JP3085009B2 - 後輪制動力制御装置 - Google Patents

後輪制動力制御装置

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JP3085009B2
JP3085009B2 JP05052260A JP5226093A JP3085009B2 JP 3085009 B2 JP3085009 B2 JP 3085009B2 JP 05052260 A JP05052260 A JP 05052260A JP 5226093 A JP5226093 A JP 5226093A JP 3085009 B2 JP3085009 B2 JP 3085009B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、前輪制動力と後輪制動
力との配分を制御する後輪制動力制御装置に関し、特
に、後輪のロックを防止しつつ、前輪側での制動上の負
担を軽減できる後輪制動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のブレーキ装置は、典型的には、ド
ライバによるブレーキペダルの踏み込み操作に応じてマ
スタシリンダで発生したブレーキ液圧(以下、マスタシ
リンダ圧という)を4輪のホィールシリンダに伝達して
各輪に制動力を加えるようになっている。この種のブレ
ーキ装置を搭載した車両の走行中に、大きい踏み込み量
のブレーキペダル操作に応じて各輪に大きい制動力が加
わると、車両の減速度が大きくなって後輪荷重が減少
し、このため後輪の接地性が低下する。この様に後輪の
接地性が低下した状況下で、マスタシリンダ液圧を前輪
と後輪のホィールシリンダにほぼ同じ配分で分配して伝
達すると、後輪が先にロックし、従って、車両の制動安
定性が悪くなるという問題がある。
【0003】後輪先ロックによる制動不安定化を解消す
るため、従来、プロポーショニングバルブ(PCV)を
ブレーキ装置に組み込むことが知られ、例えば、2つの
PCVの各々を、マスタシリンダの液圧発生部の対応す
る一方と後輪の対応する一方とを接続する配管に介設し
ている。PCVは、制動力が小さいときはマスタシリン
ダ圧をそのまま後輪のホィールシリンダに伝達する一
方、マスタシリンダ圧が設定圧力以上になると後輪のホ
ィールシリンダへ伝達される液圧の上昇率を下げるよう
に機能する。
【0004】すなわち、PCVをブレーキ装置に組み込
んだ場合、後輪制動力は、PCVへの入力液圧が設定圧
力以下である小制動力領域では前輪制動力の増大につれ
て大きい割合で増大する一方、PCVへの入力液圧が設
定圧力を越える大制動力領域では前輪制動力の増大につ
れて小さい割合で増大する。換言すると、PCVを組み
込んだブレーキ装置の制動力配分特性を表す曲線を後輪
制動力および前輪制動力を縦軸及び横軸にとって示した
場合、この制動力配分曲線は、小制動力領域に対応し傾
きが大きい第1の直線と大制動力領域に対応し傾きが小
さい第2の直線とからなる。
【0005】従来のブレーキ装置の制動力配分特性は、
制動時に4輪が同時にロックするような制動力配分(理
想制動力配分)に比べて後輪への制動力配分が小さくな
るように設定され、これにより後輪先ロックによる制動
安定性の悪化を防止している。すなわち、従来の制動力
配分曲線は、理想制動力配分曲線に関して横軸側にくる
ように設定されている。つまり、後輪制動力は理想制動
力よりも常に小さい値になる。その一方で、従来の制動
量配分曲線あるいは理想制動力配分曲線で定まる値より
も大きい値の制動力を後輪に加えても、後輪は必ずしも
ロックしない。言い替えれば、従来のブレーキ装置は、
後輪制動力を増大させる余地があっても、その分だけ前
輪制動力に負担をかけて総合制動力を発生させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように前輪制動力
に負担をかけすぎると、前輪ブレーキ装置のブレーキパ
ッドの摩耗を増大させるだけでなく発熱量が増大するた
めブレーキパッドの摩擦係数が急激に減少するフェード
減少や、ブレーキ液温度の上昇によるペーパロック減少
が発生しやすくなり、更に、制動時のノーズダイブの発
生を招来して制動安定性が悪化する。
【0007】又、上記不具合を解消すべく、ブレーキ装
置の制動力配分特性を、制動力配分曲線の小制動力領域
側部分が理想制動力配分曲線に関して横軸の反対側にく
るように設定して、後輪制動力が理想制動力よりも大き
い値になるようにすると、低μ路での制動時に後輪がロ
ックしやすくなる。この場合、後輪のロックを未然に防
止するために、アンチスキッドブレーキ(ABS)シス
テムを用いるというような手当てが必須になり、ブレー
キ装置のコストが増大する。
【0008】そこで、本発明は、車両の制動条件に応じ
て後輪への制動力の配分を制御することにより、後輪の
制動力を増大させる余地がある場合には後輪への制動力
配分を大きくして制動性能及び制動安定性を向上させ、
しかもアンチスキッドブレーキシステムに頼らないで後
輪制動力の減圧を可能として、後輪のロックを未然に防
止できる後輪制動力制御装置を安価に提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、マスタシリン
ダと左右後輪のホィールシリンダとを接続する流路に
けられて、マスタシリンダ圧の上昇度合に対するホィー
ルシリンダ圧の上昇度合が小さくなるようにホィールシ
リンダ圧を制御するプロポーショニングバルブと、上記
流路のプロポーショニングバルブの上流側と下流側とに
接続されてプロポーショニングバルブと並設されるバイ
