JP3070443B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JP3070443B2 JP7155809A JP15580995A JP3070443B2 JP 3070443 B2 JP3070443 B2 JP 3070443B2 JP 7155809 A JP7155809 A JP 7155809A JP 15580995 A JP15580995 A JP 15580995A JP 3070443 B2 JP3070443 B2 JP 3070443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体電解コンデンサの製
造方法に関し、特に、誘電体酸化皮膜上に形成する対向
電極として二酸化マンガン層を用いる構造の固体電解コ
ンデンサの製造における、二酸化マンガン層の形成方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】図3に、この種の固体電解コンデンサの
基本的な構造を、模式的に拡大して示す。図3を参照し
て、このコンデンサの構造は、弁作用を有する金属から
なる陽極体1に同じく弁作用を有する陽極リード線2を
植立し、陽極体1表面に、誘電体酸化皮膜3,二酸化マ
ンガン(MnO2 )層4,グラファイト層8,銀塗布層
9を順次形成した構造となっている(但し、外装構造に
関しては図示省略してある)。陽極体1および陽極リー
ド線2に用いられる弁作用金属としてはタンタルがよく
知られているが、その外にもアルミニウム,ニオブ,チ
タンなどがある。この陽極体1としては、表面積を拡面
化して静電容量を大にするために、ミクロンメータオー
ダーの粒径の弁作用金属粉末を加圧成型し、真空中で焼
結して得られる多孔質焼結体が用いられる。従って、こ
の陽極体1を微視的に観察すると、非常に多数の空孔が
陽極体内部に複雑に入り組んでいる。誘電体酸化皮膜3
は通常、陽極酸化法により形成される。二酸化マンガン
層4は、誘電体酸化皮膜層の上にあってコンデンサにお
ける陰極側対向電極としての働きをするもので、一般的
には、硝酸マンガン溶液の熱分解により形成される。す
なわち、酸化皮膜3形成済みの陽極体1を硝酸マンガン
溶液に浸漬しその硝酸マンガン溶液を陽極体1内部の空
孔に充填した後、加熱して熱分解し二酸化マンガン層に
転換させる。通常、この硝酸マンガン溶液への浸漬、熱
分解は複数回繰り返して行われる。陽極体1内部の無数
の空孔内に確実にしかも十分な厚さの二酸化マンガン層
4を形成するためである。二酸化マンガン層上のグラフ
ァイト8およびその上の銀塗布層9は共に、外部陰極端
子(図示せず)に対する引出し電極層として働くもので
あって、グラファイト層8は、陰極側対向電極としての
二酸化マンガン層4と外部陰極端子との間の接触抵抗を
減らすために設けられる。
【0003】上述したように、この種の固体電解コンデ
ンサではその製造に当って二酸化マンガン層形成の際
に、硝酸マンガン溶液への浸漬,熱分解を複数回繰り返
す。その場合、使用する硝酸マンガン溶液の比重が小さ
ければ、陽極体1内の空孔の先端にまで二酸化マンガン
層4を形成することができるので、静電容量を十分引き
出すことができる。しかし、一回の浸漬,熱分解で形成
される二酸化マンガン層は薄いので、十分な厚さの二酸
化マンガン層を形成するには上記の浸漬,熱分解を非常
に多数回繰り返さなければならず、非能率的で製造コス
ト削減が困難である。又、熱ストレスを何度も受けるこ
とになるので、誘電体酸化皮膜3が損傷しコンデンサと
しての耐電圧が低下する。又、漏れ電流が増大する。更
には、逐次形成される二酸化マンガン層間には接触抵抗
が発生し、誘電損失(tanδ)や等価直列抵抗が増大
する。又、出来上った二酸化マンガン層4には、熱分解
時のガス発生に伴なう気泡が残り易く、この点でも、t
anδや等価直列抵抗の増大が生じる。一方、二酸化マ
ンガン層の形成に用いる硝酸マンガン溶液の比重が大き
