JP3718413B2 - 医療用ガイドワイヤと、医療用ガイドワイヤの線体成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、心臓血管系内等にカテーテルを導入する際に用いる医療用ガイドワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血管造影を目的として、極細可撓管体のカテーテルを血管内に挿入したり、または、冠状動脈の閉塞部位の治療に、バルーンカテーテルを血管内に挿入するのに際し、そのカテーテルの挿入を安全確実にするために、可撓性線材からなる医療用ガイドワイヤが用いられており、特公平4−25024号公報・特公平4−292175号公報に示される公知例がある。
【0003】
そして、この医療用ガイドワイヤ1(以下、単にガイドワイヤ1という)は、(図6参照)可撓性極細線の主線材2からなる線条形態にして曲りくねった複雑な径路の血管30・分岐血管31に先端部3から挿入するので、柔軟な可撓性と進行方向の荷重に対する垂直荷重性(耐座屈性)が要求され、さらに、体外に位置する後端部5を回転させながら血管内へ挿入し進行させるので、その回転に対する応分の捩り剛性と、後端部5の操作によって血管内の先端部3の方向が操作できるステアリング性を併有する高度の機械的性質が必要であり、その先端部3は、血管内挿入の先導部として機能するに足る柔軟性と屈曲変形からの復元性が必要となるので、細径にした主線材2にコイルばね4を嵌装着した形態のものが主流をなしている。
【0004】
即ち、例えば分岐血管31に挿入する場合は、先端部3の若干を指先等で「くの字状」に塑性変形させたプリシエイプ部Pを形成して血管内に挿入し、そのプリシエイプ部Pが、挿入すべき分岐血管31の分岐点の近傍に達すると、ガイドワイヤ1を回転させてプリシエイプ部Pを分岐血管31に導入する操作が行われ、その導入操作によって、ガイドワイヤ1を分岐血管31に挿入進行させることになる。従って、ガイドワイヤ1は先端部3が高可撓性にしてプリシエイプ部Pが成形し易く、かつ後端部5の方向へ剛性が向上する形態が望まれる。
【0005】
以上から、従来のガイドワイヤは、Ni(ニッケル)−Ti(チタン)系の超弾性合金線または剛性合金材のSUS(ステンレス)材からなる主線材2のものが多く、その主線材2を露出形態にしたりテフロンコーティング等の樹脂被覆をした形態にして使用されている。そして、そのNi−Ti合金材・SUS材の固有特性を応用して、ガイドワイヤ1の機械的性質の向上を図る公知例として、特開表9−508538号公報に示される「Ni−Ti合金線とSUS材線を線体長手方向の中間ポイントで接続した2種金属線連結の主線材2からなるガイドワイヤ」と、特開平8−000734号公報に示される「SUS材の芯線を鞘体のNi―Ti合金筒状体に納めた形態」のものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、SUS材からなる主線材2は「剛性に優れるものの、屈曲(キンク)し易くして屈曲形状からの復元性が劣り(耐キンク性に劣る)」Ni−Ti合金材からなる主線材2は「形状記憶性に優れ、かつ曲げ変形からの復元性が良好であるものの、剛性(捩れ・曲げ剛性)が劣る」固有特性があり、これ等の単独材質からなるものは前記の必要機械的性質の一部が希薄・不備になる。
【0007】
さらに、Ni−Ti合金材からなる主線材2は、血管径路に沿って屈曲形状を呈した後の形状復元性に優れるものの、その屈曲度・湾曲度が大なる状態から小なる状態に移行したとき血流圧力や屈曲抵抗によって元の大なる状態に復そうとする現象があり「局部異常曲り(曲部的はね上げ形状等)」を生じて血管壁との異常摩擦をもたらすことがある。なお「屈曲度が大なる」とは、血管内挿入時のガイドワイヤが多数の屈曲状態を呈して、その総曲げ角度が大なることを意味し、「湾曲度が大なる」とは、同じく血管内のガイドワイヤが多数の湾曲状を示して、その曲げ半径が小にして複数組合せてなる湾曲状態を意味する。
【0008】
