JP3069530U - 電子レンジ用食品の収納容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子レンジによる加熱調理時に容器内の圧力
が一定レベルに達すると容器に設けられた通気孔が自動
開口して減圧せしめ容器の破裂や中身の飛散流出を防止
し、所定圧以下に減圧された時には再び通気孔を自動的
に塞ぐことにより適宜圧力調整を可能とするとともに煮
汁等の液体が通気孔より流出することを防止し、尚か
つ、そのまま食器としても使用でき安価で汎用性のある
電子レンジ用食品の収納容器を提供する。 【解決手段】 耐熱防湿性の合成樹脂素材によって絞り
成形した容器本体の開口部を、耐熱防湿性合成樹脂フィ
ルムからなり所定位置に通気孔を有する被冠フィルムを
もってヒートシールし、更に裏面において接着面と非接
着面とが所定の範囲に形成されているチップフィルムを
貼着することにより上記通気孔を閉塞する構成となし、
容器内圧力が所定圧に達した時、チップフィルムの接着
面の一部が自動的に剥がれ通気孔を開いて加熱蒸気を流
出せしめ、所定圧以下に減圧された時には該チップフィ
ルムの剥離箇所が再接着して通気孔を閉塞せしめる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、チルド食品又はレトルト食品等の電子レンジ食品を密封収納するた めの容器で、電子レンジによって加熱調理するに際し、該容器内の圧力が一定レ ベルに達すると、該容器の所定箇所が自動的に開口通気してこの圧力を逃すこと により、容器の破裂や中身の飛散流出を防止することができる電子レンジ用食品 の収納容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年のチルド食品又はレトルト食品の普及に伴い、これら電子レンジ用食品を 密封包装するための袋や容器等の収納体は、単に収納、搬送又は販売展示に適し たものであること以外に調理用具や食器としての役割も求められている。 調理用具として使用する場合にあっては、密封収納されたチルド食品等をその まま電子レンジで加熱調理すると、温度上昇に伴う収納体内の過圧によって該収 納体の破裂や内容物の飛散流出を招くため、収納体に小孔を形成し或いは構造に よっては上蓋の全部又は一部を開放することが必要とされる。 また、収納体をそのまま食器として使用する場合にあっては、軟包材フィルム 等を用いた一般的な袋状の収納体ではなく、本体を熱変形のしない比較的剛性の ある材料で絞り成形した容器（例えばトレイ形状）とすることが適当で、容器本 体の開口部に上蓋を被冠したもの、若しくは樹脂フィルムによってヒートシール したもの等が提供されている。

【０００３】 従来、加熱調理時の過圧による収納体の破裂や内容物の飛散流出を解決するた め、予め設けた通気孔にフィルム等を被着し調理時にこのフィルム等を剥がして 通気させるもの、収納体の重合シール部に弱シール部分を形成し内圧の上昇によ ってこの弱シール部分を剥離せしめ通気させるもの、通気孔に別途形成した弁体 を介在せしめこれによって圧力調整をさせるもの、収納体の全部又は一部を二重 シール構造とし一方のシールに通気孔を設け他方のシールを調理時に剥がして使 用するもの、更には収納体を構成するシールそのものを通気性があって液体を通 さない特性を有する素材とするもの、等々が提案されている。

【０００４】 しかしながら、調理者が被冠されている上蓋を取り除き或いは通気孔を塞いで いるフィルムやシールを剥がす等の前処理を必要とする上記従来例にあっては、 煩雑であるばかりかこれを失念した際の危険性を解決できず、また、加熱調理時 に自動通気又は圧力調整する上記従来例にあっては、収納体の製造工程で特殊な 技術や行程を必要としたり或いは特殊なシール素材や別途の弁機構を必要とした りして安価な収納体を提供することができない。

【０００５】 更に、上記従来例の何れの場合であっても、調理方法（解凍・蒸す・煮る・等 ）及び加熱時間や加熱温度の異なる多種多様な被調理食品に対応するには、それ に応じて通気孔の大きさや数を設定するなどして複数種類の収納体を用意しなけ ればならず、特に別途の弁機構を有さない従来例にあっては、加熱調理中におけ る通気孔の適宜開閉ができないために所定値での加圧調理ができず、また通気孔 が容器本体と被冠フィルムとのサイドシール部に形成された収納体にあっては煮 汁等の液体が該通気孔より流出してしまう等の欠点があり、蒸し調理や煮物調理 には不向きなものであった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記従来の欠点に鑑みなされたもので、電子レンジによる加熱調理 時に容器内の圧力が一定レベルに達すると容器に設けられた通気孔が自動開口し て減圧せしめ容器の破裂や中身の飛散流出を防止し、所定圧以下に減圧された時 には再び通気孔を自動的に塞ぐことにより適宜圧力調整を可能とし、煮汁等の液 体が通気孔より流出することを防止し、尚かつ、そのまま食器としても使用でき 安価で汎用性のある電子レンジ用食品の収納容器を提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

