JP3080424B2 - 現像装置 - Google Patents

現像装置

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JP3080424B2
JP3080424B2 JP03078944A JP7894491A JP3080424B2 JP 3080424 B2 JP3080424 B2 JP 3080424B2 JP 03078944 A JP03078944 A JP 03078944A JP 7894491 A JP7894491 A JP 7894491A JP 3080424 B2 JP3080424 B2 JP 3080424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転駆動される現像剤
担持体にトナーを供給し、該現像剤担持体の表面に前記
トナーを担持して搬送し、潜像担持体と前記現像剤担持
体が互いに対向した現像領域にて、現像剤担持体表面の
移動方向と順方向に移動する当該潜像担持体に形成され
た静電潜像を、現像剤担持体に担持したトナーによって
可視像化する現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】潜像担持体に形成した静電潜像を可視像
化して記録画像を得る電子複写機、レーザプリンタ或い
はファクシミリ等の画像形成装置において、必要に応じ
て補助剤を外添したトナー、すなわち一成分系現像剤を
用いる上記形式の現像装置を採用することは従来より周
知である。
【0003】一成分系現像剤を用いる現像装置におい
て、所定濃度の高品質な可視像を形成するには、充分に
帯電した多量のトナーを現像領域へ搬送し、斯かるトナ
ーによって潜像を可視像化する必要がある。
【0004】ところが従来のこの種の現像装置によって
は、この要求を満足させることは容易でなく、従来より
その改善が望まれていた。すなわち従来の一成分系現像
剤を用いた現像装置においては、現像剤担持体上に付着
させることのできるトナーの量は、通常0.1乃至0.
3mg/cm2 程度であるのに対し、黒トナーの場合、転
写紙上に0.4乃至0.5mg/cm2 程度のトナーを付
着させる必要があるため、トナー量が不足する。またカ
ラートナーを用いた場合には、現像剤担持体上に0.6
乃至1.2mg/cm2 程度のトナーを付着させる必要が
あり、トナー量不足は一層著しくなる。
【0005】そこで従来は現像剤担持体の速度を高め、
その線速を潜像担持体の線速の3乃至4倍程度に設定
し、現像領域へ搬送されるトナー量を増大させ、可視像
の濃度低下を防止していた。
【0006】ところがこの構成によると現像剤担持体の
線速が高まるため、トナーが飛散しやすくなるばかり
か、トナーに作用するストレスが高まり、これが疲労し
やすくなる。しかもトナーが経時的に現像剤担持体に薄
い膜状に付着するトナーフィルミングも発生しやすくな
る。また、特に接触現像を行った場合には、潜像担持体
の横方向のライン像が縦方向のライン像よりも細くな
り、画質が低下する恐れを免れない。さらに、高速画像
形成装置においては、潜像担持体の速度を高める必要が
あるが、このようにすると、現像剤担持体の表面線速を
増々大きなものにしなければならず、斯かる画像形成装
置に従来の現像装置を採用することは困難であった。
【0007】また現像剤担持体の表面の線速を潜像担持
体の表面の線速の3乃至4倍程度の大きな値に設定する
と、潜像担持体に形成されたベタ画像の該担持体移動方
向の後端側だけが、他の部分に比べて濃度が異常に高く
なる「後端トナー寄り」と称せられている現象が発生
し、画質が低下する。この「後端トナー寄り」現象は、
カラー画像の場合、画像濃度が異常に高くなった部分と
他の部分とが色違いとなって現われるため、カラー現像
の場合は特に大きな問題となる。そこでこの現象を防止
すべく、現像剤担持体の表面の線速を潜像担持体の表面
の線速に近づければ、上述のようにトナー量不足を招
き、所定濃度の可視像を得ることができない。更に両者
の線速が等しくなる程、現像剤担持体の回転数を落とす
と、潜像担持体の地肌部に地汚れを生じ、画質が低下す
る等の問題も発生する。
【0008】現像剤担持体の表面に凹凸を形成し、これ
らの凹凸にトナーを充填させて担持し、現像領域へ搬送
されるトナーの量を増大させた現像装置も提案されてい
るが、この構成によると、搬送できるトナー量は増大す
るものの、搬送されるトナー中には帯電不足のトナーが
多量に含まれているため、これによって形成された可視
像の画質が低下する恐れがある。
【0009】上述した従来の欠点を除去し、後端トナー
寄り現象の発生を抑え、かつ充分に帯電した多量のトナ
ーを現像領域へ搬送して所定濃度の可視像を得ることの
可能な現像装置として、本出願人は未だ公知ではない
が、現像剤担持体として、その表面に誘電体と導電部を
混在し選択的に電荷を保持せしめることにより該現像剤
担持体表面の近傍に微小閉電界を形成し、この閉電界に
より帯電トナーを吸引して該トナーを表面に担持する現
像剤担持体を用い、現像剤担持体の線速をV2 、潜像担
持体の線速をV1 としたとき、1.0≦V2 /V1
1.5を満たすように、各線速を設定した現像装置を提
案した。
【0010】表面に誘電体と導電部を混在し選択的に電
荷を保持させる現像剤担持体においては、トナーの付着
状態は均一にならず、誘電体部の表面に多く付着し、導
電部の表面にはトナー付着量が少なくなる。このため潜
像担持体である感光体と現像剤担持体である現像ローラ
が表面の線速が同等になるように駆動される場合、潜像
担持体の表面には誘電体と導電部の分布パターンの模様
に応じた画像むらが発生するという問題を生じる。
【0011】更に、現像担持体を潜像担持体に接触させ
る現像では、非画像部にもトナー付着が生じ、地かぶり
の発生を避けることができない。然るに、例えば特公昭
41−9475号公報に示されるような、静電潜像の電
界によってトナーを現像剤担持体から潜像担持体に向か
って飛ばして現像する方法を用いると、地かぶりを防止
する点で効果的である。然し、この現像法では静電潜像
の電界によってトナーが現像剤担持体による拘束力に打
ち勝った時に飛行を始めることになり、従って現像担持
体から潜像担持体に現像剤が転移するための閾値が存在
