JP3067048B2 - 多層容器および包装体 - Google Patents

多層容器および包装体

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JP3067048B2 JP35731391A JP35731391A JP3067048B2 JP 3067048 B2 JP3067048 B2 JP 3067048B2 JP 35731391 A JP35731391 A JP 35731391A JP 35731391 A JP35731391 A JP 35731391A JP 3067048 B2 JP3067048 B2 JP 3067048B2
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  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂の層と特
定のポリエステルの層との積層体からなる多層容器およ
びこの容器に内容物を充填し、密封容器とし、続いてこ
れを熱水または蒸気滅菌した、保存性、熱成形性のすぐ
れた包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、とりわけポリエチレンテ
レフタレート(以下PETと略称することがある)は、
衛生性、保香性、加工性等のすぐれた性質を有している
ために、醤油、ソース等の調味料、ジュース、コーラ、
ラムネ等のソフトドリンク、生ビール、化粧品、医薬品
などの容器として広く利用されている。さらに上記のよ
うな性能に加えて、ガラスよりも軽量であること、適度
な耐圧力性、ガスバリヤー性を有することから、今後ガ
ラス瓶の代替としての一層の伸長が期待されている。し
かしながら、ガラス瓶代替として最も市場が大きいと予
想されるラガービール、ワイン等ではシェルフライフが
長くなること、また炭酸飲料等では容器の小型化により
内容量当たりの容器の表面積が増大することから、外部
からの酸素の侵入や炭酸ガスの散逸をさらに減少させる
ために容器のガスバリヤー性の向上が強く要望されてい
る。PET自体のガスバリヤー性の改良については、す
でにかなりのハイレベルにあること、また容器成形性能
や耐圧力性等の機械的性質を損なうことなく改良する必
要があることから、その実現はきわめて困難である。
【0003】従来PET容器のガスバリヤー性を改良す
る方法は種々提案されている。例えば、容器の内外層に
ポリ塩化ビニリデン等をコーティングする方法や、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体等を用いて2層〜9層
の多層構造とする方法等が提案されているが、これらの
方法は従来のポリエステルの成形設備にさらにコーティ
ングや多層容器とするための設備が必要となり工業上不
利であるばかりでなく、異種のポリマーを用いるために
多層容器の場合には層間剥離を起こしやすい点、さらに
は使用済みの容器の回収再利用や焼却等についても不都
合な点を有している。またあらかじめポリエステルとナ
イロン等の異種ポリマーをブレンドしたものから容器を
製造する方法も提案されている(特公昭53−3361
8号、特開昭56−64839号)。この場合、既存の
設備で容器の製造は可能であるが、容器の物性低下を伴
うことと、回収再利用の点から不利である。
【0004】また、プラスチック容器では、特に近年食
品流通形態として脚光を浴びているレトルト殺菌処理に
おけるような熱と水分が同時に作用する条件下では、上
記した従来のPET容器およびエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体を1層以上含む多層容器ではガスバリヤー
性の不足も指摘され、またポリ塩化ビニリデン系ポリマ
ーはさらに最近の地球問題の観点(リサイクル使用が出
来ない、焼却による分解物質が酸性雨の原因となる等)
からも好ましくない。
【0005】一方、光学的に異方性の溶融相を形成する
いわゆるサ−モトロピック液晶ポリマーをガスバリヤー
材として用いる方法も近年提案されている(特開昭61
−192762号、特開昭62−119265号、特開
昭62−187033号、特開昭64−45242号、
特開平1−288421号等)。また、Polym.P
repr.(Am.Chem.Soc.,Div.Po
lym.Chem.),30(1),3−4(198
9)には、40モル%のポリエチレンテレフタレ−トと
60モル%の4−アセトキシ安息香酸とから製造される
サ−モトロピック液晶ポリマーより得られる溶融押出し
フィルムの35℃での酸素ガス透過量は36ml・20
μm/m↑2・day・atmであることが報告されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提
案されているサーモトロピック液晶ポリマーを酸素バリ
ヤー用の成形体として用いる場合には多くの問題点を伴
うのが常である。すなわち、第1の問題点としては、従
来提案されているサーモトロピック液晶ポリマーから得
られる成形品は概して結晶化度が高く、力学的物性の異
方性が大であり、伸度が小であり実質的には延伸が不可
能である点である。このようなポリマーから酸素バリヤ
ー用の各種の成形体、例えば、フィルム、シート、ボト
ル、カップ、トレイ、袋等に成形加工することは非常に
困難である。第2の問題点としては、得られた成形体の
