JP3064678U - シーリング材を充填してなる建築目地構造体 - Google Patents

シーリング材を充填してなる建築目地構造体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バックアッブ材を使用しなくても耐スリップ
性に優れ、光沢の適正な変成シリコーン系シーリング材
を充填してなる建築目地構造体を提供することを目的と
する。 【解決手段】目地に(A)珪素原子に結合した水酸基お
よび(または)加水分解性基を有し、シロキサン結合を
形成することにより架橋しうる珪素含有基を少なくとも
1個有するゴム系有機重合体、(B)スリップ防止剤、
(C)特定のガラスバルーンを含有してなる建築用変成
シリコーン系シーリング材を充填する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術】本考案は、建築物の内外装の部材間やジョイント部の目地 に充填し、風雨の侵入を防止する建築用変成シリコーン系シーリング材に関する 。
【0002】 不定形シーリング材は、JIS A 5758に規定されているが、通常、高粘 度のペースト状であり硬化剤を添加するなどの硬化手段を施してから、前述の目 地のシール部に充填し、所定時間の経過による硬化でシール部を密閉してこれら の水蜜性、気密性を保つものである。
【0003】
【従来の技術、考案が解決しようとする課題】この不定形建築用変成シリコーン 系シーリング材は、ペースト状に調整された一成分または、二成分で提供され、 これを建築物の目地に充填・施工し硬化させが、その際、ペースト状から半ゴム 状弾性体を経由してゴム状弾性体になり、シーリング効果を発揮する最終の硬化 状態に至る。しかし、その半ゴム状弾性体の段階でスリップを起こしやすい欠点 がある。
【0004】 スリップとはシーリング材の粘度が低い場合に起こるタレ(スランプ)とは異 なり、硬化の過程で目地壁との界面の接着力が小さくなって、目地壁との滑り抑 止力が小さくなり、目地下部のシーリング材の重量の大部分が上部に負荷される ために、上部シーリング材が破断し、そこから部分的にあるいは全体的に壁面を 滑り落ちる現象である。
【0005】 一般的には目地に不定形シーリング材を充填する際、予め帯状または丸棒状の バックアップ材と称する、非接着性のポリオレフィン系発泡体等を目地底に挿入 し、その上にシーリング材を充填施工する。バックアップ材挿入の目的は、シー リング材充填深さの調整、そして、壁材の膨張、収縮により強制されるシーリン グ材の伸び、収縮の応力を目地底の固定された3面で受けるのではなく両側面の 2面のみとし、伸縮をし易くして、シーリング材の亀裂発生を抑制することであ るが、近年建築物のデザイン上、目地構造上の制約で、バックアップ材を挿入で きない場所が増えてきている。
【0006】 このバックアップ材は摩擦性、緩衝性によってスリッブ抑制にも重要な役割を 果たしてきたが、このバックアップ材がない状態でもスリップを起こさないこと が要求されてきている。
【0007】 不定形変成シリコーン系シーリング材は、主材料の変性シリコーン樹脂、硬化 剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、空 乾性促進剤、染・顔料からなる組成物であり経済性に優れ、耐候性等の特性が、 ポリウレタン、ポリサルファイドなどの他の系より、総合的に優れるため近年ま すます多用されているが、前述の如く、スリップを起こし易い欠点がある。
【0008】 近年建築物の高層化に伴い垂直部の高さが高くなりそれだけ重量が加算される のでスリップは起こり易くなっている。また、同時に外壁構造上、デザイン上、 目地幅が広くなるケースが多く、その場合、目地の体積に対してこれを保持する 壁部分の面積が小さくなるため、スリップを起こし易い。 さらに、戸建住宅等の外壁材に急速に普及している窯業系サイディング等のよ うに、乾燥、吸水による伸縮率の大きい材料では、施工後の養生時の温度差、降 雨により目地幅が拡大しやすく、スリップが起こり易い。
【0009】 不定形建築シーリング材の施工は、シール部の清掃→バックアップ材の装填→ 表面のシーリング材付着による汚染防止のためのマスキングテープ貼り→プライ マー塗付→コーキングガンによるシーリング材の充填→シーリング材表面ヘラ仕 上げ→マスキングテープ除去→養生の過程を経るが、建築物の高層化、高意匠化 に伴い、目地形状が多様化し、各工程の作業時間が長くなる傾向がある。