し、その閾値を超える表面電位を有する画像部には現像
剤付着が生じるが、逆に閾値以下の表面電位を有する画
像部には殆ど現像剤付着が生じないので、所謂γの立っ
た階調性の悪い画像になるという不具合がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解消し、地かぶりや画像むらのない現像が可能であ
り、階調性及び画像の再現性に秀れた現像装置を提供す
ることを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題
を、静電潜像を担持する潜像担持体に現像部において現
像間隙をおいて対向配置され、現像剤を担持する現像
担持体を有し、該現像剤担持体がバイアス印加手段によ
るバイアス印加の下で現像を行う現像装置において、前
記現像剤担持体の表面には抵抗と誘電率のいずれかが異
なる2種類の表面部分が規則的に混在し表面に露出して
おり、該両表面部分間に微小電界が形成されることに
より前記現像剤担持体の表面に多数の微小電界が形成
されることと、前記現像剤担持体の前記潜像担持体に対
する線速比が、前記表面部分のパターンピッチと低抵抗
表面部分の幅より得られる値(パターンピッチ+低抵抗
部幅)/(パターンピッチ)より大なる値に設定される
ことと、前記バイアス印加手段が第1交互電界に該第1
交互電界より高周波数の第2交互電界を重畳してバイア
ス交互電界を形成し、前記現像部にて、前記静電潜像担
持体上の電位と前記バイアスによる電界と前記現像剤担
持体上の微小閉電界とにより決定される電界により、前
記現像剤担持体に保持された前記現像剤の前記静電潜像
担持体への転移、逆転移を行って現像することを特徴と
する現像装置により解決した。
【0014】
【作用】本発明により、現像剤担持体の表面に抵抗又は
誘電率の異なる2種類の表面部分を混在して規則的模様
を形成し、両表面部材間に微小電界を形成することに
より、現像剤担持体の表面に多数の微小電界を形成
し、この微小電界により帯電トナーを吸引して搬送す
る。従ってトナーは高速でも確実に現像剤担持体に吸引
搬送されるので、トナーの後寄りが解消され、十分多量
のトナーを現像領域へ搬送することが可能になる。現像
剤担持体の潜像担持体に対する線速比が1以上1.5以
下、又は(パターンピッチ+低抵抗部幅)/(パターン
ピッチ)、又は(パターンピッチ+現像ニップ幅)/
(現像ニップ幅)又は(低抵抗部幅+現像ニップ幅)/
(現像ニップ幅)より大なる値に設定されることにより
現像剤担持体上のトナーむらによる影響が回避され、前
記バイアス印加手段が第1交互電界に該第1交互電界よ
り高周波数の第2交互電界を重畳してバイアス交互電界
を形成することにより、高い画像濃度の再現性に優れ、
階調性に富む画像が得られ、非画像部に付着するトナー
を確実に回収でき、地かぶりが防止することができた。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に
説明する。
【0016】図1は本発明に係る現像装置の一例を示す
概略図であり、先ずその全体構成と作用を明らかにす
る。
【0017】図1において、潜像担持体の一例であるベ
ルト状の感光体1は矢印A方向に駆動され、これに対向
して現像装置2が設けられている。現像装置2のトナー
容器3内には、必要に応じて補助剤が混合された非磁性
トナー4、すなわち非磁性の一成分系現像剤が収容され
ている。トナーの体積固有抵抗率は例えば107 〜10
12Ωcm程度である。トナー容器3の前後の側板には、該
容器の開口から一部を露出した状態で現像剤担持体、例
えば現像ローラ5が支持され、該現像ローラ5は感光体
1に対向して、図における反時計方向に回転駆動され
る。現像ローラ5は現像剤担持体又はトナー担持体の一
構成例をなすものであるが、斯かる現像ローラ5の代わ
りにベルト状の現像剤担持体を用いることもできる。又
トナー容器3の前後の側板にはトナー供給部材の一例で
あるトナー供給ローラ6が支持され、該トナー供給ロー
ラ6は現像ローラ5と現像間隙を保ち非接触状態で例え
ば約100mm/sec の線速(トナー供給ローラ表面にお
ける移動速度)で反時計方向に回転駆動される。
【0018】トナー容器3内のトナー4は、時計方向に
回転するアジテータ7により攪拌されつつ、トナー供給
ローラ6に運ばれ、次いでこのトナー供給ローラ6によ
って現像ローラ5に供給される。この供給時にトナーは
所定の極性、本例では感光体1の静電潜像と逆極性に摩
擦帯電され、現像ローラ5の周面に静電的に付着し、現
像ローラ5に担持される。これに関連する構成と作用に
ついては後に詳しく説明する。
【0019】上述のように現像ローラ5の周面に供給担
持されたトナーは、該現像ローラ5の回転によって搬送
され、層厚規制部材の一例であるドクターブレード8に
よってならされ、均一な厚さに規制される。次いでこの
トナーは感光体1と現像ローラ5の対向した現像領域9
へ搬送され、ここで、感光体1に形成された静電潜像に
静電的に移行し、該潜像を可視像化する。
【0020】現像に供されずに現像領域9を通過したト
ナーは、現像ローラ5に担持されたままトナー供給ロー
ラ6のところに戻される。また感光体1上に形成された
可視像は図示していない転写紙に転写され、定着装置に
よって転写紙上に定着される。
【0021】現像領域9における現像ローラ5の表面の
移動方向と、感光体1の表面の移動方向は順方向であ
る。順方向とは、図1から判るように現像領域9におけ
る感光体1と現像ローラ5との最接近部において両者の
移動方向が同じ向きになることを意味する。現像ローラ
が反時計方向に回転し、感光体1が矢印Aと反対方向に
移動するとき、或いは現像ローラ5が時計方向に、感光
体が矢印A方向に移動するときは、両者の移動方向は
「逆方向」となる。このような関係は、感光体がドラム
よりなる場合、或いは現像剤担持体がベルトよりなると
きも同様である。
【0022】上述した構成自体は従来の現像装置と変わ
りはなく、斯かる従来の現像装置においては、充分に帯
電した多量のトナーを現像領域へ搬送することが難し
く、このため、現像ローラの表面の線速を感光体の表面
の線速の3乃至4倍に設定しており、上記のような各種
の不具合が発生していた。
【0023】そこで図示した現像装置においては、その
