水,無機物や有機物への吸着水を有機
アルミニウム化合物と反応させる方法などがある。な
お、この反応は無溶媒下でも進行するが、溶媒中で行な
うことが好ましく、好適な溶媒としては、ヘキサン,ヘ
プタン,デカン等の脂肪族炭化水素あるいはベンゼン,
トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素を挙げることが
できる。また、上記の水にはアンモニア,エチルアミン
等のアミン、硫化水素等の硫黄化合物,亜燐酸エステル
等の燐化合物などが20%程度まで含有されていてもよ
い。
【0032】この触媒の(B)成分として用いる有機ア
ルミニウム化合物と縮合剤との接触生成物(例えばアル
キルアルミノキサン)は、上記の接触反応後、含水化合
物等を使用した場合には、固体残渣を濾別し、濾液を常
圧下あるいは減圧下で30〜200℃の温度、好ましく
は40〜150℃の温度で、20分〜8時間、好ましく
は30分〜5時間の範囲で溶媒を留去しつつ熱処理する
ことが効果的である。この熱処理にあたっては、温度は
各種の状況によって適宜定めれば良いが、通常は、上記
範囲で行なう。一般に、30℃未満の温度では、効果が
発現せず、また200℃を超えるとアルキルアルミノキ
サン自体の熱分解が起こり、いずれも好ましくない。熱
処理の処理条件により反応生成物は、無色の固体または
溶液状態で得られる。このようにして得られた生成物
を、必要に応じて炭化水素溶媒で溶解あるいは希釈して
触媒溶液として使用することができる。このような触媒
の(B)成分として用いる有機アルミニウム化合物と縮
合剤との接触生成物、特にアルキルアルミノキサンの好
適な例は、プロトン核磁気共鳴スペクトルで観測される
アルミニウム−メチル基(Al−CH3 ) 結合に基づく
メチルプロトンシグナル領域における高磁場成分が50
%以下のものである。つまり、上記の接触生成物を室温
下、トルエン溶媒中でそのプロトン核磁気共鳴(1H−
NMR)スペクトルを観測すると、Al−CH3 に基づ
くメチルプロトンシグナルはテトラメチルシラン(TM
S)基準において1.0〜−0.5ppmの範囲に見られ
る。TMSのプロトンシグナル(0ppm)がAl−C
3 に基づくメチルプロトン観測領域にあるため、この
Al−CH3 に基づくメチルプロトンシグナルを、TM
S基準におけるトルエンのメチルプロトンシグナル2.3
5ppmを基準に測定し高磁場成分(即ち、−0.1〜−
0.5ppm)と他の磁場成分(即ち、1.0〜−0.1pp
m)とに分けたときに、該高磁場成分が全体の50%以
下、好ましくは45〜5%のものが触媒の(B)成分と
して好適に使用できる。
【0033】上記の方法に用いる触媒は、前記(A),
(B)成分を主成分とするものであり、前記の他にさら
に所望により他の触媒成分(D)を加えることができ、
これにより触媒成分(D)を加えることにより触媒活性
を著しく向上させることができる。この触媒成分(D)
は、次の一般式〔10〕 R17 k AlY3-k ・・・〔10〕 〔式中、R17は炭素数1〜18、好ましくは1〜12の
アルキル基,アルケニル基,アリール基,アラルキル
基,アルコキシ基等の炭化水素基、Yは水素原子又はハ
ロゲン原子を示す。kは1≦k≦3の範囲のものであ
る。〕で表わされる有機アルミニウム化合物である。こ
の(D)成分である有機アルミニウム化合物は、具体的
には、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウ
ム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチルアルミニウ
ムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルア
ルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリ
ド,ジエチルアルミニウムエトキシドなどの1種又は2
種以上をあげることができる。また、立体規則性を損な
わない範囲において、一般式〔11〕 W−R18−(P)r −R19−W' ・・・〔11〕 〔式中、R18,R19は炭素数1〜20の炭化水素基,炭
素数7〜30の置換芳香族炭化水素基あるいは酸素,窒
素,硫黄等のヘテロ原子を含む置換基を有する炭素数6
〜40の置換芳香族炭化水素基を示し、Pは炭素数1〜
20の炭化水素基,
【0034】
【化10】
【0035】R20は水素原子または炭素数1〜6の炭化
水素基である。W,W' は水酸基,アルデヒド基,カル
ボキシル基を示し、rは0又は1〜5整数を示す。〕で
表わされる少なくとも2個の水酸基又はアルデヒド基,
カルボキシル基を有する有機化合物を加えことができ
る。
【0036】上記一般式〔11〕で表わされる有機化合物
の具体例としては、例えば2,2’−ジヒドロキシ−
3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェ
ニルスルフィド;2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルエーテ
ル等があげられる。上記(A),(B)成分を主成分と
する触媒を用いるにあたっては、これら各成分の割合
は、各成分の種類,原料であるスチレン系モノマー、特
にスチレン系モノマーI,IIの種類やその他の条件によ
り異なり、一義的には定められないが、通常は(B)成
分中のアルミニウムと(A)成分中の遷移金属(例えば
チタン)との比率、即ちアルミニウム/遷移金属(モル
比)として、1〜106 、好ましくは10〜104 であ
る。また、スチレン系モノマーと不飽和結合を有する炭
化水素基含有スチレン系モノマーの共重合にあたって
は、これらの使用割合は特に制限はなく、種々の状況に
応じて適宜選定すればよい。一般には、次のグラフト重
合工程(工程2)において、所望するグラフト開始点の
数やグラフト量に応じて定めればよく、グラフト開始点
の数やグラフト量を増加させる場合には、不飽和結合を
有する炭化水素基含有スチレン系モノマー(スチレン系
モノマーIIなど)の割合を増加させればよい。スチレン
系モノマーIとスチレン系モノマーIIの共重合にあって
は、通常はスチレン系モノマーI,IIの合計量に対し
て、スチレン系モノマーIIの割合を1×10-10 〜50
モル%、好ましくは1×10-8〜20モル%、更に好ま
しくは1×10-6〜15モル%とすればよい。原料モノ
マーと触媒との使用割合は、適宜定めればよいが、通常
はスチレン系モノマーIおよびIIと触媒の(B)成分で
ある接触生成物中のアルミニウムとの比率、即ちスチレ
ン系モノマーIおよびII/アルミニウム(モル比)とし
て、1〜106 、好ましくは102 〜104 である。
【0037】上記工程(1)で使用する触媒は、(A)
遷移金属化合物及び(B)有機アルミニウムと縮合剤と
の接触生成物を主成分とする触媒以外に、(A)遷移金
属化合物と(C)該遷移金属化合物と反応してイオン性
の錯体を形成する化合物を主成分とする触媒、あるいは
上記(A)成分,(C)成分及び(D)成分を主成分と
する触媒が用いられる。ここで(A)成分である遷移金
属化合物は、前述したものから適宜選定すればよいが、
好ましくは、前述の一般式〔4〕,〔5〕,〔6〕,
〔7〕で表わされる遷移金属化合物を用いればよい。更
に好ましくは、一般式〔4〕においてR3 〜R6 がシク
ロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,イ
ンデニル基,置換インデニル基,水素原子,炭素数1〜
12のアルキル基,炭素数1〜12のアルコキシ基,炭
素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリール
オキシ基,炭素数6〜20のアリールアルキル基又はハ
ロゲン原子を示し、R3 〜R6 の少なくとも一つがシク
ロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,イ
ンデニル基,置換インデニル基のチタン化合物が良い。
(D)成分である有機アルミニウム化合物について
も、前述したものの中から適宜選定すればよいが、好ま
しくは一般式〔10〕で示されるものを用いる。(C)成
分は、(A)成分である遷移金属化合物と反応してイオ
ン性の錯体を形成する化合物であれば、その種類は特に
制限されないが、好ましいものとしては、カチオンと複
