JP3071260B2 - エンジンの吸気装置 - Google Patents

エンジンの吸気装置

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JP3071260B2 JP3247219A JP24721991A JP3071260B2 JP 3071260 B2 JP3071260 B2 JP 3071260B2 JP 3247219 A JP3247219 A JP 3247219A JP 24721991 A JP24721991 A JP 24721991A JP 3071260 B2 JP3071260 B2 JP 3071260B2
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Lubrication Details And Ventilation Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、エンジンの吸気装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インジェクタ−を備えた燃料噴射式エン
ジンにおいては、燃料が吸気通路内に直接噴射供給され
ることからその気化・霧化性能の良否がエンジンの燃焼
性能延いては出力性能に多大な影響を及ぼす。従って、
従来より噴射燃料の気化・霧化促進のための思想が種々
提案されており、その一つに、インジェクタ−からの燃
料を吸気通路内でも最も吸気流速が速い部位に噴射して
吸気と燃料とのミキシングを促進させもってその気化・
霧化の向上を図るという思想がある。そして、このよう
な思想を具現化するための手段としては、例えば特開昭
62ー20624号公報に図面開示されるように、吸気
通路を湾曲状に形成するとともに、インジェクタ−の噴
孔を該湾曲部の外周側壁面上に開口させて該外周側壁面
寄りを流れる流速の速い吸気流中に燃料噴射を行うよう
にしたものが知られている。
【0003】尚、一般に湾曲通路内を流れる流体(例え
ば、吸気)の流速分布は図5に示すように、その外周寄
りに高流速域が偏るような分布状態となることが知られ
ているが、これは吸気流の慣性力に起因する二次流れの
影響によるものである。即ち、湾曲通路51内を流れる
吸気流Aはその慣性力により直線状に流れようとするた
め(換言すれば、湾曲通路51の外周壁51a側に向けて
流れようとするため)、該湾曲通路51をその断面方向
から見た場合、該湾曲通路51の中心軸を含む平面の両
側においてそれぞれ該平面に沿って内周壁51bから外
周壁51a側に流れたのち反転し、側周壁51c,51cに
沿って外周壁51a側から内周壁51b側に流れる二次流
れA′が生じる。このような二次流れが湾曲通路51内
に生じると、本来通路軸心に対して対称となるべき軸心
方向における流速分布が該二次流れによって変形せしめ
られ、結果的に図5に示すように外周壁51a寄りに高
流速域が偏ったような流速分布を呈することとなるもの
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
湾曲部をもつ吸気通路においては、上述のようにその外
周寄りに高流速域が偏るためこの部分に燃料を噴射すれ
ば該燃料のミキシングが促進される傾向にあるが、さら
に燃料の気化・霧化性能の向上が望まれる。さらには、
高流速域が外周壁51a側に大きく偏った場合には、吸
気の最大流速は大きくなるものの、その平均流速は比較
的小さくなる。このことは、該湾曲通路51の有効断面
積を十分に生かしきれていないということであり、この
結果、湾曲通路51の有効断面積の割りには吸気の充填
効率が比較的低劣となるものである。
【0005】尚、吸気の平均流速を高めてその充填効率
の向上を図ろうとすれば吸気通路をできるだけ直線に近
いものとすれば良い訳であるが、このようにした場合
に、最大流速の低下によって燃料のミキシング性能が低
下するとともに、エンジン全高が増加しエンジンのコン
パクト性が阻害されるという問題があり、このため上記
の得失を比較考量して湾曲構造の吸気通路を採用してい
るのが現状である。従って、現状では湾曲した吸気通路
構造を採用する限り、充填効率の低下は不可避な事項で
あると考えられているが、エンジン性能をトータル的観
点から考察すれば、例え湾曲構造の吸気通路を備えたも