酸素バリヤー性が必ずしも充分に高いとはいい難い場合
がある点である。例えば、前述したポリエチレンテレフ
タレ−トと4−アセトキシ安息香酸とから製造されるサ
−モトロピック液晶ポリマーから得られるフィルムの酸
素ガス透過量は、前述したように36ml・20μm/
m↑2・day・atmであることが報告されているよ
うに、該ポリマーは必ずしも高性能の酸素バリヤー材と
は言えないレベルである。
【0007】特開昭61−89816号には、サ−モト
ロピック液晶ポリマーと熱可塑性ポリマーとからなる多
層シートおよび多層フィルムに関する提案があるが、そ
の目的とするところはもっぱら引張特性、特に引張強度
の向上といった多層体の高強度化であり、該サ−モトロ
ピック液晶ポリマーのガスバリヤー性、成形性、延伸性
に関する特性は開示されてなく、さらには該サ−モトロ
ピック液晶ポリマーを使用した容器および容器に内容物
を充填し、さらには熱と水分が同時に作用する条件下で
処理して得られる食品包装体という技術的思想も開示さ
れていない。特開平2−253950号には、サ−モト
ロピック液晶ポリマーと熱可塑性ポリマーとからなる多
層シートおよび多層フィルムおよびそれらの特にガスバ
リヤー性を利用した各種包装材やレトルト食品への利用
に関する提案があるが、延伸性に関する特性は開示され
てない。
【0008】特開昭62−68813号には、p−アセ
トキシ安息香酸と6−アセトキシ−2−ナフトエ酸との
アセトキシ芳香族カルボン酸混合物をポリエチレンテレ
フタレートまたはポリブチレンテレフタレートと反応さ
せることにより得られる共重合ポリエステルが開示され
ており、アセトキシ芳香族カルボン酸としてp−アセト
キシ安息香酸のみを用いた場合に較べて曲げ強度、曲げ
弾性率、および熱変形温度が改善されると記載されてい
る。しかしながら、かかる特許公報には、該共重合ポリ
エステルからなる容器あるいは該共重合ポリエステルか
らなる層を含む多層容器が記載されておらず、しかも、
該共重合ポリエステルが優れたガスバリヤー性、成形
性、延伸性、低温流動性などの優れた特性を有するか否
かについてさえも何ら開示されていない、更には該共重
合ポリエステルと熱可塑性樹脂の層との積層体から食品
包装用密封容器を得、続いてこれを熱と水分が同時に作
用する条件下で処理して得られる食品包装体という技術
的思想も開示されていない。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような状況に鑑み、
本発明者等は、従来のポリエステル容器が達成し得ない
優れたガスバリヤー性と成形加工性を兼ね備えたポリエ
ステル多層容器を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、本
発明を完成するに至った。すなわち本発明は、熱可塑性
樹脂を主体とする少なくとも1種の層と実質的に下記化
【0010】
【化5】
【0011】で表される構成単位(1)、下記化6
【0012】
【化6】
【0013】で表される構成単位(2)、下記化7
【0014】
【化7】
【0015】で表される構成単位(3)、下記化8
【0016】
【化8】
【0017】で示される構成単位(4)からなり、構成
単位(1)と構成単位(2)が実質的に等しいモル数で
存在し、構成単位(1)および構成単位(2)の合計量
が15〜90モル%、構成単位(3)および構成単位
(4)の合計量が10〜85モル%であり、構成単位
(3)および構成単位(4)の合計量に対する構成単位
(3)の割合が10モル%以上であるポリエステルの層
との積層体からなることを特徴とする多層容器、および
該多層容器に内容物を充填し、密封したあと熱水または
蒸気処理して得た包装体である。
【0018】尚、本明細書において用いられる用語「容
器」とは主として飲食品、医薬品等の包装用途に適する
成形物品を意味する。このような成形物品は本発明の多
層ポリエステルからなるシートおよびフィルム、さらに
はボトル、トレイ、カップ、袋等の有底容器も含む。
【0019】以下本発明を具体的に説明する。本発明で
用いるポリエステルの構成単位(1)は、テレフタル
酸、あるいはそのエステル形成性誘導体によって導入さ
れるようなテレフタロイル基である。構成単位(1)の
一部、好ましくは構成単位(1)の20モル%以下は、
他のジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体によ
って導入されうる構成単位に置き換えられていてもよ
い。テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例
えば、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタ
レンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられ
る。また得られるポリエステルが溶融成形可能である範
囲内の量であれば、構成単位(1)の一部をトリメリッ
ト酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体によって導入され
うる構成単位に置き換えることも可能である。
【0020】本発明で用いるポリエステルにおける構成
単位(2)とは、エチレングリコールにより導入される
ようなエチレンジオキシ基であるが、その一部、好まし
くは構成単位(2)の20モル%以下は、他のグリコー