現像ローラ5が図2〜図4に模式的に拡大して示したよ
うに、例えばアルミニウム等の導電性ローラ部分10よ
りなる導電性の基体と、該導電性ローラ部分10の表面
に形成された溝20に埋設固定された誘電体11を具備
し、現像ローラ5の表面には導電性ローラ表面自体より
なる導電面部分12と、溝20に埋設された誘電体11
の表面よりなる誘電面部分11aが図3に示すように規
則的に露出し、その表面は平滑に形成されている。溝2
0の平面形状、すなわち外部に露出した誘電面部分11
aの形状は適宜設定できるが、図3〜図4の例では、誘
電面部分11aが現像ローラ5の表面に格子状をなして
延びている。このような誘電面部分11a、すなわち溝
20のピッチPは、例えば0.1〜1.0mm、好ましく
は0.2〜0.4mm程度に設定され、現像ローラ5の全
表面積に対する、導電面部分12の全面積の比率は、例
えば20〜80%、好ましくは30〜60%程度であ
る。このように、現像ローラ5の表面には誘電面部分1
1aと導電面部分12が夫々微小面積で混在している。
【0024】上に例示した各数値は、後述する閉電界の
電界強度を高め、現像ローラ5上に最適な量のトナーを
付着させるこができるようにその都度適宜選択される。
【0025】また、現像ローラ5の導電性ローラ部分1
0に対しては、バイアス電源16により交互バイアス電
圧を印加し、可視像の画質を高めるようにする。トナー
供給ローラ6に対しても同様である。
【0026】本例では、誘電体11にはトナーの帯電極
性と反対の極性、例えば負極性に摩擦帯電される材質が
選択される。
【0027】一方、現像ローラ5に接するトナー供給ロ
ーラ6は、現像ローラ5の誘電体11に接触して、誘電
面部分11aをトナーの帯電極性と反対の極性(負極
性)に摩擦帯電させ、かつトナーを正極性に摩擦帯電さ
せる材料から構成される。図1及び図2に示した例で
は、トナー供給ローラ6が、導体の芯部材14とその周
りに積層された円筒状の発泡体15より成り、この発泡
体15が弾性変形しながら現像ローラ5に圧接してい
る。このようなトナー供給ローラ6を用いた場合、発泡
体15を、上述のように誘電体11を負極性に摩擦帯電
させる材料によって構成すればよい。発泡体15の代わ
りに、例えばファーブラシ等、それ自体公知のものを用
いることもできる。
【0028】上記構成のより詳細な作用を説明すると以
下の通りである。
【0029】図1を参照して先に説明したように、現像
ローラ5の現像領域9を通過した部分は、トナー供給ロ
ーラ6の方に移動して該トナー供給ローラ6に接触す
る。ここで現像ローラ5上に担持されており、現像に供
されなかったトナーは、トナー供給ローラ6により機械
的、電気的に掻き落とされる。同時に、現像ローラ5の
誘電面部分11aが、トナー供給ローラ6と接触し、そ
の摩擦によってトナーの帯電極性と反対の負極性に帯電
される。その際、現像領域9を通過した現像ローラ5の
誘電面部分11aに、感光体1の静電潜像の影響による
静電的な残像が残っていても、トナー供給ローラ6との
摩擦により、誘電面部分11aがほぼ飽和状態まで帯電
し、その電荷量が均一となるため、残像はなくなり、現
像ローラ5が初期化される。
【0030】一方、トナー供給ローラ6の周面に接触し
ながら現像ローラ5に運ばれるトナー4は、図2に模式
的に示すように、トナー供給ローラ6との摩擦によって
正極性に摩擦帯電され、現像ローラ5に供給されるが、
このときこの現像ローラ5の誘電面部分11aとの摩擦
によりさらに正極性に強く摩擦帯電され、現像ローラ5
の周面に静電的に付着する。
【0031】このとき、現像ローラ5の誘電面部分11
aはトナー供給ローラ6との摩擦によって負極性に帯電
していて、この誘電面部分11aに隣接して微小面積の
多数の導電面部分12が存在し、該導電面部分12と誘
電面部分11aが混在している。このような状態で、現
像ローラ5の表面の誘電面部分11aに選択的に負極性
の電荷が保持さた状態となっている。
【0032】このため、図5に示すように各導電面部分
12と誘電面部分11aの間に大きな電位差ができ、両
面部分の間に閉電界が形成される。すなわち、現像ロー
ラ5の表面近傍には無数の微小閉電界(マイクロフィー
ルド)が形成されるのである。より詳しく説明すると、
電界の状態を表す電気力線を考えた場合、現像ローラ5
の表面近傍の空間には、図5に円弧状の多数の線で表わ
したように、電気力線Eが形成され、その電気力線は現
像ローラ5から出て同一の現像ローラ5に戻り、該ロー
ラ5の表面の近傍に閉電界が形成される。このように電
界傾度の大なる電界が現像ローラの表面近傍に形成され
る。
【0033】誘電面部分11aと導電面部分12は微小
面積で隣接しているので、各微小閉電界は所謂エッジ効
果若しくはフリンジング効果(周辺電場効果)によって
強度が大変強くなる。斯かる閉電界によって、正に帯電
したトナーは、誘電体11の表面(誘電面部分11a)
に強く引かれ、現像ローラ5上に多量に離れ難い状態で
保持される。このときトナーはトナー供給ローラ6と現
像ローラ5との摩擦によって強く摩擦帯電しており、し
かも現像ローラ5の表面に強い微小閉電界の作用で保持
されるので、現像ローラ5上には高い電荷を持った多量
のトナーが担持される。しかも、現像ローラ5に担持さ
れたトナーが例えばウレタンよりなるドクターブレード
8によって層厚を規制されるとき、帯電の十分なトナー
は微小閉電界によって現像ローラ5の表面に強く保持さ
れるが、斯かるトナーに帯電量の小なるトナーが混在し
ていても、これはドクターブレード8との接触圧によっ
て除去され、結局、帯電量の大なるトナーだけが、従来
よりも多量に現像領域9へ搬送され、前述の如く静電潜
像を可視像化する。現像領域9での現像ローラ5と感光
体1との間の電界は、電極効果が大きくなり、現像ロー
ラ5上のトナーが感光体1に付着しやすい状態となり、
効率的に現像動作が行われる。
【0034】トナー供給ローラ6を通過した現像ローラ
5の表面近傍には、図5に模式的に示したようにその全
体に亘って微小閉電界だけが形成される場合と、閉電界
でない電界が閉電界に混在する場合とが考えられるが、
いずれにしても閉電界が存在するので、その強度が高め
られる。このようにして、トナーを多量に担持すること
ができ、可視像の地汚れを防止しかつそのシャープネス
を高めるべく、例えば8〜15μc/g程度に帯電した
0.6〜2.0mg/cm2 、好ましくは0.8〜1.2mg
/cm2 の多量のトナーを現像領域9に搬送できる。
【0035】上述した例では、誘電体11をトナーと逆
極性に帯電させたが、トナーの帯電極性と同極性に誘電
面部分11aを帯電させ、特に導電面部分12上に多量
のトナーを付着させることもできる。
【0036】上述のように現像ローラ5上に多量のトナ
ーを担持して現像領域9へ搬送できるので、従来のよう
に現像ローラ5の線速を速める必要がなくなる。すなわ
ち、現像ローラ5の線速(ローラ表面における周速)を
2 、感光体1の線速(感光体表面の速さ)をV1 とし
たとき、その比V2 /V1 を1.0以上1.5以下に設
定しても、先に例示した如く充分に帯電した多量のトナ
ーを現像領域9へ搬送することができるので、トナー量
不足は発生せず、可視像の濃度不足を防止できる。例え
ば、図1に示した装置において、感光体1の線速度を1
20mm/sec 、現像ローラ5の線速を約170mm/sec
に設定することができる。このように、従来はV2 /V
1 を3〜4程度に設定しなければならなかったが、本発
明に係る構成ではこの比の値を1.5以下に抑えること
ができる。
【0037】これにより、従来発生していた各種の欠
点、例えばトナーの飛散、トナーの早期の疲労、現像ロ
ーラ上へのトナーフィルミング、横ライン像の細化現象
などを防止でき、かつ高速画像形成装置にも支障なく本
発明に係る現像装置を採用することが可能となる。
【0038】しかも、V2 /V1 を1.5以下に設定す
ることによって、先に説明した後端トナー寄り現象の発
生を実質的に阻止することができる。なお、実験による
と、V2 /V1 を1.5まで下げずに、これを2.5以
下に設定すれば、上述のトナー飛散などの不具合を防止
できることが判明しているが、本発明のようにV2 /V
1 を1.5以下に設定すると、先に説明した後端トナー
寄り現象の発生も次に説明するように実質的に阻止する
こができる。
【0039】図8は可視像Iの後端部に幅aで形成され
たトナー寄りを示し、この部分の画像濃度は他の画像部
分の濃度よりも高くなっている。図9は従軸に後端トナ
ー寄りの幅aをとり、横軸にV2 /V1 をとって、両者
の関係の一例を示したグラフである。後端トナー寄りの
幅aは、一般に0.5mm以下であれば、これを目視距離
で観察したとき目立たず、看者に後端トナー寄りを意識
させることはない。そして図9から判るようにV2 /V
1 が1.5より大であると、幅aは0.5mmより大きく
なり、後端トナー寄りが顕著となるが、V2 /V1
1.5以下であると、幅aは0.5mm以下となり、後端
トナー寄りは問題とならない。後端トナー寄り現象を完
全に阻止するには、図9からも判るようにV2 /V1
1.0にすればよいが、このようにV2 とV1 の比の値
を設定しても、先に示した如く現像ローラ5上に充分に
帯電した多量のトナーを担持して現像領域9へ搬送でき
るので、トナーが黒トナーであっても、カラートナーで
あっても、現像領域9におけるトナー量が不足すること
はなく、高品質な可視像を形成することができる。
【0040】上述のようにV2 /V1 を1.5以下に設
定でき、この値を例えば1、すなわちV2 =V1 に設定
しても現像領域におけるトナー不足を阻止でき、可視像
の濃度低下を防止できる。
【0041】ところが、両線速V2 とV1 を等しくする
と次のような問題が発生する。
【0042】図示した実施例では、前述のように現像ロ
ーラ5の誘電面部分11aに多量のトナーが付着する。
誘電面部分11aとトナー4を同極性に帯電させたとき
は導電面部分12にトナーが多量に付着する。すなわち
現像ローラ5上に完全に均一にトナーを付着させること
は難しい。このため、現像ローラ5を感光体1と同一線
速で回転させつつ現像動作を行うと、感光体1上に形成
された可視像には、現像ローラ5上のトナーの付着状態
のむらに対応した極く微小な「あと」、つまり現像むら
ができる恐れがある。
【0043】このような不具合は、現像ローラ5の表面
に露出した誘電面部分11aと導電面部分12を不規則
に配置すると、生じ難くなるが、現像ローラ5の製造コ
ストを下げ、部品精度を上げるには、導電性ローラ部分
10の表面に例えばローレット加工によって溝20を形
成し、この溝20に誘電体11を埋め込むことが望まし
い。ところがこのような方法によって現像ローラを製作
すると、溝20、すなわち誘電体11が現像ローラ5の
表面に規則性をもって表われるため、現像ローラ5と感
光体1の線速比V2 /V1 を1に設定すると、可視像の
画像面に、極く微小ではあるがローレット加工のパター
ンがそのまま「むら」として現われてしまう。
【0044】このように、誘電体11の表面や導電面部
分12が規則的に現われていると、特に可視像にそのあ
とが現れやすい。
【0045】またV2 とV1 を等しくすると、感光体1
上の地肌に地汚れが発生し易くなる。すなわち、現像ロ
ーラ5の線速V2 を感光体1の線速V1 よりも大きくす
ると、現像ローラ5上のトナーが感光体1の地肌部に対
してスキャベンジング作用を及ぼし、これにより地汚れ
が低減するが、V2 とV1 を等しくすると、スキャベン
ジング効果を期待できず、地汚れが発生しやすくなる。
【0046】そこで本発明では、現像ローラ5と感光体
1の表面の線速V2、V1 の比V2 /V1 を1.2以
上、好ましくは1.3以上に設定する。
【0047】このようにV2 をV1 よりも大きくすれ
ば、現像領域9において、現像ローラ表面の誘電面部分
11aと導電面部分12が感光体1に対して等速で対向
することはなくなり、両者間に相対速度ができるので、
誘電面部分11aや導電面部分12のパタンーが可視像
に「むら」又は「あと」として現れる不具合を阻止でき
る。
【0048】またV2 /V1 ≧1.2とすることによ
り、感光体1の地肌部に対するスキャベンジング効果が
発揮され、地肌汚れを抑制することができる。図10は
縦軸に地汚れランクをとり、横軸にV2 /V1 の値をと
って示したグラフであり、ランクが3以上であれば明視
距離で画像を見たとき、地汚れは目立たず、実用上問題
はない。このグラフからも判るように、V2 /V1