のと言えども充填効率の低下は到底看過し得ないもので
あり、その解決手段が待たれるところである。
【0006】そこで本願発明は、湾曲部をもつ吸気通路
を備えた燃料噴射式エンジンの吸気装置において、さら
に高流速域の吸気流速を高めて、この高流速域への燃料
噴射による燃料の気化・霧化促進を助長させるものであ
り、また、平均流速の高水準維持による充填効率の向上
燃料の気化・霧化促進とを両立させるものである。
【0007】
【発明の技術的背景】本願発明者らは、かかる課題を解
決するための手段を研究する過程において、湾曲通路内
に吸気を流すという基本構成を採用する以上、二次流れ
の影響による流速分布の外周壁側への偏り現象は避けら
れないとの認識の下、湾曲通路に特有の流速分布の偏り
そのものを改善するための技術開発から視点を変えて、
流速分布の偏りによってもたらされる最大流速はこれを
ほとんど低下させることなく高水準に維持しつつ平均流
速を高めるための技術を開発することとした。そして、
ここで流速分布の偏りに起因する吸気動圧の偏り及び二
次流れの性状に着目した。
【0008】即ち、図4の流速分布曲線L1に示すよう
に湾曲通路51内を流れる吸気は高流速域が外周壁51
a寄りに偏るような流速分布を呈するが、このことは吸
気動圧についてみれば、該湾曲通路51の外周壁51a
寄り部分は動圧が高く、内周壁51b寄り部分は動圧が
低いということに帰する。従って、このような動圧の低
い内周壁51b側に付加ガス噴出口52を形成し、ここ
からEGRガス等の吸気に対する付加ガスGを供給して
やれば、該付加ガスGは動圧が低い内周壁51bの近傍
位置へスムーズに吸引導入され、且つ導入された付加ガ
スGは湾曲通路51内を流れる吸気流によって下流側に
押し流されて、本来の吸気流速分布に付加される格好と
なり、図4に流速分布曲線L2で示すように本来の吸気
流速分布曲線の内周壁寄り部分に新たな高流速域を形成
することとなり、全体として流速分布曲線L2は外周壁
寄り部分と内周壁寄り部分の両方に高流速域をもつ“二
こぶラクダ"状曲線となる(流速分布曲線L2において、
破線矢印で示した部分が付加ガスにより付加された流速
である)。
【0009】このような“二こぶラクダ"状の流速分布
をもつ吸気と付加ガスとがさらに下流側に流れる場合、
湾曲通路51内に発生する二次流れによってこの付加ガ
スによって付加された流速部分が次第に内周壁51b側
から外周壁51a側に押し出されることで次第に流速分
布が平均化され、最終的に流速分布曲線L3で示すよう
に最大流速はほとんど低下しない状態で流速そのものが
平均化された略台形状の流速分布、即ち平均流速の高い
流速分布が得られるものである。
【0010】本願発明者らは、このような知見に基づ
き、インジェクターより上流側に吸気通路を選択的に開
閉するバタフライ弁を設け、このバタフライ弁を開弁時
においては湾曲部の外周側に位置する周縁部が内周側に
位置する周縁部よりも吸気下流側に位置するように開弁
作動方向を設定することで、湾曲部外周寄りの吸気流速
がさらに高められ、この高流速域への燃料噴射によるミ
キシング性能を高水準に高めることができること、さら
には、湾曲通路の内周壁側に付加ガスを導入することで
最大流速と平均流速とをともに高水準に維持し、高い平
均流速による高い吸気充填効率が得られることに想到し
たものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる背景技術に立脚
し、本願発明では上記課題を解決するための具体的手段
として、請求項1記載の発明では、湾曲部を有する吸気
通路にインジェクターを配置するとともに、該インジェ
クターより上流側にエンジンの運転状態に応じて上記吸
気通路を選択的に開閉する開閉弁を備えたエンジンの吸
気装置において、上記インジェクターの噴孔を上記湾曲
部の外周側の壁面上に開口させる一方、上記開閉弁はこ
れをバタフライ弁で構成し且つその弁軸方向を上記湾曲
部の湾曲面方向に直交する方向に向けた状態で上記湾曲
部の上流側に配置するとともに、その開弁時においては
上記湾曲部の外周側に位置する周縁部が内周側に位置す
る周縁部よりも吸気下流側に位置するように開弁作動方
向を設定したことを特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
