JP3071058B2 - 溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板の製造方法 - Google Patents
溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板の製造方法Info
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どに使用される非熱処理型溶接構造用高強度アルミニウ
ム合金厚板の製造方法に関し、特に強度が高くかつ溶接
熱影響部の強度低下が少ない厚板の製造方法に関するも
のである。
も強度の高いクラスの被熱処理型溶接構造用材として多
く用いられている。しかしながら、構造物の種類によっ
てはより高強度材に対する潜在的ニーズがあり、例えば
構造の変更に伴うより高い座屈強度への要望等がある。
このような場合、座屈強度が要求されることから引張強
さだけでなく耐力の値においても優れたものが求められ
ている。また厚板の溶接においてはその効率アップのた
め入熱の大きい大電流MIG溶接が用いられるケースが
多い。しかし溶接入熱が過度に大となると溶接熱影響部
の結晶粒組織の粗大化が起こり易く溶接材の引張強さ、
耐力の低下を招き易い。
ら、本発明は素材の強度が高いこと溶接熱影響部を含む
溶接部近傍の強度低下が小さいこと特に高い座屈強度を
得るために母材および溶接熱影響部の耐力が高いことと
いう要求を満たすアルミニウム合金厚板の製造方法を提
供することを目的とするものである。
に、本発明者らは化学成分組成、組織並びに製造条件等
について総合的に研究を重ね鋭意検討した結果、本発明
を成すに至った。
量%でMn:1.0%を超え2.0%以下、Mg:3.
0〜6.0%、Ti:0.005〜0.2%を含み、残
部がAlおよび不可避的不純物からなる溶接構造用高強
度アルミニウム合金厚板を製造するにあたり、不純物成
分としてのFe量を0.15%未満に規制し、その合金
鋳塊を500℃以下の温度で加熱した後、300〜40
0℃の温度範囲で圧延を終了させる熱間圧延を施すこと
を特徴とする溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板の
製造方法であり、また請求項2記載の如く、重量%でM
n:1.0%を超え2.0%以下、 Mg:3.0〜
6.0%、 Ti:0.005〜0.2%、Cr:0.
05〜0.10%を含み、残部がAlおよび不可避的不
純物からなる溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板を
製造するにあたり、不純物成分としてのFe量を0.1
5%未満に規制し、その合金鋳塊を500℃以下の温度
で加熱した後、300〜400℃の温度範囲で圧延を終
了させる熱間圧延を施すことを特徴とする溶接構造用高
強度アルミニウム合金厚板の製造方法である。
ず、本発明における化学成分の限定理由について説明す
る。 Mn:Mnは鋳造時に強制固溶され熱間圧延等によりA
l6 Mn微細粒子を析出し、これにより高強度化、熱的
安定性への寄与の効果がある。ただし1.0%以下では
Al6 Mnの微細析出物の均一な分布が不充分で、素材
の高強度化、熱的安定性への寄与が充分期待できない。
一方2.0%を超えると大型鋳塊の凝固速度ではAl6
Mnの粗大な初晶晶出物の生成範囲となり好ましくな
い。従って、Mn量は1.0%を超え2.0%以下の範
囲とする。 Mg:Mgは材料の強度レベルを向上するのに有効な元
素であり、特に溶接金属の強度レベルを上げるためには
欠かせない元素である。しかし、Mg量の増加は積層欠
陥エネルギーを下げるため再結晶が起き易くなり熱的に
は不安定な方向となりまたMnの固溶量を低減させると
いう問題もある。さらに高Mg化は熱間圧延の変形抵抗
を増大すると共に素材の応力腐食感受性を高めることは
よく知られている。Mg量が3.0%未満では強度不足
となり、6.0%を超えると上記の問題が大きくなるこ
とからMg量は3.0〜6.0%の範囲とする。 Cr:Crの添加は強度特に耐力の向上に有効な元素で
あるが0.05%未満ではその効果が少なく、一方0.