【0010】 例えば、不定形シーリング材の充填から仕上げまでに充分な時間を取らねばな らなくなり、硬化時間が長くなる配合にしておかねばならないため、結果的に半 ゴム状弾性体での時間が長くなりスリップがし易くなる。 通常硬化反応は、各季節毎に調整された配合において、粘度が適正範囲にあり 充填可能な可使時間が2〜4時間、硬化時間が1〜3日以内であることが要望さ れている。 スリップ抑制のみを考慮すると可使時間を可能な限り短くした方が好ましいが 、施工現場からの要望とは合致しなくなる。
【0011】 不定形変成シリコーン系シーリング材の他の欠点として、硬化物の光沢が多く 、建築物の目地部分が目立ち外観を損ねやすいことがある。 すなわち、光沢が多すぎた場合、シーリング材表面の僅かな不具合、例えば気 泡の混入、それに伴う表面クレーター現象、仕上げ不良等があった場合目地部分 が目立つため、その不具合が明確になってしまう。 また、近年、艶消し塗装された外壁材が普及しており、その場合、光沢が多い と、意匠上好ましくない。
【0012】 本考案は、上記現状の不定形の変成シリコーン系シーリング材の欠点を鑑みな されたもので、スリップを起こし難く、光沢の適正なシーリング材を提供するこ とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本考案は、所定手段により硬化する(A)珪素原 子に結合した水酸基および(または)加水分解性基を有し、シロキサン結合を形 成することにより架橋しうる珪素含有基を少なくとも1個有するゴム系有機重合 体100重量部に対し、(B)スリップ防止剤0.01〜5重量部、を含んでな る不定形シーリング材において該シーリング材中に、平均粒子径35〜45μm 、カサ比重0.17g/cc以下、真比重0.200〜0.240g/ccのガ ラスバルーン1〜15重量部を混入したことを特徴とする建築用変成シリコーン 系シーリング材に関する。
【0014】
【考案の実施の形態】
ガラスバルーンは、シーリング材の比重を下げてスリップを抑制することと、 光沢を低減させる目的で用いる。 その中で、光沢低減のメカニズムは、シーリング材硬化物の表面粗さを適当に 大きくし乱反射を起こすことによる。 この機能は、ほぼ表面が平滑で透明な中空体であることに起因し、表面が平滑 でなく、不透明な凹凸な形状の炭酸カルシウム等の通常の充填剤では得ることが できない特性である。
【0015】 ガラスバルーンとしては、種々の材質、粒径、密度、カサ比重の異なるものが 提案されているがそのいずれでも良いのではなく、限定された仕様のものでなく てはならない。
【0016】 材質的には、低アルカリ性の例えば、ASTMD 3100の方法で測定した 場合、アルカリ度0.5ミリ当量/グラム以下のものから選択されなければなら ない。また、耐薬品性等の良好な化学的に安定なガラス組成であることが好まし い。その例としては、ホウ珪酸ソーダ石灰ガラス微粉末を火炎法により膨張させ たガラス中空体があげられる。
【0017】 平均粒子径は、25〜50μm、好ましくは35〜45μm、カサ比重0.2 0以下、好ましくは0.17以下、ASTMD 2840で測定される真比重は 0.100〜0.250g/cc、好ましくは、0.200〜0.240g/c cのものの中から選択する。 これら平均粒子径、カサ比重、真比重は、原料ガラス微粉末の粒径・微量添加 物・発泡時の温度等の製造方法に依存するが、そのガラスバルーンの製法上、粒 子径や肉厚は幅広い分布を持つので、平均的な数値に関しては、限定した材料の 中から選択しないと優れた製造作業性、耐スリップ性と適正な光沢は得られない 。具体的には、住友スリーエム(株)の「スコッチライト」グラスバブルスがあ る。
【0018】 平均粒子径が小さい場合、スリップ抑制の効果は優れているが、カサ比重が小 さくなり製造時、原材料としての保管スペースを多く必要とする他、秤量・混合 時に飛散浮遊しやすく、作業環境を著しく悪化させる。局所排気装置を設置した 場合でも、その寿命は著しく短くなる欠点がある。さらに、均一に混合するまで に多大な時間を要する欠点がある。 平均粒子径が大きすぎるとスリップ抑制の効果が減少すると共にシーリング材 としての表面外観を悪化させる。また、シーリング材としての必要特性、例えば JIS A 1439の引張接着性試験での伸びを低下させる。 ここで、伸びとしては、400%以上あることが好ましい。
