JP3077288B2 - 動力車輌における四輪操舵装置 - Google Patents

動力車輌における四輪操舵装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、前後輪が各々単独
で、あるいは相互に関連して操舵できる動力車輌の操舵
装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来、この種の装置は、前後輪を夫々独立
的にあるいは相互に関連させて操舵可能できるように構
成し、オペレ−タが選択したモ−ドのうちの1つ、例え
ば前輪操舵モ−ド、後輪操舵モ−ド、あるいは前後輪が
逆方向を向く逆位相操舵モ−ドを選択できるようにして
いる。
【0003】そして、このような従来装置にあっては、
操舵車輪が略直進方向を向いたときに、各操舵モ−ドの
変更ができるように構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうした従
来装置にあっては、傾斜地で作業を行うときに、機体が
横滑りを起こして谷側へずり落ちそうになることがあ
り、このような滑り落ちを防止するために、前後輪共同
じ方向を向くような操舵モ−ド、すなわち、前後輪同位
相操舵モ−ドにし、4つの操舵輪をすべて山側へ向かう
ように操舵することが望ましいとされている。しかしな
がら、このような使用頻度が少ない操舵モ−ドを前記3
つの操舵モ−ド以外に特別に設けることは、油路切換バ
ルブや配管の構成が複雑になる恐れがあり、コスト的に
も高くつく等の問題点を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために、この発明は次のような技術的手段を講じた。
即ち、前輪操舵モードと後輪操舵モードと前後輪逆位相
操舵モードとを備え、操舵輪が略直進方向を向いたとき
に、各モード間の切換ができるように構成された動力車
輌1において、略直進方向に相当する中点位置を検出す
る手段46と、この中点位置を変更する手段S4とを具
備させ、中点位置変更後の車輪はその変更状態角度を保
ったまま走行することを特徴とする動力車輌における四
輪操舵装置とするものである。
【0006】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基づいて、この発
明の実施例を説明する。まず、構成から説明すると、1
は乗用管理用のトラクタ−で、機体の前後部に夫々前輪
2、2と後輪3、3とを備え、これらの前後輪2、3は
各々単独で、あるいは連動して操舵できるように構成さ
れている。
【0007】このトラクタ−1のボンネット4内には縦
軸タイプのエンジン5が設けられ、このエンジン5の回
転動力をプ−リ、ベルト等からなる動力伝達手段6を介
してミッションケ−ス7内の変速装置に伝えている。ミ
ッションケ−ス7の後部には2本の軸9、10が突設さ
れ、上部の軸9はユニバ−サルジョイント12を介して
伝動ケ−ス11の下部入力軸14に伝達される。伝動ケ
−ス11内のギヤ機構を介して減速された回転動力は上
部の出力軸15から取り出され、PTO軸として利用さ
れる。18は作業機を連結するリンク、21、21は連
結リンク18を昇降回動させるためのシリンダ、29は
変速レバ−である。
【0008】図2は前輪操舵系Fと後輪操舵系Rの油圧
回路図であるが、以下その詳細を説明する。30、30
は前輪2、2のナックルア−ムで、両ナックルア−ム3
0、30はタイロッド31で連結されている。33、3
3は後輪3、3のナックルア−ム、35はナックルア−
ム33、33を連結するタイロッドである。右側前輪2
のナックルア−ム30の上部に設けたア−ム37と機体
下部の中央とは片ロッド式の油圧シリンダ−40で連結
され、右側後輪3のナックルア−ム33の前部と機体と
の間には油圧シリンダ−44が介装されている。
【0009】45、46は右側前輪2と後輪3の操舵角
を検出する操舵角センサ−である。50は前輪操舵系F
を制御する電磁バルブで、2位置4ポ−ト式の弁にて構
成され、常態では油圧ポンプ52側と油圧シリンダ−4
0側とが連通する状態となり、電磁バルブ50のソレノ
イド53が励磁されると、右側の室に切り換って油圧ポ
ンプ52側と油圧シリンダ−40側とは油路が遮断され
る。
【0010】55は後輪操舵系Rを制御する電磁バルブ
であって、2位置4ポ−ト式の弁で構成され、常態では
