JP3069086B2 - 記録用シートの製造方法および記録用シート - Google Patents

記録用シートの製造方法および記録用シート

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録用シートの製
造方法および記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種学会、会議等のプレゼンテー
ション用として、従来のスライドプロジェクターに替わ
り、オーバーヘッドプロジェクターが用いられる機会が
多くなっている。また、印刷の分野でも、各種の出版物
や、包装等の用途で、透明な印刷物が求められるように
なっている。
【0003】これらの透明なシートへの印字、印刷は、
基材であるシートそれ自体に吸収性が無いため、一般の
紙面上に行なう印刷に比べ印刷の速度や乾燥の面で特別
な配慮が必要である。不透明な基材においても、吸収性
に乏しく同様な配慮が必要な場合も多い。
【0004】また、オーバーヘッドプロジェクター用の
シート等の、ごく少量の印刷物を得るために、パーソナ
ルコンピューターやワープロを用いて原稿を編集し、プ
リンターによって印字する方法が広く行なわれており、
そのプリンターとして、フルカラー化が容易なことから
インクジェット方式が注目されており、インク受容層中
に半径40〜1000Åの細孔を持つ多孔性アルミナキ
セロゲルを有するインクジェット記録媒体も知られてい
る(特開昭60−245588号公報参照)。
【0005】他方、解像度が高く、高品位画像が得られ
るものにオフセット印刷がある。これは不飽和カルボン
酸のグリセド等の油脂系ビヒクルと顔料とを混練した
インクを湿し水と共に版胴、ゴム胴、圧胴を経て印刷す
るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、透明シ
ートに対して従来の如きインクジェット方式を採用する
と、多量のインクが取り扱われるため、吸収性の乏しい
透明シートへの印字はごく低品位の場合のみ可能であ
り、フルカラー化は殆ど不可能に近かった。
【0007】また、特開昭60−245588号公報に
示されたインクジェット記録媒体においては、インクの
受容体としてアルミナキセロゲルが用いられているた
め、粒子径が比較的大きくなり、従って、粒子間間隙も
大きくなる。この結果、光の散乱が生じ、透明性が損な
われ、像が白っぽくなる欠点を有している。そしてこの
傾向は基材が透明材である程著しくなる。
【0008】また、オフセット印刷にあっては、被印刷
面がガラスやプラスチック面の様な吸収能のない場合に
は、印刷適性が低く、インクの乾燥に時間を要し、実用
になり難く、スクリーン印刷、グラビア印刷等に依存し
ている状況である。更に、そのスクリーン印刷において
も、インクの乾燥に時間を要する点は同様である。
【0009】本発明は、これら従来法が有する諸欠点を
排除し、充分にフルカラー発色し得る記録用シートを得
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、擬ベーマイト
ゾルおよびバインダーを含むコート液を、基材(透明基
材を除く)上に塗布して、多孔質のインク受容層を形成
する記録用シートの製造方法を提供する。
【0011】また本発明は、基材(透明基材を除く)
に多孔質のインク受容層を設けた記録用シートにおい
て、インク受容層が、主として擬ベーマイトゾルを擬ベ
ーマイトに対して10〜50重量%のバインダーととも
に基材(透明基材を除く)上に塗布して得られた擬ベー
マイトからなる記録用シートを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる基材として
、金属や紙等の不透明体を適宜用い得る。
【0013】また、基材の厚さは目的により選ばれ、特
に限定されない。これら基材は、使用に際し、後述する
インク受容層との接着性を良好ならしめるため、コロナ
放電処理等の表面処理を行なったり、プレコート層を設
けることも出来る。
【0014】本発明において、擬ベーマイトゾルおよび
バインダーを含むコート液から、主として擬ベーマイト
からなる多孔質のインク受容層が形成される。
【0015】擬ベーマイトとしては、吸着能が20〜1