数の基が周期律表VB族,VIB 族,VIIB族,VIII族,IB
族,IIB族,IIIA族,IVA 族及びVA族から選ばれた元素
に結合したアニオンとからなる配位錯体化合物をあげる
ことができる。この(C)成分については、下記式〔1
2〕あるいは〔13〕で示される配位錯体化合物を好適に
使用することができる。 (〔L1 −H〕u+) v (〔M5 1 2 ・・・Xs (s-t)-i ・・・〔12〕 あるいは (〔L2 u+) v (〔M6 1 2 ・・・Xs (s-t)-i ・・・〔13〕 (但し、L2 はM7 ,R21228 又はR23 3 Cであ
る)〔式〔12〕,〔13〕中、L1 はルイス塩基、M5
びM6 はそれぞれ周期律表のVB族,VIB 族,VIIB族,VI
II族,IB族,IIB 族,IIIA族,IVA 族又はVA族から選ば
れる元素:M7 は周期律表の IB 族,IIB 族,VIII族か
ら選ばれる金属、M8 は周期律表のVIII族から選ばれる
金属、X1 〜Xs はそれぞれ水素原子,ジアルキルアミ
ノ基,アルコキシ基,アリールオキシ基,炭素数1〜2
0のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキ
ルアリール基,アリールアルキル基,置換アルキル基,
有機メタロイド基又はハロゲン原子を示し、R21及びR
22はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペン
タジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R23
は炭化水素基を示す。tはM5 ,M6 の原子価で1〜7
の整数、sは2〜8の整数、uはL1 −H,L2 のイオ
ン価数で1〜7の整数、vは1以上の整数,i=u×v
/(s−t)である。〕
【0038】上記L1 で示されるルイス塩基の具体例と
しては、ジメチルエーテル,ジエチルエーテル,テトラ
ヒドロフラン等のエーテル類、テトラヒドロチオフェン
等のチオエーテル類、エチルベンゾエート等のエステル
類、アセトニトリル,ベンゾニトリル等のニトリル類、
トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリブチルアミ
ン,N,N−ジメチルアニリン,2,2’−ビピリジ
ン,フェナントロリン等のアミン類、トリエチルホスフ
ィン,トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、鎖状
不飽和炭化水素としてエチレン,ブタジエン,1−ペン
テン,イソプレン,ペンタジエン,1−ヘキセン及びこ
れらの誘導体、環状不飽和炭化水素としてベンゼン,ト
ルエン,キシレン,シクロヘプタトリエン,シクロオク
タジエン,シクロオクタトリエン,シクロオクタテトラ
エン及びこれらの誘導体などが挙げられる。M5 及びM
6 の具体例としてはB,Al,Si,P,As,Sb
等、M7 の具体例としてはLi,Na,Ag,Cu等、
8 の具体例としてはFe,Co,Ni等が挙げられ
る。X1 〜Xs の具体例としては、例えば、ジアルキル
アミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基、
アルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブト
キシ基、アリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6
−ジメチルフェノキシ基,ナフチルオキシ基、炭素数1
〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プ
ロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,n−オ
クチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数6〜20のア
リール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキ
ル基としてフェニル基,p−トリル基,ベンジル基,ペ
ンタフルオロフェニル基,3,5−ジ(トリフルオロメ
チル)フェニル基,4−ターシャリーブチルフェニル
基,2,6−ジメチルフェニル基,3,5−ジメチルフ
ェニル基,2,4−ジメチルフェニル基,1,2−ジメ
チルフェニル基、ハロゲンとしてF,Cl,Br,l、
有機メタロイド基として五メチルアンチモン基,トリメ
チルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアル
シン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼
素基が挙げられる。R21及びR22の置換シクロペンタジ
エニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニ
ル基,ブチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシ
クロペンタジエニル基が挙げられる。
【0039】上記式〔12〕,〔13〕の化合物の中で、具
体的には、下記のものを特に好適に使用できる。例え
ば、式〔12〕の化合物として、テトラフェニル硼酸トリ
エチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリプロピル
アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ(n−ブチル)
アンモニウム,テトラ(o,p−ジメチルフェニル)硼
酸トリ(n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼
酸トリメチルアンモニウム,テトラ(p−トリフルオロ
メチル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム,テトラ
フェニル硼酸トリフェニルホスホニウム,テトラフェニ
ル硼酸トリ(メチルフェニル)ホスホニウム,テトラフ
ェニル硼酸トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウム,テ
トラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸i−プロピルアン
モニウム,テトラフェニル硼酸ジシクロヘキシルアンモ
ニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエ
チルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)
硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム,ヘキサフルオロ
砒素酸トリエチルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラ(ペン
タフルオロフェニル)硼酸ジエチルアニリニウム,テト
ラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジn−ブチルアニリ
ニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル
ジフェニルアンモニウム,テトラ(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリニウム
などがある。
【0040】一方、式〔13〕の化合物として、テトラフ
ェニル硼酸フェロセニウム,テトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸フェロセニウム,テトラ(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸アセチルフェロセニウム,
テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸ホルミルフェロ
セニウム,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸シア
ノフェロセニウム,テトラフェニル硼酸銀,テトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸銀,テトラフェニル硼酸ト
