JP3065122B2 - 4輪駆動車のトルク配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車のトルク配分制御装置

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JP3065122B2
JP3065122B2 JP3141204A JP14120491A JP3065122B2 JP 3065122 B2 JP3065122 B2 JP 3065122B2 JP 3141204 A JP3141204 A JP 3141204A JP 14120491 A JP14120491 A JP 14120491A JP 3065122 B2 JP3065122 B2 JP 3065122B2
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  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、センターディファレン
シャルを備えたフルタイム式の4輪駆動車において、前
後G、横G等のパラメータにより常に一定のステア特性
を得るように前後輪と左右後輪のトルク配分を可変制御
するトルク配分制御装置に関し、詳しくは、このトルク
配分制御系において舵角や駆動力が小さい場合の補正対
策に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両においては駆動方式により
異なった特有の運動性能になることが知られている。こ
こで、センターディファレンシャルを備えたフルタイム
式4輪駆動車では、常に4輪を駆動することで、FR車
やFF車のようなスリップやスキッドが回避されて駆
動、制動、旋回の走行時の限界性能が向上する。また、
スロットルオン、オフ時の影響が同時に前、後輪に分散
して作用するので、アンダステアとオーバステアの傾向
が共に弱くなって両者の中間的な特性になるのであり、
このような利点から近年通常の車両においても、この種
の4輪駆動車が大幅に普及しつつある。また、このセン
ターディファレンシャルを備えた4輪駆動車において
は、前後輪や左右後輪のトルク配分が更に旋回性能や車
両挙動変化に対して影響を与え、これらのトルク配分を
適正化することで運動性能、動的安定性を一層向上する
ことが可能である。そこで、前後輪等のトルク配分を運
転、走行条件に応じて最適に可変制御することが研究開
発されている。
【0003】従来、上記センターディファレンシャルを
備えた4輪駆動車の前後輪のトルク配分制御に関して
は、例えば特開昭63−13824号公報の先行技術が
ある。ここで、センターディファレンシャルに対して油
圧式多板クラッチを、その差動制限トルクによりトルク
移動して前後輪のトルク配分を可変することが可能に構
成する。また、車両の旋回状態は横Gにより検出するこ
とが可能であり、この横Gの値が大きくなると、漸次タ
イヤのグリップ力が減少して限界状態に近付き車両のス
ピンやドリフトを生じるようになる。そこで、横Gの値
に応じて多板クラッチの差動制限トルクを設定し、前後
輪のトルク配分をスピンやドリフトを生じないように可
変制御することが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記先行技
術のものにあっては、横Gの値のみで旋回状態を判断す
る構成であるから、タイヤの横すべり角に対して横力が
比例的に変化する線形のグリップ領域に限定される。即
ち、低μ路においてタイヤのグリップ力が限界に達して
車両がスピン等を始める限界状態では、横力が非線形に
変化して実際の横Gの値は車両がスピンする挙動に基づ
いて任意に変化してしまい、旋回状態を正確に判断する
ことができなくなるからである。一方、限界状態のスピ
ン等を防止するには、非線形のスピン領域の車両の挙動
を正確に判断して前後輪のトルク配分を制御することが
必要になり、この点で先行技術のものでは不充分であ
る。
【0005】ここで、4輪駆動車のトルク配分制御は、
低μ路等のあらゆる路面、旋回中の加減速等の走行状態
において安定性、操縦性、旋回性等を向上するように制
御することが望まれる。このためには、常に車両のステ
ア特性が一定化するように制御することが考えられ、こ
の手段として車両の運動方程式、タイヤ特性等を非線形
