JP3081023B2 - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

Info

Publication number
JP3081023B2
JP3081023B2 JP03158398A JP15839891A JP3081023B2 JP 3081023 B2 JP3081023 B2 JP 3081023B2 JP 03158398 A JP03158398 A JP 03158398A JP 15839891 A JP15839891 A JP 15839891A JP 3081023 B2 JP3081023 B2 JP 3081023B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
pattern
increasing
phase
brake fluid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03158398A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH058711A (ja
Inventor
文雄 景山
晴樹 岡崎
俊明 津山
和俊 信本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP03158398A priority Critical patent/JP3081023B2/ja
Publication of JPH058711A publication Critical patent/JPH058711A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3081023B2 publication Critical patent/JP3081023B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両のスリップ制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のスリップ制御装置は、車両の加速
時等に駆動輪が過大駆動トルクによりスリップして加速
性が低下することを防止するために、駆動輪のスリップ
量を検出し、この駆動輪のスリップ量が路面の摩擦係数
に対応する目標スリップ量となるように、駆動輪に付与
するブレーキ液圧やエンジン出力を制御する(駆動輪に
制動力を付与する、もしくはエンジン出力を低下させ
る)ものとして、一般に知られている。
【0003】そして、上記駆動輪に付与するブレーキ液
圧の制御を、コントロールバルブのステップ制御によっ
て実行する、という提案はある(特開昭62−1015
71号公報参照)。すなわち、これは、駆動輪に付与す
るブレーキ液圧を所定時間増大させる増圧段階と、上記
所定時間減圧させる減圧段階と、上記所定時間保持する
保持段階とを組合わせて各々所定数の段階からなるよう
に設定された増圧度の異なる複数の増圧パターン、減圧
度の異なる複数の減圧パターン、及び保持パターンを有
し、上記駆動輪の路面に対するスリップ量が目標スリッ
プ量となるように上記各パターンを1つのステップとし
て、上記コントロールバルブをステップ状に制御するよ
うにしたものである。このものによれば、ブレーキ液圧
の緻密な制御を行なうことができる。また、一つのパタ
ーンのステップが終了しないと次のパターンのステップ
に移行しないため、ブレーキ液圧の急変を抑えて滑らか
なブレーキ液圧変化を得ることができ、駆動輪に振動な
いしは衝撃を与えない、という点で有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、上述の如き制
御方式の場合、例えば、増圧度の低い緩増圧パターンが
選択されている状態で、増圧度の高い急増圧パターンが
選択されても、緩増圧パターンのステップが終了するま
では、次の急増圧パターンのステップに移行しないこと
になる。しかし、かかる緩増圧パターンが選択されてい
る状態で、急増圧パターンが選択されたという状況は、
駆動輪のスリップ量の増大が急であって、駆動輪に大き
なブレーキ力を早期に付与することが望ましい状況であ
る。このような状況において、上記制御方式がそのまま
実行され、つまり緩増圧パターンのステップが予定通り
に行われると、結果的に駆動輪に過大なスリップを招い
てしまうことになる。
【0005】すなわち、本発明は、駆動輪に付与するブ
レーキ液圧の制御をコントロールバルブのステップ制御
によって実行するようにしたものにおいては、駆動輪の
スリップが急に大きくなっていく状況への対処が難しい
という問題を解決しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題に対して、上述のステップ制御方式を採用しながら