油圧ポンプ52側と油圧シリンダ−44側とは連通を絶
たれた状態であり、ソレノイド58が励磁されると右側
の室に切り換り、油圧ポンプ52側と油圧シリンダ−4
4側の油路が連通する。60は全油圧方式の操舵機構を
示し、ステアリングハンドル61を回すと油路と油量が
制御される。
【0011】例えば、同図において、ステアリングハン
ドル61を右に回すと、油圧ポンプ52から送られた作
動圧油は油路(イ)を通って電磁バルブ50の左側の室
に入り、油圧シリンダ−40のピストンロッドを押し出
して前輪2、2を右に切り、戻りの作動圧油は電磁バル
ブ55の左側の室を通ってタンク63に戻る。逆にステ
アリングハンドル61を左側に回動すると、油圧ポンプ
52から送られた作動圧油は油路(ロ)を通過して電磁
バルブ55の左側室に入り、油圧シリンダ−40のピス
トンロッドを引っ込めて前輪2、2を左に切り、その戻
りの圧油はタンク63に回収される。
【0012】65はトラクタ−1後部に連結される作業
機を昇降制御するメインコントロ−ルバルブであって、
「中立位置」、「上げ位置」、「下げ位置」の切換が可
能である。作業者が油圧操作レバ−66を握ってこれを
「上げ位置」に保てば、リフトシリンダ−21、21内
に作動圧油が流入し、連結リンク18を上昇回動させ
る。前記した電磁バルブ50、55の各ソレノイド5
3、58のオン、オフを次のように組み合わせて制御す
ることにより、3つの操舵モ−ドが選択できるものであ
る。
【0013】即ち、いずれのソレノイド53、58も励
磁しないオフの状態では、前輪操舵モ−ドとなり、両ソ
レノイド53、58を共にオンにすると後輪操舵モ−ド
になり、ソレノイド53はオフで他方のソレノイド58
をオンにすると前後輪2、3が逆方向を向く前後輪逆位
相操舵モ−ドに切り換る。これらのモ−ド切換は操縦席
近傍に設けたモ−ド切換スイッチ68にて行なわれ、ま
た、各モ−ド間の切換は前輪2、2と後輪3、3が直進
状態(以下、中点位置という)となったときに切換が可
能となるように構成している。
【0014】図3はこの制御装置のブロック回路を示す
ものであり、操作パネル70に設けたモ−ド切換スイッ
チ68を適宜選択して所望のモ−ドを得る。即ち、モ−
ド切換スイッチ68を操作すると入力インタ−フェ−ス
71を介してその状態がCPU72に読み込まれ、出力
インタ−フエ−ス74を介して該当するソレノイド5
3、58を励磁し、操舵モ−ドを切り換える。このと
き、前輪2と後輪3に設けた操舵角センサ−45、46
の値はA/D変換器75、入力インタ−フェ−ス71を
介してCPU72に常時読み込まれており、操舵車輪2
(あるいは3)が直進を向いたときに操舵モ−ドが切り
換わる。78は制御プログラムを記憶しているROM、
79は操舵車輪の中点位置を一時的に記憶するRAMで
ある。80は電気的に書替え可能なEEPROMで、前
記中点値として基準になる値、すなわち、前輪2、2と
後輪3、3が直進を向いているとされる基準値が記憶さ
れている。この実施例ではそのときの前輪2の値をθ1
とし、後輪3の値をθ2とする。なお、モ−ド切換スイ
ッチ68は3つのスイッチS1、S2、S3からなり、
前輪操舵設定スイッチS1を押すと前輪2、2のみが操
舵可能となり、前後輪逆位相操舵設定スイッチS2を押
すと前輪2、2と後輪3、3が逆方向を向く操舵モ−ド
になり、後輪操舵設定スイッチS3を押すと後輪3、3
のみが操舵できるモ−ドになる。これらのスイッチS
1,S2,S3は所謂モ−メンタリ型と云われるもの
で、一度押すとその状態を保持し、再度押すと解除され
るようにしてある。S4は後輪3の中点位置を変更する
ためのスイッチであり、このスイッチS4は後輪操舵モ
−ド時においてのみ有効に働く。後輪操舵モ−ド時にこ
の中点変更スイッチS4を一度押すと、そのときの後輪
3の操舵角θ2’が中点位置となり、再度押すとリセッ
トされ、再びθ2が中点位置になるように構成される。
また、出力インタ−フエ−ス74には前輪操舵表示ラン
プL1、後輪操舵表示ランプL2、前後輪逆位相操舵表
示ランプL3が接続されている。
【0015】図4のプログラムの内容は操舵車輪の中点
位置を変更する際の制御プログラムを示すものであり、
以下、これを説明する。図示外のキ−スイッチを回して
電源をオンすると、前輪操舵モ−ドが優先されているた
めに、操舵モ−ドは前輪操舵になる。この状態で、次の
操舵モ−ドが選択されるのを待ち、オペレ−タが前後輪
