JP3074121B2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents

自動車の車体前部構造

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JP3074121B2
JP3074121B2 JP07028856A JP2885695A JP3074121B2 JP 3074121 B2 JP3074121 B2 JP 3074121B2 JP 07028856 A JP07028856 A JP 07028856A JP 2885695 A JP2885695 A JP 2885695A JP 3074121 B2 JP3074121 B2 JP 3074121B2
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芳春 奥山
真一 安良城
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ボデーを形成する前
面板、車室の前面を形成するダッシュパネル、およびス
ペアタイヤ支持用の支持体を備えた自動車の車体前部構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体前部には、従来、車体フレ
ームと、この車体フレーム上に支持されるボデーとが備
えられ、このボデーの前面部が前面板で形成され、同上
ボデー内の車室の前面がダッシュパネルで形成され、上
記前面板にダッシュパネルが接近するよう設けられたも
のがある。
【0003】また、自動車には、例えば、実開平2‐8
8887号公報で示されるように、車体フレームの前部
にスペアタイヤ支持用の支持体を取り付けたものがあ
る。
【0004】更に、自動車には、例えば、実開平4‐1
33991号公報で示されるようにエンジン冷却用のラ
ジエータを設けたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特に、車体
の前部は、衝突に対処するため等の理由で、十分に補強
されることが望まれるが、上記構成における前面板とダ
ッシュパネルを個々に補強すると、部品点数が増えて車
体の構成が複雑になると共に、車体の成形が煩雑になる
という問題がある。
【0006】また、スペアタイヤは重いものであること
から、上記支持体には、従来より、十分の強度が与えら
れるが、このために、この支持体の形状や重量が大きく
なり、かつ、構成が複雑になるという問題がある。
【0007】更に、ラジエータは熱交換の効率を向上さ
せるため、極めて薄いフィンを多数備えたものであっ
て、その各部強度は低いものであるため、衝突時等の衝
撃からより確実に保護することが望まれ、かつ、この場
合の保護が簡単な構成で、かつ、十分の強度でなされる
ことが望まれている。
【0008】
【発明の目的】この発明は、上記のような事情に注目し
てなされたもので、車体の前部の補強が簡単な構成で達
成され、かつ、このように補強した車体の成形が容易に
できるようにすることを目的とする。
【0009】また、車体に対するスペアタイヤの支持
が、コンパクト、軽量、かつ、簡単な構成でなされ、し
かも、この場合のスペアタイヤの支持が十分の強度でな
されるようにすることを目的とする。
【0010】更に、衝突時の衝撃等に対するラジエータ
の保護が簡単な構成で、かつ、十分の強度でより確実に
なされるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
のこの発明の自動車の車体前部構造は、車体2が車体フ
レーム3と、この車体フレーム3上に支持されるボデー
4とを備え、このボデー4の前面部を前面板6で形成
し、同上ボデー4内の車室12の前面をダッシュパネル
14で形成し、上記前面板6の下部にダッシュパネル1
4を隣接させると共に、同上前面板6の上部にフロント
ウィンド28を設け、一方、上記車体フレーム3の前部
にスペアタイヤ76支持用の支持体77を取り付けた場
合において、左右に延びて上記前面板6の下部とダッシ
ュパネル14とにそれぞれ結合される横断面が箱形のフ
ロントメンバ60を設け、このフロントメンバ60と上
記支持体77とにスペアタイヤブラケット78を架設
し、このスペアタイヤブラケット78に上記スペアタイ
ヤ76を着脱自在に支持させたものである。
【0012】上記の場合、ラジエータ68を支持体77
の後方に配設してもよい。
【0013】
