JP3075314B2 - 超高強度ばね用鋼線の製造方法 - Google Patents

超高強度ばね用鋼線の製造方法

Info

Publication number
JP3075314B2
JP3075314B2 JP04011575A JP1157592A JP3075314B2 JP 3075314 B2 JP3075314 B2 JP 3075314B2 JP 04011575 A JP04011575 A JP 04011575A JP 1157592 A JP1157592 A JP 1157592A JP 3075314 B2 JP3075314 B2 JP 3075314B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spring
wire
steel wire
strength
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP04011575A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05202417A (ja
Inventor
孝彦 永松
保博 隠岐
信彦 茨城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP04011575A priority Critical patent/JP3075314B2/ja
Publication of JPH05202417A publication Critical patent/JPH05202417A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3075314B2 publication Critical patent/JP3075314B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超高強度ばね用鋼線の製
造方法に関し、詳しくは、例えば、内燃機関等のための
弁ばね等の製造に好適に用いることができる超高強度ば
ね用鋼線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】弁ばね等のように、耐疲労性や耐へたり
性が強く要求されるばね用鋼線としては、代表的には、
Si−Cr鋼のオイルテンパー線が用いられている。か
かるオイルテンパー線の引張強さは、線径に応じた概略
式として、TSmax を最大引張強さ(Kgf/mm2)とし、ワ
イヤ線径をd(mm)とするとき、 TSmax =71d-1/2+170 で与えられる。例えば、4mm径のワイヤについて、上記
式に基づいて求めた最大引張強さは、約205Kgf/mm2
である。
【0003】また、Si−Cr鋼に合金元素を加えて
も、得られる最大引張強さは、 TSmax =71d-1/2+190 が限界である。例えば、4mm径のワイヤについて、上記
式に基づいて求めた最大引張強さは、約225kgf/mm2
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、圧縮・引張コ
イルばねにおいて、ばねの高さH(mm)と、ばねに軸方
向力が作用した場合に素線に生じるねじり応力τ(Kgf/
mm2)は、それぞれ次式で与えられる。 H=A・Na・d (1) τ=8・P・d/(π・d3) (2) ここに、Aは定数、Naは有効巻数、dは素線径(m
m)、Pはばねにかかる荷重(Kgf)、Dはコイル平均径
(mm)である。
【0005】一般に、弁ばねの高さを低くすることよつ
て、弁ばねのみでなく、弁の駆動系全体及びそれを保護
しているブロツクを軽量化することができるが、ばねの
高さを低くするためには、前記 (1)式から理解されるよ
うに、有効巻数Naを減少させ、素線径dを小さくする
ことが必要である。しかし、この場合には、前記 (2)式
から明らかなように、ばねに作用する繰り返し応力が大
きくなるため、ばねの疲労寿命が低下する。
【0006】他方、エンジン等においては、その出力を
向上させるためには、エンジンの回転数を高めることが
最も有効であることが知られている。従つて、エンジン
の要部に用いられているばねについては、その固有振動
数を大きくすることが望まれることが少なくない。ここ
に、上記固有振動数fI は、JIS B 2704によれば、次式 fI =3.56×105 ・d/(Na・D2) (3) で与えられるので、固有振動数fI を大きくするために
は、有効巻数Naを減少させ、ばねの素線径を大きくす
ることが必要である。
【0007】しかし、素線径dを大きくすることは、軽
量化の観点から望ましくないために、素線径dを一定に
して、有効巻数Naを減少させることとなるが、この場
合にも、ばねに作用する繰り返し応力が大きくなるた
め、ばねの疲労寿命が低下する。以上の説明から、ばね
の疲労寿命を保証するためには、ばねの素材の強度を向
上させることが基本的に必要である。
【0008】従つて、本発明は、従来のばね用鋼におけ
る上記した種々の問題を解決し、高靭延性を有する超高
強度ばね用鋼線の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による超超高強度
ばね用鋼線の製造方法は、重量%で(a) C 0.30〜
0.80%、Si 0.80〜2.50%、Mn 0.10〜1.
50%、Al 0.10%以下、及びCr 0.30〜2.0
0%と、(b) W 0.01〜0.50%、Mo 0.01〜
0.50%、V 0.01〜0.50%、及びNb 0.01
〜0.50%よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素とを含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる線材
を冷間伸線加工し、次いで、インラインにて焼入れ焼も
どし処理を行なつた後、更に、10〜30%の減面率に
て冷間伸線を行なうことを特徴とする。
【0010】本発明による超高強度ばね用鋼線の製造に
用いる鋼材において、Cは、所要の強度を得るために必
要な元素であつて、本発明においては、少なくとも0.3
0%を添加することが必要である。しかし、過多に添加
するときは、靭性を劣化させるので、添加量の上限は0.
80%とする。Siは、鋼の脱酸に有効であると共に、
得られた線材をオイルテンパーした場合に強度を大きく
向上させる。これらの効果を有効に発現させるために
は、少なくとも0.80%を添加する必要がある。しか
し、2.50%を越えて過多に添加するときは、脱炭を助
長して、得られた線材表面の強度を低下させるのみなら
ず、Siはまた、Alの混入源であるので、Al量を必
要以上に増加させる。Al量の増大は、後述するよう
に、非延性介在物を生成させて、ばねの疲労特性を劣化
させる。従つて、本発明においては、Si量は0.80〜
2.50%の範囲とする。
【0011】Mnは、鋼の焼入れ性を高める効果を有
し、更に、鋼の靭延性に有害なSを固定する作用を有す
る。しかし、過多に添加するときは、処理鋼の延性を劣
化させ、高強度線材を得ることが困難となる。従つて、
本発明においては、Mnの添加量は0.10〜1.50%の
範囲とする。Alは、これを0.10%よりも多く添加す