リチル,テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチ
ル,ヘキサフルオロ砒素酸銀,ヘキサフルオロアンチモ
ン酸銀,テトラフルオロ硼酸銀などがある。ここで用い
る触媒は、前述した(A)成分及び(B)成分を主成分
とするもの、(A)成分,(B)成分及び(D)成分を
主成分とするものの他に、上記(A)成分及び(C)成
分を主成分とするものがあり、また、他の態様としては
上記(A)成分,(C)成分及び(D)成分を主成分と
するものがある。この場合、(A)成分と(C)成分の
添加割合は特に限定されないが、(A)成分:(C)成
分のモル比を、1:0.01〜1:100、特に1:1〜
1:10とすることが好ましい。更に、(A),(C)
成分は予め接触させ、接触生成物を分離,洗浄して使用
してもよく、重合系内で接触させてもよい。また、
(D)成分の使用量は、(A)成分1モルに対し通常0
〜100モルである。(D)成分を用いると重合活性の
向上を図ることができるが、あまり多くても添加量に相
当する効果は発現しない。なお、(D)成分は、(A)
成分,(C)成分あるいは(A)成分と(C)成分との
接触生成物と接触させて用いてもよい。この接触は、予
め接触させてもよく、重合系内へ順次添加して接触させ
てもよい。なお、上記工程1の重合温度,重合時間,重
合方法等については、適宜選定すればよいが、一般に
は、重合温度0〜120℃、好ましくは10〜80℃で
あり、重合時間は1秒〜10時間の範囲で選定すればよ
い。重合方法としては塊状,溶液,懸濁重合のいずれも
可能である。また、溶液重合にあっては、使用できる溶
媒としてはペンタン,ヘキサン,ヘプタンなどの脂肪族
炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ベン
ゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素などが
ある。これらの中でも脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素
が好ましい。この場合、モノマー/溶媒(体積比)は任
意に選択することができる。また、(C)成分の使用量
は、原料モノマー/配位錯体化合物(モル比)が1〜1
9 、特に100〜107 となることが好ましい。
【0041】次いで、上記工程1によりスチレン系共重
合体を製造した後、これにエチレン性不飽和単量体(モ
ノマー)をグラフト重合する工程(工程2)を行う。こ
こにおいて、工程1により得られるスチレン系共重合体
として、その構造は特に限定されない。しかし、前記し
たように不飽和結合を有する炭化水素基含有スチレン系
モノマーとして、スチレン骨格とα−オレフィン骨格を
同一分子中に含有するモノマーを用い、しかも本発明の
製造方法の触媒を用いて共重合体を製造した場合に、こ
のモノマーの共重合比率を比較的に高くしても、架橋反
応を抑制して直鎖の共重合体を効率的に得ることができ
る。この原因について検討した結果、共重合は該モノマ
ーのスチレン骨格ではなくα−オレフィン骨格と共重合
し、スチレン骨格の二重結合が残存している構造である
ことが明らかとなった。このような構造を有する共重合
体は、従来知られていなかった。ここで使用できるエチ
レン性不飽和モノマーは、上記一般式〔3〕で示される
ものであり、この式で表わされる限り、上記スチレン系
共重合体の繰り返し単位と共重合可能なモノマーであれ
ば各種のものがあげられる。これらのモノマーの選定
は、得られるグラフト共重合体の使用目的によって適宜
選定されるが、例えば接着性などの改良のためには、不
飽和カルボン酸またはその誘導体などの極性基を有する
ものが好ましい。また、耐熱性の向上には、マレイミド
またはその誘導体,ノルボルネンなどの環状オレフィン
で、その重合体のガラス転移温度の高いエチレン性不飽
和単量体が好ましい。
【0042】工程2のグラフト重合を行うにあたって
は、工程1により得られたスチレン系共重合体に、必要
に応じて未反応のスチレン系モノマーI,IIや触媒を除
去した後、上述のエチレン性不飽和モノマーを加えて反
応を行う。ここで、このグラフト重合は、通常は重合開
始剤や光照射等にて進行する。このグラフト重合にあた
っては、予めスチレン系共重合体を重合開始剤や光照射
等で活性化した後に、エチレン性不飽和単量体を加えて
もよく、またスチレン系共重合体に、エチレン性不飽和
モノマーを加えるとともに、あるいは加えた後に、重合
開始剤を添加したり、また光等を照射してもよい。
【0043】重合開始剤としては、従来から一般に用い
られている各種のものがあり、例えば、アニオン重合開
始剤,カチオン重合開始剤あるいはラジカル重合開始剤
をあげることができる。また、熱,光(紫外線,可視光
線,赤外線),電子線,放射線等により重合を開始する
ことができる。更に、エチレン,プロピレンのようなα
−オレフィン,スチレン類,環状オレフィン類をグラフ
トする場合は、遷移金属と有機金属を主成分とする触媒
を用いることにより、グラフト化率,グラフト量を高め
ることができる。
【0044】上記アニオン重合開始剤としては、例え
ば、アルカリ金属(Cs,Rb,K,Na,Li),ア
ルカリ金属アルキル(n−ブチルLi ,オクチルK,ジ
ベンジルBa),アルカリ金属芳香族化合物錯体(Na
−ナフタレン),アルカリ金属アミド(KNH2 ,Li
N(C2 5 ) 2 ) などがあげられる。次に、カチオン
重合開始剤としては、例えば、プロトン酸,カルバニウ
ムイオン塩,ハロゲンなどがある。このプロトン酸とし
ては、ハロゲン化水素(HCl,HIなど),オキソ酸
(硫酸,メタンスルホン酸など),超強酸およびその誘
導体(HClO4 ,CF3 SO3 H,ClSO3 H,C
3 COClO4 など),金属酸化物(シリカアルミ
ナ,CrO3 ,MoO3 など)およびその他の固体酸
(ポリスチレンスルホン酸,Nafion−H,硫酸−
硫酸アルミニウム錯体など)がある。また、カルバニウ
ムイオン塩としては、トリフェニルメチル塩(Pb3
+ Base- ),トロピリウム塩(C7 7 + Base
- )(ここで、Base- は、SbCl6 - , SnCl
5 - , PF6 - ,ClO4 - などを示す。)がある。ハ
ロゲンとしてはI2 ,IBrなどがある。さらに、ハロ
ゲン化金属(AlCl3 ,SnCl4 ,SnBr4 ,T
iCl4 ,FeCl3 ,BF3 ,BCl3 など)や有機
金属化合物(RAlCl2 ,R2 AlCl,R3 Al,
2 Zn)(ここで、Rはメチル基,エチル基などのア
ルキル基を示す。)を挙げることができる。
【0045】ラジカル重合開始剤としては、過酸化物,
アゾ化合物およびその他の化合物が挙げられる。ここで
過酸化物としては、例えば過酸化アセチル,過酸化クミ
ル,過酸化tert−ブチル,過酸化プロピオニル,過
酸化ベンゾイル,過酸化2−クロロベンゾイル,過酸化
3−クロロベンゾイル,過酸化4−クロロベンゾイル,
過酸化2,4−ジクロロベンゾイル,過酸化4−ブロモ
メチルベンゾイル,過酸化ラウロイル,過硫酸カリウ
ム,ベルオキシ炭酸ジイソプロピル,テトラリンヒドロ
ベルオキシド,1−フェニル−2−メチルプロピル−1
−ヒドロベルオキシド,過トリフェニル酢酸−tert
−ブチル,tert−ブチルヒドロベルオキシド,過ギ
酸tert−ブチル,過酢酸tert−ブチル,過安息
香酸tert−ブチル,過フェニル酢酸tert−ブチ
ル,過4−メトキシ酢酸tert−ブチル,過N−(3
−トルイル)カルバミン酸tert−ブチルなどがあ
る。アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビス
プロパン;2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプ
ロパン;1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテー
ト;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸
塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸
塩;2,2’−アゾビスイソブタン;2,2’−アゾビ
スイソブチルアミド;2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル/Sn