ルにより導入されうる構成単位に置き換えられていても
よい。エチレングリコール以外のグリコールとしては、
例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジ
オール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,
5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、o−、m
−またはp−キシリレングリコールなどが挙げられる。
また得られるポリエステルが溶融成形可能である範囲内
の量であれば、構成単位(2)の一部を、グリセリン、
トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトールなどの多価アルコールによって導入
されうる構成単位に置き換えることも可能である。
【0021】本発明で用いるポリエステルにおける構成
単位(1)および構成単位(2)は、通常は主たる出発
物質としてテレフタル酸、またはそのエステル形成性誘
導体とエチレングリコールを用いる反応によって得られ
るポリエチレンテレフタレート系のポリエステルを原料
のひとつとして用いることによって本発明で用いるポリ
エステルの分子中に導入される。該ポリエチレンテレフ
タレート系ポリエステルは、従来ポリエチレンテレフタ
レートの製造に際して提案されている方法で製造するこ
とができる。例えば、ジカルボン酸とグリコールとをエ
ステル化反応したあと重縮合する方法、ジカルボン酸エ
ステルとグリコールとをエステル交換したあと重縮合す
る方法等によって得られる。本発明で使用するポリエス
テルを製造する際に原料ポリエステルとして使用される
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルの重合度に
関しては特に規定はないが、フェノール/テトラクロロ
エタン等重量混合溶媒中、30℃で測定した極限粘度が
0.01〜1.5dl/gのものを用いることが望まし
い。
【0022】構成単位(1)および構成単位(2)は、
それらの合計量においてポリエステル中15〜90モル
%の範囲内、好ましくは25〜85モル%の範囲内、よ
り好ましくは30〜80モル%の範囲内で存在する。
【0023】一方、本発明で用いるポリエステルにおけ
る構成単位(3)および構成単位(4)は、それぞれ6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形
成性誘導体により導入されるような6−オキシ−2−ナ
フトイル基およびp−ヒドロキシ安息香酸もしくはその
エステル形成性誘導体により導入されるような4−オキ
シベンゾイル基である。構成単位(3)および構成単位
(4)の一部、好ましくはそれらを合わせたものの10
モル%以下は、他のヒドロキシ芳香族カルボン酸または
そのエステル形成性誘導体により導入される構成単位に
置き換えられていてもよい。6−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸およびp−ヒドロキシ安息香酸以外のヒドロキシ
芳香族カルボン酸としては、例えば、m−ヒドロキシ安
息香酸、4−ヒドロキシ−3−クロロ安息香酸、4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシ
−3−メチル安息香酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ
酸、4−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ
−1−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0024】また、本発明で用いるポリエステルにおい
て、構成単位(3)および構成単位(4)の含有量の合
計は、ポリエステル中、10〜85モル%の範囲であ
り、好ましくは15〜75モル%、より好ましくは20
〜70モル%である。構成単位(3)および構成単位
(4)の含有量の合計が85モル%を越えると、生成す
るポリエステルの容器への成形性が著しく低下し、また
10モル%未満であると、得られる容器のガスバリヤー
性が大きく低下する。構成単位(3)および構成単位
(4)を合わせたもののうちの構成単位(3)の割合
は、生成するポリマ−の成形性、得られる容器のガスバ
リヤ−性の点から少なくとも10モル%であることが必
要である。
【0025】本発明で用いるポリエステルにおける構成
単位(3)および構成単位(4)は、通常対応するアシ
ルオキシカルボン酸を原料として用いることによりポリ
マー分子中に導入される。アシルオキシカルボン酸とし
ては、対応するヒドロキシカルボン酸と無水酢酸との反
応によって得られるようなアセトキシカルボン酸が好ま
しい。
【0026】本発明で用いるポリエステルは通常は、溶
融相において液晶を形成する(光学的異方性を示す)性
質を有する。溶融相におけるこのような光学的異方性の
確認は、当業者によく知られているように、加熱装置を
備えた偏光顕微鏡を用いて、直交ニコル下で試料の薄
片、好ましくは5〜20μm程度の薄片をカバーグラス
間にはさみ一定の昇温速度下で観察し、一定温度以上で
光を透過することを見ることにより行ない得る。尚、本
観察においては高温度下でカバーグラス間にはさんだ試
