JP3392317B2 - 交換結合膜 - Google Patents

交換結合膜

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JP3392317B2
JP3392317B2 JP07023197A JP7023197A JP3392317B2 JP 3392317 B2 JP3392317 B2 JP 3392317B2 JP 07023197 A JP07023197 A JP 07023197A JP 7023197 A JP7023197 A JP 7023197A JP 3392317 B2 JP3392317 B2 JP 3392317B2
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和明 深道
島田  寛
北上  修
益準 金
浩子 宇山
彰宏 牧野
直也 長谷川
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気的交換結合に
基づく磁気抵抗効果を利用して磁気記録媒体の磁気情報
を読み取るための目的に用いられる交換結合膜に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来技術における磁気抵抗効果型読み取
りヘッド(MRヘッド)には、異方性磁気抵抗効果現象
を用いたAMR(Anisotropic Magnetoresistance)ヘ
ッドと伝導電子のスピン依存散乱現象を用いたGMR
(Giant Magnetoresistance)ヘッ ドがあり、GMRヘ
ツドの一例として低外部磁界で高磁気抵抗効果を示すSp
in-Valveヘツド(以下、スピンバルブヘッドと略称す
る。)が米国特許第5159 513号明細書に示され
ている。
【0003】図1及び図2はAMRヘツド素子構造の概
略図である。AMRヘッドの最適動作のためにはAMR
効果を示すAMR強磁性体膜3(AMR材料層)に対し
て2つのバイアス磁界が必要とされる。1つのバイアス
磁界は、AMR材料の抵抗変化を磁気媒体からの磁束に
対して線形応答させるためであり、このバイアス磁界は
磁気媒体の面に対して垂直(図中Z方向)であり、AM
R強磁性体膜3の膜面に対して平行である。通常このバ
イアス磁界は横バイアスと呼ばれ、AMR強磁性体膜3
の近傍に電気絶縁層2を介して成膜された軟磁性材料膜
1を配置し、検出電流を伝導層5からAMRヘッド素子
に流すことにより得ることができる。もう1つのバイア
ス磁界は、通常縦バイアス磁界と呼ばれ、磁気媒体とA
MR強磁性体膜3の膜面に対して平行(図中X方向)に
印加される。縦バイアス磁界の目的はAMR強磁性体膜
3が多数の磁区を形成することによって生じるバルクハ
ウゼンノイズを抑制すること、すなわち、磁気媒体から
この磁束に対してノイズのないスムーズな抵抗変化にす
るためである。
【0004】バルクハウゼンノイズを抑制するためには
AMR強磁性体膜3を単磁区化することが必要であり、
そのための縦バイアスの印加方法には2通りの方法があ
る。1つはAMR強磁性体膜3の両脇(図2のトラック
幅に相当する幅に形成された強磁性体膜3の幅方向両側
部分)に図2に示すように磁石層6を配置し磁石層6か
らの漏れ磁束を利用する方法であり、もう1つの方法
は、図1に示すようにトラック幅に相当する間隙をあけ
てAMR強磁性体膜3の上に配置された反強磁性体膜
4、4と強磁性体膜3との接触界面で生じる交換異方性
磁界を利用する方法である。
【0005】一方、図3あるいは図4に示すようにスピ
ンバルブヘッドの最適動作のためには、フリー強磁性体
膜7/非磁性中間層8/ピン止め強磁性体膜9のサンド
イッチ構造において、フリー強磁性体膜7にはトラック
方向(図中X方向)のバイアスを印加し単磁区化した状
態でトラック方向に磁化を向けさせ、ピン止め強磁性体
膜9の磁化方向は図中Z方向、すなわちフリー強磁性体
膜7の磁化方向と直交する方向にバイアスを印加し単磁
区化した状態で図中Z方向に向けさせておく必要があ
る。磁気媒体からの磁束(図中のZ方向)によりピン止
め強磁性体膜9の磁化方向は変化してはならず、フリー
強磁性体膜7の磁化の方向がピン止め強磁性体膜9の磁
化方向に関して90±θ度の範囲で変化することにより
磁気抵抗効果の線形応答性が得られる。
【0006】ピン止め強磁性体膜9の磁化方向を図中Z
方向に固定させるためには、比較的大きなバイアス磁界
が必要であり、バイアス磁界は大きければ大きいほど良
いことになる。図中Z方向の反磁界に打ち勝ち、磁気媒
体からの磁束により磁化方向が揺らがないためには少な
くとも100 Oeのバイアス磁界が必要である。この
バイアス磁界を得るための方法として、通常、ピン止め
強磁性体膜9に図3あるいは図4に示すように反強磁性
体膜10を接することにより生じる交換異方性磁界を利
用する方法がある。
【0007】フリー強磁性体膜7に印加するバイアスは
線形応答性を確保するためと、多数の磁区を形成するこ
とから生じるバルクハウゼンノイズを抑制するためであ
り、AMRヘツドにおける縦バイアスと同様の方法、す
なわち、図3に示すようにフリー強磁性体膜7の両脇に
磁石層11を配置し、磁石層11からの漏れ磁束を利用
する方法と、図4に示すように反強磁性体膜13との接
触界面で生じる交換異方性磁界を利用する方法が通常用
いられる。以上のように、AMRヘツドの縦バイアス、