1.2以上、特に1.3以上に設定すれば地汚れの問題
は生じない。
【0049】結局、図1に示した本発明に係る現像装置
においては、現像領域9で順方向に移動する現像ローラ
5の表面の線速V2 と感光体1の表面の線速V1 の比
が、1.2≦V2 /V1 ≦1.5、好ましくは1.3≦
2 /V1 ≦1.5に設定され、これによって、トナー
が黒トナーであるときも、またカラートナーであるとき
も、トナー飛散やトナーフィルミング、或いは後端トナ
ー寄りなどの発生を抑えつつ、地汚れのない所定濃度の
高品質な可視像を得ることができる。感光体がドラム状
に形成され、また現像剤担持体がベルトにより構成され
ているときも、その線速比V2 /V1 は上述したところ
と同じく設定される。
【0050】ところで、現像ローラ表面に現れる誘電面
部分若しくは導電面部分の形状は前にも説明したように
適宜設定できるが、誘電面部分11aが図3に示した如
く現像ローラ5の周方向(ローラ5の表面の移動方向
Y)に対して30°〜60°、好ましくは45°の角度
θをもって延びる格子状にすると、誘電面部分11aの
表面に付着したトナーが、現像領域9において現像ロー
ラ5の軸線方向に全体に亘って均一にならされた状態で
存在することになるので、誘電面部分11aや導電面部
分12のパターンに対応した「むら」が可視像の画像面
中に現れる不具合をより確実に防止できる。
【0051】導電面部分12が現像ローラ5の表面に格
子状に延びるように現われ、すなわち図3における導電
面部分12と誘電面部分11aを入れ換えて、主として
導電面部分12の方にトナーを多量に付着させるように
したときも、格子状の導電面部分の延びる方向と、現像
ローラ5の移動方向のなす角度θを30°〜60°に設
定することによって、上述したところと同じ利点が得ら
れる。
【0052】上述のような現像ローラ5を含む現像装置
のより具体的な例を以下に示す。
【0053】(1)現像ローラ図6に示した現像ローラ
5の径D1は25.4mmであり、その表面にローレット
加工により溝20が形成され、該溝20ピッチは0.4
mm、深さD2(図4)は0.1mm、溝幅W1(図3)は
0.15mmで、格子状に延びる溝20又は誘電体11の
現像ローラ移動方向Yに対する角度θは45°である。
なお、図3及び図5における符号Xは現像ローラ5の軸
線方向を示している。現像ローラ5の表面に露出した誘
電面部分11aの面積比率は61%、導電面部分は39
%、導電面部分12の幅は0.15mmである。
【0054】(2)トナー供給ローラの発泡体材料は発
泡ポリウレタンカーボン処理したものであり、その外径
は14mm、感光体1に対する食い込み量は1mm、発泡体
15の表面抵抗は107 Ωである。
【0055】(3)ドクターブレード 厚さ0.1mmの燐青銅よりなる弾性部材に、弗素系樹脂
PTFEシート(PTFE樹脂テープ200μ:ニチヤ
ス(株)製)を固定。
【0056】(4)現像ローラへAC500V(P/
P)、250Hz、DC−250Vの電圧を印加し、ト
ナー供給部材へDC−250Vの電圧を印加する。
【0057】(5)感光体 OPC感光体。
【0058】(6)トナー非磁性スチレンアクリル系プ
ラス帯電トナーである。極性制御剤ニグロシン、外添剤
SiO2 微粉末0.5wt%。
【0059】次に現像ローラ5の作製方法について簡単
に説明する。
【0060】(1)先ず図7Aに示すように表面に角溝
加工した金属ローラ(導電製ローラ部分10)を作る。
【0061】格子状の角溝20は角溝ローレット加工で
形成し、例えばそのピッチを0.2〜1.0mm、深さD
を0.1〜0.5mmとし、現像ローラ5の軸線Xに対し
て30°〜60°、特に45°の角度で延ばす。
【0062】(2)次に図7Bに示す如く、例えば弗素
系樹脂(旭硝子製ルミフロンLF200など)の誘電体
11を、各溝20を形成したローラ10の表面にコーテ
ィングし、100℃で約30分乾燥する。塗布厚みは溝
20が完全に埋まる状態にする。
【0063】(3)さらに図7Cに示す如くローラの表
面を切削又は研磨加工して、導電面部分12と誘電面部
分11aの表面を混在状態で露出させ、導電面部分12
の面積が例えば20〜80%となるようにする。このよ
うにして表面がほぼ平滑な現像ローラ5が完成する。
【0064】なお、ベルト状の現像剤担持体の場合に
は、図7A、B、Cに示した導電性ローラ部分10の代
わりに導電性のシートよりなる基体を用い、その表面に
溝を形成し、ここに誘電体を埋設固定すればよく、その
製造方法は図7に示した方法と実質的に異なるところは
ない。
【0065】他の各種の方法によっても、誘電体と導電
面が表面に露出した各種形態の現像剤担持体を構成でき
ることは明らかである。
【0066】なお図7Cに示した如く製作した現像ロー
ラ5の表面にさらに所定厚みの誘電層を積層してもよ
い。このような現像ローラを用いたときも、誘電体11
とその上の誘電層の厚みが、現像ローラの溝20に対応
して相違し、その静電容量が異なることになる。従って
トナー供給ローラ6によって表面の誘電層を帯電させれ
ば、上記静電容量の相違に応じて現像ローラ表面に電位
差ができ、その表面近傍に多数の微小閉電界を形成でき
る。この構成によると、現像ローラに交流又は交流に直
流を重畳したバイアス電圧を印加したときも、現像ロー
ラ5と感光体1との間の電荷のリークを防止でき、リー
クによる静電潜像の乱れを防止できる。ベルト状の現像
剤担持体についても同様に構成できる。
【0067】また図1及び図2に示した実施例では、誘
電体11又はその上に積層された誘電層を所定の極性に
帯電させることにより、現像剤担持体表面の近傍に微小
閉電界を形成し、潜像の可視像化に用いられるトナーを
閉電界によって現像剤担持体に付着させる帯電手段とし
て、トナー供給ローラ6を用いたが、これ以外の独立し
た摩擦帯電部材や、コロナ放電器や、現像剤担持体に接
して電荷を注入する部材など、それ自体公知な適宜な帯
電手段を用いてもよい。
【0068】次に、参考として非磁性トナーと現像装置
の主要部材の材質をさらに追加的に例示する。
【0069】トナーとしては、一般にポリエステル、B
MA、ポリスチレン、エポキシ、フェノールなどの樹脂
が基本となり、トナーに内添又は外添する極性制御剤に
よりその帯電極性及び帯電量を制御できる。なお、外添