料に軽く圧力を加えるか、あるいはカバーグラスをずり
動かすことによってより確実に偏光の透過を観察し得
る。本観察において偏光の透過し始める温度が、光学的
に異方性の溶融相への転移温度である。溶融成形の容易
さの点から、この転移温度は300℃以下であることが
望ましい。
【0027】本発明で用いるポリエステルの製造は、例
えば、先ずポリエチレンテレフタレート系ポリエステル
を6−アシルオキシ−2−ナフトエ酸およびp−アシル
オキシ安息香酸でアシドリシスすることによってポリエ
ステルフラグメントを調製し、引き続いてこのポリエス
テルフラグメントの重合度を上昇させることによって目
的とするポリエステルを調製する方法で行なわれる。第
一段階のアシドリシスは、通常、例えば窒素、アルゴ
ン、二酸化炭素のような不活性ガス雰囲気下250〜3
00℃で行なわれる。
【0028】原料化合物として6−アシルオキシ−2−
ナフトエ酸およびp−アシルオキシ安息香酸の代わり
に、対応するヒドロキシカルボン酸(6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸およびp−ヒドロキシ安息香酸)をそれ
ぞれ用いることもできる。その場合には、該ヒドロキシ
カルボン酸と低級脂肪族酸無水物、好ましくは無水酢酸
を反応させ、実質的にすべてのヒドロキシル基をアシル
オキシ基、好ましくはアセトキシ基に変換(アシル化)
したのちに生成した対応するアシルエステルを単離する
ことなく所定の原料ポリエステルと反応させることによ
り本発明で用いるポリエステルが製造される。この場
合、原料ポリエステルは、6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のアシル化反応の前
後の任意の時期に系に加えることができる。この6−ヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸およびp−ヒドロキシ安息香
酸のアシル化反応段階では、6−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸の含有量が多い組成の場合、反応の進行に伴って
生成する6−アシルオキシ−2−ナフトエ酸が系内に析
出し、攪拌が困難になることがあるので、それを未然に
防止するために、目的とするアシル化反応に悪影響をお
よぼさず、かつ100℃〜200℃程度の沸点を有する
溶媒、特に好ましくは酢酸を系中に共存させておくこと
が望ましい。
【0029】6−アシルオキシ−2−ナフトエ酸および
p−アシルオキシ安息香酸と原料ポリエステルとのアシ
ドリシス反応の段階で酢酸などの低級脂肪族酸は理論留
出量の大半が系外に出る。次いで系中に残存するアシド
リシス反応の生成物から減圧下250〜350℃でさら
に低級脂肪族酸を脱離させて、所望の物品を成形するの
に好適な、好ましくは0.1dl/g以上の対数粘度に
まで重合度を増大させる。この場合、重合温度は反応速
度の点から270℃以上、また生成ポリエステルの分解
を抑制する点から350℃以下の温度であることが好ま
しいが、特に好ましくは270〜320℃である。この
重合段階においては減圧度を徐々に高め、最終的に1mm
Hg以下、好ましくは0.5mmHg以下にすることが望まし
い。またさらに分子量を高める方法として、業界周知の
固相重合法等を用いることも可能である。
【0030】本発明で用いるポリエステルの、ペンタフ
ルオロフェノール中、60℃で測定した対数粘度は、成
形品の力学強度の点から、0.1dl/g以上、好まし
くは0.3dl/g以上、より好ましくは0.5dl/
g以上であることが望ましい。また、対数粘度に臨界的
な上限値はないが、溶融重合の容易さ、成形性等の点か
ら3.0dl/g以下であることが好ましい。なお、本
発明で使用するポリエステルの構成単位(1)、
(2)、(3)および(4)の組成比に関しては、ポリ
マーを適当な溶媒に溶解させ、該溶液のNMRスペクト
ルを測定することにより決定され、通常仕込み原料組成
比と実質的に同一の組成を有するポリマーが得られる。
【0031】本発明の他の要件は、該ポリエステルの層
と熱可塑性樹脂を主体とする少なくとも1種の層との積
層体からなることである。該ポリエステルの層に熱可塑
性樹脂の相を積層することにより、ガスバリヤー性、耐
熱水性、耐レトルト性、さらには熱成形性に優れた包装
体を得ることができる。
【0032】熱可塑性樹脂を主体とする層を形成する樹
脂としては、ガラス転移温度(Tg)170℃以下の熱
可塑性樹脂が好適に使用される。そのうち特にTg15
0℃以下の熱可塑性樹脂が好ましい。なおここで、Tg
とはDSC(昇温速度10℃/分で測定)によって得ら
れる値である。疎水性樹脂、とくにポリオレフィン系樹
脂が代表的なものとしてあげられる。ポリオレフィン系
樹脂としては、高密度、中密度あるいは低密度のポリエ
チレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エス
テル、あるいはブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテンなどのα−オレフィン類を共重合したポリエチレ
ン、アイオノマー樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、
エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン、あるい