も、駆動輪のスリップが急に増大していく状況において
は、現在制御に供されているパターンに対して、ブレー
キ液圧を速やかに増大させることができるように急増圧
パターンの割り込みをかけられるようにするものであ
る。
【0007】すなわち、そのための具体的な手段は、駆
動輪に付与するブレーキ液圧を調節するコントロールバ
ルブを備え、且つ、上記ブレーキ液圧を所定時間増大さ
せる増圧段階と、上記ブレーキ液圧を保持する保持段階
とを組合わせて各々所定数の段階からなるように設定さ
れた増圧度の異なる複数の増圧パターンと、上記ブレー
キ液圧を上記所定時間減圧させる減圧段階と上記保持段
階とを組合わせて各々上記所定数の段階からなるように
設定された減圧度の異なる複数の減圧パターンと、上記
所定数の保持段階よりなる保持パターンとを有し、上記
駆動輪の路面に対するスリップ量が目標スリップ量とな
るように、上記各パターンを1つのステップとして上記
コントロールバルブをステップ状に制御するようにした
車両のスリップ制御装置において、上記駆動輪の路面に
対するスリップ状態に基いて、当該駆動輪に付与するブ
レーキ液圧を増大させるための増圧フェーズと、当該駆
動輪に付与するブレーキ液圧を減少させるための減圧フ
ェーズと、当該駆動輪に付与するブレーキ液圧を増減さ
せるための増減フェーズとのうちから採用すべきフェー
ズを選択するフェーズ選択手段と、上記フェーズ選択手
段で選択されたフェーズにおいてブレーキ液圧の制御に
供すべきパターンを、上記スリップ状態に基いて1ステ
ップ中に複数回演算するパターン演算手段と、1ステッ
プが終了した段階で上記パターン演算手段により演算さ
れているパターンにより次のステップが実行されるよう
コントロールバルブに駆動信号を出力する駆動手段と、
上記フェーズ選択手段により増圧フェーズが選択されて
いるときにおいて、現在実行されている増圧パターンに
よるステップが終了する前に、当該増圧パターンよりも
増圧度の小さい増圧パターンが上記パターン演算手段に
より演算されたときには、上記現在のステップを終了し
た後に上記増圧度の小さい新たな増圧パターンによるス
テップを上記駆動手段に実行させる一方、上記フェーズ
選択手段により増圧フェーズが選択されているときにお
いて、現在実行されている増圧パターンによるステップ
が終了する前に、当該増圧パターンよりも増圧度の大き
い増圧パターンが上記パターン演算手段により演算され
たときには、上記現在のステップを途中の段階で強制的
に中止させ、次の段階を上記増圧度の大きい新たな増圧
パターンの第1段階として該新たな増圧パターンによる
ステップを上記駆動手段に実行させるステップ変更手段
とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】上記手段においては、フェーズ選択手段により
増圧フェーズが選択され、パターン演算手段により増圧
度の低いパターンが演算されてブレーキ液圧の制御が行
われているときに、上記パターン演算手段により増圧度
の大きいパターンが演算されると、上記増圧度が低いパ
ターンのステップが終了する前であっても、上記増圧度
の高いパターンによるブレーキ液圧の制御に移行する。
よって、駆動輪に付与するブレーキ液圧を急激に増大さ
せていくことができ、駆動輪のスリップが急激に大きく
なっていく状況にあるときに、このスリップの増大を速
やかに抑え、目標スリップ量への早期収束を図ることが
できる。また、上記増圧フェーズが選択されているとき
であっても、現在の増圧パターンよりも増圧度の低いパ
ターンが演算されるときは、ステップの途中からの移行
はない。そのステップが終了した後に新しいステップに
移行する。よって、通常時はブレーキ液圧の緻密な制御
を行なうことができるとともに、ブレーキ液圧の急変を
抑えて滑らかなブレーキ液圧変化を得て、駆動輪に衝撃
ないしは振動を与えることを防止することができる。
【0009】
【発明の効果】従って、本発明によれば、駆動輪に付与
するブレーキ液圧の制御をコントロールバルブのステッ
プ制御によって実行するようにしたものにおいて、フェ
ーズ選択手段により増圧フェーズが選択されているとき
に、現在実行されている増圧パターンによるステップが
終了する前に、当該増圧パターンよりも増圧度の小さい
増圧パターンが上記パターン演算手段により演算された
ときには、上記現在のステップを終了した後に上記増圧
度の小さい新たな増圧パターンによるステップを上記駆
動手段に実行させるが、当該増圧パターンよりも増圧度
の大きい増圧パターンが上記パターン演算手段により演
算されたときには、上記現在のステップを途中の段階で
強制的に中止させ、次の段階を上記増圧度の大きい新た
な増圧パターンの第1段階として該新たな増圧パターン
によるステップを上記駆動手段に実行させるステップ変
更手段を設けたから、通常の時は、上記ステップ制御に