領域まで拡張した制御原理を成立させ、前後G、横G、
路面μ及びステア特性の目標とするスタビリティファク
タのパラメータを用いてセンターディファレンシャル、
リヤディファレンシャルの差動制限トルクを算出して、
最適にトルク配分制御する方式が本件出願人により提案
されている。ところで、この制御原理は運動方程式等に
より算出されるものであるから、そのまま実車に適応す
ると好ましくない点があり、これらは適宜補正する必要
がある。
【0006】即ち、リヤディファレンシャルの差動制限
トルクは、旋回等の加速時にアンダステアを低減するよ
うに制御されるが、駆動力が小さい場合等の条件におい
ては、アンダステア方向のヨーモーメントを生じること
がある。また、センターディファレンシャルの差動制限
トルクは、加速時のアンダステアを低減し、減速時のタ
ックインを防止するように前後G、横Gの小さい領域で
は前輪寄りに制御されている。このため、低μ路の場合
は問題ないが、高μ路の舵角の小さい条件では、アクセ
ルのオン、オフ時に前輪トルクが変動してドライバに不
快な舵力変化が伝わる。また、この場合に差動制限トル
クが大きくなるため、内部循環トルク等により走行抵抗
を増大して燃費の低下を招く。従って、このような不具
合を回避するように補正することが望まれる。
【0007】本発明は、この点に鑑みてなされたもの
で、低μ路の非線形領域に及んで良好なステア特性を確
保するように、前後輪と左右後輪のトルク配分を可変制
御する方式において、舵角や駆動力の小さい領域におい
て適正に補正することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、前後G、横G、路面μ及び目標ステア特
性により、非線形域に拡張して一定のステア特性を得る
ように前後輪、左右後輪のトルク配分を可変制御する制
御系において、車速、前後G及び前後トルク配分比をパ
ラメータとしてヨーモーメントの発生方向を判定するヨ
ーモーメント発生方向判定手段と、緩加速の条件でアン
ダステア方向にヨーモーメントを生じる場合はリヤ差動
制限トルクを零に補正する補正手段とを備えるものであ
る。
【0009】
【作用】上記構成に基づき、4輪駆動での走行時に、前
後G、横G、路面μ、及び例えば旋回中の加減速時にス
テア特性を修正するように設定されるスタビリティファ
クタ等の目標ステア特性をパラメータとし、非線形域ま
で拡張した運動方程式を用いて、常に一定のステア特性
を得るように前後輪と左右後輪がトルク配分制御され
る。そしてこのとき、緩加速の条件でアンダステア方向
にヨーモーメントを生じる場合には、リヤ差動制限トル
クが零に制御されて左右後輪のトルク移動が阻止される
ことで、目標通りのステア特性を得ることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2において、センターディファレンシャルを備
えたフルタイム式4輪駆動車の駆動系の概略について説
明すると、符合1はエンジン、2はクラッチ、3は変速
機であり、変速機出力軸4がセンターディファレンシャ
ル20に入力している。センターディファレンシャル2
0から前方にフロント駆動軸5が、後方にリヤ駆動軸6
が出力し、フロント駆動軸5はフロントディファレンシ
ャル7、車軸8を介して左右の前輪9L,9Rに、リヤ
駆動軸6はプロペラ軸10、リヤディファレンシャル1
1、車軸12を介して左右の後輪13L,13Rにそれ
ぞれ連結して伝動構成される。
【0011】リヤディファレンシャル11はベベルギヤ
式であり、このリヤディファレンシャル11の例えばデ
フケース11aと一方のサイドギヤ11bとの間に、差
動制限装置として油圧多板式リヤクラッチ28がバイパ
スして付設されている。そして、リヤクラッチ28のリ
ヤ差動制限トルクTdが零の場合は左右後輪13L,1
3Rに等しくトルク配分し、所定のリヤ差動制限トルク
Tdを生じるとこのトルクTdの分だけ高速輪から低速
輪にトルク移動し、最も大きいリヤ差動制限トルクTd
でデフロックする場合は左右後輪13L,13Rにかか
る輪重Wと路面摩擦係数μとの積W・μに応じてトルク
配分するようになっている。
【0012】センターディファレンシャル20は複合プ
ラネタリギヤ式であり、変速機出力軸4と一体の第1サ
ンギヤ21、リヤ駆動軸6と一体の第2サンギヤ22、
及びこれらのサンギヤ21,22の周囲に複数個配置さ