エンジンの吸気装置において、上記吸気通路内に適宜の
付加ガスを供給し得るように、該付加ガスの噴出部を上
記湾曲部の内周側の壁面上に開口させたことを特徴とし
ている。
【0013】請求項3記載の発明では、請求項2記載の
エンジンの吸気装置において、上記インジェクターの噴
孔近傍にアシストエア通路を介してアシストエアを供給
し得る如くするとともに、上記付加ガスを供給する付加
ガス通路を上記アシストエア通路に近接して並設し、さ
らに該アシストエア通路と付加ガス通路とを各気筒の吸
気通路相互間に跨がるようにして形成したことを特徴と
している。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【作用】本願各発明ではかかる構成とすることによって
それぞれ次のような作用が得られる。
【0019】1 請求項1記載の発明では、エンジンの
運転に伴って吸気通路内を流れる吸気流は、該吸気通路
が湾曲部を有していることから、該湾曲部においては吸
気の慣性力による二次流れの影響を受けてその流速分布
は該湾曲部の外周側の壁面寄り部分に高流速域が偏った
流速分布を呈し、さらに、バタフライ弁で構成される開
閉弁が、その開弁時には湾曲部外周寄りの周縁部が吸気
下流側に位置するようにしてその開弁方向が設定されて
いることから、該開閉弁より上流側の吸気は該開閉弁部
分を通過する時に該開閉弁によって案内されて湾曲部外
周側に偏って流れることとなる。このため、この開閉弁
による偏流作用が、二次流れに起因する流速分布の偏り
をさらに増長する結果となり、湾曲部内の吸気流の最大
流速がさらに高められる結果、このような高流速域にイ
ンジェクターから燃料噴射が行なわれることにより、該
吸気と燃料とのミキシング作用が大きく向上し、該燃料
気化・霧化が促進されるものである。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】2 請求項2記載の発明では、上記請求項
1記載の作用に加え、湾曲部の内周側はより低流速であ
ることからその動圧が低くなっており、この動圧の低い
部位に設けた噴出部から付加ガスを供給することによ
り、該付加ガスは湾曲部内を流れる吸気流によってスム
ーズに吸引導入されるとともに、該吸気流に押し流され
た状態で該吸気流に付加され、該内周側の流速が高めら
れることとなる。そして、この内周側に導入され且つ吸
気流に付加された付加ガスが湾曲部内に発生する二次流
れによって外周側に押し出されることにより、該湾曲部
内における流速分布が平均化され、これにより該吸気通
路内における平均流速が高められ、吸気通路のより広い
範囲内において効率良く吸気導入が行なわれることとな
り(換言すれば、吸気通路の有効断面積の利用効率が向
上することから)、それだけ吸気の充填効率が高められ
るものである。
【0024】
【0025】3 請求項3記載の発明では、請求項2記
載の発明において、付加ガスを供給する付加ガス通路の
他に、アシストエアを供給するアシストエア通路を設け
るとともに、これら各通路を各気筒の吸気通路間に跨が
るようにして形成したものであるところから、上記請求
項2記載の作用が得られることは勿論であるが、それに
加えて、該付加ガス通路とアシストエア通路とで各吸気
通路間が一体的に連結されることからこれらの剛性が高
められるものである。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【発明の効果】従って、本願各発明のエンジンの吸気装
置によればそれぞれ次のような効果が得られる。
【0033】
【0034】
【0035】(a) 請求項1記載のエンジンの吸気装置
によれば、湾曲部の上流端近傍に配置した開閉弁による
吸気の偏流作用によって、湾曲部をもつ吸気通路に特有
の吸気の流速分布の偏りをさらに増長させて最大流速を
より一層高めることから、燃料の気化・霧化が充分に向
上せしめられるものである。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】(b) 請求項2記載のエンジンの吸気装置
によれば、上記(a)記載の効果に加えて、湾曲部の内周
側への付加ガスの導入によって吸気通路内の平均流速を
高めているため、それだけ該吸気通路の有効断面積の利
