JP3075715B2 - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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JP3075715B2 JP11037867A JP3786799A JP3075715B2 JP 3075715 B2 JP3075715 B2 JP 3075715B2 JP 11037867 A JP11037867 A JP 11037867A JP 3786799 A JP3786799 A JP 3786799A JP 3075715 B2 JP3075715 B2 JP 3075715B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素子
を備えた薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気抵抗効果素子(MR素子)を
備えた薄膜磁気ヘッドとして、異方性磁気抵抗効果現象
を用いたAMR(Anisotropic Magnetoresistance)ヘ
ッドと、伝導電子のスピン依存散乱現象を用いたGMR
(Giant Magnetoresistance:巨大磁気抵抗効果)ヘッ
ドが知られており、GMRヘッドの1つの具体例とし
て、低外部磁界で高磁気抵抗効果を示すスピンバルブ
(Spin-Valve)ヘッドが米国特許第5159513号明
細書に示されている。
【0003】図9は、従来のAMRヘッドの構造の概略
構成を示す図である。従来のAMRヘッドは、センダス
ト(Fe−Al−Si)等の磁性合金からなる下部シー
ルド層7上に、下部ギャップ層8が形成されている。そ
して、この下部ギャップ層8上にAMR素子層10が積
層されている。このAMR素子層10は、軟磁性層11
上に非磁性層12が形成され、さらに非磁性層12上に
強磁性層(AMR材料層)13が形成されたものであ
る。このAMR素子層10の両側には、磁石層15が設
けられ、さらに磁石層15の上に導電層16が設けられ
ている。さらに、その上に上部ギャップ層18が形成さ
れ、その上に上部シールド層19が形成されている。
【0004】この種のAMRヘッドの最適動作のために
は、AMR効果を示す強磁性層13に対して2つのバイ
アス磁界が必要とされている。第1のバイアス磁界は、
強磁性層13の抵抗変化を磁気媒体からの磁束に対して
線形応答させるためのものであり、この第1のバイアス
磁界は、磁気媒体の面に対して垂直方向(図9のZ方
向)であり、強磁性層13の膜面に対して平行とされ
る。通常、この第1のバイアス磁界は、横バイアスと呼
ばれ、検出電流を導電層16からAMR素子層10に流
すことによる電流磁界により軟磁性層11をZ方向に磁
化し、この軟磁性層11の磁化により、強磁性層13に
Z方向に横バイアスを与えるものである。第2のバイア
ス磁界は、通常、縦バイアスと呼ばれ、磁気媒体と強磁
性層13の膜面に対して平行(図9のX方向)に印加さ
れる。この縦バイアス磁界の目的は強磁性層13が多数
の磁区を形成することによって生じるバルクハウゼンノ
イズを抑制すること、即ち、磁気媒体からこの磁束に対
してノイズの少ないスムーズな抵抗変化にするためであ
る。
【0005】ところで、上記のバルクハウゼンノイズを
抑制するためには、強磁性層13を単磁区化することが
必要であり、そのための縦バイアスの印加方法には、通
常、2通りの方法が知られている。第1の方法は、強磁
性層13の両側に磁石層15、15を配置して磁石層1
5からの漏れ磁束を利用する方法である。第2の方法
は、反強磁性層と強磁性層の接触界面で生じる交換異方
性磁界を利用する方法である。
【0006】そして、上記反強磁性層による交換異方性
結合を利用したGMRヘッドの構造として、図10に示
すスピンバルブ方式のものが知られている。図10に示
したGMRヘッドが図9に示したAMRのヘッドと異な
るところは、AMR素子層10に代えてGMR素子層2
0が設けられている点である。このGMR素子層20
は、フリー強磁性層22と非磁性中間層23とピン止め
強磁性層24と反強磁性層25とから構成される。
【0007】図10に示す構造であると、フリー強磁性
層22には磁石層15、15でトラック方向(図10の
X方向)のバイアスを印加し単磁区化した状態でトラッ
ク方向に磁化を向けさせるとともに、ピン止め強磁性層
24の磁化方向を図10中のZ方向、即ち、フリー強磁
性層22の磁化方向と直交する方向にバイアスを印加し
て単磁区化した状態で図中Z方向に向けさせておく必要
がある。即ち、磁気媒体からの磁束(図10のZ方向)
により、ピン止め強磁性層24の磁化方向は変化しては
ならず、フリー強磁性層22の方向がピン止め強磁性層
24の磁化方向に対して90±θ゜の範囲で変化するこ
とにより磁気抵抗効果の線形応答性が得られる。
【0008】上記ピン止め強磁性層24の磁化方向を図
10のZ方向に固定させるためには、比較的大きなバイ
アス磁界が必要であり、このバイアス磁界は大きければ
大きいほど良いことになる。図10のZ方向の反磁界に
打ち勝ち、磁気媒体からの磁束により磁化方向が揺れな
いためには、少なくとも100 Oeのバイアス磁界が
必要である。このバイアス磁界を得るための方法として
図10に示す構造にあっては、ピン止め強磁性層24に
反強磁性層25を接触させて設けることにより生じる交
換異方性磁界を利用している。従って、図10に示すよ
うな構造においては、ピン止め強磁性層24に反強磁性
層25を接触させて設けることにより生じる交換異方性
結合により、強磁性層24の磁化がZ方向へ固定されて
いるので、Y方向へ移動する磁気媒体からの漏れ磁界が
与えられると、フリー強磁性層22の磁化方向の変化に
よりGMR素子層20の電気抵抗が変化するので、この
電気抵抗の変化により磁気媒体の漏れ磁界を検出でき
る。
【0009】また、フリー強磁性層22に印加するバイ