【作 用】上記構成による作用は次の如くである。
【0014】左右に延びてボデー4の前面板6の下部と
車室12の前面のダッシュパネル14とにそれぞれ結合
される横断面が箱形のフロントメンバ60を設けてあ
る。
【0015】このため、前面板6とダッシュパネル14
はそれぞれフロントメンバ60によって補強され、つま
り、上記前面板6等のそれぞれの補強にフロントメンバ
60が共用されたのであり、よって、上記前面板6等を
個々に補強することに比べて、車体2の前部が少ない部
品で補強される。
【0016】また、上記フロントメンバ60と、車体フ
レーム3の前部に取り付けられたスペアタイヤ76支持
用の支持体77とにスペアタイヤブラケット78を架設
し、このスペアタイヤブラケット78に上記スペアタイ
ヤ76を着脱自在に支持させてある。
【0017】このため、車体2の前部の補強のためのフ
ロントメンバ60が上記スペアタイヤ76の支持に利用
されることとなっている。
【0018】上記構成において、ラジエータ68を支持
体77の後方に配設してもよい。
【0019】このようにすれば、衝突時の衝撃等に対す
るラジエータ68の保護に、スペアタイヤ76支持用の
支持体77が利用されることとなる。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。
【0021】図中符号1は自動車で、矢印Frはその前
方を示し、下記する左右とは、上記前方に向っての車幅
方向をいうものとする。
【0022】上記自動車1の車体2は車体フレーム3
と、この車体フレーム3の前部に支持されるボデー4
と、同上車体フレーム3の後部に支持される荷台5とを
備え、上記ボデー4と荷台5は上記車体フレーム3の上
側に位置している。上記ボデー4は板金製で、その前面
部を構成する前面板6、左右各側部を構成する外側板
7、上部を構成する上面板8、および、後部を構成する
図示しない後面板を有し、上記前面板6はほぼ平坦な前
下がり形状となっている。また、上記車体フレーム3の
前方近傍、かつ、前面板6の下方近傍にはフロントバン
パ10が設けられ、このフロントバンパ10は上記車体
フレーム3に支持されて、車体2の前部を保護してい
る。
【0023】上記ボデー4の内部には車室12が設けら
れている。この車室12の底部はフロアパネル13で形
成され、このフロアパネル13は上記車体フレーム3の
上面側に支持されている。また、上記フロアパネル13
の前縁は前上方に延びて、これがダッシュパネル14と
されている。このダッシュパネル14により、上記車室
12の前面下部が形成されている。上記前面板6の下部
にダッシュパネル14が前後方向で接近させられて隣接
させられており、このダッシュパネル14の上縁は上記
前面板6の上下方向の中途部に、スポット溶接により結
合させられている。
【0024】上記車体フレーム3の前部の左右各側部に
それぞれ前輪16が懸架装置17により懸架されてい
る。また、同上車体フレーム3の後部の左右各側部にそ
れぞれ後輪18が懸架され、これら前輪16と後輪18
によって車体2が路面19上に支持されている。上記各
前輪16は操向輪とされ、一方、各後輪18は車体フレ
ーム3に支持された図示しないエンジンにより駆動さ
れ、これによって自動車1が路面19上を走行可能とさ
れる。
【0025】上記車体フレーム3は左右一対のサイドフ
レーム21,21を有し、これら各サイドフレーム21
は車体2の左右各側部に位置して前後方向に延びてい
る。また、上記左右サイドフレーム21,21の各前端
同士を結合させる前クロスメンバ22と、同上左右サイ
ドフレーム21,21の各後端同士や、前後方向の中途
部同士を結合させる図示しないクロスメンバが設けら
れ、これら前クロスメンバ22やその他のクロスメンバ
はそれぞれ円形のパイプで成形されている。
【0026】上記前面板6はその上部を構成する上部パ
ネル24と、下部を構成する下部パネル25とで構成さ
れ、これらは上下方向に並設されている。上記上部パネ
ル24は、前記各外側板7と上面板8の各前縁に一体成
形、もしくはスポット溶接により固着され、上記下部パ
ネル25は、上記上部パネル24の下縁と前記フロント
バンパ10との間の開口23を開閉自在に閉じている。
また、前記ダッシュパネル14の上縁部26が、上記前
面板6の上下方向の中途部である上記上部パネル24の
下縁部27に、スポット溶接により結合させられてい
る。
【0027】上記ボデー4の前面板6の上部にフロント
ウィンド28が設けられている。このフロントウィンド
