JP3068950B2 - 質量流量計 - Google Patents

質量流量計

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JP3068950B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導管中を流れる流体の
質量流量を測定する質量流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】前記質量流量計の従来技術として、例え
ば本願出願人に係る特願昭60−273837号がある。この先
願の要旨とするところは、流体が流れる導管に、流体の
温度に応じて抵抗値が変化する2つの抵抗体を、上流
側、下流側に互いに独立して設けると共に、これらの抵
抗体をそれぞれ含む2つの定温度制御回路を互いに独立
して設け、これらの定温度制御回路によって前記両抵抗
体の温度を常に相等しくかつ一定となるように制御し、
上流側に位置する抵抗に対応する定温度制御回路の出力
をP1 、下流側に位置する抵抗に対応する定温度制御回
路の出力をP2 とするとき、 (P1 −P2 )/(P1 +P2 ) ……(1) なる式に基づいて、前記導管中の流体の質量流量を求め
る点にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記式
(1)によって求められた質量流量の直線性を調べたと
ころ、図2における折れ線Iに示すように、上に凸の状
態に変化する結果が得られた。この図2は、内径が 0.4
mm、外径が 0.6mmのキャピラリを用いたときのセン
サ流量特性を示すもので、横軸はガス流量(cc/mi
n)を、縦軸は直線からの偏差(%)をそれぞれ示して
いる。そして、この折れ線Iの変化から、直線性が2%
以上もずれていることが判る。
【0004】そして、質量流量の誤差が上に凸状態に変
化して直線から2%以上もずれる原因を調べたところ、
次のことが判った。図3は、前記2つの定温度制御回路
におけるP1 ,P2 の特性を示すもので、横軸はガス流
量(cc/min)を、縦軸はP1 ,P2 の出力(m
V)をそれぞれ示している。ここで、(P1 +P2 )/
2の演算を行うと、点線で示す直線のように、ガス流量
が増加するに伴って増加している。この(P1 +P2
/2は、理想的には、ガス流量に依存してはならないも
のであり、(P1 −P2 )のみがガス流量に比例して変
化するのが好ましいのである。
【0005】また、前記図3に示した例において、ガス
流量が10cc/minのときにおけるP1 , P2 の基準
ベース(この場合、5200mV)からの隔たりの比は、6
5:43であり、前記(P1 −P2 )もガス流量が増加す
るに伴って直線からずれてきている。
【0006】このように、ガス流量が増加するに伴っ
て、(P1 −P2 )が減少し、(P1+P2 )が増大す
るため、前記(P1 −P2 )/(P1 +P2 )は、ガス
流量が増加するに伴って減少し、従って、上記従来の質
量流量計においては、流量の増大と共に直線性が低下
し、ずれが生じていたのである。この直線性の補正は、
例えばリニアライザなどを用いることにより行うことが
できるが、それだけ構成が複雑になり、コストアップと
なる。
【0007】本発明は、上述の事柄に留意してなされた
もので、その目的とするところは、簡単な工夫により、
直線性を改善した質量流量計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明においては、上流側に位置する抵抗体に対応
する定温度制御回路の出力をP1 、下流側に位置する抵
抗体に対応する定温度制御回路の出力をP2 とすると
き、 (P1 −P2 )/(αP1 +βP2 )(但し、0≦α,
β≦1、α<β) なる式に基づいて、導管中の流体の質量流量を求めるよ
うにしている。
【0009】
【作用】上記式を用いた場合、分母におけるP1 の比率
が下がり、P2 の比率が上がるので、分母全体が小さく
なり、流量の増大と共に直線性が低下するといったこと
がなくなり、流量にほぼ比例した出力を得ることがで
き、直線性が改善される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照しなが
ら説明する。
【0011】図1は、本発明に係る質量流量計の一構成