よって、ブレーキ液圧の緻密な制御を行なうとともに、
滑らかなブレーキ液圧変化を得て駆動輪に衝撃を与える
ことを防止しながら、駆動輪のスリップが急激に大きく
なっていく状況にあるときに、このスリップの増大を速
やかに抑え、目標スリップ量への早期収束を図ることが
できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0011】図1は車両のスリップ制御装置の全体構成
を示し、この車両は、左右の前輪2FL,2FRが従動
輪とされ、左右の後輪2RL,2RRが駆動輪とされて
いて、駆動輪2RL,2RRの駆動を制御してスリップ
量をコントロールするために、ブレーキ制御とエンジン
制御と変速制御用のATコントローラ60を介したロッ
クアップ制御とを行なうスリップ制御手段70を備えて
いる。
【0012】まず、上記車両は、車体前部にエンジン1
が搭載されており、該エンジン1の発生トルクが、流体
式自動変速機3、プロペラシャフト4およびデファレン
シャルギア5を経た後、左駆動軸6Lを介して左後輪2
RLに、右駆動軸6Rを介して右後輪2RRにそれぞれ
伝達されるようになっている。
【0013】上記自動変速機3は、流体トルクコンバー
タ11と多段変速歯車機構12とから構成されている。
この変速歯車機構12は、既知のように油圧作動式とさ
れて、実施例では、前進4段、後進1段用とされてい
る。すなわち、その油圧回路に組込まれた複数のソレノ
イド13aの励磁と消磁との組合わせを変更することに
より変速が行われる。また、トルクコンバータ11は、
油圧作動式のロックアップクラッチ11aを有し、その
油圧回路に組込まれたソレノイド13bの励磁と消磁と
を切換えることにより、締結と締結解除とが行われる。
【0014】上記ソレノイド13a,13bは、自動変
速機3の変速制御用のATコントローラ60によって制
御される。該ATコントローラ60は、変速特性とロッ
クアップ特性とを予め記憶しており、これに基いて変速
制御とロックアップ制御とを行なう。このため、ATコ
ントローラ60には、メインスロットル弁43の開度を
検出するメインスロットル開度センサ61及びサブスロ
ットル弁45の開度を検出するサブスロットル開度セン
サ62からの各スロットル開度信号と、車速を検出する
車速センサ63からの車速信号(実施例ではプロペラシ
ャフト4の回転数信号)とが入力される。
【0015】−制動力調節機構− 各車輪2FL,2FR,2RL,2RRには、上記ブレ
ーキ制御のためのブレーキ21FL〜21RRが設けら
れている。該各ブレーキ21FL〜21RRのキャリパ
(ホイールシリンダ)22FL〜22RRには、それぞ
れ配管23FL〜23RRを介してブレーキ液圧が供給
されている。このブレーキ液圧の供給のための構成は、
次のようになっている。
【0016】先ず、ブレーキペダル25の踏込力が、液
圧倍力式の倍力装置26によって倍力されて、タンデム
型のマスタシリンダ27に伝達される。該マスタシリン
ダ27の第1の吐出口27aには左前輪用のブレーキ配
管23FLが接続され、マスタシリンダ27の第2の吐
出口27bには右前輪用のブレーキ配管23FRが接続
されている。
【0017】上記倍力装置26には、配管28を介して
ポンプ及びアキュムレータを備えてなる圧力源29から
の液圧が供給され、余剰液圧はリターン用配管30を介
してリザーバタンク31へ戻される。上記配管28から
分岐した分岐管28aは、後述する合流部aに連なって
おり、この分岐管28aには電磁式の開閉弁32が介設
されている。また、倍力装置26で発生される倍力用液
圧は、配管33を介して上記合流部aへと供給されるよ
うになっており、この配管33にも電磁式の開閉弁34
が介設されている。そして、上記配管33には、開閉弁
34と並列に、合流部aへ向けての流れのみを許容する
一方向弁35が設けられている。
【0018】上記合流部aには、左右後輪用のブレーキ
配管23RL,23RRが接続されている。この配管2
3RL,23RRには、電磁式の開閉弁(コントロール
バルブ)36Aまたは37Aが介設されていると共に、
該開閉弁36A,37Aの下流に接続されたリリーフ通
路38Lまたは38Rに対して、電磁式の開閉弁(コン
トロールバルブ)36Bあるいは37Bが接続されてい
る。
【0019】上記各開閉弁32,34,36A,37
A,36B,37Bは、スリップ制御手段70によって
制御される。すなわち、スリップ制御(ブレーキ制御)
を行わないときには、図示のように開閉弁32が閉じ、
開閉弁34が開かれ、かつ開閉弁36B,37Bが閉
じ、開閉弁36A,37Aが開かれる。これにより、ブ
レーキペダル25が踏込まれると、前輪用ブレーキ21
FL,21FRに対してはマスタシリンダ27を介して
ブレーキ液圧が供給される。また、後輪用ブレーキ21
RL,21RRに対しては、液圧倍力装置26からのブ
