JP3075314B2 - 超高強度ばね用鋼線の製造方法 - Google Patents
超高強度ばね用鋼線の製造方法Info
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Description
造方法に関し、詳しくは、例えば、内燃機関等のための
弁ばね等の製造に好適に用いることができる超高強度ば
ね用鋼線の製造方法に関する。
性が強く要求されるばね用鋼線としては、代表的には、
Si−Cr鋼のオイルテンパー線が用いられている。か
かるオイルテンパー線の引張強さは、線径に応じた概略
式として、TSmax を最大引張強さ(Kgf/mm2)とし、ワ
イヤ線径をd(mm)とするとき、 TSmax =71d-1/2+170 で与えられる。例えば、4mm径のワイヤについて、上記
式に基づいて求めた最大引張強さは、約205Kgf/mm2
である。
も、得られる最大引張強さは、 TSmax =71d-1/2+190 が限界である。例えば、4mm径のワイヤについて、上記
式に基づいて求めた最大引張強さは、約225kgf/mm2
である。
イルばねにおいて、ばねの高さH(mm)と、ばねに軸方
向力が作用した場合に素線に生じるねじり応力τ(Kgf/
mm2)は、それぞれ次式で与えられる。 H=A・Na・d (1) τ=8・P・d/(π・d3) (2) ここに、Aは定数、Naは有効巻数、dは素線径(m
m)、Pはばねにかかる荷重(Kgf)、Dはコイル平均径
(mm)である。
て、弁ばねのみでなく、弁の駆動系全体及びそれを保護
しているブロツクを軽量化することができるが、ばねの
高さを低くするためには、前記 (1)式から理解されるよ
うに、有効巻数Naを減少させ、素線径dを小さくする
ことが必要である。しかし、この場合には、前記 (2)式
から明らかなように、ばねに作用する繰り返し応力が大
きくなるため、ばねの疲労寿命が低下する。
向上させるためには、エンジンの回転数を高めることが
最も有効であることが知られている。従つて、エンジン
の要部に用いられているばねについては、その固有振動
数を大きくすることが望まれることが少なくない。ここ
に、上記固有振動数fI は、JIS B 2704によれば、次式 fI =3.56×105 ・d/(Na・D2) (3) で与えられるので、固有振動数fI を大きくするために
は、有効巻数Naを減少させ、ばねの素線径を大きくす
ることが必要である。
量化の観点から望ましくないために、素線径dを一定に
して、有効巻数Naを減少させることとなるが、この場
合にも、ばねに作用する繰り返し応力が大きくなるた
め、ばねの疲労寿命が低下する。以上の説明から、ばね
の疲労寿命を保証するためには、ばねの素材の強度を向
上させることが基本的に必要である。
る上記した種々の問題を解決し、高靭延性を有する超高
強度ばね用鋼線の製造方法を提供することを目的とす
る。
ばね用鋼線の製造方法は、重量%で(a) C 0.30〜
0.80%、Si 0.80〜2.50%、Mn 0.10〜1.
50%、Al 0.10%以下、及びCr 0.30〜2.0
0%と、(b) W 0.01〜0.50%、Mo 0.01〜
0.50%、V 0.01〜0.50%、及びNb 0.01
〜0.50%よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素とを含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる線材
を冷間伸線加工し、次いで、インラインにて焼入れ焼も
どし処理を行なつた後、更に、10〜30%の減面率に
て冷間伸線を行なうことを特徴とする。
用いる鋼材において、Cは、所要の強度を得るために必
要な元素であつて、本発明においては、少なくとも0.3
0%を添加することが必要である。しかし、過多に添加
するときは、靭性を劣化させるので、添加量の上限は0.
80%とする。Siは、鋼の脱酸に有効であると共に、
得られた線材をオイルテンパーした場合に強度を大きく
向上させる。これらの効果を有効に発現させるために
は、少なくとも0.80%を添加する必要がある。しか
し、2.50%を越えて過多に添加するときは、脱炭を助
長して、得られた線材表面の強度を低下させるのみなら
ず、Siはまた、Alの混入源であるので、Al量を必
要以上に増加させる。Al量の増大は、後述するよう
に、非延性介在物を生成させて、ばねの疲労特性を劣化
させる。従つて、本発明においては、Si量は0.80〜
2.50%の範囲とする。
し、更に、鋼の靭延性に有害なSを固定する作用を有す
る。しかし、過多に添加するときは、処理鋼の延性を劣
化させ、高強度線材を得ることが困難となる。従つて、
本発明においては、Mnの添加量は0.10〜1.50%の
範囲とする。Alは、これを0.10%よりも多く添加す
るときは、多量の Al2O3を生成する。この Al2O3は、非
延性であるばかりではなく、非常に硬度が高いために、
ばねの早期破壊を招く。このように、Alは極力抑える
べき元素であつて、本発明においては、0.10%以下と
される。
また、ばねの温間での耐へたり性を向上させる。これら
効果を有効に発現させるためには、0.30%以上を添加
する必要がある。しかし、2.00%を越えて過多に添加
するときは、靭性を劣化させるので、添加量は0.30〜
2.00%の範囲とする。本発明においても線材には、上
記した元素に加えて、W、Mo、V及びNbよりなる群
から選ばれる少なくとも1種の元素を添加することがで
きる。
析出することによつて、微細析出強化を付与する。しか
し、添加量が0.01%よりも少ないときは、析出量が不
足する結果、上記した強化の効果が不十分である。しか
し、過多に添加しても、上記効果が飽和する。従つて、
本発明においては、Wの添加量は、0.01〜0.50%の
範囲とする。
に微細な合金炭化物を析出し、二次硬化を促進させるこ
とによつて、耐へたり性と耐疲労特性を向上させる。し
かし、添加量が0.01%よりも少ないときは、上記した
効果が不十分であり、他方、過多に添加しても、上記効
果が飽和する。従つて、本発明においては、Moは、0.