Cl4 (1/21.5),2,2’−アゾビス−2−メチ
ルプロピオン酸メチル;2,2’−ジクロロ−2,2’
−アゾビスブタン;2,2’−アゾビス−2−メチルブ
チロニトリル;2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル;
2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル/SnCl4 (1
/19.53);1,1’−アゾビス(1−メチルブチロ
ニトリル−3−スルホン酸ナトリウム);2−(4−メ
チルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル;
4,4' −アゾビス−4−シアノ吉草酸;3,5−ジヒ
ドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニト
リル;2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマ
ロノジニトリル;2,2' −アゾビス−2−メチルバレ
ロニトリル;4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジ
メチル;2,2' −アゾビス−2,4−ジメチルバレロ
ニトリル;1,1' −アゾビスシクロヘキサンニトリ
ル;2,2' −アゾビス−2−プロピルブチロニトリ
ル;1,1' −アゾビス−1−クロロフェニルエタン;
1,1' −アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリ
ル; 1,1’−アゾビス−シクロヘプタンニトリル;
1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン;1,1’−
アゾビスクメン;4−ニトロフェニルアゾベンジルシア
ノ酢酸エチル;フェニルアゾジフェニルメタン;フェニ
ルアゾトリフェニルメタン;4−ニトロフェニルアゾト
リフェニルメタン;1,1’−アゾビス−1,2−ジフ
ェニル エタン;ポリ(ビスフェノールA−4,4’−
アゾビス−4−シアノペンタノエート);ポリ(テトラ
エチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレー
ト)などがある。更にその他の化合物としては、1,4
−ビス(ペンタメチレン)−2−テトラゼン;1,4−
ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テト
ラゼン;ベンゼンスルホニルアジドなどがある。遷移金
属と有機金属を主成分とする触媒で、エチレン,プロピ
レンのようなα−オレフィン,スチレン類,環状オレフ
ィン類をグラフト化する場合、遷移金属化合物として
は、前述の一般式〔4〕,〔5〕,〔6〕,〔7〕の他
に、クロム化合物,ニッケル化合物,ニオジュウム化合
物を用いることができる。又、有機金属化合物として
は、前述の一般式〔8〕,
〔9〕のアルミノキサン、一
般式〔10〕の有機アルミニウム化合物を用いることがで
きる。
【0046】グラフト重合工程(工程2)は、上述のよ
うな原料及び開始剤等を用い、適宜条件を選定すること
により、重合反応が進行する。工程1によって得られた
スチレン系共重合体と開始剤との反応条件としては、反
応温度を−100〜200℃、好ましくは−80〜12
0℃の範囲とし、反応時間を1秒〜10時間の範囲で適
宜選定すればよい。また、アルキルリチウムのような開
始剤を工程1で得られたスチレン系共重合体に反応した
後、未反応の残存する開始剤を洗浄することによりグラ
フト効率を高めることができる。又、グラフト鎖を、未
反応のスチレン系モノマーと共重合鎖として形成させる
場合、グラフト前駆体の合成(工程1)後、そのままグ
ラフト開始剤とともに、エチレン性不飽和モノマーを加
えてグラフト反応を行えばよい。ここで、工程1で用い
た触媒が、工程2のグラフト重合過程でも使用可能な場
合、具体的には、エチレン性不飽和モノマーとしてエチ
レン,プロピレンのようなα−オレフィン類、ブタジエ
ン,イソプレンのようなジエン類を用いると、極めて効
率の良いグラフト共重合体の製造が可能となる。工程1
で用いたスチレン系モノマーIIと開始剤との割合は、通
常は後者/前者=1×10-7〜10(モル比)である。
また、グラフト重合の条件は特に制限はなく、各種の状
況に応じて適宜決定することとなる。通常は、工程1で
用いたスチレン系モノマーIIとグラフトすべきエチレン
性不飽和単量体の割合を前者/後者=0.01〜500
(モル比)、好ましくは0.1〜300(モル比)とす
る。また、重合温度は−100℃〜200℃、好ましく
は−80℃〜120℃の範囲とし、重合時間は5秒〜2
4時間の範囲で適宜選定する。
【0047】上記工程2の際の重合方法としては、塊
状,溶液,懸濁重合のいずれも可能である。また、溶液
重合にあっては、使用できる溶媒としてはペンタン,ヘ
キサン,ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサ
ンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン,トルエン,キシレ
ンなどの芳香族炭化水素など、さらには酸素,窒素,硫
黄等のヘテロ原子を含む重合溶媒も使用可能である。こ
こで、用いる溶媒は、上記工程1で用いたものと同じで
あっても、異なってもよい。更に、残存する未反応モノ
マーおよび触媒を除去し、グラフト効率を高めるため
に、洗浄工程を実施することもできる。
【0048】このようにして得られるグラフト共重合体
は、その立体構造は、好ましくは主鎖構造がシンジオタ
クチック構造(詳しくは、スチレン系モノマーIに由来
する繰返し単位とスチレン系モノマーIIに由来する繰返
し単位との共シンジオタクチック構造)、特に好ましく
は高度なシンジオタクチック構造を有するスチレン系の
共重合体である。上記高度なシンジオタクチック構造と
は、立体化学構造が高度なシンジオタクチック構造、即
ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であ
るフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置
する立体構造を有するものであり、そのタクティシティ
ーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)
により定量される。13C−NMR法により測定されるタ
クティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割
合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリ
アッド,5個の場合はペンタッドによって示すことがで
きるが、本発明で言う高度なシンジオタクチック構造を
有するスチレン系共重合体とは、スチレン系繰返し単位
の連鎖において、通常はラセミダイアッド75%以上、
好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで3
0%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシ
ティーを有するものを示す。また、上記グラフト共重合
体の分子量は重合条件等によって様々なものが得られる
が、一般に、GPC〔1,2,4−トリクロロベンゼ
ン,135℃,ポリスチレン換算〕測定における重量平
均分子量で1,000〜3,000,000、好ましくは5,0
00〜2,500,000である。また、グラフト共重合体
におけるグラフト成分の含量が0.005〜99重量%で
あり、かつ1,2,4−トリクロロベンゼン中135℃
で測定した濃度0.05g/dlにおける還元粘度が0.0
1〜20dl/gのものが好ましい。ここで、還元粘度
が小さすぎると重合体としての物性が充分に発現せず、
また大きすぎると成形加工性に劣るものとなる。
【0049】本発明の樹脂組成物は、上述したスチレン
系グラフト共重合体に、熱可塑性樹脂,無機充填剤およ
び有機充填剤の少なくとも一種を配合してなるものであ
る。ここで熱可塑性樹脂としては各種のものがあるが、
例えばポリオレフィン樹脂,ポリスチレン樹脂(シンジ
オタクチック構造のものを含む),縮合系高分子,付加
重合系高分子などがある。ポリオレフィン樹脂の具体例