耐熱性、防湿性、防油性に優れ熱変形のしない合成樹脂素材によって絞り成形 した容器本体の開口部を、耐熱性、防湿性、防油性に優れた合成樹脂素材からな り所定位置に通気孔を有する被冠フィルムをもってシールし、更に裏面において 接着面と非接着面とが所定の範囲及び箇所にて形成されているチップフィルムを 貼着することにより上記通気孔を閉塞する構成となし、加熱加圧に伴い容器内圧 力が上昇し所定圧に達した時、チップフィルムの接着面の一部が剥がれ通気孔を 開いて加熱蒸気を流出せしめ、所定圧以下に減圧された時には該チップフィルム の剥離箇所が再び接着して通気孔を閉塞せしめることによって、収納容器の破裂 や収納食品の流出を防止するとともに、容器内の蒸気及びその圧力を一定に保つ こととする。

【０００８】 容器本体の開口部周縁をタイコ形のフランジとするとともに、上記被冠フィル ムをヒートシール容易な層間剥離方式の多層フィルムとなし、該被冠フィルムを フランジ周縁に沿って所定幅をもってヒートシールすることにより、シール強度 と開封容易性の双方を実現する。

【０００９】 加熱加圧時に断面弓形をなすよう被冠フィルムを適度な熱伸長性と伸長応力を 持った合成樹脂フィルムによって形成し、該被冠フィルムの加圧伸長時の頂点部 （最上部）に上記通気孔を設けることにより、蒸気圧の流出に伴って煮汁等の液 体が流出することを防止する。

【００１０】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を、図示実施例により説明する。

【００１１】

【実施例】

図面は本考案に係る電子レンジ用食品の収納容器の一実施例を示したもので、 図１は実施例容器全体の平面図、図２は同中央縦断面図であり、１は容器本体、 ４は被冠フィルム、６はチップフィルムを示す。

【００１２】 容器本体１は、耐寒耐熱性、防湿性、防油性に優れた熱変形のしない合成樹脂 素材によってトレイ形状に絞り成型されたもので、その開口部周縁をタイコ形の フランジ２とし、該フランジ２には延長的に形成されたタブ３が設けられている 。因みに、本実施例における容器本体１の略仕様は以下のとおりであるが、上記 のような特性を持った容器であればその素材や成型方法又は形状等がこれに限定 されるものではない。 材質：ポリプロピレン７０％，炭酸カルシウムタルク３０％ 材厚：０．８（ｍｍ） 外寸：１６０×１１６×３２（ｍｍ） 成型方法：真空成形 耐熱温度：１３５℃

【００１３】 被冠フィルム４は、耐寒耐熱性、防湿性、防油性に優れ適度の伸長度と伸長応 力をもったヒートシール可能な合成樹脂フィルムからなり、加熱加圧による伸長 時の頂点部（最上部）に通気孔５が設けられている。ここで、被冠フィルム４は 上記特性において所定の適正を有するものであれば単層或いは積層の何れであっ てもよく、本実施例にあっては、シール安定性や剥離方式等も勘案して、ＬＬ／ 接着層／ＰＰからなる共押出多層（ラミネート）フィルムを採用し、これを容器 本体１のフランジ２の外周形状及び寸法に合わせ、これより僅か大きめの周形状 及び寸法をもって形成したものである。

【００１４】 チップフィルム６は、上記被冠フィルム４に穿設された通気孔５を閉塞するた めのもので、耐熱性、防湿性、並びに被冠フィルム４よりやや熱伸長度の少ない フィルム６ａからなり、その裏面において接着面６ｂと非接着面６ｃとが所定の 範囲及び箇所にて形成されている。

【００１５】 本実施例におけるチップフィルム６の製造方法について図３に基づき説明する と、合成樹脂（ＰＥＴ）フィルム材６ａの裏面全体にアクリル溶液接着剤を塗布 して接着面６ｂを形成してこれに離型紙（台紙）７を重合することによってなる シート材を用意し、該シート材をフィルム材６ａと離型紙（台紙）７とに分離し 、フィルム材６ａの裏面（接着面６ｂ）上にのり殺しを規則的に配列させ多数印 刷すると同時に乾燥させることによって楕円形（φ５ｍｍ×φ７ｍｍ）の非接着 面６ｃを形成する。次いで、フィルム材６ａと離型紙７とを再度貼り合わせて最 初の重合シート材状態とした後、フィルム材６ａだけを円形（φ１０ｍｍ）の刃 型で非接着面６ｃ部分を中心にしてその外周りをカットし、カットされた円形部 分以外のフィルム材６ａを剥がせば、φ１０ｍｍの円形フィルム材６ａの部分だ けが離型紙７上に残り、これらがチップフィルム６となる。

【００１６】 そして、容器本体１内にチルド食品やレトルト食品等の電子レンジ用食品Ａを 収納し、被冠フィルム４を容器本体１の開口部周縁に形成されているフランジ２ の周縁に沿って所定幅をもってヒートシールし、更にチップフィルム６を被冠フ ィルム４の所定箇所に穿設された通気孔５を塞ぐよう貼着して閉塞密封させたも のである。