レーキペダル25の踏込み力に応じた倍力用液圧が、ブ
レーキ液圧として配管33を介して供給される。
【0020】また、後述するように、駆動輪としての後
輪2RL、2RRの路面に対するスリップ量が大きくな
ってスリップ制御を行うときには、開閉弁34が閉じら
れ、開閉弁32が開かれる。そして、開閉弁36A,3
6B(37A,37B)のステップ制御によって、ブレ
ーキ液圧の保持と増圧と減圧とが行われる。より具体的
には、開閉弁32が開いていることを前提として、各開
閉弁36A,36B,37A,37Bが閉じているとき
にブレーキ液圧の保持となり、開閉弁36A(37A)
が開き、開閉弁36B(37B)が閉じているときに増
圧となり、開閉弁36A(37A)が閉じ、開閉弁36
B(37B)が開いているときに減圧となる。そして、
分岐管28aを経たブレーキ液圧は、一方向弁35の作
用によって、ブレーキペダル25に対する反力として作
用しないようになっている。
【0021】このようなスリップ制御を行っているとき
にブレーキペダル25が踏込まれると、この踏込みに応
じた倍力装置26からのブレーキ液圧が、一方向弁35
を介して後輪用ブレーキ21RL,21RRに供給され
る。
【0022】−エンジン出力調節機構− 上記スリップ制御手段70は、駆動輪2RL、2RRの
駆動トルクを低減するために、駆動輪2RL、2RRに
対するブレーキ制御を行うと共に、駆動輪2RL、2R
Rに伝達される駆動力、つまりはエンジン1の出力(発
生トルク)の制御をも行う。このため、エンジン1の吸
気通路41には、アクセルペダル42に連結された上述
のメインスロットル弁43と、スロットル開度調節用ア
クチュエータ44に連結された上述のサブスロットル弁
45とが配設され、サブスロットル弁45を上記スリッ
プ制御手段70により上記アクチュエータ44を介して
駆動するようになっている。
【0023】−スリップ制御手段70− スリップ制御手段70には、車速センサ63からの信号
が入力される他、各車輪2FL〜2RRの速度を検出す
る車輪速センサ66FL〜66RRからの車輪速信号、
アクセル踏込量を検出するアクセル踏込量センサ67か
らの踏込量信号、ハンドル舵角を検出する舵角センサ6
9からの舵角信号、マニュアル操作されるスイッチ71
からのモード信号、並びに上記制御規制手段80からの
規制信号が入力される。
【0024】また、上記スリップ制御手段70は、上記
各センサからの信号を受け入れる入力インターフェイス
と、CPUとROMとRAMとからなるマイクロコンピ
ュータと、出力インターフェイスと、弁32、36A、
37A、36B、37B及びアクチュエータ44を駆動
する駆動回路とを備えており、ROMにはスリップ制御
に必要な制御プログラム、各種マップ等が設けられ、ま
たRAMには制御を実行するのに必要な各種メモリが設
けられている。
【0025】<スリップ制御手段70の具体的構成>ス
リップ制御手段70は、図2に示すように、スリップ検
出手段72、目標スリップ量(閾値)を設定する目標値
設定手段73、路面摩擦係数算出手段74、スリップ判
定手段75、制御量演算手段76、並びに開閉弁36
A,36B,37A,37B及びアクチュエータ44の
ための駆動手段77を備えている。そして、上記制御量
演算手段76は、図3に示すように、フェーズ選択手段
86、パターン演算手段87、ステップ変更手段88、
及び増減圧幅変更手段89を有する。
【0026】(スリップ検出手段72について)駆動輪
のスリップ量は、車輪速センサ66FR,66FL,6
6RR,66RLからの検出信号に基いて検出される。
すなわち、スリップ検出手段72は、駆動輪の速度から
従動輪の速度を差し引くことによりスリップ量Sを算出
するものである。なお、このスリップ量Sの算出にあた
っては、エンジン制御用の場合、駆動輪の速度は左右駆
動輪のうちの大きい方が選択され、従動輪の速度は左右
従動輪の平均値が用いられる。ブレーキ制御用の場合、
従動輪の速度はエンジン制御用と同じであるが、駆動輪
の速度は左右駆動輪に付与する制動力を互いに独立して
制御するため左右駆動輪の速度がそれぞれの制御に用い
られる。
【0027】(目標スリップ量設定手段73について)
図4はエンジン制御用の目標スリップ量SET及びブレ
ーキ制御用の目標スリップ量SBTを決定する回路をブ
ロック図的に示しものであり、決定パラメータとして
は、車速と、アクセル踏込量と、ハンドル舵角と、モー
ドスイッチ71の操作状態と、路面摩擦係数μとがあ
る。なお、SBT>SETである。
【0028】すなわち、同図において、SETの基本値
STA0と、SBTの基本値STB0とが、路面摩擦係
数μをパラメータとして、マップ81に記憶されてい
る。この場合、路面摩擦係数μが大きくなるに従って上
記基本値STAO及びSTBOは大きくなる(STB0
