JP3067009B2 - ワイヤドット印字ヘッド及びその駆動方法 - Google Patents

ワイヤドット印字ヘッド及びその駆動方法

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JP3067009B2
JP3067009B2 JP28012394A JP28012394A JP3067009B2 JP 3067009 B2 JP3067009 B2 JP 3067009B2 JP 28012394 A JP28012394 A JP 28012394A JP 28012394 A JP28012394 A JP 28012394A JP 3067009 B2 JP3067009 B2 JP 3067009B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリアルプリンタ等に
搭載されるワイヤドット印字ヘッドとその駆動方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、印字ワイヤを印字面に衝突さ
せて印字を行うワイヤドット印字ヘッドは、その駆動方
式によりバネチャージ型とクラッパ型とに大別される。
図8は従来におけるバネチャージ型のワイヤドット印字
ヘッドの構造を示す半断面図である。図8において、3
1は印字媒体にドットを形成するための印字ワイヤ、3
2は先端に印字ワイヤ31が固着されたアーマチュア、
33は自由端にてアーマチュア32を揺動自在に支持す
るバイアス用板バネ、34は永久磁石、35はベースヨ
ーク36に固定されたコア35a及びコア35aに巻回
されたコイル35bからなる電磁石である。また、図中
37はベースヨーク36の下面側にシール部材38を介
して設けられたヘッド基板、39は印字動作時にアーマ
チュア32の回動支点となるバネ支持部材、40〜43
は磁気回路を形成するヨーク、44は印字ワイヤ31を
案内支持するワイヤガイド、45はワイヤガイド44を
保持するガイドフレームである。
【0003】上記構成からなるワイヤドット印字ヘッド
において、非印字時は、永久磁石34から発生する磁束
がヨーク42、43を通ってコア35aに流れ込むた
め、アーマチュア32がバイアス用板バネ33の弾性変
形によりコア35a側に吸引保持される。一方、印字に
際しては、ヘッド基板37に電気的に接続されたヘッド
駆動回路(不図示)が作動することにより、コイル35
aが所定の駆動時間をもって励磁される。これにより、
コア35aを通る永久磁石34の磁束が打ち消されるた
め、バイアス用板バネ33が吸引状態から解放される。
その結果、バイアス用板バネ33の弾性力をもってアー
マチュア32が印字方向Xに移動するとともに、アーマ
チュア32の先端に固着された印字ワイヤ31がワイヤ
ガイド44より突出し、図示せぬインクリボンを介して
印字媒体にドットを形成する。こうしてドット形成を行
って、再びアーマチュア32が永久磁石34の磁束によ
りコア35a側に吸引された時点で、1回の印字動作が
終了する。
【0004】ところで近年では、取り扱う情報量の増大
に伴い、印字ヘッドの高速化に対する要求が高まってい
る。印字ヘッドの高速化を図るには、単純にアーマチュ
アの固有振動数を上げることで可能であるが、これはア
ーマチュアの軽量化に大きく依存するため、信頼性、剛
性、ポテンシャル等を十分に満足したうえでの軽量化に
は限界がある。そこで考えられるのが印字要素の多数化
(多ピン化)、つまり一つの印字ヘッドに組み込まれる
印字要素(アーマチュア、コア、コイル等)の数を増や
すことである。現在のワイヤドット印字ヘッドでは、同
一平面上に24個の印字要素を円周上に並べた、いわゆ
る24ピンヘッドが主流となっているが、これを現状の
2倍、つまり48ピンにすることにより、同一印字行の
ドットを二つの印字要素で受け持つことが可能となり、
印字要素の固有振動数を変えずに印字ヘッド自体の印字
処理能力を2倍に向上させることができる。こうした印
字ヘッドの多ピン化は、同一平面上で実現することも理
論上は可能であるが、現実にはヘッド外径の制約等があ
るため、限られたスペースに多数の印字要素を平面的に
実装することはきわめて困難である。
【0005】そこで現状では、特公昭58−3836号