パス路に設けられるバイパス弁とを備え、制動度合に応
じてバイパス弁を開閉制御して、プロポーショニングバ
ルブの機能を選択的に有効又は無効にするようにした後
輪制動力制御装置において、上記流路のプロポーショニ
ングバルブの下流側に接続されて、ホィールシリンダ圧
を減少可能な減圧手段を備え、後輪がロックするおそれ
が生じないときには、減圧手段を非作動状態として、制
動度合いに応じて上記バイパス弁を開閉制御し、後輪が
ロックするおそれが生じたときには、減圧手段を作動状
態にすると共にバイパス弁を閉制御するようにしたこと
を特徴とする。
【0010】好ましくは、減圧手段は、上記流路のプロ
ポーショニングバルブの下流側に連通される減圧弁と、
シリンダ内に摺動自在に配されたピストンを有すると共
にピストンの両半部を小径及び大径に夫々設けてなるシ
リンダ・ピストン機構とを備え、ピストンの小径半部と
シリンダとにより画成される小径シリンダ室は、プロポ
ーショニングバルブの上流側に連通され、ピストンの大
径半部とシリンダとにより画成される大径シリンダ室
は、減圧弁に連通されており、後輪がロックするおそれ
が生じたときに減圧弁を開状態とする。
【0011】好ましくは、シリンダ・ピストン機構は、
ピストンを上記大径半部の受圧面の側へ付勢するスプリ
ングを備える。
【0012】好ましくは、ピストンの小径半部側の受圧
面積に対するピストンの大径半部側の受圧面積の比が、
マスタシリンダ圧−後輪制動力特性線の勾配で表される
第1項と、スプリングのばね定数の関数で表される第2
項との和で表されるように、両前記受圧面積を設定す
る。
【0013】
【作用】車両制動時の制動度合が小さいと、プロポーシ
ョニングバルブの下流側に接続された減圧手段は非作動
状態にされる。また、バイパス弁が開いて、プロポーシ
ョニングバルブの圧力制御作用が無効にされて後輪制動
力配分が高くなり、制動性能が向上する。一方、制動度
合が大きいと、減圧手段を非作動状態に維持しつつバイ
パス弁が閉じる。この結果、プロポーショニングバルブ
の作用が有効にされて、マスタシリンダ圧の増大に伴う
ホィールシリンダ圧の上昇度合が減少し、後輪制動力配
分が減少して制動安定性が向上する。
【0014】更に、後輪がロックするおそれが生じる
と、バイパス弁が閉じると共にプロポーショニングバル
ブの下流側の減圧手段が作動状態にされる。そして、減
圧手段のホィールシリンダ圧減少作用により後輪ホィー
ルシリンダ圧が低下する結果、後輪のロックが未然に防
止される。
【0015】減圧手段を減圧弁とシリンダ・ピストン機
構とで構成した本発明の好適態様では、後輪がロックす
るおそれが生じると、減圧弁が開状態にされ、プロポー
ショニングバルブの下流側のブレーキ液圧が、減圧弁を
介して、シリンダ・ピストン機構の大径半部側のシリン
ダ室内に供給される。この結果、シリンダ・ピストン機
構のピストンの大径半部側の受圧面積とプロポーショニ
ングバルブ下流側のブレーキ液圧との積と、該ピストン
の小径半部側の受圧面積とプロポーショニングバルブ上
流側のブレーキ液圧との積とが釣り合う平衡位置にまで
ピストンが移動し、これにより、後輪ホィールシリンダ
圧が低下する結果、後輪のロックが未然に防止される。
【0016】また、シリンダ・ピストン機構にスプリン
グを設けると共にピストンの小径半部側及び大径半部側
のそれぞれの受圧面積をマスタシリンダ圧−後輪制動力
特性線とスプリングのばね定数とに基づいて設定した本
発明の好適態様では、減圧弁が開状態にあるか否かに応
じて前後輪間の制動力配分を変化させることができる。
例えば、減圧弁が閉じているときに前輪制動力よりも後
輪制動力が大きい制動力配分が実現され、減圧弁の開作
動によりシリンダ・ピストン機構のピストンが平衡位置
まで移動したときに、前輪制動力よりも後輪制動力が小
さい制動力配分が実現される。従って、後輪がロックす
るおそれがあるとき単に減圧弁を開作動させるだけで、
後輪先ロックを防止可能とする所要の制動力配分を自動
的に実現可能となる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例による後輪制動力制
御装置を装備したブレーキ装置について説明する。図1
に示すように、ブレーキ装置は、前輪駆動(FF)車に
適用されるX配管式のもので、ブレーキペダル51を備
え、ブレーキ51の踏み力を倍力装置52を介して増幅
した後、タンデムのマスタシリンダ53に伝達するよう
になっている。マスタシリンダ53は、ブレーキペダル
51の踏み込み量に応じたブレーキ液圧を発生するため
の2つの液圧発生部(図示略)を備えている。一方の液
圧発生部は、配管54を介して左前輪のホィールシリン
ダ551に接続されると共に、配管54の途中から分岐
した配管56を介して右後輪のホィールシリンダ554
に接続され、配管56にはPCV572が設けられてい
る。又、他方の液圧発生部は、配管58を介して右前輪
のホィールシリンダ552に接続されると共に、配管5
8の途中から分岐した配管59を介して左後輪のホィー
ルシリンダ553に接続され、配管59にはPCV571
が設けられている。
【0018】PCV571及び572は、制動力が小さい
ときはマスタシリンダ圧をそのまま後輪のホィールシリ
ンダに伝達する一方、マスタシリンダ圧が設定圧力(閉
圧力)以上になるとマスタシリンダ圧の上昇率に対する
後輪ホィールシリンダ圧の上昇率を下げるように機能す
る従来公知のプロポーショニングバルブである。配管5
9上においてPCV571の上流側と下流側との間には
バイパス管60が設けられ、同様に、配管56上におい
てPCV572の上流側と下流側との間にはバイパス管