れるピニオン23を有し、ピニオン23の第1ピニオン
ギヤ23aが第1サンギヤ21に、第2ピニオンギヤ2
3bが第2サンギヤ22にそれぞれ噛合っている。ま
た、変速機出力軸4にはリダクションのドライブギヤ2
5が回転自在に設けられ、このドライブギヤ25と一体
のキャリヤ24にピニオン23が軸支され、ドライブギ
ヤ25はフロント駆動軸5と一体のドリブンギヤ26に
噛合って構成される。これにより、第1サンギヤ21に
入力する変速動力を、キャリヤ24と第2サンギヤ22
とに、所定の基準トルク配分で分けて伝達し、旋回時の
前後輪の回転差をピニオン23の遊星回転により吸収す
るようになる。ここで、基準トルク配分は、2つのサン
ギヤ21,22と2つのピニオンギヤ23a,23bの
4つのギヤ噛合いピッチ円半径で自由に設定される。そ
こで、前輪トルクTFと後輪トルクTRの基準トルク配
分etを例えば、
【数1】 のように充分に後輪偏重に設定することが可能になる。
【0013】また、上記センターディファレンシャル2
0の直後方には油圧多板式センタークラッチ27が、ド
ラム27aをキャリヤ24に、ハブ27bを第2サンギ
ヤ22と一体的なリヤドライブ軸6に結合して同軸上に
配置される。そして、センタークラッチ27のセンター
差動制限トルクTcによりセンターディファレンシャル
20の差動を制限すると共に、後輪側から前輪側にトル
ク移動することが可能になっている。ここで、フロント
エンジンの搭載の場合は、車両の前輪重量WFと後輪重
量WRの静的重量配分ewが例えば、
【数2】 であり、センタークラッチ27による直結の場合は、前
後輪の路面摩擦係数μが等しいとすると、この重量配分
ewに応じて前輪偏重にトルク配分される。従って、セ
ンタークラッチ27のセンター差動制限トルクTcによ
り前後輪のトルク配分を、後輪偏重の基準トルク配分e
tと、前輪偏重の重量配分ewとの広い範囲で制御する
ことが可能になるのである。
【0014】次に、センタークラッチ27とリヤクラッ
チ28の油圧制御系について説明する。先ず、変速機が
自動変速機の場合は、その油圧制御系のオイルポンプ3
0の油圧をレギュレータ弁31で調圧したライン圧を利
用して構成される。そこで、センタークラッチ油圧制御
手段32はライン圧油路33と連通するクラッチ制御弁
34を有し、このクラッチ制御弁34が油路35を介し
てセンタークラッチ27に連通する。また、ライン圧油
路33はパイロット弁36及びオリフィス37を有する
油路38によりソレノイド弁40に連通し、ソレノイド
弁40によるデューティ圧が油路39を介してクラッチ
制御弁34の制御側に作用する。ソレノイド弁40は制
御ユニット50からの各走行条件に応じたデューティ信
号が入力すると、それにより油圧をドレンしてデューテ
ィ圧Pcを生じるものであり、このデューティ圧Pcに
応じてクラッチ制御弁34を動作し、センタークラッチ
27のセンター差動制限トルクTcを可変制御する。ま
た、リヤクラッチ油圧制御手段32’は同様に油路3
3,39’と連通したクラッチ制御弁34’、油路3
5’、ソレノイド弁40’を有し、ソレノイド弁40’
のデューティ圧Pdによりリヤクラッチ28のリヤ差動
制限トルクTdを可変制御するように構成されている。
【0015】図1において、前後輪トルク配分と左右後
輪トルク配分の電子制御系について説明する。先ず、基
本的制御原理について説明すると、高μ路での操安性、
低μ路で車両のスピンを防止して安定性を得るには、種
々の路面、走行状態において常に良好なステア特性、即
ちスタビリティファクタが一定となるようにトルク配分
制御する必要がある。ここで、4輪駆動での旋回中に加
速した場合は、前後の荷重移動により前輪タイヤのコー
ナリングパワと共に横力が減少し、逆に後輪タイヤでは
コーナリングパワと共に横力が増大することになり、こ
のため車両はアンダステアの強い挙動となる。一方、タ
イヤにおける駆動力と横力の関係は、路面μと荷重によ
り決まる摩擦円で設定され、駆動力を増すと横力が低下
してステア特性に影響を与える。従って、上述の場合に
は後輪の駆動力を増大してその横力を低下し、前後荷重
移動による後輪タイヤのコーナリングパワの増大をキャ
ンセルするように制御すれば良い。
【0016】一方、左右後輪の駆動力状態は車両に対し
てヨーモーメントを生じて、直接的にステア特性に影響