公報に開示されているように、例えば上述した24ピン
ヘッドを一つの印字ユニットとして構築し、これを複数
段(上記公報の場合は2段)に積層一体化した構造が知
られている。この積層型ヘッド構造を採用すれば、上述
のようなヘッド外径の拡大を招くことなく印字要素の多
ピン化を実現できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、こうした積
層型のワイヤドット印字ヘッドでは、ヘッド後段側(ヘ
ッド後端側)に積層された印字ユニットのワイヤ長がヘ
ッド前段側(ヘッド先端側)よりも長くなり、それに伴
ってヘッド後段側での可動体(印字ワイヤ、アーマチュ
ア、バイアス用板バネ等)の等価質量も重くなるため、
印字時においてはヘッド後段側の印字動作がヘッド前段
側よりも遅くなる。このように可動体の動作特性が各段
の印字ユニット間で異なる場合は、通常、印字動作の遅
い側つまりヘッド後段側に合わせてコイル等の駆動周期
を設定することになる。しかしながら、ヘッド前段側と
ヘッド後段側とで動作速度に著しい格差があると、図9
に示すように、ヘッド後段側ではワイヤ変位Lbがリバ
ウンドした直後に駆動電流Ibの供給が行われるため、
双方の同期がとれて安定した印字動作が得られるもの
の、ヘッド前段側ではワイヤ変位Laがリバウンドのピ
ークPを超えてから、つまりリバウンド後に印字方向X
と反対方向の速度ベクトルをもってから駆動電流Iaの
供給(コイル通電)が行われてしまうため、可動体の印
字動作に乱れが生じてドット抜けやリボン引っ掛け等の
不都合が起こる。
【0007】本発明は、上記不都合を解消するためにな
されたもので、その目的は、印字ユニットを複数段に積
層一体化したワイヤドット印字ヘッドにおいて、各段に
配設された可動体の印字動作の安定化を図ることにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたもので、先端にそれぞれ印字ワイ
ヤが固着された複数個のアーマチュアを揺動自在に支持
してなる可動体と、アーマチュアを印字方向に駆動する
駆動手段とを有する印字ユニットを複数段に積層一体化
し、駆動手段にてアーマチュアを揺動させることにより
各段の印字ワイヤをヘッド先端部から印字方向に突出さ
せて印字を行うワイヤドット印字ヘッドにおいて、ヘッ
ド前段側の印字ワイヤの突出量を、ヘッド後段側の印字
ワイヤの突出量よりも少なく設定した構成となってい
る。
【0009】
【作用】本発明のワイヤドット印字ヘッドにおいては、
ヘッド前段側の印字ワイヤの突出量を、ヘッド後段側の
印字ワイヤの突出量よりも少なく設定したことにより、
印字時にはヘッド後段側の印字ワイヤの可動ストローク
(印字ワイヤと印字媒体との離間距離)がヘッド前段側
よりも所定距離だけ短くなり、これによって各段におけ
る可動体の動作周期を一致させることが可能となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら詳細に説明する。図1は本発明に係わるワイヤド
ット印字ヘッドの一実施例を示す半断面図である。図1
に示すワイヤドット印字ヘッドにおいては、後述する可
動体や駆動手段を有する印字ユニットを複数段、例えば
図示のように2段に積層一体化したものであり、各段の
印字ユニットは以下のように構成されている。すなわ
ち、各段の印字ユニットにおいては、個々のドット位置
に対応して配置された印字ワイヤ1a,1bがアーマチ
ュア2a,2bの先端にそれぞれ固着され、さらにアー
マチュア2a,2bをバイアス用板バネ3a,3bによ
り揺動自在に支持することで可動体が構成されている。
バイアス用板バネ3a,3bの基端側には、ヨーク4a
〜7a、4b〜7bといったいずれも透磁性を有する環
状部材が一体的に積層されており、これら複数個の環状
部材によってヘッド本体が形成されている。また、それ
ぞれのヨーク6a−7a、6b−7b間には永久磁石8
a,8bが介装されている。
【0011】一方、アーマチュア2a,2bの下方に
は、コア9a,9bとこれに巻回されたコイル10a,
10bからなる電磁石11a,11bが配設されてお
り、これらの電磁石11a,11bは、印字時にアーマ
チュア2a,2bの回動支点となるバネ支持部材12
