JPH06264171A - ブラインド用アルミニウム合金板材およびその製造方法 - Google Patents
ブラインド用アルミニウム合金板材およびその製造方法Info
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- JPH06264171A JPH06264171A JP5077703A JP7770393A JPH06264171A JP H06264171 A JPH06264171 A JP H06264171A JP 5077703 A JP5077703 A JP 5077703A JP 7770393 A JP7770393 A JP 7770393A JP H06264171 A JPH06264171 A JP H06264171A
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Landscapes
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 Si1.0 〜1.5 %(重量%、以下同じ)、M
g0.5 〜0.8 %、Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.05〜0.20%
およびCu0.1 〜0.3 %を含有し、不純物としてのFe
を0.30%以下に制限し、残部Alおよび不可避不純物か
らなるアルミニウム合金であり、耐力が400 MPa、電
気抵抗率が1.3 μΩ・cm以上で、230 ℃以下で50秒以上
の塗装焼付処理を行った後の耐力が350 MPa以上であ
る。連続焼鈍炉で500 〜550 ℃に加熱する溶体化処理を
行い、70〜85%の最終冷間圧延を行うことを製造上の特
徴とする。 【効果】 最終冷間加工率を高め、塗装焼付処理後の強
度が大きく、塗装焼付処理後の耐力の低下が少ない材料
が得られる。
g0.5 〜0.8 %、Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.05〜0.20%
およびCu0.1 〜0.3 %を含有し、不純物としてのFe
を0.30%以下に制限し、残部Alおよび不可避不純物か
らなるアルミニウム合金であり、耐力が400 MPa、電
気抵抗率が1.3 μΩ・cm以上で、230 ℃以下で50秒以上
の塗装焼付処理を行った後の耐力が350 MPa以上であ
る。連続焼鈍炉で500 〜550 ℃に加熱する溶体化処理を
行い、70〜85%の最終冷間圧延を行うことを製造上の特
徴とする。 【効果】 最終冷間加工率を高め、塗装焼付処理後の強
度が大きく、塗装焼付処理後の耐力の低下が少ない材料
が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブラインド用アルミニ
ウム合金板材およびその製造方法、とくに塗装焼付処理
を施した後においても強度低下が少ないブラインド用ア
ルミニウム合金板材およびその製造方法に関する。
ウム合金板材およびその製造方法、とくに塗装焼付処理
を施した後においても強度低下が少ないブラインド用ア
ルミニウム合金板材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラインド用材料にはある程度以上の強
度および耐食性が要求されることから、アルミニウム合
金の薄板が多く使用されており、従来AA5052(Al-2.5
%Mg-0.25 %Cr系) 、5086(Al-4 %Mg-0.5%Mn-0.15 %
Cr系) 、5182(Al-4.5 %Mg-0.35 %Mn系) などのAl−
Mg系アルミニウム合金の0.1 〜0.2mm 厚の圧延板が用
いられてきた。一般に、ブラインドは塗装仕上げされて
使用されるものであるから、ブラインド用アルミニウム
合金材料としては、塗装後の焼付処理で軟化しない材料
が望まれているが、上記のアルミニウム合金は、通常行
われる200 〜230℃の温度に40〜50秒保持される塗装焼
付処理において強度とくに耐力の低下が生じ易く、ブラ
インドとしての性能を低下させることが少なくない。
度および耐食性が要求されることから、アルミニウム合
金の薄板が多く使用されており、従来AA5052(Al-2.5
%Mg-0.25 %Cr系) 、5086(Al-4 %Mg-0.5%Mn-0.15 %
Cr系) 、5182(Al-4.5 %Mg-0.35 %Mn系) などのAl−
Mg系アルミニウム合金の0.1 〜0.2mm 厚の圧延板が用
いられてきた。一般に、ブラインドは塗装仕上げされて
使用されるものであるから、ブラインド用アルミニウム
合金材料としては、塗装後の焼付処理で軟化しない材料
が望まれているが、上記のアルミニウム合金は、通常行
われる200 〜230℃の温度に40〜50秒保持される塗装焼
付処理において強度とくに耐力の低下が生じ易く、ブラ
インドとしての性能を低下させることが少なくない。
【0003】強度特性を改善したブラインド用アルミニ
ウム合金材料として、4 %Mg、1%Znを含むAl合
金(特開昭60-251245 号) 、これにさらに1 %Cuを添
加したAl合金(特開昭61-15937号) 、2 %Cu、1 %
Mg、1 %Siを含むAl合金(特開昭61-15938号) 、
Al−Mg−Mn−Feをベ−スとする合金(特開平1-
205050、205051、205052号) 、2 %Mg、1 %Mn、0.
35%Cuを含むAl合金(特開平4-88145 号) が開発さ
れており、製造方法としては、2 %Mg、1 %Mn、0.
35%Cuを含むAl合金を熱間圧延後、冷間圧延の途中
で溶体化処理し、最終圧延加工度を高くして強度を上げ
る方法(特開平4-88145 号) 、中間熱処理の前後に1
次、2 次の冷間圧延を行い、加工度を大きくすることに
より強度を付与する方法( 特開平2-25546 号) が提案さ
れている。
ウム合金材料として、4 %Mg、1%Znを含むAl合
金(特開昭60-251245 号) 、これにさらに1 %Cuを添
加したAl合金(特開昭61-15937号) 、2 %Cu、1 %
Mg、1 %Siを含むAl合金(特開昭61-15938号) 、
Al−Mg−Mn−Feをベ−スとする合金(特開平1-
205050、205051、205052号) 、2 %Mg、1 %Mn、0.