例を示し、1はガスなどの流体Fが例えば矢印方向に流
れる流れる導管である。2は導管1に設けられるセンサ
部で、導管1の外周に適宜の間隔をおいて巻設された抵
抗体としての2個の自己加熱形の感熱コイルR1 , R2
( 以下、第1コイルR1 、第2コイルR2 と云う)より
なる。これらのコイルR1 ,R2 は、鉄・ニッケル合金
など温度係数の大なる温度感応抵抗線よりなり、導管1
中を流れる流体Fの流量の僅かな変位をも検知すべく構
成してある。
【0012】T1 , T2 は第1コイルR1 、第2コイル
2 をそれぞれ後述するブリッジ10,20の構成要素とし
て含む定温度制御回路(以下、第1定温度制御回路
1 、第2定温度制御回路T2 と云う)で、これらの定
温度制御回路T1 , T2 は、互いに同一部品より構成さ
れており、第1コイルR1 と第2コイルR2 との温度が
常に相等しくかつ一定になるように制御するものであ
る。
【0013】すなわち、第1定温度制御回路T1 は、第
1コイルR1 とこの第1コイルR1の温度設定用抵抗11
とブリッジ抵抗12, 13とからなるブリッジ回路10と、制
御回路14とを備えている。第2定温度制御回路T2 は、
第2コイルR2 とこの第2コイルR2 の温度設定用抵抗
21とブリッジ抵抗22, 23と、可変抵抗24とからなるブリ
ッジ回路20と、制御回路25とを備えている。
【0014】前記抵抗11, 12, 13, 21, 22, 23, 24は、
それらの温度係数が第1コイルR1, 第2コイルR2
それに比べて十分小さく設定されている。また、可変抵
抗24は、導管1における流体流量がゼロのとき、両ブリ
ッジ回路10, 20のそれぞれの出力が互いに等しくなるよ
うに調整するものである。また、A1 ,A2 はブリッジ
10,20の出力点であり、B1 , B2 はそれぞれ抵抗12と
13との接続点、抵抗22と23との接続点(厳密には可変抵
抗24)である。
【0015】そして、上記のように構成された制御回路
14は、出力点A1 および接続点B2における出力を比較
して両出力に差があるとき出力をブリッジ回路10に送
り、このブリッジ回路10の平衡を保つようにする。ま
た、制御回路25も同様に、出力点A2 および接続点B2
における電位に基づいてブリッジ回路20の平衡を保つよ
うに作用する。なお、15, 26は定温度制御回路T1 , T
2 のそれぞれ出力側に設けられるバッファアンプであ
る。
【0016】30, 40はそれぞれ加算回路、減算回路であ
り、前記出力点A1 , A2 におけるそれぞれの出力電圧
1 ,P2 を入力としている。そして、加算回路30とバ
ッファアンプ15, 26との間にそれぞれ設けられる抵抗3
1, 32の抵抗値を帰還抵抗33のそれよりも大きくし、か
つ、抵抗31の抵抗値を抵抗32のそれよりも大きく設定す
ることにより、加算回路30からは、(αP1 +βP2
(但し、0≦α,β≦1、α<β)なる加算出力が出力
される。また、減算回路40からは、(P1 −P2)なる
減算出力が出力される。なお、50は加算回路30の出力を
反転するための反転回路である。
【0017】60は除算回路であり、前記加算回路30の出
力および減算回路40の出力を入力とし、(P1 ーP2
/(αP1 +βP2 )なる除算出力を出力する。なお、
61は出力端子である。
【0018】次に、上記構成の質量流量計の動作につい
て説明する。先ず、導管1内の流体流量がゼロのとき、
第1コイルR1 、第2コイルR2 は、ブリッジ回路10,
20の温度設定用抵抗11, 21によってそれぞれ定められる
温度に設定される。そして、温度設定用抵抗11, 31は、
それらの特性が互いに等しく設定してあるから、コイル
1 , R2 の温度は相等しくなる。このため、出力点A
1 の出力P1 と出力点A2 の出力P2 は相等しく、従っ
て、出力端子61の出力はゼロとなり、流体Fが流れてい
ないことが示される。
【0019】そして、導管1内に流体Fが流れていると
きは、第1コイルR1 は、流体Fによって熱を奪われ、
第2コイルR2 は、流体Fから熱を与えられる。このた
め、第1コイルR1 を所定温度に保持するためのエネル
ギー供給が大となり、出力点A1 の出力P1 は、大きく
なる。他方、第2コイルR2 を前記所定温度に保持する
ためのエネルギーは、流体Fから熱を与えられる分だけ