a,12bとともにベースヨーク13a,13b上に固
定されている。また、ベースヨーク13a,13bの下
面側にはシール部材(例えば絶縁性のゴムパッキン)1
4a,14bを介してヘッド基板15a,15bが取り
付けられている。
【0012】さらに、ヘッド前段側(ヘッド先端側)の
ヨーク4a上には印字ヘッド全体としてのノズル部分を
も構成するガイドフレーム16aが積層され、ヘッド後
段側(ヘッド後端側)のヨーク4b上にはヘッド前段側
との境界部分となるガイドフレーム16bが積層されて
いる。また、各々のガイドフレーム16a,16bの先
端部分には印字ワイヤ1a,1bを案内支持するワイヤ
ガイド17a,17bが取り付けられている。これに加
えて、ヘッド前段側のガイドフレーム16aとヘッド後
段側のガイドフレーム16bとの間には連結部材18が
介装されており、この連結部材18の上下端にそれぞれ
のガイドフレーム16a,16bが螺子止めされること
でヘッド前段側の印字ユニットとヘッド後段側の印字ユ
ニットとが一体的に積層されている。
【0013】ここで、ヘッド軸方向(図中一線鎖線で示
す)における連結部材18の長さは、ヘッド前段側の印
字ユニットとヘッド後段側の印字ユニットとを図示のご
とく積層一体化したときに、双方のユニット間に所定の
エアーギャップ(隙間)Gが確保されるように設定され
ている。また、ヘッド前段側の印字ユニットではヨーク
4aとガイドフレーム16aの間にスペーサ19aが介
装され、ヘッド後段側の印字ユニットでは連結部材18
とガイドフレーム16bの間にスペーサ19bが介装さ
れている。これらのスペーサ19a,19bは、ヘッド
先端部における印字ワイヤ1a,1bの突出量Va,V
bを調整するためのもので、個々のスペーサ19a,1
9bを抜き挿しすることによってヘッド先端部における
印字ワイヤ1a,1bの突出量Va,Vbをそれぞれ個
別に調整できるようになっている。
【0014】ところで、通常のワイヤドット印字ヘッド
の製造工程では、個々の部品精度や組立精度だけでワイ
ヤ先端の位置を精度良く設定することがきわめて困難で
あるため、各々の構成部品の組み立てが終了した段階で
印字ワイヤ1a,1bの先端を研磨仕上げし、ヘッド単
体でワイヤ先端の位置出しを行う。そこで本実施例で
は、ワイヤ先端研磨後に、スペーサ19a,19bの抜
き挿しを適宜行うことで、ヘッド前段側の印字ワイヤ1
aの位置とヘッド後段側の印字ワイヤ1bの位置を以下
のように設定した。
【0015】先ず、ヘッド前段側とヘッド後段側では、
当然のことながら夫々の印字ワイヤ1a,1bの長さが
大幅に異なる、つまりヘッド後段側の方がヘッド前段側
よりもワイヤ長が長くなるため、印字ワイヤ1bを含め
た可動体の等価質量もヘッド後段側の方が重くなる。そ
こで本実施例では、各段の可動体の等価質量に応じてヘ
ッド先端部における印字ワイヤ1a,1bの突出量V
a,Vbを設定するようにした。すなわち、ヘッド前段
側では可動体の等価質量がヘッド後段側よりも軽くなる
ため、印字ワイヤ1aが印字方向Xに変位を開始してか
ら再び元の位置に戻るまでの動作時間がヘッド後段側に
比べて短くなる。しかしながら、印字ワイヤ1a,1b
の可動範囲内であれば、印字ワイヤ1a,1bから印字
媒体までの離間距離を長くすると、その分だけワイヤ動
作時間を延ばすことができる。こうした事実を踏まえて
本実施例では、各段の可動体の動作周期(ワイヤ動作時
間)を一致させるべく、可動体の等価質量が軽いヘッド
前段側の印字ワイヤ1aの突出量Vaを、可動体の等価
質量が重いヘッド後段側の印字ワイヤ1bの突出量Vb
よりも少なく設定した(Va<Vb)。
【0016】このように各段の可動体の等価質量に応じ
てヘッド先端部における印字ワイヤ1a,1bの突出量
Va,Vbを設定することにより、実際に印字処理を行
う場合には、図2に示すように、ヘッド前段側の印字ワ
イヤ1aから印字面fまでの離間距離(印字ワイヤ1a
の可動ストローク)Saが、ヘッド後段側の印字ワイヤ
1bから印字面fまでの離間距離(印字ワイヤ1bの可
動ストローク)Sbよりも長くなる(Sa>Sb)。
【0017】ところで従来においては、動作速度の遅い
ヘッド後段側に合わせて各段の駆動周期を設定すると、
図3中の二点鎖線で示すように、印字ワイヤの変位がリ