いときは、陽極体1内部の空孔の先端にまで硝酸マンガ
ン溶液を充填することができないので、十分な静電容量
発現率を得ることができない。又、高温・高湿の環境下
では、誘電体酸化皮膜3の、二酸化マンガン層に覆われ
ていない被覆不完全部分に銀塗布層9中の銀粒子がマイ
グレートし、コンデンサとしての耐電圧低下、漏れ電流
増大、短絡故障発生の問題が起る。
【0004】そこで、近年、二酸化マンガン層を一層で
はなく二層構造にして上記の問題を解決しようとする試
みがなされている。例えば、特開昭58ー107622
号公報には、誘電体酸化皮膜上にこれまでと同じく硝酸
マンガンの熱分解により第1層目の二酸化マンガン層を
形成した後、更にその上に、二酸化マンガン微粉末と有
機高分子粘結材とからなる塗料を塗布して第2層目の二
酸化マンガン層を形成した構造の固体電解コンデンサが
開示されている。この技術によれば、二酸化マンガン層
形成の際の熱分解回数が少なくしかも、均一で気泡の少
ない二酸化マンガン層を形成できるので、コンデンサの
耐電圧を高めることができる。
【0005】又、特開昭61ー166020号公報に
は、二酸化マンガン層形成の際に、第1段階として、空
孔先端への二酸化マンガン層形成が可能な上限の高濃度
(比重=1.8)の硝酸マンガン溶液を用いて第1層目
の二酸化マンガン層を形成し、第2段階として、その第
1層目の二酸化マンガン層上に、更に高濃度(比重;
1.9)の硝酸マンガン溶液を用いて第2層目の二酸化
マンガン層を形成することにより、これまでより少い浸
漬,熱分解回数で陽極体内の空孔先端にまで二酸化マン
ガン層を形成することを可能として、tanδや静電容
量の減少を招くことなく、漏れ電流を減少させた固体電
解コンデンサが開示されている。
【0006】更に、特開昭62ー226617号公報に
開示された、二酸化マンガン層が二層構造の固体電解コ
ンデンサでは、第1層目の二酸化マンガン層形成に際し
て、比重が1.10〜1.40の低比重の硝酸マンガン
溶液に対し、平均粒径が10μm以下の二酸化マンガン
粒子を、容積比で1:1〜1:0.1に混合し分散さ
る。そして、上記の分散液を流速2m/min以上で流
動させその中に陽極体を浸漬し、空孔内への硝酸マンガ
ン溶液の充填と陽極体外表面への二酸化マンガンの付着
とを同時に行い、その後乾燥、熱分解するという操作を
数回繰り返して、第1層目の二酸化マンガン層を形成す
る。その後、従来のコンデンサ製造における二酸化マン
ガン層形成と同様に、硝酸マンガンだけを含む溶液に陽
極体を浸漬し熱分解することにより、第2層目の二酸化
マンガン層を形成する。この公報記載の発明によって
も、固体電解コンデンサの漏れ電流を減少させ、耐電圧
を向上させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記三つの公報に開示
されたように、二酸化マンガン層を一層ではなく二層構
造にすることにより、二酸化マンガン層形成をこれまで
よりも少い熱分解回数でしかも陽極体内部の空孔先端に
まで形成可能となった。そして、これによって、熱分解
時の熱ストレスに起因する誘電体酸化皮膜の損傷とその
損傷に基づく耐電圧低下と漏れ電流増加を防止できるよ
うになり、又、陽極体内部の空孔先端に二酸化マンガン
層が形成されないことによる、静電容量の低下および未
被覆部分への銀粒子のマイグレーションが原因の漏れ電
流の増大を防止することが可能となった。
【0008】しかしながら、近年、電子回路の技術的進
展に伴ってその用途が拡大するにつれて、その電子回路
ひいてはこれに用いられる回路素子の性能とその信頼性
向上に対する要求は強くなる一方である。このような要
求は、勿論、固体電解コンデンサに対しても例外ではな
い。
【0009】従って、本発明は、陰極側対向電極として
二酸化マンガン層を用いる固体電解コンデンサを製造す
る方法であって、コンデンサの静電容量およびtanδ
の悪化を伴うことなしに、耐電圧をこれまでよりも更に