るときは、多量の Al2O3を生成する。この Al2O3は、非
延性であるばかりではなく、非常に硬度が高いために、
ばねの早期破壊を招く。このように、Alは極力抑える
べき元素であつて、本発明においては、0.10%以下と
される。
【0012】Crは、脱炭を防止するのに有効であり、
また、ばねの温間での耐へたり性を向上させる。これら
効果を有効に発現させるためには、0.30%以上を添加
する必要がある。しかし、2.00%を越えて過多に添加
するときは、靭性を劣化させるので、添加量は0.30〜
2.00%の範囲とする。本発明においても線材には、上
記した元素に加えて、W、Mo、V及びNbよりなる群
から選ばれる少なくとも1種の元素を添加することがで
きる。
【0013】Wは、鋼中で炭化物を形成し、焼戻し時に
析出することによつて、微細析出強化を付与する。しか
し、添加量が0.01%よりも少ないときは、析出量が不
足する結果、上記した強化の効果が不十分である。しか
し、過多に添加しても、上記効果が飽和する。従つて、
本発明においては、Wの添加量は、0.01〜0.50%の
範囲とする。
【0014】Moも、鋼中で炭化物を形成し、焼戻し時
に微細な合金炭化物を析出し、二次硬化を促進させるこ
とによつて、耐へたり性と耐疲労特性を向上させる。し
かし、添加量が0.01%よりも少ないときは、上記した
効果が不十分であり、他方、過多に添加しても、上記効
果が飽和する。従つて、本発明においては、Moは、0.
01〜0.50%の範囲とする。
【0015】Vは、結晶粒を微細化し、耐力比を高める
ことによつて、耐へたり性を向上させる効果を有する。
かかる効果を有効に得るためには、0.01%以上を添加
する必要があるが、しかし、0.50%を越えて過多に添
加するときは、オーステナイト中に溶解されない合金炭
化物量が増加し、大きい塊状物となつて残存し、非金属
介在物となつて、耐疲労特性を損なう。従つて、Vの添
加量の上限は1.0%とする。
【0016】Nbも、Vと同様に、耐力比を高めること
によつて、耐へたり性を向上させる効果を有する。かか
る効果を有効に得るためには、0.01%以上を添加する
必要があるが、しかし、0.50%を越えて過多に添加し
ても、上記効果が飽和し、また、経済的にも不利である
ので、Nbの添加量の上限は0.5%とする。本発明によ
れば、上述したような化学成分を有する線材を冷間伸線
し、次いで、インラインにて焼入れ焼戻し処理を行なつ
た後、更に、10〜30%の減面率にて冷間伸線するこ
とによつて、超高強度ばね用鋼線を得る。
【0017】従つて、上記線材は、十分な靭延性を有し
ていることが必要であり、このため、ワイヤの引張強さ
TS(Kg/cm2)は、その線径をd(mm)とするとき、 71d-1/2+160 ≦TS≦71d-1/2+190 なる関係を満たすように、引張強さを調整することが好
ましい。焼入れ焼戻しは、Ac3温度よりも30〜50℃
高いオーステナイト温度に加熱保持した後、油焼入れ
し、その後、所定の強度を得るために、鉛等を用いて焼
戻しする。
【0018】本発明の方法によれば、このように焼入れ
焼戻し処理を行なつた後、ワイヤを酸洗し、表面処理し
た後、減面率10〜30%の範囲にて冷間伸線を行な
う。ことによつて、高強度を有しながら絞りにすぐれる
ばね用鋼線を得ることができる。減面率が10%よりも
少ないときは、強度が十分に向上せず、他方、30%を
越えるときは、ワイヤの靭延性が劣化する。
【0019】以上のようにして、ワイヤの引張強さをT
S(Kg/cm2)、ワイヤ線径をd(mm)、減面率をε(真
歪)とするとき、 71d-1/2+160 +(80 〜90) ε≦TS≦71d-1/2+190 +(80 〜90) ε (4) を満足する超超高強度ばね用鋼線を得ることができる。
【0020】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法によれば、
220Kgf/mm2 以上の高強度を有しながら、靭延性にす
ぐれるばね用鋼線を得ることができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。表1に示す化学成分を有する線材を冷間伸線し、イ
ンラインにて焼入れ、焼戻しした後、更に、表1に示す
減面率にて冷間伸線して、ばね用鋼線を得た。焼入れ・
焼戻し材、及びこの後、冷間伸線して得たばね用鋼線の
機械的性質を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】比較例A1は、冷間伸線とその後のインラ
インでの焼入れ、焼戻しによつて引張強さを230Kgf/
mm2 としたもので、絞りが低い。比較例A2は、焼入
れ、焼戻し後、30%を超える減面率にて冷間伸線した
ので、絞りの劣化が著しい。これに対して、本発明によ
れば、高強度で変靭延性を有するばね用鋼線を得ること
ができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−303036(JP,A) 特開 昭63−259028(JP,A) 特開 昭62−256950(JP,A) 特開 平2−217421(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/06,9/52 B21F 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で(a) C 0.30〜0.80%、S
    i 0.80〜2.50%、Mn 0.10〜1.50%、Al
    0.10%以下、及びCr 0.30〜2.00%と、(b)
    W 0.01〜0.50%、Mo 0.01〜0.50%、V
    0.01〜0.50%、及びNb 0.01〜0.50%よ
    りなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有
    し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる線材を冷間伸線
    加工し、次いで、インラインにて焼入れ焼もどし処理を
    行なつた後、更に、10〜30%の減面率にて冷間伸線
    を行なうことを特徴とする超高強度ばね用鋼線の製造方
    法。
JP04011575A 1992-01-27 1992-01-27 超高強度ばね用鋼線の製造方法 Expired - Lifetime JP3075314B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04011575A JP3075314B2 (ja) 1992-01-27 1992-01-27 超高強度ばね用鋼線の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04011575A JP3075314B2 (ja) 1992-01-27 1992-01-27 超高強度ばね用鋼線の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05202417A JPH05202417A (ja) 1993-08-10
JP3075314B2 true JP3075314B2 (ja) 2000-08-14