を与える。即ち、この場合は入力する駆動力の大きさに
より左右後輪駆動力の状態が異なり、駆動力が小さい場
合やエンジンブレーキが作用する場合は、外輪に制動力
が作用して内輪に駆動力が作用する状態になって、アン
ダステア方向のモーメントが加わる。また、駆動力が大
きい場合は、内外輪の接地荷重に応じた駆動力を生じる
ため、オーバステア方向のモーメントが加わる。従っ
て、走行状態により良好なステア特性を保つように、左
右後輪のトルク配分を制御すれば良い。
【0017】上記センターディファレンシャル制御を具
体的に実施するには、先ず加速時には目標ステア特性を
ニュートラルポイントを基準にしてアンダステアの弱い
方向に定め、逆に減速時には目標ステア特性をアンダス
テアの強い方向に定める。また、車両の運動方程式にお
いては、駆動力の影響を考慮して低μ路の非線形領域ま
で拡張し、定常円旋回での安定限界とスタビリティファ
クタの関係を定め、非線形性を考慮した等価コーナリン
グパワを設定する。一方、タイヤ非線形性の導入とし
て、横すべり角に対するコーナリングフォースの関係を
非線形近似し、タイヤで生じる前後力と横力について摩
擦円の概念を取り入れ、ここにおいて路面μ、前後トル
ク配分比、前後Gと横Gにより前後輪の等価コーナリン
グパワを求める。この場合に、路面μは実際のものの代
用として、前後Gと横Gの2乗和の平方根で算出した仮
想路面μで設定する。この仮想路面μは常に実際の値に
比べて小さいので安定側に制御されて都合が良く、低μ
路の限界域では実際の値に近付くことになる。
【0018】以上により、大きい前後Gと横Gを生じる
旋回加減速の運動を非線形域まで拡大してモデル化する
と、前後輪のコーナリングパワを運動方程式による所定
の式で示される等価コーナリングパワで置き換えて解析
できることが見出された。これにより、前後トルク配分
比を変化すると前後輪の等価コーナリングパワが変化し
て結果的に車両のステア特性が変化し、この非線形性を
考慮した等価コーナリングパワは前後G、横G及び仮想
路面μの関数になることが判明した。こうして、センタ
ーディファレンシャルにより制御される前後輪トルク配
分比αは、以下のような式により算出される。
【0019】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】 上記式において、Gx:前後G、Gy:横G、μ:仮想
路面、A:目標とするスタビリティファクタ、W:車体
重量、h:重心高、L:ホイールベース、Lf,Lr:
重心と車軸間距離、Kfo,Kro:等価コーナリング
パワ、Kfc,Krc:Kf,KrをWについて偏微分
したコーナリングパワの荷重依存性である。
【0020】次に、上リヤディファレンシャル制御を具
体的に実施する場合について説明すると、駆動力が小さ
い場合のアンダステア方向のモーメントM1は、アンダ
ステア方向を負とすると、以下のようにヨーレイトに比
例し、車速に反比例して算出される。
【0021】
【数8】 上記式において、Kx:タイヤのドライビング(ブレー
キ)スティフネス、d:トレッド、V:、車速、γ:車
両のヨーレイトである。
【0022】また、駆動力が大きい場合のオーバステア
方向のモーメントM2は、以下のように後輪への駆動
力、前後Gに比例して算出される。
【数9】 上記式において、Kφf,Kφr:ロール鋼性である。
【0023】従って、車両に働く全体のヨーモーメント
M3は、上記2つの式を加算したものになって、以下の
ようになる。
【数10】
【0024】そこで、このヨーモーメントM3を、非線
形域に拡大した定常円旋回の運動方程式に代入し、且つ
スタビリティファクタを用いて示し、更にリヤ差動制限
トルクに書き換える。これにより、リヤ差動制限トルク
Tdは、以下の式で算出される。
【数11】 上記式において更に、Rt:タイヤ有効径である。符号
は、Gx≧0のときプラス、Gx<0のときマイナスと
する。
【0025】そこで、上記基本的制御原理に基づき、入
力情報として、車両の前後加速度の前後Gを検出する前
後Gセンサ43、左右加速度の横Gを検出する横Gセン
サ44を有する。センターディファレンシャル20の入
力トルクを推定するため、エンジン回転数センサ45、
アクセル開度センサ46、ギヤ位置センサ47を有し、
更にABS制御ユニット48の信号が入力する。
【0026】制御ユニット50は前後Gと横Gとが入力