【0019】 真比重が小さいものは中空体壁が薄くなるため、耐圧強度が低下し、製造時、 使用時の剪断応力によって破壊し、耐スリップ性、適正な光沢が得られないと同 時に、シーリング材の硬化物の伸び等の必要特性も低下する。 配合量としては、変性シリコーン樹脂100重量部に対し、1〜15重量部が 好ましい。少ないとスリップ防止効果、光沢抑制の効果が少なくなる。多すぎる と、引張特性試験での伸びが低下する。
【0020】 不定形シーリング材の主成分となる、(A)のゴム系有機重合体の例としては 、例えば主鎖が実質的にポリエーテルやアクリルなどの重合体に反応性シリコー ン官能基を導入した重合体があげられる。数平均分子量としては、3,000〜 30,000が好ましいがより好ましくは15、000〜20,000のもので 、一般に変性シリコーン樹脂と呼ばれるものである。 これらの具体例としては、既に工業的に生産されていて、「MSポリマー」( 鐘淵化学工業(株)製)、「エクセスター」(旭硝子(株)製)を利用できる。
【0021】 シーリング材として、優れた製造作業性、施工作業性、長期の耐久性等を確保 するためには、固有の機能を持つ材料を多く配合して用いなければならないが、 これら多くの材料の相溶性を補完し、配合物としての一体性を維持するとともに 、界面の接着力を保持することによりスリップ抑制の補佐をする、(B)に記し たスリップ防止剤が必要である。 その具体例としては、特殊シリコーン系および特殊フッ素系重合物のような一 種の界面活性機能をもつものの中から選択する。
【0022】 ところで、各配合材の相溶性は未硬化の状態から硬化の進行、架橋の進行につ れて、相溶性に加担していた官能基が減少するために、相溶性は悪くなり、系か らはじき出されたものが界面に析出してくる。たとえば、変成シリコーン系シー リング材の場合、変性シリコーン樹脂そのものの平均的組成からはずれる不純物 、低分子量物、硬化促進剤、硬化遅延剤、可塑剤、染・顔料、紫外線吸収剤等の 配合物などが析出してくる可能性がある。
【0023】 この相溶系を維持して、析出防止するためには、スリップ防止剤として、スリ ップを起こしやすい半ゴム状態で充分機能する材料から選定されねばならない。 具体的には、日本ユニカー(株)の「シルウェット」(シリコーン系界面活性 剤)、住友スリーエム(株)の「フロラード」(フッ素系界面活性剤)等がある 。配合量は、変性シリコーン樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が 好ましい。
【0024】 本考案の他の配合剤としては、硬化促進剤、硬化遅延剤、可塑剤、充填剤染・ 顔料、紫外線吸収剤、その他の添加剤を必要に応じて使用する。 充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリンなどの無機充填剤を建築 用シーリング材としてのペースト状適正なチキソトロピー性付与のために変性シ リコーン樹脂100重量部に対して150〜250部用いる。
【0025】
【実施例】以下に本考案の好適一実施例を添付図面と表に基づいて説明する。
【0026】
【図1】は本考案のシーリング材(1)を示したもので、(2)は不定形シー リング材であり、この不定形シーリング材(2)は通常の状態ではペースト状で あり、硬化剤を混合する等の硬化手段を施すことにより所定時間経過後に硬化す る。
【0027】 (3)は、このシーリング材(2)に混入されたガラスバルーンで、
【図2】 に示すように内部には中空部(3a)が形成されている。
【0028】 このように本考案のシーリング材(1)は中空部(3a)を有するガラスバル ーンを不定形シーリング材(2)に混入するのでシーリング材の軽量化が図れ、 シーリング材中のスリップ防止剤の効果との相乗効果でスリップ防止が可能とな る。
【0029】 第3図は、本考案に係るシーリング材(1)を使用したビルに外壁を示す図で あり、第4図は第3図のA−A’断面図を示す。
【0030】
【表1】
【表2】 本考案において用いたシーリング材の配合と特性試験結果を表1、表2に示す 。
【0031】
【表3】 表3中の試験方法を以下に示す。
【0032】 配合物の粘度: B8R型回転粘度計にて、7号ロータ、10rpmにおける粘度を測定し た。
【0033】 可使時間: 混合物の粘度が、倍になるまでの時間を可使時間として、測定した。