>STA0)。そして、この基本値STB0、STA0
に、それぞれ補正ゲイン係数KDを掛け合わせることに
より、SETおよびSBTが得られる。
【0029】上記補正ゲイン係数KDは、各ゲイン係数
VGとACPGとSTRGとMODEGとを掛け合わせ
ることにより得られる。上記ゲイン係数VGは、車速を
パラメータとするもので、マップ82として記憶されて
いる。また、ゲイン係数ACPGは、アクセル開度をパ
ラメータとするもので、マップ83として記憶されてい
る。ゲイン係数STRGは、ハンドル舵角をパラメータ
とするもので、マップ84として記憶されている。ゲイ
ン係数MODEGは、運転者にマニュアル選択されるも
ので、テーブル85に記憶されている。このテーブル8
5では、スポーツモードとノーマルモードとセーフティ
モードとの三種類が設けられている。
【0030】(路面摩擦係数算出手段74について)タ
イヤと路面との間の摩擦係数である路面摩擦係数μは、
車体速Vrと車体加速度VG とに基いて算出される。
【0031】すなわち、車体加速度VG の演算には、タ
イマA(100msecカウント)と、タイマB(500ms
ecカウント)とを用いる。すなわち、車体加速度VG
は、スリップ制御開始から500msec経過まで(車体加
速度が十分に大きくない)は、100msec毎に100ms
ec間の車体速Vr(本例の場合は前輪2FL,2FRの
両車輪速のうち速い方の車輪速、単位;km/h)の変化
に基いて次の(1) 式により求め、500msec経過後(車
体加速度が十分に発達)は100msec毎に500msec間
の車体速Vrの変化に基いて次の(2)式により求める。
【0032】 −(1) 式− VG =Gk1×{Vr(k) −Vr(k-100) } −(2) 式− VG =Gk2×{Vr(k) −Vr(k-500) } 上記Gk1及びGk2は係数である。また、Vr(k) は現時
点、Vr(k-100) は100msec前、Vr(k-500) は50
0msec前の各車体速である。
【0033】そして、上述の如くして算出された車体加
速度VG と車体速Vrとから次のマップ1(表1)によ
り3次元補間によって路面摩擦係数μを求める。
【0034】
【表1】
【0035】(スリップ判定手段75について)スリッ
プ判定手段75によるスリップ判定は、スリップ検出手
段72によるスリップ量Sと目標スリップ量SET及び
SBTとに基いて行われる。すなわち、スリップ判定手
段75は、以下の判定処理を行なう(図5参照)。
【0036】スリップ量SがSETよりも大;スリップ
フラグSFL=1とする。 SFLに0→1の変化があったとき;エンジン制御要と
判定して制御フラグECFL=1とする。 スリップフラグSFL=0が設定時間t以上継続したと
き;ECFL=0とする。 ECFLに0→1の変化があったとき;初回スリップフ
ラグSSFL=1とする。 スリップ量Sの変化率G=0になったとき;SSFL=
0とする。 検出スリップ量SがSBTよりも大;ブレーキ制御要と
判定しBCFL=1とする。
【0037】(制御量演算手段76について)制御量演
算手段76によるエンジン制御量(サブスロットルバル
ブ45の開閉制御量)の演算は、上記スリップ量Sと目
標スリップ量SET,SBTとに基いて行われる。すな
わち、上記エンジン制御量は、次の(3) 式で求まるスリ
ップ量の偏差ENと、この偏差ENの時間変化率Gとを
パラメータとして、次のマップ2(表2)により求めら
れる。
【0038】−(3) − EN=S−SET
【0039】
【表2】
【0040】この場合、上記マップに記載の記号ZO は
スロットル開度の保持を表わし、Nは閉動、Pは開動を
表わす。また、N及びPの添字S ,M ,B は制御量の大
きさを表わすもので、「S 」は小(開動量小、閉動量
小)、「M 」は中(開動量中、閉動量中)、「B 」は大
(開動量大、閉動量大)の意味である。
【0041】ブレーキ制御量演算のためのフェーズ選択
手段86は、上記初回スリップフラグSSFLと偏差変
化率Gとに基いて、次のフェーズの選択を行う。 増圧フェーズ0;駆動輪に付与するブレーキ液圧(制動
力)を増大させる 減圧フェーズ1;上記ブレーキ液圧を減少させる 増減フェーズ2;上記ブレーキ液圧を増減させる。
【0042】そして、この場合のフェーズの選択制御
は、図6に示されている。すなわち、データ(スリップ
フラグ,初回スリップフラグ,スリップ量S)が入力さ
れ、SFLに0→1の変化があり、エンジン制御要と判
定(ECFL=1)と判定され、初回のスリップ(SS
FL=1)であるときは増圧フェーズ0が選択される
(ステップS1〜S4)。そして、上記スリップ量変化
率Gが零よりも小さな値になると、減圧フェーズ1が選
択される(ステップS5,S6)。
【0043】さらに、上記偏差変化率Gが2.0よりも
大きくなると、もしくは図5に破線で示すように初回ス