61が設けられている。バイパス管60,61には、例
えば常閉型電磁開閉弁からなるPCVバイパスバルブ6
2,63が夫々設けられ、バルブ62,63によりPC
V571,572の圧力制御作用を選択的に有効または無
効とするようにしている。即ち、PCVバイパスバルブ
62または63を開けておくと、マスタシリンダ53か
らの液圧は、PCV571または572をバイパスしてホ
ィールシリンダ553または554に供給されるため、P
CV571または572は機能しない。一方、PCVバイ
パスバルブ62または63を閉じると、PCV571ま
たは572が機能する。
【0019】本実施例では、PCVバイパスバルブ6
2,63を閉じるべき設定圧力を可変設定するように
し、これによりPCV571,572が作動を開始するマ
スタシリンダ圧を変化させて、後輪への制動力配分を制
御可能としている。詳しくは、本実施例装置は、図2に
斜線で示した領域で後輪制動力を制御可能とし、理想制
動力配分曲線Bに沿って制動力配分を行う場合よりも高
い制動力を後輪に発生可能としている。又、図2中、直
線aと直線bとからなる折れ線Cは、PCVバイパスバ
ルブ62,63を閉状態に保持した場合の制動力配分を
示す。なお、直線aで表される折れ線Cの立ち上がり部
分は、従来装置の制動力配分特性を表す折れ線Aの立ち
上がり部分に比べて急勾配になっているが、これは前輪
用のホィールシリンダ551,552の受圧面積に対する
後輪用のホィールシリンダ553,554の受圧面積の大
きさを、50:50程度と従来に比べて大きくしたこと
により達成される。又、折れ線Cの折れ点および折れ点
以降での制動力配分特性は、PCV571,572の構成
上の設定により実現している。折れ線Cの折れ点は後述
の閉圧力P0Lの可変設定に伴って変化し、この結果、折
れ線Cが図2の斜線領域内で変化する。
【0020】図1に示すように、後輪制動力制御装置
は、第1シリンダ・ピストン機構としてのバランスピス
トン機構200を更に備えている。バランスピストン機
構200は、シリンダ201とこの内部に摺動自在に配
されたピストン202とを有し、シリンダ201とピス
トン202とによりシリンダ室203,204が画成さ
れている。シリンダ室203内には、ピストン202を
シリンダ室204側に常時付勢するスプリング205が
配され、通常は、ピストン202は、シリンダ室204
内に配されピストン202のシリンダ室204側への移
動を規制するストッパ206に当接している。
【0021】バランスピストン機構200には、そのシ
リンダ室203側に第1及び第2ポート203a,20
3bが形成され、また、シリンダ室204側に第3ポー
ト204aが形成されている。第1ポート203aは、
左右後輪のホィールシリンダ553,554に共通の減圧
弁64が開状態のとき、減圧弁64を介して、後で詳述
する第2シリンダ・ピストン機構としての異径バランス
ピストン機構300の大径シリンダ室303に連通する
ようになっている。又、第2ポート203bは、ホィー
ルシリンダ553側からシリンダ室203側への流通の
みを許容するチェック弁210を介して、PCV571
の下流側において配管59に連通している。更に、第3
ポート204aはPCV572の下流側において配管5
6に連通している。
【0022】異径バランスピストン機構300は、シリ
ンダ301とこの内部に配されたピストン302とを有
し、ピストン302の両半部は小径および大径に夫々形
成されている。シリンダ301とピストン302の大径
半部とにより大径シリンダ室303が画成される一方、
シリンダ301とピストン302の小径半部とにより小
径シリンダ室304が画成され、ピストン302の大径
半部および小径半部は、大径シリンダ室303および小
径シリンダ室304の内部で摺動自在にされている。そ
して、大径シリンダ室303内には、ピストン302を
小径シリンダ室304とは反対側へ常時付勢するスプリ
ング305が配され、通常、ピストン302は、大径シ
リンダ室303内に配されピストン302の反小径シリ
ンダ室304側への移動を規制するストッパ306に当
接している。ピストン302の両半部の外周面とシリン
ダ301の内周面との間にはシールが介設されている。
【0023】シリンダ301には、その大径シリンダ室
303側に第1ポート301aが形成され、また、小径
シリンダ室304側に第2ポート301bが形成されて
いる。第1ポート301aは、減圧弁64が開状態のと
き、減圧弁64を介して、バランスピストン機構200
のシリンダ室203に連通するようになっている。又、
第2ポート301bは、PCV571の上流側において
配管59に常時連通している。
【0024】そして、ピストン302の大径半部側の受
圧面積ALおよび小径半部側の受圧面積ASは、両受圧面
積の比(AL/AS)が、マスタシリンダ圧後輪制動力
との関係を表す第1の特性線(例えば図2の折れ線Aの
原点側の直線に対応)の勾配に対する第2の特性線(例
えば図2の直線aに対応)の勾配の比に等しい第1項
と、スプリング305のばね定数kの関数で表される第
2項との和に等しくなるように設定される。第1および
第2の特性線は、互いに異なるマスタシリンダ圧−後輪
制動力特性を表し、以下、第1のマスタシリンダ圧−後
輪制動力特性線および第2のマスタシリンダ圧−後輪制
動力特性線とそれぞれ称する。
【0025】後輪制動力制御装置は、PCVバイパスバ
ルブ62,63及び電磁開閉弁64の開閉作動を制御す
るための制御手段としての、マイクロコンピュータ及び
その周辺回路により構成されるコントローラ71と、該
コントローラ71に接続した各種センサとを更に備えて