あるいは、スピンバルブヘッドのピン止め強磁性体膜の
バイアスとフリー強磁性体膜のバイアスに反強磁性体膜
との接触界面で生じる交換異方性磁界を利用することに
より線形応答性が良好でバルクハウゼンノイズを抑制し
た磁気抵抗効果型ヘッドを実現できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記交換異方性磁界
は、強磁性体膜と反強磁性体膜との接触界面における双
方の磁気モーメント間の交換相互作用に起因する現象で
あり、強磁性体膜、例えばNiFe膜の交換異方性磁界
を生じる反強磁性体膜としてFeMn膜が良く知られて
いる。しかしながら、FeMn膜は耐食性が著しく悪
く、磁気ヘッド製造工程及び磁気ヘツド作動中に腐食が
発生進行し、交換異方性磁界が大きく劣化してしまう問
題と、磁気媒体を破損してしまう問題がある。また磁気
へッド作動中のFeMn膜近傍の温度は検出電流による
発熱で約120℃まで上昇することが知られているが、
FeMn膜による交換異方性磁界は、温度変化に対して
敏感であり、約150℃の温度で消失(ブロッキング温
度:Tb)するまで温度に対してほぼ直線的に交換異方
性磁界が減少してしまうため、安定した交換異方性磁界
が得られない問題がある。
【0009】また、FeMn膜の耐食性とブロッキング
温度を改善した発明として例えば特開平6−76247
号公報に示されている面心正方晶構造を有するNiMn
合金またはNiMnCr合金があるが、NiMn膜の耐
食性はFeMn膜の耐食性よりは良いものの実用上不十
分である。NiMnCr膜はNiMn膜の耐食性を向上
させるためにCrを添加した合金であるが、Cr添加で
耐食性は向上するものの交換異方性磁界の大きさが低下
してしまう問題があった。
【0010】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、反強磁性体膜と強磁性体膜との間に磁気的交換結
合を生じさせることができる構造であって、FeMnあ
るいはNiMn以外の全く新規なものを用いた構造であ
り、耐食性にも優れ、比抵抗も高い優れた交換結合膜の
提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明は前記課題を解
決するために、Crと周期律表3b族元素のAl、G
a、Inのうちの少なくとも1種の元素Mとからなる体
心立方構造の結晶相を主体とする反強磁性体膜と、F
e、Ni、Coのうちの少なくとも1種以上を含む強磁
性体膜を接するように積層してなり、前記反強磁性体膜
と強磁性体膜との界面に磁気的交換結合を生じさせてな
り、前記反強磁性体膜は下記のいずれかの組成式によっ
て表されることを特徴とする交換結合膜である。 Cr x Al y (但し、組成比を示すx、yは、原子%で、
60≦x≦90、10≦y≦40の範囲である。) Cr x Ga z (但し、組成比を示すx、zは、原子%で、
85≦x≦95、5≦z≦15の範囲である。) Cr x In w (但し、組成比を示すx、wは、原子%で、
85≦x≦95、5≦w≦15の範囲である。)
【0012】本願発明は前記課題を解決するために、前
記反強磁性体膜が、{100}、{110}のいずれか
に優先配向されてなるものである。また、前記反強磁性
体膜の結晶粒径Dが前記反強磁性体膜の磁壁幅δAFより
も小さいことが好ましい。更に、前記反強磁性体膜の結
晶粒径DがD≦300Åとされてなることが好ましい。
本願発明は前記課題を解決するために、前記交換結合膜
が基材上に下地膜を介して成膜されてなり、下地膜が、
MgO、AlN、Ta、ZnO、Si、Fe-Ni合金
のうちの1種以上からなるものである。また、本願発明
は前記課題を解決するために、前記反強磁性体膜の自然
腐食電位が、飽和カロメル電極に対して正の値を示すこ
とを特徴とするものである。本願発明は前記課題を解決
するために、反強磁性体膜の膜厚を、300Å以上とし
たものである。本願発明において、反強磁性体膜の比抵
抗を、200μΩcm以上とすることが好ましい。Al
が添加された反強磁性体膜の場合、比抵抗は500μΩ
cm以上とすることが好ましい。
【0013】本願発明において前記反強磁性体膜は例え
ば下記の組成式によって表される。 CrxAly 但し、組成比を示すx、yは、原子%で、60≦x≦9
0、10≦y≦40の範囲である。また、本願発明にお
いて前記xが65≦x≦80、yが20≦y≦35の範囲と
されてなることが好ましい。Alが10原子%よりも少
ないと交換異方性磁界(Hex)が劣化(ほとんど0)
し、好ましくない。Alが40原子%よりも多くなると
bcc相が析出しなくなり、やはり交換異方性磁界が劣
化するために好ましくない。これらの範囲においてもよ
り好ましくは、Alを20〜35原子%含有することで
あり、これにより高い交換異方性磁界を得ることができ
る。本発明において前記反強磁性体膜は、例えば下記の
組成式によって表されるものであってもよい。 CrxGaz 但し、組成比を示すx、zは、原子%で、85≦x≦9
5、5≦z≦15の範囲である。Gaが5原子%〜15
原子%の範囲内であると、高い交換異方性磁界と高い比
抵抗を得ることができる。また、本発明において前記反
強磁性体膜は、例えば下記の組成式によって表されるも
のであってもよい。 CrxInw 但し、組成比を示すx、wは、原子%で85≦x≦95、