35%Cuを含むAl合金(特開平4-88145 号) が開発さ
れており、製造方法としては、2 %Mg、1 %Mn、0.
35%Cuを含むAl合金を熱間圧延後、冷間圧延の途中
で溶体化処理し、最終圧延加工度を高くして強度を上げ
る方法(特開平4-88145 号) 、中間熱処理の前後に1
次、2 次の冷間圧延を行い、加工度を大きくすることに
より強度を付与する方法( 特開平2-25546 号) が提案さ
れている。
【0004】しかしながら、これらのアルミニウム合金
では、強度を確保するために冷間加工率を高めたとき、
例えば70%以上の圧延加工を行った場合には、最終板厚
が薄いため板端部の割れが生じ易くなって材料の歩留り
が低下し、圧延不能になることもある。例えば90%以上
の加工度が必要なものでは、圧延パス回数が増加して作
業能率を低下させるという問題もある。
では、強度を確保するために冷間加工率を高めたとき、
例えば70%以上の圧延加工を行った場合には、最終板厚
が薄いため板端部の割れが生じ易くなって材料の歩留り
が低下し、圧延不能になることもある。例えば90%以上
の加工度が必要なものでは、圧延パス回数が増加して作
業能率を低下させるという問題もある。
【0005】また、最近は、居住性の向上のために、カ
ラフルなブラインドが求められており、1コート目と2
コート目の色を変えて塗装焼付処理を2回行う(2コー
ト2ベーク)から、強度低下はさらに大きくなり易く、
ますます加熱処理後の強度低下が小さいブラインド用ア
ルミニウム合金材料の開発が要請されている。
ラフルなブラインドが求められており、1コート目と2
コート目の色を変えて塗装焼付処理を2回行う(2コー
ト2ベーク)から、強度低下はさらに大きくなり易く、
ますます加熱処理後の強度低下が小さいブラインド用ア
ルミニウム合金材料の開発が要請されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ブラインド
用アルミニウム合金材における従来の問題点を解消する
とともに上記の開発要請に応えるために、塗装焼付処理
後の強度と成分元素の組み合わせおよびこれら元素の塗
装焼付処理温度における析出態様、冷間加工性と添加元
素の組み合わせについて研究を行った結果、Si、Mg
およびCu量を調整し、塗装焼付処理時、析出するMg
をすべてMg2 Si相またはAl−Mg−Cu系化合物
として析出させるとともに、余剰のSi、Cuの含有に
より合金の強度を高め、さらにMgの含有量を必要最小
限に抑え、これらの成分の組み合わせの中でTiを添加
することにより冷間加工性を高めることが可能であるこ
とを見出したことに基づいてなされたものであり、最終
冷間圧延加工率を高めても板端部に割れを生じることが
なく、圧延1パスでの圧下量を大きくできて圧延パス回
数の増加も避けられ、塗装焼付処理後の強度低下も少な
いブラインド用アルミニウム合金板材を提供することを
目的とする。
用アルミニウム合金材における従来の問題点を解消する
とともに上記の開発要請に応えるために、塗装焼付処理
後の強度と成分元素の組み合わせおよびこれら元素の塗
装焼付処理温度における析出態様、冷間加工性と添加元
素の組み合わせについて研究を行った結果、Si、Mg
およびCu量を調整し、塗装焼付処理時、析出するMg
をすべてMg2 Si相またはAl−Mg−Cu系化合物
として析出させるとともに、余剰のSi、Cuの含有に
より合金の強度を高め、さらにMgの含有量を必要最小
限に抑え、これらの成分の組み合わせの中でTiを添加
することにより冷間加工性を高めることが可能であるこ
とを見出したことに基づいてなされたものであり、最終
冷間圧延加工率を高めても板端部に割れを生じることが
なく、圧延1パスでの圧下量を大きくできて圧延パス回
数の増加も避けられ、塗装焼付処理後の強度低下も少な
いブラインド用アルミニウム合金板材を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるブラインド用アルミニウム合金板材お
よびその製造方法は、Si1.0 〜1.5 %(重量%、以下
同じ)、Mg0.5 〜0.8 %、Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.
05〜0.20%およびCu0.1 〜0.3 %を含有し、不純物と
してのFeを0.30%以下に制限し、残部Alおよび不可
避不純物からなるアルミニウム合金であって、耐力が40
0 MPa以下、電気抵抗率が1.3 μΩ・cm以上であり、
230 ℃以下で50秒以上の塗装焼付処理を行った後におけ
る耐力が350 MPa以上であること、およびSi1.0 〜
1.5 %、Mg0.5 〜0.8 %、Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.
05〜0.20%、Cu0.1 〜0.3 %を含有し、不純物として
のFeを0.30%以下に制限し、残部Alおよび不可避不
純物からなるアルミニウム合金を、熱間圧延ならびに冷
間圧延し、連続焼鈍炉により500 〜550 ℃に加熱する溶
体化処理を行った後、加工率70〜85%の最終冷間圧延を
行い、230 ℃以下で50秒以上の塗装焼付処理を行った後
における耐力を350 MPa以上とすることを構成上の特
徴とする。
めの本発明によるブラインド用アルミニウム合金板材お
よびその製造方法は、Si1.0 〜1.5 %(重量%、以下
同じ)、Mg0.5 〜0.8 %、Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.