としては、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,
ポリ−3−メチル−ブテン−1,ポリ−4−メチル−ペ
ンテン−1、もしくはコモノマー成分としてブテン−
1;ヘキセン−1;オクテン−1;4−メチルペンテン
−1;3−メチルブテン−1などを用いて得られる直鎖
状低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合
体,エチレン−アクリル酸共重合体,エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体,エチレン系アイオノマー,ポリ
プロピレンなどが挙げられる。ポリスチレン樹脂の具体
例としては、汎用ポリスチレン,アイソタクチックポリ
スチレン,シンジオタクチックポリスチレン,ハイイン
パクトポリスチレン(ゴム変性)などが挙げられる。縮
合系高分子の具体例としては、ポリアセタール樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ナイロン6,ナイロン6・6など
のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリ
ブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリ
フェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホ
ン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンス
ルフィド樹脂などが挙げられる。付加重合系高分子の具
体例としては、極性ビニルモノマーからなる重合体、ジ
エンからなる重合体などであり、ポリメチルメタクリレ
ート,ポリアクリロニトリル,アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体,アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体、またジエン鎖を水添したものなどを含
む。さらに、熱可塑性のエラストマーであってもよい。
これら熱可塑性樹脂は、1種又は2種以上用いることが
できる。
【0050】次に無機充填剤あるいは有機充填剤として
は、金属,セラミックス,ガラス,紙,繊維および木な
ど、特に制限はなく公知のものが用いられ、その形状も
粒状,粉状,液状,ウィスカー,繊維状など様々であ
る。具体的には、アルミニウム,銅,鉄,ニッケル,ス
ズ,クロム,銀,ステンレス鋼,ジュラルミン,真鍮,
シリカ,ケイ藻土,アルミナ,酸化チタン,酸化アルミ
ニウム,酸化亜鉛,酸化スズ,酸化ケイ素,酸化ジルコ
ニウム,チタン酸バリウム,硫化カドニウム,窒化ケイ
素,酸化マグネシウム,軽石粉,軽石バルーン,水酸化
アルミニウム,窒化アルミニウム,水酸化マグネシウ
ム,塩基性炭酸マグネシウム,ドロマイト,硫酸カルシ
ウム,チタン酸カリウム,チタン酸バリウム,硫酸バリ
ウム,亜硫酸カルシウム,タルク,クレー,マイカ,ア
スベスト,ガラス繊維,ガラスフレーク,ガラスビー
ズ,ケイ酸カルシウム,モンモリロナイト,ベントナイ
ト,カーボンブラック,ダイアモンド,グラファイト,
アルミニウム粉,フェライト,硫化モリブデン,炭化ケ
イ素,炭化チタン,炭素繊維,ボロン繊維,炭化ケイ素
繊維,超高分子量ポリエチレン繊維,ポリプロピレン繊
維,ポリエステル繊維,ポリアミド繊維,ケブラー繊
維,金属繊維などを例示できる。
【0051】また、本発明の樹脂組成物には、さらに必
要に応じて各種添加剤を加えることができる。例えば、
耐熱安定剤,耐候安定剤,帯電防止剤,スリップ剤,ア
ンチブロッキング剤,防曇剤,滑剤,発泡剤,染料,顔
料,天然油,合成油,ワックスなどを配合することがで
き、その配合量は適宜量である。例えば、任意成分とし
て配合される安定剤として具体的には、テトラキス〔メ
チレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕メタン;β−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸
アルキルエステル;2,2’−オキザミドビス〔エチル
−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)〕プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、
ステアリン酸亜鉛;ステアリン酸カルシウム;12−ヒ
ドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、
グリセリンモノステアレート;グリセリンモノラウレー
ト;グリセリンジステアレート;ペンタエリスリトール
モノステアレート;ペンタエリスリトールジステアレー
ト;ペンタエリスリトールトリステアレートなどの多価
アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
これらは、単独で配合してもよいが、組合せて配合して
もよく、例えばテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタンとステアリン酸亜鉛およびグリセリンモノス
テアレートとの組合せなどを例示することができる。
【0052】本発明の樹脂組成物において、スチレン系
グラフト共重合体と熱可塑性樹脂との配合割合は、状況
により異なり一義的に定めることはできないが、通常は
次のように定められる。熱可塑性樹脂がシンジオタクチ
ック構造を有するスチレン系重合体(SPS)の場合
は、SPSの欠点である接着性,相溶化能を補足するこ
とが主目的であるため、組成物中のグラフト鎖成分は多
量に必要としない。従って、グラフト鎖成分の少ないス
チレン系グラフト共重合体との組成物では、SPSの配
合量は比較的少なく、一方、グラフト鎖成分の多いスチ
レン系グラフト共重合体との組成物では、SPSの配合
量は多くなる。熱可塑性樹脂がSPS以外の場合は、S
PSの特性を活用するため、スチレン系グラフト共重合
体のグラフト鎖成分含有量は比較的少ない方が好まし
い。さらに、スチレン系グラフト共重合体に、SPSと
他の熱可塑性樹脂とを加える場合は、該スチレン系グラ
フト共重合体は、SPSと他の熱可塑性樹脂との相溶化
剤として作用するものであるため、グラフト鎖成分含有
量は樹脂の組合せによって最適範囲を決定すればよい。
これらを考慮して、本発明の樹脂組成物におけるスチレ
ン系グラフト共重合体と熱可塑性樹脂との配合割合は、
通常はスチレン系グラフト共重合体0.5〜99.5重量%
であり、熱可塑性樹脂99.5〜0.5重量%である。一
方、本発明の樹脂組成物において、スチレン系グラフト
共重合体と無機充填剤あるいは有機充填剤を配合する場
合は、通常はスチレン系グラフト共重合体20〜95重
量%、好ましくは40〜90重量%であり、無機充填剤
あるいは有機充填剤80〜5重量%、好ましくは60〜
10重量%である。また、本発明の樹脂組成物において
は、スチレン系グラフト共重合体に、熱可塑性樹脂とと
もに無機充填剤や有機充填剤を配合することもできる
が、この場合の配合割合は、通常は前記スチレン系グラ
フト共重合体と熱可塑性樹脂からなる組成物20〜95
重量%、好ましくは40〜90重量%であり、無機充填
剤あるいは有機充填剤80〜5重量%、好ましくは60
〜10重量%である。なお、このような樹脂組成物を調
製するに際しては、様々な手法があるが、通常は従来か
ら行われている溶融混練によればよい。ここで混練方法
としては、バンバリーミキサー,単軸又は二軸押し出し
機,ニーダー,連続ミキサー,ミキシングロールなど公
知の手段にて行えばよい。また、良溶媒を用いた溶液ブ
レンドで行ってもよい。
【0053】
【実施例】次に本発明を、実施例及び比較例によりさら
に詳しく説明する。 実施例1 (1)メチルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積500mlのガラス製容器に、
トルエン200ml,硫酸銅5水塩(CuSO4 ・5H
2 O)17.7g( 71ミリモル)及びトリメチルアルミ
ニウム24ml(250ミリモル)を入れ、40℃で8
時間反応させた。その後、固体成分を除去して得られた
溶液から、さらにトルエンを減圧留去して触媒生成物6.