5≦w≦15の範囲である。Inが5原子%〜15原子
%の範囲内であると、高い交換異方性磁界と高い比抵抗
を得ることができる。
【0014】本願発明は前記課題を解決するために、C
rと周期律表3b族元素のAl、Ga、Inのうちの少
なくとも1種の元素Mとからなる体心立方構造の反強磁
性体膜と、Fe、Ni、Coのうちの少なくとも1種以
上を含む強磁性体膜を接するように積層してなり、前記
反強磁性体膜と強磁性体膜との界面に磁気的交換結合を
生じさせて前記強磁性体膜に縦バイアスを付与する交換
結合膜と、少なくとも非磁性膜を介して積層され、前記
強磁性体膜に対して横バイアスを付与する軟磁性材料膜
からなるものである。本願発明は前記課題を解決するた
めに、Crと周期律表3b族元素のAl、Ga、Inの
うちの少なくとも1種の元素Mとからなる体心立方構造
の反強磁性体膜と、Fe、Ni、Coのうちの少なくと
も1種以上を含む強磁性体膜を接するように積層してな
り、前記反強磁性体膜と強磁性体膜との界面に磁気的交
換結合を生じさせて前記強磁性体膜をピン止め磁性膜と
する交換結合膜と、少なくとも非磁性膜を介して単磁区
化された強磁性体膜とが積層されてなるものである。
【0015】本願発明は前記課題を解決するために、C
rと周期律表3b族元素のAl、Ga、Inのうちの少
なくとも1種の元素Mとからなる体心立方構造の反強磁
性体膜と、Fe、Ni、Coのうちの少なくとも1種以
上を含む強磁性体膜を接するように積層してなり、前記
反強磁性体膜と強磁性体膜との界面に磁気的交換結合を
生じさせて前記強磁性体膜に縦バイアスを付与する交換
結合膜と、少なくとも非磁性膜を介して積層され、前記
強磁性体膜に対して横バイアスを付与する軟磁性材料膜
からなり、磁気記録媒体に記録された磁気記録を読み出
す磁気抵抗効果素子と、少なくとも磁気回路を形成する
軟磁性材料からなる磁気コアと磁気ギャップとコイルと
からなり磁気記録媒体に磁気記録を書き込むインダクテ
ィブヘッドとを具備してなるものである。本願発明は前
記課題を解決するために、Crと周期律表3b族元素の
Al、Ga、Inのうちの少なくとも1種の元素Mとか
らなる体心立方構造の反強磁性体膜と、Fe、Ni、C
oのうちの少なくとも1種以上を含む強磁性体膜を接す
るように積層してなり、前記反強磁性体膜と強磁性体膜
との界面に磁気的交換結合を生じさせて前記強磁性体膜
をピン止め磁性膜とする交換結合膜と、少なくとも非磁
性膜を介して単磁区化された強磁性体膜とが積層されて
なる磁気抵抗効果素子と、少なくとも磁気回路を形成す
る軟磁性材料からなる磁気コアと磁気ギャップとコイル
とからなり磁気記録媒体に磁気記録を書き込むインダク
ティブヘッドとを具備してなるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。本発明に係る交換結合膜
は、基本的に、Crと、周期律表3b族元素のAl、G
a、Inのうちの少なくとも1種の元素Mとからなる体
心立方構造の反強磁性体膜と、Fe、Ni、Coのうち
の少なくとも1種以上を含む強磁性体膜を接するように
積層してなり、前記反強磁性体膜と強磁性体膜との界面
に磁気的交換結合を生じさせてなるものである。より具
体的には、Cr-(Al,Ga,In)の組成式で示され
る。
【0017】前記の構造において反強磁性体膜は例えば
下記の組成式によって表される。 CrxAly 但し、組成比を示すx、yは、原子%で、60≦x≦9
0、10≦y≦40の範囲である。また、前記xが65≦
x≦80、yが20≦y≦35の範囲とされてなることが
好ましい。Alが10原子%よりも少ないと交換異方性
磁界(Hex)が劣化(ほとんど0)し、好ましくない。
Alが40原子%よりも多くなるとbcc相が析出しな
くなり、やはり交換異方性磁界が劣化するために好まし
くない。これらの範囲においてもより好ましくは、Al
を20〜35原子%含有することであり、これにより高
い交換異方性磁界を得ることができる。CrAl系の反
強磁性体膜を有する交換結合膜においては、Alの濃度
が30原子%付近でネール温度が最大となる。また、前
記の構造において反強磁性体膜は例えば下記の組成式に
よって表されるものであってもよい。 CrxGaz 但し、組成比を示すx、zは、原子%で、85≦x≦9
5、5≦z≦15の範囲である。Gaが5原子%〜15
原子%の範囲内であると、高い交換異方性磁界と高い比
抵抗を得ることができる。CrGa系の反強磁性体膜を
有する交換結合膜においては、Gaの濃度が15原子%
付近でネール温度が最大となる。また、前記の構造にお
いて反強磁性体膜は例えば下記の組成式によって表され
るものであってもよい。 CrxInw 但し、組成比を示すx、wは、原子%で、85≦x≦9
5、5≦w≦15の範囲である。Inが5原子%〜15
原子%の範囲内であると、高い交換異方性磁界と高い比
抵抗を得ることができる。
【0018】前述のような構造は、図1に示すAMRヘ
ッドにおける縦バイアスに適用できるので、図1の構造
で言えば、反強磁性体膜4をCrと周期律表3b族元素
のAl、Ga、Inのうちの少なくとも1種の元素Mと
からなる体心立方構造の合金膜から構成し、強磁性体膜
3をFe、Ni、Coのうちの少なくとも1種以上を含
む合金膜から構成する。また、前述のような構造は図2
3に示すAMRヘッドにおける縦バイアスに適用でき
る。図23に示す構造においては、強磁性体膜21上に