アスは、線形応答性を確保するための目的と、多数の磁
区を形成することから生じるバルクハウゼンノイズを抑
制するためのものであり、AMRヘッドにおける縦バイ
アスと同様の方法、即ち、図10に示す構造において
は、フリー強磁性層22の両側に磁石層15を設け、磁
石層15からの漏れ磁束をバイアスとして利用する方法
を採用している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、薄膜磁気ヘ
ッド作動中のAMR素子層やGMR素子層などのMR素
子層近傍の温度は、定常検出電流による発熱で120℃
程度まで容易に上昇することが知られているが、MR素
子は温度変化に対して敏感であるため、上記発熱により
MR素子層の温度が上昇し、強磁性層の電気抵抗が変化
してしまい、読み取り信号が乱れてしまう。さらに、G
MR素子の場合は、FeMn等からなる反強磁性層25
による交換異方性磁界は温度変化に対して極めて敏感で
あり、約150℃の温度で消失(ブロッキング温度:T
b)するまで、温度に対してほぼ直線的に交換異方性磁
界が減少してしまうために、安定した交換異方性磁界が
得られない問題がある。これらの問題を解決するための
に従来の薄膜磁気ヘッドではAMR素子層10又はGM
R素子層20の上下のギャップ層8,18をアルミナ
(Al23)から構成し、上記発熱をギャップ層8,1
8を通して徐々にシールド層7,19に伝えることによ
り、外部に熱を逃がすようにしている。
【0011】近年、薄膜磁気ヘッドの出力をさらに向上
させる要望が高まっており、そのためにはMR素子を薄
くしたり、MR素子の奥行き寸法を小さくしたりしてM
R素子層に与える定常検出電流密度を上げる必要があ
る。しかしながら従来の薄膜磁気ヘッドでは、定常検出
電流密度を上げると、アルミナからなるギャップ層8,
18から上記定常検出電流による発熱を十分逃がすこと
ができず、MR素子層に劣化や亀裂が生じたり、あるい
はMR素子層を構成する各層間で元素が拡散して、各層
の構成材料の組成がくずれてしまい、線形応答性が低下
したり、バルクハウゼンノイズの抑制効果が低下してし
まうという問題があった。そのため単純なMR素子の小
型化あるいは、定常検出電流の増加による電流密度の向
上により、出力を向上することは困難であった。
【0012】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、定常検出電流による発熱を効率良く逃がすことがで
き、MR素子層の温度上昇による熱拡散、焼損、出力低
下、交換異方性磁界の劣化を抑制し、線形応答性に優
れ、バルクハウゼンノイズを抑制した薄膜磁気ヘッドお
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、特にギャップ層に用いる材料に着目し、種
々の検討及び実験を重ねた結果、従来使用されていたア
ルミナより熱伝導率の良好な窒化アルミニウム(Al
N)を用いれば、定常検出電流による発熱を効率良く逃
がすことができるとの推定に至った。ところが、MRヘ
ッドを形成する際には、レジスト塗布、露光、強アルカ
リ溶液で現像後、水でリンスするフォトリソグラフィプ
ロセスを要するため、ギャップ層が窒化アルミニウム膜
から構成されていると、窒化アルミニウムは強アルカリ
溶液に非常に良く溶けてしまい、検出電流を流したとき
にショートしてしまう恐れがある。また、窒化アルミニ
ウムは、水と容易に反応し、化合物を生成して溶けてし
まうため、MRヘッドの形成時のリンス工程あるいは形
成後でも空気中の水分により窒化アルミニウム膜が溶け
てしまい、信頼性において問題がある。また、窒化アル
ミニウム膜は、膜応力が大きいため、MRヘッドの形成
時あるいは形成後に剥離が生じてしまい、信頼性におい
て問題がある。
【0014】これらの問題を解決するため本発明者は、
さらに、種々の検討及び実験を重ねた結果、AlとNと
からなる絶縁層に、Nと結びつき易く、しかも強アルカ
リ溶液や水に対する耐食性の良いSi,B,Cr,T
i,Ta,Nbのうちから選択される1種または2種以
上からなる元素Xを添加して、Al−N−X系の組成の
絶縁層を得、該絶縁層からギャップ層を構成するか、あ
るいはギャップ層がAl−N−X系の組成の絶縁層を有
するようにすると、アルミナより熱伝導率が優れ、しか
も窒化アルミニウムから構成したものより強アルカリ溶
液や水に溶け難く、しかも、膜応力が小さいギャップ層
が得られることを究明し、本発明を完成したのである。
【0015】すなわち、本発明は、下部シールド層上に
下部ギャップ層を介して形成された磁気抵抗効果素子層
と、該磁気抵抗効果素子層に検出電流を与える電極層
と、該電極層の上に上部ギャップ層を介して形成された
上部シールド層を少なくとも備えてなり、上記下部ギャ
ップ層と上部ギャップ層の少なくとも一方に、Al−N
−X系の組成の絶縁層を有し、上記元素XはSiからな
るものであることを特徴とする薄膜磁気ヘッドを上記課
題の解決手段とした。本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて
は、上記絶縁層中の元素Xは組成比で2.0〜30.0
at%含まれていることが好ましい。また、本発明は、
上記のいずれかの構成の本発明の薄膜磁気ヘッドにおい
て、前記絶縁層は結晶性を有することを特徴とする薄膜
磁気ヘッドを上記課題の解決手段とした。また、本発明
は、上記の構成の本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、前
記絶縁層はAlNの結晶およびSi 3 4 の結晶を有す
ることを特徴とする薄膜磁気ヘッドを上記課題の解決手
段とした。また、本発明は、上記の構成の本発明の薄膜
磁気ヘッドにおいて、前記AlNの結晶は、六方晶で
(100)面、(002)面、(101)面がエックス
線回折により検出されることを特徴とする薄膜磁気ヘッ
ドを上記課題の解決手段とした。また、本発明は、上記