用効率が向上し、結果的に充填効率の向上が図れるもの
である。即ち、湾曲構造の吸気通路を備えたものであり
ながら、最大流速を高く維持することによる燃料の気化
・霧化の促進と、平均流速を高く維持することによる充
填効率の向上とを同時に達成することができるものであ
る。
【0041】
【0042】(c) 請求項3記載のエンジンの吸気装置
によれば、上記(a),(b)記載の効果に加えて、各気筒
に対応する各吸気通路を付加ガス通路とアシストエア通
路とによって一体的に連結していることから、これら各
吸気通路相互間の剛性が向上し、延いてはエンジン全体
としての剛性を高めて、例えばエンジン振動に基づく騒
音発生を低減できるという効果が得られるものである。
【0043】
【実施例】以下、添付図面に示す実施例に基づいて本願
発明のエンジンの吸気装置を具体的に説明すると図1及
び図2には本願発明の実施例にかかる吸気を備えた自動
車用6気筒V型エンジンの一方のバンク部分が示されて
おり、同図において符号1はシリンダブロック、2はシ
リンダヘッド、3および4は左右一対のカムシャフト2
3,24を支承するカムキャリア、5はヘッドカバー、
6はピストン、7は燃焼室である。このエンジンは、吸
気2弁・排気2弁式エンジンであって、上記燃焼室7に
臨む上記シリンダヘッド2の下面には吸気ポ−ト8,8
と排気ポ−ト9,9がそれぞれ形成され、さらにこの各
吸気ポ−ト8,8にはそれぞれ吸気弁20,20が、また
各排気ポ−ト9,9にはそれぞれ排気弁21,21が配置
されている。
【0044】さらに、このエンジンにおいては、上記一
対の吸気ポ−ト8,8を、それぞれ独立したプライマリ
ー通路11とセカンダリー通路12を介して上記ヘッド
カバー5の上方位置に配置したサージタンク17に接続
させており、この二つの通路11,12で一つの気筒に
対応する吸気通路10を構成している。また、この二つ
の通路11,12のうち、プライマリー通路11はエン
ジンの全運転領域において吸気導入を行うが、セカンダ
リー通路12はエンジン負荷が所定以上の高負荷領域に
おいてのみ吸気導入を行う。そして、このプライマリー
通路11とセカンダリー通路12は、該セカンダリー通
路12の最上流位置(即ち、上記サージタンク17の出
口部17a)に後述の開閉弁18が設けられていること、
及び該セカンダリー通路12の中間位置に付加ガスとし
てのブローバイガスの噴出部36が形成されていること
を除いて同様構成をもつものであるため、ここでは図1
〜図3を参照してセカンダリー通路12の通路構成のみ
を詳述し、プライマリー通路11の通路構成については
その説明を省略する。
【0045】上記セカンダリー通路12は、上記吸気ポ
−ト8に連続して上記シリンダヘッド2内を上方に向か
いながら次第にエンジン側方に向けて湾曲する下流側湾
曲部15と、該下流側湾曲部15の上流側に連続してシ
リンダヘッド2を斜め上方に向けて直線状に延び且つそ
の上流端が該シリンダヘッド2の側面に開口する直線部
14と、該直線部14の上流端と上記サージタンク17
の出口部17aとの跨って着脱自在に配置されるととも
にエンジン上端部をその側方から巻き込むように上記下
流側湾曲部15とは逆方向に湾曲する上流側湾曲部13
とで構成されている。そして、このセカンダリー通路1
2の最上流位置である上記サージタンク17の出口部1
7aには、バタフライ弁で構成される開閉弁18が、そ
の弁軸19を上記上流側湾曲部13の湾曲面に直交する
方向に向け、且つ該上流側湾曲部13の外周壁13a寄
りに位置する周縁部18aを上記弁軸19よりも下流側
に位置せしめた状態で配置されている。
【0046】尚、上記上流側湾曲部13は、図2に示す
ように、上記プライマリー通路11側の上流側湾曲部2
2(図2及び図3参照)と並設状態で一体的に形成される
とともに、各気筒の吸気通路10,10との間において
は上下一対のフランジ41,42によって相互に連結さ
れて一つの吸気マニホールド30を構成している。
【0047】さらに、上記上流側湾曲部13の下流端近
傍のしかも外周壁13a寄り部位には、図1及び図3に
示すように、該上流側湾曲部13内への燃料導入を行う
噴孔26が、上記直線部14を通して上記吸気ポ−ト8
に指向するようにして形成されるとともに、該噴孔26
の上流端側にはインジェクタ−25が配置されている。
尚、このような噴孔26は上記プライマリー通路11の
