JP3076719U - インクジェット装置 - Google Patents

インクジェット装置

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JP3076719U
JP3076719U JP2000007091U JP2000007091U JP3076719U JP 3076719 U JP3076719 U JP 3076719U JP 2000007091 U JP2000007091 U JP 2000007091U JP 2000007091 U JP2000007091 U JP 2000007091U JP 3076719 U JP3076719 U JP 3076719U
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加能 三吉
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】インク吹付穴にインクを吹き付ける際のインク
の飛散を防止することが可能なインクジェット装置を提
供する。 【解決手段】インクキャリヤの移動に伴って移動すると
ともに、インク吹付穴4を有するスライダ6と、スライ
ダ6のインク吹付穴4の近傍に設けられ、穴部14と、
その穴部14を挟むように配置された1対の傾斜部11
aおよび11bとを有するインク飛散防止部材10とを
備えている。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、インクジェット装置に関し、より特定的には、インクノズルに付 着したインクを除去するために印字とは別にインクを吹き付けるインクジェット 装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタやプロッター、複写機などのインクジェット装置が知られてい る。このインクジェット装置の中で、インクノズルに付着したインクを除去する ために印字とは別にインクを吹き付けるインクジェットプリンタが知られている 。
【0003】 図8は、上記のような従来のインクジェットプリンタの全体構成を説明するた めの概略図である。図9は、従来のインクジェットプリンタのスライダ部分を示 した上面図である。図10は、図9に示したスライダの200−200線に沿っ た断面図であり、図11は、図9に示したスライダの下面図である。
【0004】 まず、図8を参照して、従来のインクジェットプリンタの全体構成について説 明する。従来のインクジェットプリンタでは、シャーシ101に、主軸102が 取り付けられている。主軸102には、インクキャリヤ(インクカートリッジ保 持部材)103が横方向に移動可能に取り付けられている。インクキャリヤ10 3には、カラーのインクカートリッジ104とモノクロ(黒色)のインクカート リッジ105とが装着されている。
【0005】 また、シャーシ101内の下方右端には、インクノズルのクリーニングなどを 行うクリーニングユニットが設置されている。このクリーニングユニットは、イ ンクキャリヤ103の移動に伴って横方向に移動するスライダ106と、スライ ダ106を移動可能に支持するスライダベース107とからなる。スライダ10 6には、待機時にインクノズルを保護する保護キャップ108および109と、 インクノズル表面を清掃するワイパー110および111とが取り付けられてい る。保護キャップ108およびワイパー110がカラーのインクノズル用であり 、保護キャップ109およびワイパー111がモノクロのインクノズル用である 。
【0006】 次に、図9〜図11を参照して、スライダ106の構造について説明する。ス ライダ106には、保護キャップ108および109(図8参照)を取り付ける ための保護キャップ取付穴113および114が設けられている。また、保護キ ャップ取付穴113および114とそれぞれ所定の間隔を隔てて、インク吹付穴 115および116が設けられている。このインク吹付穴115および116は 、インクノズル先端に付着したインクを除去するために、印字とは別にインクを 吹き付けるための穴である。インク吹付穴115は、カラーのインクを吹き付け るための穴であり、インク吹付穴116は、モノクロ(黒色)のインクを吹き付 けるための穴である。インク吹付穴116の下方には、インク吹付穴116の下 方に位置するインク吹き付け領域(図示せず)に堆積した黒インクを、他の部分 に掃き出すための平板状部材(掃き出し部材)117が設置されている。また、 インク吹付穴115および116から所定の間隔を隔てて、ワイパー110およ び111(図8参照)を取り付けるためのワイパー取付板118および119が 設けられている。