リップ時のピークスリップ量S(P) を越える大きさのス
リップが発生する(S>S(P) )と、増減フェーズ2が
選択される(ステップS7,S8)。次に、2回目のス
リップのときは、上記スリップ量変化率Gが3.0より
も大きいときに増圧フェーズ0が選択され(ステップS
3→S9→S4)、そうでないときに増減フェーズ2が
選択される(ステップS9→S8)。
【0044】パターン演算手段87は、上記偏差EN及
び偏差変化率Gに基いて各フェーズでの制御量、つまり
ブレーキ液圧を増減させる制御パターンBPを演算す
る。この場合、左右の駆動輪2RR,2RLは互いに独
立して制御パターンBPが演算される。
【0045】まず、制御パターンBPについて説明する
と、図7に示すように、1ステップがパターン演算手段
87の演算周期7msに対応する4つの時間単位よりな
り、この各時間単位は、ブレーキ液圧をこの時間単位中
で所定時間4ms増大させるとき増圧段階となり、ブレ
ーキ液圧を上記所定時間減圧させるとき減圧段階とな
り、この時間単位中ブレーキ液圧を保持するとき保持段
階となる。そして、上記各段階の組合わせにより、以下
の各種の制御パターンよりなるステップが設定されてい
るものである。
【0046】 増圧段階と保持段階とを組合わせて設
定された増圧度の異なる4種類の増圧パターンNS1,N
M1,NB1,NB2 減圧段階と保持段階とを組合わせて設定された減圧
度の異なる4種類の減圧パターンPS1,PM1,PB1,P
B2 4つの保持段階よりなる保持パターンZO この場合、NS1,NM1,NB1,NB2の順で増圧度が緩増
圧から急増圧へと大きくなり、PS1,PM1,PB1,PB2
の順で減圧度が大きくなる。
【0047】各フェーズでの制御パターンBPは、増圧
フェーズ0のときは、マップ3(表3)から上記偏差変
化率Gに基いて演算設定され(微分制御)、減圧フェー
ズ1のときは、マップ4(表4)から上記偏差変化率G
に基いて演算設定され(微分制御)、増減フェーズ2の
ときは、マップ5(表5)から上記偏差変化率Gと偏差
ENとに基いて演算設定される(微分+比例制御)。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】ステップ変更手段88は、上記フェーズ選
択手段86により増圧フェーズ0が選択されているとき
において、現在実行されている増圧パターンによるステ
ップが終了する前に、当該増圧パターンがよりも増圧度
の大きい増圧パターンが上記パターン演算手段87によ
り演算されたときには、上記現在のステップを途中の段
階で強制的に中止させ、次の段階を上記増圧度の大きい
新たな増圧パターンの第1段階として該新たな増圧パタ
ーンによるステップを上記駆動手段に実行させるもので
ある。
【0052】ステップ変更制御の流れは図8に示されて
おり、各種データが入力され、スリップ制御中(ECF
L=1)のとき、1ステップが終了していなければ、現
在のフェーズは増圧フェーズ0か否かが見られる(ステ
ップS1〜S4)。そして、増圧フェーズ0のとき、現
在の増圧パターンよりも増圧度大のパターンが算出され
れば、当該増圧度大のパターンに変更されて制御がブレ
ーキ制御が実行される(ステップS4〜S6)。また、
増圧フェーズ0でないとき、あるいは増圧度大のパター
ンが算出されないときは、現在の増圧パターンでそのま
ま制御が継続される。そして、1ステップが終了すれ
ば、その時点でパターン演算手段87により算出された
新たなパターンで制御が実行されることになる(ステッ
プS3,S7)。
【0053】増減幅変更手段89は、圧力源29のライ
ン圧を検出するライン圧検出手段90からの出力に基い
て、上記増圧段階の増圧時間及び減圧段階の減圧時間を
変更するものである。すなわち、図9に示すように、上
記ライン圧が低くなるにつれて増圧時間は長くなり、減
圧時間は逆に短くなるように設定される。
【0054】従って、上記実施例においては、図5に示
されるように、アクセルペダルの踏込により駆動輪速が
高くなり、そのスリップ量がSETを越えると、エンジ
ン制御が開始され、さらに、SBTを越えるとブレーキ
制御が開始される。そして、初回スリップのピークS
(P) に至る間では、増圧フェーズ0が選択され、スリッ
プ量の増大に伴い、緩増圧パターンNS1から増圧度が高
いパターンNM1,NB1が順次演算されていく。
【0055】このとき、図10に示すように、例えば上
記緩増圧パターンNS1の第2段階終了時点で中増圧パタ
ーンNM1が選択されると、上記緩増圧パターンNS1のス
テップ中止され、中増圧パターンNM1によるステップが
開始される。すなわち、上記緩増圧パターンNS1の第3
段階が中増圧パターンNM1の第1段階となる。中増圧パ
ターンNM1のステップの途中で急増圧パターンNB1が演
算された場合も同様である。よって、駆動輪に付与され