00mg/gを有するものが好適である。なお、本発明
に用いられる吸着能とは次の様に定義される。常温下1
00ccの水中に平均粒子径15μの粉体1gを投入
し、撹拌下にFood Black 2を2重量%含む
水溶液を1cc/分の割合で滴下していき、液が着色し
はじめる点をもってその粉体に吸着された染料固形分
(mg/g)とする。擬ベーマイトの吸着能が前記範囲
を逸脱する場合には、十分な発色と解像度が得られない
恐れがあるので好ましくない。
【0016】かかる擬ベーマイトとしては、半径40〜
100Åを有する細孔の全容積が0.1cc/g以上
0.4cc/g未満であることが好ましい。かかる半径
およびその全容積が前記範囲を逸脱する場合には、光の
散乱が生じ、印刷された像が白っぽくなりフルカラー化
が困難となるので好ましくない。
【0017】望ましくはこれらの物性に加え、擬ベーマ
イトの半径100〜1000Åを有する細孔の全容積が
0.1cc/g以下、更に望ましくはこれに加うるに半
径10〜40Åを有する細孔の全容積が0.2〜1.0
cc/gが好ましい。かくすることにより、いずれの色
においても十分発色し、鮮明な像を得ることができる。
【0018】そして、本発明におけるインク受容層とし
ての擬ベーマイトは、擬ベーマイトゾルをバインダーを
含むコート液を、基材上に塗布した後で、乾燥して得ら
れる擬ベーマイトである。擬ベーマイトゾルとは、擬ベ
ーマイトのコロイド粒子が溶媒中に分散したコロイド溶
液である。擬ベーマイトゾルから得られる擬ベーマイト
を用いるかぎり、インク中の染料を十分吸収し、十分な
発色効果が得られる。この効果は、他のアルミナゾルを
用いた場合では発現しない。
【0019】更に具体的には後述する実施例に示した如
き触媒化成工業社から市販されている商品名「カタロイ
ドAS−3」の如き擬ベーマイトゾルに代表される様
な、Al23固形分に換算して7重量%を含有する擬ベ
ーマイトゾルを純水により100倍に希釈し、これを親
水化したコロジオン膜上に滴下して乾燥せしめた場合、
一定方向に配向した毛状束の擬ベーマイト粒子の集合体
を形成する様な擬ベーマイトゾルが最適である。
【0020】インク受容層の厚さは、印刷、印字に用い
られるインク量により適宜選択されるが、一般には1〜
20μ程度を採用するのが適当である。層厚が前記範囲
を逸脱すると発色性が不安定になったりする恐れがある
ので好ましくない。擬ベーマイト層を基材上に設ける手
段としては、擬ベーマイトゾルとバインダーの混合スラ
リーをロールコーター、エアナイフコーター、ブレード
コーター、ロッドコーター、バーコーター等の各種コー
ターにより基材上に塗布し、乾燥する手段が主として用
いられる。
【0021】バインダーとしては、一般にデンプンやそ
の変性物、ポリビニルアルコールやその変性物、SBR
ラテックス、NBRラテックス、ヒドロキシセルロー
ス、ポリビニルピロリドン等の有機物を用いることがで
きる。
【0022】また、上記コート液におけるバインダーの
使用量は、余り少ないと受容層の強度が不十分となり、
逆に余り多すぎるとインクの吸収性を阻害するので好ま
しくなく、擬ベーマイトの10〜50重量%を採用する
のが適当である。尚、本発明における細孔径分布の測定
は窒素吸脱着法(オミクロンテクノロジー社製オムニソ
ープ100)により行なった。
【0023】以下に実施例を示すが、本発明による記録
用シートはインクジェット方式、オフセット印刷用に特
に有用であるが、これらに限られるものではない。
【0024】
【実施例】尚、実施例、比較例で得られた記録用シート
の評価は次に示す方法で行なった。 (1)印字:シャープ社カラーイメージジェットプリン
ターIO−735を用いて、黒色で1cm×1cmのパ
ターンを印字した。 (2)色濃度:(1)で印字したシートに白紙で裏あて
をして、黒色の反射色濃度をサクラデンシトメータPD
A45で測定した。 (3)解像度:(1)で印字したシートのパターンのに
じみ具合から4段階で評価した。 (0:最悪、3:最良) (4)ヘイズ:JIS K−7105によった。
【0025】実施例1 吸着能80mg/gの擬ベーマイトゾル(触媒化成工業
社製カタロイドAS−3)5重量部(固形分)、ポリビ
ニルアルコール(クラレ社製PVA117)1重量部
(固形分)および水からなる固形分約10%のコート液