10%を超えて多量に添加するとMnの固溶量を減少さ
せると共に高Mnとの共存で初晶巨大化合物が生成し易
い。したがって、Cr量は0.05〜0.10%の範囲
とする。 Ti:その他合金成分として、鋳塊の鋳造組織を微細化
させ割れ等の鋳造欠陥を抑えるためにTiの添加が不可
欠である。またこれは厚板の組織の微細化、溶接時の溶
接金属の微細化に寄与し溶接性の向上、安定性のために
も好ましい。Ti0.005%未満ではその効果がな
く、また0.2%を超えて含有させると初晶TiAl3
等の巨大化合物が生成して靱性、加工性を損なう。した
がって、Ti量は0.005〜0.2%の範囲とする。
なおTiはBと複合添加することによりTi単独添加の
場合よりも一層顕著な結晶粒微細化効果を発揮するた
め、必要に応じてTiと併せてBを添加してもよい。但
し、B量が0.01%未満ではその効果が少なく、一方
0.1%を超えるとTiB2の粗大粒子の混入などによ
り靱性が劣化する。従って、BをTiと複合添加する場
合のB量は0.001〜0.1%の範囲内とすることが
好ましい。 Fe:Feは結晶粒微細化、強度向上に効果を示すが、
過多に添加されるとMnとともに晶出金属間化合物を生
成してMnの固溶量を減少させるとともに材料の均一性
を阻害するため好ましくない。しかし、商業ベースの地
金には不可避的不純物として含まれるため高純度のAl
地金が必要となることから、Fe量は0.15%未満に
規制する。 Be:Beは溶解する際に溶湯の酸化を抑制し、Mgの
損失を防ぐとともに酸化物粒子などの不純物の混入を防
ぐ効果があるが、0.001%を超えて添加してもその
効果が飽和してしまい経済的にメリットが無い。従って
Beを添加する際にはその量は0.001%以下とす
る。以上の各成分の残部はAl及び不可避不純物であ
る。不可避不純物としてCuは0.10%以下、Siは
0.40%以下、Znは0.25%以下であるならば本
発明の効果を損なうことはない。
説明する。 鋳造:Mnは鋳造時に強制固溶されるが、MnのAlへ
の最大固溶量は状態図的には最大1.8%とされ、Mg
の添加とともに減少する傾向にあるが、DC鋳造(半連
続鋳造)、連続鋳造圧延のような急速凝固させる鋳造方
法では2%Mnにおいても初晶Al6 Mnの生成は認め
られない。本発明においては、Mnの固溶量を増加させ
Al−Fe−Mn系の晶出物を微細化するためにDC鋳
造(半連続鋳造)相当の0.5℃/sec以上の冷却速
度であることが好ましい。 加熱:鋳塊でのMnの強制固溶状態はその後の加熱工程
で破られAl6 Mnの析出が起こるが、素材の高強度か
つ熱的安定性を確保するためには析出状態を微細でかつ
緻密な分布状態に保ち析出物の粗大化を極力抑える必要
がある。従って熱間圧延の予備加熱は必要最小限にする
ことが必要であり、鋳塊の加熱温度は500℃以下とし
て圧延を実施することが必要である。 熱延:本発明の合金成分では鋳造材では550℃まで析
出物は増加していくが、圧延等の加工により加工歪を導
入すると析出過程が促進され、450℃近辺まで析出の
ピークが低下し、熱間圧延中に析出が進行し析出物の粗
大化が起こり強度低下を招く。従って高強度でかつ熱的
に安定な下部組織(substructure)を有する素材を得る
ためには熱間圧延の終了温度を300℃以上400℃以
下に管理することが必要である。この温度領域では析出
はあっても析出物の粗大化はなく組織の熱的安定性の向
上に寄与できる。300℃より下ると析出は少なく加工
歪量が大となり再加熱時に回復・再結晶が起こり易く熱
的安定性が損なわれる。例えば溶接時に溶接熱により熱
影響部の組織変化が起こり易くなり、溶接強度の確保が
難しい。 熱間圧延後:本発明に係る溶接構造用アルミニウム合金
厚板は、通常冷間圧延以降の処理は施さず、熱間圧延終
了の状態あるいは最終焼鈍を施して軟質材とした状態で
使用する。
に示す化学成分を有するアルミニウム合金をDC鋳造法
(半連続鋳造法)で鋳造し、厚さ460mm、幅140
0mmの鋳塊を作製した。この鋳塊を表1に示す製造方
法により加熱後、熱間圧延で厚さ25mmのプレートに
圧延した。その時の熱間圧延終了温度を表1に示す。表
1で下線のある箇所は本発明の範囲から外れているもの
である。各々について説明すると、No1は請求項2に
該当するCrを添加した発明例である。No2は請求項
1に該当する発明例で、Crを積極添加していないかわ
りにMg量を多くしてある。No3は請求項2に該当す
る発明例であり、No1よりMn量が少なく、Mg量、
Cr量が多いものである。No4はMg量が本発明の範
囲より少ない比較例である。No5は合金成分はNo1
と同じだが、加熱温度、熱延終了温度が本発明の範囲か
ら外れる比較例である。No6は合金成分はNo2と同
じだが、加熱温度、熱延終了温度が本発明の範囲から外
れる比較例である。No7は熱延終了温度が低すぎる比
較例である。No8はMn量が本発明の範囲より不足し
ている比較例である。No9はFe量が本発明の範囲よ
り多い比較例である。No10は従来より用いられてい
るJIS5083合金に相当する成分組成のものを従来