05〜0.20%およびCu0.1 〜0.3 %を含有し、不純物と
してのFeを0.30%以下に制限し、残部Alおよび不可
避不純物からなるアルミニウム合金であって、耐力が40
0 MPa以下、電気抵抗率が1.3 μΩ・cm以上であり、
230 ℃以下で50秒以上の塗装焼付処理を行った後におけ
る耐力が350 MPa以上であること、およびSi1.0 〜
1.5 %、Mg0.5 〜0.8 %、Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.
05〜0.20%、Cu0.1 〜0.3 %を含有し、不純物として
のFeを0.30%以下に制限し、残部Alおよび不可避不
純物からなるアルミニウム合金を、熱間圧延ならびに冷
間圧延し、連続焼鈍炉により500 〜550 ℃に加熱する溶
体化処理を行った後、加工率70〜85%の最終冷間圧延を
行い、230 ℃以下で50秒以上の塗装焼付処理を行った後
における耐力を350 MPa以上とすることを構成上の特
徴とする。
【0008】本発明におけるアルミニウム合金の成分限
定理由について説明すると、Siは、塗装焼付処理温度
(200 〜230 ℃) において、MgとともにMg2 Si相
を析出させ、塗装焼付処理を行った後の合金の強度低下
を軽減するのに効果がある。好ましい含有範囲は1.0 〜
1.5 %であり、1.0 %未満では、本発明のMg含有量が
0.5 〜0.8 %と少ないため、Mg2 Si相の形成が少な
くなり塗装焼付処理後の強度が低下する。1.5 %を越え
ると、合金の延性が低下し、冷間圧延加工において板端
部に割れが生じ易くなる。
定理由について説明すると、Siは、塗装焼付処理温度
(200 〜230 ℃) において、MgとともにMg2 Si相
を析出させ、塗装焼付処理を行った後の合金の強度低下
を軽減するのに効果がある。好ましい含有範囲は1.0 〜
1.5 %であり、1.0 %未満では、本発明のMg含有量が
0.5 〜0.8 %と少ないため、Mg2 Si相の形成が少な
くなり塗装焼付処理後の強度が低下する。1.5 %を越え
ると、合金の延性が低下し、冷間圧延加工において板端
部に割れが生じ易くなる。
【0009】Mgは、SiやCuとともに塗装焼付処理
温度でMg2 Si相,Al−Mg−Cu系化合物を析出
させ、塗装焼付処理を行った後の合金の強度低下を軽減
するのに効果がある。好ましい含有範囲は0.5 〜0.8 %
であり、0.5 %未満では、Mg2 Si相やAl−Mg−
Cu系化合物の形成が少なく塗装焼付処理後に強度低下
が生じる。0.8 %を越えると、冷間圧延における加工硬
化が大きくなって1パスでの圧下量が少なくなり、圧延
パス数の増加や圧延板端部の割れ発生の原因となる。
温度でMg2 Si相,Al−Mg−Cu系化合物を析出
させ、塗装焼付処理を行った後の合金の強度低下を軽減
するのに効果がある。好ましい含有範囲は0.5 〜0.8 %
であり、0.5 %未満では、Mg2 Si相やAl−Mg−
Cu系化合物の形成が少なく塗装焼付処理後に強度低下
が生じる。0.8 %を越えると、冷間圧延における加工硬
化が大きくなって1パスでの圧下量が少なくなり、圧延
パス数の増加や圧延板端部の割れ発生の原因となる。
【0010】Mnは、溶体化処理および塗装焼付処理に
おいてAl−Mn系化合物を析出させ、合金材料に耐熱
性を与え、塗装焼付処理後の強度低下を軽減する効果が
あり、0.8 〜1.2 %の範囲で含有される。0.8 %未満で
は、Mg量が少ないこともあってその効果が小さく、1.
2 %を越えて含有すると、冷間圧延における加工硬化が
大きくなって1パスでの圧下量が大きくできないため、
圧延パス数が増加し、圧延板端部に割れが生じ易くな
る。さらに、Al−Fe−Mn系の粗大晶出物を形成
し、熱間圧延や冷間圧延時に割れを生じ易くするととも
に、ピンホールなどの欠陥発生の原因ともなる。
おいてAl−Mn系化合物を析出させ、合金材料に耐熱
性を与え、塗装焼付処理後の強度低下を軽減する効果が
あり、0.8 〜1.2 %の範囲で含有される。0.8 %未満で
は、Mg量が少ないこともあってその効果が小さく、1.
