JP3064021B2 - 耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板の製造方法 - Google Patents
耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板の製造方法Info
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比)に優れた加工用熱延高強度鋼板の製造方法に関する
ものである。
安全性の確保、車体重量の軽減、燃費の向上を目的に高
強度鋼板(ハイテン)の需要が増加している。
成形工程を経て製品となるので、ハイテンの高い強度特
性とともに優れた冷間加工性が強く求められている。
をフェライト(α)相とマルテンサイト相の分散混合し
た複合組織(DualPhase)を形成せしめる方法
が行われている。
域の歪みは軟質のフェライト相で受持ち、他方高歪み領
域の強度は硬質マルテンサイト相(硬質第2相)から得
ている。その結果、降伏点が低く、強度−伸びバランス
が良好なハイテンを得ている。
び特公昭61−11291号公報による提案は、これ等
を提供するものである。
よる重量減を目的に、乗用車のホイールディスク等に使
用すると安定して高い耐久疲労性がえられず、前記した
ハイテンに更に必要な特性として、安定して高い耐久疲
労性が強く求められている。
面曲げによる疲労試験(繰返速度=3000cpm)の
疲労限度比=σW /σB 〔σB :引長強さ、σW :疲労
強度(疲れ限度、1×107 サイクル)〕が0.4〜
0.5で安定して、0.5を超えることはなかった。
ミクロ組織の種類と大きさの影響を受けるのに対し、従
来これ等のバランスを最良の状態に制御する技術がなか
ったことにあり、そのため安定して高いレベルの耐久疲
労性が得られなかったのである。
況に鑑み、疲労限度比=σW /σB が0.52以上の優
れた耐久疲労性を有するハイテンの製造方法の提供を課
題とするものである。
するために、 (1)重量%で C:0.05〜0.15% P:≦0.020% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010% Mn:0.5〜2.0% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を820
℃〜900℃の範囲で圧延後、30℃/sec以上の冷
却速度で760℃〜600℃の温度域迄冷却し、この温
度域で3秒〜15秒の間空冷又は保持した後、この温度
域から200℃以下の温度域迄30℃/sec以上の冷
却速度で冷却することを第1の手段とし、 (2)重量%で、 C:0.05〜0.15% P:≦0.020
% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010
% Mn:0.5〜2.0% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を117
0℃以下に加熱し、820℃〜900℃の範囲で圧延
後、30℃/sec以上の冷却温度で760℃〜600
℃の温度域迄冷却し、この温度域で3秒〜15秒の間空
冷又は保持した後、この温度域から200℃以下の温度
域まで30℃/sec以上の冷却速度で冷却することを
第2の手段とし、 (3)重量%で、 C:0.05〜0.15% P:≦0.020
% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010
% Mn:0.5〜2.0% Cr:0.01〜
0.30% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を820
℃〜900℃の範囲で圧延後、30℃/sec以上の冷
却速度で760℃〜600℃の温度域迄冷却し、この温
度域で3秒〜15秒の間空冷又は保持した後、この温度
域から200℃以下の温度域まで30℃/sec以上の
冷却速度で冷却することを第3の手段とし、 (4)重量%で、 C:0.05〜0.15% P:≦0.020
% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010
% Mn:0.5〜2.0% Cr:0.01〜
0.30% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を117
0℃以下に加熱し、820℃〜900℃の範囲で圧延
後、30℃/sec以上の冷却速度で760℃〜600
℃の温度域迄冷却し、この温度域で3秒〜15秒の間空
冷又は保持した後、この温度域から200℃以下の温度
域まで30℃/sec以上の冷却速度で冷却することを
第4の手段とし、 (5)重量%で、 Ca :0.0005〜0.0050% REM:0.005〜0・015% の何れか一方を含有することを第1乃至第4の手段に加
え、第5乃至第8の手段とするものである。
め下限を設け、溶接性、延性の劣化を防ぎ、第2相分率
の過大化を防止するため上限を設けている。
ナイトへCを濃化させ、炭化物生成を抑制して前記した
複合組織を得るため及び溶接性、延性の劣化を防ぎつつ
高強度化するため添加しており、その効果の飽和による
経済性から上限を設定している。
け、第2相分率の過大化と溶接性、延性への悪影響の防
止のため上限を設定している。
劣化防止から上限を設定している。
上限を設定している。
織化を促進するため下限を設け、経済性、C濃化に必要
なフェライト変態量の確保から上限を設定している。但
し、その作用をSiに託せる時はCrを添加しなくても
良く、Crの無添加は経済的にも有利である。また、複
合組織の生成効果を円滑に高め且つ安定させるには、S
iとCrの両者の複合添加を行う。
の向上から添加量の範囲を設定している。
