JP3061860B2 - 水中生物の着生防止方法 - Google Patents

水中生物の着生防止方法

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JP3061860B2
JP3061860B2 JP5502736A JP50273693A JP3061860B2 JP 3061860 B2 JP3061860 B2 JP 3061860B2 JP 5502736 A JP5502736 A JP 5502736A JP 50273693 A JP50273693 A JP 50273693A JP 3061860 B2 JP3061860 B2 JP 3061860B2
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清美 斉藤
守彦 桑
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株式会社ナカボーテック
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B63SHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; RELATED EQUIPMENT
    • B63BSHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; EQUIPMENT FOR SHIPPING 
    • B63B59/00Hull protection specially adapted for vessels; Cleaning devices specially adapted for vessels
    • B63B59/04Preventing hull fouling
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E02HYDRAULIC ENGINEERING; FOUNDATIONS; SOIL SHIFTING
    • E02BHYDRAULIC ENGINEERING
    • E02B17/00Artificial islands mounted on piles or like supports, e.g. platforms on raisable legs or offshore constructions; Construction methods therefor
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  • Prevention Of Fouling (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、海水等の水を冷却水として使用する発電
所、製鉄所、石油精製工場等の取水路、スクリーン等の
取水施設あるいは水中に敷設される橋脚、鋼矢板、鋼管
杭等で代表される主として鋼製またはコンクリート製等
からなる構造物等の水中構造物の水と接する表面に着生
繁殖する水中生物の着生防止方法およびそれに用いる装
置に関する。
背景技術 水中に敷設された岸壁、桟橋、プラットホーム脚柱、
浮標等の各種港湾敷設や船舶等の水中構造物の水中と接
する部分は、水中に棲息するバクテリヤ類、藻類、貝類
等の水中生物が着生、繁殖し、これらが水中構造物の機
能を低下させる大きな要因となっている。
また、火力発電所、原子力発電所、製鉄所、石油精製
工場等の水を冷却水として使用したり、あるいは発電所
の発電水として使用するプラントの取水路、取水管、ス
クリーン等の各種取水設備の冷却水または発電水は数万
m3/hrから数十万m2/hrに及び極めて膨大である。それ
故、取水設備の保守管理は重要な課題である。保守管理
の重要なポイントは、施設の腐食防止と水中構造物と同
様に、取水施設の表面に着生、繁殖する水中生物の付着
抑制である。水中生物の着生、繁殖は、装置や施設の正
常運転に種々のトラブルを起こす要因となっていた。
これらの水中構造物や取水施設の腐食防止対策は、耐
食材料の開発、塗料の進歩および電気防食法等の優れた
防食技術が開発され実用に供されていた。
一方、海洋生物等の水中生物の付着防止対策も古くか