【0007】 次に、インクノズル先端のクリーニング動作について説明する。インクキャリ ヤ103が印字状態にある場合、印字にともなって、インクノズル先端にインク が付着する。そして、付着したインクの量が増加した場合、付着したインクによ って用紙が汚れるなど、印字品質に悪影響を及ぼす。このため、インクキャリヤ 103は、印字中に定期的にクリーニングユニットに移動してインクノズルのク リーニングを行う。具体的には、インクノズルに付着したインクを落とすため、 スライダ106のインク吹付穴115および116に向かってインクの吹き付け を行う。また、印字が終了した場合にも、インクキャリヤ103はクリーニング ユニットに移動する。そして、まず、ワイパー110および111によってイン クノズルを払拭する。次に、インク吹付穴115および116にインクを吹き付 けることによって、ワイパー110および111によって払拭仕切れなかったイ ンクを落とす。そして、次の印字までの待機中は、スライダ106に設けられた 保護キャップ108および109によって、インクノズルが保護されている。
【0008】 ところで、近年、プリンタの用途として、通常のカラープリントに加えて、写 真などを印刷するフォトプリントへの使用が増加している。そして、フォトプリ ントの印字品質向上を目的として、カラーインクの粒子サイズが小さくなる傾向 にある。従来の比較的粒子サイズの大きなカラープリント用インクの粒子サイズ は、18ピコリットル(pl)程度である。一方、粒子サイズの小さなフォトプ リント用インクの粒子サイズは、7ピコリットル(pl)程度である。これらの カラープリント用インクとフォトプリント用インクとは、同機種のプリンタにお いて、併用使用される場合が多い。
【0009】 従来の粒子サイズの大きなカラープリント用インクを、インク吹付穴115に 吹き付ける場合、粒子サイズの大きなインクは重いため、吹き付けられたインク の大部分は、浮遊せずにインク吹付穴115の下方に設けられたインク吹き付け 領域に落下する。なお、吹き付けられたインクの一部は、霧状に浮遊する。
【0010】 また、粒子サイズの小さなフォトプリント用インクを、インク吹付穴115に 吹き付ける場合、粒子サイズの小さなインクは軽いため、吹き付けられたインク の大部分は、インク吹き付け領域に落下せずに、霧状に浮遊する。なお、吹き付 けられたインクの一部は、インク吹き付け領域に落下する。
【0011】 そこで、従来では、図10に示すように、カラーインク用のインク吹付穴11 5の上方に、浮遊するインク粒子を付着するために、樹脂からなるインク付着部 材120が設けられている。このインク付着部材120は、スライダ106と一 体的に形成されているとともに、インク吹付穴115の上方近傍にブリッジ状に 設けられている。図12は、インク付着部材のインク粒子付着部付近を示した概 略図である。図12を参照して、インク付着部材120は、湾曲した上面を有す るインク粒子付着部121を備えている。このインク粒子付着部121は、イン ク吹付穴115に向かってインクの吹き付けが行われる際に、インクノズルがこ のインク粒子付着部121の真上に来る位置に設けられている。
【0012】 インク吹付穴115にカラーインクを吹き付けた場合、インク付着部材120 を構成する樹脂の静電気によって、浮遊するインクがインク粒子付着部121の 上面に引き寄せられる。これにより、浮遊するインクはインク粒子付着部121 の上面に堆積する。そして、堆積したインクは、インク粒子付着部121の上面 の湾曲面に沿って、インク吹付穴115の下方に位置するインク吹き付け領域に 落下する。
【0013】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来では、上記したように、粒子サイズの小さなフォトプリン ト用インクに加え、粒子サイズの大きなカラープリント用インクも、同機種のプ リンタにおいて併用使用される。この場合に、粒子サイズの大きなインクを吹き 付けると、吹き付けたインクの大部分が、インク粒子付着部121の上面に直撃 して飛散するという不都合が生じる。そして、この飛散したインクが、用紙に付 着するとともに、インクノズルやインクヘッド面に付着して用紙を汚す。このた め、印字品質に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0014】 また、従来、たとえば、特開平9−76533号公報において、インクキャリ ヤの移動範囲の一端近傍にクリーニングユニットを設けるとともに、プリンタ制 御部を他端近傍に設けることによって、クリーニングユニットからプリンタ制御 部へインクが飛散するのを防止することが提案されている。しかし、この提案さ れた従来技術では、クリーニングユニット周辺部へのインクの飛散を防止するの は困難である。そのため、飛散したインクが、用紙に付着するとともに、インク ノズルやインクヘッド面などに付着して用紙を汚すなどの問題点があった。