高め、漏れ電流を減少させることが可能な製造方法を提
供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の固体電解コンデ
ンサの製造方法は、陽極リードが植立された弁作用金属
の多孔質陽極体表面に誘電体酸化皮膜を形成する工程
と、その誘電体酸化皮膜表面に二酸化マンガン層を形成
する工程と、前記二酸化マンガン層上にその二酸化マン
ガン層を直接覆うグラファイト層を少なくとも含む陰極
側導体層を形成する工程とを備える固体電解コンデンサ
の製造方法において、前記二酸化マンガン層の形成を、
前記酸化皮膜形成済み陽極体を硝酸マンガン溶液に浸漬
した後熱分解して二酸化マンガン層に転換せしめる操作
を複数回繰り返して、前記誘電体酸化皮膜上に第一層目
の二酸化マンガン層を形成する第一の二酸化マンガン層
形成工程と、前記第一層目の二酸化マンガン層形成済み
の陽極体を、硝酸マンガン溶液中に前記多孔質陽極体の
空孔直径よりも小なる平均粒径をもつ二酸化マンガン粉
末を含ませて得た混合母液中に浸漬した後熱分解して、
前記第一層目の二酸化マンガン層上に第二層目の二酸化
マンガン層を形成する第二の二酸化マンガン層形成工程
と、前記第二層目の二酸化マンガン層形成済みの陽極体
を、硝酸マンガン溶液中に前記多孔質陽極体の空孔直径
よりも大なる平均粒径をもつ二酸化マンガン粉末を含ま
せて得た混合母液中に浸漬した後熱分解して、前記第二
層目の二酸化マンガン層上に第三層目の二酸化マンガン
層を形成する第三の二酸化マンガン層形成工程とにより
形成することを特徴とする。
【0011】本発明の目的は、上記の製造方法におい
て、前記第三の二酸化マンガン層形成工程で、前記二酸
化マンガン粉末含有の硝酸マンガン溶液からなる混合母
液を用いるのに替えて、二酸化マンガン粉末非含有の硝
酸マンガンのみの溶液を用いることを特徴とする固体電
解コンデンサの製造方法によっても、達成される。
【0012】
【実施例】次に、本発明の好適な実施例について、図面
を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例の製造
工程を示すフローチャート図である。又、図2は、本実
施例により得られるタンタル固体電解コンデンサの構造
を表す模式的拡大断面図である。尚、本実施例によるコ
ンデンサの巨視的な外観は、図3中の下部に示したもの
と同一である。図1,図2および一部図3を参照して、
先ず、タンタル金属粉末の加圧成型体を形成した(ステ
ップS1)。この加圧成型体は後に、タンタル陽極体1
となるべきものであって、平均粒径2μmの金属タンタ
ル粉末100mgを直径2mm、高さ3mmの円筒状に
成型した。
【0013】次に、上記のタンタル金属粉末成型体に金
属タンタル線2を植立した(ステップS2)後、160
0℃で真空焼結した(ステップS3)。この真空焼結に
よって、金属タンタル製陽極リード線2付きで、空孔直
径1.0〜1.5μmのタンタル多孔質焼結陽極体1が
得られた。
【0014】更に、タンタル陽極体1の表面に酸化タン
タル(Ta2 5 )皮膜3を形成した(ステップS
4)。酸化皮膜の形成は陽極酸化法により、80℃,
0.1mol/lのリン酸水溶液中で、100Vの直流
電圧を印加した。
【0015】その後、第1層目の二酸化マンガン層5を
形成した(ステップS5)。酸化タンタル皮膜3形成
の陽極体を比重1.3、温度25℃の硝酸マンガン水
溶液中に浸漬し引き上げた後、200〜400℃で熱分
解して二酸化マンガンに転換せしめる操作を繰り返し
た。繰返し回数は、陽極体内の空孔先端に第1層目二酸
化マンガン層5を充填せしめ且つ酸化皮膜3表面を被覆
せしめるのに最小限の回数とし、本実施例では4回であ
る。
【0016】次いで、第2層目の二酸化マンガン層6を
形成した(ステップS6)。この工程では、陽極体の空
孔直径(=1.0〜1.5μm)よりも微細な、平均粒
径0.5μmの二酸化マンガン微粉末を硝酸マンガン溶
液に含ませた混合母液を準備し、第1層目二酸化マンガ