るブレーキ液圧は急激に増大していくことになり、この
駆動輪のスリップの増大を速やかに抑え、目標スリップ
量への早期収束を図ることができる。
【0056】また、上記増圧フェーズ0であっても、現
在の増圧パターンよりも増圧度の低いパターンが演算さ
れるときは、上記ステップの途中からの移行はない。こ
のことは、他のフェーズでも同様であって、各ステップ
が終了した後に新しいステップに移行する。よって、通
常時はブレーキ液圧の緻密な制御を行なうことができる
とともに、ブレーキ液圧の急変を抑えて滑らかなブレー
キ液圧変化を得て、駆動輪に衝撃ないしは振動を与える
ことを防止することができる。
【0057】また、上記実施例の場合、ライン圧に応じ
て増圧時間及び減圧時間が変化するから、常に予定する
ブレーキ液圧を駆動輪に与えることができ、所期のブレ
ーキ制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示す。
【図1】車両のスリップ制御装置の全体構成図
【図2】制御手段のブロック図
【図3】ブレーキ制御量演算系のブロック図
【図4】目標スリップ量を決定するための回路図
【図5】駆動輪のスリップ量の経時変化の一例を示す図
【図6】ブレーキ制御フェーズの選択制御のフロー図
【図7】増減圧パターンを示す図
【図8】増減圧パターンの移行の流れを示すフロー図
【図9】ブレーキライン圧と増減圧時間との関係を示す
特性図
【図10】ステップ変更の一例を示すタイムチャート図
【符号の説明】
2RL,2RR 駆動輪 70 スリップ制御手段 72 スリップ検出手段 73 目標スリップ量(閾値)設定手段 74 路面摩擦係数算出手段 75 スリップ判定手段 76 制御量演算手段 77 駆動手段 86 フェーズ選択手段 87 パターン演算手段 88 ステップ変更手段
フロントページの続き (72)発明者 信本 和俊 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−16163(JP,A) 特開 平1−285454(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動輪に付与するブレーキ液圧を調節する
    コントロールバルブを備え、且つ、 上記ブレーキ液圧を所定時間増大させる増圧段階と、上
    記ブレーキ液圧を保持する保持段階とを組合わせて各々
    所定数の段階からなるように設定された増圧度の異なる
    複数の増圧パターンと、 上記ブレーキ液圧を上記所定時間減圧させる減圧段階と
    上記保持段階とを組合わせて各々上記所定数の段階から
    なるように設定された減圧度の異なる複数の減圧パター
    ンと、 上記所定数の保持段階よりなる保持パターンとを有し、 上記駆動輪の路面に対するスリップ量が目標スリップ量
    となるように、上記各パターンを1つのステップとして
    上記コントロールバルブをステップ状に制御するように
    した車両のスリップ制御装置において、 上記駆動輪の路面に対するスリップ状態に基いて、当該
    駆動輪に付与するブレーキ液圧を増大させるための増圧
    フェーズと、当該駆動輪に付与するブレーキ液圧を減少
    させるための減圧フェーズと、当該駆動輪に付与するブ
    レーキ液圧を増減させるための増減フェーズとのうちか
    ら採用すべきフェーズを選択するフェーズ選択手段と、 上記フェーズ選択手段で選択されたフェーズにおいてブ
    レーキ液圧の制御に供すべきパターンを、上記スリップ
    状態に基いて1ステップ中に複数回演算するパターン演
    算手段と、 1ステップが終了した段階で上記パターン演算手段によ
    り演算されているパターンにより次のステップが実行さ
    れるようコントロールバルブに駆動信号を出力する駆動
    手段と、上記フェーズ選択手段により増圧フェーズが選択されて
    いるときにおいて、現在実行されている増圧パターンに
    よるステップが終了する前に、当該増圧パターンよりも
    増圧度の小さい増圧パターンが上記パターン演算手段に
    より演算されたときには、上記現在のステップを終了し
    た後に上記増圧度の小さい新たな増圧パターンによるス
    テップを上記駆動手段に実行させる一方、 上記フェーズ
    選択手段により増圧フェーズが選択されているときにお
    いて、現在実行されている増圧パターンによるステップ
    が終了する前に、当該増圧パターンよりも増圧度の大き
    い増圧パターンが上記パターン演算手段により演算され
    たときには、上記現在のステップを途中の段階で強制的
    に中止させ、次の段階を上記増圧度の大きい新たな増圧
    パターンの第1段階として該新たな増圧パターンによる
    ステップを上記駆動手段に実行させるステップ変更手段