法に従って加熱・熱間圧延した従来例である。
0℃の最終焼鈍を施してO材(軟質材)とし、その引張
強さ(N/mm2 )、耐力(N/mm2 )、伸び(%)
を調べた。その結果を表2に元板引張特性として示
す。。また、このO材に対して溶接時の熱影響での軟化
の目安として450℃2時間の焼鈍を行い、その時の強
度低下を測定した。その結果を元板に対する相対強度
(%)として表2に示す。
2に該当するCrを添加した発明例であるが、引張強
さ、耐力に優れかつ伸びも充分あり、しかも加熱した後
の相対強度も引張強さで97%以上、耐力で90%以上
であり加熱による強度低下が非常に少ないものとなって
いる。。No2は請求項1に該当する発明例であるが、
No1と同様に加熱による強度低下が極めて少なく、し
かもMg量が多くなっていることから引張強さ、耐力と
もに絶対値としてはNo1を超える優れた強度となって
いる。No3は元板の引張強さ、耐力ともにNo1,2
よりさらに強いものとなっており、加熱による強度低下
の相対値はやや劣るものの絶対値としては引張強さが3
78N/mm2 、耐力が196N/mm2 とNo1,N
o2より優れた値となっている。従って素材と溶接熱影
響部との強度差が多少あっても絶対値としての高強度を
必要とする用途に適するものである。No4はMg量が
本発明の範囲より少ない比較例であり、元板強度も低
く、しかも強度低下が大きい。特に耐力の低下が80%
と軟化が激しいものとなっている。No5は合金成分は
No1と同じだが温度条件が本発明の範囲から外れる比
較例であり、元板強度特に耐力が低い値となっており、
しかも耐力低下もやや大きい結果となっている。No6
は合金成分はNo2と同じだが、温度条件が本発明の範
囲から外れる比較例であるが、元板の耐力が低くしかも
耐力低下の割合も大きいため、加熱後の耐力の絶対値は
低いものとなっている。No7は熱延終了温度が低すぎ
る比較例であり、元板の引張強さおよび引張強さの低下
はそれほどでもないが、加熱による耐力低下が極めて大
きいものとなっている。No8はMn量が不足している
比較例であり、伸びは優れ引張強さも遜色無いものの耐
力低下が大きなものとなっている。No9はFe量が多
い比較例であり、元板の引張強さ、耐力は優れているも
のの加熱後の耐力は元板の76%と極めて耐力低下が大
きい。No10は従来例であるが、元板の引張強さ、耐
力は発明例と遜色無いものの加熱後の耐力低下が大きな
ものとなっている。
熱・熱間圧延温度を規定した本発明によれば、元板の引
張強さ、耐力ならびに伸びに優れているとともに、溶接
等による高温加熱にさらされても引張強さ及び耐力の低
下が少ない溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板を得
ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、Mn:1.0
%を超え2.0%以下、Mg:3.0〜6.0%、T
i:0.005〜0.2%を含み、残部がAlおよび不
可避的不純物からなる溶接構造用高強度アルミニウム合
金厚板を製造するにあたり、不純物成分としてのFe量
を0.15%未満に規制し、その合金鋳塊を500℃以
下の温度で加熱した後、300〜400℃の温度範囲で
圧延を終了させる熱間圧延を施すことを特徴とする溶接
構造用高強度アルミニウム合金厚板の製造方法。 - 【請求項2】 重量%で(以下、同じ)、 Mn:1.
0%を超え2.0%以下、 Mg:3.0〜6.0%、
Ti:0.005〜0.2%、Cr:0.05〜0.
10%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からな
る溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板を製造するに
あたり、不純物成分としてのFe量を0.15%未満に
規制し、その合金鋳塊を500℃以下の温度で加熱した
後、300〜400℃の温度範囲で圧延を終了させる熱
間圧延を施すことを特徴とする溶接構造用高強度アルミ
ニウム合金厚板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5021871A JP3071058B2 (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5021871A JP3071058B2 (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 溶接構造用高強度アルミニウム合金厚板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06212373A JPH06212373A (ja) | 1994-08-02 |
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JP (1) | JP3071058B2 (ja) |
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