JP3080483B2 - 医療用ガイドワイヤ及びそのコイルの製造方法 - Google Patents

医療用ガイドワイヤ及びそのコイルの製造方法

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JP3080483B2
JP3080483B2 JP04232923A JP23292392A JP3080483B2 JP 3080483 B2 JP3080483 B2 JP 3080483B2 JP 04232923 A JP04232923 A JP 04232923A JP 23292392 A JP23292392 A JP 23292392A JP 3080483 B2 JP3080483 B2 JP 3080483B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、血管系統、特に人間
の心臓血管系内にカテーテルを導入する際に用いる医療
用ガイドワイヤ及び該ガイドワイヤを構成するコイルの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】血管造影を目的とした血管内へのカテー
テルの導入に際しては、導入をより安全確実に遂行する
ための手段としてガイドワイヤが用いられてきた。この
ガイドワイヤは比較的太い血管や分岐あるいは屈曲が比
較的単純な血管に対しては有効に作用するが、例えば心
臓の冠動脈のように非常に細く分岐する血管の深部等に
対してはこの部分にカテーテルを搬入することが困難な
場合が多く、特に狭窄のはげしい部分に対しては全く別
の考えに基づくガイドワイヤが必要である。中でも狭窄
部分に対する血管形成を施すためのカテーテルに用いら
れるガイドワイヤにおいては、狭窄部位を正確に捉える
ためにガイドワイヤの先端部分付近はX線など放射線不
透過であることが不可欠である。従来、これらを解決す
るガイドワイヤとして例えば特公平4-25024号公報に記
載されているものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この従来のガイドワイ
ヤは捩り性の高い金属製のシャフトの先端部分付近に2
つのコイルを接続し、2つのコイルのうち先端側のコイ
ルを放射線不透過な材料にすることにより高度な柔軟
性、屈曲性並びに放射線による識別を容易にする工夫が
なされている。しかしながら、このガイドワイヤは異種
材料からなる2つのコイルをねじ込み又はろう付け等で
人為的に結合して接続しているため、該結合部の機械的
安全性の確保に特別の配慮を要し、加えて結合部の機械
的特性が不連続となることにより曲率の極めて小さな血
管をガイドワイヤが通過するときにこの結合部の曲げ半
径の不連続から通過が困難になる等の問題点があった。
すなわち、これを図5に摸式的に示すと、ガイドワイヤ
20におけるコイルの結合部21が他の部分より硬いと血管
22の屈曲についていけず通過が困難となり(A)、一
方、結合部21が柔らかすぎると折れ曲がってしまい通過
困難となる(B)。
【0004】そこでこの発明は、前記のような従来の問
題点を解決し、結合部がなくて、曲率の極めて小さな血
管でも容易に通過が可能な医療用ガイドワイヤ及びこの
ガイドワイヤを構成するコイルの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、前記のような医療用ガイドワイ
ヤにおいて、コイルが結合部のない1本の線材からなる
単条巻きとなっており、かつコイルが内側層と外側層か
らなり、内側層のシャフトの先端部分側の部分が放射線
不透過の材料からなっているとともに、外側層と内側層
のシャフトの先端部分側の部分以外の部分が放射線透過
の材料からなっていることを特徴とする。請求項2の発
明は、請求項1記載の医療用ガイドワイヤにおいて、放
射線不透過の材料が白金を主成分とする合金、金を主成
分とする合金、タングステンを主成分とする合金、鉛の
いずれかとなっていることを特徴とする。請求項3の発
明は、請求項1記載の医療用ガイドワイヤ用のコイルを
製造するに際し、放射線透過の材料からなる細長いチュ
ーブ状の外側層内の一方側に放射線不透過の材料を挿入
するとともに、他方側に外側層と同質の材料を挿入した
後、これら複合体層をダイスを通して引き抜き細径化し
た線材としたうえでコイル状に巻くことを特徴とする。
【0006】
【作用】前記のようにコイルが結合部のない1本の線材
からなる単条巻きとなっているので、従来の結合部のあ
るガイドワイヤのコイルのように屈曲時の曲げ半径の著
しい不均一がなく、屈曲率が一定となって曲率の極めて
小さな微小血管でも容易に通過が可能となる。また、コ
イルのシャフトの先端部分側となる部分が放射線不透過
の材料からなっているので、放射線透視下において該部
分で周囲の微小血管との識別が容易に行えるとともに、
ガイドワイヤの位置そのものも明瞭に判別することが可
能となる。
【0007】
【実施例】図1はこの発明の一実施例を示す医療用ガイ
ドワイヤの一部省略の縦断正面図である。同図において
1はガイドワイヤで、ステンレス鋼等からなる細長い可
撓性のシャフト2とコイル3とプラグ4から構成されて
いる。シャフト2は手元部分2aと先端部分2bと中間
部分2cからなっており、中間部分2cと先端部分2b
は研磨によりプラグ4に向けて段階的に細く加工されて
いる。シャフト2は手元部分2aの長さL1が1400mm、
それ以外の部分の長さL2が350mmで、全長L3が1750mm
となっている。手元部分2aは直径が0.35mmの円筒形に
形成されている。中間部分2cはテーパ部分2dを介し
て小径となった直径が0.19mmの円筒形部分2eと、テー
パ部分2fを介して小径となった直径が0.13mmの円筒形
部分2gとからなっており、この円筒形部分2gの先端
のテーパ部分2hを介して直径が0.05mmで円筒形の前記
先端部分2bが一体に設けられている。先端部分2bの
先端には先端方向に丸みを有するプラグ4が固定されて
いる。
【0008】コイル3は従来のもののような結合部のな
い1本の線材からなる単条巻きとなっており、内側層5
と外側層6からなっている。外側層6はSUS304など
のステンレス鋼等で細長いチューブ状に形成され、内側
層5はシャフト1の先端部分2b側の部分がステンレス
鋼等とは異種材質のX線不透過の材料5a、この例では
