JP3072450B2 - 筆記具用水性インキ組成物 - Google Patents

筆記具用水性インキ組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマーキングペンやボール
ペンなどの筆記具に使用する水性インキ組成物に関し、
更に詳しくは金属アルミニウム顔料を含有する筆記具用
水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自然環境保護運動や人体に対する
安全性意識の高まりとともに、筆記具用インキ分野にお
いて、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケト
ン、メチル−イソ−ブチルケトン等のケトン系溶剤とい
った非水系有機溶剤を用いていたものの、水をベースと
した水−水溶性有機溶剤系への代替が進められている。
【0003】着色材として、染料、有機顔料や通常の無
機顔料などを用いたものは、着実に溶剤の代替が進めら
れているが、金属アルミニウム顔料を使用したインキに
ついては、それが両性金属である為、腐食しやすく経時
安定性が低いため、非水系有機溶剤を使用した油性イン
キから水−水溶性有機溶剤インキへの代替が遅れてい
る。
【0004】金属アルミニウムの腐蝕防止剤としては、
正燐酸塩、ヘキサメタ燐酸ナトリウム等のポリ燐酸塩
や、クロム酸塩、重クロム酸塩、あるいは、亜硝酸塩な
どが知られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】しかしながら上記腐食防止剤では、筆記具
用水性インキ組成物に用いた場合、防蝕効果は不充分で
あった。これは、筆記具用水性インキが、表面張力調整
のための界面活性剤の添加、定着性保持のためのバイン
ダー樹脂の添加、顔料分散のための界面活性剤の添加な
どにより、酸性もしくはアルカリ性を呈するので、両性
金属である金属アルミニウム顔料は徐々に反応し、ガス
を発生させながら侵されてしまい、顔料としての機能を
喪失してしまうためである。
【0006】また、水性インキの主な溶剤である水に溶
存した酸素にも徐々に侵され、同様に顔料としての機能
を喪失してしまうという問題を有していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した事情
に鑑みなされたもので、金属アルミニウム顔料と水溶性
有機溶剤と水とから少なくともなる筆記具用水性インキ
組成物であって、該筆記具用水性インキ組成物にはパー
フルオロアルキル燐酸エステル及び/またはパーフルオ
ロアルキルトリメチルアンモニウム塩が含有されている
ことを特徴とする筆記具用水性インキ組成物を要旨とす
るものである。
【0008】以下、本発明を詳述する。本発明に使用す
る金属アルミニウム顔料は、スタンプ・ミルでアルミニ
ウム片を減磨剤、例えばステアリン酸と共に粉砕するス
タンプ法や、ドラム中に噴霧法によって得られたアルミ
ニウム粉と滑剤と適当な液体を鋼球と共に装入し、粉砕
するボールミル法により得られるものであり、鱗片状の
ものが好ましい。
【0009】市販されている金属アルミニウム顔料とし
ては、スーパーファインNo.22000、同No.1
8000、ファインNo.900、同No.800、ス
ーパーファインNo.22000WN、同No.180
00WN(以上、大和金属粉工業(株)製)、AA1
2、AA8、No.900、No.18000(以上、
福田金属箔粉工業(株)製)、アルミ粉1000、同2
700(以上、中塚金属箔粉工業(株)製)などがあ
る。
【0010】水溶性有機溶剤は、筆記具用インキとして
種々の品質、即ち、ペン先でのインキ乾燥防止、低温時
でのインキ凍結防止などの目的で使用するものであり、
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコ
ール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリド
ン、N−メチル−2−ピロリドン等が単独或は混合して
用いられる。
【0011】パーフルオロアルキル燐酸エステル及び/
又はパーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩
は、金属アルミニウム顔料の経時安定性を付与するため