の構成の本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、前記Si 3
4 の結晶は、六方晶で(201)面、(210)面が
エックス線回折により検出されることを特徴とする薄膜
磁気ヘッドを上記課題の解決手段とした。また、本発明
は、上記の構成の本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、前
記AlNの結晶は、六方晶で(100)面、(002)
面、(101)面がエックス線回折により検出され、前
記Si 3 4 の結晶は、六方晶で(201)面、(21
0)面がエックス線回折により検出されることを特徴と
する薄膜磁気ヘッドを上記課題の解決手段とした。
た、本発明は 真空排気可能な成膜室内に配置した磁気
抵抗効果層を有する基体上に結晶化薄膜を順次堆積させ
ることにより、Al−N−X系(上記Xは )の組成
の絶縁層を有するギャップ層を成膜するに際して、上記
基体を加熱しながら上記絶縁層を成膜することを特徴と
する薄膜磁気ヘッドの製造方法を上記課題の解決手段と
した。本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法においては、
上記基体の加熱温度が250゜C以下であることが好ま
しい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の薄
膜磁気ヘッドの一実施形態について説明する。図1ない
し図4は、本発明の第一の実施形態の磁気ヘッドの構造
例を示す。第一の実施形態の磁気ヘッドは、ハードディ
スク装置等に搭載される浮上式のもので、この磁気ヘッ
ドのスライダ51は、図1の35で示す側がディスク面
の移動方向の上流側に向くリーディング側で、図1の3
6で示す側がトレーリング側である。このスライダ51
のディスクに対向する面では、レール状のABS面51
a、51a、51bと、エアーグルーブ51c、51c
が形成されている。そして、このスライダ51のトレー
リング側の端面51dに薄膜磁気ヘッド50が設けられ
ている。
【0017】この例で示す薄膜磁気ヘッド50は、図2
と図3に断面構造を示すような複合型磁気ヘッドであ
り、スライダ51のトレーリング側端面51d上に、M
Rヘッド(読出ヘッド)h1と、インダクティブヘッド
(書込ヘッド)h2とが順に積層されて構成されてい
る。
【0018】この例のMRヘッドh1は磁気抵抗効果を
利用してディスクなどの記録媒体からの漏れ磁束を検出
し、磁気信号を読み取るものである。図4に示すように
MRヘッドh1は、スライダ51のトレーリング側端部
に形成されたセンダスト(Fe-Al-Si)等の磁性合
金からなる下部シールド層53上に、下部ギャップ層5
4が設けられている。そして、この下部ギャップ層54
上に磁気抵抗効果素子層としてGMR素子層45が積層
されている。このGMR素子層45の両側にCo-Pt
合金などからなる強磁性層46、46を設け、各強磁性
層46上にTa等からなる絶縁層47とCr等からなる
電極層48を積層して構成されている。電極層48は、
GMR素子層45に検出電流を与えるものである。強磁
性層46、46は、これらからの漏れ磁束をバイアスと
して後述するフリー強磁性層22に印加することによ
り、線形応答性を確保するためとバルクハウゼンノイズ
を抑制するためのものである。
【0019】更にGMR素子層45及び電極層48上に
は、上部ギャップ層56が形成され、その上に上部シー
ルド層57が形成されており、この上部シールド層57
は、その上に設けられるインダクティブヘッドh2の下
部コア層と兼用にされている。 下部ギャップ層54と
上部ギャップ層56は、少なくとも一方がAl−N−X
系の組成の絶縁層を有することが、定常検出電流による
発熱を効率良く逃がすことができる点、強アルカリ溶液
や水に対する耐食性の向上、ギャップ層の膜応力を小さ
くできる点で好ましく、より好ましく下部ギャップ層5
4と上部ギャップ層56の両方がAl−N−X系の組成
の絶縁層を有していることが好ましい。上記元素Xは
iである。このAl−N−X系の組成の絶縁層は、アル
ミナより熱伝導率が良好であり、AlNに比べて強アル
カリ溶液や水に対する耐食性が優れ、しかもAlNに比
べて膜応力が小さいものである。
【0020】上記絶縁層中の元素Xは組成比で2.0〜
30.0at%(原子%)含まれていることが好まし
い。元素Xの添加量が30.0at%を超えると、ギャ
ップ層の熱伝導性が悪くなり、定常検出電流による発熱
を十分逃がすことができず、線形応答性が低下したり、
バルクハウゼンノイズの抑制効果が低下してしまう。ま
た、元素Xの添加量が2.0at%未満であると、強ア
ルカリ溶液や水に対する耐食性が低下したり、膜応力が
大きくなってしまう。
【0021】また、下部ギャップ層54及び/または上
部ギャップ層56は、上記Al−N−X系の組成の絶縁
層から構成されていることが好ましいが、一部分がアル
ミナ(Al23)などの非磁性材料から構成された多層
構造のものであってもよく、その場合、アルミナ等の非
磁性材料からなる層は、上記絶縁層よりも外側に設けら
れることが定常検出電流による発熱を効率良く放出でき
るなどの点で好ましい。また、アルミナ等の非磁性材料
からなる層を上記絶縁層より外側に設けることにより、
GMR素子層45の上方の絶縁層にできた凹凸を平坦化
する平坦化層の役割を果たすことができる。
【0022】インダクティブヘッドh2は、下部コア層
57の上に、ギャップ層64が形成され、その上に平面
的に螺旋状となるようにパターン化されたコイル層66
が形成され、コイル層66は絶縁材料層67に囲まれて
いる。絶縁材料層67の上に形成された上部コア層68
は、その先端部68aをABS面51bにて下部コア層
57に微小間隙をあけて対向し、その基端部68bを下
部コア層57と磁気的に接続させて設けられている。ま
た、上部コア層68の上にはアルミナなどからなる保護
層69が設けられている。