7gを得た。このものの凝固点降下法により測定した分
子量は610であった。また、特開昭62−32539
1号公報に基づくプロトン核磁気共鳴( 1H−NMR)
測定による高磁場成分、すなわち室温下トルエン溶液中
でそのプロトン核磁気共鳴スペクトルを観測すると(A
l−CH3 ) 結合に基づくメチルプロトンシグナルはテ
トラメチルシラン基準において1.0〜−0.5ppmの範
囲にみられる。テトラメチルシランのプロトンシグナル
は(0ppm)がAl−CH3 結合に基づくメチルプロ
トンに基づく観測領域にあるため、このAl−CH3
合に基づくメチルプロトンシグナルをテトラメチルシラ
ン基準におけるトルエンのメチルプロトンシグナル2.3
5ppmを基準にして測定し、高磁場成分(すなわち、
−0.1〜−0.5ppm)と他の磁場成分(すなわち1.0
〜−0.1ppm)とに分けたときに、該高磁場成分が全
体の43%であった。
【0054】(2)スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体の製造 内容積0.5リットルの攪拌機付き反応容器を、窒素で置
換したのち70℃に加熱し、これに十分に乾燥したトル
エン50mlとスチレン50mlとジビニルベンゼン含
有モノマー(ジビニルベンゼン(m−,p−体混合物)
66.1重量%,エチルスチレン(m−,p−体混合物)
33.9重量%)0.1mlとの混合物を加え、上記(1)
で得られたメチルアルミノキサン1.5mMとトリイソブ
チルアルミニウム(TIBA)1.5mMを加え、30分
間攪拌を行った。次いで、ペンタメチルシクロペンタジ
エニルチタニウムトリメトキシドを0.003mM加え、
2時間反応を行った。反応終了後、多量のヘキサンを投
入しデカンテーション法による共重合体の洗浄を行っ
た。その後、全容を100mlとし、50℃でノルマル
ブチルリチウムのヘキサン溶液3.0mMを加え、2時間
反応した。その後、同様にしてデカンテーション法によ
って、未反応のノルマルブチルリチウムを洗浄除去し
た。
【0055】(3)グラフト共重合体(A)の製造 得られた共重合体を−78℃に冷却し、ヘキサンで全容
を100mlとした後、グリシジルメタクリレート30
mlを添加し、12時間グラフト共重合を行った。反応
終了後、得られたグラフト共重合体を多量のメタノール
に投入し、洗浄,乾燥して、グラフト共重合体17.8g
を得た。得られたグラフト共重合体は、メチルエチルケ
トンを抽出溶媒としてソックスレー抽出を行った結果、
93%が不溶部であった。また、不溶部のグラフト共重
合体の1,2,4−トリクロロベンゼン中135℃で測
定した濃度0.05g/dlにおける還元粘度は2.08d
l/gであった。さらに、示差走査熱量計(セイコー電
子(株)製:DSC−200)を用い、得られたグラフ
ト共重合体のサンプル5.7mgを50℃から310℃ま
で20℃/分の速度で昇温した後、310℃から30℃
に降温した。このサンプルを再度30℃から310℃ま
で20℃/分の速度で昇温した際の吸熱パターンを観察
した。その結果、グラフト共重合体は263℃に溶融温
度を有していた。また、同位体炭素による核磁気共鳴(
13C−NMR)測定の結果から、シンジオタクティシテ
ィはで95%以上であった。 1H−NMRの結果から、
上記グラフト共重合体の組成は、スチレン単位55重量
%,グリシジルメタクリレート45重量%であった。
【0056】(4)グラフト共重合体(B)の製造 実施例1(3)において、グラフト成分としてグリシジ
ルメタクリレートの代わりに無水マレイン酸2g,スチ
レン2.1gを用い、ノルマルブチルリチウムの代わりに
ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド50
mgを用いた以外は同様にして70℃で4時間グラフト
共重合を行った。その結果、グラフト共重合体6.73g
を得た。得られたグラフト共重合体は、メチルエチルケ
トンを抽出溶媒としてソックスレー抽出を行った結果、
98%が不溶部であった。また、不溶部のグラフト共重
合体の1,2,4−トリクロロベンゼン中135℃で測
定した濃度0.05g/dlにおける還元粘度は2.30d
l/gであった。さらに、示差走査熱量計(セイコー電
子(株)製:DSC−200)を用い、得られたグラフ
ト共重合体のサンプル5.7mgを50℃から310℃ま
で20℃/分の速度で昇温した後、310℃から30℃
に降温した。このサンプルを再度30℃から310℃ま
で20℃/分の速度で昇温した際の吸熱パターンを観察
した。その結果、グラフト共重合体は263℃に溶融温
度を有していた。また、13C−NMRの結果から、シン
ジオタクティシティはで93%以上であった。 1H−N
MRの結果から、上記グラフト共重合体の組成は、スチ
レン単位97重量%,無水マレイン酸3重量%であっ
た。
【0057】(5)樹脂組成物の製造 実施例1(3),(4)で得られたグラフト共重合体
(A),(B)を用い、第1表に示す割合で混合し、小
型成形機(Custom Scientific Instrument Inc製:Mo
del CS−183)で300℃,5分間混練し、そ
の後押出によりストランドを成形した。ストランドの破
断面を電子顕微鏡写真(×1000)を図1〜7に示
す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】実施例2 (1)スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の製造 内容積4.0リットルの攪拌機付き反応容器を、窒素で置
換したのち70℃に加熱し、これに十分に乾燥したトル
エン250mlとスチレン1000mlとジビニルベン
ゼン含有モノマー(ジビニルベンゼン(m−,p−体混
合物)66.1重量%,エチルスチレン(m−,p−体混
合物)33.9重量%)6.2mlとの混合物を加え、前記
実施例(1)で得られたメチルアルミノキサン8.5mM
とTIBA8.5mMを加え、30分間攪拌を行った。次
いで、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムト
リメトキシドを0.043mM加え、5時間反応を行っ
た。その後、メタノールを注入して反応を停止した。次
に、塩酸とメタノールの混合液を加えて触媒成分を分解
した。さらに、得られたスチレン系共重合体を、メチル
エチルケトン(p−t−ブチルカテコール2重量%含