電気絶縁層22を介してAMR強磁性体膜23が積層さ
れ、さらにこれら積層体の両脇にそれぞれFe−Ni系
などからなる縦バイアス強磁性体膜24と、本発明の組
成の範囲内にある反強磁性体膜25と、伝導層26が順
に積層されてなるものであり、このような構成のAMR
ヘッドにおいては、反強磁性体膜25により縦バイアス
強磁性体膜24を図23中に示した矢印の方向(X方
向)に単磁区化し、これにより生じた磁界によってAM
R強磁性体膜23を矢印の方向(X方向)に単磁区化さ
せることができ、図2に示す構造のAMRヘッドにおけ
る磁石層6と同様の作用を奏することができるようにな
っている。図23に示す構造において、反強磁性体膜2
5は Crと、周期律表3b族元素のAl、Ga、In
のうちの少なくとも1種の元素Mとからなる体心立方構
造の合金膜から構成する。また、図3と図4に示す構造
においては、反強磁性体膜10あるいは反強磁性体膜1
3をCrと、周期律表3b族元素のAl、Ga、Inの
うちの少なくとも1種の元素Mとからなる体心立方構造
の合金膜から構成するとともに、ピン止め強磁性体膜9
あるいはフリー強磁性体膜7をFe、Ni、Coのうち
の少なくとも1種以上を含む合金膜から構成する。以上
のような構造にすることにより、本発明の交換結合膜
を、図1や図23に示すAMRヘッドにおける縦バイア
ス印加構造、図3のスピンバルブヘッドにおけるピン止
め層9のピン止め用のバイアス構造、図4に示すフリー
強磁性体膜7のバイアス印加構造とピン止め強磁性体膜
9のピン止め用のバイアス構造の全てに適用することが
できる。
【0019】次に、本発明の構造においては、反強磁性
体膜が、{100}、{110}のいずれかに優先配向
されていることが好ましい。また、これらの面のいずれ
かを膜表面に出すように配向され、そのような配向状態
で<100>軸あるいは<110>軸と垂直な方位関係
を有する結晶軸は膜面内でランダムに配向させるとより
好ましい。前記交換結合膜は、通常、基板上に成膜され
るが、その際に基板上に下地膜を形成した後で順次成膜
されることが好ましい。この下地膜として、MgO、A
lN、Ta、ZnO、Siのうちの1種以上からなるも
のを用いることができる。これらの下地膜を形成するこ
とにより、その上に形成される反強磁性体膜あるいは強
磁性体膜の膜質が安定し、結晶配向性の制御が可能にな
る。また、前記反強磁性体膜は、0.1N亜硝酸ナトリ
ウム(Na2SO3・7H2O)中での自然腐食電位が飽
和カロメル電極に対して正の値(0V以上)であること
が好ましく、0.1V以上であることがより好ましい。
この点において前記の組成であるならば、このような範
囲の自然腐食電位を容易に得ることができる。更に、反
強磁性体膜の膜厚は、300Å以上の範囲が好ましい。
膜厚が300Å未満であると、交換バイアス磁界が減少
するため好ましくない。
【0020】次に、前記反強磁性体膜は、比抵抗におい
て200μΩcm以上のものが容易に得られる。特に、
Alが添加された反強磁性体膜の場合、比抵抗において
500μΩcm以上のものが容易に得られる。このよう
に比抵抗が高い場合においては、スピンバルブ型磁気抵
抗効果素子において素子を流れる検出電流が反強磁性体
膜に分流することを防止できる。即ち、抵抗変化に寄与
しない電流の分流を最小限に抑え、素子の抵抗変化率を
増大させる効果がある。
【0021】
【実施例】成膜は全てRF(Radio Frequency)コンベ
ンショナルスパッタあるいはDCスパッタにより行っ
た。ターゲットは、Alからなるターゲット上にCrの
ペレットを配置したものを用い、複数のSi基板上に、
各々厚さ100Å、500Å、900Å、2000Åの
それぞれのCr81Al19膜と、各々厚さ50ÅのNi 81
Fe19膜を成膜し、それら個々の試料についてX線回折
曲線を測定した。なお、ターゲットは、前述したものの
他に、Cr70Al30合金にCrのペレットを配置した複
合ターゲットを使用しても良い。その結果を図5に示
す。図5に示す結果から明らかなように、500〜20
00Åの厚さの各試料において2θ=43.8゜付近に
(110)のピークが観察された。また、900Å、2
000Åの試料においては、64.05゜付近に(20
0)のピークが認められた。従ってこれらの試料におい
て500〜2000Åの厚さの試料にあっては体心立方
構造を示していることを確認できた。なお、図5におい
て2θ=70゜付近の微弱なピークはSi基板の(10
0)ピークであり、Si基板の表面が(100)配向し
ていることを示している。
【0022】次に図6は、従来公知の種々の反強磁性体
膜と本発明に係る反強磁性体膜の腐食電位を比較して示
すものである。これらの値は、これらの材料を0.1N
亜硝酸ナトリウム(Na2SO3・7H2O)中に浸漬し
た場合の分極曲線であり、飽和カロメル電極の電位が0
Vであるとすると、これよりも電位の高いものが耐食性
に富むことになる。本発明に係るCr-Alの反強磁性
体膜は、腐食電位が常に正 であり、0.1V以上である
のに対し、FeMn、NiMn、NiFe、NiM n
Crのいずれの反強磁性体膜であっても腐食電位は低
く、本発明に係る組成系のものよりも腐食しやすいこと
が明らかである。なお、図6において右よりの曲線ほど
耐食性が良好であることを意味する。
【0023】図7は、複数のSi基板上に、厚さ100