する仮想路面μ設定部51を有し、路面μの代用として
の仮想路面μを、前後Gと横Gの2乗和の平方根により
設定する。また、前後Gが入力する目標ステア特性設定
部52を有し、図3のマップによりニュートラルポイン
トを基準にして前後Gが大きい加速時には小さいスタビ
リティファクタA1に設定し、前後Gが負の減速時には
大きいスタビリティファクタA2に設定する。更に、エ
ンジン回転数N、アクセル開度φ、ギヤ位置Pが入力す
る入力トルク推定部53を有し、エンジン出力特性を参
照してエンジン回転数Nとアクセル開度φによりエンジ
ン出力Teを推定し、このエンジン出力Teにギヤ位置
Pのギヤ比gを乗算することでセンターディファレンシ
ャル入力トルクTiを算出する。
【0027】これらの前後G、横G、加減速時のスタビ
リティファクタA、仮想路面μは、目標前後トルク配分
比算出部54に入力し、上述の式(3)ないし(7)の
式を用いて前後トルク配分比αを算出する。この前後ト
ルク配分比α、センターディファレンシャル入力トルク
Tiはセンター差動制限トルク算出部55に入力して、
センター差動制限トルクTcを以下のように算出する。
即ち、前後トルク配分比αがRWDの0とFWDの1の
間で設定されており、基準トルク配分比Diが実施例の
ように後輪偏重で設定されている場合は、センター差動
制限トルクTcを、 Tc=(α−Di)Ti により算出する。ここで、計算値が負の場合には、セン
ター差動制限トルクTcの値を0とする。尚、基準トル
ク配分比Diが前輪偏重に設定される場合は、上述と逆
に減算すれば良い。そして、このトルク信号はデューテ
ィ比変換部56に入力して所定のデューティ比Dに変換
され、このデューティ信号がソレノイド弁40に出力さ
れる。また、前後G、横G、加減速時のスタビリティフ
ァクタA、仮想路面μはリヤ差動制限トルク算出部57
に入力し、上述の式(11)を用いてリヤ差動制限トル
クTdを算出するのであり、このトルク信号も同様にデ
ューティ比変換部58に入力して変換され、所定のデュ
ーティ信号がソレノイド弁40’に出力する。更に、A
BS制御ユニット48からの信号は各差動制限トルク算
出部55,57に入力し、ABS制御信号が入力すると
各差動制限トルクTc,Tdを強制的に0にするように
構成されている。
【0028】上記制御系において、さらに補正対策につ
いて説明すると、車速Vを検出する車速センサ60、ハ
ンドル操作時の舵角を検出する舵角センサ61を有す
る。また、制御ユニット50においては、車速V、前後
G、前後トルク配分比αが入力するヨーモーメント発生
方向判定部62を有する。ここで、ヨーモーメントM3
は、アンダステア方向を負として、上記パラメータ、車
両諸元により上述の式(10)の式で直接算出すること
ができる。このため、ヨーモーメント発生方向判定部6
2はヨーモーメントM3の値を算出し、その符号が正の
場合は内輪から外輪にトルク移動するオーバステア方向
を、負の場合は逆の外輪から内輪にトルク移動するアン
ダステア方向を判定する。そして、この判定信号はリヤ
差動制限トルク算出手段57の出力側の補正部63に入
力し、前後Gが正,すなわち加速状態で、かつアンダス
テア方向の場合にはリヤ差動制限トルクTdを零に定め
る。また、制御ユニット50は舵角が入力する小転舵判
定部64を有し、舵角が例えば±20度程度の直進領域
の場合に小転舵を判定する。この判定信号はセンター差
動制限トルク算出部55の出力側の補正部65に入力
し、小転舵の際はセンター差動制限トルクTcを所定の
割合で減少補正するようになっている。
【0029】次いで、この実施例の作用を説明する。先
ず、車両走行時にエンジン1の動力がクラッチ2を介し
て変速機3に入力し、変速動力がセンターディファレン
シャル20の第1サンギヤ21に入力する。ここで、セ
ンターディファレンシャル20の各歯車諸元により基準
トルク配分etが後輪偏重に設定されているため、この
トルク配分でキャリヤ24と第2サンギヤ22に分配し
て動力が出力される。このとき、センタークラッチ27
が解放されていると、上記基準トルク配分etで更に前
後輪側に動力伝達して,4輪駆動でありながらFR的な
動力性能になり、センターディファレンシャル20がフ
リーになって、前後輪の回転差を吸収しながら自由に旋
回することが可能になる。また、油圧制御手段32によ