いる。すなわち、車速Vsを検出するための車速センサ
73と、ブレーキ圧力すなわちマスタシリンダ53から
出力される液圧を検出するための圧力センサ74と、外
気温度Tを検出するための外気温センサ76と、ステア
リングホィールの操舵角Hθを検出するための舵角セン
サ77と、ブレーキペダル51の踏込み操作の有無を検
出するためのブレーキスイッチ78と、図示しないワイ
パモータの回転速度を検出するためのロータリエンコー
ダ79と、例えば各座席に埋設した圧電素子からなる荷
重センサ80と、従動輪(後輪)の車輪速度VWSを検出
するための車輪速センサ83とが設けられている。な
お、車速センサ73は、車両の駆動系の回転数を検出し
て車速VSを検出するようにされ、車速VSは実質的に駆
動車輪の回転数に対応している。
【0026】後で詳述するように、コントローラ71
は、ロータリエンコーダ79で検出したワイパモータ回
転速度から決定したワイパ作動周期TPに基づいて、閉
圧力P0Lを減少補正するための補正量ΔPをファジィ推
論により決定するようになっている。このため、コント
ローラ71の記憶手段71aには、IF−THEN形式
で記述された9つのファジィルール(図3)が格納され
ている。ファジィルールは、その前件部の2つの項目
(ファジィ変数)として外気温T及びワイパ作動周期T
Pを含み、後件部の1つの項目として補正量ΔPを含
む。図3において、記号S,M,N,BD,MD及びZ
Oの各々は、外気温T,ワイパ作動周期TP及び補正量
ΔPの対応する一つについての全体空間(台集合)にお
けるファジィ部分集合(以下、単にファジィ集合とい
う)を示すラベルを表す。各ファジィ集合は、後述のメ
ンバーシップ関数により表される。
【0027】図3において、ルール1「If T=S and
TP=S,then ΔP=BD」は、「外気温Tがファジィ
集合Sに対応して低く、かつワイパ作動周期TPがファ
ジィ集合Sに対応して短ければ、負の補正量ΔPの大き
さを大きくする。」ことを示している。以下、ルール2
〜ルール9を簡略に示す。 ルール2:外気温Tが低くかつワイパ作動周期TPが中
位であれば、補正量ΔPを大きくする。
【0028】ルール3:外気温Tが低くかつワイパ作動
周期TPが長ければ、補正量ΔPを中位にする。 ルール4:外気温Tが中位でかつワイパ作動周期TPが
短ければ、補正量ΔPを中位にする。 ルール5:外気温Tが中位でかつワイパ作動周期TPが
中位であれば、補正量ΔPを中位にする。
【0029】ルール6:外気温Tが中位でかつワイパ作
動周期TPが長ければ、補正量ΔPを小さくする。 ルール7:外気温Tが高くかつワイパ作動周期TPが短
ければ、補正量ΔPを中位にする。 ルール8:外気温Tが高くかつワイパ作動周期TPが中
位であれば、補正量ΔPを小さくする。
【0030】ルール9:外気温Tが高くかつワイパ作動
周期TPが長ければ、補正量ΔPを小さくする。 そして、外気温Tに関する3つのファジィ集合S,M及
びNを夫々定義するメンバーシップ関数と、ワイパ作動
周期TPに関する3つのファジィ集合S,M及びNを夫
々定義するメンバーシップ関数と、補正量ΔPに関する
3つのファジィ集合BD,MD及びZOを夫々定義する
メンバーシップ関数とが、図4に示すように予め定めら
れて、コントローラ71の記憶手段71a内に格納され
ている。
【0031】図4を参照すると、外気温Tのファジィ集
合Sに関するメンバーシップ関数は、外気温Tが0゜よ
りも低い第1の所定温度以下の範囲では適合度が1をと
ると共に外気温Tが第1の所定温度から0゜まで増大す
るにつれて適合度が1から0に減少するように定められ
ている。又、外気温Tのファジィ集合Mに関するメンバ
ーシップ関数は、外気温Tが第1の所定温度から0゜よ
りも高い第2の所定温度まで変化するにつれて適合度が
0から1までの範囲で変化するように定められ、外気温
Tのファジィ集合Nに関するメンバーシップ関数は、0
゜以上の外気温範囲で適合度が0から1までの範囲で変
化するように定められている。
【0032】ワイパ作動周期TPのファジィ集合S,M
及びNならびに補正量ΔTのファジィ集合BD,MD及
びZOの夫々に関するメンバーシップ関数は、外気温T
のファジィ集合S,M及びNの場合と略同様、図4に示
すように定められている。例えば、ワイパ作動周期TP
のファジィ集合Sに関するメンバーシップ関数は、周期
TPが毎分5回よりも短い第1の所定周期までは適合度
が1をとると共に、第1の所定周期から毎分5回までの
周期範囲では適合度が0から1までの範囲で変化するよ
うに定められている。又、補正量ΔTの各ファジィ集合
に関するメンバーシップ関数は、補正量ΔPが負の領域
で変化するにつれて適合度が0から1までの範囲で変化
するように定められている。
【0033】以下、図5ないし図7を参照して、図1に
示す装置の作動を説明する。車両のイグニッションキー
がオン操作されると、コントローラ71は、圧力センサ
74,外気温センサ76,舵角センサ77,ブレーキス
イッチ78,ロータリエンコーダ79,荷重センサ80
および車輪速センサ83から送出される各種入力信号を
読み込み(ステップS101)、ブレーキスイッチ78
の出力に基づいてブレーキペダル51が踏込み操作され
たか否かを判別すると共に、圧力センサ74の出力PR
が所定値PAたとえば2kg/cm2以上であるか否かを判別
し(ステップS102)、ブレーキ操作が行われていな
いか、あるいは、圧力センサ出力PRが2kg/cm2未満で
あってブレーキ装置が何らかの作動上の不具合を来した
おそれがあれば、ステップS101に戻る。
【0034】一方、ブレーキ操作が行われかつPR≧PA