ン層形成済みの陽極体をこの混合母液中に浸漬し引き上
げた後、200〜400℃で熱分解する操作を繰り返し
行った。繰返しの回数は、3回である。この操作によ
り、陽極体の空孔の全空間がほぼ完全に二酸化マンガン
層で充填され、更に陽極体1の外表面には2層目二酸化
マンガン層6による微細な凹凸が形成された。
【0017】その後、第3層目の二酸化マンガン層7を
形成した(ステップS7)。この工程では、陽極体の空
孔直径よりも大きい、平均粒径5.0μmの二酸化マン
ガン粉末と硝酸マンガン溶液とからなる混合母液を用
い、第2層目二酸化マンガン層形成済みの陽極体をこの
混合母液中に浸漬し引き上げた後、200〜400℃で
熱分解する操作を繰り返し行った。繰り返し回数は、3
回である。この操作により、陽極体1の外表面は大きな
凹凸をもつ第3層目二酸化マンガン層7により覆われ
た。この大きな凹凸は、第3層目の二酸化マンガン層7
とこの次の工程で形成されるグラファイト層8との密着
を強固なものとし、両者の間の付着力を高める。
【0018】最後に、第3層目二酸化マンガン層7上に
周知の方法により、グラファイト層8,銀塗布層9を順
次形成して(ステップS8)、本実施例の固体電解コン
デンサを得た。尚、本実施例では、上記の工程中ステッ
プS6,ステップS7での第2層目,第3層目の二酸化
マンガン層形成にあたってそれぞれの混合母液には、電
解二酸化マンガンを350〜400℃で熱処理してβー
MnO2 に転換したものから得た二酸化マンガン粉末
を、重量比30〜40%で用いた。電解法により製造さ
れた二酸化マンガンは吸着水、構造水を多く含んだγー
MnO2 の結晶構造を有し、電気抵抗が103 Ω・cm
と高い。このγーMnO2 を熱処理することにより、抵
抗値が小さく化成能にも優れたβーMnO2 に転換する
ことができるので、コンデンサの内部抵抗を低下させ、
tanδおよび等価直列抵抗の小さな固体電解コンデン
サが得られる。
【0019】以下に、本実施例によるタンタル固体電解
コンデンサの電気的特性を、従来の製造方法によるコン
デンサの特性と比較して、説明する。
【0020】〔比較例1〕二酸化マンガン層が一層構造
である点が、本実施例とは異るタンタル固体電解コンデ
ンサである。すなわち、陽極体1作製,陽極リード線2
植立,真空焼結,酸化タンタル皮膜3形成までを本実施
例におけると同一の条件で実施した陽極体を用い、二酸
化マンガン層4(図3参照)を、硝酸マンガン(だけを
含む)溶液への浸漬,熱分解を18回繰り返して形成し
た。この繰返し回数は、この比較例1と本実施例とで静
電容量を等しくするために要する回数である。
【0021】本実施例によるコンデンサ及び比較例1に
よるコンデンサそれぞれから任意に20個ずつを抜き取
って耐圧試験に供した結果を、図4に示す。図4を参照
すると、本実施例のコンデンサは比較例1のコンデンサ
に比べて、耐電圧が全体的に高い。これは、二酸化マン
ガン層の形成時に陽極体が受ける熱ストレスが、本実施
例では、第1層目二酸化マンガン層形成時の4回と、第
2層目二酸化マンガン層形成時の3回と、第3層目二酸
化マンガン層形成時の4回の計10回であるのに対し比
較例1では18回と、本実施例の方が比較例の約1/2
に軽減されていることによるものと考えられる。尚、こ
の二酸化マンガン層形成に要する、硝酸マンガン溶液
(又は、混合母液)への浸漬、熱分解の繰返し回数の減
少は、製造工数の削減ひいては生産性向上、コスト低減
に著しく寄与するものである。
【0022】〔比較例2〕二酸化マンガン層を、前述の
特開昭61ー166020号公報に記載された技術に基
づいて形成した点が、本実施例とは異るタンタル固体電
解コンデンサである。すなわち、陽極体1作製、陽極リ
ード2植立、真空焼結、酸化タンタル皮膜3形成までを
本実施例におけると同一の条件で実施した陽極体を用
い、二酸化マンガン層を、始めに比重1.8の高濃度硝
酸マンガン溶液への浸漬、熱分解の繰返しにより第1層