上流側湾曲部22にも同様にして形成されており、該イ
ンジェクタ−25から噴射される燃料はこの二つの噴孔
26,26を通して上記プライマリー通路11側とセカ
ンダリー通路12側の双方に同時に供給されるようにな
っている。
【0048】一方、上記吸気マニホールド30は、図1
及び図2に示すように、上記上流側湾曲部13の内周壁
13bの外側位置に、その内部にブローバイガス通路3
5とアシストエア通路37とを並設した横設部31を、
各気筒の吸気通路10,10,10を横方向に跨がらせた
状態で一体形成している。そして、このブローバイガス
通路35は、上記上流側湾曲部13の内周壁13bを貫
通して形成した噴出部36を介して上記噴孔26よりも
上流側の内周壁13b上に開口せしめられており、排気
通路16側から導入されるブローバイガスG(特許請求
の範囲中の付加ガスに該当する)はこのブローバイガス
通路35によって各気筒側に分流されるとともに、それ
ぞれ噴出部36,36,・・から対応する気筒のセカンダ
リー通路12内にそれぞれ導入されるようになってい
る。さらに、上記アシストエア通路37は、上記吸気マ
ニホールド30内に形成された連通路38を介して上記
噴孔26の最上流部分に連通せしめられており、該アシ
ストエア通路37に供給されたアシストエアは各気筒側
にそれぞれ分流された後、連通路38から噴孔26の最
上流部分に供給されるようになっている。
【0049】続いて、このように構成された吸気装置の
作動及び効果等について、主としてセカンダリー通路1
2側の流れを例にとって説明する。エンジンが運転され
ると、先ずその低負荷域においては開閉弁18が閉弁保
持されるため、吸気はプライマリー通路11側からのみ
燃焼室7に導入され、該燃焼室7内にはスワール流が発
生する。またこの場合、インジェクタ−25からはプラ
イマリー通路11とセカンダリー通路12の両方にそれ
ぞれ燃料が分流供給されることから、プライマリー通路
11側からは吸気と燃料との混合気が、またセカンダリ
ー通路12側からは燃料のみが、それぞれ導入される。
さらに、これとは別に、アシストエア通路37に供給さ
れたアシストエアが連通路38を通ってインジェクタ−
25の噴口周辺に供給され、燃料と吸気のミキシングの
促進及び燃料の気化・霧化が図られる。また、ブローバ
イガス通路35に供給されたブローバイガスは噴出部3
6からセカンダリー通路12の上流側湾曲部13部分に
導入されている(従って、厳密には、このセカンダリー
通路12からは燃焼室7に対してブローバイガスと燃料
との混合気が導入されることになる)。
【0050】一方、エンジン負荷が上昇して高負荷運転
域に達すると、上記開閉弁18が開弁することから、燃
焼室7にはプライマリー通路11とセカンダリー通路1
2の双方から吸気と燃料の混合気がそれぞれ導入され
る。また、これとは別に、上記セカンダリー通路12の
上流側湾曲部13部分には噴出部36からブローバイガ
スが導入される。
【0051】ここで、この場合におけるセカンダリー通
路12内での吸気とブローバイガスの流れ、及び燃料の
ミキシング作用等についてそれぞれ説明する。先ず、吸
気の流れであるが、吸気はサージタンク17から開閉弁
18を通ってセカンダリー通路12側に流入した後、該
セカンダリー通路12内をその上流側湾曲部13から直
線部14を経て下流側湾曲部15に至り、最終的に吸気
ポ−ト8から燃焼室7内に吸入される。この場合、上記
上流側湾曲部13が大きく湾曲していることから、吸気
流の慣性力に起因する二次流れにより該上流側湾曲部1
3内における流速分布は図4における流速分布曲線L1
で示すように外周壁13a側に最大流速が偏った状態と
なる。そして、この流速分布の偏りは、開閉弁18の開
弁時において最も顕著となる。即ち、該開閉弁18はそ
の湾曲部外周寄りの外周縁18aが吸気下流側に位置す
るようにして開弁作動することから、上記サージタンク
17からの吸気はこの開閉弁18を通過する際に該開閉
弁18によって湾曲部外周寄りに偏流する作用を受ける
ためである。従って、この場合には最も高い最大流速が
達成される。
【0052】そして、従来構造であれば、このような偏
った流速分布は吸気が上流側湾曲部13内を流通する間
はそのまま持続されるが、この実施例においては該上流
側湾曲部13の通路途中においてその内周壁面13b上
に噴出部36を形成してここからブローバイガスを上流
側湾曲部13内に導入させるようにしていることから、
上記流速分布は吸気の流下に伴って次第に変化する。
【0053】即ち、噴出部36より上流側においては図
4の流速分布曲線L1で示すような流速分布をもち、従
って上流側湾曲部13の内周壁面13b近傍はその吸気
流Aによる動圧が低くなっており、ブローバイガスGは
ここからスムーズに上流側湾曲部13内に導入される。
この内周壁面13bの近傍に導入されたブローバイガス
Gは、これがそのまま該上流側湾曲部13内の吸気流に
よって下流側に押し流されることにより吸気流Aに付加
された格好となり、結果的に噴出部36の直下流側にお
いては、図4の流速分布曲線L2で示すように、外周壁
面13a寄り位置と内周壁面13b寄り位置の両方にそれ
ぞれ高流速域をもった“二こぶラクダ"状の流速分布と
なる。
【0054】しかし、このような“二こぶラクダ"状の
流速分布はそのままいつまでも持続されるものではな
く、吸気の流下とともに二次流れの影響を受けて内周壁
面13b寄りの高流速域が次第に外周壁面13a側に押し
出され、図4の流速分布曲線L3で示すように外周壁面
13a寄りと内周壁面13b寄りとにおいてさほど大きな
流速差のない略台形状の流速分布を呈することとなる。
従って、このような流速分布となった状態においては、
外周壁面13a寄り位置における最大流速にはほとんど
変化がない一方、上流側湾曲部13内における平均流速
は大幅に上昇することとなる。このように平均流速が上
昇するということは、上流側湾曲部13のうち、吸気導
入に有効に寄与し得る断面積が増加する(換言すれば、
有効断面積の利用効率が高まる)ことであり、それだけ
多量に且つ高速で吸気導入を行うことができ、結果的に
吸気の充填効率の向上、延いては出力性能の向上につな
がるものである。尚、このようにブローバイガスの噴出
部36の下流側における流速分布が改善されると、この
影響はそれより下流側のみに止どまらず、該噴出部36
よりも上流側にも及んでその部分の流速分布も改善され
ることは勿論である。
【0055】尚、ブローバイガスの付加によって達成さ
れる内周壁面13b寄りの高流速域は、吸気の流下に従
って次第に外周壁面13a側に移動することから、ブロ
ーバイガスの噴出部36の形成位置からある程度下流寄
り位置において図4の流速分布曲線L3で示すような最
も高い平均流速が得られるような流速分布となり、それ
よりさらに下流に下るに従って再び流速分布の外周壁面
13a側への偏りが顕著となって、最終的には最大流速
のみが突出した流速分布となり充填効率という点からは
望ましくない状態となる。このため、この実施例におい
ては、図4の流速分布曲線L3の如き流速分布が得られ
る位置の近傍に上流側湾曲部13の下流端位置を設定す
るとともに、この部分に上記インジェクタ−25の噴孔
26を開口させるようにしている。
【0056】一方、インジェクタ−25からの噴射燃料
は、これが上記流速分布曲線L3の如き流速分布が得ら
れる位置のしかも外周壁面13a寄りに開口した噴孔2
6から直線部14の軸心方向に向けて供給されることか
ら、該燃料は流速の最も大きい部分の吸気に乗り、該吸
気とのミキシングが促進されることから該燃料の気化・
霧化状態が可及的に良好ならしめられ、延いてはエンジ
ンの燃焼性能の改善に寄与できるものである。
【0057】また、ブローバイガスの流れをみると、該
ブローバイガスは上流側湾曲部13内への導入とともに
次第に二次流れによって外周壁面13a側に移動せしめ
られるが、これはブローバイガスが全体的に外周壁面1
3a側に移動するというのではなく、次第に吸気と混合
しながら移動するということである。従って、セカンダ
リー通路12内の流れ全体からみれば、上流側湾曲部1
3の内周壁面13b寄りに導入されたブローバイガスG
のセカンダリー通路12内における密度分布は、その下
流端(即ち、吸気ポ−ト8)に至るまで依然として内周壁
面13b寄り側が高く、外周壁面13a寄り側が低くなっ
ている。このため、上流側湾曲部13の下流端近傍から
直線部14にかけての吸気温度(厳密には、吸気とブロ
ーバイガスとの混合気温度)は、該上流側湾曲部13の
内周壁面13b寄り部分が高くなっており、また壁温に
ついても同様である。