であってブレーキ装置が正常作動しているとステップS
102で判別すると、コントローラ71は、常閉型電磁
弁からなるバイパスバルブ62,63に例えばハイレベ
ルの制御出力を送出して両バルブ62,63を開き(ス
テップS103)、次いで、バイパスバルブ62,63
の閉作動を行うべき閉圧力(目標値)P0Lを、予め定め
た初期値に設定する(ステップS104)。次に、コン
トローラ71は、閉圧力P0Lを荷重センサ出力Wに応じ
て補正する(ステップS105)。このため、コントロ
ーラ71は、荷重センサ出力Wに基づいて車両の夫々の
座席への乗員の搭乗状態を判別し、乗員搭乗による後輪
側に加わる重量の増加分を算出する。更に、コントロー
ラ71は、図8に示すマップを参照して重量増加分に対
応する重量係数KBを求め、これを閉圧力P0Lに乗じる
ことにより、後輪荷重に応じて閉圧力を補正する。後輪
荷重が増加すればするほど後輪のロックが発生しにくく
なるので、重量係数KBは、図8に示すように、重量増
加分が増大するにつれて大きい値をとるように設定され
ている。
【0035】次に、コントローラ71は、車速センサ出
力Vs及び舵角センサ出力Hθに応じて閉圧力P0Lを補
正する(ステップS106)。このため、コントローラ
71は、車速Vs及び舵角Hθに基づいて車体に加わる
横加速度GYBを従来公知の手順で算出し、図9に示すマ
ップを参照して横加速度GYBに対応する補正係数KGを
求め、これを閉圧力P0Lに乗じることにより、閉圧力を
横加速度に応じて補正する。図9に示すように、補正係
数KGは、横加速度GYBが0.2Gまでの領域では旋回
外輪側と旋回内輪側とで同一値をとり、横加速度GYBが
0.2Gから0.6Gまでの領域では、横加速度の増大
につれて、旋回外輪側の値が漸増する一方、旋回内輪側
の値が漸減し、更に、0.6Gを上回る横加速度領域で
は、旋回外輪側および旋回内輪側の値が横加速度の値と
は無関係に一定になるように設定されている。これは、
旋回の度合が急になればなるほど荷重が外輪側に移動し
て外輪の方が内輪よりもロックしにくくなることを考慮
したものである。
【0036】次いで、コントローラ71は、外気温セン
サ出力T及びワイパ作動周期TPに応じて閉圧力P0Lを
更に補正する(ステップS107)。このため、コント
ローラ71は、外気温センサ出力Tとロータリエンコー
ダ出力から算出したワイパ作動周期TPとで表される検
出状態と、図3に示す9つのファジィルールとに基づい
て、ファジィ推論を従来公知の手順で行う。このファジ
ィ推論において、各々のファジィルールについて、外気
温T(前件部の一項目)に関するメンバーシップ関数の
対応する一つの、検出外気温におけるメンバーシップ値
と、ワイパ作動周期TP(前件部の別の項目)に関する
同様のメンバーシップ値とを求める。次に、マックス・
ミニ法で推論出力を求めるべく、両メンバーシップ値の
小さい方の値(適合度)で、補正量ΔP(後件部の項
目)の、対応するメンバーシップ関数を頭切りにカット
し、カットしたメンバーシップ関数に対応する図形を求
める。そして、推論出力を非ファジィ化すべく、9つの
ルールに夫々対応する図形を重ね合わせて得た図形の重
心を、補正量ΔPとして求める。最後に、ステップS1
06で求めた横加速度補正済みの閉圧力P0Lに補正量Δ
P(<0)を加えて、閉圧力を更に減少補正する。これ
により、閉圧力P0Lを、外気温Tとワイパ作動周期TP
とで表される路面状況に応じて適正化できる。
【0037】すなわち、外気温Tが低くかつワイパ作動
周期TPが短くてルール1に適合する路面状況にあって
は、路面の凍結や積雪の可能性が高くて路面摩擦係数は
非常に小さいと推定する。この場合、閉圧力P0Lを大き
く減少させて、後輪制動力の配分を抑制する。又、外気
温Tが0゜近傍でかつワイパ作動周期TPが短いか或は
中位であってルール4或は5に適合する路面状況にあっ
ては、降雨により路面が滑り易くなっていて路面摩擦係
数が小さいと推定し、閉圧力P0Lを中位に減少させる。
一方、外気温Tが高くかつワイパ作動周期TPが中位或
は長くてルール8或は9に適合する路面状況にあって
は、路面が乾燥していて路面摩擦係数が大きいと推定
し、閉圧力P0Lを小さく減少させ或は減少させない。こ
の場合、後輪制動力配分が高められる。
【0038】次いで、コントローラ71は、図10に示
すマップを参照して、荷重センサ出力Wに対応する車両
重量WGを求め(ステップS108)、更に、次式に従
って、車両の制動減速度GXを算出する(ステップS1
09)。 GX={(PR+P0L)・4AW・μR・r}/(WG・
R) ここで、AW,μR,r及びRは、ホィールシリンダ面
積,図示しない摩擦材と図示しないロータとの摩擦係
数,ブレーキ有効径及びタイヤ有効径を夫々表す。
【0039】次に、コントローラ71は、前回制御ルー
プのステップS101で入力した左右後輪の車輪速セン
サ83の出力VWSと今回制御ループで入力した同様の出
力VWSとに基づいて、左右後輪の車輪速の変化高を車輪
減速度WαR,WαLとして夫々算出し(ステップS11
0)、両算出値の大きい方の値を車輪減速度Wαとして
求める(ステップS111〜113)。そして、コント
ローラ71は、車輪減速度(実際の減速度)Wαがステ
ップS109で算出した制動減速度(予測された減速
度)GXと定数Cとの和に等しいか或はこの和(=GX+
C)よりも大きいか否かを判別する(ステップS11
4)。この判別結果が否定、すなわち、スリップが生じ
るおそれがないと判別すると、コントローラ71は、閉
圧力P0Lがマスタシリンダ圧PR以下であるか否かを更
に判別する(ステップS115)。
【0040】この判別結果が否定であれば、バイパスバ