    とを備えていることを特徴とする車両のスリップ制御装
    置。
JP03158398A 1991-06-28 1991-06-28 車両のスリップ制御装置 Expired - Fee Related JP3081023B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03158398A JP3081023B2 (ja) 1991-06-28 1991-06-28 車両のスリップ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03158398A JP3081023B2 (ja) 1991-06-28 1991-06-28 車両のスリップ制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH058711A JPH058711A (ja) 1993-01-19
JP3081023B2 true JP3081023B2 (ja) 2000-08-28

Family

ID=15670875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03158398A Expired - Fee Related JP3081023B2 (ja) 1991-06-28 1991-06-28 車両のスリップ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3081023B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH058711A (ja) 1993-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2902105B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP2907497B2 (ja) 車両のトラクション制御装置
JP2902059B2 (ja) 車両のトラクション制御装置
JPH05633A (ja) 車両のスリツプ制御装置
JP2902055B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JPH07186926A (ja) 車両のトラクション制御装置
US5295552A (en) Slip control system for motor vehicle
JP2855280B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2894752B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3081023B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JPH0459437A (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3290539B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP2898439B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JPH0516780A (ja) 車両のスリツプ制御装置
JP3036956B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2966073B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP2917059B2 (ja) 車両のアンチスキッドブレーキ装置
JPH0558264A (ja) 車両のスリツプ制御装置
JP2904959B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2904901B2 (ja) 車両の運転制御装置
JP2818901B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3016907B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2813918B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP3059226B2 (ja) 車両のブレーキ制御装置
JP3036955B2 (ja) 車両のスリップ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000606

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees