JP3078879B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

可逆性感熱記録材料

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JP3078879B2 JP03168698A JP16869891A JP3078879B2 JP 3078879 B2 JP3078879 B2 JP 3078879B2 JP 03168698 A JP03168698 A JP 03168698A JP 16869891 A JP16869891 A JP 16869891A JP 3078879 B2 JP3078879 B2 JP 3078879B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可視画像を繰り返し表
示、消去することができる感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】可逆性感熱記録材料として、高分子樹脂
母材中に有機低分子化合物を混合分散させたものが提案
されている(特開昭55−154198)。この材料
は、特定の温度域T1 から常温に冷却されると透明とな
り、T1 よりも高い温度域T2 から常温に冷却されると
白濁する性質を有するので、それを利用して可視画像を
可逆的に印字、消去することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの材料
は、透明化する温度域T1 の範囲が非常に狭いため、印
字および消去のための温度制御が非常に困難であるとい
う問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するものであって、高分子樹脂母材中に分散させる
有機低分子化合物として、A)炭素数15以上の高級ケ
トンの少なくとも1種、B)炭素数12以上の脂肪族飽
和ジカルボン酸の少なくとも1種、およびC)炭素数1
6以上の高級脂肪酸の少なくとも1種を併用したことを
特徴とする。
【0005】以下本発明を図面を参照して説明する。図
1は本発明記録材料を使用したカードの一例の正面図、
図2はそのZ−Z断面図である。本発明における高分子
樹脂母材としては、透明で成膜性の良い樹脂であればよ
く、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
などの塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化
ビニリデン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
スチレン、ポリメチル(メタ)アクリレートまたはその
共重合体などが好ましい。
【0006】これら高分子樹脂母材中に分散させる有機
低分子化合物としては、A)炭素数15以上の高級ケト
ンの少なくとも1種、B)炭素数12以上の脂肪族飽和
ジカルボン酸の少なくとも1種、およびC)炭素数16
以上の高級脂肪酸の少なくとも1種を併用する。即ち、
これらの記録材料の透明化現象は有機低分子化合物の融
点付近で起こるため、A成分とB成分を併用してその共
融現象により透明化する温度域の幅を拡大し、さらにC
成分を加えることにより不透明化(白濁)したときの白
濁度を高めて、透明化温度域が広く、かつ画像のコント
ラストが高い記録材料を得るものである。
【0007】A成分の炭素数15以上の高級ケトンとし
ては、8−ペンタデカノン、9−ヘプタデカノン、10
−ノナデカノン、11−ヘンエイコサノン、12−トリ
コサノン、14−ヘプタコサノン、16−ヘントリアコ
ンタノン、18−ペンタトリアコンタノン、22−トリ
テトラコンタノン、2−ペンタデカノン、2−ヘキサデ
カノン、2−ヘプタデカノン、2−オクタデカノン、2
−ノナデカノンなどがある。またB成分の炭素数12以
上の脂肪族飽和ジカルボン酸としては、ドデカン二酸、
トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二
酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン
二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン
二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ヘキサコサ
ン二酸、トリアコンタン二酸、テトラトリアコンタン二
酸などがある。またC成分の炭素数16以上の高級脂肪
酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコサン
酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシ
ン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、
ヘンエイコサン酸、ヘプタコサン酸、2−ヘキサデセン
酸、2−ヘプタデセン酸、エライジン酸、エルカ酸など
がある。
【0008】各成分の混合比率は、A成分に対するB、
C両成分の合計量の比率A:(B+C)が98:2〜3
0:70、B成分とC成分の比率B:Cが95:5〜5
0:50の範囲とするのがよい。B成分の割合が少なす
ぎると温度域T1 の範囲拡大効果がなく、多すぎると記
録材料層の成膜が困難になる。またC成分の割合が少な
いと、不透明化時の白濁度を高める効果が得られない。
C成分は、A、B及びC成分の合計量の3%以上含有さ
せるのがよい。特に好ましい混合比率は、A:(B+
C)が90:10〜50:50、B:Cが90:10〜
70:30の範囲である。A、BおよびC成分の合計量
は、樹脂母材100重量部に対し10〜80重量部、好
ましくは30〜70重量部である。
【0009】この記録材料を、サーマルヘッド、加熱ス
タンプ、加熱ロールなどの加熱手段により温度T1 で加
熱すると透明化する。次にこの透明な記録材料を、サー
マルヘッド、加熱印判などでT1 よりも高い温度T2
局部的に加熱してやれば、加熱された部分のみが不透明
化(白濁)して、可視画像を表示することができる。画
像を消去するには、再度温度域T1 に加熱すればよい。
この透明化される温度域T1 の幅は、5℃未満ではサー
マルヘッドなどの加熱手段の温度制御が困難なため安定
した透明状態が得にくく、また60℃以上だと、印字す
る温度T2 が高くなり過ぎ、印字・消去の繰り返しによ
る記録材料の熱劣化が進み易くなるが、本発明によれば
例えば30〜50℃程度の温度幅が容易に得られる。ま
たC成分を併用することにより、A、B両成分のみの場
合よりも不透明化時の白濁度が高くなり、コントラスト
のよい画像が得られる。
【0010】図1および図2は、本発明記録材料の一つ
の使用例であるカードを示すものであって、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)などの合成樹脂基材シート
1の表面に、反射層2、記録材料層3、保護層4、可視
記録表示窓6を形成するための印刷層5を積層してあ
る。また裏面には磁気記録層7、保護層8を設けてあ
る。反射層2は、記録材料層3に形成される画像を見易
くするためのものであり、アルミニウム、スズなどの蒸
着層や箔、あるいは金属粉を混ぜた塗料層などが好まし
い。保護層4は、記録材料層3の熱劣化を防止するもの
であり、PET、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポ
リカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミ
ド、アクリル樹脂などの耐熱性の高い透明樹脂のフイル
ムあるいは塗膜を用いることができる。
【0011】このカードは例えば、入場、買物、レンタ
ルなどのプリペイドカードとして使用することができ、
使用の都度、使用金額および残額を磁気記録とともに記
録材料層3に可視的に表示することにより、常に正確な
残額を知ることができる。
【0012】
【実施例】予め裏面に磁気記録層を10μmの厚さに形
成した厚さ188μmのPETシートの表面に反射層と
してアルミニウムを蒸着した。その上に、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体(日信化学社製MRP−TS)10
0重量部に対し、有機低分子化合物のA成分として12
−トリコサノン、B成分として1,12−テトラデカン
二酸、C成分としてドコサン酸を表1に示す量(重量
部)添加した記録材料をテトラヒドロフランに溶解して
塗布し、乾燥して厚さ10μmの記録材料層を形成し
た。その上に、保護層として厚さ2μmのPETフイル
ムを貼り付け、さらに可視記録表示窓を形成するための
印刷をし、一方裏面の磁気記録層の上に保護層を設け、
カード形状に打ち抜いた。そして、得られた各カードを
50℃から120℃まで1℃間隔で加熱し、各温度での
記録材料の反射濃度をマクベス反射濃度計RD−914
で測定した。測定値が0.5以下を不透明状態とし、ま
た1.0以上を透明状態として透明化温度域T1 および
その温度幅を求めた。併せて、透明化時の最大反射濃度
と不透明化時の最小反射濃度を求めた。これらの結果を
表1に示す。表1において、No.1〜3は本発明の実
施例、No.4〜5は比較例である。
【0013】
【表1】
【0014】本発明記録材料を用いたNo. 1〜3は、
透明化温度T1 の温度幅が広く、加熱温度が多少変動し
ても安定した透明状態が得られることが分かる。また透
明時と不透明時の反射濃度の差が大きく、コントラスト
の高い鮮明な画像が得られることが分かる。これに対
し、C成分を含まないNo.4では透明化温度T1 の温
度幅は十分広いが反射濃度差が小さく、A成分のみを含
有するNo.5では、透明化温度が68℃の一点のみで
極めて透明状態が得にくいことが分かる。またNo.1
〜3のカードの記録材料層を85℃に加熱した後常温ま
で冷却して透明化し、サーマルヘツドで印字エネルギー
1.3ジュール/cm2 にて文字を印字した。そしてこ
れらを透明化温度域内の温度に加熱すると、文字の消去
が行われ、これを1000回繰り返しても同じ視認性が
得られた。
【0015】
【発明の効果】本発明記録材料は、透明化温度域が広
く、従って加熱温度が変動しても安定した透明状態が得
られ、しかも不透明化時の白濁度が大きく画像のコント
ラストが高い記録材料であって、例えばペイドカードな
どに繰り返し印字・消去できる可視画像を表示するのに
適している。
【0016】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明記録材料を使用したカードの一例を示す
正面図である。
【図2】図1のZ−Z断面図である。
【符号の説明】
1 カード基材 2 反射層 3 記録材料層 4 保護層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子樹脂母材中に有機低分子化合物を
    分散してなり、温度により透明状態と不透明状態とに可
    逆的に変化する可逆性感熱記録材料において、低分子化
    合物として、A)炭素数15以上の高級ケトンの少なく
    とも1種、B)炭素数12以上の脂肪族飽和ジカルボン
    酸の少なくとも1種、およびC)炭素数16以上の高級
    脂肪酸の少なくとも1種を併用したことを特徴とする可
    逆性感熱記録材料。
JP03168698A 1991-06-13 1991-06-13 可逆性感熱記録材料 Expired - Lifetime JP3078879B2 (ja)

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