目二酸化マンガン層を形成し、次に比重1.9の高々濃
度硝酸マンガン溶液への浸漬、熱分解の繰返しにより第
2層目二酸化マンガン層を形成することにより、行っ
た。硝酸マンガン溶液への浸漬、熱分解の繰返し回数
は、本実施例における合計繰返し回数と同数の、合計1
0回である。
【0023】〔比較例3〕二酸化マンガン層を、前述の
特開昭62ー226617号公報に記載された技術に基
づいて形成した点が、本実施例とは異るタンタル固体電
解コンデンサである。すなわち、陽極体1作製,陽極リ
ード線2植立,真空焼結,酸化タンタル皮膜3形成まで
を本実施例におけると同一の条件で実施した陽極体を用
い、二酸化マンガン層を、始めに硝酸マンガン溶液に平
均粒径約10μmの二酸化マンガン粉末を分散させた分
散液への浸漬,熱分解の繰返しにより第1層目二酸化マ
ンガン層を形成し、次に硝酸マンガンのみを含む溶液へ
の浸漬,熱分解の繰返しにより第2層目二酸化マンガン
層を形成することにより、行った。分散液(又は、硝酸
マンガンだけを含む溶液)への浸漬,熱分解の繰返し回
数は、本実施例および比較例2におけると同様に、合計
10回である。
【0024】本実施例によるコンデンサ、比較例2によ
るコンデンサ及び比較例3によるコンデンサそれぞれか
ら任意に50個ずつを抜き取り無負荷耐湿試験に供した
ときの、tanδの時間的推移を図5(a)に示す。
又、この試験における累積短絡故障率をワイブル確率紙
に打点した結果を図5(b)に示す。尚、試験条件は、
雰囲気温度65℃、相対湿度95%以上の条件下に無負
荷で放置するものであって、1000時間まで継続し
た。tanδは、120Hzで測定した。
【0025】図5(a)を参照すると、本実施例のコン
デンサは比較例2,3のコンデンサに比べて、tanδ
の絶対値および分布幅(ばらつき)とも小さい。しか
も、経時変化も小さい。又、図5(b)を参照すると、
本実施例のコンデンサは比較例2,3のコンデンサに比
べて、累積短絡故障数が小さく時間の経過に伴う増加も
緩やかである。すなわち、本実施例のコンデンサは、短
絡故障発生のワイブル形状パラメータmがm=0.7で
あって、故障率が時間の経過と共に減少して行くという
いわゆる故障減少形の故障モードのコンデンサである。
これに対し、比較例2,3のコンデンサは共に形状パラ
メータm=1.0で、故障率が時間の経過と共に増加し
て行くという摩耗故障形の故障モードのコンデンサであ
る。
【0026】比較例2,3のコンデンサのうち上記の耐
湿試験で短絡故障したものを断面研磨し、高倍率の電子
顕微鏡観察に供したところ、陽極体1の空孔内部の酸化
タンタル皮膜3上に、多数の未被覆部分が銀イオンと共
に確認された。これは、次のような原因によるものと思
われる。比較例2のコンデンサでは第1層目の二酸化マ
ンガンの形成に際して、空孔内への二酸化マンガン層充
填のためとしては上限の、比重1.8という高濃度の硝
酸マンガン溶液を用いる。そのため、浸漬,熱分解の繰
返し回数が減り酸化タンタル皮膜3に対する熱ストレス
が軽減されるので、その熱ストレスが原因の耐電圧低
下、漏れ電流増加は減る。しかし一方で、陽極体内の空
孔先端にまで二酸化マンガン層を充填するのが難しく、
酸化タンタル皮膜3上に未被覆部分が残り易い。その結
果、高温、高湿の雰囲気中では上記の未被覆部分に陰極
側導体層の一つである銀塗布層9から銀粒子がマイグレ
ートし、時間の経過と共に漏れ電流の増大、短絡故障に
至る。一方、比較例3では第1層目の二酸化マンガン層
の形成に、比重1.1〜1.4という比較的低濃度の硝
酸マンガン溶液に二酸化マンガン粉末を分散させた分散
液を用いているが、分散させる二酸化マンガン粉末の平
均粒径が10μm以下と、陽極体の空孔直径1.0〜
1.5μmに比べてずっと大きいので、(第1層目の二
酸化マンガン層形成の際の繰返し操作における)二回目
以降の浸漬で、分散液を空孔内に含浸させることが困難
となる。その結果やはり、空孔先端部に酸化タンタル皮
膜が二酸化マンガン層に覆われない、未被覆部分が残