とは極性制御剤などの補助剤をトナーと混合することで
あり、内添とは各トナー粒子に練り込んだ状態で一体化
することである。
【0070】また現像装置の各部材も、トナーの帯電極
性、トナーとの離型性、耐久性などを考慮して、例えば
表1に例示する如きものが適宜使用される。
【0071】
【表1】
【0072】以上、特にカラー現像に最適な非磁性トナ
ーの一成分系現像剤を用いた現像装置を例示したが、本
発明は必要に応じて補助剤を外添した磁性トナーよりな
る一成分系現像剤を用いる現像装置にも適用できるもの
である。
【0073】現像ローラ5が図11に示すように格子状
に誘電面部分11aと導電面部分12が形成された例で
は、図12に示すように、感光体1の潜像を現像する前
の現像ローラ5の表面ではトナー付着量が均一でなく、
誘電面部分11aのトナー付着量が導電面部分12のト
ナー付着量より多くなる。
【0074】従って感光体1の周速V1 と現像ローラ5
の周速V2 が同等であると、誘電面部分11aと導電面
部分12のパターンに準じた模様の現像むらが生じる。
これは最終的にコピー画像の濃度むらとなって表われ
る。
【0075】この現象を防ぐために感光体1の周速V1
に対する現像ローラ5の周速V2 の比を1.0より大き
くすると効果的である。すなわち、図12に示すように
現像後の感光体1のトナー付着はほぼ均一にならされた
状態になる。
【0076】現像ローラ5の表面の誘電面部分11aの
周方向長さをL1 とし、導電面部分12の周方向長さを
2 とし、1つの誘電面部分11aと1つの導電面部分
12の周方向長さの和、つまりパターンピッチをL0
し、パターンピッチL0 に相当する距離を感光体1が速
度V1 で移動する時間に、現像ローラ5が周方向長さL
0 とさらに少なくとも導電面部分12の幅L2 に相当分
を速度V2 で周回動させるとよい。これにより、感光体
1に対して現像ローラ5は相対的な滑りを生じ、トナー
付着量の少ない導電面部分も感光体1の面に対してその
谷間を多い部分のトナーにより埋めることになり現像む
らが発生しない。
【0077】このことからV2 /V1 ≧(L0 +L2
/L0 とすることにより模様状の画像濃度むらの発生を
防止できる。
【0078】1つの例として、L0 =0.35mm、L2
=0.07mmの格子状誘電体、導電面パターンの現像ロ
ーラ5を用い、感光体1の線速度V1 =120mm/sec
、現像ローラの線速度V2 =120 ×(0.35+0.07)/
0.35=120 ×1.2 =145mm/secにより現像実験したとこ
ろ、均一でむらのない画像が得られた。
【0079】この現像ローラ5を感光体1と同速度であ
る120mm/sec で回転した場合は画像むらが僅か認め
られた。
【0080】現像ローラ5の誘電面部分11aのパター
ンとしては格子状の他に綾目状、横ストライプ状、その
他の規則性パターンを適用することができる。
【0081】更に、誘電面部分11aより導電面12の
トナー付着量が少ないため、導電面の領域がトナー層と
しては凹状態になっていることを考慮し、感光体1と現
像ローラ5とを相対移動させる場合、凹状態を埋めるよ
うにすれば画像むらは大幅に緩和できる。つまり図13
に示すように潜像像担持体1を感光体ベルトとし、現像
領域9における感光体1と現像ローラ5のニップ幅をL
3 とし、L0 <L3 の場合、感光体1が速度V1 で距離
3 を移動する時間に現像ローラ5はニップ幅L3 と更
に少なくとも導電面部分12の周方向長さL2 に相当す
る長さを加えた長さだけ移動又は(回転)するように現
像ローラ5の速度V2 を設定すれば、つまりV2 /V1
≧(L3 +L2 )/L3 とすればトナー付着の少ない導
電面部分12の領域も感光体1の面に対しては誘電面部
分11aのトナーでその凹状態を埋められることにな
る。これにより模様状の画像濃度むらを防止できる。
【0082】図12に示すようにL0 ≧L3 の場合で
も、上記と同様に導電面部分12のトナー層としての凹
みをトナーで埋めることができる。
【0083】この場合も現像ローラの模様は格子に限ら
ぬことは上記と同様である。
【0084】又図12、図13に示すように、現像領域
におけるニップ幅L3 の距離を感光体1が速度V1 で移
動する時間に、現像ローラ5はニップ幅L3 よりも更に
1パターンピッチL0 相当分だけ、つまり1つの誘電面
部分11aと1つの導電面部分12の周方向長さの和だ
け余分に移動するように、現像ローラ5の速度V2 を設
定すると、つまり現像ローラの線速度V2 の感光体の線
速度V1 に対する比V2 /V1 をV2 /V1 ≧(L3
0 )/L3 に設定すると、感光体1の全ての部分が図
14に示すような各パターンピッチL0 の領域の現像能
力分布の平均レベルで現像されることになり、現像むら
は全く発生しない。1つの例としてL1 =0.35mmの
格子状現像ローラを用い、L3 ≒3mmとなるように感
光体1を形成し、V1 =120mm/sec 、V2 =120 ×
(3+0.35)/3≒120 ×1.12≒135mm /secで現像し
たところ、極めて均一で良好な画像が得られた。
【0085】地かぶりの発生を防ぎ、階調性に富む画像
が得られるようにするために、現像ローラ5と感光体1
とは現像領域9において現像間隙dだけ離し、非接触状
態にし、現像ローラ5と感光体1との間に交互電界を形
成して現像する。即ち現像ローラ5にバイアス電源16
により、例えば図15に示すような交互波形の現像バイ
アスを印加する。この現像バイアスは画像部の電位(暗
部表面電位)をE2 、非画像部の電位(明部表面電位)
をE1 として、最大電圧E2 ′が画像部の電位E2 より
大であり、最小電圧E1 ′が非画像部の電位E1 より小
であるような交互波形に形成される。
【0086】現像バイアスの最小電圧E1 ′の時間間隔
1ではトナーを感光体1に転移させ、現像を促進し、
最大電圧E2 ′の時間間隔t2 では感光体1のトナーを
現像ローラ5に逆に戻す逆転移の作用をする。そこで時
間間隔t1 を転移段階、時間間隔t2 を逆転移段階と称
する。
【0087】転移段階と、逆転移段階が交互に繰り返さ
れ、然も感光体における画像部においても、非画像部に
おいても繰り返される。感光体1の画像部においては、