に用いるものであり、電解フッ素法、テロメリゼーショ
ン法、オリゴメリゼーション法によりパーフルオロカー
ボン化合物中間体を合成し、次いで通常の界面活性剤の
合成と同様な手法により親水基を導入することにより得
られる。
【0012】市販されているものとして、パーフルオロ
アルキル燐酸エステルとしてはエフトップEF−123
A、同EF−123B(以上、(株)トーケムプロダク
ツ製)、メガファックF−191(大日本インキ化学工
業(株)製)などがあり、パーフルオロアルキルトリメ
チルアンモニウム塩としてはエフトップEF−132
((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF−1
50(大日本インキ化学工業(株)製)などがある。こ
れらは、単独もしくは混合して使用可能であり、その使
用量は、筆記具用水性インキ組成物全量に対して0.0
01〜3重量%が好ましい。
【0013】尚、筆記具構造の種類により粘度を調節す
るには、スチレン−マレイン酸系樹脂、スチレン−(メ
タ)アクリル酸系樹脂、ピロリドン系樹脂、セルロース
系樹脂、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダなど
の合成品や、トラガントガム、グアーガム、キサンタン
ガム、カラギーナン等の天然ガム質等を使用することが
できる。
【0014】更に、必要に応じて、尿素、チオ尿素、エ
チレン尿素、または、これらの誘導体などの公知の湿潤
剤や、その他顔料分散剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤
などの種々の添加剤を使用し得ることはもちろんであ
る。
【0015】また、筆記具用水性メタリックカラーイン
キ組成物を得るために、公知の水溶性染料や有機顔料、
無機顔料も使用することができる。
【0016】本発明の筆記具用水性インキ組成物を製造
するに際しては、種々の方法が採用できるが、例えば、
上記各成分を配合し、ターボミキサー、ボールミル、ホ
モミキサー、サンドグラインダー、スピードラインミ
ル、ロールミル等の機器により分散すれば容易に得られ
る。
【0017】
【作用】本発明に係るパーフルオロアルキル燐酸エステ
ル及び/又はパーフルオロアルキルトリメチルアンモニ
ウム塩が何故に金属アルミニウム顔料の経時安定性に効
果が有るのかについては定かではないが、以下のように
推考される。
【0018】筆記具用水性インキ組成物に配合されたパ
ーフルオロアルキル燐酸エステル、パーフルオロアルキ
ルトリメチルアンモニウム塩は、その親水基が、インキ
中に分散した金属アルミニウム顔料の表面に吸着し、耐
熱性、耐薬品性に優れたパーフルオロアルキルで金属ア
ルミニム顔料表面を覆う。
【0019】こうして、耐熱性、耐薬品性に優れたパー
フルオロアルキルが金属アルミニム顔料表面を覆うため
に、金属アルミニム顔料は、インキが酸性もしくはアル
カリ性でも反応することなく、また、水に溶存する酸素
にも侵されることなく経時的に安定となる。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基き説明する。 実施例1 スーパーファインNo.22000WN(金属アルミニウム顔料、大和金属粉 工業(株)製) 35.0重量部 エチレングリコール 20.0重量部 グリセリン 13.0重量部 水 45.0重量部 エフトップEF−132(パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、 (株)トーケムプロダクツ製) 0.3重量部 スチレン−アクリル酸共重合物のアンモニウム塩(分散剤) 5.0重量部 ガーガム(増粘剤) 0.5重量部 上記各成分中、ガーガム以外の成分を混合し、ボールミ
ルにて24時間分散処理を行った後、ガーガムを加えて
再度4時間分散処理を行い、フィルター等で粗大粒子を
除去し300cps(25℃)のインキ組成物を得た。
【0021】実施例2 スーパーファインNo.18000WN(金属アルミニウム顔料、大和金属粉 工業(株)製) 20.0重量部 プロピレングリコール 10.0重量部 エチレングリコール 18.0重量部 水 55.0重量部 メガファックF−191(パーフルオロアルキル燐酸エステル、大日本イ ンキ化学工業(株)製) 0.1重量部 スチレン−マレイン酸共重合物のアンモニウム塩(分散剤) 4.0重量部 カルボキシメチルセルロース(増粘剤) 0.5重量部 プロクセルXL−2(防腐剤、I・C・Iジャパン(株)製)0.2重量部 上記各成分中、カルボキシメチルセルロース以外の成分
