JP3069407B2 - プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニット及び同ユニットの施工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プレハブ型鉄骨鉄筋型
枠ユニット及び同ユニットの施工法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、鉄骨鉄筋コンクリート構造物を構
築する際には、施工現場の指定場所に設けた基礎上に鉄
骨柱を立設し、同鉄骨柱の周囲に複数本の柱主筋を立設
すると共に、これら柱主筋の周囲に剪断補強筋を巻付け
て配筋し、これらの鉄筋の周囲に型枠パネルを配設して
型枠を組立て、また、鉄骨柱間に鉄骨梁を架設し、同鉄
骨梁の周囲に梁主筋と剪断補強筋を配筋し、これらの鉄
筋の周囲に型枠パネルを配設して型枠を組立てた後、こ
れらの型枠内にコンクリートを打設して、コンリートが
硬化した後に、型枠を解体するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な鉄骨鉄筋コンクリート構造物の構築方法では、鉄骨や
鉄筋を各工場等から施工現場に搬入して、同施工現場に
て上記のように建方するために、多くの熟練した鉄筋工
や型枠大工を必要とし、これら職人の人件費が高い上
に、近年これら職人を多人数確保することが困難である
ために、構造物の工費が高くなると共に、工期が長くな
るという問題がある。

【０００４】また、型枠パネルは、板材で形成されてい
るために、型枠を組んで、同型枠内にコンクリートを打
設した際には、コンクリートの打設状況を外部から視認
することができないために、型枠解体後にコンクリート
の打設不良個所が発見されて、後処理に手間を要すると
いう問題がある。

【０００５】そして、型枠は、組立て作業に加えて、コ
ンクリート硬化後は、解体して搬出しなければならず、
その解体作業と搬出作業に手間を要しなければならない
という煩わしさがある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、鉄
骨の前後左右側方にそれぞれ主筋をかんざし筋を介して
一定の間隔を開けて取付け、同主筋の周囲に剪断補強筋
を配筋し、同剪断補強筋の側方に型枠パネルを上記かん
ざし筋を介して一定の間隔を開けて取付け、同型枠パネ
ルを、型枠フレームと、同型枠フレームに張設した金網
と、同金網の内側面に張設し、かつ、微小径の孔を多数
個穿設した合成樹脂製フィルムとから形成したことを特
徴とするプレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニットを提供せんと
するものである。

【０００７】また、プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニット
を、予め工場等で柱用又は梁用として組立て形成し、各
ユニットを施工現場に搬入して指定場所に建方し、各ユ
ニットの型枠内にコンクリートを打設して、コンクリー
ト硬化後、型枠パネルを取外すことなく壁面の内外装材
の下地材として使用することを特徴とするプレハブ型鉄
骨鉄筋型枠ユニットの施工法を提供せんとするものであ
る。

【０００８】

【作用】鉄骨鉄筋コンクリート構造物を構築する際に
は、プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニットを、予め工場等で
柱用又は梁用として組立て形成し、各ユニットを施工現
場に搬入して指定場所に建方し、各ユニットの型枠内に
コンクリートを打設して、コンクリートを硬化させた後
は、型枠パネルを取外すことなく壁面の内外装材の下地
材として使用する。

【０００９】この際、プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニット
は、鉄骨の周囲に主筋と剪断補強筋とからなる鉄筋をか
んざし筋を介して配筋し、この鉄筋の周囲に型枠パネル
を上記かんざし筋を介して取付けて形成しているため
に、施工現場では、かかるユニットを相互に連結して建
方するだけでよいために、構築作業能率を向上させるこ
とができ、しかも、工場等で鉄筋の配筋や型枠の組立て
も行なっているために、施工現場では、鉄筋工や型枠大
工を必要とせず、そのために、人件費の大幅な削減と工
期の短縮化が図れる。

【００１０】しかも、型枠パネルは、型枠フレームに金
網を張設し、同金網の内側面に透明な合成樹脂製フィル
ムを張設し、同フィルムに微小径の孔を多数個穿設して
形成しているために、打設したコンクリート中の水分の
みを合成樹脂製フィルムの微小径の孔、さらには金網の
目を通して外部へ排出させることができるために、壁枠
パネルの受ける側圧を軽減させることができる。