一方、前記Ni−Ti合金線とSUS材線の連結構造のものは「剛なる後半部分と柔なるNi−Ti合金材の前半部分」の異質2金属線の直列連結形態からなるので、後端部5を回転させて先端部3の血管内進行をするとき、その回転操作による主線材2の捩り形態は、SUS材の小なる捩り角とNi−Ti合金材の大なる捩り角が2金属接合の中間点で急変するので、後端部5の回転操作と先端部3の回転作動の整合調和性に欠け、後端部5による血管内への挿入進行操作がしづらい。
【0009】
さらに、その異質2種の金属線を接続部材によって接続連結するので、その連結部位が段差状の膨径形状となって血管内挿入性を損うと共に、その接続部材が異質2金属の接合点となって捩り応力・トルク等が集中するので強度不足によって破損して主線材2の血管内分断分離のおそれがあり、安全性に欠ける。
【0010】
一方、前記の「Ni−Ti合金材鞘体形態」のものは、Ni−Ti合金材とSUS材の複合形態になるものの、芯材と鞘体との間には当然にクリアランスが存在することから、屈曲した細管へ挿入したときの曲げ抵抗によって鞘体が芯材へ圧接する変形を生ずるので、細管への挿入抵抗が大にして挿入操作がしづらく、実質的に挿入不能なるおそれがある。そして、概ね外直径=0.3粍・内直径=0.2粍に制限される長尺筒体のNi−Ti筒状体の成形は極めて困難にして実用性に欠ける。
【0011】
本発明は、以上の従来技術の難点を解消する高品質ガイドワイヤを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上の技術課題を解決する本発明の医療用ガイドワイヤは「可撓性細長線条体の主線材からなる医療用ガイドワイヤにおいて、該主線材がSUS材芯線の外周にSUS材被膜層とNi−TI合金被膜層を備え、該SUS材被膜層と該Ni−Ti合金被膜層は該SUS材芯線の軸心に対して傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該Ni−Ti合金被膜層の膜厚が前記主線材の先端部の方向へ厚膜になる構造」からなる第1発明と、
【0013】
「可撓性細長線条体の主線材からなる医療用ガイドワイヤにおいて、該主線材がSUS材線の外周にNi−Ti合金被膜層を備え、該SUS材線の外周と該Ni−Ti合金被膜層は該SUS材線の軸心に対して傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該Ni−Ti合金被膜層の膜厚が前記主線材の先端部の方向へ厚膜になる構造」の第2発明と、
【0014】
「可撓性細長線条体の主線材からなる医療用ガイドワイヤにおいて、該主線材がNi−Ti合金線の外周にSUS材被膜層を備え、該Ni−Ti合金線の外周と該SUS材被膜層は該Ni−Ti合金線の軸心と傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該SUS材被膜層の膜厚が前記主線材の後端部の方向へ厚膜になる構造」の第3発明と、
【0015】
「可撓性細長線条体の主線材の先端部にコイルばねを嵌装した医療用ガイドワイヤにおいて、該コイルばねを構成するコイル線が、SUS材芯線の外周にNi−Ti合金被膜層を備え、該Ni−Ti合金被膜層と該SUS材芯線は前記コイル線の軸心に対して傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該Ni−Ti合金被膜層の膜厚が前記主線材の先端部の先端方向へ薄肉となる構造」からなる第4発明と、
【0016】
「連続するSUS材母線の長手方向に、所要ピッチで直列すると共に、該SUS材母線の軸心上に位置するネック部の両側に、該ネック部から該SUS材線周に至るテーパー部を有するテーパー凹所を形成し、しかるのち、該テーパー凹所を埋め込むNi−Ti合金被膜層を成膜し、続いて該Ni−Ti合金被膜層つきSUS材母線を伸線加工して縮径し、しかるのち、該縮径母線の前記テーパー凹所の中間と該テーパー凹所間の中間を切断することによって本発明の前記主線材または前記コイル線を成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの線体成形方法」になっている。
【0017】