【0058】従って、噴孔26から上流側湾曲部13内
に噴射された燃料は、高流速の吸気流に乗って燃焼室7
側に運ばれこと、及び上記内周壁面13a側においては
その温度(壁温及び雰囲気温度の双方)が高くこの部分に
おける燃料の気化・霧化性が良好であることから、該内
周壁面13b側の壁面(直線部14及び下流側湾曲部15
の壁面も含む)への燃料付着が可及的に防止され、延い
ては燃料制御に対するエンジン出力の応答性が改善され
るものである。
【0059】さらに、セカンダリー通路12内において
は、上述のように上流側湾曲部13の外周壁面13a寄
り部分を主として吸気が、内周壁面13b寄りを主とし
てブローバイガスが流れるが、この場合、この実施例の
ように直線部14がかなり大きな傾斜をもって吸気ポ−
ト8側に指向するとともに、これに続く下流側湾曲部1
5を燃焼室7の軸心方向へ向けて湾曲させると、吸気ポ
−ト8から燃焼室7内に吸入される混合気は該燃焼室7
内において上下方向に旋回するいわゆるタンブル流を生
成する。ところで、この実施例のものにおいては、上述
のように上流側湾曲部13の内周壁面13b寄りに主と
して存在したブローバイガスGはそのまま該内周壁面1
3b側に位置する直線部14の壁面及び下流側湾曲部1
5の壁面に沿って燃焼室7内に流入することから、該燃
焼室7内においてはブローバイガスGが該燃焼室7の内
壁あるいはピストン6の頂面に近い側に層状に存在し、
吸気と燃料の混合気Bはこのブローバイガス層の内部に
包み込まれた状態で存在することとなる。即ち、燃焼室
7内における層状化が達成されるものである。
【0060】従って、混合気の層状化による希薄燃焼の
実現により燃比性能が向上せしめられることは勿論であ
るが、さらにこれに加えて排気エミッション及びノッキ
ング性能の改善も同時に図られるものである。即ち、こ
のように燃焼室7の外周部、即ち、比較的温度が低くて
燃焼不良により未燃成分が発生し易い部位がブローバイ
ガスという不燃ガスによって占有されることから該部分
への混合気の流入がなく、従って当然この部分において
の燃焼ということもなく、結果的に未燃成分の発生その
ものが可及的に抑制され、排気エミッションの改善につ
ながるものである。また、このように燃焼室7の外周部
がブローバイガスによって占有されるということは、ノ
ッキング発生の遠因となるエンドガスゾーンそのものが
消滅することから、ノッキング発生が可及的に防止さ
れ、延いては高圧縮比化による出力性能の改善も期待で
きるものである。
【0061】さらに、エンジンの低負荷領域においては
上記開閉弁18は閉弁保持されるが、この開閉弁18が
バタフライ弁で構成されていることから、例えこれが全
閉状態にあったとしてもその周縁部と通路壁との間には
微少隙間が形成される。従って、開閉弁18の閉弁状態
時においては、この隙間から吸気ポ−ト8側に少量ずつ
吸気が漏れ出ることとなる。一方、この開閉弁18は、
従来一般には吸気ポ−ト8に近い位置に配置されるが、
この実施例においてはこれを上流側湾曲部13の上流端
近傍に配置しているため、該開閉弁18と吸気弁20と
の間のボリュームは従来構造に比してかなり大きくなっ
ており、従って上記開閉弁18の隙間から漏れてこのボ
リューム内に溜る吸気量も大幅に増加する。このよう
に、上記ボリューム内に多量の吸気が溜っていると、排
気行程の最終期において吸気弁20と排気弁21の開弁
がオーバラップした時には吸気ポ−ト8から燃焼室7内
に多量の吸気が流入し、この流入吸気により排気ポ−ト
9周辺が効率良く掃気されることとなる。
【0062】また、ブローバイガス通路35とアシスト
エア通路37とが横設部31内に近接状態で並設されて
いることから、該アシストエア通路37内のアシストエ
アはブローバイガスの熱によって暖められたのちインジ
ェクタ−25の噴口近傍に供給されることから、該アシ
ストエアによる燃料の気化・霧化の促進作用がより一層
高められることとなる。また、このブローバイガス通路
35とアシストエア通路37を形成した横設部31が、
吸気マニホールド30の各吸気通路10,10,・・間を
シリンダ配列方向に跨った状態で形成されていることに
より、該吸気マニホールド30はその上下両端がそれぞ
れフランジ41,42によって連結されるのに加えて、
該横設部31によってその中間部も連結されることか
ら、その剛性が向上せしめられるものである。そして、