ルブ62,63に例えばハイレベルの制御出力の送出を
継続して両バルブを開状態に維持したまま上記ステップ
S101に戻る。この様に、バイパスバルブ62,63
が開状態に維持された場合、バイパス管60,61が開
かれて、マスタシリンダ53からのブレーキ液圧が左右
後輪のホィールシリンダ533,534に供給され、PC
V571,572を介してブレーキ液圧が供給される場合
に比べて、ホィールシリンダ533,534は大きい制動
力を発生する。一方、ステップS115の判別結果が肯
定であれば、ステップS116でバイパスバルブ62,
63に例えばローレベルの制御出力を送出して両バルブ
62,63を閉じた後にステップS101に戻る。この
場合は、マスタシリンダ13からのブレーキ液圧がPC
V571,572を介してホィールシリンダ553,554
に供給され、PCV571,572のブレーキ液圧上昇率
抑制機能が奏されて、バイパス管60,61を介してブ
レーキ液圧供給がなされる場合に比べて後輪制動力が抑
制される。
【0041】上記ステップS114において車輪減速度
Wαが制動減速度GXと定数Cとの和以上でありスリッ
プが生じるおそれがあると判別すると、コントローラ7
1は、常閉型電磁弁からなる減圧弁64に例えばハイレ
ベルの制御出力を送出して減圧弁64を開き(ステップ
S117)、又、バイパスバルブ62,63に例えばロ
ーレベルの制御出力を送出してバルブ62,63を閉じ
る(ステップS118)。減圧弁64が開くと、バラン
スピストン機構200のシリンダ室203が、減圧弁6
4を介して、異径バランスピストン機構300の大径シ
リンダ室303と連通する。
【0042】この結果、PCV571の下流側のブレー
キ液圧が、チェック弁210,バランスピストン機構2
00のシリンダ室203,減圧弁64を介して、異径バ
ランスピストン機構300の大径シリンダ室303内に
供給される。従って、異径バランスピストン機構300
のピストン302の大径半部側受圧端面には、PCV5
71の下流側のブレーキ圧とピストン302の大径半部
側受圧面積ALとの積に等しい力が加えられる。その一
方で、ピストン302の小径シリンダ室304内にはP
CV571の上流側のブレーキ液圧(マスタシリンダ
圧)が常時供給され、従って、ピストン302の小径半
部側受圧端面には、上流側ブレーキ液圧とピストン30
2の小径半部側受圧面積ASとの積に等しい力が常時加
えられている。
【0043】バイパスバルブ62,63の閉作動を伴う
減圧弁64の開作動直後にあっては、ピストン302の
大径半部側受圧端面に加わる力が小径半部側受圧端面に
加わる力を上回り、ピストン302は小径シリンダ室3
04内のブレーキ液を排出しつつ小径シリンダ室304
側に移動する。排出されたブレーキ液は配管59(ブレ
ーキ元圧ライン)内に流れ込む。そして、このピストン
移動につれて、左後輪のホィールシリンダ553に供給
されている高圧のブレーキ液が、チェック弁210,シ
リンダ室203及び減圧弁64を介して、大径シリンダ
室303内に流れ込み、これにより、ホィールシリンダ
553に加わるブレーキ液圧が低下する。又、バランス
ピストン機構200においては、シリンダ室203での
圧力低下に伴ってシリンダ室203とシリンダ室204
間に生じる差圧により、ピストン202がスプリング2
05のばね力に抗してシリンダ201内で図1中左側に
移動し、従って、シリンダ室204の容積が増大し、右
後輪のホィールシリンダ554に供給されている高圧の
ブレーキ液がシリンダ室204に流入し、これにより、
ホィールシリンダ554に加わるブレーキ液圧が低下す
る。
【0044】上述のように、小径半部側受圧面積ASに
対する大径半部側受圧面積ALの比が、図2の折れ線A
の原点側の直線の勾配に対する図2の直線aの勾配の比
に等しい第1項と、スプリング305のばね定数kの関
数で表される第2項との和に等しくなるように、ピスト
ン302は形成されている。すなわち、受圧面積比AL
/ASは、式(PS・AS)+k・x=(PL・AL)から
導かれる下式で表される。 AL/AS=(PS/PL)+(k・x/AS・PL) ここで、ブレーキ液圧比(PS/PL)は勾配比を表す。
従って、減圧弁64の開作動直前において、前輪制動力
よりも後輪制動力が大きくなるような制動力配分を実現
するマスタシリンダ圧−後輪制動力特性線(図2の直線
aに対応)に沿って後輪制動力が制御されていた場合、
ピストン302は、式(PS・AS)+k・x=(PL・
AL)を満たすピストン変位量xだけ移動することにな
る。換言すれば、ピストン302が変位量xだけ移動し
たときに、ピストン大径半部側受圧端面に加わるPCV
下流側ブレーキ液圧PLと受圧面積ALとの積に等しい力
と、ピストン小径半部側受圧端面に加わるPCV上流側
ブレーキ液圧PSと受圧面積ASとの積とスプリング30
5のばね力k・xとの和に等しい力とが平衡することに
なる。ここで、記号PLは、前輪制動力よりも後輪制動
力が小さくなるような制動力配分を実現するマスタシリ
ンダ圧−後輪制動力特性線(図2の折れ線Aの原点側の
直線に対応)上の後輪制動力を表す。
【0045】この様に、後輪がロックするおそれがある
とステップS114で判別された場合には、減圧弁64
が開作動して、後輪制動力が小さくなるような所要の制
動力配分が自動的に実現し、これにより、PCVバイパ
スバルブ571,572の下流の圧力すなわち左右後輪の
ホィールシリンダ圧が減少するので、後輪の初期ロック
を未然に防止できる。
【0046】コントローラ71は、ステップS117,
S118で減圧弁64を開動作させると共にバイパスバ