【００１１】さらには、金網と透明な合成樹脂製フィル
ムを透してコンクリートの打設状況を外部より視認する
ことができるために、コンクリートの打設不良個所を発
明した場合には、バイブレーター等を利用してコンクリ
ートに必要なだけ振動を加えることにより、かかる打設
不良を速かに解消して、コンクリートの均質性を良好に
保つことができると共に、後処理を不要にして、構築作
業を迅速かつ確実に行なうことができる。

【００１２】また、型枠パネルは、取外すことなく、壁
面の内外装材の下地材として使用することにより、合成
樹脂製フィルムによりコンリートの風化を防止して、鉄
筋に錆が発生するのを確実に防止することができ、しか
も、金網によりコンクリートのくいつきを良好にして、
同コンクリートの剥離防止やクラックの発生の防止を図
ることができる。

【００１３】そして、型枠を解体する手間や解体した型
枠パネルを搬出する手間を省くことができるために、こ
の点からも構築作業能率を高めることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。

【００１５】図１及び図２に示すＡは、本発明に係る梁
用のプレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニットであり、同ユニッ
トＡは、鉄骨Ｓとプレハブ型鉄筋ユニットＲと型枠Ｋと
を、工場等で組立て形成するようにしている。

【００１６】プレハブ型鉄筋ユニットＲは、図２及び図
３に示すように、略門型に形成して前後方向に一定の間
隔を開けて多数個配置した剪断補強筋２と、各剪断補強
筋の少なくとも左右側隅部位置にそれぞれ直交状態に連
設した主筋１と、前後方向に伸延形成して、剪断補強筋
２の前後方向に隣接する各先端同士を一体的に連結する
左右一対の連結体３，３とから一対のユニット形成体r
1,r2を形成し、両ユニット形成体r1,r2 を、連結体３，
３同士を突き合せて連結金具としての連結ボルト４によ
り連結可能に構成している。

【００１７】そして、図３に示すように、一方のユニッ
ト形成体r2に取付けた連結体３には、突き合せ時に他方
のユニット形成体r1に取付けた連結体３の内側方に重合
すべく連結片3aを伸延形成し、内外側に重合した連結体
と連結片3aとを連結ボルト４により連結するようにして
いる。５は、連結片3aと連結体３にそれぞれ穿設したボ
ルト孔、６は、鉄骨Ｓに穿設した連結孔である。

【００１８】かかる鉄筋ユニットＲは、図２及び図３に
示すように、一対のユニット形成体r1,r2 を、鉄骨Ｓの
上下方向より囲むようにして、両ユニット形成体r1,r2
の連結片3aと連結体同士を連結ボルト４により連結する
ことにより配筋することができるものであり、両ユニッ
ト形成体r1,r2 の位置決めは、鉄骨Ｓのフランジ部s1,s
2 にそれぞれ軸線方向に一定の間隔を開けて固設したか
んざし筋７，７により行なうようにしており、同かんざ
し筋７，７の先端縁左右側部に主筋嵌合用凹部7a,7a を
形成して、各凹部7a,7a に各ユニット形成板r1,r2 に配
筋した主筋１，１を嵌合させると共に、溶接して位置決
め固定する。

【００１９】型枠Ｋは、図１及び図２に示すように、上
記したプレハブ型鉄筋ユニットＲの左右側方及び下側方
において、それぞれ型枠パネル８，９，10を、鉄骨Ｓに
かんざし筋７，７とステー11,11 を介して取付けたパネ
ル支持フレーム16に張設して組立てるようにしている。

【００２０】そして、型枠パネル８は、図４及び図５に
示すように、型枠フレーム12に金網13を張設し、同金網
13の内側面に透明な合成樹脂製フィルム14を張設し、同
フィルム14に微小径（例えば、0.1〜3mm ）の孔15を多
数個穿設して形成している。13a は金網に形成した断面
Ｖ字状の補強リブである。

【００２１】また、他の型枠パネル９，10も、上記型枠
パネル８と基本構造を同じくしており、型枠パネル10
は、上方にスラブを接続する関係上、型枠のパネル８よ
りも高さを低く形成している。

【００２２】パネル支持フレーム16は、型枠パネル８，
９，10を嵌入可能な断面Ｕ字状に形成したパネル嵌込み
レール16a を、左右側にそれぞれ上下一対、また下側に
左右一対、開口部16b が対向するように配置し、対向す
る各レール16a,16a 間に型枠パネル８，９，10をそれぞ
れ倹飩式に嵌込んで張設することができるようにしてい
る。なお、必要に応じて、張設した型枠パネル８，９，
10を各レール16a に固定ピンにより固定することもでき
る。