【0023】インダクティブヘッドh2では、コイル層
66に記録電流が与えられ、コイル層66からコア層に
記録電流が与えられる。そして、磁気ギャップGの部分
での下部コア層57と上部コア層68の先端部からの漏
れ磁界によりハードディスクなどの記録媒体に磁気信号
を記録することができる。また、MRヘッドh1におい
ては、ハードディスクなどの記録媒体からの微小の漏れ
磁界の有無によりGMR素子層45の抵抗が変化するの
で、この抵抗変化を読み取ることで記録媒体の記録内容
を読み取ることができる。
【0024】GMR素子層45は、フリー強磁性層41
と非磁性層42とピン止め強磁性層43と反強磁性層4
4を積層して断面台形状の積層体が形成されてなるもの
である。上記強磁性層41、43は、いずれも強磁性体
の薄膜からなるが、具体的にはNi-Fe合金、Co-F
e合金、Ni-Co合金、Co、Ni-Fe-Co合金な
どからなる。また、強磁性層41をCo層から、強磁性
層41をNi-Fe合金層から、あるいはCo層とNi-
Fe合金層の積層構造、あるいはCo−Fe合金層とN
i−Fe合金層との積層構造から構成することもでき
る。なお、Co層とNi-Fe合金層との2層構造とす
る場合は、非磁性層42側に薄いCo層を配置する構造
とすることが好ましい。またCo−Fe合金層とNi−
Fe合金層の2層構造とする場合は非磁性層42側に薄
いCo−Fe合金層を配置することが好ましい。
【0025】これは、非磁性層42を強磁性層41、4
3で挟む構造の巨大磁気抵抗効果発生機構にあっては、
CoとCuの界面で伝導電子のスピン依存散乱の効果が
大きいこと、および、強磁性層41、43を同種の材料
から構成する方が、異種の材料から構成するよりも、伝
導電子のスピン依存散乱以外の因子が生じる可能性が低
く、より高い磁気抵抗効果を得られることに起因してい
る。このようなことから、強磁性層43をCoから構成
した場合は、強磁性層41の非磁性層42側を所定の厚
さでCo層に置換した構造が好ましい。また、Co層を
特に区別して設けなくとも、強磁性層41の非磁性層4
2側にCoの多く含ませた合金状態とし、非磁性層42
側に向かうにつれて徐々にCo濃度が薄くなるような濃
度勾配層としても良い。また、強磁性層41、43をC
o−Fe合金層から構成し、これら強磁性層41、43
で非磁性層42を挟む構造とした場合も、Co−Fe合
金層とCu層の界面で伝導電子のスピン依存散乱の効果
が大きく、伝導電子のスピン依存散乱以外の因子が生じ
る可能性が低く、より高い磁気抵抗効果が得られる。
【0026】上記非磁性層42は、Cu、Cr、Au、
Agなどに代表される非磁性体からなり、20〜40オ
ングストローム程度の厚さに形成されている。ここで非
磁性膜42の厚さが20オングストロームより薄いと、
強磁性層41と強磁性層43との間で磁気的結合が起こ
りやすくなる。また、非磁性層42が40オングストロ
ームより厚いと磁気抵抗効果を生じる要因である非磁性
層42と強磁性層41、43の界面で散乱される伝導電
子の率が低下し、電流の分流効果により磁気抵抗効果が
低減されてしまうので好ましくない。
【0027】上記反強磁性層44は、例えば、X1-Mn
合金からなることが好ましい。ここで上記組成式におい
てX1は、Ru、Rh、Ir、Pd、Ptのいずれか1
種または2種以上からなることが好ましい。上記X1-M
n合金のX1が単一の金属原子である場合のX1の含有率
の好ましい範囲は、Ruは10〜45原子%、Rhは1
0〜40原子%、Irは10〜40原子%、Pdは10
〜25原子%、Ptは10〜25原子%である。なお、
以上の記載において10〜45原子%とは、10原子%
以上で45原子%以下を意味し、「〜」で表示する数値
範囲の上限下限は全て「以上」および「以下」で規定さ
れるものとする。上記組成範囲のMn系合金は、不規則
結晶構造を有するものであるが、この不規則結晶構造と
は、面心正方晶(fct規則格子;CuAuI構造など)
のような規則的な結晶構造ではない状態を意味してい
る。即ち、ここで用いられるMn合金は、スパッタリン
グなどにより成膜された後に、上記面心正方晶などの規
則的な結晶構造(CuAuI構造など)とするための高
温でかつ長時間の加熱処理を行わないものであり、不規
則結晶構造とは、スパッタリングなどの成膜法により形
成されたままの状態、あるいはこれに通常のアニール処
理が施された状態のものである。
【0028】上記X1−Mn合金(元素X1はRu、R
h、Ir、Pd、Ptのうちのいずれか1種または2種
以上からなる。)のX1の含有率のより好ましい範囲は
1が37〜63原子%である。なお以上の記載におい
て37〜63原子%とは37原子%以上で63原子%以
下を意味し、「〜」で表示する数値範囲の上限下限は全
て「以上」および「以下」で規定されるものとする。上
記組成範囲のX1−Mn合金は、スパッタリング等の成
膜法などにより形成された状態ではX1、Mn原子の配
列順序が不規則な、面心立方格子であり、強磁性層との
境界面で交換異方性磁界はほとんど発生しないが磁界中
でアニール処理を施すことにより、面心正方格子に変態
し、強磁性層との境界面で一方向異方性の大きな交換異
方性磁界(Hex)を発生することができる。又、上記反
強磁性層44はX1−Mn−X2合金からなるものであっ
てもよい。ここで上記組成式において、X1はRu、R
h、Ir、Pd、Ptのうちの1種または2種以上から
なることが好ましい。また、X2はAu、Ag、Mg、
Al、Si、P、Be、B、C、Se、Ti、V、C
r、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、
Zn、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Sn、Inのうち
のいずか1種または2種以上からなることが好ましい。
1とMnの組成比は、原子%でX1:Mn=4:6〜
6:4である。X2の含有率は原子%で0.2〜10原
子%である。上記反強磁性層44がX1−Mn−X2合金