りセンタークラッチ27にセンター差動制限トルクTc
を生じると、このトルクTcに応じて第2サンギヤ22
とキャリヤ24の間で更にバイパスしてトルク移動し、
後輪偏重から直結時の車重配分に応じた前輪偏重のトル
ク配分に可変制御されて、前輪または後輪のスリップ等
が防止され、且つセンターディファレンシャル20の差
動制限で有効に動力伝達して脱出、走破性、安定性等が
向上するようになる。
【0030】上記センターディファレンシャル20とセ
ンタークラッチ27によりトルク配分して後輪側に伝達
する動力はリヤディファレンシャル11に入力し、この
リヤディファレンシャル11とリヤクラッチ28により
更に左右後輪13L,13Rにトルク配分制御して伝達
される。即ち、リヤクラッチ28が解放すると、リヤデ
ィファレンシャル11がフリーになり、且つその歯車諸
元により等トルク配分される。また、油圧制御手段3
2’によりリヤクラッチ28にリヤ差動制限トルクTd
を生じると、リヤディファレンシャル11の差動制限で
グリップ車輪に有効に動力伝達され、且つリヤ差動制限
トルクTdに応じて高速輪から低速輪にトルク移動し、
デフロックの直結時は左右後輪13L,13Rの車重配
分に応じて不等トルク配分されるのである。
【0031】一方、上記4輪駆動での走行時には、各セ
ンサ信号が電子制御系の制御ユニット50に入力し、前
後Gと横Gにより仮想路面μが、前後Gに応じてスタビ
リティファクタAがそれぞれ設定され、これらにより前
後トルク配分比αが算出されて、更にこの前後トルク配
分比αと入力トルクTiによりセンター差動制限トルク
Tcが算出される。そして、センター差動制限トルクT
cに対応したデューティ信号が油圧制御手段32に出力
して、センタークラッチ27にそれと同一のセンター差
動制限トルクTcを生じるようにフィードフォワード制
御される。そこで、この場合の前後トルク配分の制御特
性を示すと、図4のようになる。
【0032】即ち、前後Gが正の加速域において横Gの
小さい直進走行では、前輪寄りにトルク配分されてFF
的な動力性能を発揮し、このとき高μ路で前後Gが大き
い加速走行では略等トルク配分になって、4輪により走
行性能、安定性が効果的に発揮される。また、旋回加速
時に横Gが順次大きくなると、それに応じて後輪寄りに
トルク配分されてFR的になり、このためアンダステア
が強くなることがキャンセルされ、ステア特性は良好な
一定の状態に確保される。更に、前後Gが小さい低μ路
の走行では、略等トルク配分または前輪寄りにトルク配
分され、スリップが防止される。前後Gが負の減速走行
では、常にFFまたは直結状態になり、エンジンブレー
キが有効に効き、アクセルオフ時のタックインが低減さ
れる。
【0033】一方、上記センターディファレンシャル制
御においては、舵角による実際の転舵状態に応じて更に
センター差動制限トルクTcが補正される。即ち、図4
の特性は、路面μの代用として前後Gと横Gを用いた仮
想路面μをパラメータとしており、このため高μ路で前
後G、横Gが共に小さい小転舵の条件では、仮想路面μ
が実際に比べて比較的大きく下回り、これに伴い前後G
が零の付近でセンター差動制限トルクTcが必要以上安
全側の大きい値に制御され、トルク変動が大きくなる。
そこで、小転舵の場合には加減速のセンター差動制限ト
ルクTcが図4の破線のように共に減少補正されて、上
述の仮想路面μによる不具合が修正される。このため、
小転舵で前後G、横Gの小さい直進緩加減速の走行で
は、センター差動制限トルクTcが低く抑えられ内部循
環トルク等は生じなくなる。また、アクセルオン、オフ
の際には、前輪へのトルク移動が少なくなって、その前
輪トルクの変動も低減される。
【0034】また、制御ユニット50では前後G、横
G、仮想路面μ、スタビリティファクタAにより直接リ
ヤ差動制限トルクTdが算出され、これによりリヤクラ
ッチ28が同様にフィードフォワード制御される。そし
て、この場合の左右後輪トルク配分の制御特性を示す
と、図5のようになる。即ち、前後Gの駆動力の増大に
応じてリヤ差動制限トルクTdが大きく制御されること
で、オーバステア方向のモーメントを生じてアンダステ
アが低減される。このとき、リヤ内輪の空転が防止され
てトラクション性能も向上することになる。前後Gの小
さい低μ路では、リヤ差動制限トルクTdが最小でリヤ
ディファレンシャル11が略フリーになり、左右後輪1
