JP3063271B2 - コンバインの刈取部 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンバインの刈取部に
係るものである。

【０００２】

【従来技術】従来公知の、特公平１−５３００８号公報
には、左右側に所定の間隔を置いて並設された複数の分
草体と、該各分草体の後方に設けた分草穀稈を引起す引
起装置と、引起した穀稈の根部を切断する刈刃と、切断
された穀稈を後方に搬送する前側株元搬送装置および前
側穂先搬送装置とを有するコンバインの刈取部におい
て、前記前側株元搬送装置は、刈取部の下部左右方向伝
動横筒から立上がる伝動縦筒内の縦回転軸の上部突出部
に取付けていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記公知例の前側株元
搬送装置は、刈取部の下部左右方向伝動横筒から立上が
る伝動縦筒内の縦回転軸の上部突出部に取付けていたか
ら、集束側ではその伝動縦筒が邪魔をし、円滑に集束で
きなかった。即ち、左右側に所定の間隔を置いて並設さ
れた複数の分草体があり、各分草体の後方に設けた引起
装置で分草穀稈を引起し、引起した穀稈の根部を刈刃で
切断し、後方の脱穀装置で脱穀するコンバインは、切断
した穀稈を左右いずれか一方に集束して後方の脱穀装置
に搬送するが、この集束搬送のとき前記伝動縦筒が邪魔
をし、円滑に集束できなかったのである。

【０００４】

【発明の目的】本発明は、特に前側株元搬送装置および
前側穂先搬送装置の取付構造を工夫して、円滑に穀稈を
搬送できるようにしたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】よって本発明は、穀稈を
分草する複数の分草体１７と、該各分草体１７によって
分草した穀稈を引起す複数の引起装置１８、１８ａと、
該引起装置１８、１８ａによって引起した穀稈を刈取る
刈刃２１と、該刈刃２１によって刈取った穀稈の株元側
を挟持搬送する複数の前側株元搬送装置２２、２２ａお
よび穂先側を搬送する複数の前側穂先搬送装置２３、２
３ａとを有するコンバインの刈取部において、前記複数
の引起装置１８、１８ａを連動して駆動する上部横伝動
筒１３を引起装置１８、１８ａの上端より上方配置し、
前記複数の引起装置１８、１８ａを上部横伝動筒１３か
ら下向きに設けた上部縦伝動筒２７を介して駆動すると
共に、前記左右中間部の刈取り条に対応する前側穂先搬
送装置２３ａを前記上部縦伝動筒２７から下向きに設け
た下部縦伝動筒２８を介して駆動する一方、前記前側株
元搬送装置２２、２２ａのうち左右いずれか一方側は、
刈取部の下部左右方向伝動横筒１０から立上がる側部伝
動縦筒１１の上下中間位置から内側に突出さ せて設けた
突出伝動横筒３０の先端に設けた縦支持筒３１内に挿通
させた縦回転軸３８の下端部に取付け、該縦回転軸３８
の上端部には前記前側穂先搬送装置２３、２３ａのうち
左右いずれか一方側のものを取付けたコンバインの刈取
部としたものである。

【０００６】

【実施例】本発明の実施例を図により説明すると、１は
機体、２は該機体１の下方位置に設けた走行装置、３は
前記機体１の上方位置に設けた脱穀装置、４は操縦部、
５は刈取部である。該刈取部５は、機体１から前方に伸
びる上下回動自在の縦支持筒６の先端に刈取部フレーム
７を取付け、該刈取部フレーム７に種々の装置を取付け
た構造であり、前記縦支持筒６の基部は前記機体１に回
動自在に取付けられる。