からなる場合にも、成膜後に、磁界中でアニール処理を
施すことにより強磁性層との境界面で一方向異方性の大
きな交換異方性磁界(Hex)を発生することができる。
上記のX1−Mn系合金あるいはX1−Mn−X2系合金
からなる反強磁性層44であるならば、ピン止め強磁性
層43との境界面に一方向異方性の交換異方性磁界を印
加することができ、強磁性層43の外部信号磁界に対す
る磁化の回転をピン止めすることができる。また、上記
1−Mn系の合金の反強磁性層44であるならば、F
e−Mnに比べて耐食性に優れ、また温度変化に対する
交換異方性磁界(Hex)の変動が少なくなる。
【0029】図4に示す構造においては、フリー強磁性
層41には強磁性層46、46でトラック方向(図4の
X方向)のバイアスを印加し単磁区化した状態でトラッ
ク方向に磁化が向けられている。図4中、矢印aに示す
方向は、フリー強磁性層41の磁化の向きである。ま
た、ピン止め強磁性層43に反強磁性層44を接触させ
て設けることにより生じる交換異方性結合により、強磁
性層43の磁化がZ方向へ固定されている。図4中、符
号bは強磁性層43の磁化の向きである。従って、図4
に示す構造であると、Y方向へ移動する磁気媒体からの
漏れ磁界が与えられると、フリー強磁性層41の磁化方
向の変化によりGMR素子層45の電気抵抗が変化する
ので、この電気抵抗の変化により磁気媒体の漏れ磁界を
検出できる。
【0030】図4に示すような構造のMRヘッドを製造
例について以下に述べる。まず、基体としてのスライダ
51上にスパッタ装置等の薄膜形成装置を用いて下部シ
ールド層53を形成した後、高周波マグネトロンスパッ
タ装置等の薄膜形成装置と複数のターゲットを用いて、
Al−N−X系の絶縁層を有する下部ギャップ層54を
スパッタにより成膜し、ついで、この下部ギャップ層5
4上にスパッタによりフリー強磁性層41、非磁性層4
2、ピン止め強磁性層43、反強磁性層44を積層し、
積層体を形成する。ついで形成した積層体に対し、フォ
トリソグラフィープロセスとイオンミリングによりトラ
ック幅(感磁部分の幅)の部分を残して積層体の両端部
を除去して断面台形状のGMR素子層45を形成し、こ
のGMR素子層45の両側に、強磁性層46,46を形
成し、さらに各強磁性層46上に非磁性層47と電極層
48をスパッタにより積層し、この積層の際に所定の方
向の磁界を印加する。ついで、トラック幅が所定の幅と
なるようにフォトリソグラフィープロセスによりパター
ニングする。ついで、GMR素子層45および電極層4
8上に、上記方法と同様にしてAl−N−X系の絶縁層
を有する上部ギャップ層56をスパッタにより成膜し、
さらにこの上に上部シールド層57を形成すると、目的
とするMRヘッドが得られる。
【0031】ここでAl−N−X系の絶縁層を有するギ
ャップ層を成膜するに際して、上記基体を加熱しながら
上記Al−N−X系の絶縁層を成膜するのが、成膜時の
基体温度が室温程度と低い場合と比べて、絶縁層中に元
素Xを多く含有させることができ、熱伝導性およびアル
カリ溶液に対する耐食性が良好であり、また、膜応力が
小さいギャップ層が得られる点で好ましい。例えば、ギ
ャップ層の成膜時の基体温度を100゜Cとした場合
は、元素XとしてのSiを20.4at%程度まで含有
させることが可能であり、基体温度を150゜Cとした
場合は、元素XとしてのSiを30at%程度まで含有
させることができるが、基体温度が室温程度の場合は、
元素XとしてのSiを10.5at%程度までしか添加
できない。ここで基体の温度を100℃にするときは、
高周波マグネトロンスパッタ装置の成膜室内に設けたヒ
ータにより基体を加熱することにより基体の温度が10
0℃になるように調整しながら成膜を行う。また、基体
の温度を室温にするときは、高周波マグネトロンスパッ
タ装置の成膜室内に冷却ガスを供給することにより基体
の温度が室温になるように調整しながら成膜を行う。
【0032】また、ギャップ層中の元素Xの含有量が同
量である場合、ギャップ層の成膜時の基体の温度が高い
方が、低い場合と比べて、熱伝導性およびアルカリ溶液
に対する耐食性が良好であり、また、膜応力が小さいギ
ャップ層が得られる。例えば、ギャップ層の成膜時の基
体温度が100゜Cである場合は、これと元素Xとして
のSiの含有量が同量で基体の温度が25゜Cである場
合よりも、熱伝導性およびアルカリ溶液に対する耐食性
が良好であり、また、膜応力が小さいギャップ層が得ら
れるからである。それは、Siの含有量が同量でも、ギ
ャップ層の成膜時の基体温度が高い場合の方が、基体の
温度が低い場合よりもAlNの結晶性が良好になってお
り、これによってSi34の結晶性も良好になるためで
あると考えられる。基体の加熱温度の上限としては、M
Rヘッドの性能が低下しない温度であり、好ましくは2
50゜C以下である。基体のより好ましい加熱温度は、
20゜C〜150゜Cとされる。基体の加熱温度が25
0゜Cを超えると、GMR素子層45が熱により劣化
し、特性が低下する。20゜C未満であると、AlNお
よびSi34の結晶性が低下する。
【0033】この第一の実施形態の磁気ヘッドにおいて
は、上記Al−N−X系の組成の絶縁層を有するギャッ
プ層が備えられたMRヘッドh1を具備するものである
ので、ギャップ層の耐食性が優れており、MRヘッドを
形成する際に上記ギャップ層が溶けにくく、実用上問題
のないギャップ層を有しているので、検出電流を流した
ときにショートが起こることがなく、信頼性のある製品
を提供できる。また、上記Al−N−X系の組成の絶縁
層を有するギャップ層は、膜応力が小さいので、MRヘ
ッドの形成時あるいは形成後に剥離が生じることがな
く、信頼性のある製品を提供できる。
【0034】さらに、上記Al−N−X系の組成の絶縁
層を有するギャップ層は、熱伝導性が優れているので、
定常検出電流密度を上げてもギャップ層からこの検出電
流による発熱を効率良く逃がすことができるので、磁気