はエチレン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど
のα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン、ポリ
−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ある
いは上述のポリオレフィンに無水マレイン酸などを作用
させた変性ポリオレフィン、さらにはエチレン−ビニル
アルコール共重合体などを含んでいる。この中でポリプ
ロピレン(PP)類は本発明の目的に好適である。
【0033】さらに熱可塑性樹脂を主体とする層を形成
する樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、
ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフ
タレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタ
レート)などに代表されるポリエステル系樹脂やポリス
チレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体などのポリスチレン系樹脂またはポリ
カーボネート系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン6/12共重合体、ナイロン6/6,6共重合体な
どのポリアミド系樹脂があげられる。
【0034】さらに、熱可塑性樹脂を主体とする層を形
成する樹脂は上記樹脂を単独で用いてもまた2種類以上
配合して使用しても構わない。また成形性が損なわれな
い範囲でタルク、マイカ、クレー、セリサイト、ガラス
フレーク、炭酸カルシウム、ケイ酸、チタンなどの無機
フィラーを添加しても構わない。
【0035】また、上記した熱可塑性樹脂を主体とする
層を該ポリエステルからなる層に積層するにあたり、該
ポリエステルからなる層の内層または外層のどちらか1
層に積層されることが必須の要件であり、より好ましく
は内外層に積層されることである。とくに耐熱水性、耐
レトルト性を付与するためには内外層に積層されること
が効果的である。内外層に積層される場合、内外層を形
成する樹脂は同一でも良いし、異なっていても構わな
い。また、可塑剤、滑材、酸化防止剤、着色剤、紫外線
吸収剤などあるいは他のポリマーを本発明の作用効果が
損なわれない範囲で添加しても差し支えない。
【0036】本発明において上記熱可塑性樹脂を主体と
する少なくとも1種の層と該ポリエステルの層からなる
多層積層体および該多層積層体を使用した密封容器は従
来公知の方法で製造が可能であり、特に加熱延伸多層積
層体に好適に使用される。共押出法においては、各樹脂
層に対応する押出機で溶融混練後、T−ダイ、サーキュ
ラーダイなどの多層多重ダイスを通して所定の形状に押
出す。また、共射出法においては、各樹脂層に対応する
射出機で溶融混練後、金型中に射出し、多層の容器また
は容器用のプリフォームを製造する。ドライラミネート
法においては、本発明中のポリエステル樹脂を押出機で
溶融混練後、T−ダイ、サーキュラーダイなどの成形ダ
イより押出成形して得られたフィルム、シートと熱可塑
性樹脂を主体とするフィルム、シートとを積層すること
により多層積層体が製造される。積層にあたり、両フィ
ルム、シートは延伸されていても構わない。その他、サ
ンドラミネート法、押出ラミネート法により多層積層体
が製造される。共押出法において熱可塑性樹脂を主体と
する層には、本発明の多層容器を製造する際に発生する
スクラップを原料あるいは原料の一部として使用するこ
ともできる。また、スクラップを熱可塑性樹脂を主体と
する少なくとも1種の層と該ポリエステルの層とは独立
した層として使用することもできる。
【0037】本発明の多層容器の層を共押出法によって
作成する場合には、熱可塑性樹脂を主体とする少なくと
も1種の層と該ポリエステルの層の間に接着性樹脂の層
をはさんで積層する通常の方法が採用される。接着性樹
脂としては、実用段階でデラミネーションを起こさない
ものであればよく、特に限定はされないが、例えば、不
飽和カルボン酸またはその無水物をオレフイン系重合体
(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等
のポリオレフイン、オレフインを主体とする共重合体)
に化学的に(例えば付加反応、グラフト反応)結合させ
て得られる、カルボキシル基を含有する変性オレフイン
系重合体が挙げられる。具体的には無水マレイン酸グラ
フト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポ
リプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−
エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト
変性エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれた1種ま
たは2種の混合物が挙げられる。また、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル
基を有する重合性不飽和化合物、メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン基を有する重合性不飽和化合物な
ど、グリシジル基、アルコキシシラン基などの変性オレ
フイン系重合体が挙げられる。これらの官能基は複数組
み合わせてもよい。具体的にはグリシジル変性ポリエチ
レン、グリシジル変性ポリプロピレン、グリシジル変性
エチレンーアクリル酸エチル共重合体、グリシジル変性
エチレンー酢酸ビニル共重合体、アルコキシシラン変性
ポリエチレン、アルコキシシラン変性ポリプロピレン、
アルコキシシラン変性エチレンー酢酸ビニル共重合体か
ら選ばれた1種または2種の混合物が挙げられる。その
他、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカル
ボン酸を構成成分としたポリエステル系樹脂も接着性樹
脂として挙げられる。
【0038】ドライラミネート法を採用する場合は、ド
ライラミネート用接着剤としては層間接着力が充分であ
れば特に限定されるものではない。例えばポリウレタン
系、ポリエステル系のドライラミネート用接着剤が挙げ
られる。また、積層化にあたり、コロナ放電処理、スパ
ッタリング処理、高周波処理、火炎処理、クロム酸処
理、溶剤エッチング処理などや、これらを組み合わせた
表面処理を施しても構わない。
【0039】これらの方法により製造された該積層体は
シート、フィルム、パリソン、プリフォーム等の形をと
り、該積層体は真空圧空成形、二軸延伸ブロー成形など
により、所定の温度で再加熱し延伸操作を行う方法、あ
るいは該多層積層体(シート、フィルム)を二軸延伸機
に供し、加熱延伸操作を行う方法、さらには共射出法で
得たパリソン、プリフォームを延伸ブローする方法によ
り所定の形状の容器に形成される。
【0040】さらに本発明の多層容器に関しては、胴部
壁の全層の平均厚さは40〜2500μm、特に250
〜1500μmが好ましく、また全層厚さに対する該ポ
リエステル層の厚さ割合は特に制限はないが、0.2〜
50%、好ましくは1〜30%、特に好ましくは2〜2
0%である。
【0041】本発明の多層容器の層構成としては、熱可
塑性樹脂層をA、該ポリエステル層をBとするとき、A
/B、A/B/A、A/B/A/B、A/B/A/B/
Aなどが挙げられる。各層間層には前記した接着性樹脂
層、さらには本発明の多層容器の回収層を直接配置する
こともできる。
【0042】本発明において、加熱延伸多層積層体とは
前記したとおり、加熱延伸することにより得られるカッ
プ、ボトルなどの容器あるいはシート、フィルム状物で
あり、また加熱とは該多層積層体を加熱延伸に必要な温
度に所定時間放置し、該多層積層体が熱的にほぼ均一に
なる様な操作を意味し、操作性を考慮して、種々のヒー
ターで加熱、均一化する方法が好ましい。
【0043】加熱操作は、延伸と同時に行ってもよい
し、また延伸前に行ってもよい。また加熱操作とは、熱
的に均一に加熱された多層積層体をチャック、プラグ、
真空力、圧空力などによりカップ、ボトル、フィルム状
に均一に成形する操作を意味し、一軸延伸、同時二軸延
伸、逐次二軸延伸のいずれでも採用できる。
【0044】本発明中の該ポリエステルの延伸性につい
て述べる。該ポリエステルを従来公知の方法でT−ダ
イ、サーキュラーダイなどの成形ダイより押出成形して
得られたフィルム、シートは加熱延伸操作により、面積
で延伸前と比較し2倍以上、好ましくは4倍以上、より
好ましくは9倍以上に拡大されることが本発明を達成す
るために必須の要件である。ここで、延伸温度は該ポリ
エステルのガラス転移温度+10℃〜ガラス転移温度+
150℃あるいはガラス転移温度+10℃〜融点の範
囲、好ましくはガラス転移温度+30℃〜ガラス転移温
度+130℃あるいはガラス転移温度+30℃〜融点の
範囲であり、ガラス転移温度および融点は後述する方法
で熱分析により得られる値である。本発明中の該ポリエ
ステルから得られたフィルム、シートの延伸性が2倍未
満であると、本発明中の該ポリエステルの層と熱可塑性
樹脂を主体とする層からなる多層積層体から多層容器を
得ようとしても、該ポリエステルの層が破断し所望の容
器が得られない。
【0045】このように得られた本発明の多層容器に、
内容物、とくに食品を充填後、必要に応じ公知の手段で
内部を脱気状態にして、あるいは窒素ガス、炭酸ガスな
どの不活性ガスで内部を置換した後に熱シールなどの手
段で密封し、続いて、例えば100℃以下のいわゆるボ
イル処理あるいは100℃を超える温度条件下、とりわ
け105〜135℃で実施されるレトルト処理のような
熱水または蒸気(特に高温、高圧蒸気滅菌)で殺菌処理
され、本発明の包装体、とくに食品包装体が得られる。
ここでボイル殺菌処理あるいはレトルト殺菌処理として
は通常の熱水または蒸気加熱処理条件を採用することが
できる。またレトルト殺菌処理は回収式、置換式、シャ
ワー式、スプレー式等の各種方法が採用される。
【0046】本発明の多層容器がカップあるいはトレー
型の容器のとき、とりわけ優れた食品包装体が得られ
る。
【0047】充填される内容物としては食品が主にあげ
られる。ここで食品としては、そのまま喫食されるか、
喫食に先だって加温されるような調理済みまたは半調理
の食品が適している。次に殺菌食品類の例を示す。調理
済みカレー、調理済みハヤシ、ビーフシチュウ、ボルシ
チ、ミートソース、酢豚、すき焼き、中華あん、八宝
菜、肉じゃが、おでん、アスパラガスゆで煮、スイート
