JP3074120B2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents

自動車の車体前部構造

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JP3074120B2
JP3074120B2 JP07028854A JP2885495A JP3074120B2 JP 3074120 B2 JP3074120 B2 JP 3074120B2 JP 07028854 A JP07028854 A JP 07028854A JP 2885495 A JP2885495 A JP 2885495A JP 3074120 B2 JP3074120 B2 JP 3074120B2
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芳春 奥山
真一 安良城
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Daihatsu Motor Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ボデーを形成する前
面板およびフロントピラーと、前輪懸架用のブラケット
とを備えた自動車の車体前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】上記自動車の車体前部構造には、従来、
車体が車体フレームと、この車体フレーム上に支持され
るボデーとを備え、このボデーの前面部が前面板で形成
され、同上ボデー内の車室の前面がダッシュパネルで形
成され、上記前面板にダッシュパネルを接近させて設け
たものがある。
【0003】また、上記構成において、例えば、実開平
3‐7080号公報で示されるものがある。
【0004】これによれば、上下方向に延びてその下端
が上記車体フレームに結合されるフロントピラーが同上
ボデーの前部の左右各側部に形成されている。一方、上
記車体フレームの前部の左右各側部にブラケットが取り
付けると共に、軸心がほぼ縦向きのショックアブソーバ
が上記ブラケットの下側に設けられ、上記ショックアブ
ソーバの下端側に前輪が支承される一方、同上ショック
アブソーバの上端側が上記ブラケットに支持させられ、
つまり、車体はブラケットとこれに支持されるショック
アブソーバとを介して前輪により路面上に支持されてい
る。
【0005】そして、自動車の走行の際、前輪が路面か
ら受ける衝撃は、上記ショックアブソーバによって吸収
され、上記衝撃が車体側に伝わることが防止されるよう
になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特に、車体
の前部は、衝突に対処するため等の理由で、十分に補強
されることが望まれるが、上記構成における前面板とダ
ッシュパネルを個々に補強すると、部品点数が増えて車
体の構成が複雑になると共に、車体の成形が煩雑になる
という問題がある。
【0007】また、上記したように、車体はブラケット
やこれに支持されるショックアブソーバ等を介して路面
上に支持されるため、上記ブラケットには上記ショック
アブソーバから大きな負荷が与えられる。
【0008】このため、従来では、上記ブラケットの後
部側にダッシュパネルを結合させてブラケットを補強し
ている。しかし、上記ブラケットにおけるショックアブ
ソーバの上端側の支持部は、上記ブラケットを補強して
いる上記ダッシュパネルよりも前側にあって、上記支持
部は補強材である同上ダッシュパネルに片持支持される
こととなっている。このため、上記ダッシュパネルだけ
ではショックアブソーバを支持するためのブラケットの
支持強度を、十分には向上させることができないおそれ
がある。
【0009】そこで、上記ダッシュパネルの他に、上記
ブラケットを補強する補強材を設けているが、これで
は、部品点数が増えて、車体前部の構成が複雑になるお
それがある。
【0010】
【発明の目的】この発明は、上記のような事情に注目し
てなされたもので、車体の前部の補強が簡単な構成で達
成され、かつ、このように補強した車体の成形が容易に
できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
のこの発明の自動車の車体前部構造は、車体2が車体フ
レーム3と、この車体フレーム3上に支持されるボデー