ら行なわれている。すなわち、(1)塩素または次亜鉛
素酸塩の投入、(2)防汚塗料の塗布、(3)防汚金属
の被覆、(4)海水電解による塩素または次亜塩素酸イ
オンの生成、(5)海水中で銅陽極を用いた銅イオンの
生成等が提案されている。
いずれの方法も水中生物の付着防止手段として有効で
あるが、塩素、次亜塩素酸塩、銅、水銀あるいは錫等の
毒性イオンの生成を主体とした防汚対策であり、その毒
性イオンが環境二次汚染になる懸念がある。これらの毒
性イオンの生成や使用は、長期的に適性濃度維持のため
の設備や維持管理に多大な経費が必要であることより
も、毒性なるが故に環境破壊につながることから、使用
の制限あるいは禁止の方向にある。
塩素や次亜塩素酸塩の投入は容易であるが、濃度管理
が難しく、水中に還元性物質があると塩素の消費が多く
なり防汚効果が期待できなくなる場合がある。また、塩
素発生装置の保守管理や濃度管理に多大の労力や経費を
要すると共に環境二次汚染が避けられず、その使用は極
力排除される方向にある。
防汚塗料は有毒イオンを生ずる金属顔料を含むものが
多く、その主体は、水銀およびその化合物から銅、銅合
金あるいはこれらの化合物であり、近年、有機錫化合物
へと変遷しているが、塗料としての寿命は2年位であ
り、塗膜の衝撃、摩耗による耐久性にどうしても問題を
残す。さらに塩素と同様に公害や安全衛生の面から使用
制限が強化され禁止の方向にある。
防汚金属の被覆は、対象構造物の水接水面に、銅また
は銅合金を被覆することによって、銅または銅合金の表
面から僅かに溶出する毒性銅イオンで水中生物の着活を
抑制する方法であるが、構造物の全面を被覆すること、
構造物(鉄鋼製)との完全絶縁(被覆金属に何らかの欠
陥を生ずると下層の構造物に異常腐食を生ずる)が必要
であること等から施工コストがかかる。所詮、銅の溶出
による毒性イオンに基づく防汚であり、環境二次汚染は
避けられない。
水中構造物、特に海水を冷却水として大量に使用する
プラントの取水施設の壁面の海洋生物付着防止は、海水
電解による塩素、次亜塩素酸塩の生成あるいは銅陽極を
用いた銅イオンの生成が最も広く行なわれている。
海水を直接電解して、塩素、特に次亜塩素酸塩を生成
させることは公知である。より経済的で安全性の面から
の改良が行われている。例えば、特公昭51−41030号公
報には次亜塩素酸塩生成用海水分解槽が開示されてい
る。同じく特公昭54−40472号公報には、海水電解によ
る次亜塩素酸塩生成装置と鉄イオン発生装置を併用した
防汚と防食の方法が、特開平2−236290号公報には、従
来の次亜塩素酸イオン生成用陽極である白金被覆チタン
やカーボン電極に代えて不溶性導電膜と高導電材からな
る導電膜を直接海洋構造物に絶縁膜を介して塗布した電
極材で防汚する装置等の多くの特許文献が開示されてい
る。
毒性イオンを生成する銅陽極を用いた海水電解技術
は、古くから紹介されている。例えば、特公昭41−5193
号公報には海水導入暗渠または開渠の内壁面に近接して
銅陽極と陰極を設け直流電解で銅イオンを溶出させた海
生物付着防止方法が、特公昭45−923号公報には、海水
導入管の内面に一対の銅極を設け交流または極性変換可
能な直流電圧を供給する方法が、同じく特公昭43−6374
号公報には海水中で銅または銅合金を陽極として電解し
た海水によって海洋生物の着生を防止し、対象機器設備
を陰極として電気防食を付加した技術が開示されてい
る。
船舶等の海中金属構造物の接水面に、複数の防汚金属
(主として銅または銅合金)を被覆して、構造物の外面
に海洋生物の付着を防止する方法が特開昭和59−9181号
公報にその例が開示されている。
銅に代わる他の金属あるいは銅との併用による防汚対
策も提案されている。例えば、特公昭48−39343号公報
によると船舶外板の汚損防止に、外板も亜鉛層で覆い補
助電極を用いて碇泊中は亜鉛層を陽極とし、航行中は陰
極にする方法が開示されている。別の方法としては、海
水や河川水の冷却管系統の取水口近辺あるいはその途中
に銅または銅合金と亜鉛、アルミニウム、マグネシウ
ム、鉄のうち1種以上の金属を陽極として直流電流を流
し、銅イオンを上記陽極金属の水酸化コロイドに吸着、
濃縮させて海洋生物の付着防止効果を高めると同時に、
海水中への銅イオンの流出を抑制する方法が特公昭59−
40361号公報に示されている。