28は上記前面板6の上部パネル24に形成されるウィ
ンド開口29と、このウィンド開口29を閉じるガラス
板30とで構成されている。上記ウィンド開口29の下
部開口縁における上部パネル24の後面には左右に延び
る補強板31が固着され、上記上部パネル24と補強板
31とで横断面が箱形の補強部32が形成されている。
この補強部32により、上記前面板6の上部パネル24
が補強され、ウィンド開口29を設けたことによる強度
低下が十分に補填されている。
【0028】前記ボデー4の各外側板7にはそれぞれサ
イドドア35が設けられている。これら各サイドドア3
5は上記外側板7に形成されたドア開口36と、このド
ア開口36を開閉自在とするドア37とで構成されてい
る。上記ドア開口36の前部開口縁は上記外側板7の一
部で構成されるフロントピラー38であり、このフロン
トピラー38に上下一対のヒンジ39,39により上記
ドア37が左右回動自在に枢支され、この回動で上記ド
ア開口36が開閉自在に閉じられている。
【0029】上記各外側板7は左右方向で少し離れて互
いに対面し、かつ、互いに結合されるインナパネル40
とアウタパネル41を有している。上記フロントピラー
38の下部は、上記インナパネル40とアウタパネル4
1の二つの部材を断面が箱形となるよう互いに結合させ
ることにより形成され、その下端側はこれに対応する前
記サイドフレーム21に強固に結合させられている。ま
た、上記フロントピラー38の上部は、上記インナパネ
ル40、アウタパネル41、および前記上部パネル24
の外側部の三つの部材を断面が箱形となるよう互いにス
ポット溶接により結合させることにより形成され、その
上端側は前記上面板8の側部に強固に結合させられてい
る。
【0030】前記懸架装置17は、車体フレーム3の前
部の左右各側部である各サイドフレーム21の外側面に
取り付けられたブラケット44を有している。このブラ
ケット44は、前後に離れて対面し、上記サイドフレー
ム21の外側面に固着された前、後板45,46と、こ
れら前、後板45,46の上縁同士を結合させる上板4
7と、これら前、後板45,46と上板47の各車幅方
向の内側縁同士を結合させる側板48とを有し、上記上
板47を含むブラケット44の上部は、上記サイドフレ
ーム21の外側上方に突出している。
【0031】上記各ブラケット44の下方で、上記各サ
イドフレーム21にロアアーム50が枢支軸51により
上下回動自在に枢支され、上記ロアアーム50の回動端
52は上記サイドフレーム21の外側方に突出してい
る。上記ブラケット44の下側に軸心がほぼ縦向きのシ
ョックアブソーバ53が設けられ、このショックアブソ
ーバ53は上記ブラケット44の上部である上板47
と、上記ロアアーム50の回動端52とに架設されて、
これら47,52に支持されている。このショックアブ
ソーバ53は油圧シリンダ式のアブソーバ本体54と、
このアブソーバ本体54を伸長させる方向に付勢するば
ね55とで構成されている。
【0032】上記アブソーバ本体54の下部にはステア
リングナックル57が一体成形され、このステアリング
ナックル57の外側面から外側方にほぼ水平に車軸58
が突設され、この車軸58に前記前輪16がその軸心回
りに回転自在に支承されている。
【0033】上記懸架装置17を介して前輪16が車体
2を支持するとき、この車体2の重量はショックアブソ
ーバ53のばね55が支持してアブソーバ本体54と共
に多少圧縮させられる。そして、自動車1が走行する際
の衝撃力が上記ショックアブソーバ53に与えられる
と、このショックアブソーバ53のアブソーバ本体54
とばね55とが伸縮して、アブソーバ本体54の内部の
油がピストンで仕切られた一方の室から他方の室に流動
することにより、上記衝撃力が吸収される。また、この
とき、ショックアブソーバ53から上記ブラケット44
に与えられる負荷は、このブラケット44に対し上方に
向って与えられる。
【0034】上記前面板6とダッシュパネル14とにそ
れぞれ結合されてこれらを補強するフロントメンバ60
が設けられている。このフロントメンバ60は車体2の
幅方向ほぼ全体にわたるよう左右に延びている。このフ
ロントメンバ60はその左右方向の少なくとも一部であ
る上記左右ブラケット44,44間でその横断面が箱形
とされており、この形状によってフロントメンバ60は
左右全長にわたりほぼ全体的に十分に大きい強度と剛性
とを備えている。そして、このフロントメンバ60は上
記前面板6とダッシュパネル14とをそれぞれ車幅方向