【0015】 上記のように、従来では、インク吹付穴にインクを吹き付ける際に、インクノ ズル等にインクが飛散するのを防止するのは困難であった。
【0016】 この考案は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、 この考案の一つの目的は、インク吹付穴にインクを吹き付ける際のインクの飛 散を防止することが可能なインクジェット装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1におけるインクジェット装置は、インクノズルに付着したインクを除 去するために印字とは別にインクを吹き付けるインクジェット装置である。その インクジェット装置は、インクカートリッジ保持部材の移動に伴って移動すると ともに、インク吹付穴を有するスライダ本体と、穴部と、穴部を挟むように配置 された1対の傾斜部とを有するインク飛散防止部材とを備えている。また、ここ で言う傾斜部とは、直線的な傾斜面だけでなく、曲面状、すなわち、凹面状や凸 面状の傾斜面も含む概念である。
【0018】 請求項1では、上記のように、インク吹付穴を有するスライダのインク吹付穴 近傍に、穴部と、その穴部を挟むように配置された1対の傾斜部とを有するイン ク飛散防止部材を設けることによって、インクを吹き付けた場合に、粒子サイズ の大きな浮遊しないインクについては、傾斜部に当たることなく、直接、穴部を 通ってインク吹き付け領域に落下させることができる。このように穴部を設ける ことによって、吹き付けたインクがインク飛散防止部材に直撃して、インクが飛 散するのを防止することができる。それによって、飛散したインクが用紙に付着 するのを防止することができるとともに、インクノズルやインクヘッド面に付着 したインクによって用紙が汚れるのを防止することができる。その結果、印字品 質に悪影響を及ぼすこともない。また、粒子サイズが小さい浮遊するインク粒子 については、インク飛散防止部材の1対の傾斜部の静電気により引き寄せられる ことによって、傾斜部に堆積させることができる。そして、堆積したインクは、 自重により傾斜部に沿って下方に移動するので、堆積したインクをインク吹き付 け領域に容易に落下させることができる。それにより、インクノズルやインクヘ ッド面に付着したインクによって用紙が汚れるのを防止することができ、その結 果、印字品質に悪影響を及ぼすこともない。
【0019】 請求項2におけるインクジェット装置では、請求項1の構成において、1対の 傾斜部は、下方になるほど傾斜部間の距離が小さくなるように傾斜する。
【0020】 請求項2では、上記のように、1対の傾斜部を下方になるほど傾斜部間の距離 が小さくなるように構成することによって、インク飛散防止部材に堆積した浮遊 インクは、自重により傾斜部に沿って下方に移動する。これにより、堆積したイ ンクを、穴部からインク吹き付け領域に容易に落下させることができる。それに より、堆積した浮遊インクが、インクノズルやプリントヘッド面に付着して用紙 が汚れるのを防止することができ、その結果、印字品質に悪影響を及ぼすことも ない。
【0021】 請求項3におけるインクジェット装置では、請求項1の構成において、1対の 傾斜部は、下方になるほど傾斜部間の距離が大きくなるように傾斜する。
【0022】 請求項3では、上記のように、1対の傾斜部を下方になるほど傾斜部間の距離 が大きくなるように構成することによって、インク飛散防止部材に堆積した浮遊 インクは、自重により傾斜部に沿って下方に移動する。これにより、堆積したイ ンクを、傾斜部の外側からインク吹き付け領域に容易に落下させることができる 。それにより、堆積した浮遊インクが、インクノズルやプリントヘッド面に付着 して用紙が汚れるのを防止することができ、その結果、印字品質に悪影響を及ぼ すこともない。
【0023】 請求項4におけるインクジェット装置は、インクノズルに付着したインクを除 去するために印字とは別にインクを吹き付けるインクジェット装置である。その インクジェット装置は、インクカートリッジ保持部材の移動に伴って移動すると ともに、インク吹付穴を有するスライダ本体と、スライダ本体のインク吹付穴近 傍に設けられ、穴部とインク粒子付着部とを有するインク飛散防止部材とを備え ている。
