JP3082869U - 鳥類の忌避装置 - Google Patents

鳥類の忌避装置

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JP3082869U JP2001004103U JP2001004103U JP3082869U JP 3082869 U JP3082869 U JP 3082869U JP 2001004103 U JP2001004103 U JP 2001004103U JP 2001004103 U JP2001004103 U JP 2001004103U JP 3082869 U JP3082869 U JP 3082869U
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哲男 有村
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有限会社エドバンコーポレーション
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に高価な材料を使用することなく、つまり
固有保磁力の増大を招く不利なしに、従来に比べて大き
な作用空間磁界ピーク値が得られ、従って鳥類忌避効果
の高い鳥類の忌避装置を提案する。 【解決手段】 複数個の磁石を、通し紐に、適当な間隔
を隔てて取り付けた構造になり、該磁石の表面磁界のピ
ーク値の方向が、磁石の中心を通りかつ通し紐の伸長方
向に対し直角な面を基準として±60°以内であり、表面
磁界のピーク値を与える磁粉の磁化容易軸の配向形態を
内面閉磁路配向、極異方配向または湾曲アキシャル配向
とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、鳥類の忌避装置に関し、とくに作用空間における表面磁界ピーク 値を増大することによって、鳥類忌避効果の一層の向上を図ろうとするものであ る。
【0002】
【従来の技術】
従来、団地、駅、寺および神社等において、鳩によるふん害が問題となってい る。また果樹園等においては、野鳥による損害が問題となっている。 ところで、鳩を含めて一般に鳥類は、磁場を嫌う性質を有することから、この 性質を利用して、磁石を用いた鳥類の忌避装置が提案されている。
【0003】 かかる鳥類の忌避装置としては、従来、アキシャル配向または等方配向になる 球状の磁石を、適当な間隔を隔てて紐に取り付けたものが使用されてきたが、こ のような磁石では作用空間の磁束密度があまり高くなく、忌避効果に乏しいこと から、その改善が望まれていた。
【0004】 上記の改善策としては、磁石材料そのものを、磁気特性の良好なものに変更す ることが考えられるけれども、この場合には以下に述べるような問題がある。 (i)磁気特性の良好なものは一般に高価であるため、コストの上昇を伴う。 (ii)材料の固有保磁力が大きいために、着磁しにくい。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
この考案は、上記の問題を有利に解決するものであり、特に高価な材料を使用 することなく、つまり固有保磁力の増大を招く不利なしに、従来に比べて大きな 作用空間磁界ピーク値が得られ、従って鳥類忌避効果の高い鳥類の忌避装置を提 案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この考案の要旨構成は、次のとおりである。 (1)複数個の磁石を、通し紐に、適当な間隔を隔てて取り付けた構造になり 、該磁石の表面磁界のピーク値の方向が、磁石の中心を通りかつ通し紐の伸長方 向に対し直角な面を基準として±60°以内であり、表面磁界のピーク値を与える 磁粉の磁化容易軸の配向形態が内面閉磁路配向、極異方配向または湾曲アキシャ ル配向である鳥類の忌避装置。
【0007】 (2)上記(1)において、磁粉の粒度配合比率が、平均粒径が1.5 超〜5.0 μmの磁粉:70〜90 vol%および平均粒径が1.5 μm以下の磁粉:10〜30 vol% である鳥類の忌避装置。
【0008】 (3)上記(1)または(2)において、磁粉の配合比率が50〜70 vol%であ る鳥類の忌避装置。
【0009】 (4)上記(1)、(2)または(3)において、表面磁界のピーク値が2000 ガウス以上である鳥類の忌避装置。