【0034】 硬化時間: JIS K 2207の針入度試験法により、針入度が50以下になるま での時間を硬化時間として、測定した。
【0035】 比重: JIS A 1439の比重測定法による。
【0036】 スリップ試験: ビル建築現場にて、三面ともアルミ建材の目地(目地幅30mm、目地深 さ15mm)にバックアップ材なしでシーリング材を充填して硬化するま での状態を観察した。試験は、快晴の日当たり面にて行った。 判定;○…良好、△…わずかにスリップ、×…スリップ大。
【0037】 光沢度試験: 携帯用光沢度計(ビックケミー・ジャパン(株)製)にて、入光角度60 °で測定。
【0038】 引張接着性試験: JIS A 1439 引張接着性試験に従い、50%伸長時の引張応力 、最大引張応力、破断時の伸びを測定する。
【0039】 耐候性試験: サンシャインウエザーメータ(スガ試験機(株)製)にて、所定時間照射 後の劣化状況を観察した。
【0040】
【考案の効果】
以上述べたごとく、本考案によれば。編成シリコーン系の建築用不定形シーリ ング材の中にガラスバルーンを混入するので、シーリング材が軽量化されるので これによりシーリング材のスリップの発生を抑制することができる。従って従来 適用が困難であった高層ビル、バックアップ材の挿入困難な目地を持つ建築物、 寸法変化の大きな建材を用いた建築物等の水密性、気密性を向上させることがで きるとともに、建築物の美観を向上させることができる。
【提出日】平成11年5月10日(1999.5.10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術】本考案は、風雨の侵入を防止するための特殊な建築用変成 シリコーン系シーリング材を充填してなる建築目地構造体に関する。
【0002】 建築用シーリング材は、JIS A 5758に規定されているが、通常、高粘 度のペースト状であり硬化剤を添加するなどの硬化手段を施してから、前述の目 地のシール部に充填し、所定時間の経過による硬化でシール部を密閉してこれら の水蜜性、気密性を保つものである。
【0003】
【従来の技術、考案が解決しようとする課題】建築用変成シリコーン系シーリン グ材は、ペースト状に調整された一成分または、二成分で提供され、これを建築 物の目地に充填・施工し硬化させるが、その際、ペースト状から半ゴム状弾性体 を経由してゴム状弾性体になり、シーリング効果を発揮する最終の硬化状態に至 る。しかし、その半ゴム状弾性体の段階でスリップを起こしやすい欠点がある。
【0004】 スリップとはシーリング材の粘度が低い場合に起こるタレ(スランプ)とは異 なり、硬化の過程で目地壁との界面の接着力が小さくなって、目地壁との滑り抑 止力が小さくなり、目地下部のシーリング材の重量の大部分が上部に負荷される ために、上部シーリング材が破断し、そこから部分的にあるいは全体的に壁面を 滑り落ちる現象である。
【0005】 一般的には目地にシーリング材を充填する際、予め帯状または丸棒状のバック アップ材と称する、非接着性のポリオレフィン系発泡体等を目地底に挿入し、そ の上にシーリング材を充填施工する。バックアップ材挿入の目的は、シーリング 材充填深さの調整、そして、壁材の膨張、収縮により強制されるシーリング材の 伸び、収縮の応力を目地底の固定された3面で受けるのではなく両側面の2面の みとし、伸縮をし易くして、シーリング材の亀裂発生を抑制することであるが、 近年建築物のデザイン上、目地構造上の制約で、バックアップ材を挿入できない 場所が増えてきている。
【0006】 このバックアップ材は摩擦性、緩衝性によってスリップ抑制にも重要な役割を 果たしてきたが、このバックアップ材がない状態でもスリップを起こさないこと が要求されてきている。
【0007】 建築用変成シリコーン系シーリング材は、主材料の変性シリコーン樹脂、硬化 剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、空 乾性促進剤、染・顔料からなる組成物であり経済性に優れ、耐候性等の特性が、 ポリウレタン、ポリサルファイドなどの他の系より、総合的に優れるため近年ま すます多用されているが、前述の如く、スリップを起こし易い欠点がある。