2 %を越えて含有すると、冷間圧延における加工硬化が
大きくなって1パスでの圧下量が大きくできないため、
圧延パス数が増加し、圧延板端部に割れが生じ易くな
る。さらに、Al−Fe−Mn系の粗大晶出物を形成
し、熱間圧延や冷間圧延時に割れを生じ易くするととも
に、ピンホールなどの欠陥発生の原因ともなる。
【0011】Feは、Al−Mn−Fe系の粗大晶出物
を形成して、熱間圧延や冷間圧延時に割れを生じ易く
し、最終圧延板材にピンホールなどの欠陥を発生させる
原因となるので、Mnによる塗装焼付処理後の強度低下
軽減の効果を得るために、Fe含有量はできるだけ低く
抑えるのが望ましいが、Fe分を低くするには高純アル
ミニウム地金の使用が必要となって製造コストが大とな
ることを考慮し、本発明の合金組成においては、0.3 %
を上限とする。
を形成して、熱間圧延や冷間圧延時に割れを生じ易く
し、最終圧延板材にピンホールなどの欠陥を発生させる
原因となるので、Mnによる塗装焼付処理後の強度低下
軽減の効果を得るために、Fe含有量はできるだけ低く
抑えるのが望ましいが、Fe分を低くするには高純アル
ミニウム地金の使用が必要となって製造コストが大とな
ることを考慮し、本発明の合金組成においては、0.3 %
を上限とする。
【0012】Tiは、合金の鋳塊組織を微細化し、熱間
圧延および溶体化処理時に微細結晶粒組織を形成して、
冷間圧延において板端部に割れを発生させることなく、
最終冷間圧延率を大きくすることを可能とする。好まし
い添加範囲は0.05〜0.20%であり、0.05%未満ではその
効果が小さく、0.20%を越えるとAl3 Tiの粗大化合
物が形成し、熱間圧延や冷間圧延時に割れが生じ易くな
り、最終圧延板材にピンホールなどの欠陥を発生させる
原因ともなる。
圧延および溶体化処理時に微細結晶粒組織を形成して、
冷間圧延において板端部に割れを発生させることなく、
最終冷間圧延率を大きくすることを可能とする。好まし
い添加範囲は0.05〜0.20%であり、0.05%未満ではその
効果が小さく、0.20%を越えるとAl3 Tiの粗大化合
物が形成し、熱間圧延や冷間圧延時に割れが生じ易くな
り、最終圧延板材にピンホールなどの欠陥を発生させる
原因ともなる。
【0013】Cuは、塗装焼付処理温度においてMgと
ともにAl−Mg−Cu系化合物を析出させ、合金の強
度低下を軽減させる効果がある。好ましい含有範囲は0.
1 〜0.3 %であり、0.1 %未満ではAl−Mg−Cu系
化合物の析出量が少なく、強度低下軽減の効果が小さ
い。0.3 %を越えると、合金の延性が低下し、冷間圧延
加工において板端部に割れが生じ易くなる。
ともにAl−Mg−Cu系化合物を析出させ、合金の強
度低下を軽減させる効果がある。好ましい含有範囲は0.
1 〜0.3 %であり、0.1 %未満ではAl−Mg−Cu系
化合物の析出量が少なく、強度低下軽減の効果が小さ
い。0.3 %を越えると、合金の延性が低下し、冷間圧延
加工において板端部に割れが生じ易くなる。
【0014】本発明のアルミニウム合金板材は上記の組
成を有し、性状的要件として、耐力が400 MPa以下、
電気抵抗率が1.3 μΩ・cm以上であることが必須であ
る。冷間圧延の加工率を高め合金の耐力が400 MPaを
越えるようになると、加工中に板端部に割れが生じ易く
なり、歩留りが低下するとともに圧延不能となることも
あり好ましくない。電気抵抗率は、塗装焼付処理時にお
ける合金の耐軟化特性に影響するものであり、Si,M
g,Cu等の固溶量が多くなると電気抵抗値が大きくな
るとの観点から1.3 μΩ・cm以上に限定するのが好まし
い。
成を有し、性状的要件として、耐力が400 MPa以下、
電気抵抗率が1.3 μΩ・cm以上であることが必須であ
る。冷間圧延の加工率を高め合金の耐力が400 MPaを
越えるようになると、加工中に板端部に割れが生じ易く
なり、歩留りが低下するとともに圧延不能となることも
あり好ましくない。電気抵抗率は、塗装焼付処理時にお
ける合金の耐軟化特性に影響するものであり、Si,M
g,Cu等の固溶量が多くなると電気抵抗値が大きくな
るとの観点から1.3 μΩ・cm以上に限定するのが好まし
い。
【0015】製造条件について説明すると、本発明のア
ルミニウム合金は、例えば連続鋳造によって鋳塊とし、
鋳塊均質化処理を経て、常法に従って熱間圧延を行い、
所定の板厚まで冷間圧延した後、連続焼鈍炉で500 〜55
0 ℃に加熱する溶体化処理を行う。連続焼鈍炉は、金属
板コイルを巻き戻しながら連続的に加熱ゾーンを通過さ
せることにより加熱処理を行うもので、アルミニウム板
の焼鈍設備としてよく知られているものである。
ルミニウム合金は、例えば連続鋳造によって鋳塊とし、
鋳塊均質化処理を経て、常法に従って熱間圧延を行い、
所定の板厚まで冷間圧延した後、連続焼鈍炉で500 〜55
0 ℃に加熱する溶体化処理を行う。連続焼鈍炉は、金属
板コイルを巻き戻しながら連続的に加熱ゾーンを通過さ
せることにより加熱処理を行うもので、アルミニウム板
の焼鈍設備としてよく知られているものである。
【0016】連続焼鈍炉で溶体化処理することにより、
熱間圧延により析出したMg2 Si相やAl−Cu−M
g系化合物をマトリックス中に再固溶させ、これらを塗
装焼付処理で再析出させることによって加工組織の回復
を遅らせ、塗装焼付処理後の強度低下を少なくする。溶
体化処理は500 〜550 ℃に加熱することにより行われ
る。加熱温度が500 ℃未満ではMg2 Si相やAl−C
u−Mg系化合物の十分な再固溶が得られず、加熱温度
が550 ℃を越えると、合金中に形成されている共晶成分
(Al−Mg−Cu系化合物等)が融解して、焼鈍中や