のほぼ全体にわたり、十分に補強している。
【0035】上記フロントメンバ60は上記ダッシュパ
ネル14の上縁部26と、この上縁部26の車外側の面
である前面にスポット溶接により結合させられる補強板
62とで構成されている。この場合、前記したようにダ
ッシュパネル14の上縁部26と、上部パネル24の下
縁部27とが結合させられており、この結合部に上記補
強板62の上縁部がスポット溶接により結合させられて
いる。これにより、上記フロントメンバ60が上記前面
板6の上下方向の中途部に結合させられている。また、
上記ダッシュパネル14の一部であるその上縁部26が
フロントメンバ60の一部を構成していることから、こ
れにより、このフロントメンバ60が上記ダッシュパネ
ル14に結合させられることとなっている。
【0036】前記したように各フロントピラー38は断
面が箱形とされて、十分の強度と剛性とを有しており、
これら各フロントピラー38の下部は、前記ブラケット
44の上板47の上端面における後部に、スポット溶接
により結合させられ、これにより、上記ブラケット44
が十分に補強されている。
【0037】一方、上記フロントメンバ60の左右各端
部63は断面が箱形ではないが、これを構成する前記ダ
ッシュパネル14の上縁部26はそれぞれ左右外側方に
突出して断面がL字状をなすと共に、同上各端部63を
構成する前記補強板62の左右各端部も断面がL字状を
なして、上記フロントメンバ60の各端部63は十分の
強度と剛性とを有している。そして、このフロントメン
バ60の各端部63は、上記ブラケット44の上板47
の上端面における前部に、スポット溶接により結合させ
られ、これにより、上記ブラケット44が更に十分に補
強されている。
【0038】上記の場合、フロントピラー38と、フロ
ントメンバ60の端部63とは共に上記ブラケット44
の上端面に結合させられるため、特に、前記ショックア
ブソーバ53からブラケット44に対し上方に向って与
えられる負荷に、上記フロントピラー38と、フロント
メンバ60の端部63とが効果的に対抗する。即ち、上
記したフロントピラー38と、フロントメンバ60の端
部63とによるブラケット44の補強は、上記ショック
アブソーバ53からの負荷に対し極めて有効に働くこと
となる。
【0039】また、上記フロントピラー38の下部と、
フロントメンバ60の端部63とは、上記上板47に対
するアブソーバ本体54の上端の支持部64を前後から
挟むように位置している。即ち、上記支持部64の負荷
は、上記フロントピラー38とフロントメンバ60とに
よって二点支持された上板47の前後方向の中途部で支
持されるのであり、もって、上記ショックアブソーバ5
3は車体フレーム3に対しブラケット44を介して強固
に支持されることとなっている。
【0040】上記の場合、前面板6、ダッシュパネル1
4、および各ブラケット44はそれぞれフロントメンバ
60によって補強され、つまり、上記前面板6等のそれ
ぞれの補強にフロントメンバ60が共用されたのであ
り、よって、上記前面板6等を個々に補強することに比
べて、車体2の前部が少ない部品で補強される。
【0041】しかも、上記フロントメンバ60は断面箱
形であって強度と剛性を十分大きくし易い形状であると
共に、このフロントメンバ60によって上記前面板6等
が互いに結合させられるため、簡単な構成でありなが
ら、車体2の前部は十分に補強されることとなる。
【0042】上記車体2の前部内には、前面板6の下部
パネル25と、ダッシュパネル14とにより前後から挟
まれた余剰の空間67があり、この空間67を利用し
て、この空間67に、前記エンジンの水冷用ラジエータ
68が設けられ、このラジエータ68は縦向きに設けら
れている。このラジエータ68は、前記前クロスメンバ
22の左右方向の中途部である中央部に取り付けられた
下部支持片69と、上記フロントメンバ60の補強板6
2の左右方向の中途部に取り付けられた左右一対の上部
支持片70,70とに対し、それぞれ緩衝体と締結具と
による取付具71を介して着脱自在に三点支持されてい
る。
【0043】上記の場合、ラジエータ68の配設に余剰
の空間67が利用されたのであり、よって、その分、ラ
ジエータ68の配設構造がコンパクトとなる。また、同
上ラジエータ68の支持に強度の大きいフロントメンバ
60が利用されたのであり、このため、このラジエータ
68の支持が十分強固になされると共に、この支持に別
途の支持部材を設けないで済む分、このラジエータ68