【0008】 近年建築物の高層化に伴い垂直部の高さが高くなりそれだけ重量が加算される のでスリップは起こり易くなっている。また、同時に外壁構造上、デザイン上、 目地幅が広くなるケースが多く、その場合、目地の体積に対してこれを保持する 壁部分の面積が小さくなるため、スリップを起こし易い。 さらに、戸建住宅等の外壁材に急速に普及している窯業系サイディング等のよ うに、乾燥、吸水による伸縮率の大きい材料では、施工後の養生時の温度差、降 雨により目地幅が拡大しやすく、スリップが起こり易い。
【0009】 建築用シーリング材の施工は、シール部の清掃→バックアップ材の装填→表面 のシーリング材付着による汚染防止のためのマスキングテープ貼り→プライマー 塗付→コーキングガンによるシーリング材の充填→シーリング材表面ヘラ仕上げ →マスキングテープ除去→養生の過程を経るが、建築物の高層化、高意匠化に伴 い、目地形状が多様化し、各工程の作業時間が長くなる傾向がある。
【0010】 例えば、シーリング材の充填から仕上げまでに充分な時間を取らねばならなく なり、硬化時間が長くなる配合にしておかねばならないため、結果的に半ゴム状 弾性体での時間が長くなりスリップがし易くなる。 通常硬化反応は、各季節毎に調整された配合において、粘度が適正範囲にあり 充填可能な可使時間が2〜4時間、硬化時間が1〜3日以内であることが要望さ れている。 スリップ抑制のみを考慮すると可使時間を可能な限り短くした方が好ましいが 、施工現場からの要望とは合致しなくなる。
【0011】 変成シリコーン系シーリング材の他の欠点として、硬化物の光沢が多く、建築 物の目地部分が目立ち、建築物全体の外観を損ねやすいことがある。 すなわち、光沢が多すぎた場合、シーリング材表面の僅かな不具合、例えば気 泡の混入、それに伴う表面クレーター現象、仕上げ不良等があった場合目地部分 が目立つため、その不具合が明確になってしまう。 また、近年、艶消し塗装された外壁材が普及しており、その場合、光沢が多い と、意匠上好ましくない。
【0012】 本考案は、上記現状の欠点に鑑み、なされたもので、スリップによる破断、欠 損部分がなく、しかも、光沢の適正なシーリング材を充填してなる建築目地構造 体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本考案の建築目地構造体には、(A)珪素原子に 結合した水酸基および(または)加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成す ることにより架橋しうる珪素含有基を少なくとも1個有するゴム系有機重合体1 00重量部に対し、(B)スリップ防止剤0.01〜5重量部、(C)平均粒子 径35〜45μm、カサ比重0.17g/cc以下、真比重0.200〜0.2 40g/ccのガラスバルーン1〜15重量部を含んでなる建築用変成シリコー ン系シーリング材を充填する。
【0014】
【考案の実施の形熊】 本考案のシーリング材に用いるガラスバルーンは、シーリング材の比重を下げ てスリップを抑制することと、光沢を低減させる目的で用いる。 その中で、光沢低減のメカニズムは、シーリング材硬化物の表面粗さを適当に 大きくし乱反射を起こすことによる。 この機能は、ほぼ表面が平滑で透明な中空体であることに起因し、表面が平滑 でなく、不透明な凹凸な形状の炭酸カルシウム等の通常の充填剤では得ることが できない特性である。
【0015】 ガラスバルーンとしては、種々の材質、粒径、密度、カサ比重の異なるものが 提案されているがそのいずれでも良いのではなく、限定された仕様のものでなく てはならない。
【0016】 材質的には、低アルカリ性の例えば、ASTMD 3100の方法で測定した 場合、アルカリ度0.5ミリ当量/グラム以下のものから選択されなければなら ない。また、耐薬品性等の良好な化学的に安定なガラス組成であることが好まし い。その例としては、ホウ珪酸ソーダ石灰ガラス微粉末を火炎法により膨張させ たガラス中空体があげられる。
【0017】 平均粒子径は、25〜50μm、好ましくは35〜45μm、カサ比重0.2 0以下、好ましくは0.17以下、ASTM D 2840で測定される真比重 は0.100〜0.250g/cc、好ましくは、0.200〜0.240g/ ccのものの中から選択する。 これら平均粒子径、カサ比重、真比重は、原料ガラス微粉末の粒径・微量添加 物・発泡時の温度等の製造方法に依存するが、そのガラスバルーンの製法上、粒 子径や肉厚は幅広い分布を持つので、平均的な数値に関しては、限定した材料の 中から選択しないと優れた製造作業性、耐スリップ性と適正な光沢は得られない 。具体的には、住友スリーエム(株)の「スコッチライト」グラスバブルスがあ る。