海水中に制御した塩素イオンと銅イオンを溶出させる
ため、直流と交流を結合して通電することによって海洋
生物汚染を阻止する方法も特許国内公表昭63−502172号
公報(国際公開WO 087/03261)に開示されている。
海水を電解して塩素イオンや次亜塩素酸イオンを生成
したり、銅または銅合金を陽極として電解溶解して銅イ
オン等の毒性を利用する海洋生物付着防止は有効な手段
ではあっても、環境二次汚染に加えて有用な海洋生物ま
でも死滅させることになる。
上述の特許国内公表昭63−502172号によると、交流を
用いることによって海洋生物の神経/筋肉境界面の能力
を低下させ、構造物の壁面への付着の可能性を減少させ
るもので、海洋生物の壁面への付着を抑制するもので死
滅させる手段ではないと説明されている。毒性イオンの
生成を伴なわない方法としては、特公平1−46595号公
報に対象金属構造体がチタン等のバルブ金属で構成され
ている場合、該バルブ金属表面に貴金属酸化物触媒を付
着させ、該金属構造体を直流電源の陽極に接続し、塩素
の発生を抑え、酸素と水素ガスを発生させて海洋生物の
付着やカルシウムからなるスケールの付着を防止するこ
とが開示されている。この方法はチタン等の高価なバル
ブ金属からなる熱交換器管を対象としている。しかしな
がら、海洋構造物のごとき量的にも数的にも大きな施設
や常に変動する海洋の潮流に曝される構造物の表面を酸
化物触媒被覆バルブ金属でカバーすることは、工業的に
好ましい手段ではない。
このように、海洋構造物の海水面下に棲息、生長し、
種々のトラブルを起こす海洋生物の付着防止手段は種々
開発されているが、いずれも決め手に欠ける。毒性イオ
ンであること、環境二次汚染の恐れがあること、設備の
保守管理が容易でなくランニングコストがかかること、
有用な海洋生物まで死滅させること等の問題がある。
例えば、冷却水として海水を大量に導入している発電
所等の取水設備は、千m近くに及ぶ海洋生物の駆除に苦
慮している。現状では、手作業(作業者またはダイバ
ー)あるいはロボットにより機械的に除去している。こ
の方法は、除去効率が悪い上に、安全上にも多くの問題
があり、除去費用にも大きな出費を伴い、除去した海洋
生物の処理および投棄の場所が必要となる等の単なる労
力のみならず経済的、工業的損失は図り知れない。
発明の開示 本発明は、塩素の発生や毒性イオンの生成によらず、
しかも環境二次汚染がなく、かつ水中生物を死滅させる
ことのない、高効率で経済性のある水中生物の着生防止
法およびその装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、従来、船舶外板、港湾施設等の海洋構
造物の海水による腐食防止に適用されている電気防食に
おいて、陽極となる電極材の表面に海洋生物の着生、棲
息が殆ど見られないことに着目し、この現象を利用して
海洋生物の着生防止対策に苦慮している取水施設に適用
し、本発明に達したものである。さらに、この方法が他
の海洋構造物や淡水、汽水における取水施設や水中構造
物にも適用できることを知見し本発明に至ったものであ
る。
本発明は、基本的には、塩素の発生や毒性イオンを生
成する金属を用いることなく、無害イオンを生成する遷
移金属の中から選ばれた金属の陽極電解による活性溶解
面に水中生物の着生や繁殖が殆どないか大幅に抑制され
る事実に基づくものである。
水中に棲息する水中生物は、気候、場所によってその
種類や繁殖時期が異なる。このことを詳述すると、例え
ば海水中では、海洋構造物や海水取水施設で問題になる
海洋生物は、ムラサキイガイ、フジツボ、ホヤ、カキ類
とアオサ、アオノリといった海藻類であり、特に発電所
の取水施設(取水路)では80%がムラサキイガイ、残り
がフジツボといった例が多く、これらの生物の付着を抑
制することが大きな技術課題である。一般に冬場の低温
下では、殆ど着生がみられない。春先から夏場の温暖期
に着生、成長し、秋から冬にかけて繁殖するが新しい着
生はみられない。海洋生物は基盤にバクテリヤやスライ
ムが付着しない限り着生しえない。海洋生物の着生抑制
は、これらバクテリヤやスライムの基盤への付着を阻止
したり、付着しても海洋生物の幼生の生育を未然に防止
することによって達成される。
このように本発明は、毒性イオンによる水中生物の死
滅に基づく付着防止法ではなく、着生の阻止あるいは抑