の支持が簡単な構成で得られることとなる。
【0044】また、上記フロントメンバ60の左右各端
部63には、車体2の前方を照射可能とするヘッドライ
ト72が支持されている。
【0045】上記の場合、ヘッドライト72の支持に強
度の大きいフロントメンバ60が利用されたのであり、
このため、このヘッドライト72の支持が十分強固にな
されると共に、この支持に別途の支持部材を設けないで
済む分、このヘッドライト72の支持が簡単な構成で得
られることとなる。
【0046】上記車体2の前部に支持装置75によりス
ペアタイヤ76が着脱自在に支持されている。このスペ
アタイヤ76は前輪16や後輪18と交換可能なもので
ある。
【0047】上記支持装置75は、上記空間67で、左
右サイドフレーム21,21の各前端に架設される支持
体77を有している。この支持体77は断面円形のパイ
プ材で成形され、この支持体77は左右サイドフレーム
21の結合強度を向上させている。上記支持体77は上
記フロントメンバ60の前下方に位置し、これら支持体
77とフロントメンバ60の左右方向の中途部に上下に
長い板状のスペアタイヤブラケット78が架設されてい
る。このスペアタイヤブラケット78の上下各端は上記
フロントメンバ60と、支持体77のそれぞれに溶接に
より結合させられ、つまり、上記スペアタイヤブラケッ
ト78は上記フロントメンバ60と支持体77に対し上
下方向の両端の支持により強固に支持されている。
【0048】上記スペアタイヤブラケット78は下部パ
ネル25よりも空間67側に位置しており、上記スペア
タイヤブラケット78の長手方向の中途部は上記下部パ
ネル25に形成した開口79を通して車体2の前方に露
出している。上記スペアタイヤブラケット78の長手方
向の中途部に支持具80が締結具81により着脱自在に
締結され、上記支持具80は前面板6の外部でその前方
近傍に位置している。そして、上記支持具80にその前
方から上記スペアタイヤ76が締結具82により着脱自
在に締結され、つまり、スペアタイヤ76は上記支持具
80と締結具82を介して上記スペアタイヤブラケット
78の長手方向中途部に着脱自在に支持されている。
【0049】上記の場合、スペアタイヤブラケット78
はフロントメンバ60と支持体77とに両端支持により
強固に支持され、かつ、上記フロントメンバ60は十分
の強度と剛性とを有していることから、上記スペアタイ
ヤ76は車体2の車体フレーム3側に対し強固に支持さ
れている。
【0050】また、前記ラジエータ68は、上記フロン
トバンパ10、前クロスメンバ22、支持体77、およ
びスペアタイヤブラケット78の後方に配設されてい
る。このため、自動車1が前進走行中に何等かの物体に
衝突したとき、この衝撃により上記ラジエータ68が破
損することは、上記フロントバンパ10、前クロスメン
バ22、支持体77、およびスペアタイヤブラケット7
8によって防止される。つまり、上記前クロスメンバ2
2、支持体77、スペアタイヤブラケット78等が上記
ラジエータ68の保護に有効利用されている。
【0051】しかも、上記支持体77やスペアタイヤブ
ラケット78は互いに結合させられ、しかも、これら7
7,78は強度と剛性の大きいフロントメンバ60に結
合させられているため、上記支持体77やスペアタイヤ
ブラケット78によるラジエータ68の保護は十分の強
度でより確実になされる。
【0052】上記前面板6の外面側には、上記支持装置
75により支持したスペアタイヤ76に対応して円形の
凹所84が形成されている。そして、この凹所84にス
ペアタイヤ76を少しでも接近させたり嵌入させたりす
ることにより、スペアタイヤ76による空気抵抗の増大
や、車体2の見栄えの低下が抑制されている。
【0053】また、上記凹所84は上記前面板6の折り
曲げにより形成されており、これにより、この前面板6
の剛性が向上させられている。
【0054】なお、以上は図示の例によるが、前面板6
とダッシュパネル14とは一体成形されたものであって
もよい。
【0055】
【発明の効果】この発明によれば、左右に延びてボデー
の前面板の下部と車室の前面のダッシュパネルとにそれ
ぞれ結合される横断面が箱形のフロントメンバを設けて
ある。
【0056】このため、前面板とダッシュパネルはそれ
ぞれフロントメンバによって補強され、つまり、上記前
面板等のそれぞれの補強にフロントメンバが共用された
のであり、よって、上記前面板等を個々に補強すること
に比べて、車体の前部が少ない部品で補強され、この補