【0010】 (5)上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、磁石が合成樹脂磁石であ る鳥類の忌避装置。
【0011】 (6)上記(1)ないし(5)のいずれかにおいて、磁石の表面磁界のピーク 値の方向が、磁石の中心を通りかつ通し紐の伸長方向に対し直角な面を基準とし て±30°以内である鳥類の忌避装置。
【0012】
【考案の実施の形態】
前述したとおり、鳥類は一般に磁場を嫌い、磁界が1ガウス(G)以上であれ ば、近づかない性質を持っている。従って、鳥類忌避装置としては、少なくとも 通し紐を中心として半径1m以内の作用空間については、1G以上の磁界である ことが望まれる。
【0013】 しかしながら、従来の安価な磁石は、磁気特性そのものが低く、また磁化方向 が紐を通す方向と平行であったことも柏まって、獲得できる1G以上の作用空間 は極めて狭いものでしかなかった。
【0014】 この点、この考案では、表面磁界のピーク値の方向を、磁石の中心を通りかつ 通し紐の伸長方向に対し直角な面を基準として±60℃以内とし、さらには表面磁 界のピーク値を与える磁粉の磁化容易軸の配向形態を、内面閉磁路配向または極 異方配向としたことから、従来に比べて、獲得できる1G以上の作用空間を格段 に拡大することができるのである。
【0015】 図1に、この考案に従う鳥類忌避装置の好適例を、また図2には該装置に用い て好適な磁石をそれぞれ模式で示し、図中番号1が磁石、2が通し紐、3が紐通 し穴、4が作用磁極である。また、番号5で作用磁極の表面磁束密度分布を示す 。上記に例示の磁石においては、表面磁界のピーク値を呈する作用磁極4は4個 あり、それぞれ通し紐2の仲良方向に対し直角な方向に伸びている。なお、表面 磁界のピーク値は、2000ガウス以上であることが、1G以上の作用空間を格段に 拡大するのに好ましい。
【0016】 このように、十分な作用空間を確保するには、ピーク値の方向を通し紐2の伸 長方向に対し直角とすることが最も望ましいけれども、ピーク値の方向が、磁石 の中心を通りかつ通し紐2の伸長方向に対し直角な面を基準として±60°以内で あれば、ほぼ満足できる鳥類忌避効果が得られるため、この考案では、ピーク値 の方向を基準面に対し±60°以内の範囲に限定した。より好ましくは±30°以内 である。
【0017】 ここで、ピーク値を呈する磁極の形状および数については、とくに限定される ことはないけれども、図3(a)〜(e)に示すような、断続する島状や帯状の ものがとりわけ有利に適合する。
【0018】 図2および3に示したようなピーク値を呈する磁極に着磁する場合、磁石の潜 在能力を最大限発揮させるためには、磁粉の磁化容易軸の配向を、着磁時におけ る磁束の通過方向と一致させることが有利である。
【0019】 次に、図4(a)〜(e)に磁化容易軸の好適配向形態を示す。すなわち、同 図(a)は磁極が4個の内面閉磁路型の場合{図3(a)に対応}、同図(b) は球の赤道上に、連続した極を有する場合{図3(c)に対応}、同図(c)は 磁極が2個の場合{図3(d)に対応}、同図(d)は磁極が8個の場合{図3 (b)に対応}および同図(e)は磁極が4個の極異方型の場合{図3(e)に 対応}である。
【0020】 また、図5(a)〜(d)には、これらの配向を形成するのに好適な金型の磁 気回路を示す。図中、番号6は起磁力本体たる永久磁石、7はキャビティ、8は 強磁性体ヨーク、9は励磁コイル、10は非磁性体であり、図5(a)および( d)における永久磁石は棒状、また同図(b)における永久磁石は内周面と外周 面を反対磁極とした中抜き円盤状磁石を使用している。さらに、同図(c)の磁 石は、励磁コイルを製品磁石の磁極近傍に配置した電磁石方式になる磁気回路で ある。
【0021】 ところで、このような磁粉配向において、とりわけ好ましい配向形態は、図4 (a)に示した極異方配向、図4(b)に示した内面閉磁路配向および図4(c )に示した湾曲アキシャル配向である。 いずれの場合においても、表面磁界のピーク値の方向を、磁石の中心を通りか つ通し紐の仲良方向に対し直角な面を基準として、±60°以内に収めることが肝 要である。
【0022】 この考案において、磁石としては合成樹脂磁石がとりわけ有利に適合するが、 焼結磁石の使用を否定するものではなく、焼結磁石を用いた場合にも従来以上の 忌避効果を知ることができる。