3L,13Rの同時スリップによる車両スピンが防止さ
れる。更に、減速時には減速度、横Gの増大に応じてリ
ヤ差動制限トルクTdが増大制御されるため、このトル
クに応じたアンダステア方向のモーメントを生じてタッ
クインが防止される。
【0035】一方、上記リヤディファレンシャル制御に
おいては、駆動力の状態、リヤ差動制限トルクTdによ
り車両にヨーモーメントM3を生じ、このヨーモーメン
トM3とその発生方向が、車速V、前後G、前後トルク
配分比αにより実際に算出して判定されている。そこ
で、式(10)により車速Vまたは前後Gが大きい場合
ではオーバステア方向になるが、低速で前後Gの小さい
緩加速の走行条件では式(8)の影響が大きくなり、こ
のとき外輪から内輪にトルク移動してアンダステア方向
になることがある。すると、この場合はリヤ差動制限ト
ルクTdが図5の破線のように零に補正されて上記トル
ク移動を生じなくなるのであり、こうして緩加速時であ
っても、目標通りのステア特性が得えられる。なお、前
後Gが負の減速時には、式(10)でヨーモーメントM
3が常に負のアンダステア方向になって、上述のタック
イン防止効果を促す。
【0036】以上、本発明の実施例について説明した
が、トルク配分制御の駆動系が他の方式の場合にも同様
に適応でき、制御系もこれのみに限定されない。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、前
後G、横G、路面μ、目標ステア特性をパラメータと
し、非線形領域まで拡張した車両運動方程式を用い、常
に目標ステア特性を実現するように制御する4輪駆動車
のトルク配分可変制御において、緩加速時にはアンダス
テア方向のヨーモーメントを生じないように補正される
ので、この走行条件での目標ステア特性の実現が容易に
なる。また小転舵の加減速の場合には不必要なセンター
差動制限トルクが抑制されるので、アクセルオン、オフ
時の前輪トルクの変動が低減して、ドライバに不快な舵
力変動を与えなくなる。また、この場合に内部循環トル
クが少なくなって、燃費が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の4輪駆動車のトルク配分制御装置の実
施例の電子制御系を示すブロック図である。
【図2】本発明が適応される4輪駆動車の駆動系と油圧
制御系の構成を示す構成図である。
【図3】目標ステア特性を示す図である。
【図4】本発明による前後輪トルク配分の制御特性を示
す図である。
【図5】本発明による左右後輪トルク配分の制御特性を
示す図である。
【符号の説明】
11 リヤディファレンシャル 20 センターディファレンシャル 27 センタークラッチ 28 リヤクラッチ 32,32’ 油圧制御手段 50 制御ユニット 60 車速センサ 61 舵角センサ 62 ヨーモーメント発生方向判定部 63,65 補正部 64 小転舵判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/348 - 17/35

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前後G、横G、路面μ及び目標ステア特
    性により、非線形域に拡張して一定のステア特性を得る
    ように前後輪、左右後輪のトルク配分を可変制御する制
    御系において、車速、前後G及び前後トルク配分比をパ
    ラメータとしてヨーモーメントの発生方向を判定するヨ
    ーモーメント発生方向判定手段と、緩加速の条件でアン
    ダステア方向にヨーモーメントを生じる場合はリヤ差動
    制限トルクを零に補正する補正手段とを備えることを特
    徴とする4輪駆動車のトルク配分制御装置。
  2. 【請求項2】 前後G、横G、路面μ及び目標ステア特
    性により、非線形域に拡張して一定のステア特性を得る
    ように前後輪、左右後輪のトルク配分を可変制御する制
    御系において、舵角により小転舵の操作を判定する小転
    舵判定手段と、小転舵の場合には加減速時のセンター差
    動制限トルクを減少補正する補正手段とを備えることを
    特徴とする4輪駆動車のトルク配分制御装置。
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