逆位相操舵スイッチS2を押せば前輪2、2と後輪3、
3が逆方向となる前後輪逆位相操舵モ−ド、所謂4WS
モ−ドに切り換えられる(ステップ4、12)。
【0016】オペレ−タが後輪操舵スイッチS3を押す
と後輪操舵モ−ドに切り換えられ、このときには、前輪
2、2が直進を向いた方向で固定されて後輪3、3のみ
が操舵できる後輪操舵モ−ドに切り換わる(ステップ
5、6)。この操舵モ−ドは、機体を後退させながら防
除作業を行うような場合に使用する。一方、傾斜地で等
高線に沿って前進しながら管理作業を行うような場合で
あって、前輪操舵モ−ドで前輪2、2を山側に向けて進
行させても機体が谷側へ滑り落ちそうなときには、前後
輪が同方向を向く操舵モ−ドが有効となるが、このよう
に一種の前後輪同位相操舵モ−ドを現出させようとする
場合には、前輪操舵モ−ドから一度後輪操舵モ−ドの状
態にし、同時に後輪3の中点位置の書替を行う。すなわ
ち、後輪操舵モ−ドで後輪3、3を僅かに山側に向け、
その状態て中点変更スイッチS4を押す。後輪3には操
舵角センサ−46が取り付けられているので、そのとき
の操舵角θ2’がCPUに読み込まれ、中点変更スイッ
チS4を押したときに基準となる中点値の値がθ2から
θ2’に書替えられる。
【0017】この状態で再び前輪操舵モ−ドに移行させ
る(ステップ7、8、9)。傾斜地での耕耘管理作業で
は、このように前後輪2、3ともに山側を向くようにし
て機体を前進させる。このとき、後輪3、3は向きが斜
めになった状態で固定されていて、後輪3、3の操舵を
直接に行うことができないが、前輪2、2の舵取り操作
で機体の谷側への滑り落ちを防止することができる。な
お、後輪2の中点値の書替は任意にできるので、土壌の
硬軟あるいは傾斜度合に応じてオペレ−タが作業中にそ
の中点値(θ2’)を決定すれば良い。
【0018】そして、傾斜地での作業を終えて平地で作
業を行う場合には再び中点変更スイッチS4を押す。す
ると、これまでのθ2’がクリアされ、元の基準値θ2
が選択され、以後の操舵モ−ドを設定する際に、後輪
3、3の中点値がこのθ2になったことを操舵角センサ
−46が検出した時点で、所望の操舵モ−ドの変更が行
われるのである。
【0019】
【発明の効果】この発明は前記の如く、前輪操舵モード
と後輪操舵モードと前後輪逆位相操舵モードとを備え、
操舵輪が略直進方向を向いたときに、各モード間の切換
ができるように構成された動力車輌において、略直進方
向に相当する中点位置を検出する手段と、この中点位置
を変更する手段とを具備させ、中点位置変更後の車輪は
その変更状態角度を保ったまま走行することを特徴とす
る動力車輌における四輪操舵装置であるから、傾斜地を
等高線に沿って走行する場合に、後輪操舵状態で後車輪
を適宜の角度山側に操舵し、この操舵角度を後輪の中点
として書き替え次に前輪操舵状態で走行することによ
って前輪と後輪が共に山側を向いて進行する前後輪同
位相操舵モードに近い操舵を安価で簡単な構成で現出で
きるのであり、乗用管理用トラクターの傾斜地での有効
性を高めることができたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用管理用のトラクタ−の側面図である。
【図2】動作原理を説明するための油圧回路図である。
【図3】制御系を示すブロック図である。
【図4】プログラムの内容を説明するフロ−チャ−トで
ある。
【符号の説明】
1 トラクタ− 2 前輪 3 後輪 4 ボンネット 5 エンジン 40 油圧シリンダ− 44 油圧シリンダ− 45 操舵角センサ− 46 操舵角センサ− 68 モ−ド切換スイッチ S1 前輪操舵スイッチ S2 前後輪逆位相操舵スイッチ S3 後輪操舵スイッチ S4 中点変更スイッチ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪操舵モードと後輪操舵モードと前後
    輪逆位相操舵モードとを備え、操舵輪が略直進方向を向
    いたときに、各モード間の切換ができるように構成され
    た動力車輌において、略直進方向に相当する中点位置を
    検出する手段と、この中点位置を変更する手段とを具備
    させ、中点位置変更後の車輪はその変更状態角度を保っ
    たまま走行することを特徴とする動力車輌における四輪
    操舵装置。
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