【０００７】前記刈取部フレーム７は、図２、図３のよ
うに前記縦支持筒６の先端に取付けた左右方向の下部左
右方向伝動横筒１０と、該下部左右方向伝動横筒１０の
左右のいずれか一側に上方に起立するように設けた側部
伝動縦筒１１と、前記下部左右方向伝動横筒１０の左右
いずれか他側に上方に起立するように設けた伝動機構を
有しない側部支持フレーム１２と、前記側部伝動縦筒１
１および側部支持フレーム１２の上部を連結固定する左
右方向の上部伝動筒１３を有する。前記下部左右方向伝
動横筒１０には取付杆１４、１４の基部を固定し、該取
付杆１４、１４の先端には左右方向の刈刃フレーム１５
を固定し、該刈刃フレーム１５には複数の前後方向の分
草杆１６の基部を左右に所定の間隔を置いて固定してい
る。前記各分草杆１６（図３）の先端には分草体１７を
それぞれ固定する。

【０００８】前記刈取部５は、前記分草体１７の後方に
引起装置１８を設け、前記各引起装置１８の後方下部に
はラグ式掻込装置１９およびスターホイル２０をそれぞ
れ設け、前記スターホイル２０の下方には穀稈の根部を
切断する刈刃２１を設け、前記刈刃２１の上方には切断
された穀稈を後方に搬送する前側株元搬送装置２２を設
け、該前側株元搬送装置２２の上方には上下二段構成の
前側穂先搬送装置２３、２３を設け、前記各前側株元搬
送装置２２と前記各前側穂先搬送装置２３、２３の搬送
通路の後側には前記各前側株元搬送装置２２と前記各前
側穂先搬送装置２３とにより搬送された穀稈を、合流点
Ａ以降に設けた株元引継搬送装置２４と穂先引継搬送装
置２５にまで搬送する株元集合装置２６を設けて構成し
ている。

【０００９】前記各引起装置１８は前記上部伝動筒１３
より垂下する下向き伝動筒２７の下部に取付けるが、前
記下向き伝動筒２７のうち、左右側に位置する下向き伝
動筒２７は図２のように直線筒状に形成し、中間の下向
き伝動筒２７のうち機体左側のものは逆Ｔ型下向き伝動
筒２７ａに形成し（図２）、右側のものは左側に足すこ
とにより逆Ｔ型下向き伝動筒２７ａと同じ構造となるよ
うにクランク型下向き伝動筒２７ｂに形成し、各下向き
伝動筒２７ａ、２７ｂの下部に３個の中間引起装置１８
ａ、１８ａ、１８ａをそれぞれ取付ける。また、前記各
引起装置１８の下部は前記分草杆１６を利用してこれに
固定する。なお、図３においては６条刈であり、逆Ｔ型
下向き伝動筒２７ａを並設している。

【００１０】また、図２において前記逆Ｔ型下向き伝動
筒２７ａの右寄りには、逆Ｔ型下向き伝動筒２７ａより
下方に伸びる縦支持筒２８の上部を固定し、該縦支持筒
２８の上部および下中間部に前記前側穂先搬送装置２
３、２３のうち中間前側穂先搬送装置２３ａ、２３ａを
取付け、縦支持筒２８の下部には前記前側株元搬送装置
２２のうち中央の進行路より進入する中間前側株元搬送
装置２２ａを取付ける。前記クランク型下向き伝動筒２
７ｂにも、下方に伸びる縦支持筒２８の上部を固定し、
該縦支持筒２８の下部に前記前側穂先搬送装置２３、２
３のうち右２列の進行路より進入する下部の搬送をする
右前側穂先搬送装置２３、２３を取付ける。また、前記
下部左右方向伝動横筒１０の右端には上向き取付筒２９
の下部を取付け、該上向き取付筒２９の上部には前記前
側株元搬送装置２２のうち右側前側株元搬送装置２２を
取付ける。