バウンドのピークPを超えてから次の駆動電流Iaの供
給が行われてしまうため、ヘッド前段側では駆動信号と
ワイヤ変位の同期がとれず、印字動作に乱れが生じてい
た。しかしながら本実施例においては、各段の可動体の
等価質量に応じてヘッド先端部における印字ワイヤ1
a,1bの突出量Va,Vb(図1)が設定されている
ことから、図3に示すように、ヘッド前段側では印字ワ
イヤ1aの可動ストロークSaがヘッド後段側(Sb)
よりも長く設定されることになるため、印字ワイヤ1a
が印字面に衝突して元の位置に戻るまでの時間が従来に
比べて所定の時間(t)だけ長くなる。その結果、各段
の駆動周期をヘッド後段側に合わせて設定した場合であ
っても、ヘッド前段側とヘッド後段側での可動体の動作
周期(印字ワイヤ1a,1bが印字面に衝突して元の位
置に戻るまでの時間)を一致させて、それぞれ駆動電流
Ia,Ibとワイヤ変位La,Lbとを同期させること
が可能となるため、ヘッド前段側とヘッド後段側の双方
で安定した印字動作が得られるようになる。
【0018】なお、本実施例においては、ヘッド先端部
における印字ワイヤ1a,1bの突出量Va,Vbを調
整するための手段として、各段の印字ユニットにスペー
サ19a,19bを設けるようにしたが、これらのスペ
ーサ19a,19bの厚み寸法については、極端に薄く
するとその取り扱い上、抜き挿しといった作業が非常に
しずらくなるので、ヘッド前段側の印字ワイヤ1aとヘ
ッド後段側の印字ワイヤ1bの突出格差Δv(Vb−V
a)に対応して設定するのが好適である。ちなみに、本
実施例の場合には、上記突出格差Δvの設計値が0.0
2〜0.03mmであったので、スペーサ19a,19
bの厚み寸法も0.02〜0.03mmに設定した。
【0019】続いて、本発明に係わるワイヤドット印字
ヘッドの駆動方法について説明する。一般的に、印字デ
ータを印字する際には、直前に印字データが存在しない
単発印字データと直前に印字データが存在する連発印字
データとで可動体の動作時間に格差が生じる。すなわ
ち、単発印字データを印字する方が連発印字データを印
字するときよりも動作時間が長くなる。これは、連発印
字データの場合、直前に印字データが存在するため、そ
の直前の印字動作によってアーマチュアがコア等に衝突
した際の反発(リバウンド)を利用できるのに対し、単
発印字データの場合は、直前に印字データが存在しない
ことから、可動体が停止した状態から印字動作に移行す
るため、そこに可動体が動き出すまでの不動時間(コイ
ル通電等によって永久磁石の磁束を打ち消すために十分
な逆磁束が発生するまでの所要時間)が発生し、初期動
作に遅れが生じるためである。
【0020】したがって、ワイヤドット印字ヘッドの高
速化により駆動周期の設定が短くなった場合は、印字す
べきデータが単発印字データか連発印字データかにかか
わらず、同じ駆動タイミングをもってコイル等に駆動電
流を供給すると、以下のような不具合が生じる。すなわ
ち、図4(a)に示すように、連発印字データを印字し
た際には図中二点鎖線で示すようにワイヤ変位Lと駆動
電流Iの同期がとれて安定した印字動作が得られるもの
の、単発印字データを印字する際には初期動作の遅れに
よって可動体(ワイヤ変位L)が元の位置(コア面)に
復帰する前に次の駆動電流Iが供給されてしまい、可動
体の印字動作に乱れが生じる。そこで従来においては、
単発印字データを印字する場合のみ、図4(b)に示す
ように、コア等への通電タイミングを連発印字データの
場合よりもT1時間だけ早く設定し、印字動作の安定化
を図る方法が公知となっている。しかしながら、こうし
た従来方法は、あくまでも非積層型の印字ヘッド、つま
り一層構造の印字ヘッドに関して適用されるものであ
り、図1に示すような積層型の印字ヘッドでは以下のよ
うな不都合が生じる。
【0021】図5は積層型のワイヤドット印字ヘッドに
おける各段の正常動作可能限界を説明するもので、縦軸
に駆動周期をとり、横軸にワイヤ可動ストロークをとっ
て双方の関係をグラフ化したものである。図5におい
て、○印で示す曲線はヘッド後段側の駆動周期補正な
し、△印で示す曲線はヘッド後段側で駆動周期を10μ
sec補正、□印で示す曲線はヘッド前段側で駆動周期
補正なし、▽印で示す曲線はヘッド前段側で駆動周期を