4とを備え、このボデー4の前面部を前面板6で形成
し、同上ボデー4内の車室12の前面をダッシュパネル
14で形成し、上記前面板6の下部にダッシュパネル1
4を隣接させると共に、同上前面板6の上部にフロント
ウィンド28を設け、上下方向に延びてその下端が上記
車体フレーム3に結合されるフロントピラー38を同上
ボデー4の前部の左右各側部に形成し、一方、上記車体
フレーム3の前部の左右各側部にブラケット44を取り
付けると共に、軸心がほぼ縦向きのショックアブソーバ
53を上記ブラケット44の下側に設け、上記ショック
アブソーバ53の下端側に前輪16を支承させる一方、
同上ショックアブソーバ53の上端側を上記ブラケット
44に支持させた場合において、左右に延びて上記前面
板6の下部とダッシュパネル14とにそれぞれ結合され
る横断面が箱形のフロントメンバ60を設け、前後方向
で対応する上記フロントピラー38と、フロントメンバ
60の端部63とが、上記ブラケット44におけるショ
ックアブソーバ53の上端側の支持部64を前後から挟
むよう同上ブラケット44に結合されたものである。
【0012】
【作 用】上記構成による作用は次の如くである。
【0013】左右に延びてボデー4の前面板6の下部と
車室12の前面のダッシュパネル14とにそれぞれ結合
される横断面が箱形のフロントメンバ60を設けてあ
る。
【0014】このため、前面板6とダッシュパネル14
はそれぞれフロントメンバ60によって補強され、つま
り、上記前面板6等のそれぞれの補強にフロントメンバ
60が共用されたのであり、よって、上記前面板6等を
個々に補強することに比べて、車体2の前部が少ない部
品で補強される。
【0015】また、前後方向で対応する上記フロントピ
ラー38と、フロントメンバ60の端部63とが、上記
ブラケット44におけるショックアブソーバ53の上端
側の支持部64を前後から挟むよう同上ブラケット44
に結合されている。
【0016】この場合、フロントピラー38は車体2の
前部の左右各側部における支柱となるものであって、十
分に大きい強度と剛性とを備えたものである。また、上
記フロントメンバ60は横断面が箱形であって、これも
強度と剛性とが十分に大きいものである。
【0017】このため、上記ブラケット44におけるシ
ョックアブソーバ53の支持部64は、上記したフロン
トピラー38と、フロントメンバ60の端部63とによ
り前後二点で支持されて、この支持が十分に補強される
こととなる。
【0018】しかも、上記したブラケット44の補強に
は、ボデー4の前部自体の補強のためにこのボデー4に
形成されたフロントピラー38と、同上ボデー4の前部
をより補強するために設けられたフロントメンバ60と
が利用されたのであり、よって、上記ブラケット44の
補強は、部品点数が増えることなく簡単な構成によって
達成される。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。
【0020】(実施例1)
【0021】図1から図5は、実施例1を示している。
【0022】図中符号1は自動車で、矢印Frはその前
方を示し、下記する左右とは、上記前方に向っての車幅
方向をいうものとする。
【0023】上記自動車1の車体2は車体フレーム3
と、この車体フレーム3の前部に支持されるボデー4
と、同上車体フレーム3の後部に支持される荷台5とを
備え、上記ボデー4と荷台5は上記車体フレーム3の上
側に位置している。上記ボデー4は板金製で、その前面
部を構成する前面板6、左右各側部を構成する外側板
7、上部を構成する上面板8、および、後部を構成する
図示しない後面板を有し、上記前面板6はほぼ平坦な前
下がり形状となっている。また、上記車体フレーム3の
前方近傍、かつ、前面板6の下方近傍にはフロントバン
パ10が設けられ、このフロントバンパ10は上記車体
フレーム3に支持されて、車体2の前部を保護してい
る。
【0024】上記ボデー4の内部には車室12が設けら
れている。この車室12の底部はフロアパネル13で形
成され、このフロアパネル13は上記車体フレーム3の
上面側に支持されている。また、上記フロアパネル13
の前縁は前上方に延びて、これがダッシュパネル14と
されている。このダッシュパネル14により、上記車室
12の前面下部が形成されている。上記前面板6の下部
にダッシュパネル14が前後方向で接近させられて隣接
させられており、このダッシュパネル14の上縁は上記