【００１１】しかして、前記前側株元搬送装置２２のう
ち左側のものは、前記側部伝動縦筒１１の略上下中間部
から内方に突出させた突出伝動横筒３０の先端に固定さ
れている縦支持筒３１の下端に取付ける。突出伝動横筒
３０と縦支持筒３１はＴ型形状に形成され、該縦支持筒
３１は上方に延長され、その上端３２には前記前側穂先
搬送装置２３、２３のうち左側前側穂先搬送装置２３、
２３を取付ける。３３は前記側部伝動縦筒１１内に設け
た縦伝動軸、３４は縦伝動軸３３に固定のベベルギヤ、
３５は前記突出伝動横筒３０内に設けた横伝動軸、３６
は横伝動軸３５の基部に固定で前記ベベルギヤ３４に噛
合うベベルギヤ、３７は横伝動軸３５の先端に固定のベ
ベルギヤ、３８は前記縦支持筒３１内に設けた縦回転
軸、３９は縦回転軸３８に固定で前記ベベルギヤ３７に
噛合うベベルギヤである。

【００１２】前記刈刃２１は、刈刃台４０に取付け、刈
刃台４０の左右側にはそれぞれステー４１を固定し、刈
刃台４０の中央には係合溝４２を有する中央プレート４
３の基部を固定する。前記刈刃フレーム１５には取付板
４４を固定し、取付板４４には上部挿入孔４５と下部挿
入孔を形成する。４６は中間プレートであり、前側挿入
孔と上部挿入孔４８と下部挿入孔４９を形成する。刈刃
２１は、刈刃台４０のステー４１に中間プレート４６を
取付け、中間プレート４６の下部挿入孔４９と取付板４
４の下部挿入孔とを合致させ、ボルト５０を挿入させ、
中間プレート４６の上部挿入孔４８と取付板４４の上部
挿入孔４５とを合致させ、ボルト５０を挿入すると、刈
刃台４０の中央プレート４３の係合溝４２が刈刃フレー
ム１５の係合軸５１に係合し、この状態の中央プレート
４３の先端を分草杆１６に固定する。したがって、一人
でも取付作業を行なえ、容易にメンテナンスができる。

【００１３】また、脱穀装置３の側部には、該脱穀装置
３の脱穀室５２に穀稈を供給する穀稈供給装置５３の穀
稈供給チエン５４を設け、穀稈供給チエン５４は前側に
設けた歯車５５にエンジン５６からの動力を伝達して回
転させる。前記穀稈供給チエン５４に終端部には排藁搬
送装置５７の始端部を臨ませ、排藁搬送装置５７は脱穀
済の穀稈を引継いで後方に搬送する。前記穀稈供給チエ
ン５４の終端部の歯車５８には伝動ケース５９の一端を
接続し、伝動ケース５９の他端を前記排藁搬送装置５７
の始端部に接続し、穀稈供給チエン５４および排藁搬送
装置５７は同速度で穀稈を搬送するように構成する。即
ち、エンジン５６の回転は、無段変速装置を有するシン
クロ機構６０により変速されて前記刈取部５と前記走行
装置２に伝達され、前記刈取部５の作業速度と走行装置
２の走行速度との関係を変更することにより、倒伏穀稈
および超穀稈の刈取作業の場合前記刈取部５の作業速度
が早くなるように、また、短穀稈の刈取作業の場合、前
記刈取部５の作業速度が遅くなるように構成して作業の
効率を向上させているが、穀稈供給チエン５４の搬送速
度の変更と同期させて排藁搬送装置５７の搬送速度を変
更して同速度で穀稈を搬送することにより、円滑な搬送
できるようにしている。

【００１４】また、前記伝動ケース５９は一端は前記穀
稈供給チエン５４の下方の脱穀装置３の側板６１に固定
し、穀稈搬送通路の上方に他端が位置するように横向き
Ｕ形状に形成し、その他端部を前記排藁搬送装置５７の
フレーム６２の中間部に固定する。フレーム６２は平面
視Ｚ形状に形成され、後端部および前端部を機体側に固
定し、中間部に前記排藁搬送装置５７を取付けている。
したがって、前記伝動ケース５９は全体の強度メンバー
としての作用も有する。

