JP3063489U

JP3063489U - 衣服

Info

Publication number: JP3063489U
Application number: JP1999002893U
Authority: JP
Inventors: 若恵藤田
Original assignee: 若恵藤田
Priority date: 1999-04-28
Filing date: 1999-04-28
Publication date: 1999-11-05
Anticipated expiration: 2005-04-28

Abstract

(57)【要約】【課題】介護者が着脱させやすく、かつ褥瘡を予防する
ことのできる衣服を提供する。【解決手段】衣服１の前身頃２は、前中心２ｃで左前身
頃２ａと右前身頃２ｂに、ボタン３によって着脱自在に
形成されている。左の前袖４の袖口４ａの袖山線４ｂと
袖下線４ｃのほぼ中央から、袖ぐり部４ｄを経て左前身
頃２ａの胸幅線２ｄの近傍を通るラインに沿って、前中
心２ｃまで連続して開閉部５が設けられている。この開
閉部５は、スナップ６で開閉自在に構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、パジャマ等の上着において着脱が容易な衣服に係り、特に介護を必要とする人に着脱させやすく、かつ褥瘡の予防に好適な衣服に関する。

【０００２】

【従来の技術】

寝たきり又は体が不自由なため介護を必要とする人(以下、「要介護者」という。)のために工夫された種々のパジャマが提案されている。例えば、図３に示す衣服１０は、左右の袖１４の袖口１４ａから袖下線１４ｂに沿って脇部を通過し、身頃１２の脇線１２ａに沿って裾１２ｂまで開閉部１５が形成されている。そして、この開閉部１５を展開した形で要介護者をその上に寝かせ、スナップ、ホック、又はスライドファスナー等の開閉手段１６により開閉部１５を閉じて着用させる。

【０００３】また、図４に示す衣服２０は、左右の袖２４の袖口２４ａから袖山線２４ｂ又はその近傍に沿って前身頃２２の襟ぐり２２ａまで開閉部２５が形成されている。そして、スナップ、ホック又はスライドファスナー等の開閉手段２６により着脱させる構成となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上述の衣服１０、２０は開閉部が多く、着脱時の開閉手段（スナップ等）が多数存在するため、着脱が煩雑なため介護者の負担が大きい。また、展開状態から着用させる場合に、どことどことを連接すべきか分かり難く、介護者が困ってしまうことが現状である。さらに、開閉部が多いため、製作も複雑となりコスト高になっている。

【０００５】また、従来の介護用パジャマ等の衣服は、脇線１２ａ、袖下線１４ｂ及び袖山線２４ｂ、又はそれらの近傍に沿って、開閉部１５、２５が設けられているため、着用者が横向きに寝たり、腕を下にして寝たりした場合に、開閉手段１６、２６であるスナップ等に体が接触する。このため、着用者は、スナップ等を体重で圧迫することにより痛みを感じるのみならず、褥瘡を生じる原因となっている。さらに、図４で示す衣服２０においては、検温、点滴等の処置を施す際に、腕等の目的の箇所（脇の下、腕の内側等）を露出させるために、比較的広範囲に渡って衣服を開く必要があり、手間がかかり、迅速に行うことができない。

【０００６】本考案は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、要介護者に容易に着脱させ易く、製作も容易で、かつ着心地がよく褥瘡の発生を予防可能なパジャマ等の衣服を提供することを目的とする。

【０００７】また、他の目的は、検温、点滴等の処置を容易かつ迅速に行うことのできるパジャマ等の衣服を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案のうち請求項１に記載の考案は、前身頃の前中心で着脱自在に分離して形成された衣服において、一方の前袖口の袖山線と袖下線のほぼ中央から袖ぐり部を経て前記前身頃の胸幅線又はその近傍に沿って前記前中心まで連続的に開閉部が形成され、この開閉部が、開閉手段により開閉自在に構成されていることを特徴とする。

【０００９】このように一方の前袖から前身頃にかけて開閉自在とした構成なので、開閉部が少ないため介護者の負担を軽減することができる。すなわち、体を自力で動かすことが困難な人、或いはギブス等で腕が固定されているような要介護者であっても、片腕を開閉されない側の袖に通してあげれば、後は他方の腕を開閉自在な袖に包み込むようにして容易に着用させることができる。また、脱衣させるときも、開閉自在な袖を開放し、下から他方の袖側を引っ張ることにより、寝たきりの状態でも容易に行うことができる。

【００１０】さらに、着用者が横向きに寝たり、腕を下にして寝る場合にも、開閉部が下側になることがないので、開閉手段を体重で圧迫することがなく、気持ちよく着用することができると共に、褥瘡の発生を予防することができる。また、開閉部が、検温、点滴等の処置を施す際に露出させるべき部分（脇の下、腕の内側）の近傍に設けられているため、これらの処置を容易かつ迅速に行うことができる。

【００１１】なお、「袖ぐり部」は、必ずしも袖部と身頃部に切り替えがあることを意味するものではない。すなわち、いわゆるキモノスリーブのような切り替えがない場合においては、袖ぐり近傍を指す意である。