50μsec補正、◇印で示す曲線はヘッド前段側で駆
動周期を10μsec補正した場合である。これらの関
係曲線から明らかなように、積層型の印字ヘッドの場
合、各段ともワイヤ可動ストロークが同じであるとする
と、ヘッド後段側ではヘッド前段側よりも駆動周期を長
くしないと安定した印字動作が得られない。しかしなが
ら、各段の駆動周期を統一しなければ、各段ともバラバ
ラの印字動作となり、印字ヘッドとしても正常に機能し
なくなってしまう。
【0022】そこで、上述した単発印字データを印字す
る際に、各段の駆動タイミングをヘッド前段側に合わせ
ていずれもT1時間だけ早く設定すると、図6(a)に
示すように、ヘッド前段側では駆動電流Iaとワイヤ変
位Laとの間に同期がとれて安定した印字動作が得られ
るものの、ヘッド後段側ではワイヤ長が長くなる分だけ
可動体の等価質量が重くなることから、印字動作に遅れ
が生じて駆動電流Ibとワイヤ変位Lbとの間に同期が
とれなくなり、結果的にはドッド抜けやリボン引っ掛け
等の不都合が発生することになる。
【0023】こうした不都合を解消すべく本実施例で
は、図7のフローチャートに示す処理手順をもって駆動
手段の駆動タイミングを設定するようにした。先ず、ス
テップS1にて図示せぬ上位装置から転送された印字デ
ータを受信すると、これに続くステップS2では、受信
した印字データをワイヤ配列変換することで、その印字
データがいずれの段の印字ワイヤにて印字されるデータ
であるかを判定する。次に、ステップS3では、上記ス
テップS1で受信した印字データがヘッド前段側の印字
ワイヤ1aにて印字されるデータであるか、それともヘ
ッド後段側の印字ワイヤ1bにて印字されるデータであ
るかを判定し、ヘッド前段側に該当する場合はステップ
S3からステップS4に進む。
【0024】ステップS4では、受信した印字データが
直前に印字データが存在しない単発印字データであるか
直前に印字データが存在する連発印字データであるかを
判定する。このとき、受信した印字データが連発印字デ
ータである場合はステップS4からステップS5に移行
し、そこで通常通りにコイル通電タイミングを設定す
る。逆に、受信した印字データが単発印字データである
場合はステップS4からステップS6に進み、そこで上
記通常のタイミングよりもT1時間だけ早くコイル(駆
動手段)の通電タイミング(駆動タイミング)を設定す
る。
【0025】一方、上記ステップS1で受信した印字デ
ータがヘッド後段側に該当する場合は、ステップS3か
らステップS7に移行し、そこで先程と同様に受信した
印字データが単発印字データであるか連発印字データで
あるかを判定する。このとき、受信した印字データが連
発印字データである場合はステップS7からステップS
8に移行し、そこで通常通りにコイル通電タイミングを
設定する。逆に、受信した印字データが単発印字データ
である場合はステップS7からステップS9に進み、そ
こで上記通常のタイミングよりもT2時間だけ早くコイ
ル(駆動手段)の通電タイミング(駆動タイミング)を
設定する。
【0026】ここで本実施例においては、連発印字デー
タを印字する場合、各段ともリバウンドを利用した印字
動作となることから、ヘッド前段側とヘッド後段側とで
可動体の動作速度に殆ど格差が生じないため、コイル通
電タイミングの設定に際しては、いずれも通常のタイミ
ングで設定するようにした。これに対して、単発印字デ
ータを印字する場合は、各段の可動体の等価質量に応じ
て動作速度に格差が生じるため、予め可動体の等価質量
の増加に伴うヘッド後段側での印字動作の遅れを見込ん
で、ヘッド後段側に該当する印字データについてはヘッ
ド前段側の補正時間T1よりも長いT2時間だけ早くコ
イル通電タイミングを設定するようにした。
【0027】これにより実際に単発印字データを印字す
る場合は、図6(b)に示すように、ヘッド前段側で通
常の通電タイミングよりもT1時間だけ早く駆動電流I
aが供給されるのに対し、ヘッド後段側では通常の通電
タイミングよりもT2(>T1)時間だけ早く駆動電流
Ibが供給されるようになるため、単発印字データと連
発印字データを印字する際の動作速度の格差を解消した
うえで、さらに単発印字データを印字する際のヘッド前
段側とヘッド後段側との動作速度の格差も解消すること