り、比較例2におけると同様に、その未被覆部分で漏れ
電流の増大、短絡故障が発生する。
【0027】このように、本実施例によれば、二酸化マ
ンガン層を、硝酸マンガンのみを含む溶液に浸漬し、熱
分解を繰り返すことによって形成するという、一層構造
の比較例1に比べて、同じ静電容量を得るのに、浸漬,
熱分解の繰返し回数を減らし熱ストレスを軽減できる。
又、比較例2,比較例3のような、二酸化マンガン層が
二層構造である固体電解コンデンサに比べて、誘電体酸
化皮膜の被覆の不完全さに起因するtanδ及び漏れ電
流の増大、短絡故障発生を小さくできる。
【0028】尚、これまでの説明から、本発明において
第3層目二酸化マンガン層の形成方法を、硝酸マンガン
のみを含む溶液への浸漬,熱分解の繰返しにより形成す
る方法に替えても、本実施例と同様に、熱ストレスの軽
減による耐電圧の向上、漏れ電流の減少および、陽極体
内空孔表面の被覆性向上による漏れ電流の減少の効果が
得られることは、明かであろう。このようにすると、本
実施例に比べて、製造工程を簡略化できるという利点が
あり、製造工程設計の自由度が大きくなる。一方、本実
施例のように、二酸化マンガンの粉末を含む硝酸マンガ
ン溶液を用いると、形成される二酸化マンガン層の凹凸
を適度に大きくしてその上のグラファイト層との密着
性、接触抵抗を改善できるので、tanδをより小さく
できる。
【0029】尚また、本実施例ではタンタル固体電解コ
ンデンサについて説明したが、本発明はこれに限られる
ものではなく、例えばアルムニウム、ニオブ、チタンな
ど、弁作用を有する他の金属を用いた固体電解コンデン
サに適用しても、本実施例におけると同様の効果が得ら
れることは、勿論のことである。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、低濃
度の硝酸マンガン溶液への浸漬,熱分解により、空孔の
先端にまで二酸化マンガン層を形成すると共に、更に空
孔直径よりも微細な二酸化マンガン粉末を含む硝酸マン
ガン溶液への浸漬,熱分解により、空孔内の全空間に確
実に二酸化マンガン層を充填している。
【0031】これにより本発明によれば、二酸化マンガ
ン層形成時に受ける熱ストレスを、従来の、二酸化マン
ガン層が一層構造のコンデンサに比べておよそ半分にで
きるので、その熱ストレスに起因する誘電体酸化皮膜の
損傷、コンデンサの耐電圧低下を防止できる。又、生産
性を著しく高めることができる。
【0032】又、二酸化マンガン層が二層構造のコンデ
ンサに比べて、誘電体酸化皮膜の二酸化マンガン層によ
る被覆性を向上させることができるので、未被覆部分へ
の導電性金属粒子のマイグレーションとこれが原因の漏
れ電流の増大、短絡故障発生を防止できる。
【0033】更に、三層構造の二酸化マンガン層の最上
層の形成に、平均粒径が空孔直径より大きい二酸化マン
ガン粉末を含む硝酸マンガン溶液を用いることにより、
二酸化マンガン層表面に適度の凹凸をもたせグラファイ
ト層との間の接触抵抗を減少させることができるので、
tanδの小さな固体電解コンデンサを製造できる。
【0034】本発明によれば、生産性に優れしかも、耐
電圧が高く、漏れ電流が少なく、tanδが小さく、短
絡故障のない、特性および信頼性に優れた固体電解コン
デンサを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の製造工程を示す工程フロー
チャート図である。
【図2】本発明の一実施例によるタンタル固体電解コン
デンサの構造を示す、模式的拡大断面図である。
【図3】陰極側対向電極として二酸化マンガン層を用い
た固体電解コンデンサの基本的な構造を示す模式的拡大
断面図である。
【図4】本発明の一実施例によるタンタル固体電解コン
デンサと従来の技術による比較例1のタンタル固体電解
コンデンサの耐電圧を、比較して示す図である。
【図5】本発明の一実施例によるタンタル固体電解コン
デンサと従来の技術による比較例2および比較例3のタ