るので、溶鋼の脱酸は必須で、この脱酸にはAlを使用
しており、その添加量は通常脱酸効果の確保のため下限
を0.005%程度、脱酸効果の飽和に基づく経済性か
ら上限は0.05%程度で、本発明でもAlは前記理由
から不可避的に添加している。
種々の実験・検討を繰り返した。
粗大フェライト粒とその表層下部に混粒層が存在する
か、フェライト及び第2相の結晶粒径が大きく、第2相
にベイナイトが混在することを見出した。該表層の状態
を第6図に模式的に示す。
層、3は整粒層、4は混粒深さを示す。 これに対し、
耐久疲労性が高い鋼板(本発明の課題を解消する鋼板)
は、最表層粗大フェライト粒1と混粒層2が存在せず、
整粒層3の粒径が細かく、第2相中にベイナイトを実質
的に含有しない(ベイナイト占積率<5%)鋼板であっ
た。
を開発するため、表1に示すA鋼を供試鋼として実験・
検討を重ね、図1乃至図4の関係を得ると共に、表1に
示すA〜F鋼を供試鋼として図5の関係を得た。
無と混粒層の深さを採り、横軸に圧延終了温度を採って
両者の関係をみたものである。
粗大フェライト粒、混粒が発生することが判明した。
フェライト粒の平均円相当径(平均粒径)dF (μm)
と第2相粒の平均円相当径(平均粒径)d2 (μm)と
20μm以上の第2相粒の有無を、横軸に圧延終了温度
を採って各々の関係をみたものである。
ト粒径、第2相粒径が粗大化し、900℃を超えると第
2相にベイナイトが混入し、20μmを超える粗大な第
2相が出現することを知見した。
温度をとって両者の関係を見たものである。
層粗大フェライト粒と混粒のため、高い疲労限度比が得
られず、900℃超では粒径が粗くなるため高い疲労限
度比が得られないことが判明した。
範囲では、表層に粗大フェライト粒と混粒がなく、且つ
整粒層の粒径が細かく、疲労限度比は優れた値を示すこ
とを知得した。
占積率、疲労限度比と巻取温度(冷却終了温度)の関係
をみたものである。
中にベイナイトが混入し、高い疲労限度比が得られない
ことが判明した。
限を割るとフェライト粒径及び第2相粒径が粗大化して
目標の疲労限度比が得られず、また空冷・保持温度域が
上記した上限・下限を外れるか、空冷・保持後の急速冷
却速度が上記した下限を割ると第2相にベイナイトが混
入して目標の疲労限度比が得られず、また、空冷・保持
時間が上記した上限を超えるとフェライト粒径及び第2
相粒径が粗大化して目標の疲労限度比が得られないこと
を知見した。
加工性の指標であるTS×Elに及ぼす影響を示す。
を促進する成分であり、疲労限度比を高めるが、その複
合組織化作用は両者の複合添加により更に高まり、疲労
限度比を一段と高めることが判明した。また、この複合
添加はTS×Elを高める作用を併せ持つことも判明し
た。
はないので装置能力に応じて設けて良いことが判明し
た。
の加熱温度が1170℃を超えると、ファヤライト(F
ayalite)つまり2FeO・SiO2の生成によ
るSiスケールにより表面性状の劣化が避けられないの
で、より高い疲労限度比を必要とするときは、加熱は鋼
片温度が1170℃以下になる加熱温度を用いるか、鋼
片温度を1170℃以上とした後上記Siスケールを溶
削除去すると良いことが判明した。
分・製造条件のみが、本発明の課題を達成する鋼板を作
り出すことを知見したのである。
す) (2)圧延条件 (表2に示す) (3)冷却条件 (表2に示す) (4)耐久疲労性 (表3に示す) (5)表層・表面状況 (表3に示す)
%含む。
む。
む。
共に示す。
った鋼番1,2は、表層に粗大フェライト粒径と混粒が
発生し、また比較例で圧延終了温度が本発明の上限を超
えた鋼番6は、フェライト粒径、第2相粒径が粗大化
し、更に第2相ベイナイトが混入し、20μmを超える
粗大な第2相が出現し、また、比較例で圧延後の、冷却
速度が本発明の下限に達しなかった鋼番7、空冷・保持
時間が本発明の上限を超えた鋼番9は共にフェライト粒
径及び第2相粒径が粗大化し、共に疲労限度比は目標の
0.52に達しなかった。
下限を割った鋼番8、空冷・保持温度域が本発明の上限
・下限を外れ、フェライトの生成不足のためベイナイト
の生成量が多くなり、またその粒径も大きくなった鋼番
11,12,また比較例で空冷・保持後の急速冷却の冷
却速度が本発明の下限を割った鋼番10,巻取温度(冷
却終了温度)が本発明の上限を超えた鋼番13,14は
第2相にベイナイトが混入し共に疲労限度比は目標の
0.52に達しなかった。
本発明例は、表層粗大フェライト粒及び表層混粒がな
く、フェライト粒径、第2相粒径、表面スケール性状は
良好な領域にあり、ベイナイトの第2相混入及び第2相
粒の粗大化がみられず、疲労限度比は目標の0.52以
上を示した。
1170℃を超え、鋼材の表面溶削を行わなかったもの
である。本例は表面スケール性状は求められているレベ
ルを示す「良好」であり、耐久疲労性は目標の0.52
を超えた。
SiとCrの相互関係を限定した加工用熱延高強度鋼を
820℃〜900℃の温度範囲で圧延後、所定の急冷、
続いて空冷又は保持後に再び急冷をする3段階冷却を行
うことにより、当業分野に所望されている疲労限度比が
0.52以上の優れた耐久疲労性を備えた加工用熱延高
強度鋼板を製造する方法を確立したものであって、得ら
れる疲労限度比は安定し、その鋼材の生産性は高く経済
性に優れているので、本鋼板の製造者、使用者共に得ら
れる効果は大きい。
と圧延終了温度の関係を示す図である。
20μm以上の粒の出現の有無と圧延終了温度の関係を
示す図である。
る。
関係を示す図である。
及ぼす関係を示す図である。
式的に示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.05〜0.15% P:≦0.020% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010% Mn:0.5〜2.0% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を820