少なくて済み、出力点A2 の出力P2 は小さくなる。
【0020】これらの出力P1 , 2 は、加算回路30、
減算回路40にそれぞれ入力されて、これらの回路30, 40
から加算出力(αP1 +βP2 )、減算出力(P1 −P
2 )がそれぞれ出力される。これらの出力(αP1 +β
2 )、(P1 −P2 )は、除算回路60に入力され、こ
の除算回路60において所定の除算が行われ、除算出力
(P1 ーP2 )/(αP1 +βP2 )が出力される。こ
の除算出力(P1 ーP2)/(αP1 +βP2 )は、導
管1内を流れる流体Fの質量流量に比例しているので、
これに定数を乗ずることにより、導管1内の流体Fの質
量流量を得ることができる。
【0021】ここまでの説明から理解されるように、本
発明に係る質量流量計においては、 (P1 −P2 )/(αP1 +βP2 ) ……(2) なる式に基づいて、導管1中の流体Fの質量流量を求め
るようにしているのである。
【0022】図2における折れ線IIは、抵抗31、抵抗3
2、抵抗33の抵抗値をそれぞれ、∞、5KΩ、 7.5KΩ
に設定して、上記式(2)におけるαがゼロになるよう
にしたときのセンサ流量特性を示している。この折れ線
IIに示されるように、直線性からの誤差が2%以下にな
っており、直線性が大きく改善されていることが判る。
【0023】ところで、第1コイルR1 、第2コイルR
2 の特性などセンサー構造に応じてα,βの値を変える
必要がある。このため、抵抗31として例えば 100KΩの
可変抵抗を用いて、調整可能に構成してもよい。
【0024】また、本発明は、センサ部2における抵抗
体として、自己加熱形の感熱コイルに代えて、傍熱形の
感熱コイルを設けてもよい。そして、センサ部の抵抗体
として、印刷加工されたチップ状の抵抗体を用いてもよ
い。さらに、2個の感熱コイルR1 , R2 の両方を導管
1に臨ませているが、一方のみ導管1に臨ませ、他方を
臨ませないようにしてこれをレファレンス側としてもよ
い。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、上流側に位置する抵抗体に対応する定温度制御回路
の出力をP1 、下流側に位置する抵抗体に対応する定温
度制御回路の出力をP2 とするとき、 (P1 −P2 )/(αP1 +βP2 )(但し、0≦α,
β≦1、α<β) なる式に基づいて、導管中の流体の質量流量を求めるよ
うにしているので、分母におけるP1 の比率が下がり、
2 の比率が上がって、分母全体が小さくなるから、流
量の増大と共に直線性が低下するといったことがなくな
る。
【0026】従って、流量にほぼ比例した出力を得るこ
とができ、直線性が改善され、特に、大流量域における
直線性が改善されるので、測定範囲が拡大されるといっ
た優れた効果を奏する。また、リニアライザなどを用い
る必要がなく、安価な質量流量計を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る質量流量計の一例を概略的に示す
図である。
【図2】センサ流量特性を示す図である。
【図3】定温度制御回路におけるP1 ,P2 の特性を示
す図である。
【符号の説明】
1…導管、F…流体、R1 , R2 …抵抗体、T1 , 2
…定温度制御回路、P1 ,P2 …定温度制御回路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体が流れる導管に、流体の温度に応じ
    て抵抗値が変化する2つの抵抗体を、上流側、下流側に
    互いに独立して設けると共に、これらの抵抗体をそれぞ
    れ含む2つの定温度制御回路を互いに独立して設け、こ
    れらの定温度制御回路によって前記両抵抗体の温度を常
    に相等しくかつ一定となるように制御するようにした質
    量流量計において、上流側に位置する抵抗体に対応する
    定温度制御回路の出力をP1 、下流側に位置する抵抗体
    に対応する定温度制御回路の出力をP2 とするとき、 (P1 −P2 )/(αP1 +βP2 )(但し、0≦α,
    β≦1、α<β) なる式に基づいて、前記導管中の流体の質量流量を求め
    るようにしたことを特徴とする質量流量計。
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