即ち、本発明の医療用ガイドワイヤは主要構造部材の主線材・コイルばねのコイル線材の前部または一部を「SUS材とNi−Ti合金材がテーパー面で接合する2層構造」に成し、その2層構造線の線長方向における異種2金属材の構成比を、相互に漸増漸減する形態に構成することによって、その異種2金属の固有特性の相互補完による機械的性質を線長方向に徐変形態にする思想からなるものである。
【0018】
そして、前記のSUS材被膜層・Ni−Ti合金被膜層は、公知の金属溶射法またはスパッタ法・真空蒸着法の気相成膜法によって生成され、前記構成の態様として、前記構成の主線材を樹脂被覆に埋め込む樹脂被覆つきガイドワイヤに構成したり、Ni−Ti合金として特段の形状記憶特性を有する特開平9−256086号公報に示される「Ni−Ti合金母相に整合弾性歪を発生させるナノメートルスケールの析出物が分布しているNi−Ti合金」によってNi−Ti合金被膜層を形成する。
【0019】
【作用】
以上の構成の本発明のガイドワイヤの主線材は「剛にして曲げ易いSUS材と柔にして耐キンク性に優れるNi−Ti合金層が傾斜接合面で接合して、該Ni−Ti合金層が先端方向へ膜厚を増す形態となるので、その2質2金属のそれぞれの固有特性を相互補完して先端部が最柔軟性にして後端部方向へ剛性を漸増し、後端部が最剛性にして、かつ、先端部の方向へ「形状記憶性・耐キンク性」を漸増する極めて好ましい機械的性質の徐変形態となる。従って、細管血管への挿入性・ステアリング性が極めて良好にして、屈曲細管への挿入による「曲げぐせ残留」も少くして良好な引き抜き性が確保できる。
【0020】
そして、前記第4発明のガイドワイヤは、主線材の先端部に嵌装するコイルばねのコイル線が、前記第1発明の主線材と同質の2層構造にして、Ni−Ti合金層がコイルばねの後端方向へ膜厚を漸増し、かつ、SUS材厚みがコイルばねの先端方向へ厚みを増す構成からなるもので、そのコイル線材からなるコイルばねの先端部分はSUS材特性が大きく寄与してプリシエイプ部Pの形成がし易くして屈曲度・湾曲度が大なる細管血管への挿入性が良好になる。そして、そのコイルばねの後端部分はNi−Ti合金材特性が大きく寄与して形状記憶性・耐キンク性に優れ、血管挿入による「曲げぐせ残留」が少くして血管からの引き抜き性が極めて良好になる。そして、そのコイルばねの両端部分の機械的性質が中間部分で徐変して急激変換点が存在しないので、コイルばねとしての曲げ・曲げ復元が極めて円滑にして血管内への挿入先導部としての機能が良好に安定する。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、図1を参照して前記第1発明の実施例を説明する。即ち、可撓性細長線条材の主線材2からなるガイドワイヤ1において、図1(A)に示すガイドワイヤ1の主線材2は後端部5から先端部3の前端に至るSUS材の芯線6の外周にSUS材被膜層7(以下、単にSUS被膜7という)とNi−Ti合金被膜層8(以下、単にNi−Ti被膜8という)を備えて一様線径にした形態にして、そのSUS被膜7とNi−Ti被膜8は芯線6の軸心に対して傾斜する傾斜接合面10で接合して一体化された単一線条体を構成している。
【0022】
そして、そのSUS被膜7は後端部5において最大膜厚T1となり、Ni−Ti被膜8はコイルばね4を嵌装する先端部3の基点において最大膜厚T2となり、その両点の中間部分に傾斜接合面10が存在し、その傾斜接合面10によってSUS被膜7が先端部3の方向へ膜厚を漸減し、かつ、Ni−Ti被膜8が先端部3の方向へ膜厚を漸増する被膜形態になっている。なお、この図1(A)のものの先端部3はNi−Ti被膜8を削除した細径の芯線6にSUS材コイル線からなるコイルばね4が嵌装されている。
【0023】
一方、図1(E)の主線材2は図1(A)に示す主線材2と同様に、芯線6の外周に傾斜接合面10で相互接合して最大膜厚T1のSUS被膜7と最大膜厚T2のNi−Ti被膜8を備えたものにおいて、傾斜接合面10においてNi−Ti被膜8が下側にしてSUS被膜7が上側になる組合せ積層に成っている。
【0024】