最終冷間圧延において板に割れを生じるおそれがある。
溶体化処理温度に達するまでの昇温速度は特に規定する
必要はないが、溶体化処理温度からの冷却速度について
は10℃/s以上程度の冷却速度を維持するのがよい。冷却
速度が遅いと、冷却途中でMg2 Si相やAl−Cu−
Mg系化合物が粗大に析出してしまい、塗装焼付処理時
これらの微細析出が少なくなるため、塗装焼付処理後の
強度低下が大きくなる。
熱間圧延により析出したMg2 Si相やAl−Cu−M
g系化合物をマトリックス中に再固溶させ、これらを塗
装焼付処理で再析出させることによって加工組織の回復
を遅らせ、塗装焼付処理後の強度低下を少なくする。溶
体化処理は500 〜550 ℃に加熱することにより行われ
る。加熱温度が500 ℃未満ではMg2 Si相やAl−C
u−Mg系化合物の十分な再固溶が得られず、加熱温度
が550 ℃を越えると、合金中に形成されている共晶成分
(Al−Mg−Cu系化合物等)が融解して、焼鈍中や
最終冷間圧延において板に割れを生じるおそれがある。
溶体化処理温度に達するまでの昇温速度は特に規定する
必要はないが、溶体化処理温度からの冷却速度について
は10℃/s以上程度の冷却速度を維持するのがよい。冷却
速度が遅いと、冷却途中でMg2 Si相やAl−Cu−
Mg系化合物が粗大に析出してしまい、塗装焼付処理時
これらの微細析出が少なくなるため、塗装焼付処理後の
強度低下が大きくなる。
【0017】溶体化処理に続いて行われる最終冷間圧延
は、加工硬化により合金板材の強度を高め、塗装焼付処
理後の板材の強度を維持するために必要である。好まし
い圧延加工率は70〜85%であり、70%未満では、塗装焼
付処理、とくに2コート2ベークによる処理後の合金の
耐力を350 MPa以上にすることができない。冷間圧延
率が85%を越えると、板材の強度は上昇するが、転位が
堆積して板内部のひずみエネルギーが大きくなり過ぎ、
塗装焼付処理における加熱時に加工組織が回復し易くな
るため、塗装焼付処理後の耐力が350 MPa未満とな
る。また、冷間圧延中に板端部に割れが発生し易くな
る。
は、加工硬化により合金板材の強度を高め、塗装焼付処
理後の板材の強度を維持するために必要である。好まし
い圧延加工率は70〜85%であり、70%未満では、塗装焼
付処理、とくに2コート2ベークによる処理後の合金の
耐力を350 MPa以上にすることができない。冷間圧延
率が85%を越えると、板材の強度は上昇するが、転位が
堆積して板内部のひずみエネルギーが大きくなり過ぎ、
塗装焼付処理における加熱時に加工組織が回復し易くな
るため、塗装焼付処理後の耐力が350 MPa未満とな
る。また、冷間圧延中に板端部に割れが発生し易くな
る。
【0018】
【作用】本発明は上記の構成からなり、合金成分中のS
i、Mg、MnおよびCuの量を調整し、これらの元素
の相互作用により、塗装焼付処理時これらの元素間ある
いはこれらの元素とAl間の金属間化合物を合金マトリ
ックス中に微細に析出させて、塗装焼付処理後の合金の
強度低下を抑え、Fe含有量を制限しTiを添加するこ
とにより、圧延板端部に割れを生じることなく高圧下冷
間圧延を可能として、合金の強度向上を図り、塗装焼付
処理に相当する230 ℃以下で50秒以上の加熱処理を行っ
た後において350 MPa以上の耐力を確保するものであ
る。
i、Mg、MnおよびCuの量を調整し、これらの元素
の相互作用により、塗装焼付処理時これらの元素間ある
いはこれらの元素とAl間の金属間化合物を合金マトリ
ックス中に微細に析出させて、塗装焼付処理後の合金の
強度低下を抑え、Fe含有量を制限しTiを添加するこ
とにより、圧延板端部に割れを生じることなく高圧下冷
間圧延を可能として、合金の強度向上を図り、塗装焼付
処理に相当する230 ℃以下で50秒以上の加熱処理を行っ
た後において350 MPa以上の耐力を確保するものであ
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 表1に示すアルミニウム合金を、常法により溶解、連続
鋳造により鋳塊とし、この鋳塊を500 ℃で8 時間均質化
処理後、板厚2.5mm まで熱間圧延した。なお、熱間圧延
の終了温度は290 〜330 ℃に調整した。ついで70%の加
工度で冷間圧延した後、連続焼鈍炉を使用して溶体化処
理を行った。溶体化処理は、昇温速度10℃/sで500 ℃ま
で上げ、この温度で10秒保持後冷却速度10℃/sで常温ま
で冷却する条件で行った。溶体化処理後の最終冷間圧延
加工率は80%とし、板厚0.15mmの試験材を得た。
明する。 実施例1 表1に示すアルミニウム合金を、常法により溶解、連続
鋳造により鋳塊とし、この鋳塊を500 ℃で8 時間均質化
処理後、板厚2.5mm まで熱間圧延した。なお、熱間圧延
の終了温度は290 〜330 ℃に調整した。ついで70%の加
工度で冷間圧延した後、連続焼鈍炉を使用して溶体化処
理を行った。溶体化処理は、昇温速度10℃/sで500 ℃ま
で上げ、この温度で10秒保持後冷却速度10℃/sで常温ま
で冷却する条件で行った。溶体化処理後の最終冷間圧延
加工率は80%とし、板厚0.15mmの試験材を得た。
【0020】
【表1】
【0021】試験材について、圧延板両端部の割れ発生
の程度を目視で観察し、割れが検出されないものを○、
割れ長さが5mm 以下のものを△、割れ長さが5mm を越え
るものを×として評価した。また、引張試験を行って引
張強度、耐力、伸び率を測定すとともに、2コート2ベ
ークの塗装焼付処理を想定して、オイルバスを用いて試
験材を230 ℃で100 秒間加熱した後の試料についてJIS
5 号引張試験片により引張性能を測定し、当該加熱後の