抵抗効果素子層に劣化や亀裂が生じるを防止でき、ま
た、磁気抵抗効果素子層を構成する各層間で元素が拡散
するのを防止でき、GMR素子の特性の低下といった問
題が生じることがない。従って、本発明の磁気ヘッドに
よれば、上述したように定常検出電流による発熱を効率
良く逃がすことができるので、磁気ヘッドの出力の向上
が可能であり、薄膜において必要十分な交換異方性磁界
を印加することができるとともに、バルクハウゼンノイ
ズが生じることなく、線形応答性に優れた抵抗変化を得
ることができ、読出性能が優れたものが得られる。
【0035】次に、本発明の第二の実施形態の磁気ヘッ
ドの構造例について説明する。第二の実施形態の磁気ヘ
ッドが、第一の実施形態の磁気ヘッドと異なるところ
は、MRヘッドh1の磁気抵抗効果素子層として図5に
示すようなAMR素子層75が用いられている点であ
る。AMR素子層75は、Ni−Fe−Nb合金などか
らなる軟磁性層71上にTaなどからなる非磁性層72
が形成され、さらに非磁性層72上にNi−Fe合金な
どからなる強磁性層(AMR材料層)73が形成され、
さらにTa等からなる保護層74が形成されてなるもの
である。
【0036】AMR素子層75が備えられたMRヘッド
の最適動作のためには、AMR効果を示す強磁性層73
に対して横バイアスと縦バイアスの2つのバイアス磁界
が必要である。横バイアス磁界は、強磁性層73の抵抗
変化を磁気媒体からの磁束に対して線形応答させるため
のものであり、このバイアス磁界は、磁気媒体の面に対
して垂直方向(図5のZ方向)であり、強磁性層73の
膜面に対して平行とされる。この横バイアス磁界は、検
出電流を電極層48からAMR素子層75に流すことに
より得ることができる。縦バイアス磁界は、強磁性層7
3が多数の磁区を形成することによって生じるバルクハ
ウゼンノイズを抑制すること、即ち、磁気媒体からこの
磁束に対してノイズの少ないスムーズな抵抗変化にする
ためのものであり、磁気媒体と強磁性層73の膜面に対
して平行(図5のX方向)に印加される。この縦バイア
ス磁界は、強磁性層73の両側に配置された強磁性層4
6,46からの漏れ磁束を利用することにより印加で
き、これにより強磁性層73を単磁区化して、バルクハ
ウゼンノイズを抑制している。
【0037】第二の実施形態の磁気ヘッドにおいては、
上記Al−N−X系の組成の絶縁層を有するギャップ層
が備えられたMRヘッドh1を具備するものであるの
で、上記第一の実施形態の磁気ヘッドと同様の作用効果
が得られる。なお、上述の実施形態の磁気ヘッドにおい
ては、磁気抵抗効果素子層として上述のような構成のG
MR素子層45またはAMR素子層75を用いた場合に
ついて説明したが、必ずしもこれに限らず他の構成のも
のであってもよい。
【0038】
【実施例】(実験例1)高周波マグネトロンスパッタ装
置を用い、Siからなる基板上に厚さ0.1μmのAl
−N−Si系の組成(Si含有量は組成比で2at%)
のギャップ層をスパッタリングにより成膜することによ
り幅5mm、長さ20mmの試料(実施例1)を作製し
た。ついで、作製した試料のギャップ層の熱伝導性、圧
縮応力、強アルカリ溶液によるエッチング速度、表面電
気抵抗について調べた。その結果を下記表1に示す。
【0039】ここでの熱伝導性は、図5に示したMRヘ
ッドにおいてギャップ層を表1に示す材料から構成し、
このMRヘッドに検出電流を流したときのAMR素子層
の温度上昇曲線を二次関数近似したときの係数(a値)
により評価し、a値が小さいほど熱伝導性が良いもので
あり、表1中、◎はa値が1.3以下、○はa値が1.
3〜2.2、×はa値が2.2以上である。また、ここ
での膜応力は、成膜前後の基板の反りの変化量から測定
した圧縮応力で評価し、値が大きいほど膜応力が大きい
ものである。また、エッチング速度は、試料のギャップ
層側の表面にテープを貼り、該試料を強アルカリ溶液
(商品名AZ−400K、ヘキスト社製、主成分KO
H)中に2分浸漬後、取り出したときにできる段差より
算出したエッチング速度の値であり、この値が小さい
程、強アルカリ溶液に対する耐食性がよい。また、表面
電気抵抗は、絶縁抵抗計を用いて測定したものである。
また、ギャップ層としてアルミナ(Al23)、AlN
をそれぞれ用いた試料(比較例1〜2)を製造して、同
様にギャップ層の熱伝導性、圧縮応力、強アルカリ溶液
によるエッチング速度、表面電気抵抗について調べた。
その結果を下記表1に合わせて示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示した結果から明らかなようにAl
NにSiを組成比で2at%添加した実施例1のギャッ
プ層は、アルミナ(Al23)からなる比較例1のギャ
ップ層よりも熱伝導性が優れている。また、実施例1の
ギャップ層は、比較例1及びAlNからなる比較例2の
ギャップ層よりも膜応力が小さい。さらに、実施例1の
ギャップ層は、比較例1及び比較例2のギャップ層より
もエッチング速度が小さく、強アルカリ溶液に対する耐
食性が優れていることがわかる。また、実施例1のギャ
ップ層の表面電気抵抗は、実用上問題ない値である。ま
た、実施例1のギャップ層の水に対する耐食性を、試料
を水に浸漬する以外は上記強アルカリ溶液に対する耐食
性を調べる方法と同様にして調べたところ、比較例1及
び比較例2のギャップ層よりも水に対する耐食性が良好
であった。
【0042】(実験例2)Al−N−Si系の組成から
なるギャップ層を成膜する際にSiの添加量を変更し、
また、成膜する際の基板の温度(Ts)を変更した以外
は上記実験例1と同様にして試料を作製した。ギャップ
層を成膜する際の基板の温度(Ts)は、室温(25
℃)と、100℃と、150゜Cの三つの場合とした。
なお、基板の温度を室温にするときは、高周波マグネト
ロンスパッタ装置の成膜室内に冷却ガスを供給すること
により基板の温度が室温になるように調整しながら成膜
を行った。また、基板の温度を100℃にするときは、