前面板6の上下方向の中途部に、スポット溶接により結
合させられている。
【0025】上記車体フレーム3の前部の左右各側部に
それぞれ前輪16が懸架装置17により懸架されてい
る。また、同上車体フレーム3の後部の左右各側部にそ
れぞれ後輪18が懸架され、これら前輪16と後輪18
によって車体2が路面19上に支持されている。上記各
前輪16は操向輪とされ、一方、各後輪18は車体フレ
ーム3に支持された図示しないエンジンにより駆動さ
れ、これによって自動車1が路面19上を走行可能とさ
れる。
【0026】上記車体フレーム3は左右一対のサイドフ
レーム21,21を有し、これら各サイドフレーム21
は車体2の左右各側部に位置して前後方向に延びてい
る。また、上記左右サイドフレーム21,21の各前端
同士を結合させる前クロスメンバ22と、同上左右サイ
ドフレーム21,21の各後端同士や、前後方向の中途
部同士を結合させる図示しないクロスメンバが設けら
れ、これら前クロスメンバ22やその他のクロスメンバ
はそれぞれ円形のパイプで成形されている。
【0027】上記前面板6はその上部を構成する上部パ
ネル24と、下部を構成する下部パネル25とで構成さ
れ、これらは上下方向に並設されている。上記上部パネ
ル24は、前記各外側板7と上面板8の各前縁に一体成
形、もしくはスポット溶接により固着され、上記下部パ
ネル25は、上記上部パネル24の下縁と前記フロント
バンパ10との間の開口23を開閉自在に閉じている。
また、前記ダッシュパネル14の上縁部26が、上記前
面板6の上下方向の中途部である上記上部パネル24の
下縁部27に、スポット溶接により結合させられてい
る。
【0028】上記ボデー4の前面板6の上部にフロント
ウィンド28が設けられている。このフロントウィンド
28は上記前面板6の上部パネル24に形成されるウィ
ンド開口29と、このウィンド開口29を閉じるガラス
板30とで構成されている。上記ウィンド開口29の下
部開口縁における上部パネル24の後面には左右に延び
る補強板31が固着され、上記上部パネル24と補強板
31とで横断面が箱形の補強部32が形成されている。
この補強部32により、上記前面板6の上部パネル24
が補強され、ウィンド開口29を設けたことによる強度
低下が十分に補填されている。
【0029】前記ボデー4の各外側板7にはそれぞれサ
イドドア35が設けられている。これら各サイドドア3
5は上記外側板7に形成されたドア開口36と、このド
ア開口36を開閉自在とするドア37とで構成されてい
る。上記ドア開口36の前部開口縁は上記外側板7の一
部で構成されるフロントピラー38であり、このフロン
トピラー38に上下一対のヒンジ39,39により上記
ドア37が左右回動自在に枢支され、この回動で上記ド
ア開口36が開閉自在に閉じられている。
【0030】上記各外側板7は左右方向で少し離れて互
いに対面し、かつ、互いに結合されるインナパネル40
とアウタパネル41を有している。上記フロントピラー
38の下部は、上記インナパネル40とアウタパネル4
1の二つの部材を断面が箱形となるよう互いに結合させ
ることにより形成され、その下端側はこれに対応する前
記サイドフレーム21に強固に結合させられている。
【0031】また、上記フロントピラー38の上部は、
上記インナパネル40、アウタパネル41、および前記
上部パネル24の外側部の三つの部材を断面が箱形とな
るよう互いにスポット溶接により結合させることにより
形成され、その上端側は前記上面板8の側部に強固に結
合させられている。そして、上記各フロントピラー38
は、車体2の前部の左右各側部における支柱となるもの
であって、十分に大きい強度と剛性とを備えている。
【0032】前記懸架装置17は、車体フレーム3の前
部の左右各側部である各サイドフレーム21の外側面に
取り付けられたブラケット44を有している。このブラ
ケット44は、前後に離れて対面し、上記サイドフレー
ム21の外側面に固着された前、後板45,46と、こ
れら前、後板45,46の上縁同士を結合させる上板4
7と、これら前、後板45,46と上板47の各車幅方
向の内側縁同士を結合させる側板48とを有し、上記上
板47を含むブラケット44の上部は、上記サイドフレ
ーム21の外側上方に突出している。
【0033】上記各ブラケット44の下方で、上記各サ
イドフレーム21にロアアーム50が枢支軸51により