白金を主体とした合金、金を主体とした合金、タングス
テンを主体とした合金、鉛等のいずれかの重金属等から
なり、シャフト1の先端部分2b側の部分以外の部分が
ステンレス鋼等と同材質又は銅のように通常工業的に利
用されるX線透過の材料5bからなっている。
【0009】このようなコイル3を製造するには、図2
に示すように、まずSUS304などのステンレス鋼等で
細長いチューブ状の外側層6を形成し(A)、この外側
層6内の一方側からX線不透過の材料5aとして前記の
ような金属等を挿入する。また外側層6内の他方側から
外側層6を形成するステンレス鋼等と同材質又は銅のよ
うに通常工業的に利用されるX線透過の材料5bとして
の金属等を挿入し、その先端面を材料5aの先端面に突
合せる(B,C)。次に、このようにして形成された外
側層6と内側層5からなる複合体層をダイス8を通して
引き抜き加工により細径化し、必要な外径を有する線材
10に仕上げる(D,E)。線材10の外径は0.03〜0.15mm
が好ましい。またX線不透過の材料5aのある線材10の
断面積を1とすると、その内側層5としての材料5aの
断面積は0.2以上が好ましい。次に、前記のように形成
された線材10を通常のようにコイル状に巻くと、(F)
のように内側層5の一部が実質的にX線不透過となった
連続した一様のコイル3が形成される。
【0010】前記のような構成において内側層5として
のX線透過の材料5bは必ずしも必要でなく、空にして
おいてもよい。さらに、X線透過の材料5bは前記した
ような金属に限らず、金属以外の物質、例えば硫酸バリ
ウムや酸化ビスマス等の粉体や他の物質で固形化された
ものを用いてもよい。このようにして形成されたコイル
3はX線不透過の材料5a側の先端がプラグ4に固定さ
れ、X線透過の材料5b側の基端がシャフト1のテーパ
部分2dに固定される。
【0011】前記のように構成されたガイドワイヤ1を
図3のように曲率の極めて小さな血管22内に挿入する
と、ガイドワイヤ1は血管22内をスムーズに進み、屈曲
部でも容易に通過する。これはコイル3に従来のような
結合部がなく、その屈曲率が一定となったためである。
また、ガイドワイヤ1のコイル3のX線不透過の材料5
aがX線透視下において黒色部分として写し出されるの
で、術者にとって周囲の血管22との識別が容易となる。
したがって、術者は時折カテーテルから放出される造影
剤と相まって血管22の屈曲部や狭窄分の位置関係を明瞭
に把握できるし、ガイドワイヤ1の位置そのものも明瞭
に判別することができる。
【0012】図4はシャフトの変形例を示し、このシャ
フト2の先端部分2bは2つの部分から形成されてい
る。すなわち、円筒形部分2gの先端のテーパ部分2h
を介して設けられる先端部分2b1が短くなっていて、
これに図1の先端部分2bとほぼ同じ長さで別体の円筒
形の先端部分2b2が適宜の手段で固定されている。そ
のほかの構成は図1と同様であるので、同様の部分には
同一符号を付して説明は省略する。
【0013】
【発明の効果】請求項1,2の発明は前記のような構成
からなり、従来のガイドワイヤのような結合部がないの
で、曲率の極めて小さな血管でもガイドワイヤを容易に
通過させることができ、特に心臓血管など微小血管にカ
テーテルを導入する際に用いるのに便利であるのに加
え、放射線不透過の材料となる部分と放射線透過の材料
からなる部分とをコイルの内側層と外側層という構成に
より容易に形成することができる。また請求項3の発明
は請求項1のガイドワイヤを構成するコイルを簡単に製
造することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すガイドワイヤの一部
省略の縦断正面図である。
【図2】(A)ないし(F)はそれぞれコイルの製造工
程を示す概略図である。
【図3】作用説明用の概略図である。
【図4】シャフトの変形例を示す図1と対応する縦断正
面図である。
【図5】(A)ないし(B)は図3と対応する作用説明
用の概略図である。
【符号の説明】
1 ガイドワイヤ 2 シャフト 2a 手元部分 2b 先端部分 2c 中間部分 3 コイル 4 プラグ 5 内側層 5a X線不透過の材料 5b X線透過の材料 6 外側層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−133463(JP,A) 特開 平4−71565(JP,A) 特開 昭63−181774(JP,A) 特開 昭63−105804(JP,A) 特開 昭62−231675(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 25/01

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 手元部分と先端部分を有し、細長い可撓
    性のシャフトの全部分又は一部分をコイル内に挿入して
    固定した医療用ガイドワイヤにおいて、前記コイルが結
    合部のない1本の線材からなる単条巻きとなっており、
    かつ前記コイルが内側層と外側層からなり、内側層のシ
    ャフトの先端部分側の部分が放射線不透過の材料からな
    っているとともに、外側層及び内側層のシャフトの先端
    部分側の部分以外の部分が放射線透過の材料からなって
    いることを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
  2. 【請求項2】 放射線不透過の材料が白金を主成分とす
    る合金、金を主成分とする合金、タングステンを主成分
    とする合金、鉛のいずれかである請求項1記載の医療用
    ガイドワイヤ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の医療用ガイドワイヤ用の
    コイルを製造するに際し、放射線透過の材料からなる細
    長いチューブ状の外側層内の一方側に放射線不透過の材
    料を挿入するとともに、他方側に外側層と同質の材料を
    挿入した後、これら複合体層をダイスを通して引き抜き
    細径化した線材としたうえでコイル状に巻くことを特徴
    とするコイルの製造方法。
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