【0023】 ここに、合成樹脂磁石及び焼結磁石における磁粉としては、フエライト系磁粉 、アルニコ系磁粉及びサマリウムーコバルト系磁粉やネオジムー鉄−ボロン系磁 石等の希土類系磁粉など、従来公知のものいずれもが使用できる。しかしながら 、上記の磁粉の中でも、安価でしかも固有保磁力が小さく着磁し易いフエライト 系磁粉が特に好適である。
【0024】 また合成樹脂についても、従来公知のものいずれもが使用でき、その代表例を 示すと次のとおりである。 ポリアミドー6及びポリアミドー12などのポリアミド系合成樹脂。ポリ塩化 ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチ レン、ポリエチレン及びポリプロピレンなどの単独又は共重合したビニル系合成 樹脂。ポリウレタン、シリコン、ポリカーボネート、PBT、PET、ポリエー テルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、PPS、塩素化ポリエチレン及 びハイパロンなどの合成樹脂。ブタジエン、クロロプレン、ネオプレン、スチレ ンブタジエン、アクリロニトリルブタジエンおよび天然ゴムなどのゴム。 なお、その他にも、従来から常用される可塑剤や安定剤、抗酸化剤、滑剤及び 表面処理剤などを目的に応じて適量使用できるのはいうまでもない。
【0025】 ここに、磁粉とバインダーである合成樹脂との配合比率は、用途にもよるけれ ども、一般的には磁粉を体積百分率で40〜70 vol%程度、好ましくは50〜70 vol %とすることが、表面磁界のピーク値を2000ガウス以上とするのに有利である。
【0026】 その際、磁粉の粒度配合比率を、平均粒径が1.5 超〜5.0 μmの磁粉:70〜90 vol%および平均粒径が1.5 μm以下の磁粉:10〜30 vol%とすることが有利で ある。すなわち、図6に磁粉の粒度別含有率と表面磁界のピーク値との関係を示 すように、平均粒径が1.5超〜5.0 μmの磁粉の含有率が90 vol%をこえるか、 平均粒径が1.5 μm以下の磁粉の含有率が10 vol%未満になると、表面磁界のピ ーク値を磁束密度で2000G以上とすることが難しくなる。一方、平均粒径が1.5 μm以下の磁粉の含有率が30 vol%をこえると、コストの増加をまねくことにな る。従って、上記した粒度配合比率の磁粉を原料として磁石を作製して、鳥類の 忌避装置に供することが好ましい。
【0027】 磁石の形状については、いままで述べてきたような球状のみに限るものではな く、楕円球、多面体及び円柱等は勿論のこと、この考案の趣旨を損ねない範囲で あればどのような形状であっても良い。 また、磁石を連紀する通し紐については、従来から公知のものいずれもが適合 する。たとえば、鉄や鋼、ステンレス鋼などの金属線、綿やポリエステル等の繊 維である。 さらに、磁石に設ける穴は、この考案の趣旨を損ねない範囲で複数個とするこ とができる。例えば、十字形に2つ穴を開け面状の広がりをもたせることは有利 である。
【0028】 成形方法は、従来公知の方法全てが使用でき、特に限定されることはないが、 射出成形、圧縮成形及びRIM成形等がとりわけ有利に適合する。
【0029】
【実施例】
図5(a)〜(d)に示したような磁気回路をそなえる金型を用いて、図7に 示す形状・寸法になる球状磁石を、下記の条件で作製した。 なお比較のため、従来公知のアキシャル配向用金型(図示省略)を用いて同寸 法の磁石(磁場の印加方向は紐の伸長方向に平行)についても製作した。
【0030】 記 〔原料〕 ・磁粉粒子 磁粉1:フエライト磁粉(平均粒径1.5 μmのマグネトプランバイト系ストロ ンチウム系フェライト):30 vol%+サマリウムーコバルト磁粉(Sm 2Co17系:平均粒径5μm):70 vol% 磁粉2:フエライト磁粉(平均粒径1.5 μmのマグネトプランバイト系ストロ ンチウム系フェライト):10 vol%+サマリウムーコバルト磁粉(Sm 2Co17系:平均粒径5μm):90 vol% ・合成樹脂:ポリアミド12 ・可塑剤:TTS(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート) 〔配合〕 ・配合A(プラマグ配合) 磁 粉:63 vol% ポリアミド12:36 vol% アミノシランA−1100:1 vol% ・配合B(焼結配合) 磁 粉:50mass% 水 :50mass% 〔成形条件〕 ・成形方法a:プラマグ射出成形条件 使用ベレット配合:配合A 成形機:コイル内蔵式磁場配向射出成形機 射出シリンダー温度:300 ℃ 金型温度:100 ℃ 射出圧力:14.7×104kPa 励磁時間:15秒 冷却時間:20秒 射出サイクル:40秒 ・成形方法b:焼結磁石作製条件 使用スラリー:配合B 成形機:コイル搭載式磁場配向圧縮成形機 水抜き方法:インジェクション方式 成形温度:20℃ 焼成温度:1250℃