上下回動自在に枢支され、上記ロアアーム50の回動端
52は上記サイドフレーム21の外側方に突出してい
る。上記ブラケット44の下側に軸心がほぼ縦向きのシ
ョックアブソーバ53が設けられ、このショックアブソ
ーバ53は上記ブラケット44の上部である上板47
と、上記ロアアーム50の回動端52とに架設されて、
これら47,52に支持されている。このショックアブ
ソーバ53は油圧シリンダ式のアブソーバ本体54と、
このアブソーバ本体54を伸長させる方向に付勢するば
ね55とで構成されている。
【0034】上記アブソーバ本体54の下部にはステア
リングナックル57が一体成形され、このステアリング
ナックル57の外側面から外側方にほぼ水平に車軸58
が突設され、この車軸58に前記前輪16がその軸心回
りに回転自在に支承されている。つまり、上記ショック
アブソーバ53の下端側にステアリングナックル57を
介して上記前輪16が支承され、同上ショックアブソー
バ53の上端側は上記ブラケット44の上板47の前後
方向の中途部に支持されている。
【0035】上記懸架装置17を介して前輪16が車体
2を支持するとき、この車体2の重量はショックアブソ
ーバ53のばね55が支持してアブソーバ本体54と共
に多少圧縮させられる。そして、自動車1が走行する際
の衝撃力が上記ショックアブソーバ53に与えられる
と、このショックアブソーバ53のアブソーバ本体54
とばね55とが伸縮して、アブソーバ本体54の内部の
油がピストンで仕切られた一方の室から他方の室に流動
することにより、上記衝撃力が吸収される。また、この
とき、ショックアブソーバ53から上記ブラケット44
に与えられる負荷は、このブラケット44の上板47に
対し上方に向って与えられる。
【0036】上記前面板6とダッシュパネル14とにそ
れぞれ結合されてこれらを補強するフロントメンバ60
が設けられている。このフロントメンバ60は車体2の
幅方向ほぼ全体にわたるよう左右に延びている。このフ
ロントメンバ60はその左右方向の少なくとも一部であ
る上記左右ブラケット44,44間でその横断面が箱形
とされており、この形状によってフロントメンバ60は
左右全長にわたりほぼ全体的に十分に大きい強度と剛性
とを備えている。そして、このフロントメンバ60は上
記前面板6とダッシュパネル14とをそれぞれ車幅方向
のほぼ全体にわたり、十分に補強している。
【0037】上記フロントメンバ60は上記ダッシュパ
ネル14の上縁部26と、この上縁部26の前面にスポ
ット溶接により結合させられる補強板62とで構成され
ている。この場合、前記したようにダッシュパネル14
の上縁部26と、上部パネル24の下縁部27とが結合
させられており、この結合部に上記補強板62の上縁部
がスポット溶接により結合させられている。これによ
り、上記フロントメンバ60が上記前面板6の上下方向
の中途部に結合させられている。また、上記ダッシュパ
ネル14の一部であるその上縁部26がフロントメンバ
60の一部を構成していることから、これにより、この
フロントメンバ60が上記ダッシュパネル14に結合さ
せられることとなっている。
【0038】前記したように各フロントピラー38は断
面が箱形とされて、十分の強度と剛性とを有しており、
これら各フロントピラー38の下部は、前記ブラケット
44の上板47の上端面における後部に、スポット溶接
により結合させられ、これにより、上記ブラケット44
が十分に補強されている。
【0039】一方、上記フロントメンバ60の左右各端
部63は断面が箱形ではないが、これを構成する前記ダ
ッシュパネル14の上縁部26はそれぞれ左右外側方に
突出して断面がL字状をなすと共に、同上各端部63を
構成する前記補強板62の左右各端部も断面がL字状を
なして、上記フロントメンバ60の各端部63も十分の
強度と剛性とを有している。そして、このフロントメン
バ60の各端部63は、上記ブラケット44の上板47
の上端面における前部に、スポット溶接により結合させ
られ、これにより、上記ブラケット44が更に十分に補
強されている。
【0040】上記の場合、フロントピラー38と、フロ
ントメンバ60の端部63とは共に上記ブラケット44
の上板47の上端面に結合させられるため、特に、前記
ショックアブソーバ53からブラケット44に対し上方
に向って与えられる負荷に、上記フロントピラー38
と、フロントメンバ60の端部63とが効果的に対抗す