この吸気マニホールド30の剛性アップにより、エンジ
ン全体としての剛性が高められ、且つエンジン振動によ
る騒音発生も可及的に低減されるものである。
【0063】尚、上記実施例においては、付加ガスとし
てブローバイガスを導入するようにしているが、本願発
明はこれに限定されるものではなく、例えばこのブロー
バイガスに変えて付加ガスとしてEGRガスを採用する
こともできるものである。
【0064】また、この実施例においては、付加ガスの
噴出部36をセカンダリー通路12側に形成している
が、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば
これをプライマリー通路11側に形成することもできる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例にかかる吸気装置を備えたエ
ンジンの要部断面図である。
【図2】図1のII-II矢視図である。
【図3】図1のIII-III縦断面図である。
【図4】吸気通路内における吸気の流速分布説明図であ
る。
【図5】吸気通路内における吸気の流速分布説明図であ
る。
【符号の説明】
1はシリンダブロック、2はシリンダヘッド、3はカム
キャリア、4はカムキャリア、5はヘッドカバー、6は
ピストン、7は燃焼室、8は吸気ポ−ト、9は排気ポ−
ト、10は吸気通路、11はプライマリー通路、12は
セカンダリー通路、13は上流側湾曲部、14は直線
部、15は下流側湾曲部、16は排気通路、17はサー
ジタンク、18は開閉弁、19は弁軸、20は吸気弁、
21は排気弁、23はカムシャフト、24はカムシャフ
ト、25はインジェクタ−、26は噴孔、30は吸気マ
ニホールド、31は横設部、35はブローバイガス通
路、36は噴出部、37はアシストエア通路である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02M 29/00 F02M 29/00 G 69/04 69/04 G P 69/00 350T (56)参考文献 特開 昭56−6064(JP,A) 実開 昭63−202769(JP,U) 実開 昭63−200655(JP,U) 実開 平1−130057(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 69/00 - 69/00 310 F02M 69/04 F02M 25/07 580 F02M 29/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湾曲部を有する吸気通路にインジェクタ
    ーを配置するとともに、該インジェクターより上流側に
    エンジンの運転状態に応じて上記吸気通路を選択的に開
    閉する開閉弁を備えたエンジンの吸気装置において、上
    記インジェクターの噴孔を上記湾曲部の外周側の壁面上
    に開口させる一方、上記開閉弁はこれをバタフライ弁で
    構成し且つその弁軸方向を上記湾曲部の湾曲面方向に直
    交する方向に向けた状態で上記湾曲部の上流に配置す
    るとともに、その開弁時においては上記湾曲部の外周側
    に位置する周縁部が内周側に位置する周縁部よりも吸気
    下流側に位置するように開弁作動方向を設定したことを
    特徴とするエンジンの吸気装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエンジンの吸気装置にお
    いて、上記吸気通路内に適宜の付加ガスを供給し得るよ
    うに、該付加ガスの噴出部を上記湾曲部の内周側の壁面
    上に開口させたことを特徴とするエンジンの吸気装置。
  3. 【請求項3】 請求項記載のエンジンの吸気装置にお
    いて、上記インジェクターの噴孔近傍にアシストエア通
    路を介してアシストエアを供給し得る如くするととも
    に、上記付加ガスを供給する付加ガス通路を上記アシス
    トエア通路に近接して並設し、さらに該アシストエア通
    路と付加ガス通路とを各気筒の吸気通路相互間に跨がる
    ようにして形成したことを特徴とするエンジンの吸気装
    置。
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