ÅのSiの下地膜を形成し、厚さ50ÅのNi81Fel
19膜と、種々の厚さのCr81Al19膜を成膜し、交換異
方性磁界(Hex)に対するCr81Al19膜の膜厚依存性
を測定した結果を示す。この図から、NiFe膜の上に
CrAl膜を積層して交換結合膜とした場合、高い交換
異方性磁界(Hex)を得るためには、CrAl膜の膜厚
をある程度厚くした方が好ましいことが明らかであり、
具体的には、CrAl膜の膜厚300Å以上、より具体
的に20以上の交換異方性磁界(Hex)を得るために
は、700Å〜2000Åとすることが好ましい。図8
は、複数のSi基板上に、種々の厚さのCr81Al19
と、厚さ50ÅのNi81Fe19膜を成膜し、交換異方性
磁界(Hex)に対するCr81Al19膜の膜厚依存性を測
定した結果を示す。この図から、CrAl膜の上にNi
Fe膜を積層した場合、高い交換異方性磁界(Hexが2
0以上)を得るためには、CrAl膜の膜厚をある程度
厚くした方が好ましいことが明らかであるので、具体的
にはCrAl膜の膜厚を300Å〜1500Å、より好
ましくは300Å〜1000Åの範囲とする。
【0024】図9は、Si基板上にCr70Al30膜を成
膜し更にその上に厚さ50ÅのNi 81Fe19膜を成膜し
た構造(MgOなし)で得られる交換異方性磁界のCr
Al膜厚依存性と、Si基板上にMgO膜を介してCr
70Al30膜とNi81Fe19膜を成膜した構造(MgOあ
り)で得られる交換異方性磁界のCrAl膜厚依存性を
示す。図9に示す結果から、MgO膜を設けていない構
造において、Cr70Al30膜厚200Åでは交換異方性
磁界は得られないものの、Cr70Al30膜厚200Åを
超える厚さから交換異方性磁界が得られ、しかもその値
が急激に上昇し、Cr 70Al30膜厚300Å以上におい
て交換異方性磁界が20 Oe以上となることがわか
る。また、交換異方性磁界を30 Oe以上にするため
には、Cr70Al3 0膜の膜厚を400〜900Åの範囲
とすることが好ましいことも明らかである。 次に、S
i基板上の下地膜上にMgOを介してCr70Al30膜と
Ni81Fe 19膜を成膜する構造を採用する場合、Cr70
Al30膜の厚さを700Å以上にすると交換異方性磁界
が20 Oe以上となることがわかる。また、交換異方
性磁界を30 Oe以上にするためには、Cr70Al30
膜の膜厚を900〜1300Åの範囲とすることが好ま
しいことも明らかである。図8と図9に示す結果から、
CrAlの組成が多少異なっていても、下地膜としてM
gOを用いてもいずれの場合においてもCrAl膜の膜
厚を300〜1500Åの範囲とすることで良好な交換
異方性磁界を得ることができた。
【0025】図10は、Si基板上に厚さ100ÅのS
i層(100)を形成し、その上にCr70Al30膜を成
膜し更にその上に厚さ50ÅのNi81Fe19膜を成膜し
た構造で得られる交換異方性磁界のCr70Al30膜厚依
存性を示す。図10に示す結果から、Cr70Al30膜厚
200Åを超える厚さから交換異方性磁界の値が急激に
上昇し、Cr70Al30膜厚300Å以上において交換異
方性磁界が20 Oe以上となることがわかる。また、
交換異方性磁界を30 Oe以上にするためには、Cr
70Al30膜の膜厚を400〜900Åの範囲とすること
が好ましいことも明らかである。
【0026】図11は、Si基板上にSi(100Å)
を形成し、更にNi81Fe19膜(tÅ)とCr70Al30
膜(500Å)とNi81Fe19膜(50Å)を積層した
試料について、交換異方性磁界(Hex)を測定し、反強
磁性膜であるCr70Al30膜の膜厚方向の結晶粒径を測
定した結果を示す。
【0027】図12は、Si基板上に厚さ100ÅのS
i層(100)を形成したものを複数用意し、それらの
上に厚さ10Å、20Å、30ÅのNi81Fe19膜を成
膜したものと、Ni81Fe19膜を成膜しないものを用意
し、それらの上に更に厚さ500ÅのCr70Al30膜を
成膜し、更に厚さ50ÅのCr70Al30膜を成膜した各
構造で得られる配向度を計測した結果を示す。図12に
おいては中間層となるNi81Fe19膜の膜厚におけるC
70Al30膜の無配向試料で規格化した{110}規格
化配向度を示している。ここで取り扱う角度φは、図1
3に示すように積層膜の法線方向をφ=0degと定義す
る。また、縦軸の(I/Ir)sinφは角度φにおける平
均極密度を以下の(I)式で与えられる無配向試料の極
密度で規格化した量である。
【0028】
【数1】
【0029】以上の結果として図11と図12に示すよ
うに、中間層となるNi81Fe19膜の膜厚増加に伴って
(110)配向が良好になる。即ち、中間層となるNi
81Fe19膜の膜厚増加に伴ってCr70Al30膜の{11
0}配向が良好になるとともに、結晶粒径が大きくな
り、交換異方性磁界が小さくなる傾向があることがわか
る。図11に示す結果から、Ni81Fe19膜の膜厚の増
加とともに結晶粒径の粗大化が進むために、結晶配向性
が良くなり、界面起伏が減少し、この結果として交換異
方性磁界が減少するものと考えられる。
【0030】次に、前述したように積層界面に界面起伏
が存在すると交換異方性磁界の生成に寄与するのは、C
70Al30の磁気構造は(200)面内では強磁性的な
配列を示し、(110)面内では反強磁性的配列を示す