ができる。その結果、受信印字データが単発印字データ
であるか連発印字データであるかにかかわらず、ヘッド
前段側とヘッド後段側の双方でいずれも安定した印字動
作が得られるようになる。
【0028】なお、上記実施例においては、積層型のワ
イヤドット印字ヘッドとして、印字ユニットを二層に積
層したヘッド構造を例に挙げて説明したが、本発明はこ
れに限らず、印字ユニットを2層以上に積層したワイヤ
ドット印字ヘッドに対しても適用できる。また、ワイヤ
ドット印字ヘッドの種類としても、上記実施例で開示し
たバネチャージ式印字ヘッドに限らず、クラッパ式印字
ヘッドや圧電素子を駆動手段とした印字ヘッド等にも広
く適用できる。
【0029】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
ヘッド前段側の印字ワイヤの突出量を、ヘッド後段側の
印字ワイヤの突出量よりも少なく設定することで、印字
時の各段のワイヤ可動ストロークに適度な格差をもたせ
て、各段における可動体の動作周期を一致させることが
可能となる。その結果、ヘッド前段側とヘッド後段側の
いずれにおいても安定した印字動作が得られるようにな
り、ドット抜けやリボン引っ掛け、さらには印字ムラや
ワイヤ破損など、印字動作の乱れに起因した種々の不具
合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるワイヤドット印字ヘッドの一実
施例を示す半断面図である。
【図2】印字時におけるヘッド先端部の配置図である。
【図3】実施例における各段の動作特性を示す図であ
る。
【図4】印字データの違いによる動作特性の比較図であ
る。
【図5】駆動周期とワイヤ可動ストロークの関係図であ
る。
【図6】ヘッド駆動方法の違いによる各段の動作特性の
比較図である。
【図7】本発明に係わるワイヤドット印字ヘッドの駆動
方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】一般的なワイヤドット印字ヘッドの構造を示す
半断面図である。
【図9】従来の動作特性上の問題を説明する図である。
【符号の説明】
1a,1b 印字ワイヤ 2a,2b アーマチュア Va,Vb 印字ワイヤの突出量 X 印字方向 19a,19b スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/235 B41J 2/255 B41J 2/505 - 2/515

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端にそれぞれ印字ワイヤが固着された
    複数個のアーマチュアを揺動自在に支持してなる可動体
    と、前記アーマチュアを印字方向に駆動する駆動手段と
    を有する印字ユニットを複数段に積層一体化し、前記駆
    動手段にて前記アーマチュアを揺動させることにより各
    段の印字ワイヤをヘッド先端部から印字方向に突出させ
    て印字を行うワイヤドット印字ヘッドにおいて、 ヘッド前段側の印字ワイヤの突出量を、ヘッド後段側の
    印字ワイヤの突出量よりも少なく設定したことを特徴と
    するワイヤドット印字ヘッド。
  2. 【請求項2】 先端にそれぞれ印字ワイヤが固着された
    複数個のアーマチュアを揺動自在に支持してなる可動体
    と、前記アーマチュアを印字方向に駆動する駆動手段と
    を有する印字ユニットを複数段に積層一体化し、前記駆
    動手段にて前記アーマチュアを揺動させることにより各
    段の印字ワイヤをヘッド先端部から印字方向に突出させ
    て印字を行うワイヤドット印字ヘッドにおいて、 印字データを印字する際に、印字データが単発印字デー
    タでかつヘッド後段側に該当する場合は、印字データが
    単発印字データでかつヘッド前段側に該当する場合より
    も、前記駆動手段の駆動タイミングを早く設定し、印字
    データが連発印字データである場合は、前記駆動手段の
    駆動タイミングを早く設定することは行わないことを特
    徴とするワイヤドット印字ヘッドの駆動方法。
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