01〜0.50%の範囲とする。
ことによつて、耐へたり性を向上させる効果を有する。
かかる効果を有効に得るためには、0.01%以上を添加
する必要があるが、しかし、0.50%を越えて過多に添
加するときは、オーステナイト中に溶解されない合金炭
化物量が増加し、大きい塊状物となつて残存し、非金属
介在物となつて、耐疲労特性を損なう。従つて、Vの添
加量の上限は1.0%とする。
によつて、耐へたり性を向上させる効果を有する。かか
る効果を有効に得るためには、0.01%以上を添加する
必要があるが、しかし、0.50%を越えて過多に添加し
ても、上記効果が飽和し、また、経済的にも不利である
ので、Nbの添加量の上限は0.5%とする。本発明によ
れば、上述したような化学成分を有する線材を冷間伸線
し、次いで、インラインにて焼入れ焼戻し処理を行なつ
た後、更に、10〜30%の減面率にて冷間伸線するこ
とによつて、超高強度ばね用鋼線を得る。
ていることが必要であり、このため、ワイヤの引張強さ
TS(Kg/cm2)は、その線径をd(mm)とするとき、 71d-1/2+160 ≦TS≦71d-1/2+190 なる関係を満たすように、引張強さを調整することが好
ましい。焼入れ焼戻しは、Ac3温度よりも30〜50℃
高いオーステナイト温度に加熱保持した後、油焼入れ
し、その後、所定の強度を得るために、鉛等を用いて焼
戻しする。
焼戻し処理を行なつた後、ワイヤを酸洗し、表面処理し
た後、減面率10〜30%の範囲にて冷間伸線を行な
う。ことによつて、高強度を有しながら絞りにすぐれる
ばね用鋼線を得ることができる。減面率が10%よりも
少ないときは、強度が十分に向上せず、他方、30%を
越えるときは、ワイヤの靭延性が劣化する。
S(Kg/cm2)、ワイヤ線径をd(mm)、減面率をε(真
歪)とするとき、 71d-1/2+160 +(80 〜90) ε≦TS≦71d-1/2+190 +(80 〜90) ε (4) を満足する超超高強度ばね用鋼線を得ることができる。
220Kgf/mm2 以上の高強度を有しながら、靭延性にす
ぐれるばね用鋼線を得ることができる。
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。表1に示す化学成分を有する線材を冷間伸線し、イ
ンラインにて焼入れ、焼戻しした後、更に、表1に示す
減面率にて冷間伸線して、ばね用鋼線を得た。焼入れ・
焼戻し材、及びこの後、冷間伸線して得たばね用鋼線の
機械的性質を表1に示す。
インでの焼入れ、焼戻しによつて引張強さを230Kgf/
mm2 としたもので、絞りが低い。比較例A2は、焼入
れ、焼戻し後、30%を超える減面率にて冷間伸線した
ので、絞りの劣化が著しい。これに対して、本発明によ
れば、高強度で変靭延性を有するばね用鋼線を得ること
ができる。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で(a) C 0.30〜0.80%、S
i 0.80〜2.50%、Mn 0.10〜1.50%、Al
0.10%以下、及びCr 0.30〜2.00%と、(b)
W 0.01〜0.50%、Mo 0.01〜0.50%、V
0.01〜0.50%、及びNb 0.01〜0.50%よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有
し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる線材を冷間伸線
加工し、次いで、インラインにて焼入れ焼もどし処理を
行なつた後、更に、10〜30%の減面率にて冷間伸線
を行なうことを特徴とする超高強度ばね用鋼線の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04011575A JP3075314B2 (ja) | 1992-01-27 | 1992-01-27 | 超高強度ばね用鋼線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04011575A JP3075314B2 (ja) | 1992-01-27 | 1992-01-27 | 超高強度ばね用鋼線の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05202417A JPH05202417A (ja) | 1993-08-10 |
JP3075314B2 true JP3075314B2 (ja) | 2000-08-14 |
Family
ID=11781717
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04011575A Expired - Lifetime JP3075314B2 (ja) | 1992-01-27 | 1992-01-27 | 超高強度ばね用鋼線の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3075314B2 (ja) |
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KR20120134534A (ko) * | 2011-06-02 | 2012-12-12 | 삼화강봉주식회사 | 금형수명이 개선된 고강도 냉간단조용 강선 및 그 제조방법 |
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-
1992
- 1992-01-27 JP JP04011575A patent/JP3075314B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH05202417A (ja) | 1993-08-10 |
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