る。即ち、上記したフロントピラー38と、フロントメ
ンバ60の端部63とによるブラケット44の補強は、
上記ショックアブソーバ53からの負荷に対し極めて有
効に働くこととなる。
【0041】また、上記車体2の前部の左右各側部にお
いて、前後方向で対応する上記フロントピラー38の下
部と、フロントメンバ60の端部63とは、上記ブラケ
ット44の上板47に対するアブソーバ本体54の上端
側の支持部64を前後から挟むように位置している。即
ち、上記支持部64の負荷は、上記フロントピラー38
とフロントメンバ60の端部63とによって前後二点で
支持されたブラケット44の上板47の前後方向の中途
部で支持されるのであり、もって、上記上板47が十分
に補強される。この結果、上記ショックアブソーバ53
は車体フレーム3に対しブラケット44を介して強固に
支持される。
【0042】上記の場合、前面板6、ダッシュパネル1
4、および各ブラケット44はそれぞれフロントメンバ
60によって補強され、つまり、上記前面板6等のそれ
ぞれの補強にフロントメンバ60が共用されたのであ
り、よって、上記前面板6等を個々に補強することに比
べて、車体2の前部が少ない部品で補強される。
【0043】しかも、上記フロントメンバ60は断面箱
形であって強度と剛性が十分に大きい形状であると共
に、このフロントメンバ60によって上記前面板6等が
互いに結合させられるため、簡単な構成でありながら、
車体2の前部は十分に補強される。
【0044】また、上記したブラケット44の補強に
は、ボデー4の前部自体の補強のためにこのボデー4に
形成されたフロントピラー38と、同上ボデー4の前部
をより補強するために設けられたフロントメンバ60と
が利用されたのであり、よって、上記ブラケット44の
補強は、部品点数が増えることなく簡単な構成によって
達成される。
【0045】上記車体2の前部内で、前面板6の下部パ
ネル25と、ダッシュパネル14とにより前後から挟ま
れた空間67に、前記エンジンの水冷用ラジエータ68
が設けられ、このラジエータ68は縦向きに設けられて
いる。このラジエータ68は、前記前クロスメンバ22
の左右方向の中途部である中央部に取り付けられた下部
支持片69と、上記フロントメンバ60の補強板62の
左右方向の中途部に取り付けられた左右一対の上部支持
片70,70とに対し、それぞれ緩衝体と締結具とによ
る取付具71を介して着脱自在に三点支持されている。
【0046】上記の場合、ラジエータ68の支持に強度
の大きいフロントメンバ60が利用されたのであり、こ
のため、このラジエータ68の支持が十分強固になされ
ると共に、この支持に別途の支持部材を設けないで済む
分、このラジエータ68の支持が簡単な構成で得られる
こととなる。
【0047】また、上記フロントメンバ60の左右各端
部63には、車体2の前方を照射可能とするヘッドライ
ト72が支持されている。
【0048】上記の場合、ヘッドライト72の支持に強
度の大きいフロントメンバ60が利用されたのであり、
このため、このヘッドライト72の支持が十分強固にな
されると共に、この支持に別途の支持部材を設けないで
済む分、このヘッドライト72の支持が簡単な構成で得
られることとなる。
【0049】上記車体2の前部に支持装置75によりス
ペアタイヤ76が着脱自在に支持されている。このスペ
アタイヤ76は前輪16や後輪18と交換可能なもので
ある。
【0050】上記支持装置75は、上記空間67で、左
右サイドフレーム21,21の各前端に架設される支持
体77を有している。この支持体77は断面円形のパイ
プ材で成形され、この支持体77は左右サイドフレーム
21の結合強度を向上させている。上記支持体77は上
記フロントメンバ60の前下方に位置し、これら支持体
77とフロントメンバ60の左右方向の中途部に板状の
第1ブラケット78が架設されている。この第1ブラケ
ット78の上下各端は上記フロントメンバ60と、支持
体77のそれぞれに溶接により結合させられている。
【0051】上記第1ブラケット78は下部パネル25
よりも空間67側に位置しており、上記第1ブラケット
78の一部は上記下部パネル25に形成した開口79を
通して車体2の前方に露出している。上記第1ブラケッ
ト78の一部に第2ブラケット80が締結具81により
着脱自在に締結され、上記第2ブラケット80は前面板
6の外部でその前方近傍に位置している。そして、上記
第2ブラケット80にその前方から上記スペアタイヤ7