有)で50℃にて4時間洗浄したところ、97%が不溶
分であった。このメチルエチルケトンに不溶なスチレン
系共重合体を、クロロホルムに溶解し、可溶分よりスチ
レン系共重合体のクロロホルム溶液を得た。このクロロ
ホルムに可溶なスチレン系共重合体の重量平均分子量は
724,000、数平均分子量は243,000であった。
また、このスチレン系共重合体が、シンジオタクチック
構造の熱反応性スチレン系共重合体であることを、赤外
線吸収スペクトル(IR),DSCおよびNMRの結果
から証明する。 (a)IRによる測定 上記のスチレン系共重合体のIRスペクトルのうち、ジ
ビニルベンゼンの重合部位に残っている二重結合のピー
クは、1630cm-1により確認できた。 (b)DSCによる測定 上記のスチレン系共重合体を充分に乾燥させた後、DS
Cの測定(DSC−II:パーキンエルマー社製)の測定
を行った結果、スチレン系共重合体は263℃に溶融温
度を有していた。 (c)NMRによる測定 上記のスチレン系共重合体の13C−NMRスペクトルを
測定した結果、この芳香環C1 炭素シグナルが、 145.
1ppm, 144.9ppm, 142.3ppmに観察され
た。このシグナルから、上記のスチレン系共重合体の立
体構造は、シンジオタクチック構造であることが確認で
きた。
【0061】(2)n−フェニルマレイミド(nPM
I)グラフト共重合体(C)の製造 前記実施例2(1)で得られたスチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体をトルエン、次いでメタノールで充分洗浄
し、40℃で減圧乾燥を行った。その後、内容積1.0リ
ットルの攪拌機付反応器にスチレン−ジビニルベンゼン
共重合体を140g投入し、窒素で置換した。次いで、
充分に乾燥したトルエン420ミリリットルを加え、5
0℃で加熱し、系内を緩やかに攪拌した。1時間後、前
記系に充分に乾燥したテトラヒドロフラン(THF)2
00ミリリットルにnPMI(174.8g)を溶解させ
た溶液と、同様に乾燥させたTHF(30ミリリット
ル)にラジカル開始剤としてアゾビスイソブチロニトリ
ル(AIBN)2.13gを溶解させた溶液を加えた。系
内の温度を70℃に昇温後、反応を5時間行い、メタノ
ールを投入し反応を停止させた。得られたnPMIグラ
フト共重合体をアセトン(nPMIモノマーの良溶媒)
およびN,N−ジメチルホルムアミド(ポリnPMIモ
ノマーの溶剤)で充分に洗浄を行った。得られたnPM
Iグラフト共重合体は200gであり、上記洗浄処理に
対して90%が不溶であった。上記のnPMIグラフト
共重合体のIRスペクトルのうち、1630cm-1のジ
ビニルベンゼンの二重結合に基づくピークが消失し、新
たに1710cm-1にnPMIのカルボニル単位による
ピークの出現が確認できた。また、不溶部のグラフト共
重合体の1,2,4−トリクロロベンゼン中135℃で
測定した濃度0.05g/dlにおける還元粘度は3.97
dl/gであった。上記のグラフト共重合体の13C−N
MRスペクトルを測定した結果、この芳香環C1 炭素シ
グナルが、 145.1ppm, 144.9ppm, 142.3
ppmに観察された。このシグナルから、上記のスチレ
ン系共重合体の立体構造は、シンジオタクチック構造で
あることが確認できた。また、同位体炭素による核磁気
共鳴スペクトル(13C−NMR)の結果から、シンジオ
タクティシティはで94%以上であった。プロトン核磁
気共鳴スペクトル( 1H−NMR)の結果から、上記n
PMIグラフト共重合体の含量は30.3重量%であっ
た。上記のグラフト共重合体を充分に乾燥させた後、D
SCの測定(DSC−II:パーキンエルマー社製)の測
定を行った結果、スチレン系共重合体は258℃に溶融
温度を有していた。
【0062】(3)n−シクロヘキシルマレイミド(n
CMI)グラフト共重合体(D)の製造 前記実施例2(2)のグラフト共重合体(C)の製造に
おいて、グラフトモノマーとしてnCMI(47.2g)
を用いた以外は同様にしてグラフト共重合を行った。得
られたnCMIグラフト共重合体は162gであり、上
記洗浄処理に対して88%が不溶であった。また、不溶
部のグラフト共重合体の1,2,4−トリクロロベンゼ
ン中135℃で測定した濃度0.05g/dlにおける還
元粘度は2.07dl/gであった。上記のグラフト共重
合体の13C−NMRスペクトルを測定した結果、この芳
香環C1 炭素シグナルが、 145.1ppm, 144.9p
pm, 142.3ppmに観察された。このシグナルか
ら、上記のスチレン系共重合体の立体構造は、シンジオ
タクチック構造であることが確認できた。また、13C−
NMRの結果から、シンジオタクティシティはで90%
以上であった。 1H−NMRの結果から、上記nCMI
グラフト共重合体の含量は13.5重量%であった。上記
のグラフト共重合体を充分に乾燥させた後、DSCの測
定(DSC−II:パーキンエルマー社製)の測定を行っ
た結果、スチレン系共重合体は264℃に溶融温度を有
していた。
【0063】(4)ノルボルネングラフト共重合体
(E)の製造 内容積1.0リットルの攪拌機付き反応容器に、実施例2
(1)で得られたスチレン系共重合体80gを投入し、
窒素で置換した。次いで、これに十分に乾燥したトルエ
ン420mlを加え、50℃に加熱して系内を緩やかに
攪拌した。1時間後、系内にニッケルアセチルアセトナ
ート溶液0.75mlとチルアルミノキサン3ミリモルを
加え、さらにノルボルネントルエン溶液60ml(6.7
モル/l)を加えた後、50℃で6時間反応を継続し
た。その後、メタノールを注入して反応を停止した。次
に、塩酸とメタノールの混合液を加えて触媒成分を分解
した。さらに、メタノールで洗浄を行った後、減圧乾燥
を行った。得られたグラフト共重合体は109gであ
り、洗浄処理(トルエン,80℃,6時間)に対して9
0%が不溶であった。上記のグラフト共重合体のIRス
ペクトルのうち、当初1630cm-1に観測されたジビ
ニルベンゼンのビニル基による二重結合のピークは消失
し、新たに1298cm-1にノルボルネン連鎖によるピ
ークが観測できた。また、このグラフト共重合体の1,
2,4−トリクロロベンゼン中135℃で測定した濃度
0.05g/dlにおける還元粘度は2.10dl/gであ
った。上記のグラフト共重合体の13C−NMRスペクト
ルを測定した結果、この芳香環C1 炭素シグナルが、 1
45.1ppmに観察された。このシグナルから、上記の