【００１５】

【作用】次に作用を述べる。本発明は、前記の構成であ
るから、機体１を前進させると、各分草体１７により分
草し、分草された穀稈は、引起装置１８１８ａにより引
起され、ラグ式掻込装置１９、スターホイル２０により
後方に掻込まれ、前側株元搬送装置２２、２２ａにより
株元が挾持され、前側穂先搬送装置２３、２３ａにより
穂先側が搬送されて搬送通路を通り、株元集合装置２６
により一箇所の合流点Ａに搬送されて株元引継搬送装置
２４及び穂先引継搬送装置２５に引継がれ、該株元引継
搬送装置２４及び穂先引継搬送装置２５により脱穀室の
側部の穀稈供給装置５３に引継がれ、該穀稈供給装置５
３により脱穀室５２に供給されて脱穀される。

【００１６】この場合、前側株元搬送装置２２のうち左
側のものは、側部伝動縦筒１１の略上下中間部から内方
に突出させた突出伝動横筒３０の先端に固定されている
縦支持筒３１の下端に取付けてあるから、前側株元搬送
装置２２は、該前側株元搬送装置２２の搬送通路より離
れた側部伝動縦筒１１により駆動されるので、搬送通路
を広く確保できる。

【００１７】また、前側株元搬送装置２２は縦支持筒３
１の下端に吊設されているから、前側株元搬送装置２２
の下方は空間部が形成され、根元が切断された穀稈は円
滑に搬送され、藁屑の溜りを防止する。

【００１８】突出伝動横筒３０の先端に直線筒状の縦支
持筒３１が固定され、Ｔ型に形成されているから、コン
パクトになり、また、縦支持筒３１内の縦回転軸３８に
より前側株元搬送装置２２および前側穂先搬送装置２
３、２３を駆動でき、上下二段構成の前側穂先搬送装置
２３、２３により長穀稈も円滑に搬送する。

【００１９】また、側部伝動縦筒１１から突出伝動横筒
３０を介して縦支持筒３１に至る伝動機構は、ベベルギ
ヤにより構成しているので、全体を小型にし、搬送に干
渉するのを防止する。

【００２０】

【効果】本発明は、穀稈を分草する複数の分草体１７
と、該各分草体１７によって分草した穀稈を引起す複数
の引起装置１８、１８ａと、該引起装置１８、１８ａに
よって引起した穀稈を刈取る刈刃２１と、該刈刃２１に
よって刈取った穀稈の株元側を挟持搬送する複数の前側
株元搬送装置２２、２２ａおよび穂先側を搬送する複数
の前側穂先搬送装置２３、２３ａとを有するコンバイン
の刈取部において、前記複数の引起装置１８、１８ａを
連動して駆動する上部横伝動筒１３を引起装置１８、１
８ａの上端より上方配置し、前記複数の引起装置１８、
１８ａを上部横伝動筒１３から下向きに設けた上部縦伝
動筒２７を介して駆動すると共に、前記左右中間部の刈
取り条に対応する前側穂先搬送装置２３ａを前記上部縦
伝動筒２７から下向きに設けた下部縦伝動筒２８を介し
て駆動する一方、前記前側株元搬送装置２２、２２ａの
うち左右いずれか一方側は、刈取部の下部左右方向伝動
横筒１０から立上がる側部伝動縦筒１１の上下中間位置
から内側に突出させて設 けた突出伝動横筒３０の先端に
設けた縦支持筒３１内に挿通させた縦回転軸３８の下端
部に取付け、該縦回転軸３８の上端部には前記前側穂先
搬送装置２３、２３ａのうち左右いずれか一方側のもの
を取付けたコンバインの刈取部としたものであるから、
多条刈りの刈取装置で前側株元搬送装置２２は縦支持筒
３１の下端に吊設されて、前側株元搬送装置２２の下方
には空間部が形成され、搬送通路を広く確保でき、刈取
穀稈は円滑に搬送され、藁屑の溜りを防止し、縦回転軸
３８の上端部に前側穂先搬送装置２３、２３ａを取付け
ているのでコンパクトになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 コンバインの刈取部の側面図。