6が締結具82により着脱自在に締結されている。
【0052】上記の場合、第1ブラケット78はフロン
トメンバ60と支持体77とに二点支持により強固に支
持され、かつ、上記フロントメンバ60は十分の強度と
剛性とを有していることから、上記スペアタイヤ76は
車体フレーム3側に対し強固に支持されている。
【0053】また、上記フロントバンパ10、前クロス
メンバ22、および支持体77はいずれも前記ラジエー
タ68の前方に位置している。このため、自動車1が前
進走行中に何等かの物体に衝突したとき、この衝撃によ
り上記ラジエータ68が破損することは、上記フロント
バンパ10、前クロスメンバ22、および支持体77に
よって防止される。つまり、上記前クロスメンバ22や
支持体77が上記ラジエータ68の保護に有効利用され
ている。
【0054】上記前面板6の外面側には、上記支持装置
75により支持したスペアタイヤ76に対応して円形の
凹所84が形成されている。そして、この凹所84にス
ペアタイヤ76を少しでも嵌入させることにより、スペ
アタイヤ76による空気抵抗の増大や、車体2の見栄え
の低下が抑制されている。
【0055】また、上記凹所84は上記前面板6の折り
曲げにより形成されており、これにより、この前面板6
の剛性が向上させられている。
【0056】なお、以上は図示の例によるが、前面板6
とダッシュパネル14とは一体成形されたものであって
もよい。
【0057】(実施例2)
【0058】図6は、実施例2を示している。
【0059】これによれば、フロントピラー38は、上
下方向のほぼ全長にわたり、その各部がインナパネル4
0とアウタパネル41との結合により、その横断面が箱
形とされている。また、上記フロントピラー38の下端
はサイドフレーム21に一体成形されることにより、強
固に結合させられている。
【0060】ショックアブソーバ53を支持するブラケ
ット44は、前輪16を収容するホイールハウス自体で
成形されており、このホイールハウスの上部がブラケッ
ト44の上板47に相当している。
【0061】フロントメンバ60はダッシュパネル14
の上縁部26と、この上縁部26の車室12側の面に結
合される補強板62とで構成されている。上記フロント
メンバ60は左右方向のほぼ全長にわたり、その横断面
が箱形とされ、同上フロントメンバ60の端部63も横
断面が箱形とされている。これにより、上記フロントメ
ンバ60は実施例1のフロントメンバ60よりも、更
に、強度と剛性が向上させられている。
【0062】上記フロントピラー38の上下方向の中途
部87は一旦後方に折れ曲がっていて、この中途部87
の下面が上記ブラケット44の上板47の後部上面を含
み、その上面の外側縁にほぼ全体的に溶接等により結合
させられている。
【0063】また、上記フロントピラー38の中途部8
7の前部は、前方に延びて上記フロントメンバ60の端
部63にスポット溶接等により強固に結合させられてい
る。上記フロントメンバ60の端部63は上記ブラケッ
ト44の上板47の前部上面に結合させられている。よ
って、これらフロントピラー38、ブラケット44、お
よびフロントメンバ60が互いに結合させられることか
ら、上記ブラケット44によるフロントピラー38の支
持強度は飛躍的に向上する。
【0064】他の構成や作用は前記実施例1と同様であ
るため、図面に共通の符号を付してその説明を省略す
る。
【0065】
【発明の効果】この発明によれば、左右に延びてボデー
の前面板の下部と車室の前面のダッシュパネルとにそれ
ぞれ結合される横断面が箱形のフロントメンバを設けて
ある。
【0066】このため、前面板とダッシュパネルはそれ
ぞれフロントメンバによって補強され、つまり、上記前
面板等のそれぞれの補強にフロントメンバが共用された
のであり、よって、上記前面板等を個々に補強すること
に比べて、車体の前部が少ない部品で補強され、この補
強が簡単な構成で達成される。
【0067】しかも、上記フロントメンバは横断面が箱
形であって、これは強度と剛性とが十分に大きい形状で
あると共に、このフロントメンバによって上記前面板等
が互いに結合させられるため、上記したように簡単な構
成でありながら、車体の前部は十分に補強されることと
なる。
【0068】また、上記したように車体の前部は少ない
部品であって、その構成は簡単であるため、上記したよ
うに補強を十分にしたものでありながら、その車体の成