なお、以上の図1(A)(E)の主線材2は芯材6にSUS被膜7を一様に設けた線体に一次加工し、その一次加工線体のSUS被膜7の不要部分を研磨削除して、その削除部分にNi−Ti被膜8を被膜する二次加工を施し、続いてその二次加工品の先端部3のNi−Ti被膜8を研磨削除して成形したり、SUS被膜7・Ni‐Ti被膜8が金属溶射法によるものであるときは、溶射時間と移動速度によって傾斜状被膜に生成したり、気相成膜法の場合も同様な傾斜膜生成方法が採られる。なお、この実施例のものは芯材6の直径=約0.217粍、SUS材被膜7の最大膜厚T1=約62ミクロン、Ni−Ti被膜8の最大膜厚T2=約62ミクロンの諸元である。
【0025】
つぎに、図2(A)(B)を参照して第2発明一実施例のガイドワイヤ1を説明する。即ち、この図2(A)のものは図1(A)に示す主線材2のSUS被膜7がSUS材に代っており、SUS被膜7が不存在の太径のSUS材線6Aの外周とNi−Ti被膜8が、同じく傾斜接合面10で接合して単一の線条体を構成し、先端部3の基点部位においてNi−Ti被膜8が最大膜厚T2になっている。
【0026】
続いて、図2(B)・図3を参照して第1・第2発明の他の実施例と第3発明の一実施例を説明する。即ち、図1・図2(A)に示す主線材2において、この図2(B)のものは細径にしてコイルばね4を嵌装する先端部3の後半部3Bに、薄膜のNi−Ti被膜8Aが設けられている。そして、図3(A)のものは図1(A)・図2(A)に示す主線材2(図は図1(A)のみを示す)が、コイルばね4を不嵌装にして「ポリアミド・ポリウレタン・ふっ素樹脂等」の樹脂被膜9に包み込まれた樹脂被覆つきガイドワイヤ1になっている。
【0027】
一方、図3(B)は前記第3発明の一実施例を示すものにして、主線材2がNi−Ti合金線14によって構成され、そのNi−Ti合金線14の後端部5寄りの大半部分にSUS被膜7が設けられ、このNi−Ti合金線14とSUS被膜7がNi−Ti合金線14の軸心に対して傾斜する傾斜接合面10で接合すると共に、SUS被膜7の膜厚が後端部5の方向へ漸増して後端部5において最大膜厚T1に成っている。
【0028】
以上の図1〜図3実施例のガイドワイヤ1は前記の作用があり、SUS被膜7・SUS材芯線6AとNi−Ti被膜8・Ni−Ti合金線14がそれぞれの固有特性を相互補完すると共に、その相互補完構成が線材長手方向に徐変するので、主線材2の長手方向の機械的特性が先端部の最柔から後端部の最剛へ滑らかに徐変する。従って、血管内挿入のときの屈曲変形が極めて滑らかにして中間部分の異常屈曲や挿入後の「曲げぐせ残留」のおそれがなく、血管への挿入性・操作性と引き抜き性が特段に良好になる。そして、図2(B)のNi−Ti被膜8を薄膜にして先端部3の芯線の外周に設ける形態のものは、先端部3の耐キンク性・形状記憶性が向上して「曲げぐせ残留」がなく血管からの引き抜き性が極めて良くなる。
【0029】
次に、図4を参照して前記第4発明の一実施例を説明する。即ち、この図4実施例のガイドワイヤ1は可撓性線条体の主線材2の先端部3にコイルばね4を嵌装したのものにおいて、そのコイルばね4のコイル線11がSUS材の芯線6の外周にNi−Ti被膜8を設け、この芯線6とNi−Ti被膜8が傾斜接合面10で相互接合してNi−Ti被膜8の膜厚が線長方向に漸増または漸減して一様線径の単一線を構成しており、このコイル線11でコイルばね4(図4(A)参照)を形成して、コイルばね4の後半部分4BがSUS材の芯線6とNi−Ti被膜8の積層にして、かつ、そのNi−Ti被膜8が縦長方向に漸減薄膜となって線長中間点でゼロになり、コイルばね4の前半部分4AがSUS材の芯線6のみのコイル線12によって構成されると共に、後半部分4BはSUS材とNi−Ti被膜8の積層にして後半部分4Bの始点におけるNi−Ti被膜8の膜厚が最大になっている。
【0030】
一方、図4(C)のものは図4(A)と同様な「SUS材の芯線6とNi−Ti被膜8が傾斜接合面10で接合するコイル線11に放射線不透過線が接続された単一線材によってコイルばね4が形成され、このコイルばね4を主線材2の先端部分に嵌装すると、先端部3の後端側1/3長が「SUS材とNi−Ti被膜積層のコイル線11、中間の約1/3長がSUS材のみのSUS材コイル線12、先端側約1/3長が放射線不透過のコイル線13」からなる3ゾーン形態になる構造を有している。
【0031】