ので、Cr70Al30膜とNi 81Fe19膜とを積層した構
造の界面では界面起伏が少ないと反強磁性的配列を取
り、交換結合は相殺される。しかしながら、界面に原子
サイズの起伏(ステップや凹凸等)が存在すると、交換
結合が相殺されない部分が存在するようになり交換結合
が発生することになる。従って、Cr70Al30膜を下層
に設けた構造にのみ原子サイズの起伏(ステップや凹凸
等)に起因して交換結合が得られたものと考えられる。
【0031】これらの結果から、反強磁性のCr70Al
30膜の特徴は、交換異方性磁界の発現し始める反強磁性
膜厚の臨界厚(300Å)がMn-Feなどの公知の材
料の膜厚70Åに比べて厚いことが判明した。これは、
反強磁性の磁壁エネルギーが交換結合エネルギーを与え
ていることを示している。従って、交換異方性磁界の発
現するCr70Al30膜の膜厚分の長さを反強磁性磁壁を
形成するための臨界長と考えることができる。このよう
な考え方は、膜厚方向だけでなく、面方向にも適用でき
る。結晶粒径がこの臨界長よりも小さければ、スピンは
回転することはできず、反強磁性磁壁は膜厚方向にのみ
1次元的に形成されることになる。
【0032】以上の説明を模式的に説明すると、図14
に示すようにAMR強磁性膜30の内部に結晶粒31が
分散され、その上に反強磁性膜40が積層されている構
造を想定すると、AMR強磁性膜30の粒径DがAMR
強磁性膜30の厚さδAFよりも小さい場合、即ちD>δ
AFの関係の場合に、交換異方性磁界と反強磁性膜の結晶
粒との間に相関関係が生じると思われる。以上のことか
ら、Cr70Al30膜の結晶粒径は300Å以下が好まし
いが、図11に示す交換異方性磁界が20 Oe以上を
得やすいように140Å以下とすることがより好まし
い。なお、先の実施例ではCr70Al30膜の下に設けた
Ni81Fe19膜の膜厚により結晶粒径を制御している
が、この他、MgO、AlN、Ta、ZnO、Siなど
の下地膜を用いた場合であってもそれらの下地膜の膜厚
によって反強磁性膜の結晶粒径を制御することができる
のは勿論である。
【0033】図15は、Si基板上にCr70Al30
(500Å)とNi81Fe19膜(50Å)を積層した試
料の断面の電子顕微鏡写真である。この断面構造から明
らかなように、Cr70Al30膜の結晶粒径Dは、Cr70
Al30膜の厚さδAFよりも小さいことが明らかである。
【0034】図16は、複数のSi基板上に下地膜とし
て、厚さ100ÅのSi、Ta、AlN、ZnO、Mg
Oの各層をRFスパッタで形成し、その上に厚さ100
0ÅのCr86Al14膜と厚さ50ÅのNi81Fe19膜を
DCスパッタで形成した交換結合膜と、下地膜を用いて
いない他は前記と同様の交換結合膜のX線回折パターン
を示す。
【0035】この図16に示す結果から、各種の下地膜
を用いた場合と用いない場合のいずれの構造においても
(110)、(200)に強いピークが得られ{11
0}、{100}配向していることが判明した。図17
は、図16に示す積層構造において、Cr86Al14膜と
Ni81Fel19膜の積層順序を逆にした構造(即ち、N
81Fe19膜の上にCr86Al14膜を形成)の場合のX
線回折パターンを示す。この図に示す結果から、各種の
下地膜を用いた場合と用いない場合のいずれの構造にお
いても、(110)に強いピークが得られ、(200)
に若干の盛り上がりが見られるので、{110}、{1
00}配向していることが判明した。
【0036】図18は、Si基板上に厚さ100ÅのZ
nOの下地膜を形成し、この上に図16に示した例と同
等のCrAl膜とNiFe膜を積層した交換結合膜の極
点図を示し、図19は、Si基板上に厚さ100ÅのZ
nOの下地膜を形成し、この上に図11に示した例と同
等のCrAl膜とNiFe膜を積層した交換結合膜の極
点図を示す。これらの図から、ZnOが下地膜の場合
に、CrAlが下でNiFeが上の場合は配向が悪く、
CrAlが上でNiFeが下の場合は配向性が良いこと
がわかる。なお、このような傾向は、AlNの下地膜、
Taの下地膜を用いた場合の試料でも同様であった。
【0037】図20は、Si基板上に厚さ100ÅのM
gOの下地膜を形成し、この上に図10に示した例と同
等のCrAl膜とNiFe膜を積層した交換結合膜の極
点図を示し、図21は、Si基板上に厚さ100ÅのM
gOの下地膜を形成し、この上に図11に示した例と同
等のCrAl膜とNiFe膜を積層した交換結合膜の極
点図を示す。これらの図から、MgOが下地膜の場合
に、CrAlが下でNiFeが上の場合は配向が良く、
CrAlが上でNiFeが下の場合は配向性が悪いこと
がわかる。以上の図18〜図21に示す結果から、Zn
O、AlN、Taが下地膜の場合に、CrAl膜の形成
位置がNiFe膜の上の方である方が配向が良く、Mg
Oが下地膜の場合は、CrAl膜の形成位置がNiFe
膜の下の方が配向が良くなり、CrAl膜とNiFe膜
の上下関係、また、下地膜の種類により配向性が微妙に
異なることが判明した。
【0038】次に、本発明に係るCrAl系試料の比抵
抗を測定した結果を以下の表1に示す。比抵抗の測定は
4端子測定により、I=20mAで行った。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示す測定結果から、CrAl系の反