耐力低下率を下記の式で評価した。 耐力低下率(%)=(最終冷間圧延後耐力−加熱後の耐
力)/(最終冷間圧延後の耐力) ×100 さらに電気抵抗を、試験片の両端部に電流リード線をス
ポット溶接し、該リード線を直流電源および電流計に接
続し、同じく試験片の両端部に電圧リード線をスポット
溶接して、該リード線に電圧計を継ぎ、全体を液体窒素
中に浸漬して、電源から直流電流を流し電流値(I)お
よび電位差(V)を測定する直流四端子法により測定
し、次式により電気抵抗率を求めた。 電気抵抗率(ρ)=R×S/l、但し、R=V/I、
S:試験片の断面積、l:電圧端子間の距離 測定、評価結果を表2に示す。
の程度を目視で観察し、割れが検出されないものを○、
割れ長さが5mm 以下のものを△、割れ長さが5mm を越え
るものを×として評価した。また、引張試験を行って引
張強度、耐力、伸び率を測定すとともに、2コート2ベ
ークの塗装焼付処理を想定して、オイルバスを用いて試
験材を230 ℃で100 秒間加熱した後の試料についてJIS
5 号引張試験片により引張性能を測定し、当該加熱後の
耐力低下率を下記の式で評価した。 耐力低下率(%)=(最終冷間圧延後耐力−加熱後の耐
力)/(最終冷間圧延後の耐力) ×100 さらに電気抵抗を、試験片の両端部に電流リード線をス
ポット溶接し、該リード線を直流電源および電流計に接
続し、同じく試験片の両端部に電圧リード線をスポット
溶接して、該リード線に電圧計を継ぎ、全体を液体窒素
中に浸漬して、電源から直流電流を流し電流値(I)お
よび電位差(V)を測定する直流四端子法により測定
し、次式により電気抵抗率を求めた。 電気抵抗率(ρ)=R×S/l、但し、R=V/I、
S:試験片の断面積、l:電圧端子間の距離 測定、評価結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】表2に示されるように、本発明に従って作
製された試験材は、いずれも最終冷間圧延板材の端縁部
に割れの発生がなく、230 ℃で100 秒間加熱後の耐力は
352MPa以上で、加熱後の耐力の低下は9.7 %以下と
良好な結果を示した。
製された試験材は、いずれも最終冷間圧延板材の端縁部
に割れの発生がなく、230 ℃で100 秒間加熱後の耐力は
352MPa以上で、加熱後の耐力の低下は9.7 %以下と
良好な結果を示した。
【0024】実施例2 実施例1の試験材No.1、No.4、No.6について、表3に示
す条件で溶体化処理および最終冷間圧延を行い、実施例
1と同様の方法で諸性能を評価した。結果を表4に示
す。なお、溶体化処理材は、最終板厚が0.15mmとなるよ
う調整された板厚を有し、70%の冷間圧延加工を加えた
ものである。連続焼鈍炉における昇温速度は10℃/sとし
た。表4の結果に示されるように、本発明のアルミニウ
ム合金を使用し、本発明の条件に従って製造された試験
材(発明例No.10 〜15)は、いずれも最終冷間圧延板材
の端縁部に割れの発生がなく、230 ℃で100 秒間加熱後
の耐力は352 MPa以上で、耐力の低下率は9.6 %以下
と良好な性能を示した。
す条件で溶体化処理および最終冷間圧延を行い、実施例
1と同様の方法で諸性能を評価した。結果を表4に示
す。なお、溶体化処理材は、最終板厚が0.15mmとなるよ
う調整された板厚を有し、70%の冷間圧延加工を加えた
ものである。連続焼鈍炉における昇温速度は10℃/sとし
た。表4の結果に示されるように、本発明のアルミニウ
ム合金を使用し、本発明の条件に従って製造された試験
材(発明例No.10 〜15)は、いずれも最終冷間圧延板材
の端縁部に割れの発生がなく、230 ℃で100 秒間加熱後
の耐力は352 MPa以上で、耐力の低下率は9.6 %以下
と良好な性能を示した。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】比較例1 表5に示す組成を有するアルミニウム合金を、実施例1
と同様な方法で鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧
延、溶体化処理および最終冷間圧延し、板厚0.15mmの試
験材を作製した。これらの試験材について、実施例1と
同じ方法で諸性能を評価した。評価結果を表6に示す。
なお、表5において、本発明の成分限定を外れたものに
は下線を付した。
と同様な方法で鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧
延、溶体化処理および最終冷間圧延し、板厚0.15mmの試
験材を作製した。これらの試験材について、実施例1と
同じ方法で諸性能を評価した。評価結果を表6に示す。
なお、表5において、本発明の成分限定を外れたものに
は下線を付した。
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】表6に示されるように、本発明の成分限定
を外れたアルミニウム合金による試験材では、最終冷間
圧延板材の板端部の割れ発生あるいは加熱後の耐力低下
が生じた。試験材 No.1 はTi含有量が少なく、No.2は
Ti含有量が0.20%を越えるため、いずれも板端部に割
れが生じた。No.3はSi量が少ないため加熱後の耐力の
低下が大きく、No.4はSi量が限定範囲を越え、No.5は
Fe量が制限範囲を越えるため、いずれも板端部に割れ
が発生した。No.6はMnの含有量が少なく、またNo.8は
Mgの含有量が少ないため、いずれも230 ℃加熱後の耐
力低下が大きく、No.7はMn量が多く、またNo.9はMg
量が多いため、最終冷間圧延時に板端部に割れが生じ