【００２３】そして、各パネル嵌込みレール16a は、鉄
骨Ｓに取付けたかんざし筋７，７の各左右側部よりステ
ー11,11 を突設して、各ステー11,11 の先端に取付けて
支持させている。

【００２４】このように、形成したパネル支持フレーム
16の配設位置は、プレハブ型鉄筋ユニットＲとの相対間
隔、すなわち、コンクリートのかぶりを考慮して設計す
る。

【００２５】また、型枠パネル８，９，10の中途部と鉄
骨Ｓとの間には、図２、図４、及び図５に示すように、
セパレーター17を介設して、同セパレーター17により、
コンクリート打設時の型枠パネル８，９，10の撓み等を
防止している。

【００２６】そして、かかるセパレーター17は、型枠パ
ネル８の金網13に形成した補強リブ13a を貫通させて一
端を取付け、鉄骨Ｓのフランジ部s1,s2 又はウエブ部s3
に取付けた連結ナット18に他端を連結するようにしてい
る。

【００２７】図６は、柱用のプレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユ
ニットＡであり、プレハブ型鉄筋ユニットＲの前後左右
側方の周囲に型枠パネル20,21,22,23 をパネル支持フレ
ーム16を介して張設して型枠Ｋを組立て形成している。

【００２８】そして、図７は、かかるユニットＡに組込
む柱用のプレハブ型鉄筋ユニットＲであり、24は、梁用
のユニットＡとの接続用空間である。25は接続金具であ
り、主筋１，１同士をかしめて接続するようにしてい
る。

【００２９】本発明の実施例は、上記のように構成して
いるものであり、本実施例によれば、以下のような作用
効果が生起される。

【００３０】すなわち、鉄骨鉄筋コンクリート構造物を
構築する際には、プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニットＡ
を、予め工場等で柱用又は梁用として組立て形成し、各
ユニットＡを施工現場に搬入して指定場所に建方し、各
ユニットＡの型枠Ｋ内にコンクリートを打設して、コン
クリートを硬化させた後は、型枠パネル８，９，10を取
外すことなく壁面の内外装材の下地材として使用する。

【００３１】この際、プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニット
Ａは、鉄骨Ｓの周囲に主筋１と剪断補強筋２と連結体３
とからなる一対のユニット形成体r1,r2 を突き合せ状態
に連結することにより、プレハブ型鉄筋ユニットＲを形
成すると共に、同ユニットＲをかんざし筋７，７により
位置決めして配筋し、この鉄筋ユニットＲの周囲に配設
する型枠Ｋを、型枠パネル８，９，10を上記かんざし筋
７，７にステー11,11を介して取付けたパネル支持フレ
ーム16に張設することにより形成しているために、施工
現場では、かかるユニットＡを相互に連結して建方する
だけでよく、構築作業能率を向上させることができ、し
かも、工場等で鉄筋の配筋や型枠Ｋの組立ても行なって
いるために、施工現場では、鉄筋工や型枠大工を必要と
せず、そのために、人件費の大幅な削減と工期の短縮化
が図れる。

【００３２】しかも、型枠パネル８，９，10は、型枠フ
レーム12に金網13を張設し、同金網13の内側面に透明な
合成樹脂製フィルム14を張設し、同フィルム14に微小径
の孔15を多数個穿設して形成しているために、打設した
コンクリート中の水分のみを合成樹脂製フィルム14の微
小径の孔15、さらには金網13の目を通して外部へ排出さ
せることができるために、壁枠パネル８，９，10の受け
る側圧を軽減させることができる。

【００３３】さらには、金網13と透明な合成樹脂製フィ
ルム14を透してコンクリートの打設状況を外部より視認
することができるために、コンクリートの打設不良個所
を発明した場合には、バイブレーター等を利用してコン
クリートに必要なだけ振動を加えることにより、かかる
打設不良を速やかに解消して、コンクリートの均質性を
良好に保つことができると共に、後処理を不要にして、
構築作業を迅速かつ確実に行なうことができる。

【００３４】また、型枠パネル８，９，10は、取外すこ
となく、壁面の内外装材の下地材として使用することに
より、合成樹脂製フィルム14によりコンクリートの風化
を防止して、鉄筋に錆が発生するのを確実に防止するこ
とができ、しかも、金網13によりコンクリートのくいつ
きを良好にして、同コンクリートの剥離防止やクラック
の発生の防止を図ることができる。