コーン、マッシュルーム、ツナクリーム煮、コンソメ、
ポタージュ等の各種スープ類、味噌汁、豚汁、けんちん
汁、米飯、釜飯、炒飯、ピラフ、粥類、スパゲッティ、
そば、うどん、ラーメン、ヌードル、釜飯の素、中華そ
ばの素などの添加用食品類、ゆであずき、ぜんざい、あ
んみつ、肉団子、ハンバーグ、ビーフステーキ、ロース
トポーク、ポークソテー、コンビーフ、ハム、ソーセー
ジ、焼魚、焼肉、焼鳥、ローストチキン、ポークケチャ
ップ、魚肉くんせい、ベーコン、かまぼこ、プリン、ゼ
リー、ようかん、各種ペットフード類などがあげられ
る。
【0048】以下実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれによって何ら限定を受けるもの
ではない。なお、部は重量部を意味している。
【0049】
【実施例】本実施例中の物性値の測定、成形性およびレ
トルトの評価は次の方法に従った。 (1)対数粘度(ηinh) ペンタフルオロフェノ−ル溶媒を用いて0.1g/dl
の濃度で60℃で測定した。 ηinh=ln(t1/t0)/c [式中、ηinhは対数粘度(dl/g)を表し、t0は溶
媒での流下時間(秒)を表し、t1は試料溶液での流下
時間(秒)を表し、cは溶液中の試料の濃度(0.1g
/dl)を表す。] (2)熱分析 示差走査熱量計(DSC;メトラー社製、TA−300
0型)を用いて、溶融状態から急冷した試料に対し、1
0℃/分の昇温速度にて融点(Tm)およびガラス転移
温度(Tg)を測定した。 (3)酸素透過量(OTR) ガス透過率測定装置(MODERN CONTOROL
S社製 OX−TRAN10/50A)を使用して20
℃、相対湿度0%、65%および100%の各の条件下
で、インフレーションフィルムについて測定した。単位
はcc・20μm/m↑2・day・atmである。 (4)延伸性 インフレーション製膜法により単層フィルムを製膜し、
このフィルムを(株)東洋精機製作所製二軸延伸装置を
用いて100〜200℃の温度で3×3倍(面積9倍)
の二軸延伸に付した。 (5)熱成形性 浅野研究所製の真空圧空成形機(絞り比1/1、丸底カ
ップ、ヒーター温度400℃)により、外観の黙視評価
を行った。 (6)レトルト試験 (5)で作成した容器を使用し、内容物としてコーンビ
ーフを充填した密封容器をテストサンプルとして、レト
ルト装置((株)日阪製作所製、高温高圧調理殺菌試験
機RCS−40RTGN)を使用し、120℃、60分
のレトルト処理を実施し、味覚の変化などの官能試験を
実施した。
【0050】実施例1 ポリエチレンテレフタレート、6−アセトキシ−2−ナ
フトエ酸およびp−アセトキシ安息香酸より以下に示す
方法により、構成単位(1)および構成単位(2)の合
計量が34モル%であり、構成単位(3)および構成単
位(4)の合計量が66モル%であるポリエステルを得
た。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン等重量
混合溶媒を用いて30℃で測定した極限粘度が0.65
dl/gのポリエチレンテレフタレート384g(2.
0モル)、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸1610g
(7.0モル)、およびp−アセトキシ安息香酸180
g(1.0モル)を、攪拌機、蒸留塔および窒素ガス吹
き込み口を備えた内容積8lの反応器に仕込み、反応系
内を3回窒素置換したのち窒素気流下280℃にて1時
間攪拌加熱し、その後徐々に系内を減圧にして約30mm
Hgで約2時間反応させた。本操作の結果、理論留出酢酸
量の約90%が留出した。次いで反応系内の真空度をさ
らに上昇させ、1mmHg以下で5時間反応させたのちポリ
マー(ポリマーA)を取り出した。
【0051】得られたポリマ−をトリフルオロ酢酸に溶
解させ、1H−NMRスペクトルを測定することにより
ポリマーの各構成単位の組成は仕込みの原料組成と実質
的に同一であることが確認された。また、得られたポリ
マ−は加熱装置を備えた偏光顕微鏡による観察の結果、
150℃付近から光を透過し始め、その後昇温に伴って
透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで昇温し
ても光学的に異方性の溶融相を形成したままであった。
また、本ポリマーを溶融状態から急冷した試料を10℃
/分の昇温速度でDSCで分析した結果、94℃にガラ
ス転移点が観測された以外、吸熱ピークはまったく観測
されなかった。
【0052】次に、スケールアップした設備で作成した
本ポリマー(1H−NMRスペクトルの測定からするこ
とによりポリマーの各構成単位の組成は上述のポリマー
A実質的に同一であることが確認された)を260℃で
加熱混練後、直径40mm、スリット幅0.6mmの円
形ダイより押出し、インフレーション製膜法により、厚
み約100μmのフィルムを得た。本フィルムを、
(株)東洋精機製作所製二軸延伸装置を用いて、温度1
70℃にて、3×3倍(面積9倍)の同時二軸延伸に付
した結果、厚み約10μmの厚さ均一なフィルムが得ら
れた。
【0053】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
フィルムの酸素透過量および延伸性の評価の結果を表1
および表2に示す。
【0054】また、上記インフレーション製膜法により
得た上述の厚み約100μmのフィルムを中間層に、内