高周波マグネトロンスパッタ装置の成膜室内に設けたヒ
ータにより基板を加熱することにより基板の温度が10
0℃になるように調整しながら成膜を行った。また、基
板の温度を150℃にするときは、100゜Cにすると
きと同様にヒータにより基板を加熱することにより基板
の温度が150℃になるように調整しながら成膜を行っ
た。ついで、作製した試料のギャップ層の熱伝導性、圧
縮応力、強アルカリ溶液によるエッチング速度、表面抵
抗について上記実験例1と同様にして調べた。その結果
を図6及び表2〜表4に示す。図6は、ギャップ層の熱
伝導性、耐食性、膜応力、表面電気抵抗と、ギャップ層
中のSi添加量依存性を示すグラフである。図6中の実
線は、基板の温度(Ts)を25゜Cとしたときのデー
タであり、破線は基板の温度(Ts)を100゜Cとし
たときのデータと、基板の温度(Ts)を150゜Cと
したときのデータである。表2は、基板の温度(Ts
を25゜Cとしたときのデータであり、表3は基板の温
度(Ts)を100゜Cとしたときのデータであり、表
4は基板の温度(Ts)を150゜Cとしたときのデー
タである。なお、図6中の一点鎖線は、比較のためにア
ルミナから構成したギャップ層の熱伝導性、耐食性、膜
応力を示すものである。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】図7に温度が25゜Cの基板と、温度が1
00゜Cの基板上に、それぞれAl−N−Si系の組成
からなるギャップ層を成膜した試料のX線回折パターン
を示す。図7中、○はAlN、●は、Si34のピーク
を示す。ここでのギャップ層中のSiの含有量は、基板
の温度がいずれの温度の場合も、4.0at%のもので
ある。
【0047】図6及び表2乃至表4に示した結果から明
らかなように温度が25゜Cの基板上にAl−N−Si
系の組成からなるギャップ層を成膜する場合、Siの含
有量を2.0〜10.5at%(原子%)とすることに
より、アルミナより熱伝導性およびアルカリ溶液に対す
る耐食性が良好であり、また、アルミナより膜応力が小
さいものが得られており、また、実用上問題のない表面
電気抵抗が得られることがわかる。さらに好ましくは、
Siの含有量を2.0〜6.0at%(原子%)とすれ
ば、アルミナより熱伝導性が格段に優れ、アルカリ溶液
に対する耐食性が良好であり、また、アルミナより膜応
力が小さいものが得られることがわかる。また、温度が
100゜Cの基板上にAl−N−Si系の組成からなる
ギャップ層を成膜する場合、Siの含有量を2.0〜2
0.4at%(原子%)とすることにより、アルミナよ
り熱伝導性およびアルカリ溶液に対する耐食性が良好で
あり、また、アルミナより膜応力が小さいものが得られ
ており、また、実用上問題のない表面電気抵抗が得られ
ることがわかる。さらに好ましくは、Siの含有量を
2.0〜14.0at%(原子%)とすれば、アルミナ
より熱伝導性が格段に優れ、アルカリ溶液に対する耐食
性が良好であり、また、アルミナより膜応力が小さいも
のが得られることがわかる。また、温度が150゜Cの
基板上にAl−N−Si系の組成からなるギャップ層を
成膜する場合、Siの含有量を9.0〜29.5at%
(原子%)とすることにより、アルミナより熱伝導性が
良好であることがわかる。
【0048】これらのことからギャップ層をAl−N−
Si系の組成から構成する場合、Siの含有量を2at
%〜30.0at%とすることにより、アルミナより熱
伝導性およびアルカリ溶液に対する耐食性が良好であ
り、また、アルミナより膜応力が小さいものが得られ、
また、実用上問題のない表面電気抵抗が得られることが
わかる。図7からAl−N系の組成のギャップ層に、X
としてSiを添加することにより、六方晶のAlNの特
徴的な(100)面、(002)面、(101)面のピ
ークと、六方晶のSi34の特徴的な(201)面、
(210)面のピークが認められ、また、ギャップ層を
成膜する際の基板の温度を100゜Cとした場合は、基
板の温度を25゜Cとした場合より、AlNの(10
0)面、(002)面のピークが大であり、AlNの結
晶性が良好になっていることがわかる。
【0049】また、図6及び表2乃至表4からギャップ
層を成膜する際の基板の温度を100゜C、150゜C
にした場合は、基板の温度を25゜Cとした場合より、
Siを多く含有させることができる。また、Siの含有
量が同じ値でも、ギャップ層の成膜時の基板温度を10
0゜C、150゜Cとした場合の方が、基板の温度を2
5゜Cとした場合よりも熱伝導性およびアルカリ溶液に
対する耐食性が良好であり、また、膜応力が小さいもの
が得られていることがわかる。これは、上述したように
ギャップ層の成膜時の基板温度を100゜Cとした場合
の方が、すなわち、基板温度を高くした場合の方が、基
板の温度を25゜Cとした場合よりも、AlNの(10
0)面、(002)面のピークが大であり、AlNの結
晶性が良好になっており、これによってSi34の結晶
性も良好になるためであると考えられる。また、表面電
気抵抗については、基板の温度を25゜Cとした場合の
方が、基板の温度を100゜Cとした場合より低い値が
得られていることがわかる。
【0050】また、温度が25゜Cの基板上にSiの含
有量が2.0〜10.5at%であるAl−N−Si系
のギャップ層を形成した場合と、温度が100゜Cの基
板上にSiの含有量が2.0〜20.4at%であるA
l−N−Si系のギャップ層を形成した場合と、温度が
150゜Cの基板上にSiの含有量が2.0〜29.5
at%であるAl−N−Si系のギャップ層を形成した
場合の水に対する耐食性を、試料を水に浸漬する以外は
上記強アルカリ溶液に対する耐食性を調べる方法と同様
にして調べたところ水に対する耐食性も良好であった。
【0051】(実験例3)高周波マグネトロンスパッタ
装置を用い、Siからなる基板上に、複数のターゲット
を用いて、厚さ1000オングストロームの下部ギャッ
プ層(組成がAl−N−Si系で、Siの含有量が2.