を混合し、ボールミルにて24時間分散処理を行った
後、カルボキシメチルセルロースを加えて再度4時間分
散処理を行い、フィルター等で粗大粒子を除去し25c
ps(25℃)のインキ組成物を得た。
【0022】実施例3 スーパーファインNo.22000WN(金属アルミニウム顔料、大和金属粉 工業(株)製) 45.0重量部 プロピレングリコール 10.0重量部 エチレングリコール 20.0重量部 水 50.0重量部 エフトップEF−123A(パーフルオロアルキル燐酸エステル、(株)トー ケムプロダクツ製) 0.3重量部 スチレン−マレイン酸共重合物のアンモニウム塩(分散剤) 0.5重量部 キサンタンガム(増粘剤) 1.5重量部 上記各成分中、キサンタンガム以外の成分を混合し、ボ
ールミルにて24時間分散処理を行った後、キサンタン
ガムを加えて再度4時間分散処理を行い、フィルター等
で粗大粒子を除去し2500cps(25℃)のインキ
組成物を得た。
【0023】実施例4 スーパーファインNo.18000WN(金属アルミニウム顔料、大和金属粉 工業(株)製) 20.0重量部 プロピレングリコール 10.0重量部 エチレングリコール 18.0重量部 水 55.0重量部 メガファックF−191 0.1重量部 エフトップEF−132 0.2重量部 スチレン−マレイン酸共重合物のアンモニウム塩(分散剤) 4.0重量部 カルボキシメチルセルロース(増粘剤) 0.5重量部 プロクセルXL−2(防腐剤、I・C・Iジャパン(株)製)0.2重量部 上記各成分について実施例2と同様になして25cps
(25℃)のインキ組成物を得た。
【0024】比較例1 実施例1において、エフトップEFー132を除いた以
外は全て実施例1と同様になして、330cps(25
℃)のインキ組成物を得た。
【0025】比較例2 実施例1において、エフトップEFー132をヘキサメ
タ燐酸ナトリウムに代えた以外は全て実施例1と同様に
なして、340cps(25℃)のインキ組成物を得
た。
【0026】実施例1〜4、比較例1、2で得た筆記具
用水性インキ組成物を、ガラス製ネジ口瓶に入れ、50
℃雰囲気中に1ヶ月間放置した後、ガス発生の有無、試
験前後の色調の変化を調べた。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】 ※1 ガスの発生:ガラス製ネジ口瓶のインキ中の気泡
発生状況を観察した。 評価: ○;なし △:やや有り ※2 色調の変化:インキを取り出し上質紙上にヘラ引
きし、色味の変化を観察した。 評価: ○;なし △;やや有り
【0028】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る筆記具用水性インキ組成物は、水−水溶性有機溶剤
でありながら、反応によるガスの発生もなく、また、色
調の変化も見られない経時的に安定なものであり、所期
の目的が充分に達成できる有用なものである。
【0029】尚、本発明は筆記具用水性インキのみでな
く、絵の具、塗料などの水性液状組成物にも適用可能で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−110128(JP,A) 特開 昭61−235479(JP,A) 特開 平4−239071(JP,A) 特開 平4−170474(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20 C09C 1/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルミニウム顔料と水溶性有機溶剤
    と水とから少なくともなる筆記具用水性インキ組成物で
    あって、該筆記具用水性インキ組成物にはパーフルオロ
    アルキル燐酸エステル及び/又はパーフルオロアルキル
    トリメチルアンモニウム塩が含有されていることを特徴
    とする筆記具用水性インキ組成物。
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