図15の左側の1周期の交互波形の矢印で示すように、
転移段階の電位差が大きく、逆転移段階の電位差が小さ
いが、逆に非画像部では、右側の1周期の交互波形の矢
印で示すように、転移段階の電位差が小さく、逆転移段
階の電位差が大きい。従ってγ特性(静電像電位に対す
る画像濃度の特性曲線の勾配)が立って階調性が悪くな
る傾向がある。
【0088】そこで、γ特性の立ち上がりが大きく傾
き、画像部電位E2 から非画像部電位E1 にかけてほぼ
一様なトナー転移量変化を示すように、然も最終的に非
画像部にはトナー付着がないように現像バイアス電圧を
制御する。
【0089】即ち、図16に示すように、最大電圧
2 ′、最小電圧E1 ′の低周波数の第1交互電界F1
に、この第1交互電界より高周波数の第2交互電界F2
を重畳したバイアス重畳交互電界をバイアス電源16に
おいて形成する。
【0090】第1交互電界の周波数が高くなると、γ値
が大きくなり、階調性が低くなり、周波数が低くなる
と、γ値が小さくなり、階調性が高くなる。然し、周波
数があまり低すぎると、画像に交互電圧による現像むら
生じ易くなるので、300〜2000Hzの低周波数を
選定する。
【0091】交互電界を低周波数の電界にすることによ
り、階調性が改善されるが、交互電界によりトナーが往
復動され、感光体1の非画像部にも付着し地かぶりを生
じる。この低周波数の第1交互電界F1 に高周波数の第
2交互電界F2 を重畳すると、第2交互電界F2 の作用
により、現像段階においてトナーは常に揺動状態にな
る。第2交互電界F2 の作用により、感光体1又は現像
ローラ5による強い拘束状態にあるトナーが解放される
ことになり、感光体の非画像部に転移しているトナーは
現像バイアスの第1交互電界F1 による逆転移段階には
トナーは容易に現像ローラ5の方へ戻されることにな
る。従って、トナーが感光体1の非画像部に付着したま
まになることが回避され、地かぶりが防止される。
【0092】一例として、感光体1の画像部の電位E2
が−900v、非画像部の電位E1 が−100v、現像
バイアスの最大電圧E2 ′が−1000v、最小電圧E
1 ′が0vの場合、交互電界として形成される現像バイ
アスは周波数500Hz、振幅(ピーク・ツー・ピーク
値)1000vの低周波数の矩形波を第1交互電界と
し、周波数5KHz、振幅600vの矩形波の第2交互
電界を第1交互電界に重畳する。
【0093】高周波数の第2交互電界の振幅は、トナー
の揺動効果が十分に得られるようにするために、現像ロ
ーラ5又は感光体1よりトナーが離脱し得る電界閾値を
考慮して選定する。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、従来のように現像剤担
持体を高速で回転させることなく、充分に帯電した多量
のトナーを現像領域へ搬送でき、所望する濃度の可視像
を形成できると共に、トナー飛散などの、トナー担持体
を高速回転させることに伴う従来の欠点を阻止でき、し
かも可視像の後端トナー寄り現像の発生を阻止ないしは
実質的に阻止することができる。
【0095】本発明により、多数の微小電界を形成す
る現像担持体に吸引搬送されるので、高帯電トナーが確
実に搬送され、高濃度画像が形成され、現像部におい
て、低周波の第1交互電界と高周波の第2交互電界を重
畳したバイアス交互電界が印加されるので、階調性が高
く、非画像部に地かぶりのない画像が形成されることが
できる。交互電界をバイアスとして印加することにより
シャープ性をもち滑らかな階調性と均一な画像濃度が得
られ、その際、交互電界と感光体の微小電界の合成に
よりトナーが潜像担持体の誘導面部分間の中央に集めら
れ、飛翔するので、画像べた部にトナーが埋められ、画
像むらがなくなり、線速比を1〜1.5の適宜の値、例
えばパターンにより定まる所定範囲の値に設定すること
により、後端トナー寄り、パターンによる画像むらが防
止され、階調性とシャープ性をもった良好な画像が得ら
れた。
【0096】本発明により、交互バイアスと微小閉電界
で偏倚された交互電界により現像を行うので、パウダー
クラウド化が防止され、階調性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】現像ローラの誘電体とトナー粒子を模式的に拡
大して示した説明図である。
【図3】現像ローラ表面の拡大平面図である。
【図4】図3のIVーIV線拡大断面図である。
【図5】現像ローラ表面の近傍に形成される微小閉電界
の電気力線を示した説明図である。
【図6】現像ローラの斜視図である。
【図7】現像ローラの製造過程を示す模式図であり、
A、B、Cは夫々製造過程順の変化を示したものであ
る。
【図8】後端トナー寄りの説明図である。
【図9】後端トナー寄りの量と現像ローラと感光体の線
速比との関係を示すグラフである。
【図10】地汚れと現像ローラと感光体の線速比との関
係を示すグラフである。
【図11】現像ローラの別の例の斜視図である。
【図12】現像部近傍におけるトナーの付着状態を示す
拡大図である。
【図13】図12に対する別の例の説明図である。
【図14】潜像担持体と現像剤担持体が同一線速の場合
の現像ローラの現像能力分布図である。
【図15】交互バイアスの波形図である。
【図16】本発明に係る現像バイアスの交互電界波形の
一例の説明図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体 5 現像剤担持体 9 現像部 11 誘電体 11a 誘電面部分 12 導電面部分 16 バイアス電源 L0 パターンピッチ L1 誘電体幅 L2 導電面幅 L3 ニップ幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎木 繁和 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 冨田 潤子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/06 G03G 15/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電潜像を担持する潜像担持体に現像部
    において現像間隙をおいて対向配置され、現像剤を担持
    する現像担持体を有し、該現像剤担持体がバイアス印