【0024】 請求項4では、上記のように、インク吹付穴を有するスライダのインク吹付穴 近傍に、穴部とインク粒子付着部とを有するインク飛散防止部材を設けることに よって、インクを吹き付けた場合に、粒子サイズの大きな浮遊しないインクにつ いては、インク粒子付着部に当たることなく、直接、穴部を通ってインク吹き付 け領域に落下させることができる。このように穴部を設けることによって、吹き 付けたインクがインク飛散防止部材に直撃して、インクが飛散するのを防止する ことができる。それにより、飛散したインクが用紙に付着するのを防止すること ができるとともに、インクノズルやインクヘッド面に付着したインクによって用 紙が汚れるのを防止することができる。その結果、印字品質に悪影響を及ぼすこ ともない。また、粒子サイズが小さい浮遊するインク粒子については、インク飛 散防止部材のインク粒子付着部の静電気により引き寄せられることによって、イ ンク粒子付着部に堆積させることができる。そして、堆積したインクは、自重に よりインク粒子付着部に沿って下方に移動するので、堆積したインクをインク吹 き付け領域に容易に落下させることができる。それにより、堆積した浮遊インク が、インクノズルやプリントヘッド面に付着して用紙が汚れるのを防止すること ができ、その結果、印字品質に悪影響を及ぼすこともない。
【0025】 請求項5におけるインクジェット装置では、請求項4の構成において、インク 粒子付着部は、穴部を挟んで対向するように配置されるとともに、インクの吹付 方向とほぼ平行に設けられている。
【0026】 請求項5では、上記のように、インク粒子付着部をインクの吹付方向とほぼ平 行に設けることによって、インク粒子付着部に付着して堆積したインク粒子を、 自重により容易にインク吹き付け領域に落下させることができる。
【0027】 請求項6におけるインクジェット装置では、請求項1〜5の構成において、イ ンク飛散防止部材は、樹脂により形成されている。
【0028】 請求項6では、上記のように、インク飛散防止部材を樹脂により形成すること によって、インクを吹き付けた場合に、粒子サイズが小さい浮遊するインクを、 インク粒子付着部の静電気により引き寄せて、インク粒子付着部に堆積させるこ とができる。それにより、堆積した浮遊インクが、インクノズルやプリントヘッ ド面に付着して用紙が汚れるのを防止することができ、その結果、印字品質に悪 影響を及ぼすこともない。
【0029】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】 (第1実施形態) 図1は、本考案の第1実施形態によるインクジェットプリンタのクリーニング ユニットに用いるスライダを示した上面図である。図2は、図1に示したスライ ダの100−100線に沿った断面図であり、図3は、図2に示したスライダの 下面図である。
【0031】 まず、図1〜図3を参照して、第1実施形態によるインクジェットプリンタの クリーニングユニットにおけるスライダの構造について説明する。第1実施形態 のスライダ1には、保護キャップを取り付けるための保護キャップ取付穴2およ び3が設けられている。また、保護キャップ取付穴2および3とそれぞれ所定の 間隔を隔てて、インク吹付穴4および5が設けられている。このインク吹付穴4 および5は、インクノズル先端に付着したインクを除去するために、印字とは別 にインクを吹き付けるための穴である。インク吹付穴4は、カラーのインクを吹 き付けるための穴であり、インク吹付穴5は、モノクロ(黒色)のインクを吹き 付けるための穴である。インク吹付穴5の下方には、インク吹付穴5の下方に位 置する吹き付け領域に堆積した黒インクを他の部分に掃き出すための平板状部材 (掃き出し部材)6が設置されている。また、インク吹付穴4および5から所定 の間隔を隔てて、インクノズルを清掃するためのワイパーを取り付けるためのワ イパー取付板7および8が設けられている。
【0032】 ここで、この第1実施形態では、カラーインク用のインク吹付穴4の上方近傍 に、インクの飛散を防止するためのインク飛散防止部材10が設けられている。 このインク飛散防止部材10は、樹脂(たとえばPOM樹脂)を用いて成形され ている。インク飛散防止部材10は、スライダ1と一体的に形成されている。
【0033】 図4は、第1実施形態による、インク飛散防止部材のインク粒子付着部付近を 示した概略図である。図4を参照して、第1実施形態のインク飛散防止部材10 の構成について説明する。第1実施形態のインク飛散防止部材10は、上面中央 部に設けられた穴部14と、穴部14を挟んで対向するように配置された1対の 傾斜部11aおよび11bとを備えている。その1対の傾斜部11aおよび11 bは、下方ほど傾斜部11aと11bとの距離が小さくなるように傾斜している 。また、インク飛散防止部材10は、壁部12および13によって、スライダ1 と一体的に接続されている。また、インク飛散防止部材10は、インク吹付穴4 の上方近傍にブリッジ状に設けられている。
【0034】 また、傾斜部11aと11bとの間に形成される穴部14は、インク吹付穴4 へインクの吹き付けが行われる際、インクノズルがこの穴部14の真上に来る位 置に設けられている。また、この穴部14の縦横の寸法は、インクノズルの対応 する縦横の寸法より大きくなるように形成されている。