【0018】 平均粒子径が小さい場合、スリップ抑制の効果は優れているが、カサ比重が小 さくなり製造時、原材料としての保管スペースを多く必要とする他、秤量・混合 時に飛散浮遊しやすく、作業環境を著しく悪化させる。局所排気装置を設置した 場合でも、その寿命は著しく短くなる欠点がある。さらに、均一に混合するまで に多大な時間を要する欠点がある。 平均粒子径が大きすぎるとスリップ抑制の効果が減少すると共にシーリング材 としての表面外観を悪化させる。また、シーリング材としての必要特性、例えば JIS A 1439の引張接着性試験での伸びを低下させる。 ここで、伸びとしては、400%以上あることが好ましい。
【0019】 真比重が小さいものは中空体壁が薄くなるため、耐圧強度が低下し、製造時、 使用時の剪断応力によって破壊し、耐スリップ性、適正な光沢が得られないと同 時に、シーリング材の硬化物の伸び等の必要特性も低下する。 配合量としては、変性シリコーン樹脂100重量部に対し、1〜15重量部が 好ましい。少ないとスリップ防止効果、光沢抑制の効果が少なくなる。多すぎる と、引張特性試験での伸びが低下する。
【0020】 本考案に用いるシーリング材の主成分となる、(A)のゴム系有機重合体の例 としては、例えば主鎖が実質的にポリエーテルやアクリルなどの重合体に反応性 シリコーン官能基を導入した重合体があげられる。数平均分子量としては、3, 000〜30,000が好ましいが、より好ましくは15、000〜20,00 0のもので、一般に変性シリコーン樹脂と呼ばれるものである。 これらの具体例としては、既に工業的に生産されていて、「MSポリマー」( 鐘淵化学工業(株)製)、「エクセスター」(旭硝子(株)製)を利用できる。
【0021】 シーリング材として、優れた製造作業性、施工作業性、長期の耐久性等を確保 するためには、固有の機能を持つ材料を多く配合して用いなければならないが、 これら多くの材料の相溶性を補完し、配合物としての一体性を維持するとともに 、界面の接着力を保持することによりスリップ抑制の補佐をする、(B)に記し たスリップ防止剤が必要である。 その具体例としては、特殊シリコーン系および特殊フッ素系重合物のような一 種の界面活性機能をもつものの中から選択する。
【0022】 ところで、各配合材の相溶性は未硬化の状態から硬化の進行、架橋の進行につ れて、相溶性に加担していた官能基が減少するために、相溶性は悪くなり、系か らはじき出されたものが界面に析出してくる。たとえば、変成シリコーン系シー リング材の場合、変性シリコーン樹脂そのものの平均的組成からはずれる不純物 、低分子量物、硬化促進剤、硬化遅延剤、可塑剤、染・顔料、紫外線吸収剤等の 配合物などが析出してくる可能性がある。
【0023】 この相溶系を維持して、析出防止するためには、スリップ防止剤として、スリ ップを起こしやすい半ゴム状態で充分機能する材料から選定されねばならない。 具体的には、日本ユニカー(株)の「シルウェット」(シリコーン系界面活性 剤)、住友スリーエム(株)の「フロラード」(フッ素系界面活性剤)等がある 。配合量は、変性シリコーン樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が 好ましい。
【0024】 本考案に用いるシーリング材の他の配合剤としては、硬化促進剤、硬化遅延剤 、可塑剤、充填剤染・顔料、紫外線吸収剤、その他の添加剤を必要に応じて使用 する。 充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリンなどの無機充填剤を建築 用シーリング材としてのペースト状適正なチキソトロピー性付与のために変性シ リコーン樹脂100重量部に対して150〜250部用いる。
【0025】
【実施例】以下に本考案の実施例を添付図面と表に基づいて説明する。
【0026】
【図1】は本考案に用いるシーリング材(1)を示したもので、通常の状態で はペースト状であり、硬化剤を混合する等の硬化手段を施すことにより所定時間 経過後に硬化する。
【0027】 (2)は、このシーリング材(1)に混入されたガラスバルーンで、
【図2】 に示すように内部には中空部(2a)が形成されている。