ンタル固体電解コンデンサを無負荷耐湿試験に供したと
きのtanδの時間的推移および累積短絡故障率のワイ
ブルプロットを、比較して示す図である。
【符号の説明】
1 陽極体 2 陽極リード線 3 誘電体酸化皮膜 4 二酸化マンガン層 5 第1層目二酸化マンガン層 6 第2層目二酸化マンガン層 7 第3層目二酸化マンガン層 8 グラファイト層 9 銀塗布層

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極リードが植立された弁作用金属の多
    孔質陽極体表面に誘電体酸化皮膜を形成する工程と、そ
    の誘電体酸化皮膜表面に二酸化マンガン層を形成する工
    程と、前記二酸化マンガン層上にその二酸化マンガン層
    を直接覆うグラファイト層を少なくとも含む陰極側導体
    層を形成する工程とを備える固体電解コンデンサの製造
    方法において、前記二酸化マンガン層の形成を、 前記酸化皮膜形成済み陽極体を硝酸マンガン溶液に浸漬
    した後熱分解して二酸化マンガン層に転換せしめる操作
    を複数回繰り返して、前記誘電体酸化皮膜上に第一層目
    の二酸化マンガン層を形成する第一の二酸化マンガン層
    形成工程と、 前記第一層目の二酸化マンガン層形成済みの陽極体を、
    硝酸マンガン溶液中に前記多孔質陽極体の空孔直径より
    も小なる平均粒径をもつ二酸化マンガン粉末を含ませて
    得た混合母液中に浸漬した後熱分解して、前記第一層目
    の二酸化マンガン層上に第二層目の二酸化マンガン層を
    形成する第二の二酸化マンガン層形成工程と、 前記第二層目の二酸化マンガン層形成済みの陽極体を、
    硝酸マンガン溶液中に前記多孔質陽極体の空孔直径より
    も大なる平均粒径をもつ二酸化マンガン粉末を含ませて
    得た混合母液中に浸漬した後熱分解して、前記第二層目
    の二酸化マンガン層上に第三層目の二酸化マンガン層を
    形成する第三の二酸化マンガン層形成工程とにより形成
    することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、前記多孔質陽極体の空孔直径を1.0
    〜1.5μmとし、前記第二層目の二酸化マンガン層形
    成に用いる二酸化マンガン粉末の平均粒径を0.1〜
    0.5μmとし、前記第三層目の二酸化マンガン層形成
    に用いる二酸化マンガン粉末の平均粒径を1.5〜5.
    0μmとすることを特徴とする固体電解コンデンサの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記第二層目の二酸化マンガン層の形成に用いる二酸化
    マンガン粉末および前記第三層目の二酸化マンガン層の
    形成に用いる二酸化マンガン粉末として、βーMnO2
    を用いることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記第二の二酸化マンガン層形成工程で用いる混合母液
    および前記第三の二酸化マンガン層形成工程で用いる混
    合母液に占める二酸化マンガン粉末の含有率を、重量比
    で、30%以上40%以下とすることを特徴とする固体
    電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の固体電解コンデンサの製
    造方法において、 前記第三の二酸化マンガン層形成工程で、前記二酸化マ
    ンガン粉末含有の硝酸マンガン溶液からなる混合母液を
    用いるのに替えて、二酸化マンガン粉末非含有の硝酸マ
    ンガンのみの溶液を用いることを特徴とする固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
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