【0031】 また、紐は、径が0.2 mmの綿製のものを用い、磁石の間隔を30cmとして全長10 mのものを線状鳥類忌避装置としてコンクリート製の屋上に設置した。また、鳩 の檻を、その出入口が上記した線状鳥類忌避装置の真ん中から2m離れた位置に なるように配置した。この実験に使用した鳩の数は10羽である。
【0032】 鳩の忌避効果は、線状鳥類忌避装置から1m以内に1回でも入った固体数を数 え、全体の10羽で除し、その百分率で評価した。なお、実験は、午前10時から午 後4時までの6時間行った。 得られた鳩忌避効果を、使用磁石の空間表面磁界ピーク値と共に、表1に示す 。 また、図8および図9には、実施例1と比較例2の磁石の作用空間磁界の測定 結果をそれぞれ示す。
【0033】
【表1】
【0034】 表1から明らかなように、この考案に従う磁石は、従来材に比べて空間表面磁 界ピーク値および作用空間磁界とも格段に高く、従って鳩忌避効果が従来材に比 べて大幅に向上している。
【0035】
【考案の効果】
かくしてこの考案によれば、従来に比べて、作用空間における表面磁界ピーク 値を格段に向上させることができ、たとえフエライト系合成樹脂磁石を用いた場 合であっても十分に満足のいく鳥類忌避効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この考案に従う鳥類の忌避装置の模式図であ
る。
【図2】 上記装置に用いて好適な磁石の模式図であ
る。
【図3】 好適な磁石形状を示した図である。
【図4】 磁化容易軸の好適配向形態を示した図であ
る。
【図5】 上記の好適配向を形成するのに好適な金型の
磁気回路を示した図である。
【図6】 磁粉の粒度配合比と表面磁界ピーク値との関
係を示す図である。
【図7】 実施例で作製した球状磁石の寸法を示した図
である。
【図8】 実施例1の磁石の作用空間磁界を示した図で
ある。
【図9】 比較例2の磁石の作用空間磁界を示した図で
ある。
【符号の説明】
1 磁石 2 通し紐 3 紐通し穴 4 磁極 5 表面磁束密度分布 6 永久磁石 7 キャビティ 8 強磁性体ヨーク 9 励磁コイル 10 非磁性体

Claims (6)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の磁石を、通し紐に、適当な間隔
    を隔てて取り付けた構造になり、該磁石の表面磁界のピ
    ーク値の方向が、磁石の中心を通りかつ通し紐の伸長方
    向に対し直角な面を基準として±60°以内であり、表面
    磁界のピーク値を与える磁粉の磁化容易軸の配向形態が
    内面閉磁路配向、極異方配向または湾曲アキシャル配向
    である鳥類の忌避装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、磁粉の粒度配合比率
    が、平均粒径が1.5 超〜5.0 μmの磁粉:70〜90 vol%
    および平均粒径が1.5 μm以下の磁粉:10〜30 vol%で
    ある鳥類の忌避装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、磁粉の配合
    比率が50〜70 vol%である鳥類の忌避装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3において、表面磁
    界のピーク値が2000ガウス以上である鳥類の忌避装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    磁石が合成樹脂磁石である鳥類の忌避装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    磁石の表面磁界のピーク値の方向が、磁石の中心を通り
    かつ通し紐の伸長方向に対し直角な面を基準として±30
    °以内である鳥類の忌避装置。
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