0at%)をスパッタにより形成した。ついで、この下
部ギャップ層上にスパッタにより積層体を作製した。こ
の積層体は、軟磁性層(Ni−Fe−Nb合金膜)、非
磁性層(Ta)、強磁性層(Ni−Fe合金膜)、保護
層(Ta膜)の順に積層されてなるものであった。
【0052】得られた積層体に対し、フォトリソグラフ
ィープロセスとイオンミリングによりトラック幅(感磁
部分の幅)の部分を残して積層体の両端部を除去してA
MR素子層を作製し、このAMR素子層の両側に、厚さ
300オングストロームの強磁性層(Co−Pt合金)
を設け、各強磁性層上に厚さ50オングストロームの非
磁性層(Ta)と厚さ1200オングストロームの電極
層(Cr)をスパッタにより積層し、この積層の際に上
記の印加磁界と90゜異なる方向に200 Oeの磁界
を印加した。最終的に、トラック幅2μmとなるように
フォトリソプロセスによりパターニングし、AMR素子
試料(実施例)を作製した。
【0053】以上の製造方法で得られたAMR素子試料
に流す検出電流を変更したときのAMR素子層温度の上
昇率(%)について調べた。その結果を図8に示す。な
お、ここでのAMR素子層温度の測定は、AMR素子に
一定(2mA)の検出電流を流してオーブンに入れ、温
度を上げていったときの温度と抵抗との関係を予め調べ
ておき、温度20゜Cにおいて実施例のAMR素子試料
を備えたAMRヘッドに流す電流を上げていったときの
電流と抵抗との関係を調べ、ここで得られた抵抗値と、
先に調べた温度と抵抗との関係から(すなわち抵抗値を
媒体として求める)AMR素子層の温度を求めることが
できる。また、比較のために下部ギャップ層をAl23
から構成した以外は、上記実施例と同様にしてAMR素
子試料を作製し、この比較例のAMR素子試料を備えた
AMRヘッドに流す定常検出電流を変更したときのAM
R素子層温度の上昇率(%)について調べた結果を図8
に合わせて示す。
【0054】図8に示した結果から明らかなように下部
ギャップ層をAl−N−Si系の組成の絶縁層(Siの
含有量が2.0at%)から構成したAMR素子試料
は、下部ギャップ層をAl23から構成した比較例のA
MR素子試料よりも検出電流を大きくしていったときの
AMR素子層の温度上昇率が小さく、検出電流による発
熱を効率良く逃がすことができることがわかる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明の薄膜磁気ヘ
ッドによれば、ギャップ層がAl−N−X系の組成の絶
縁層(元素XはSi)を有するようにしたことにより、
定常検出電流による発熱を効率良く逃がすことができる
ので、磁気ヘッドの出力の向上が可能であり、薄膜にお
いて必要十分な交換異方性磁界を印加することができる
とともに、バルクハウゼンノイズを生じることなく、線
形応答性に優れた抵抗変化を得ることができ、読出性能
が優れたものが得られる。また、Al−N−X系の組成
の絶縁層を有するギャップ層は、強アルカリ溶液や水に
対する耐食性が優れており、また、膜応力が小さいので
MRヘッドの形成時あるいは形成後に剥離することがな
く、信頼性のある製品を提供できる。
【0056】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
によれば、真空排気可能な成膜室内に配置した磁気抵抗
効果層を有する基体上に結晶化薄膜を順次堆積させるこ
とにより、Al−N−X系(上記XはSi)の組成の絶
縁層を有するギャップ層を成膜するに際して、上記基体
を加熱しながら上記絶縁層を成膜することにより、基体
を加熱しない場合と比べて、絶縁層中に元素Xを多く含
有させることができ、熱伝導性およびアルカリ溶液に対
する耐食性が良好であり、また、膜応力が小さいギャッ
プ層を得ることができる。また、ギャップ層中の元素X
の含有量が同量である場合、ギャップ層の成膜時の基体
の温度が高い方が、低い場合よりもAlNの結晶性を良
好にでき、これによってXとNにより作られる結晶の結
晶性も良好になるので、熱伝導性およびアルカリ溶液に
対する耐食性が良好であり、また、膜応力が小さいギャ
ップ層を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる薄膜磁気ヘッドの第一の実施
形態を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す薄膜磁気ヘッドの要部を示す断面
図である。
【図3】 図1に示す薄膜磁気ヘッドの一部を断面とし
た斜視図である。
【図4】 図1に示す薄膜磁気ヘッドに備えられるMR
ヘッドの構造を示す断面図である。
【図5】 本発明に係わる薄膜磁気ヘッドの第二の実施
形態に備えられるMRヘッドの構造を示す断面図であ
る。
【図6】 ギャップ層の熱伝導性、耐食性、膜応力、表
面電気抵抗と、ギャップ層中のSi添加量依存性を示す
グラフである。
【図7】 温度が25゜Cの基板と、温度が100゜C
の基板上に、それぞれAl−N−Si系の組成からなる
ギャップ層を成膜した試料のX線回折パターンを示す図
である。
【図8】 MRヘッドに流す定常検出電流とAMR素子
層温度上昇率(%)の関係を示すグラフである。
【図9】 従来のAMRヘッドの構造の例を示す断面図
である。
【図10】 従来のGMRヘッドの構造の例を示す断面
図である。
【符号の説明】
45・・・GMR素子層(磁気抵抗効果素子層)、48・・・
電極層、50・・・薄膜磁気ヘッド、h1・・・MRヘッド、
53・・・下部シールド層、54・・・下部ギャップ層、56
・・・上部ギャップ層、57・・・上部シールド層、75・・・
AMR素子層(磁気抵抗効果素子層)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/39

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部シールド層上に下部ギャップ層を介
    して形成された磁気抵抗効果素子層と、該磁気抵抗効果
    素子層に検出電流を与える電極層と、該電極層の上に上
    部ギャップ層を介して形成された上部シールド層を少な
    くとも備えてなり、前記下部ギャップ層と上部ギャップ
    層の少なくとも一方が、Al−N−X系の組成の絶縁層
    を有し、前記元素XはSiからなるものであることを特
    徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記絶縁層中の元素XとしてのSiは
    成比で2.0〜30.0at%含まれていることを特徴
    とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記絶縁層は結晶性を有することを特徴
    とする請求項1又は2記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記絶縁層はAlNの結晶およびSi 3
    4 の結晶を有することを特徴とする請求項3記載の
    薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記AlNの結晶は、六方晶で(10
    0)面、(002)面、(101)面がエックス線回折
    により検出されることを特徴とする請求項4記載の薄膜
    磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記Si 3 4 の結晶は、六方晶で(20
    1)面、(210)面がエックス線回折により検出され
    ることを特徴とする請求項4記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記AlNの結晶は、六方晶で(10
    0)面、(002)面、(101)面がエックス線回折
    により検出され、前記Si 3 4 の結晶は、六方晶で(2
    01)面、(210)面がエックス線回折により検出さ
    れることを特徴とする請求項4記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 真空排気可能な成膜室内に配置した磁気
    抵抗効果層を有する基体上に結晶化薄膜を順次堆積させ
    ることにより、Al−N−X系(前記XはSi)の組成
    の絶縁層を有するギャップ層を成膜するに際して、前記
    基体を加熱しながら前記絶縁層を成膜することを特徴と
    する薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記基体の加熱温度が250゜C以下で
    あることを特徴とする請求項8記載の薄膜磁気ヘッドの
    製造方法。
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