形は容易にできることとなる。
【0069】また、この発明によれば、前後方向で対応
する上記フロントピラーと、フロントメンバの端部と
が、上記ブラケットにおけるショックアブソーバの上端
側の支持部を前後から挟むよう同上ブラケットに結合さ
れている。
【0070】この場合、フロントピラーは車体の前部の
左右各側部における支柱となるものであって、十分に大
きい強度と剛性とを備えたものである。また、上記フロ
ントメンバは横断面が箱形であって、これも強度と剛性
とが十分に大きいものである。
【0071】このため、上記ブラケットにおけるショッ
クアブソーバの支持部は、上記したフロントピラーと、
フロントメンバの端部とにより前後二点で支持されて、
この支持が十分に補強されることとなる。
【0072】よって、ショックアブソーバを支持するた
めのブラケットの支持強度が十分に向上する。
【0073】しかも、上記したブラケットの補強には、
ボデーの前部自体の補強のためにこのボデーに形成され
たフロントピラーと、同上ボデーの前部をより補強する
ために設けられたフロントメンバとが利用されたのであ
り、よって、上記ブラケットの補強は、部品点数が増え
ることなく簡単な構成によって達成されるのであり、つ
まり、車体の前部の補強が簡単な構成で達成され、ま
た、部品が少ない分、このように補強した車体の成形も
容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で、図3の1‐1線矢視断面図であ
る。
【図2】実施例1で、自動車の全体斜視図である。
【図3】実施例1で、ボデーを外した自動車の前部斜視
図である。
【図4】実施例1で、図3で示したものの側面部分断面
図である。
【図5】実施例1で、図4で示したものの正面部分断面
図である。
【図6】実施例2で、車体前部を車室側からみた部分斜
視図である。
【符号の説明】
1 自動車 2 車体 3 車体フレーム 4 ボデー 6 前面板 7 外側板 10 フロントバンパ 12 車室 14 ダッシュパネル 16 前輪 17 懸架装置 21 サイドフレーム 24 上部パネル 25 下部パネル 28 フロントウィンド 38 フロントピラー 44 ブラケット 47 上板 53 ショックアブソーバ 60 フロントメンバ 62 補強板 63 端部 64 支持部 67 空間 68 ラジエータ 72 ヘッドライト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−169373(JP,A) 特開 平6−255532(JP,A) 特開 平5−246349(JP,A) 特開 平6−344952(JP,A) 実開 平1−98004(JP,U) 実開 昭61−1477(JP,U) 実開 昭54−54016(JP,U) 実開 平3−7080(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 25/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体が車体フレームと、この車体フレー
    ム上に支持されるボデーとを備え、このボデーの前面部
    を前面板で形成し、同上ボデー内の車室の前面をダッシ
    ュパネルで形成し、上記前面板の下部にダッシュパネル
    を隣接させると共に、同上前面板の上部にフロントウィ
    ンドを設け、上下方向に延びてその下端が上記車体フレ
    ームに結合されるフロントピラーを同上ボデーの前部の
    左右各側部に形成し、一方、上記車体フレームの前部の
    左右各側部にブラケットを取り付けると共に、軸心がほ
    ぼ縦向きのショックアブソーバを上記ブラケットの下側
    に設け、上記ショックアブソーバの下端側に前輪を支承
    させる一方、同上ショックアブソーバの上端側を上記ブ
    ラケットに支持させた自動車の車体前部構造において、 左右に延びて上記前面板の下部とダッシュパネルとにそ
    れぞれ結合される横断面が箱形のフロントメンバを設
    け、前後方向で対応する上記フロントピラーと、フロン
    トメンバの端部とが、上記ブラケットにおけるショック
    アブソーバの上端側の支持部を前後から挟むよう同上ブ
    ラケットに結合された自動車の車体前部構造。
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