Family

ID=11781717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04011575A Expired - Lifetime JP3075314B2 (ja) 1992-01-27 1992-01-27 超高強度ばね用鋼線の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3075314B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0787541B1 (en) * 1994-10-20 2002-01-23 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Method of manufacturing seamless steel pipes and manufacturing equipment therefor
JP2012052218A (ja) * 2010-08-03 2012-03-15 Sumitomo Electric Ind Ltd ばね用鋼線及びその製造方法、並びにばね
KR20120134534A (ko) * 2011-06-02 2012-12-12 삼화강봉주식회사 금형수명이 개선된 고강도 냉간단조용 강선 및 그 제조방법
CN109439854B (zh) * 2018-11-08 2020-10-20 国家能源投资集团有限责任公司 一种1000MPa级超高强抗腐蚀高延伸率的锚杆钢及其生产方法
CN111321346B (zh) * 2020-03-05 2021-12-24 马鞍山钢铁股份有限公司 一种具有优异耐氢致延迟断裂性能的超高强度弹簧钢及其生产方法
CN116411217A (zh) * 2021-12-29 2023-07-11 无锡市蓝格林金属材料科技有限公司 一种弹簧钢丝及其生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05202417A (ja) 1993-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0853714A (ja) ねじり疲労強度に優れた機械構造用軸物部品
JPH0892690A (ja) 耐疲労特性に優れた浸炭部品およびその製造方法
JP2783145B2 (ja) 疲労強度の優れた窒化ばね用鋼および窒化ばね
JP3075314B2 (ja) 超高強度ばね用鋼線の製造方法
JPH064904B2 (ja) ばね用▲高▼強度オイルテンパー線
JPH01219121A (ja) 低温靭性の優れた極厚調質高張力鋼板の製造方法
JPH05125437A (ja) 結晶粒度安定化肌焼用鋼の製造方法
JPS62274051A (ja) 耐疲労性、耐へたり性に優れた弁ばね用鋼線
JPH11181542A (ja) 冷間加工性と高周波焼入れ性に優れた高周波焼入れ用鋼材とその製造方法
JPH05148581A (ja) 高強度ばね用鋼および高強度ばねの製造方法
JP2661911B2 (ja) 高強度ばね用鋼線
JPH07238343A (ja) 快削性浸炭用鋼及びその切削加工前熱処理法
JPS59170241A (ja) 高強度・高靭性ばね用鋼
JP3467929B2 (ja) 高周波焼入れ用高靱性熱間鍛造非調質鋼
JPH05331597A (ja) 高疲労強度コイルばね
JPH0254416B2 (ja)
JPS6130653A (ja) 高強度ばね鋼
JP2790303B2 (ja) 高疲労強度ばねの製造方法及びそれに用いる鋼線
JP3236756B2 (ja) 加工性および強度の優れた含b鋼および該含b鋼製鍛造部品の製造方法
JP3910242B2 (ja) 面内異方性の小さい高炭素鋼板
JP2767254B2 (ja) Cr−Mo肌焼鋼の製造方法
JPH11106866A (ja) 粗大粒防止特性に優れた肌焼鋼とその製造方法
JPH0570890A (ja) 耐遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼
JP3453501B2 (ja) ばね巻き加工後の残留応力の小さい冷間巻きばね用鋼
JP3055050B2 (ja) 高靱性歯車用鋼材の耐衝撃性向上方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080609

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090609

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110609

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120609

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120609

Year of fee payment: 12