制方法にある。
すなわち、本発明の水中生物の着生防止方法は、水中
構造物または取水施設の表面の水中生物着生部分に、絶
縁材とクッション材を介して鉄、マグネシウム、アルミ
ニウムまたはこれらの合金材からなる複数の各々が互い
に絶縁された金属体で被覆し、それぞれを電極とし、相
対する金属体を一対として電気回路を構成し、極性転換
機能を有する直流電源に接続して両極間に連続または断
続して陽極電流密度を40〜500mA/m2で通電すると共に、
通電極性を転換させ、一方の金属体が陽極にある時に該
金属体を構成する金属の表面が溶解活性化されることに
より、該金属体表面への水中生物の着生を抑制または防
止することを特徴とする。
本発明で対象とするのは、海水、淡水または汽水の水
中構造物や取水施設である。
ここでいう水中構造物とは、水中に構築された岸壁、
桟橋、プラットホーム脚柱、浮標等の各種港湾敷設や船
舶等であり、主として鉄鋼材やコンクリート材で構成さ
れたものである。
また、取水施設は、冷却用または発電用の取水路や取
水管等であり、対象となる施設は、火力または水力発電
所や製鉄所、石油精製工業等の各種工場プラントであ
る。この取水施設表面の断面形状は、長方形、円形、楕
円形、正方形等であり、その形状は任意である。
本発明では、この水中構造物や取水設備の水中生物が
着生し易い壁面に、絶縁材とクッションを介して鉄、ア
ルミニウム、マグネシウムあるいはこれらの合金からな
る各々が互いに絶縁した金属体で被覆する。絶縁材とし
ては、ネオプレン、シリコンゴム等の合成ゴムやPVC、
ポリエチレン、ポリエステル等のプラスチックが用いら
れる。また、クッション材としては、発泡ポリエチレン
シートや発泡ポリウレタンシート等が用いられる。この
絶縁材とクッション材は兼用して1つものを用いてもよ
く、この絶縁・クッション材としては10mm t以上の合成
ゴムまたはプラスチックが用いられる。金属体の被覆は
絶縁ボルトや接着剤等の常用の固着手段を用いて水中構
造物の表面に固定する。
そして、この金属体をそれぞれを電極とし、相対する
金属体を一対として電気回路を構成し、極性転換機能を
有する直流電源に接続して両極間に連続または断続して
通電すると共に、通電極性を転換させ、一方の金属体が
陽極にある時に該金属体を構成する金属の表面を溶解活
性化させ、該金属体表面への海洋生物の着生を抑制また
は防止する。ここに形成される電気回路は交流との併用
機能を有していてもよい。
ここにおける極性転換の間隔は、金属体が陰極にある
時間を短縮するために、10秒〜60分間隔で行なうことが
望ましい。
一方、断続通電を行なう場合には、通電と非通電の間
隔を短くしたほうが望ましく、通常10秒〜60分間隔で通
電、非通電を行なうことが好ましい。例えば、1日4時
間通電するとした場合、この4時間をできるだけ細分割
して通電したほうが望ましいということである。
この場合、被覆金属体と水中構造物との間は電気回路
を構成するので直接短絡は避けなくてはならない。それ
故、被覆金属体は水中構造物の外面形状に相似した板状
品および成形品が好ましく用いられる。
また、桟橋等の水中構造物では、吃水部周辺の腐食防
止を図るために、被覆防食が施されている場合がある。
この場合には、吃水面下または水面下に施された被覆防
食の最外層の被覆防食カバーを除去し、これに代えて絶
縁材、クッション材を介して上記金属体を水中構造物に
被覆してもよい。このことによって、水中構造物は、上
記水中生物の着生方法と被覆防食とが併用されることと
なる。
さらに、取水設備においては、概して底部に砂、ヘド
ロ等が溜り易く、酸素(空気)の供給が不充分な環境に
なり、水中生物は殆ど生育できない。このような環境に
あっては、底面を除く表面の水中生物着生部分に、絶縁
材とクッション材を介して上記した絶縁された金属体で
被覆し、この金属体を直流電源の正極に接続して陽極と
する。一方、取水施設の底面に鉄またはその合金材を設
置し、該鉄またはその合金材を直流電源の負極に接続し
陰極とする。この陽極と陰極で電気回路を構成し、両極
間に連続または断続して通電し、該金属体を構成する金
属の表面を溶解活性化させ、該金属体表面への水中生物
の着生を抑制または防止してもよい。この場合にも得ら
れる電気回路は、極性転換機能を有するは必要は必ずし
もない。
