JP3062555U - 電動機の溝穴付き構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溝穴の存在によりひき起こされる変動が減少
するように回転子の回転角度に応じた磁束の変動を回避
する手段を提供する。 【解決手段】 電動機の回転子又は固定子を構成する永
久磁石式電動機の溝穴付き構造において、溝穴３が少な
くともその長さの一部分にわたり、磁気材料でできた橋
状部品４で覆われている。これらの橋状部品は、１束の
鋼板で構成され各溝穴を制限する歯２に固定されてい
る。これらの部品は、２つの歯の間の部分的磁気閉鎖手
段として役立つ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、電動機の回転子又は固定子を構成する永久磁石式電動機の溝穴付き 構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

本考案が基準とする永久磁石式電動機は、特に溝穴付き構造が固定子を構成す るブラシレスモータである。 電動機において、磁気面からみた溝穴の利点は、空気を通る磁界の経路が、比 較的小さなエアギャップを介して磁極片から固定子の歯の中に直接進入できると いう理由で短縮されることにあり、機械面では、溝穴の中に設置された巻線が、 溝穴を制限する歯面のおかげで側方に移動できないようになっていることにある 。

【０００３】 しかしながら、溝穴付き固定子は、平滑な固定子とは反対に、固定子の歯と永 久磁石の相互作用によってひき起こされる欠点を有する。実際、永久磁石の磁極 が溝穴の前を通過するとき、急速な磁束変動が発生し、これがトルクの変動、振 動、雑音そしてフーコー電流の生成による磁石の発熱を生み出す。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、溝穴の存在によりひき起こされる変動が減少するように、回 転子の回転角度に応じた磁束の変動を回避するための手段を提案することにある 。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案は溝穴が少なくともその長さの一部分にわたり、磁気材料で できた橋状部品で覆われており、これらの橋状部品が各溝穴を制限する歯に固定 されており、２つの歯の間の部分的磁気閉鎖手段として役立つことを特徴とする 。

【０００６】 好ましくは、前記橋状部品は、少なくともおおよそ、特に完全に、溝穴の長さ 全体を覆っている。 この溝穴付き構造の製造方法は、溝穴の備わった部分を製作すること、溝穴の 中に巻線を配置すること及び最後に溝穴をその長さの少なくとも一部分にわたり 覆うような形で溝付き構造上に橋状部品を固定することを特徴とする。

【０００７】 溝穴付き構造は、半径方向エアギャップを伴う固定子によってとり囲まれた長 い回転子付き電動機の固定子又は回転子であってよい。この構造は同様に、平坦 な回転子付き電動機、すなわち固定子のそばに配置された円板状の回転子を伴い 、軸方向エアギャップを伴うか、又は回転子の両側に配置され、かくして２つの 軸方向エアギャップを形成する２つの部品のついた固定子を伴うモータの固定子 であってもよい。

【０００８】 本考案の好ましい実施形態は、従属請求項から結果としてもたらされる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、添付図面を参照しつつ本考案の実施形態の例を説明する。 図１は、図面上には例示されていない、永久磁石式回転子をとり囲む固定子１ の部分展開図であり、従って考慮対象例は、半径方向エアギャップ付きモータの 固定子を基準にしている。この図１には、溝穴３を制限する固定子の３つの歯２ が例示されている。溝穴３の中には、各歯２をとり囲む巻線１０が通常の要領で 挿入されている。溝穴３の開口部は、各々、固定子の軸方向でその長さ全体にわ たり、橋状部品４により覆われている（図５）。従って、歯の前面及び橋状部品 ４の表面は、エアギャップを制限している。

【００１０】 このような手段により、２つの隣接する歯の間に、或る種の部分的磁気短絡が 作り上げられ、このため、溝穴の前を回転子の永久磁石が通過する際の永久磁石 内の磁束の変動が大幅に削減される。固定子の連続する２つの歯の間に作り出さ れた磁気回路のため、当然のことながら、トルク／電流比の或る程度の低下が発 生する。しかしながら、フーコー電流による損失を低下させることから、電流を 増加させ、ひいてはモータの合計有効トルクを増大させることができる。