【0028】 このように本考案に用いるシーリング材(1)には中空部(2a)を有するガ ラスバルーンが混入されているのでシーリング材の軽量化が図れ、シーリング材 中のスリップ防止剤の効果との相乗効果でスリップ防止が可能となる。
【0029】 第3図は、本考案に係るシーリング材(1)を使用したビルに外壁を示す図で あり、第4図は第3図のA−A’断面図を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】 本考案において用いたシーリング材の配合と特性試験結果を 表2に示す。
【0032】
【表3】 表3中の試験方法を以下に示す。
【0033】 配合物の粘度:B8R型回転粘度計にて、7号ロータ、10rpmにおける粘 度を測定した。
【0034】 可使時間: 混合物の粘度が、倍になるまでの時間を可使時間として、測定した。
【0035】 硬化時間:JIS K 2207の針入度試験法により、針入度が50以下に なるまでの時間を硬化時間として、測定した。
【0036】 比重:JIS A 1439の比重測定法による。
【0037】 スリップ試験: ビル建築現場にて、三面ともアルミ建材の目地(目地幅30mm、目地深 さ15mm)にバックアップ材なしでシーリング材を充填してなる建築目 地構造体についてシーリング材が硬化するまでの状態を観察した。試験は 、快晴の日当たり面にて行った。 判定;○…良好、△…わずかにスリップ、×…スリップ大。
【0038】 光沢度試験: 携帯用光沢度計(ビックケミー・ジャパン(株)製)にて、入光角度60 °で測定。
【0039】 引張接着性試験: JIS A 1439 引張接着性試験に従い、50%伸長時の引張応力 、最大引張応力、破断時の伸びを測定する。
【0040】 耐候性試験: サンシャインウエザーメータ(スガ試験機(株)製)にて、所定時間照射 後の劣化状況を観察した。
【0041】
【考案の効果】
以上述べたように、本考案に用いる変成シリコーン系シーリング材にはガラス バルーンを混入されているので、シーリング材が軽量化され、これによりシーリ ング材のスリップの発生を抑制することができる。従って、本考案の建築目地構 造体は従来適用が困難であった高層ビル、バックアップ材の挿入困難な目地を持 つ建築物、寸法変化の大きな建材を用いた建築物等に適用しても水密性、気密性 が優れているとともに、建築物全体の美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シーリング材平面図
【図2】ガラスバルーン断面図
【図3】本考案のシーリング材を用いたビル外壁部
【図4】A−A’断面図
【符号の説明】
1…本考案のシーリング材 2…不定形シーリング材 3…ガラスバルーン 、3a…ガラスバルーン内壁 4…外壁パネル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月10日(1999.5.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】シーリング材を充填してなる建築目地構
造体
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】シーリング材平面図
【図2】ガラスバルーン断面図
【図3】本考案の目地構造体をビル外壁部に適用した例
を示す。
【図4】A−A’断面図
【符号の説明】 1…本考案に使用するシーリング材 2…ガラスバルーン 、2a…ガラスバルーン内壁 3…外壁パネル
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定手段により硬化する(A)珪素原子
    に結合した水酸基および(または)加水分解性基を有
    し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる珪
    素含有基を少なくとも1個有するゴム系有機重合体10
    0重量部に対し、(B)スリップ防止剤0.01〜5重
    量部、を含んでなる不定形シーリング材において該シー
    リング材中に、平均粒子径35〜45μm、カサ比重
    0.17g/cc以下、真比重0.200〜0.240
    g/ccのガラスバルーンを1〜15重量部混入したこ
    とを特徴とする建築用変成シリコーン系シーリング材。
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