強磁性体膜は、いずれの組成においても高い比抵抗12
74〜1334μΩcmを示した。従って、本発明にお
ける反強磁性体膜を図1、図23、図3、図4に示され
るようなAMRヘッド、スピンバルブヘッドに使用する
と、反強磁性体膜に流れる電流を低減することが可能で
あり、ヘッドの出力を向上し、バルクハウゼンノイズを
抑えることができる。次に、本発明に係わるCrGa系
試料について400K(127℃)での電気抵抗率
(ρ)のGa濃度依存性を調べた。その結果を図22に
示す。図22に示した結果から、Gaが7原子%以上で
はρ=100μΩcmを越え、9原子%を越えるとρ=
200μΩcm以上となり、さらにGaが10原子%で
はρ=310μΩcmを示していることから、Gaの濃
度を高くすると、高抵抗になることが認められる。な
お、温度を室温付近にした場合、ρはさらに上昇するた
め、Gaが5原子%でもρ=100μΩcm以上を示す
ことが考えられる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明の交換結合膜
は、Crと、Al、Ga、Inのうちの少なくとも1種
の元素Mとからなる体心立方構造の反強磁性体膜と、F
e、Ni、Coのうちの少なくとも1種以上を含む強磁
性体膜を接するように積層してなり、前記反強磁性体膜
と強磁性体膜との界面に磁気的交換結合を生じさせてな
り、前記反強磁性体膜は下記のいずれかの組成式によっ
て表されるものであるので、従来知られている反強磁性
体膜を構成するFeMnよりも耐食性に優れ、比抵抗が
高い特性を有した上で磁気的交換結合を付与する構成を
得ることができる。Cr x Al y (但し、組成比を示すx、yは、原子%で、
60≦x≦90、10≦y≦40の範囲である。) Cr x Ga z (但し、組成比を示すx、zは、原子%で、
85≦x≦95、5≦z≦15の範囲である。) Cr x In w (但し、組成比を示すx、wは、原子%で、
85≦x≦95、5≦w≦15の範囲である。) 従って、本発明の交換結合膜を磁気抵抗効果素子とし
て、あるいは、それを備えたMRヘッドとして用いるこ
とができる。また、本発明の交換結合膜は、AMRヘッ
ドにおける縦バイアス印加構造、スピンバルブヘッドに
おけるピン止め層のピン止め用のバイアス構造、フリー
強磁性体膜のバイアス印加構造とピン止め強磁性体膜の
ピン止め用のバイアス構造の全てに適用することができ
る。このため、これらに適用することで耐食性に富み、
比抵抗が高く、磁気的交換結合を発揮でき、磁気抵抗変
化の線形応答性に優れる磁気ヘッドを得ることができ
る。
【0042】次に、交換結合膜を形成する場合、下地膜
としては、MgO、AlN、Ta、ZnOのいずれかを
用いることができ、これらを用いることにより配向性に
優れた反強磁性体膜あるいは強磁性体膜を有する交換結
合膜を得ることができる。更に、反強磁性体膜の膜厚が
300Å以上の範囲内であれば優れた交換異方性磁界と
して高い値を得ることができ、優れた交換結合性を有す
るものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されるAMRヘッドの一例の構
造とバイアス磁界を示す説明図である。
【図2】 AMRヘッドの他の例の構造とバイアス磁界
を示す説明図である。
【図3】 本発明が適用されるスピンバルブヘッドの一
例の構造とバイアス磁界を示す説明図である。
【図4】 本発明が適用されるスピンバルブヘッドの他
の例の構造とバイアス磁界を示す説明図である。
【図5】 各Si基板上に100〜2000Åの厚さの
Cr81Al19膜とNi81Fe19膜が積層された各交換結
合膜のX線回折図形を示す図である。
【図6】 本発明に係る交換結合膜に適用されるCrA
lの腐食電位を示す図である。
【図7】 各Si基板上に、Siの下地膜とNi81Fe
19膜と種々の厚さのCr81Al19膜とが積層された各交
換結合膜の交換異方性磁界の膜厚依存性を示す図であ
る。
【図8】 各Si基板上に、種々の厚さのCr81Al19
膜とNi81Fe19膜が積層された各交換結合膜の交換異
方性磁界の膜厚依存性を示す図である。
【図9】 各Si基板上に種々の厚さのCr70Al30
とNi81Fe19膜が積層された交換結合膜の交換異方性
磁界のCrAl膜厚依存性と、各Si基板上にMgO膜
とCr70Al30膜とNi81Fe19膜が積層された交換結
合膜の交換異方性磁界のCrAl膜厚依存性とを比較し
て示す図である。
【図10】 各Si基板上にSi膜と種々の厚さのCr
70Al30膜とNi81Fe19膜が積層された交換結合膜の
交換異方性磁界のCrAl膜厚依存性を示す図である。
【図11】 Si基板上にCr70Al30膜とNi81Fe
19膜が積層された交換結合膜のCrAl膜における結晶
粒径と、交換異方性磁界のNiFe膜厚依存性を示す図
である。
【図12】 Si基板上にSi層と種々の厚さのNi81
Fe19膜とCr70Al30膜とCr70Al30膜を成膜した
各構造で得られる(110)規格化配向度を計測した結
果を示す図である。
【図13】 図12に示される(110)規格化配向度
で用いられる角度φを説明するための図である。
【図14】 強磁性体膜に接する反強磁性膜における結
晶粒と磁化の向きおよび磁壁幅をモデル的に示す図であ
る。
【図15】 Si基板上にCr70Al30膜とNi81Fe
19膜を成膜した交換結合膜の断面を示すTEM写真であ