【００１１】 固定子１は、カットされた鋼板の束で構成され、橋状部品４はそれ自体磁気材 料でできた鋼板５の束で構成されている（図２）。橋状部品を形成する各々の鋼 板５の平面は、固定子１の鋼板の平面に対し平行であり、従ってこれらは固定子 の軸に対して垂直に方向づけされている。歯の長手方向でみた鋼板５の高さＨは 、鋼板５の厚みの２倍から５倍の間に含まれ、こうして、後で記述する通り、そ の取りつけに役立つ一定の弾性を鋼板に与えることが可能となる。

【００１２】 図２及び図３を見ればわかるように、橋状部品４は、半径方向に外側に向かっ て弓形にわずかに曲がっている。各々の端部で、これらの部品には、溝穴３を制 限する固定子の鋼板の歯２の側面の端部に形成された、結びつけられた形をもつ くり抜き部８の中にはめ込まれるように意図された輪郭づけされた突出部分８が 具備されている。

【００１３】 橋状部品４の鋼板５は、その端部近くに型打ちされた穴７を呈し、この型打ち は、鋼板の片面に、図４に例示されているとおり、バリ７ａを形成しており、鋼 板５同士の組立ては、隣接する鋼板５の穴７の中に型打ちバリ７ａを押し込むこ とによって行なわれ、かくして、橋状部品を構成する鋼板束はコンパクトなアセ ンブリとなるようになっている。

【００１４】 本考案に従ったモータの溝穴部分の製造方法は、溝穴３を限定する歯２の端部 の縁部が、輪郭づけされたくり抜き部８を呈するような形でカットされた鋼板の 束を用いて、前記部分がモータの固定子１であると考えて、この部分を製作する ことから成る。その後、一方では固定子１の歯２の端部にあるくり抜き部８の形 と結びつけられた形の突出部分６そして他方では鋼板５同士の組立てを確保する バリ７ａを呈する穴７をこれらの鋼板５がその端部に呈するような形で、前記部 分と同じ磁気材料特に軟鉄鋼板を用いて、カット及び型打ちにより橋状部品４を 製作する。溝穴３の中に固定子の巻線１０を配置し、次に、歯の端部のくり抜き 部８の中にその端部６を通しながら、固定子１の溝穴３の中に側面方向に橋状部 品４を導入する。突出部分６を伴う橋状部品４とくり抜き部８の配置は、橋状部 品４の取りつけの際にそれらをわずかに力で曲げ加工してそれらの端部をくり抜 き部８の中に滑り込ませることができるようにしなければならず、かくしてくり 抜き部８の中に締めつけによってそれらを固定するのが弾性力となるようにする ようなものである。

【００１５】 橋状部品４は、その長さ全体にわたり（図５）又はその長さの一部分のみにわ たり（図６）、ここに図示した例においては例えば互いに離隔された３つの部品 ４といったように、より短かい複数の部品４を配置することによって、溝穴３を 覆うことができる。なお、この図６では、前記溝穴を見せるため、溝穴３の中に 配置されたコイルは描かなかった。

【００１６】 本考案に従った溝穴付き構造は、長い回転子の場合、半径方向エアギャップを 限定する固定子又は回転子でありうる。図１，５，６は、同様に、回転子の展開 図と考えることもできる。 本考案に従った溝穴付き構造は、同様に、円板の形をした平坦な回転子付きモ ータの固定子であってもよく（図７及び図８）、ここで回転子と固定子は並んで 配置され、かくして軸方向エアギャップを限定している。後者の軸方向エアギャ ップ付き電動機の場合、橋状部品により覆われた溝穴の長さは、当然半径方向に 向けられている。図７に示された実施形態においては、橋状部品４は、固定子の 歯２の間で溝穴を完全に覆っているのに対し、図８に表わされている実施形態に おいては、橋状部品４は、溝穴を部分的に覆う。ここでコイルは、図６に従った 実施形態の場合と同様に、これらの溝穴を見せるために意図的に図示されていな い。