スチレン系共重合体の立体構造は、シンジオタクチック
構造であることが確認できた。また、13C−NMRの結
果から、シンジオタクティシティはで92%であった。
1H−NMRの結果から、スチレンとノルボルネンとの
重量比は73.7:26.3であった。上記のグラフト共重
合体を充分に乾燥させた後、DSCの測定(DSC−I
I:パーキンエルマー社製)の測定を行った結果、スチ
レン系共重合体の溶融温度は258℃,ガラス転移温度
は104℃であった。
【0064】(5)樹脂組成物の製造 実施例2(2),(3),(4)で得られたグラフト共
重合体(C),(D),(E)を用い、第2表に示す割
合で混合し、小型成形機(Custom ScientificInstrumen
t Inc製:Model CS−183)で300℃,5
分間混練し、その後押出によりストランドを成形した。
得られたストランドの破断面を電子顕微鏡写真(×10
00)を図8〜14に示す。また、実施例2(1),2
(5)および比較例5については、300℃で射出成形
した試験片の熱変形温度,曲げ弾性率の測定結果を第3
表に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【発明の効果】以上の如く、本発明の樹脂組成物は、S
PSの持つ長所である機械的性質,熱的性質,化学的安
定性等を保有し、相溶性,接着性にすぐれたものであ
る。したがって、このスチレン系共重合体を含む樹脂組
成物は、フィルム,シート(特にスタンパブルシー
ト),容器,包装材をはじめ、自動車部品,電気・電子
部品等様々な分野で幅広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1(1)で得られた樹脂組成物のストラ
ンドの破断面の顕微鏡写真である。
【図2】実施例1(2)で得られた樹脂組成物のストラ
ンドの破断面の顕微鏡写真である。
【図3】実施例1(3)で得られた樹脂組成物のストラ
ンドの破断面の顕微鏡写真である。
【図4】実施例1(4)で得られた樹脂組成物のストラ
ンドの破断面の顕微鏡写真である。
【図5】比較例1で得られた樹脂組成物のストランドの
破断面の顕微鏡写真である。
【図6】比較例2で得られた樹脂組成物のストランドの
破断面の顕微鏡写真である。
【図7】比較例3で得られた樹脂組成物のストランドの
破断面の顕微鏡写真である。
【図8】実施例2(1)で得られた樹脂組成物のストラ
ンドの破断面の顕微鏡写真である。
【図9】実施例2(2)で得られた樹脂組成物のストラ
ンドの破断面の顕微鏡写真である。
【図10】実施例2(3)で得られた樹脂組成物のスト
ランドの破断面の顕微鏡写真である。
【図11】実施例2(4)で得られた樹脂組成物のスト
ランドの破断面の顕微鏡写真である。
【図12】実施例2(5)で得られた樹脂組成物のスト
ランドの破断面の顕微鏡写真である。
【図13】比較例4で得られた樹脂組成物のストランド
の破断面の顕微鏡写真である。
【図14】比較例5で得られた樹脂組成物のストランド
の破断面の顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5:00) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 51/00 C08L 101/00 C08K 13/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系モノマーおよび不飽和結合を
    有する炭化水素基含有スチレン系モノマーからなる共重
    合体にエチレン性不飽和モノマーをグラフト重合してな
    るスチレン系グラフト共重合体と、熱可塑性樹脂,無機
    充填剤および有機充填剤の少なくとも一種からなる樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 スチレン系モノマーおよび不飽和結合を
    有する炭化水素基含有スチレン系モノマーからなる共重
    合体が、シンジオタクチック構造を有するものである請
    求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 スチレン系グラフト共重合体のグラフト
    成分の含量が0.005〜99重量%であり、かつ1,
    2,4−トリクロロベンゼン中135℃で測定した濃度
    0.05g/dlにおける還元粘度が0.01〜20dl/
    gである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 スチレン系モノマーが、一般式〔1〕 【化1】 〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子又は炭素原子,
    酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン原
    子,ケイ素原子および錫原子のいずれか1種以上を含む
    置換基を示し、mは1〜3の整数を示す。但し、mが複
    数のときは、各R1 は同一でも異なるものであってもよ
    い。〕で表わされるスチレンモノマーIであり、不飽和
    結合を有する炭化水素基含有スチレン系モノマーが、一
    般式〔2〕 【化2】 〔式中、R2 は不飽和結合を有する炭化水素基を示し、
    nは1又は2の整数を示す。R1 およびmは上記と同じ
    である。〕で表わされるスチレンモノマーIIであり、エ
    チレン性不飽和モノマーが、一般式〔3〕 【化3】 〔式中、Q1 ,Q2 ,Q3 およびQ4 はそれぞれ水素原
    子,ハロゲン原子または炭素原子,酸素原子,窒素原
    子,硫黄原子,リン原子,セレン原子,ケイ素原子およ
    び錫原子のいずれか1種以上を含む置換基を示し、これ
    らQ1 〜Q4 は同一でも異なるものであってもよい。〕
    で表わされるものであり、かつスチレン系グラフト共重
    合体が1,2,4−トリクロロベンゼン中、濃度0.05
    g/dl,135℃の還元粘度0.01〜20dl/g,
    グラフト成分含量が0.005〜99重量%である請求項
    1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
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