以上の図4(A)実施例のコイルばね4を嵌装してなるガイドワイヤ1は、ガイドワイヤ先端部3の機械的性質の寄与度が大なるコイルばね4の後半部分4Bが図1実施例の主線材2と同一形態にして「SUS材とNi−Ti被膜8」による固有特性の相互補完によって機械的性質が徐変する構造となり、後半部分4Bが耐キンク性・形状記憶性を有して、屈曲細管への挿入後の形状回復性が良く「曲げぐせ残留」を防止して血管から引き抜き性が良好に設定できる。そして、前半部分4AはSUS材のみからなるので、プリシエイプ加工がし易くして曲り易く屈曲度・湾曲度が大なる細管血管への先導挿入性が良好に確保できる。
【0032】
そして、図4(C)に示す前記3ゾーン形態のものは図4(A)の前記の特有作用を享受し、かつ、放射線不透過のコイル線13によるガイドワイヤ1の血管内位置の検知機能が確保できる。
【0033】
なお、以上の各実施例のガイドワイヤ1は他の実施形態として、Ni−Ti被膜8を特開平9−256086号公報に示される「Ni−Ti合金母相に整合弾性歪をナノメートルスケールの析出物が分布しているNi―Ti合金」によって形成する態様を必要に応じて採択し、Ni−Ti被膜8による形状記憶性の特段の向上を図る。そして、前記各実施例の主線材2・コイル線12・13はSUS材の芯線6にSUS被膜7・Ni―Ti被膜8を設けた太径の母線を一次成形し、しかるのち、その一次成形母線を伸線加工して縮径して成形すると共に、その伸線加工後のストレーナ加工時に形状記憶処理して用いられる。
【0034】
そして、その主線材2・コイル線11のSUS被覆7・Ni―Ti被膜8は前記の金属溶射法による溶射層形態または前記の気相成膜法によって成膜される。そして、その溶射層形態のものはミクロサイズの金属微粒子の集合にして微小凹陥群を表面に密に存在させるので、血管への挿入性向上のために施す潤滑材(親水性ポリマー)・抗血栓剤(ヘパリン)の付着保持が良く、血管挿入性・凝血防止効果のさらなる向上を可能にする特有作用がある。
【0035】
つぎに、図5を参照して図2・図4実施例の主線材2・コイル線11の線体成形方法の一実施形態を説明する。即ち、まず太径D2長尺のSUS材母線15の長手方向のピッチP毎に「母線15の軸心に対して傾斜するテーパー部21で両側から縮径して中心点をネック部20」になすテーパー凹所22を設けたテーパー凹所つき母線16に成形し、続いて、そのテーパー凹所22を埋め込むNi−Ti被膜8を成膜して、被膜つき母線17に成形する。
【0036】
しかるのち、その被膜つき母線17を伸線加工して線径D1に縮径加工して主線材2・コイル線11としての所定径D1の線条体18に生成し、続いて、線条体18のテーパー凹所22の中間点のネック部20とテーパー凹所22間の中間点Cを切断することによって「Ni−Ti被膜8つき所定長の主線材2・コイル線11」を順次連続的に生成し、先端部3のNi−Ti被膜8の研磨除去等の後処理が施されて完成される。以上の実施形態の線体成形方法によると主線材2・コイル線11が低コスト能率的に量産できる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明のガイドワイヤの主線材は、異質2金属のSUS材とNi−Ti合金材がそれぞれの固有特性を相互補完すると共に、その相互補完形態が線長方向に徐変する特有構造からなるので、先端部が最柔軟形態にして後端部が最剛形態、かつ、その両者の中間部分が「柔から剛」へ徐変する理想的形態の機械的性質となり、極めて高品質のガイドワイヤを提供してガイドワイヤによる治療効果を一段と向上する。
【0038】
そして、本発明の2層構造コイル線からなるコイルばねを嵌装するガイドワイヤは、そのコイルばね長方向の機械的性質の徐変形態となるので、血管内への先導案内部となるガイドワイヤ先端部が「プリシエイプ性を良好に確保し、かつ、曲げからの復元性に富む」高品質のガイドワイヤを提供し、同じくガイドワイヤによる治療効果が一段と向上する。そして、本発明のガイドワイヤの線体成形方法は、それ等の有用なガイドワイヤの低コスト量産を可能にする。以上の諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の実施例のガイドワイヤを示し、(A)はその一実施例の正面図、(B)は(A)のFF端面図、(C)は(A)のGG端面図、(D)は(A)のHH端面図、(E)は他の実施例の正面図