【００１７】 本考案は、以上で記述した実施形態に制限されず、さまざまな変形形態を示し うるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】溝穴が橋状部品で覆われ、コイルがカットされ
て固定子の歯を見せている、溝穴付き固定子の考慮対象
の事例における溝穴付き構造の一部分を示す展開図であ
る。

【図２】固定子から分離された橋状部品の拡大図であ
る。

【図３】拡大した形で、固定子の歯の端部上への橋状部
品の端部の固定ゾーンの詳細を示す図である。

【図４】鋼板の束を構成するカットされた鋼板の組立て
によって形成された橋状部品を例示する、図２のIV−IV
に沿った拡大断面図である。

【図５】橋状部品が溝穴を完全に覆っている、図１の矢
印Ｆに沿った固定子の周囲の部分展開図である。

【図６】図５に類似しているものの、橋状部品が溝穴を
部分的に覆っている図である。

【図７】軸方向にエアギャップを伴い、橋状部品が溝穴
を完全に覆っている、平坦な電動機の固定子を示す図で
ある。

【図８】図７に類似しているものの、橋状部品が溝穴を
部分的に覆っている図である。

【符号の説明】

１…固定子 ２…歯 ３…溝穴 ４…橋状部品 ５…鋼板 ６…突出部分 ７…穴 ８…突出部分 １０…巻線

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機の回転子又は固定子を構成する永
   久磁石式電動機の溝穴付き構造において、溝穴（３）
   が、少なくともその長さの一部分にわたり、磁気材料で
   できた橋状部品（４）で覆われており、これらの橋状部
   品は、各溝穴を制限する歯（２）に固定されており、２
   つの歯の間の部分的磁気閉鎖手段として役立つことを特
   徴とする溝穴付き構造。
2. 【請求項２】 溝穴（３）は橋状部品（４）によりほぼ
   長さ全体にわたり覆われている請求項１に記載の溝穴付
   き構造。
3. 【請求項３】 １束の鋼板で構成されていること及び、
   橋状部品（４）も同様に鋼板（５）の束で構成されてお
   り、該橋状部品を形成する該鋼板の各平面が溝穴付き構
   造の鋼板の平面と平行である請求項１に記載の溝穴付き
   構造。
4. 【請求項４】 歯の長手方向で見た橋状部品（４）の延
   長部分すなわちこれらの部品を構成する鋼板束の高さ
   （Ｈ）は、鋼板（５）の厚みの２倍から５倍の間である
   請求項３に記載の溝穴付き構造。
5. 【請求項５】 橋状部品（４）の鋼板（５）が、外方へ
   わずかに弓形に曲がっており、その両端に輪郭づけされ
   た突出部分（６）が備わっていることおよび溝穴（３）
   を制限する前記部分の鋼板の歯（２）の側面の端部に
   は、前記橋状部品の突出部分（６）の形に結びつけた形
   のくり抜き部（８）が具備され、これらのくり抜き部の
   中にこれらの橋状部品が固定されている請求項３又は４
   に記載の溝穴付き構造。
6. 【請求項６】 橋状部品（４）の鋼板（５）がその端部
   近くに型打ちされた穴（７）を呈し、これらの穴が１つ
   の側面上で型打ちバリ（７ａ）を呈することおよびこれ
   らの型打ちバリは強制的に隣接鋼板の穴の中に係合させ
   られ、このため橋状部品の鋼板束がコンパクトな１つの
   ユニットを構成するようになっている請求項３〜５のい
   ずれか１項に記載の溝穴付き構造。