外層に厚さ約300μmポリプロピレンシートを使用
し、ドライラミネートを実施し、3層の多層シートを得
た。ドライラミネート用接着剤としては二液型のウレタ
ン系接着剤{タケラックA−385(武田薬品工業
(株)製)を主剤に、タケネートA−10(武田薬品工
業(株)製)を硬化剤として}を使用した。接着剤の塗
布量は4.0g/m↑2であった。ラミネート後、40
℃、3日間養生を実施した。(株)浅野研究所製の真空
圧空成形機を使用してこの多層シートの熱成形を180
℃で実施し、底面が半径33mm、上部開口部が半径3
7mmの円形で高さが37mmのカップ型容器を得た。
カップはクラック、偏肉などの延伸むらもなく外観も良
好であった。
【0055】得られたカップに内容物としてコンビーフ
を充填し窒素ガスで置換後、アルミニウム箔/ポリプロ
ピレンのラミネートフィルムをふた材としてヒートシー
ルして密封容器とし、テストサンプル(1)を得た。ま
た、110ccのガラスびんにコンビーフを充填し、窒
素ガスで置換後アルミキャップで密封し、対照サンプル
(0)を準備した。上記サンプルをレトルト装置
((株)日阪製作所製、高温高圧調理殺菌試験機RCS
−40RTGN)を使用し、120℃、60分のレトル
ト処理を実施した。レトルト処理後サンプル(1)は特
に外観、形態に不良は認められなかった。このサンプル
(1)を20℃、65%RH中で、対照サンプル(0)
を冷蔵庫(5℃)に保存した。3ケ月後両者を開封し、
年齢、性別を無作為に選んだパネラー10人で評価した
ところ、10人中10人が味、色、臭いに変化を認め
ず、保存性良好であった。熱成形性およびレトルト試験
の結果を併せて表1および表2に示す。
【0056】実施例2〜6 実施例1に準じてポリエチレンテレフタレート、6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸およびp−アセトキシ安息香
酸を用いて、構成単位(1)および構成単位(2)の合
計量、構成単位(3)の量および構成単位(4)の量が
それぞれ表1に示す割合であるポリエステルを製造し
た。得られた本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
フィルムの酸素透過量、延伸性、熱成形性およびレトル
ト試験の結果を併せて表1および表2に示す。
【0057】比較例1 実施例1において6−アセトキシ−2−ナフトエ酸を用
いずにp−アセトキシ安息香酸を用い、構成単位(1)
および構成単位(2)の合計量と構成単位(4)の量と
のモル比を57:43にした以外は実施例1と同様にし
てポリエステルを得た。得られた本ポリマーの対数粘
度、DSC分析結果、フィルムの酸素透過量、延伸性、
熱成形性およびレトルト試験の結果を併せて表1および
表2に示す。
【0058】比較例2 実施例1で原料としてポリエチレンテレフタレートを使
用した。得られた本ポリマーの対数粘度、DSC分析結
果、フィルムの酸素透過量、延伸性、熱成形性およびレ
トルト試験の結果を併せて表1および表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】ガスバリヤー性、熱成形性、耐熱水性お
よび耐レトルト性が優れている。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−182319(JP,A) 特開 昭60−186526(JP,A) 特開 平3−176123(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B65D 65/40 B65D 1/00 - 1/48 C08G 63/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を主体とする少なくとも1
    種の層と実質的に下記化1 【化1】 で表される構成単位(1)、下記化2 【化2】 で表される構成単位(2)、下記化3 【化3】 で表される構成単位(3)、下記化4 【化4】 で示される構成単位(4)からなり、構成単位(1)と
    構成単位(2)が実質的に等しいモル数で存在し、構成
    単位(1)および構成単位(2)の合計量が15〜90
    モル%、構成単位(3)および構成単位(4)の合計量
    が10〜85モル%であり、構成単位(3)および構成
    単位(4)の合計量に対する構成単位(3)の割合が1
    0モル%以上であるポリエステルの層との積層体からな
    ることを特徴とする多層容器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の多層容器に内容物を充
    填し、密封したあと熱水または蒸気処理して得た包装
    体。
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US6426128B1 (en) 1998-01-06 2002-07-30 Hna Holdings, Inc. Co-processable multi-layer laminates for forming high strength, haze-free, transparent articles and methods of producing same

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