【0035】 次に、上記した構成を有する第1実施形態のインクジェットプリンタのインク 吹付動作について説明する。インク吹き付けが行われる場合、まず、インクノズ ルは穴部14の真上に位置する。そして、その位置で、穴部14の下方に位置す るインク吹付穴4に向かってインクが吹き付けられる。粒子サイズの大きな浮遊 しにくいカラープリント用インクの場合は、吹き付けられたインクは、傾斜部1 1aおよび11bに当たることなく、直接、穴部14からインク吹付穴4の下方 に位置するインク吹き付け領域に落下する。すなわち、穴部14の縦横の寸法は 、インクノズルの対応する縦横の寸法より大きいため、インクはインク飛散防止 部材10に直撃することなく、インク吹き付け領域に落下する。
【0036】 また、粒子サイズの小さなフォトプリント用インクの場合は、吹き付けられた インクは、粒子サイズが小さいため、霧状に浮遊しやすい。この浮遊したインク 粒子は、樹脂の静電気によって、インク飛散防止部材10の傾斜部11aおよび 11bに引き寄せられて、付着する。付着して堆積したインクは、自重により傾 斜部11aおよび11bに沿って下方に移動するとともに、穴部14からインク 吹き付け領域に落下する。
【0037】 第1実施形態では、上記のように、インク吹付穴4の上方近傍に1対の傾斜部 11aおよび11bと、穴部14とを備えたインク飛散防止部材10を設けるこ とによって、粒子サイズの大きな浮遊しにくいインクを吹き付けた場合に、吹き 付けたインクを、傾斜部11aおよび11bに当てることなく、直接、穴部14 からインク吹き付け領域に落下させることができる。それにより、吹き付けたイ ンクがインク飛散防止部材10に直撃して飛散するのを防止することができる。 これにより、飛散したインクが用紙に付着するのを防止することができるととも に、飛散したインクがインクノズルやプリントヘッド面に付着して用紙が汚れる のを防止することができる。その結果、印字品質に悪影響を及ぼすこともない。
【0038】 また、粒子サイズの小さな浮遊しやすいインクを吹き付けた場合、吹き付けた インクを、樹脂の静電気により引き寄せることによって、1対の傾斜部11aお よび11bに堆積させることができる。そして、その堆積したインクを、自重に より傾斜部11aおよび11bに沿って、穴部14からインク吹き付け領域に落 下させることができる。それにより、浮遊したインク粒子がインクノズルやプリ ントヘッド面に付着して用紙が汚れるのを防止することができ、その結果、印字 品質に悪影響を及ぼすこともない。
【0039】 (第2実施形態) 図5は、本考案の第2実施形態によるインク飛散防止部材のインク粒子付着部 付近を示した概略図である。この第2実施形態のインク飛散防止部材以外の部分 の構成は、第1実施形態と同様の構成である。
【0040】 ここで、この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、カラーインク用のイ ンク吹付穴4の上方近傍に、インクの飛散を防止するために、樹脂(たとえばP OM樹脂)からなるインク飛散防止部材20が設けられている。このインク飛散 防止部材20は、スライダ1と一体的に形成されている。
【0041】 次に、図5を参照して、第2実施形態のインク飛散防止部材20の構成につい て説明する。第2実施形態のインク飛散防止部材20は、第1実施形態と異なり 、上面に設けられた穴部24と、穴部24を挟んで対向する壁部21aおよび2 1bとを備えている。そして、壁部21aおよび21bは、インク吹付穴4に対 してほぼ垂直に形成されている。すなわち、壁部21aおよび21bは、インク 吹付方向とほぼ平行に形成されている。また、インク飛散防止部材20は、壁部 22および23によって、スライダ1と一体的に接続されている。また、インク 飛散防止部材20は、インク吹付穴4の上方にブリッジ状に設けられている。
【0042】 また、壁部21aと21bとの間に形成される穴部24は、インク吹付穴4へ インクの吹き付けが行われる際、インクノズルがこの穴部24の真上に来る位置 に設けられている。また、この穴部24の縦横の寸法は、インクノズルの対応す る縦横の寸法より大きくなるように形成されている。
【0043】 次に、上記した構成を有する第2実施形態のインクジェットプリンタのインク 吹付動作について説明する。インク吹き付けが行われる場合、第1実施形態と同 様に、インクノズルは穴部24の真上に位置する。そして、その位置で、穴部2 4の下方に位置するインク吹付穴4に向かってインクが吹き付けられる。粒子サ イズの大きな浮遊しにくいカラープリント用インクの場合は、第1実施形態と同 様に、吹き付けられたインクは、壁部21aおよび21bに当たることなく、直 接、穴部24からインク吹付穴4の下方に位置するインク吹き付け領域に落下す る。