ルブ62,63を閉作動させた直後から、ブレーキスイ
ッチ78の出力を監視してブレーキ踏込み操作が終了し
たか否かを継続して判別し(ステップS119)、ブレ
ーキ操作の終了を判別すると、バイパスバルブ62,6
3を一定時間にわたり開作動させ(ステップS12
0)、次いで、減圧弁64を閉作動させる(ステップS
121)。
【0047】ステップS120でバイパスバルブ62,
63を開作動させると、ホィールシリンダ553,554
およびバランスピストン機構200のシリンダ室204
がブレーキ操作の終了により低圧になった管路59,5
6の対応するものの、PCV571,572よりも上流側
に夫々連通する。これにより、バランスピストン機構2
00において、シリンダ室204の内圧が低下し、ピス
トン202がスプリング205のばね力によりシリンダ
室204側に付勢されてストッパ206に当接するまで
移動する。このピストン移動に伴って、異径バランスピ
ストン機構300の大径シリンダ室303内のブレーキ
液が、バランスピストン機構200のシリンダ室203
内に流入する。この結果、異径バランスピストン機構3
00において、ピストン302がスプリング305のば
ね力により大径シリンダ室303側に付勢されてストッ
パ306に当接するまで移動する。
【0048】その後、コントローラ71は、上記ステッ
プS101以降の処理を繰り返し実行する。これによ
り、スリップ発生のおそれがない場合には、検出ブレー
キ液圧PRと閉圧力P0Lの大小関係に応じてバイパスバ
ルブ62,63が開閉制御されて後輪制動力配分が適正
化される一方、スリップ発生のおそれがある場合には、
後輪制動力配分が減少するように制御される。
【0049】なお、後輪ホィールシリンダ圧の減圧は、
PCV571,572の下流側で行われるので、減圧に伴
うブレーキペダル51の振動が抑制される。又、後輪ホ
ィールシリンダ圧を低減させるときに、異径バランスピ
ストン機構300の小径シリンダ室304内のブレーキ
液を、リザーバに戻さずに、ブレーキラインに戻すよう
にしたので、ブレーキ液をリザーバに戻す場合とは異な
り、ブレーキペダル51のストロークが増大しない。減
圧弁64のブレーキ液排出ポート側をリザーバに連通さ
せた構成では、減圧弁64が故障により開いたままにな
った場合に一方の後輪側において制動力を発生不能とな
るが、本実施例では、異径バランスピストン機構300
の大径シリンダ室303において閉塞するようにしたの
で、減圧弁フェイル時にあっても後輪制動力を確保可能
となる。
【0050】更に、PCV571とバランスピストン機
構200のシリンダ室203との間にチェック弁210
を設けたので、シリンダ室203内圧とシリンダ室20
4内圧とに差が生じても、この差圧によりピストン20
2がシリンダ201内で移動することがない。従って、
旋回外輪側と旋回内輪側とで異なる値に設定するという
車両旋回時における閉圧力P0Lの設定が、ピストン移動
に伴うブレーキ液圧変化に起因して無効になることはな
い。すなわち、ステップS106における横加速度補正
により、バイパスバルブ62,63の、旋回外輪に対応
する一方は、より高いマスタシリンダ圧において閉動作
し、旋回内輪に対応する他方は、より低いマスタシリン
ダ圧で閉動作することになる。
【0051】本発明は、上記実施例に限定されず、種々
の変形が可能である。例えば、実施例において説明した
X配管式のブレーキ装置に代えて、一般にFR車に使用
される前後配管式のブレーキ装置に適用しても良い。
又、図1に示す常閉型バイパスバルブ62,63に代え
て、常開型バイパスバルブを用いても良い。又、プロポ
ーショニングバルブおよびセンサも実施例のものに限定
されない。
【0052】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、マスタ
シリンダと左右後輪のホィールシリンダとを接続する流
路に設けられて、マスタシリンダ圧の上昇度合に対する
ホィールシリンダ圧の上昇度合が小さくなるようにホィ
ールシリンダ圧を制御するプロポーショニングバルブ
と、上記流路のプロポーショニングバルブの上流側と下
流側とに接続されてプロポーショニングバルブと並設さ
れるバイパス路に設けられるバイパス弁とを備え、制動
度合に応じてバイパス弁を開閉制御して、プロポーショ
ニングバルブの機能を選択的に有効又は無効にするよう
にした後輪制動力制御装置において、上記流路のプロポ
ーショニングバルブの下流側に接続されて、ホィールシ
リンダ圧を減少可能な減圧手段を備え、後輪がロックす
るおそれが生じないときには、減圧手段を非作動状態と
して、制動度合いに応じてバイパス弁を開閉制御し、
輪がロックするおそれが生じたときには、減圧手段を作
動状態にすると共にバイパス弁を閉制御するようにした
ので、路面状態あるいは車両の走行状態等の制動条件に
照らして後輪の制動力を増大させる余地がある場合には
後輪制動力を大きくして前輪の制動力負担を軽減でき
る。このため、前輪ブレーキの摩耗を低減させてブレー
キパッドの交換時期を延ばすことができ、又、前輪ブレ
ーキの発熱量が低下して耐フェード性が向上し信頼性が
向上し、更に、ノーズダイブが減少して制動安定性が向
上する。しかも、マスタシリンダ圧が高い領域や後輪の
ロック限界が低い場合にプロポーショニングバルブが作
動するだけでなく、後輪のスリップ率が大きい時には後
輪のホィールシリンダ圧が減少されるので、後輪のロッ
クを未然に防止できる。
【0053】減圧手段を減圧弁とシリンダ・ピストン機
構とで構成した好適態様によれば、後輪がロックするお
それが生じたときに減圧弁が開いてシリンダ・ピストン