【図2】第2発明一実施例のガイドワイヤを示し、(A)はその正面図、(B)はその部分正面図
【図3】本発明の他の実施例のガイドワイヤを示し、(A)は第2発明の他の実施例の正面図、(B)は第3発明一実施例の正面図
【図4】第4発明の実施例のガイドワイヤを示し、(A)はその部分正面図とコイル線の断面説明図、(B)はそのコイル線の正面図、(C)は他の実施例の正面図とコイル線の断面説明図
【図5】本発明のガイドワイヤ用線材の線体成形方法の一実施形態の説明図
【図6】従来のガイドワイヤ示し、(A)はその構造説明図、(B)はその用法の説明図
【符号の説明】
1 医療用ガイドワイヤ
2 主線材
3 先端部
4 コイルばね
5 後端部
6 SUS材芯線
6A SUS材線
7 SUS材被膜層
8 Ni−Ti合金被膜層
9 樹脂被覆
10 傾斜接合面
11 コイル線
12 SUS材コイル線
13 放射線不透過のコイル線
14 Ni−Ti合金線
15 SUS材母線
16 テーパー凹所つき母線
18 線条体
20 ネック部
21 テーパー部
22 テーパー凹所
Claims (7)
- 可撓性細長線条体の主線材からなる医療用ガイドワイヤにおいて、該主線材がSUS材芯線の外周にSUS材被膜層とNi−Ti合金被膜層を備え、該SUS材被膜層と該Ni−Ti合金被膜層は該SUS材芯線の軸心に対して傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該Ni−Ti合金被膜層の膜厚が前記主線材の先端部の方向へ厚膜になる構造を特徴とする医療用ガイドワイヤ。
- 可撓性細長線条体の主線材からなる医療用ガイドワイヤにおいて、該主線材がSUS材線の外周にNi−Ti合金被膜層を備え、該SUS材線と該Ni−Ti合金被膜層は該SUS材線の軸心に対して傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該Ni−Ti合金被膜層の膜厚が前記主線材の先端部の方向へ厚膜になる構造を特徴とする医療用ガイドワイヤ。
- 可撓性細長線条体の主線材からなる医療用ガイドワイヤにおいて、該主線材がNi−Ti合金線の外周にSUS材被膜層を備え、該Ni−Ti合金線と該SUS材被膜層は該Ni−Ti合金線の軸心と傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該SUS材被膜層の膜厚が前記主線材の後端部の方向へ厚膜になる構造を特徴とする医療用ガイドワイヤ。
- 主線材が、樹脂被覆に包み込まれた構造からなる請求項1・請求項2・請求項3のいずれかの医療用ガイドワイヤ。
- 可撓性細長線条体の主線材の先端部にコイルばねを嵌装した医療用ガイドワイヤにおいて、該コイルばねを構成するコイル線が、SUS材芯線の外周にNi−Ti合金被膜層を備え、該Ni−Ti合金被膜層と該SUS材芯線は前記コイル線の軸心に対して傾斜する傾斜接合面で接合し、かつ、該Ni−Ti合金被膜層の膜厚が前記主線材の先端部の先端方向へ薄肉となる構造を特徴とする医療用ガイドワイヤ。
- Ni−Ti合金被膜層が、Ni−Ti合金母相に整合弾性歪を発生させるナノメートルスケールの析出物が分布しているNi−Ti合金からなる請求項1から請求項5のいずれかの医療用ガイドワイヤ。
- 連続するSUS材母線の長手方向に、所要ピッチで直列すると共に、該SUS材母線の軸心上に位置するネック部の両側に、該ネック部から該SUS材線周に至るテーパー部を有するテーパー凹所を形成し、しかるのち、該テーパー凹所を埋め込むNi−Ti合金被膜層を成膜し、続いて該Ni−Ti合金被膜層つきSUS材母線を伸線加工して縮径し、しかるのち、該縮径母線の前記テーパー凹所の中間と該テーパー凹所間の中間を切断することによって請求項2・請求項5のいずれかの主線材・コイル線を成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの線体成形方法。
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