【図２】 同５条刈用の伝動機構断面図。

【図３】 同６条刈用の要部平面図。

【図４】 刈刃取付状態斜視図。

【図５】 同側面図。

【図６】 同側面図。

【図７】 同側面図。

【図８】 コンバインの脱穀装置の斜視図。

【図９】 同平面図

【図１０】 同要部縦断正面図。

【符号の説明】

１…機体、２…走行装置、３…脱穀装置、４…操縦部、
５…刈取部、６…縦支持筒、７…刈取部フレーム、１０
…下部左右方向伝動横筒、１１…側部伝動縦筒、１２…
側部支持フレーム、１３…上部伝動筒、１４…取付杆、
１５…刈刃フレーム、１６…分草杆、１７…分草体、１
８、１８ａ…引起装置、１９…ラグ式掻込装置、２０…
スターホイル、２１…刈刃、２２、２２ａ…前側株元搬
送装置、２３、２３ａ…前側穂先搬送装置、２４…株元
引継搬送装置、２５…穂先引継搬送装置、２６…株元集
合搬送装置、２７、２７ａ、２７ｂ…下向き伝動筒、２
８…縦支持筒、２９…上向き取付筒、３０…突出伝動横
筒、３１…縦支持筒、３２…上端、３３…縦伝動軸、３
４…ベベルギヤ、３５…横伝動軸、３６、３７…ベベル
ギヤ、３８…縦回転軸、３９…ベベルギヤ、４０…刈刃
台、４１…ステー、４２…係合溝、４３…中央プレー
ト、４４…取付板、４５…上部挿入孔、４６…中間プレ
ート、４８…上部挿入孔、４９…下部挿入孔、５０…ボ
ルト、５１…係合軸、５２…脱穀室、５３…穀稈供給装
置、５４…穀稈供給チエン、５５…歯車、５６…エンジ
ン、５７…排藁搬送装置、５８…歯車、５９…伝動ケー
ス、６０…シンクロ機構、６１…側板、６２…フレー
ム。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−38515（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01D 67/00 A01D 57/00 - 57/22 A01D 61/00 301

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 穀稈を分草する複数の分草体１７と、該
   各分草体１７によって分草した穀稈を引起す複数の引起
   装置１８、１８ａと、該引起装置１８、１８ａによって
   引起した穀稈を刈取る刈刃２１と、該刈刃２１によって
   刈取った穀稈の株元側を挟持搬送する複数の前側株元搬
   送装置２２、２２ａおよび穂先側を搬送する複数の前側
   穂先搬送装置２３、２３ａとを有するコンバインの刈取
   部において、前記複数の引起装置１８、１８ａを連動し
   て駆動する上部横伝動筒１３を引起装置１８、１８ａの
   上端より上方配置し、前記複数の引起装置１８、１８ａ
   を上部横伝動筒１３から下向きに設けた上部縦伝動筒２
   ７を介して駆動すると共に、前記左右中間部の刈取り条
   に対応する前側穂先搬送装置２３ａを前記上部縦伝動筒
   ２７から下向きに設けた下部縦伝動筒２８を介して駆動
   する一方、前記前側株元搬送装置２２、２２ａのうち左
   右いずれか一方側は、刈取部の下部左右方向伝動横筒１
   ０から立上がる側部伝動縦筒１１の上下中間位置から内
   側に突出させて設けた突出伝動横筒３０の先端に設けた
   縦支持筒３１内に挿通させた縦回転軸３８の下端部に取
   付け、該縦回転軸３８の上端部には前記前側穂先搬送装
   置２３、２３ａのうち左右いずれか一方側のものを取付
   けたコンバインの刈取部。