【0044】 また、粒子サイズの小さな浮遊しやすいフォトプリント用インクの場合には、 吹き付けられたインクは、粒子サイズが小さいため、霧状に浮遊しやすい。この 浮遊したインク粒子は、樹脂の静電気によって、インク飛散防止部材20の壁部 21aおよび21bに引き寄せられて、付着する。付着して堆積したインクは、 自重により壁部21aおよび21bに沿って下方に移動するとともに、穴部24 からインク吹き付け領域に落下する。
【0045】 第2実施形態では、上記のように、インク吹付穴24の上方にインク飛散防止 部材20を設けることによって、第1実施形態と同様、粒子サイズの大きなカラ ーインクを穴部24を介して直接下方に落下させることができるとともに、粒子 サイズの小さなカラーインクを壁部21aおよび21bに堆積させることができ る。これにより、粒子サイズの小さなインクの飛び散りを防止しながら、粒子サ イズの小さなインクの浮遊を防止することができる。その結果、印字品質が低下 するのを有効に防止することができる。
【0046】 さらに、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、インク粒子付着部を垂直 な壁部21aおよび21bにすることによって、付着して堆積したインクが、第 1実施形態よりも落下しやすいという利点がある。
【0047】 (第3実施形態) 図6は、本考案の第3実施形態によるインク飛散防止部材のインク粒子付着部 付近を示した概略図である。この第3実施形態のインク飛散防止部材以外の部分 の構成は、第1実施形態と同様の構成である。
【0048】 ここで、この第3実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と同様に、 カラーインク用のインク吹付穴4の上方近傍に、インクの飛散を防止するために 、樹脂(たとえばPOM樹脂)からなるインク飛散防止部材30が設けられてい る。インク飛散防止部材30は、スライダと一体的に形成されている。
【0049】 次に、図6を参照して、第3実施形態のインク飛散防止部材30の構成につい て説明する。第3実施形態のインク飛散防止部材30は、上面中央部に設けられ た穴部34と、穴部34を挟んで対向する1対の傾斜部31aおよび31bとを 備えている。その1対の傾斜部31aおよび31bは、第1実施形態および第2 実施形態と異なり、下方ほど傾斜部31aと31bとの距離が大きくなるように 傾斜している。また、インク飛散防止部材30は、壁部32および33によって 、スライダ1と一体的に接続されている。また、インク飛散防止部材30は、イ ンク吹付穴4の上方近傍にブリッジ状に設けられている。
【0050】 また、傾斜部31aと31bとの間に形成される穴部34は、第1および第2 実施形態と同様に、インク吹付穴4へインクの吹き付けが行われる際、インクノ ズルがこの穴部34の真上に来る位置に設けられている。また、この穴部34の 縦横の寸法は、インクノズルの対応する縦横の寸法より大きくなるように形成さ れている。
【0051】 次に、上記した構成を有する第3実施形態のインクジェットプリンタのインク 吹付動作について説明する。インク吹き付けが行われる場合、第1実施形態およ び第2実施形態と同様に、インクノズルは穴部34の真上に位置する。そして、 その位置で、穴部34の下方に位置するインク吹付穴4に向かってインクが吹き 付けられる。粒子サイズの大きな浮遊しにくいカラープリント用インクの場合、 第1実施形態および第2実施形態と同様に、吹き付けられたインクは、傾斜部3 1aおよび31bに当たることなく、直接、穴部34からインク吹付穴4の下方 に位置するインク吹き付け領域に落下する。
【0052】 また、粒子サイズの小さなフォトプリント用インクの場合には、吹き付けられ たインクは、粒子サイズが小さいため、霧状に浮遊しやすい。この浮遊したイン ク粒子は、樹脂の静電気によって、インク飛散防止部材30の1対の傾斜部31 aおよび31bに引き寄せられることによって、付着する。付着して堆積したイ ンクは、自重により1対の傾斜部31aおよび31bの外側に沿って下方に移動 するとともに、インク吹き付け領域に落下する。
【0053】 第3実施形態では、上記のように、インク吹付穴34の上方近傍に、穴部34 と、外側下方に向かって傾斜した1対の傾斜部31aおよび31bとを有するイ ンク飛散防止部材30を設けることによって、上記した第1実施形態と同様の効 果を得ることができる。
【0054】 なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なもので はないと考えられるべきである。本考案の範囲は、上記した実施形態の説明では なく実用新案登録請求の範囲によって示され、さらに実用新案登録請求の範囲と 均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】 たとえば、上記した第1および第3実施形態では、吹き付けたインクを付着さ せる部分を、直線的な傾斜面を有する傾斜部としたが、本考案はこれに限らず、 凹面状や凸面状などの曲面により傾斜部を形成しても同様の効果を得ることがで きる。