℃〜900℃の範囲で圧延後、30℃/sec以上の冷
却速度で760℃〜600℃の温度域迄冷却し、この温
度域で3秒〜15秒の間空冷又は保持した後、この温度
域から200℃以下の温度域迄30℃/sec以上の冷
却速度で冷却することを特徴とする耐久疲労性に優れた
加工用熱延高強度鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.05〜0.15% P:≦0.020% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010% Mn:0.5〜2.0% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を117
0℃以下に加熱し、820℃〜900℃の範囲で圧延
後、30℃/sec以上の冷却速度で760℃〜600
℃の温度域迄冷却し、この温度域で3秒〜15秒の間空
冷又は保持した後、この温度域から200℃以下の温度
域迄30℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特
徴とする耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板の製
造方法。 - 【請求項3】 重量%で、 C:0.05〜0.15% P:≦0.020% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010% Mn:0.5〜2.0% Cr:0.01〜
0.30% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を820
℃〜900℃の範囲で圧延後、30℃/sec以上の冷
却速度で760℃〜600℃の温度域迄冷却し、この温
度域で3秒〜15秒の間空冷又は保持した後、この温度
域から200℃以下の温度域迄30℃/sec以上の冷
却速度で冷却することを特徴とする耐久疲労性に優れた
加工用熱延高強度鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 重量%で C:0.05〜0.15% P:≦0.020% Si:1.5%超〜2.0% S:≦0.010% Mn:0.5〜2.0% Cr:0.01〜
0.30% とAl、不可避的成分及び残部Feからなる鋼を117
0℃以下に加熱し、820℃〜900℃の範囲で圧延
後、30℃/sec以上の冷却速度で760℃〜600
℃の温度域迄冷却し、この温度域で3秒〜15秒の間空
冷又は保持した後、この温度域から200℃以下の温度
域迄、30℃/sec以上の冷却速度で冷却することを
特徴とする耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3011330A JP3064021B2 (ja) | 1991-01-31 | 1991-01-31 | 耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3011330A JP3064021B2 (ja) | 1991-01-31 | 1991-01-31 | 耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板の製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25945499A Division JP2000063986A (ja) | 1999-09-13 | 1999-09-13 | 耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH04246127A JPH04246127A (ja) | 1992-09-02 |
JP3064021B2 true JP3064021B2 (ja) | 2000-07-12 |
Family
ID=11775023
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP3011330A Expired - Lifetime JP3064021B2 (ja) | 1991-01-31 | 1991-01-31 | 耐久疲労性に優れた加工用熱延高強度鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3064021B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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ATE490349T1 (de) * | 1999-09-29 | 2010-12-15 | Jfe Steel Corp | Stahlblech und verfahren zu dessen herstellung |
US7615126B2 (en) | 2000-12-07 | 2009-11-10 | Nippon Steel Corporation | High strength hot rolled steel plate excellent in enlargeability and ductility and method for producing thereof |
-
1991
- 1991-01-31 JP JP3011330A patent/JP3064021B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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