【００１７】 図４に基づき本考案実施例の作用について説明すると、同図は電子レンジ食品 （冷凍ビーフシチュー）Ａを収納密閉した容器（トレイ）１ごと電子レンジによ って加熱調理し、これによって容器１内の蒸気圧が上昇して被冠フィルム４を断 面弓形に伸長させ、チップフィルム６の接着面の一部を剥離せしめ通気孔５より 加熱蒸気が流出している状態を示している。

【００１８】 即ち、加熱が進むと食品Ａに含まれている水分が溶解して液体化、蒸気化する ことによって容器本体１内の圧力が上昇し、これに伴い被冠フィルム４が伸張し て断面弓形をなし、更に圧力が上昇して容器内圧力が一定のレベルに達した時、 チップフィルム６と被冠フィルム４との接着面の一部が剥離することにより通気 孔５より加熱蒸気が流出して容器内圧力を減圧させ、また所定圧以下に減圧され た場合にはこの剥離部分が再度接着して通気孔５を閉塞することによって容器内 の圧力を一定に保つものである。

【００１９】

【考案の効果】 本考案に係る収納容器にあっては、チルド食品又はレトルト食品等の電子レン ジ食品を収納密閉した状態のままで加熱調理しても、容器内の圧力が所定圧に達 した時にはチップフィルム６の接着面の一部が自動的に剥離して通気孔５よりそ の過圧力を逃すため、従来容器のように調理者が予め容器の一部に孔を形成した り或いは被冠されている上蓋、フィルム又はシール等を取り除く等の前処理を必 要とせず、尚かつ、容器本体１をある程度の硬性をもった熱変形しない絞り成形 容器としているため、調理後被冠フィルム４を剥がすことのみによってそのまま 食器としても使用することができる。

【００２０】 そして、所定圧に応じてチップフィルム６の接着面の剥離が生じ、所定圧以下 に減圧された場合には再度この剥離部分が接着するので、適度な蒸気及びその圧 力を維持することが可能となり、従って、特に蒸し調理或いは加圧調理を必要と する食品にあっては極めて有効である。

【００２１】 また、調理方法（解凍・蒸す・煮る・等）や加熱条件の異なる多種多様な食品 に対応するには、接着面（又は非接着面）や材質特性或いは大きさ形状の異なる 複数種類のチップフィルム６を用意し、その中からこれら食品に適当なチップフ ィルム６を適宜選択して使用すれば、容器本体１及び被冠フィルム４を何等変更 する必要はなく、汎用性のある且つ安価な収納容器とすることができる。

【００２２】 更に、被冠フィルム４は熱伸長性のある材質の合成樹脂フィルムを使用すると ともに、伸長状態（加圧状態）にある時の頂点部分に通気孔５を設けてあるので 、水分を多く含んだ煮物調理の場合であっても、通気孔がサイドシール部に形成 されている従来の収納体のように煮汁等の液体が該通気孔より流出してしまうこ とがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例における電子レンジ用食品の収納
容器の平面図。

【図２】同上収納容器の中央縦断面図。

【図３】同上収納容器におけるチップフィルム６の概略
製作説明図。

【図４】同上収納容器の内圧が所定圧以上に達した際の
作用について説明したもので、（ａ）は全体中央縦断面
図、（ｂ）は通気孔５付近の拡大断面図、（ｃ）はチッ
プフィルム６の接着状態を示した図である。

【符号の説明】

１・・・容器本体 ２・・・フランジ ３・・・タブ ４・・・被冠フィルム ５・・・通気孔 ６・・・チップフィルム ６ａ・・フィルム材 ６ｂ・・接着面 ６ｃ・・非接着面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 石川 聡 東京都港区浜松町１−16−２鈴丈ビル１Ｆ 白圭松則株式会社内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐熱防湿性の合成樹脂素材によって絞り
   成形した熱変形しない容器本体の開口部を耐熱防湿性の
   合成樹脂素材からなり所定箇所に小径の通気孔を穿設し
   てある被冠フィルムをもってシールするとともに、裏面
   において接着面と非接着面とが所定の範囲で形成されて
   いるチップィルムを貼着することによって上記通気孔を
   閉塞し、容器内圧力が所定圧に達した時においてはチッ
   プフィルム接着面の一部が剥がれ通気孔を開いて加熱蒸
   気を流出せしめ、容器内圧力が所定圧以下に減圧された
   時おいては該チップフィルム剥離箇所が再接着して通気
   孔を閉塞せしめることを特徴とした電子レンジ用食品の
   収納容器。
2. 【請求項２】 容器本体の開口部周縁をタイコ形のフラ
   ンジとするとともに、上記被冠フィルムをヒートシール
   容易な層間剥離方式の多層フィルムとなし、該被冠フィ
   ルムをフランジ周縁に沿って所定幅をもってヒートシー
   ルした請求項１の電子レンジ用食品の収納容器。
3. 【請求項３】 加圧時に断面弓形をなすよう被冠フィル
   ムを適度な熱伸長性と伸長応力をもった合成樹脂フィル
   ムによって形成するとともに、該被冠フィルム伸長時の
   頂点部に通気孔を穿設した請求項１乃至請求項２の電子
   レンジ用食品の収納容器。