機構のピストンが平衡位置にまで移動して後輪ホィール
シリンダ圧を低下させるので、後輪のロックを未然に防
止できる。
【0054】シリンダ・ピストン機構にスプリングを設
けると共にピストンの小径半部側及び大径半部側のそれ
ぞれの受圧面積をマスタシリンダ圧−後輪制動力特性線
とスプリングのばね定数とに基づいて設定した好適態様
によれば、減圧弁が開状態にあるか否かに応じて前後輪
間の制動力配分を変化させることができるので、後輪が
ロックするおそれがあるとき単に減圧弁を開作動させる
だけで、後輪先ロックを防止可能とする所要の制動力配
分を自動的に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による後輪制動力制御装置
を装備したブレーキ装置を示す概略図である。
【図2】前後輪の制動力配分を示す図である。
【図3】図1のコントローラに格納されたファジィルー
ルを示す図である。
【図4】外気温,ワイパ作動周期および補正量の夫々に
関連するファジィ集合を夫々定義するメンバーシップ関
数を示す図である。
【図5】図1のコントローラが実行する制御手順の一部
を示すフローチャートである。
【図6】図5に一部を示した制御手順の別の一部を示す
フローチャートである。
【図7】図5及び図6に一部を示した制御手順の残部を
示すフローチャートである。
【図8】図5ないし図7の制御に用いる、重量係数KB
を求めるためのマップを示す図である。
【図9】補正係数KGを求めるためのマップを示す図で
ある。
【図10】車両重量WGを求めるためのマップを示す図
である。
【符号の説明】
53 マスタシリンダ 53’ リザーブタンク(リザーバ) 551,552,553,554 ホィールシリンダ 571,572 プロポーショニングバルブ(PCV) 60,61 バイパス管 62,63 PCVバイパスバルブ 64 減圧弁 71 コントローラ 73 車速センサ 74 圧力センサ 76 外気温センサ 77 舵角センサ 78 ブレーキスイッチ 79 ロータリエンコーダ 80 荷重センサ 83 車輪速センサ 200 バランスピストン機構(第1シリンダ・ピスト
ン機構) 201 シリンダ 202 ピストン 203,204 シリンダ室 205 スプリング 210 チェック弁 300 異径バランスピストン機構(第2シリンダ・ピ
ストン機構) 301 シリンダ 302 ピストン 303,304 シリンダ室 305 スプリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 忠夫 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭59−179748(JP,U) 実開 平2−130870(JP,U) 実開 昭62−26272(JP,U) 実開 平2−41864(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスタシリンダと左右後輪のホィールシ
    リンダとを接続する流路に設けられて、マスタシリンダ
    圧の上昇度合に対するホィールシリンダ圧の上昇度合が
    小さくなるようにホィールシリンダ圧を制御するプロポ
    ーショニングバルブと、 上記流路の上記プロポーショニングバルブの上流側と下
    流側とに接続されて上記プロポーショニングバルブと並
    設されるバイパス路に設けられるバイパス弁とを備え、 制動度合に応じて上記バイパス弁を開閉制御して、上記
    プロポーショニングバルブの機能を選択的に有効又は無
    効にするようにした後輪制動力制御装置において、上記流路の上記プロポーショニングバルブの下流側に接
    続されて、上記ホィールシリンダ圧を減少可能な減圧手
    段を備え、 後輪がロックするおそれが生じないときには、上記減圧
    手段を非作動状態として、制動度合いに応じて上記バイ
    パス弁を開閉制御し、 後輪がロックするおそれが生じたときには、上記減圧手
    段を作動状態にすると共に、上記バイパス弁を閉制御す
    ようにしたことを特徴とする後輪制動力制御装置。
  2. 【請求項2】 上記減圧手段が、上記流路の上記プロポ
    ーショニングバルブの下流側に連通される減圧弁と、シ
    リンダ内に摺動自在に配されたピストンを有すると共に
    前記ピストンの両半部を小径及び大径に夫々設けてなる
    シリンダ・ピストン機構とを備え、 上記ピストンの小径半部と上記シリンダとにより画成さ
    れる小径シリンダ室は、上記プロポーショニングバルブ
    の上流側に連通され、 上記ピストンの大径半部と上記シリンダとにより画成さ
    れる大径シリンダ室は、上記減圧弁に連通されており、 後輪がロックするおそれが生じたときに上記減圧弁を開
    状態とする ことを特徴とする請求項1に記載の後輪制動
    力制御装置。
  3. 【請求項3】 上記シリンダ・ピストン機構が、上記ピ
    ストンを上記大径半部の受圧面の側へ付勢するスプリン
    を備えていることを特徴とする請求項2に記載の後輪
    制動力制御装置。
  4. 【請求項4】 上記ピストンの上記小径半部側の受圧面
    積に対する上記ピストンの上記大径半部側の受圧面積の
    比が、マスタシリンダ圧−後輪制動力特性線の勾配で表
    される第1項と、前記スプリングのばね定数の関数で表
    される第2項との和で表されるように、両前記受圧面積
    を設定したことを特徴とする請求項3に記載の後輪制動
    力制御装置。
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