た。試験材 No.10は本発明の必須成分であるTiを含有
せず、またNo.11 はCu量が限定範囲を越えるため、冷
間圧延時に割れが発生した。
を外れたアルミニウム合金による試験材では、最終冷間
圧延板材の板端部の割れ発生あるいは加熱後の耐力低下
が生じた。試験材 No.1 はTi含有量が少なく、No.2は
Ti含有量が0.20%を越えるため、いずれも板端部に割
れが生じた。No.3はSi量が少ないため加熱後の耐力の
低下が大きく、No.4はSi量が限定範囲を越え、No.5は
Fe量が制限範囲を越えるため、いずれも板端部に割れ
が発生した。No.6はMnの含有量が少なく、またNo.8は
Mgの含有量が少ないため、いずれも230 ℃加熱後の耐
力低下が大きく、No.7はMn量が多く、またNo.9はMg
量が多いため、最終冷間圧延時に板端部に割れが生じ
た。試験材 No.10は本発明の必須成分であるTiを含有
せず、またNo.11 はCu量が限定範囲を越えるため、冷
間圧延時に割れが発生した。
【0031】比較例2 実施例1で作製した試験材No.1、No.4、No.6について、
表7に示す条件で溶体化処理および最終冷間圧延加工を
行い、実施例1と同様な方法で諸性能を評価した。評価
結果を表8に示す。なお、溶体化処理材は、最終板厚が
0.15mmとなるよう調整された板厚を有し、70%の冷間圧
延を加えたものである。連続焼鈍炉での昇温速度は10℃
/s、バッチ炉の昇温速度は50℃/sとした。本発明の条件
を外れたものには下線を付した。
表7に示す条件で溶体化処理および最終冷間圧延加工を
行い、実施例1と同様な方法で諸性能を評価した。評価
結果を表8に示す。なお、溶体化処理材は、最終板厚が
0.15mmとなるよう調整された板厚を有し、70%の冷間圧
延を加えたものである。連続焼鈍炉での昇温速度は10℃
/s、バッチ炉の昇温速度は50℃/sとした。本発明の条件
を外れたものには下線を付した。
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】表8に示されるように、本発明の条件を満
たさない溶体化処理あるいは最終冷間圧延を行って作製
した試験材では、耐力低下または板端部の割れが発生し
た。比較例No.12 、No.14 は、溶体化処理温度が低いた
め合金元素の再固溶が不十分となり、耐力低下が生じ
た。No.13 は、溶体化処理温度が高いため、一部に共晶
融解が生じ、最終冷間圧延時に板端部に割れが発生し
た。No.15 は、最終冷間圧延率が下限以下であるため十
分な加工硬化が得られず、加熱後の耐力が低い。試験材
No.16 は、最終冷間圧延率が限定範囲を越えているため
板端部に割れが生じ、同時に230 ℃での加熱処理におい
て加工組織が回復し易くなり、耐力の低下が大きくな
る。No.17 、No.18 、No.19 は、いずれも溶体化処理を
バッチ炉で行ったもので、230 ℃の加熱時にMg2 Si
相やAl−Cu−Mg系化合物の微細析出を得るための
固溶状態が達成されないため、加熱後の耐力が低く、耐
力低下も大きい。
たさない溶体化処理あるいは最終冷間圧延を行って作製
した試験材では、耐力低下または板端部の割れが発生し
た。比較例No.12 、No.14 は、溶体化処理温度が低いた
め合金元素の再固溶が不十分となり、耐力低下が生じ
た。No.13 は、溶体化処理温度が高いため、一部に共晶
融解が生じ、最終冷間圧延時に板端部に割れが発生し
た。No.15 は、最終冷間圧延率が下限以下であるため十
分な加工硬化が得られず、加熱後の耐力が低い。試験材
No.16 は、最終冷間圧延率が限定範囲を越えているため
板端部に割れが生じ、同時に230 ℃での加熱処理におい
て加工組織が回復し易くなり、耐力の低下が大きくな
る。No.17 、No.18 、No.19 は、いずれも溶体化処理を
バッチ炉で行ったもので、230 ℃の加熱時にMg2 Si
相やAl−Cu−Mg系化合物の微細析出を得るための
固溶状態が達成されないため、加熱後の耐力が低く、耐
力低下も大きい。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、最終冷間加工性が高め
られ、塗装焼付処理による強度低下が少ないブラインド
用アルミニウム合金板材が提供される。冷間圧延加工に
おける1回当たりの圧下率も大きくできるから生産能率
も向上する。
られ、塗装焼付処理による強度低下が少ないブラインド
用アルミニウム合金板材が提供される。冷間圧延加工に
おける1回当たりの圧下率も大きくできるから生産能率
も向上する。
Claims (2)
- 【請求項1】 Si1.0 〜1.5 %(質量%、以下同
じ)、Mg0.5 〜0.8 %、Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.05
〜0.20%およびCu0.1 〜0.3 %を含有し、不純物とし
てのFeを0.30%以下に制限し、残部Alおよび不可避
的不純物からなるアルミニウム合金で、耐力が400 MP
a以下、電気抵抗率が1.3 μΩ・cm以上であることを特
徴とする、230 ℃以下で50秒以上の塗装焼付処理を行っ
た後における耐力が350 MPa以上であるブラインド用
アルミニウム合金板材。 - 【請求項2】 Si1.0 〜1.5 %、Mg0.5 〜0.8 %、
Mn0.8 〜1.2 %、Ti0.05〜0.20%およびCu0.1 〜
0.3 %を含有し、不純物としてのFeを0.30%以下に制
限し、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニ
ウム合金を、熱間圧延並びに冷間圧延し、連続焼鈍炉に