    加手段によるバイアス印加の下で現像を行う現像装置に
    おいて、 前記現像剤担持体の表面には抵抗と誘電率のいずれかが
    異なる2種類の表面部分が規則的に混在し表面に露出し
    ており、該両表面部分間に微小電界が形成されること
    により前記現像剤担持体の表面に多数の微小電界が形
    成されることと、 前記現像剤担持体の前記潜像担持体に対する線速比が、
    前記表面部分のパターンピッチと低抵抗表面部分の幅よ
    り得られる値(パターンピッチ+低抵抗部幅)/(パタ
    ーンピッチ)より大なる値に設定されることと、 前記バイアス印加手段が第1交互電界に該第1交互電界
    より高周波数の第2交互電界を重畳してバイアス交互電
    界を形成し、前記現像部にて、前記静電潜像担持体上の
    電位と前記バイアスによる電界と前記現像剤担持体上の
    微小閉電界とにより決定される電界により、前記現像剤
    担持体に保持された前記現像剤の前記静電潜像担持体へ
    の転移、逆転移を行って現像することを特徴とする現像
    装置。
  2. 【請求項2】 静電潜像を担持する潜像担持体に現像部
    において対向配置され、現像剤を担持する現像担持体
    を有し、該現像剤担持体がバイアス印加手段によるバイ
    アス印加の下で現像を行う現像装置において、 前記現像剤担持体の表面には抵抗と誘電率のいずれかが
    異なる2種類の表面部分が規則的に混在し表面に露出し
    ており、該両表面部分間に微小電界が形成されること
    により前記現像剤担持体の表面に多数の微小電界が形
    成されることと、 前記現像剤担持体の前記潜像担持体に対する線速比が、
    前記表面部分のパターンピッチと現像部における潜像担
    持体の現像剤担持体に対するニップ幅より得られる値
    (パターンピッチ+現像ニップ幅)/(現像ニップ幅)
    より大なる値に設定されることと、 前記バイアス印加手段が第1交互電界に該第1交互電界
    より高周波数の第2交互電界を重畳してバイアス交互電
    界を形成し、前記現像部にて、前記静電潜像担 持体上の
    電位と前記バイアスによる電界と前記現像剤担持体上の
    微小閉電界とにより決定される電界により、前記現像剤
    担持体に保持された前記現像剤の前記静電潜像担持体へ
    の転移、逆転移を行って現像することを特徴とする現像
    装置。
  3. 【請求項3】 静電潜像を担持する潜像担持体に現像部
    において対向配置され、現像剤を担持する現像担持体
    を有し、該現像剤担持体がバイアス印加手段によるバイ
    アス印加の下で現像を行う現像装置において、 前記現像剤担持体の表面には抵抗と誘電率のいずれかが
    異なる2種類の表面部分が規則的に混在し表面に露出し
    ており、該両表面部分間に微小電界が形成されること
    により前記現像剤担持体の表面に多数の微小電界が形
    成されることと、 前記現像剤担持体の前記潜像担持体に対する線速比が、
    前記表面部分の低抵抗部幅と現像部における潜像担持体
    の現像剤担持体に対するニップ幅より得られる値(低抵
    抗部幅+現像ニップ幅)/(現像ニップ幅)より大なる
    値に設定されることと、 前記バイアス印加手段が第1交互電界に該第1交互電界
    より高周波数の第2交互電界を重畳してバイアス交互電
    界を形成し、前記現像部にて、前記静電潜像担持体上の
    電位と前記バイアスによる電界と前記現像剤担持体上の
    微小閉電界とにより決定される電界により、前記現像剤
    担持体に保持された前記現像剤の前記静電潜像担持体へ
    の転移、逆転移を行って現像することを特徴とする現像
    装置。
  4. 【請求項4】 静電潜像を担持する潜像担持体に現像部
    において対向配置され、現像剤を担持する現像担持体
    を有し、該現像剤担持体がバイアス印加手段によるバイ
    アス印加の下で現像を行う現像装置において、 前記現像剤担持体の表面には抵抗と誘電率のいずれかが
    異なる2種類の表面部分が規則的に混在し表面に露出し
    ており、該両表面部分間に微小電界が形成されること
    により前記現像剤担持体の表面に多数の微小電界が形
    成されることと、 前記現像剤担持体の前記潜像担持体に対する線速比が
    1.0以上1.5以下に設定されることと、 前記バイアス印加手段が第1交互電界に該第1交互電界
    より高周波数の第2交互電界を重畳してバイアス交互電
    界を形成し、前記現像部にて、前記静電潜像担持体上の
    電位と前記バイアスによる電界と前記現像剤担持体上の
    微小閉電界とにより決定される電界により、前記現像剤
    担持体に保持された前記現像剤の前記静電潜像担持体へ
    の転移、逆転移を行って現像することを特徴とする現像
    装置。
  5. 【請求項5】 静電潜像を担持する潜像担持体に現像部
    において対向配置され、現像剤を担持する現像担持体
    を有し、該現像剤担持体がバイアス印加手段によるバイ
    アス印加の下で現像を行う現像装置において、 前記現像剤担持体の表面には抵抗と誘電率のいずれかが
    異なる2種類の表面部分が移動方向に対し30〜60°
    傾いた格子状に規則的に混在し、表面に露出しており、
    該両表面部分間に微小電界が形成されることにより前
    記現像剤担持体の表面に多数の微小電界が形成される
    ことと、 前記現像剤担持体の前記潜像担持体に対する線速比が
    1.2以上1.5以下に設定されることと、 前記バイアス印加手段が第1交互電界に該第1交互電界
    より高周波数の第2交互電界を重畳してバイアス交互電
    界を形成し、前記現像部にて、前記静電潜像担持体上の
    電位と前記バイアスによる電界と前記現像剤担持体上の
    微小閉電界とにより決定される電界により、前記現像剤
    担持体に保持された前記現像剤の前記静電潜像担持体へ
    の転移、逆転移を行って現像することを特徴とする現像
    装置。
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