【0056】 すなわち、図7に示すように、インク飛散防止部材40に、凸状の曲面を有す る1対の傾斜部41aおよび41bを設けるとともに、傾斜部41aと41bと の間に穴部43を設けるようにしてもよい。この場合、穴部43の縦横の寸法は 、インクノズルの対応する縦横の寸法より大きくなるように設けられている。
【0057】 また、上記した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態では、インク 飛散防止部材10、20および30をPOM樹脂により形成したが、本考案はこ れに限らず、POM樹脂以外の樹脂を用いてインク飛散防止部材を形成してもよ い。
【0058】
【考案の効果】
以上のように、本考案によれば、インク吹付穴にインクを吹き付ける際のイン クの飛散を防止することが可能なインクジェット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施形態によるインクジェットプ
リンタのスライダを示した上面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態によるスライダの1
00−100線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態によるスライダの下
面図である。
【図4】第1実施形態によるインク飛散防止部材のイン
ク粒子付着部付近を示した概略図である。
【図5】第2実施形態によるインク飛散防止部材のイン
ク粒子付着部付近を示した概略図である。
【図6】第3実施形態によるインク飛散防止部材のイン
ク粒子付着部付近を示した概略図である。
【図7】本考案の第1実施形態の変形例によるインク飛
散防止部材のインク粒子付着部付近を示した概略図であ
る。
【図8】従来のインクジェットプリンタの全体構成を説
明するための概略図である。
【図9】従来のインクジェットプリンタのスライダを示
した上面図である。
【図10】図9に示した従来のスライダの200−20
0線に沿った断面図である。
【図11】図9に示した従来のスライダの下面図であ
る。
【図12】従来のインク付着部材のインク粒子付着部付
近を示した概略図である。
【符号の説明】
1 スライダ 4、5 インク吹付穴 10、20、30、40 インク飛散防止部材 11a、11b 傾斜部 14、24、34、44 穴部 21a、21b 壁部 31a、31b 傾斜部 41a、41b 傾斜部

Claims (6)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクノズルに付着したインクを除去す
    るために印字とは別にインクを吹き付けるインクジェッ
    ト装置であって、 インクカートリッジ保持部材の移動に伴って移動すると
    ともに、前記インクの吹付穴を有するスライダ本体と、 前記スライダ本体の吹付穴近傍に設けられ、穴部と、前
    記穴部を挟むように配置された1対の傾斜部とを有する
    インク飛散防止部材とを備えた、インクジェット装置。
  2. 【請求項2】 前記1対の傾斜部は、下方になるほど前
    記傾斜部間の距離が小さくなるように傾斜する、請求項
    1に記載のインクジェット装置。
  3. 【請求項3】 前記1対の傾斜部は、下方になるほど前
    記傾斜部間の距離が大きくなるように傾斜する、請求項
    1に記載のインクジェット装置。
  4. 【請求項4】 インクノズルに付着したインクを除去す
    るために印字とは別にインクを吹き付けるインクジェッ
    ト装置であって、 インクカートリッジ保持部材の移動に伴って移動すると
    ともに、前記インクの吹付穴を有するスライダ本体と、 前記スライダ本体の吹付穴近傍に設けられ、穴部とイン
    ク粒子付着部とを有するインク飛散防止部材とを備え
    た、インクジェット装置。
  5. 【請求項5】 前記インク粒子付着部は、前記穴部を挟
    んで対向するように配置されるとともに、前記インクの
    吹付方向とほぼ平行に設けられている、請求項4に記載
    のインクジェット装置。
  6. 【請求項6】 前記インク飛散防止部材は、樹脂により
    形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    インクジェット装置。
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