強が簡単な構成で達成される。
【0057】しかも、上記フロントメンバは横断面が箱
形であって、これは強度と剛性を十分大きくし易い形状
であると共に、このフロントメンバによって上記前面板
等が互いに結合させられるため、上記したように簡単な
構成でありながら、車体の前部は十分に補強されること
となる。
【0058】また、上記したように車体の前部の構成は
簡単であるため、上記したように補強を十分にしたもの
でありながら、その車体の前部の成形は容易にできるこ
ととなる。
【0059】また、上記フロントメンバと、車体フレー
ムの前部に取り付けられたスペアタイヤ支持用の支持体
とにスペアタイヤブラケットを架設し、このスペアタイ
ヤブラケットに上記スペアタイヤを着脱自在に支持させ
てある。
【0060】このため、車体の前部の補強のためのフロ
ントメンバが上記スペアタイヤの支持に利用されたので
あり、その分、車体に対するスペアタイヤの支持がコン
パクト、軽量、かつ、簡単な構成でなされる。また、上
記フロントメンバはその横断面が箱形で、十分に大きい
強度と剛性とを有するものであるため、このフロントメ
ンバと支持体とに架設されたスペアタイヤブラケットに
対する上記スペアタイヤの支持は、十分の強度でなされ
ることとなる。
【0061】上記構成において、ラジエータを支持体の
後方に配設してもよい。
【0062】このようにすれば、衝突時の衝撃等に対す
るラジエータの保護に、スペアタイヤ支持用の支持体が
利用されたのであり、よって、上記ラジエータの保護は
簡単な構成でなされる。
【0063】しかも、上記支持体はスペアタイヤブラケ
ットを介して強度と剛性の大きいフロントメンバに結合
させられているため、上記支持体によるラジエータの保
護は十分の強度でより確実になされることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3の1‐1線矢視断面図である。
【図2】自動車の全体斜視図である。
【図3】ボデーを外した自動車の前部斜視図である。
【図4】図3で示したものの側面部分断面図である。
【図5】図4で示したものの正面部分断面図である。
【符号の説明】
1 自動車 2 車体 3 車体フレーム 4 ボデー 6 前面板 7 外側板 10 フロントバンパ 12 車室 14 ダッシュパネル 21 サイドフレーム 24 上部パネル 25 下部パネル 28 フロントウィンド 38 フロントピラー 60 フロントメンバ 62 補強板 63 端部 64 支持部 67 空間 68 ラジエータ 75 支持装置 76 スペアタイヤ 77 支持体 78 スペアタイヤブラケット 79 開口 80 支持具 81 締結具 82 締結具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−169373(JP,A) 特開 平5−246349(JP,A) 特開 平6−344952(JP,A) 実開 昭62−139787(JP,U) 実開 昭57−76184(JP,U) 実開 昭55−71184(JP,U) 実開 昭60−134078(JP,U) 実開 平2−88887(JP,U) 実開 平4−133991(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 25/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体が車体フレームと、この車体フレー
    ム上に支持されるボデーとを備え、このボデーの前面部
    を前面板で形成し、同上ボデー内の車室の前面をダッシ
    ュパネルで形成し、上記前面板の下部にダッシュパネル
    を隣接させると共に、同上前面板の上部にフロントウィ
    ンドを設け、一方、上記車体フレームの前部にスペアタ
    イヤ支持用の支持体を取り付けた自動車の車体前部構造
    において、 左右に延びて上記前面板の下部とダッシュパネルとにそ
    れぞれ結合される横断面が箱形のフロントメンバを設
    け、このフロントメンバと上記支持体とにスペアタイヤ
    ブラケットを架設し、このスペアタイヤブラケットに上
    記スペアタイヤを着脱自在に支持させた自動車の車体前
    部構造。
  2. 【請求項2】 ラジエータを支持体の後方に配設した請
    求項1に記載の自動車の車体前部構造。
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