【００３５】そして、型枠Ｋを解体する手間や解体した
型枠パネルを搬出する手間を省くことができるために、
この点からも構築作業能率を高めることができる。

【００３６】

【発明の効果】本発明によれば、以下のような効果が得
られる。

【００３７】工場等で予め柱用又は梁用のプレハブ型
鉄骨鉄筋型枠ユニットを組立て形成するために、精度よ
く鉄筋の配筋や型枠の組立てを行なうことができる。

【００３８】施工現場では、搬入されたプレハブ型鉄
骨鉄筋型枠ユニットを指定場所に建方するだけでよいた
めに、熟練した鉄筋工や型枠大工等を必要とせず、その
ために、公費と工期を大幅に削減させることができる。

【００３９】しかも、プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニット
は、前記のように工場等で精度よく組立て形成されて
いるために、施工現場での建方も簡単かつ確実に行な
え、この点からも工費と工期の大幅な削減が図れる。

【００４０】合成樹脂製フィルムに多数個穿設した微
小径の孔と金網の目を通して、コンクリート中の水分の
みを外部へ排出することができるために、型枠パネルが
受ける側圧を軽減させることができて、同型枠パネルの
変形、さらにはコンリクート構造物の構築不良等を防止
することができる。

【００４１】金網と透明な合成樹脂製フィルムを通し
てコンクリートの打設状況を視認することができるため
に、打設不良個所の早期発見、早期対処が行なえ、コン
リートの均質性を良好に確保するこどできる。

【００４２】そして、コンクリート硬化後の打設不良個
所の後処理が不要となるために、構築作業能率を高める
ことができる。

【００４３】型枠ハネルは取外すことなく、いわゆる
捨殺しにすることにより、壁面の内外装材の下地材とし
て使用することができる。

【００４４】合成樹脂製フィルムによりコンクリート
の風化を防止して、鉄筋への錆の発生防止を確保するこ
とができる。

【００４５】金網によりコンクリートのくいつきを良
好にして、同コンクリートの剥離防止やクラックの発生
防止を図ることができる。

【００４６】型枠の解体作業や解体した型枠パネルの
搬出作業の手間を省くことができるために、この点から
も構築作業能率を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る梁用のプレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユ
ニットの斜視説明図。

【図２】同ユニットの断面正面図。

【図３】梁用のプレハブ型鉄筋ユニットの分解斜視図。

【図４】型枠パネルの一部切欠斜視説明図。

【図５】同型枠パネルの断面図。

【図６】柱用のプレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニットの断面
正面図。

【図７】柱用のプレハブ型鉄筋ユニットの分解斜視図。

【符号の説明】

Ａ プレハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニット Ｓ 鉄骨 Ｒ ブレハブ型鉄筋ユニット Ｋ 型枠 １ 主筋 ２ 剪断補強筋 ３ 連結体 ８ 型枠パネル 12 型枠フレーム 13 金網 14 合成樹脂製フィルム 15 孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瓜生 隆幸 福岡県福岡市博多区博多駅南３丁目１番 20号 株式会社アイ・エス内 (72)発明者 松▲崎▼ 修治 福岡県北九州市小倉北区下到津５丁目８ 番８号 株式会社北清工業内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E04B 1/16 E04B 1/30 E04C 3/00 - 3/46 E04C 5/00 - 5/20 E04G 9/02 - 9/05 E04G 21/12 105

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄骨の前後左右側方にそれぞれ主筋をか
   んざし筋を介して一定の間隔を開けて取付け、同主筋の
   周囲に剪断補強筋を配設筋し、同剪断補強筋の側方に型
   枠パネルを上記かんざし筋を介して一定の間隔を開けて
   取付け、同型枠パネルを、型枠フレームと、同型枠フレ
   ームに張設した金網と、同金網の内側面に張設し、か
   つ、微小径の孔を多数個穿設した合成樹脂製フィルムと
   から形成したことを特徴とするプレハブ型鉄骨鉄筋型枠
   ユニット。
2. 【請求項２】 請求項１記載のプレハブ型鉄骨鉄筋型枠
   ユニットを、予め工場等で柱用又は梁用として組立て形
   成し、各ユニットを施工現場に搬入して指定場所に建方
   し、各ユニットの型枠内にコンクリートを打設して、コ
   ンクリート硬化後、型枠パネルを取外すことなく壁面の
   内外装材の下地材として使用することを特徴とするプレ
   ハブ型鉄骨鉄筋型枠ユニットの施工法。