【００１２】ここで、開閉部の開閉手段としては、スライドファスナー等の連続的に開閉可能なものを使用することもできるが、請求項２に記載のように、前記開閉手段を、非連続的に開閉可能な開閉手段とすることができる。

【００１３】ここで、非連続的に開閉可能な開閉手段とは、例えば、スナップ、ホック、ボタン、紐、マジックテープ等のように、開閉部の数カ所に分離して設けられる開閉手段をいう。なお、開閉手段としては、開閉が容易なスナップ、ホック、マジックテープが好ましい。

【００１４】このような構成としたことにより、検温、点滴等の処置を行う際に、目的の箇所近傍の数個の開閉手段を開閉するだけで、目的の身体部位を容易に露出させることができ、これらの処置をさらに迅速に行うことができる。なお、検温の際には、開閉部を開閉しないでも、袖ぐり部近傍の開閉手段間の隙間に体温計を通すことも可能である。

【００１５】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図１は、本考案の衣服を示す平面図であって、衣服１の前身頃２は、前中心２ｃで、左前身頃２ａと右前身頃２ｂに、開閉手段であるボタン３によって着脱自在に形成されている。

【００１６】左の前袖４の袖口４ａの袖山線４ｂと袖下線４ｃのほぼ中央から、袖ぐり部４ｄを経て、左前身頃２ａの胸幅線２ｄの近傍を通るラインに沿って、前中心２ｃまで連続して開閉部５が設けられている。この開閉部５は、複数個（本実施の形態では８個）の開閉手段であるスナップ６で開閉自在に形成されている。

【００１７】図２は、図１の衣服を前身頃２ａ、２ｂの前中心２ｃで開き、開閉部５を開いた状態を示す斜視図である。ここで、開閉手段６は、それぞれ雄スナップ６ａ、及び雌スナップ６ｂにより構成されている。

【００１８】例えば、寝たきりの人に衣服１を着用させる場合には、衣服１を図２に示すように開いた状態にして、要介護者の右腕に開閉部のない右袖７を通し、体の右側を下にして寝かせ、左腕を左袖で包み込むようにして、スナップ６（６ａ、６ｂ）を閉じ、前身頃２のボタン３を留めることにより、容易に着せることができる。脱衣させるときは、スナップ６及びボタン３をはずして解放状態にして、着用者の右側の下から右袖７の袖口７ａ及びそれに続く部分を引っ張って脱衣させる。

【００１９】衣服１を着用した状態で、検温、点滴等の処置を施す際には、露出させる必要のある身体部位近傍のスナップ６を数個はずすだけで、処置を容易かつ迅速に行うことができる。なお、検温のみであれば、袖ぐり部４ｄ近傍のスナップ６間の隙間５ｂから体温計を通して脇の下にさすことも可能である。

【００２０】本実施の形態の衣服１は、左の前袖４を開閉自在にしてあるが、必要に応じて、例えば右腕がギプスで固定されている人、或いは右腕に点滴を施す必要のある人の場合等は、右の袖を開閉自在に形成することができる。また、ネグリジェ様の丈の長い衣服に応用できることはいうまでもない。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案の衣服は、開閉部が左右どちらか一方にのみ設けられているので、開閉手段が少なくて済む。従って、介護者は、容易かつ迅速に衣服を着脱させることができ、従来のように煩雑でない。さらに、開閉部分が一カ所で開閉手段も少ないので、製作コストも安価にすることができると共に、市販の通常のパジャマ等を作り直して、本考案のパジャマとすることも容易にできる。このことは、市販の介護用パジャマが高価であり、柄等も限られたものであることに鑑みれば、要介護者の年齢や好み等に応じたパジャマを製作できるので、介護者、要介護者の双方にとっても好ましいことである。

【００２２】さらに、開閉部が、袖山線や袖下線から大きくずれているため、横向きに寝たり、腕を下にして寝た場合にも、開閉手段を体重で押圧することがない。このため、着用者が痛みを感じることがなく、褥瘡の発生を予防できるので、要介護者にとって着心地がよいばかりでなく、介護者の精神的及び肉体的負担を軽減することができる。

【００２３】また、開閉部が、検温、点滴等の処置を施す際に露出させるべき部分（脇の下、腕の内側）の近傍に設けられているため、これらの処置を容易かつ迅速に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施の形態を示す衣服の平面図であ
る。

【図２】図１の開閉状態を示す斜視図である。

【図３】従来の介護用パジャマの平面図である。

【図４】従来の介護用パジャマの平面図である。

【符号の説明】

１衣服２前身頃２ａ左前身頃２ｂ右前身頃２ｃ前中心２ｄ胸幅線３開閉手段４前袖４ａ前袖口４ｂ袖山線４ｃ袖下線４ｄ袖ぐり部５開閉部６開閉手段

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】前身頃の前中心で着脱自在に分離して形
成された衣服において、一方の前袖口の袖山線と袖下線
のほぼ中央から袖ぐり部を経て前記前身頃の胸幅線又は
その近傍に沿って前記前中心まで連続的に開閉部が形成
され、この開閉部が、開閉手段により開閉自在に構成さ
れていることを特徴とする衣服。
【請求項２】前記開閉手段が、非連続的に開閉可能な
開閉手段であることを特徴とする請求項１に記載の衣
服。