る。
【図16】 各Si基板上に各種の下地膜を形成し、そ
の上にCr81Al19膜とNi81Fe19膜を形成した各試
料のX線回折図形を示す図である。
【図17】 各Si基板上に各種の下地膜を形成し、そ
の上にNi81Fe19膜とCr81Al19膜とを形成した各
試料のX線回折図形を示す図である。
【図18】 Si基板上にZnO下地膜とCr81Al19
膜とNi81Fe19膜を形成した試料の極点図である。
【図19】 Si基板上にZnO下地膜とNi81Fe19
膜とCr81Al19膜を形成した試料の極点図である。
【図20】 Si基板上にMgO下地膜とCr81Al19
膜とNi81Fe19膜を形成した試料の極点図である。
【図21】 Si基板上にMgO下地膜とNi81Fe19
膜とCr81Al19膜を形成した試料の極点図である。
【図22】 本発明に係わるCr−Ga系試料について
電気抵抗率(ρ)の組成依存性を示す図である。
【図23】 本発明が適用されるAMRヘッドの他の例
の構造とバイアス磁界を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・軟磁性材料膜、2・・・電気絶縁層、3・・・AMR強
磁性体膜、4・・・反強磁性体膜、7・・・フリー強磁性体
膜、8・・・非磁性中間層、9・・・ピン止め強磁性体膜、1
0・・・反強磁性体膜、13・・・反強磁性体膜、21・・・強
磁性体膜、22・・・電気絶縁層、23・・・AMR強磁性体
膜、24・・・縦バイアス強磁性体膜、25・・・反強磁性体
膜、26・・・伝導層。
フロントページの続き (72)発明者 金 益準 宮城県仙台市太白区茂庭台4−25−19− 501 (72)発明者 宇山 浩子 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 長谷川 直也 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−61050(JP,A) 特開 平8−78758(JP,A) 特開 平6−13235(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/00 - 10/32 G11B 5/39 H01L 43/08 - 43/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Crと周期律表3b族元素のAl、G
    a、Inのうちの少なくとも1種の元素Mとからなる体
    心立方構造の結晶相を主体とする反強磁性体膜と、F
    e、Ni、Coのうちの少なくとも1種以上を含む強磁
    性体膜を接するように積層されてなり、前記反強磁性体
    膜と強磁性体膜との界面に磁気的交換結合が生じされ
    なり、前記反強磁性体膜は下記のいずれかの組成式によ
    って表されることを特徴とする交換結合膜。Cr x Al y (但し、組成比を示すx、yは、原子%で、
    60≦x≦90、10≦y≦40の範囲である。) Cr x Ga z (但し、組成比を示すx、zは、原子%で、
    85≦x≦95、5≦z≦15の範囲である。) Cr x In w (但し、組成比を示すx、wは、原子%で、
    85≦x≦95、5≦w≦15の範囲である。)
  2. 【請求項2】 前記反強磁性体膜が{100}、{11
    0}のいずれかに優先配向されてなることを特徴とする
    請求項1記載の交換結合膜。
  3. 【請求項3】 前記反強磁性体膜の結晶粒径Dが前記反
    強磁性体膜の磁壁幅δAFよりも小さくされてなることを
    特徴とする請求項1または2に記載の交換結合膜。
  4. 【請求項4】 前記反強磁性体膜の結晶粒径DがD≦3
    00Åの関係とされてなることを特徴とする請求項3に
    記載の交換結合膜。
  5. 【請求項5】 前記反強磁性体膜と強磁性体膜が基材上
    に下地膜を介して成膜されてなり、下地膜がMgO、A
    lN、Ta、ZnO、Si、Fe-Ni合金のうちの1
    種以上からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の交換結合膜。
  6. 【請求項6】 反強磁性体膜の自然腐食電位が、飽和カ
    ロメル電極に対して正の値を示すことを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載の交換結合膜。
  7. 【請求項7】 反強磁性体膜の膜厚が、300Å以上と
    されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに
    記載の交換結合膜。
  8. 【請求項8】 反強磁性体膜の比抵抗が200μΩ・c
    m以上とされてなることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載の交換結合膜。
  9. 【請求項9】 前記反強磁性体膜がCr x Al y なる組成
    式によって表されるものであり、組成比を示すx、yは、
    原子%で、65≦x≦80、20≦y≦35の範囲とされ
    てなることを特徴とする請求項1記載の交換結合膜。
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