を調製し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ
社製厚さ100μ)に、バーコーターにより乾燥時の膜
厚が5μとなるよう塗布し乾燥して記録用シートを得
た。
【0026】比較例1 実施例1で用いた擬ベーマイトゾルの代りに、アモルフ
ァスのアルミナゾル(日産化学工業社製アルミナゾル1
00)を用いた以外は実施例1と同様の方法で記録用シ
ートを得た。
【0027】比較例2 実施例1で用いた擬ベーマイトゾルの代りに、シリカゾ
ル(触媒化成工業社製カタロイドSI−40)を用いた
以外は実施例1と同様の方法で記録用シートを得た。
【0028】これらの記録用シートのインク受容層につ
いて、表1に示す細孔半径の範囲の細孔容積を測定した
結果を表1に示す。記録用シートの、色濃度、解像度お
よびヘイズについての評価結果を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】実施例2 実施例1に従って作成した記録用シートを用い、印刷適
性試験機RI−2型(明製作所製)を用いてオフセット
インキ(諸星インキ社製NS93墨)1ccを用いてベ
タ印刷を行ない、その直後被印刷面に上質紙を当て、印
刷適性試験機によって圧力をかけ、上質紙側に転写した
インクの色濃度を反射色濃度計によって測定した。測定
結果は数値の小さい方が転写しにくく良好であることを
示している。結果は表3の通りであった。なお、別途測
定した上質紙そのものの色濃度は0.10である為、こ
の記録用シートから上質紙へのインクの転写は起ってい
ないことがわかった。
【0032】比較例3 実施例1で作製した記録用シートの代りに、表面をコロ
ナ放電処理したポリエチレンテレフタレートフィルム
(三菱ダイヤホイル社製、厚さ100μ)について実施
例2と同様に印刷し、転写色濃度を測定した結果は表3
の通りであった。
【0033】比較例4 実施例2で用いた記録用シートの代りに、市販の印刷用
のアート紙(坪量160g/m2)を用いた以外実施例
2と同様に印刷し、転写色濃度を測定した結果は表3の
通りであった。
【0034】
【表3】
【0035】実施例3 実施例1に従って作成した記録用シートを用い、スクリ
ーン印刷機(スベチア社製)によりテストパターンを印
刷したところ、常温でただちにインクが吸収され、セッ
トが完了した。
【0036】比較例5 比較例3で用いたポリエチレンテレフタレートフィルム
を用い実施例3と同様の試験を行なったところ、常温で
はセットに10分以上が必要であった。
【0037】
【発明の効果】本発明の製造方法により不透明基材
ルカラー発色が可能で解像度が高い記録用シートが得ら
れる。不透明な記録物においても基材の素地を生かす等
の点で有用である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】擬ベーマイトゾルおよびバインダーを含む
    コート液を、基材(透明基材を除く)上に塗布して、多
    孔質のインク受容層を形成する記録用シートの製造方
    法。
  2. 【請求項2】擬ベーマイトゾルは、Al23の固形分に
    換算して7重量%を含有する擬ベーマイトゾルを純水に
    より100倍に稀釈し、これを親水化したコロジオン膜
    上に滴下して乾燥せしめた場合、一定方向に配向した毛
    状束の擬ベーマイト粒子の集合体を形成する様な擬ベー
    マイトゾルである請求項1に記載の記録用シートの製造
    方法。
  3. 【請求項3】前記コート液におけるバインダーの使用量
    が、擬ベーマイトに対して10〜50重量%である請求
    項1または2に記載の記録用シートの製造方法。
  4. 【請求項4】基材(透明基材を除く)上に多孔質のイン
    ク受容層を設けた記録用シートにおいて、インク受容層
    が、主として擬ベーマイトゾルを擬ベーマイトに対して
    10〜50重量%のバインダーとともに基材(透明基材
    を除く)上に塗布して得られた擬ベーマイトからなる記
    録用シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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