より500 〜550 ℃に加熱する溶体化処理を行った後、加
工率70〜85%で最終冷間圧延することを特徴とする、23
0 ℃以下で50秒以上の塗装焼付処理を行った後における
耐力が350 MPa以上であるブラインド用アルミニウム
合金板材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5077703A JP2747770B2 (ja) | 1993-03-11 | 1993-03-11 | ブラインド用アルミニウム合金板材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5077703A JP2747770B2 (ja) | 1993-03-11 | 1993-03-11 | ブラインド用アルミニウム合金板材およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06264171A true JPH06264171A (ja) | 1994-09-20 |
JP2747770B2 JP2747770B2 (ja) | 1998-05-06 |
Family
ID=13641266
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5077703A Expired - Fee Related JP2747770B2 (ja) | 1993-03-11 | 1993-03-11 | ブラインド用アルミニウム合金板材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2747770B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2378450A (en) * | 2001-07-09 | 2003-02-12 | Corus Aluminium Walzprod Gmbh | Aluminium alloy |
JP2005526901A (ja) * | 2001-07-23 | 2005-09-08 | コラス・アルミニウム・バルツプロドウクテ・ゲーエムベーハー | 溶接可能な高強度Al−Mg−Si合金 |
EP3164524B1 (en) | 2014-07-04 | 2019-10-30 | Aleris Rolled Products Germany GmbH | Aluminium alloy for use in the building industry |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01205050A (ja) * | 1988-02-12 | 1989-08-17 | Furukawa Alum Co Ltd | ブラインド用アルミニウム合金材 |
JPH0488145A (ja) * | 1990-07-31 | 1992-03-23 | Kobe Steel Ltd | 薄肉高強度ブラインド用アルミニウム材料の製造方法 |
JPH04231434A (ja) * | 1990-12-27 | 1992-08-20 | Furukawa Alum Co Ltd | 焼付け硬化性に優れる成形用アルミニウム合金 |
-
1993
- 1993-03-11 JP JP5077703A patent/JP2747770B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01205050A (ja) * | 1988-02-12 | 1989-08-17 | Furukawa Alum Co Ltd | ブラインド用アルミニウム合金材 |
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JPH04231434A (ja) * | 1990-12-27 | 1992-08-20 | Furukawa Alum Co Ltd | 焼付け硬化性に優れる成形用アルミニウム合金 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2378450A (en) * | 2001-07-09 | 2003-02-12 | Corus Aluminium Walzprod Gmbh | Aluminium alloy |
JP2004534152A (ja) * | 2001-07-09 | 2004-11-11 | コラス・アルミニウム・バルツプロドウクテ・ゲーエムベーハー | 熔接可能な高強度Al−Mg−Si合金 |
GB2378450B (en) * | 2001-07-09 | 2005-03-02 | Corus Aluminium Walzprod Gmbh | Structural component for an aircraft |
JP2005526901A (ja) * | 2001-07-23 | 2005-09-08 | コラス・アルミニウム・バルツプロドウクテ・ゲーエムベーハー | 溶接可能な高強度Al−Mg−Si合金 |
EP3164524B1 (en) | 2014-07-04 | 2019-10-30 | Aleris Rolled Products Germany GmbH | Aluminium alloy for use in the building industry |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2747770B2 (ja) | 1998-05-06 |
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