このような本発明では、陽極電流に基づく電極の活性
溶解が水中生物の着生を抑制または防止するので、抑制
に適した陽極電流の大きさ、すなわち陽極電流密度が存
在する。陽極電流密度は、経済的、工業的見地から500m
A/m2(0.5A/m2)以下が良く、40〜500mA/m2(0.04〜0.5
A/m2)であり、好ましくは150〜300mA/m2(0.15〜0.3A/
m2)である。また、陽極の電流密度を水中生物の種類あ
るいは水中生物の活動生態時期に合せて定期または不定
期に変動させることも好ましいことである。
このような本発明の着生防止方法に用いられる好まし
い装置は、水中構造物または取水施設の表面の水中生物
着生部分に取付けられ、絶縁材とクッション材と鉄、ア
ルミニウム、マグネシウムまたはこれらの合金材からな
る金属体とにより形成される多層構造体と該金属体相互
または該金属体と該水中構造物との間に通電可能な直流
電源とからなるもの、あるいは取水施設の底面を除く内
表面の水中生物着生部分に取付けられ、絶縁材とクッシ
ョン材と鉄、アルミニウム、マグネシウムまたはこれら
の合金材からなる金属体とにより形成される多層構造体
と該取水施設の底面に設けられた鉄またはその合金材と
該金属体と該鉄またはその合金材との間に通電可能な直
流電源とからなるものである。
この水中生物の着生防止装置の直流電源は、極性変換
機能、断続通電機能または交流との併用機能を有する電
気回路を構成したものも好ましく用いられる。
本発明では、溶出イオンが殆ど毒性を有しないか、通
常、無害といわれる鉄、アルミニウム、マグネシウムお
よびこれらの合金を水中で陽極として作用させることに
より、金属の表面に水中生物が殆ど付着せず、着生して
も金属表面との付着力が乏しく容易に脱落する。しか
も、海水でも電解による塩素の発生も伴わず、酸素や水
素の発生も殆ど観察されない。
このような毒性イオンやガスの発生を伴わず、直流電
解の陽極金属の溶出で水中生物の着生が抑制される理由
は明らかではないが、陽極金属と陰極金属の間に直流電
圧を負荷することによって、陽極金属の活性溶解が起こ
り水中生物の着生要件が満たされず、着生能力を失うた
めではないかと考えられる。
図面の簡単な説明 図1は、通年定電流の陽極電流密度と陽極表面海洋生
物付着量、陽極消耗量および陽極電位の関係を示すグラ
フ。
図2は、期別毎の陽極電流密度と陽極表面海洋生物付
着量、陽極消耗量および陽極電位の関係を示すグラフ。
図3は、海洋生物の付着量の通年および期別の限界陽
極電流密度を示すグラフ。
図4は、ボックスカルバート型取水路に設置した本発
明の海洋生物着生防止装置の一実施例を示す斜視図。
図5は、図4の海洋生物着生防止装置の断面図。
図6は、図5のA−A′部分の側面図。
図7は、図4の海洋生物着生装置の配線図。
図8は、通電運転サイクルの一例を示すタイムチャー
ト。
図9は、本発明の海洋生物着生防止装置の他の実施例
を示す断面図。
図10は、通電運転サイクルの一例を示すタイムチャー
ト。
図11は、桟橋の基礎鋼管杭に本発明を実施した状態を
示す斜視図。
図12は、図11の基礎鋼管杭1本に、海洋生物着生防止
装置を取付けた状態の一例を示す断面図。
図13は、基礎鋼管杭1本に、海洋生物着生防止装置を
取付けた状態の他の例を示す断面図。
図14は、船舶外板に本発明を実施した状態を示す側面
図。
図15は、図14の断面図。
発明を実施するための最量形態 以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。但
し、実施例によって本発明が限定されるものではない。
実施例1 鉄鋼を陽極として活性溶解させた場合の陽極電流密度
と海洋生物の種類や付着量の関係について試験を行なっ
た。
我が国のほぼ平均的な海域である静岡県の駿河湾に面
した天然海域に、3.2t×350w×450Lmm(裏面絶縁被覆)
の鉄鋼板を直流電源の正極に接続して陽極とし、対極に
は別に設置した鉄鋼材を用いて陰極とし、陰陽極間に定
電流通電を行ない、陽極鉄鋼材表面への海洋生物の付着
状況、陽極の消耗量および陽極電位を調べた。
陽極電流密度は、比較用の通電無しから3000mA/m2の1
4段階(0,10,20,30,50,100…3000mA/m2)に設定した。
通電期間は、海洋生物の活動が不活性といわれる初冬期
(12月下旬)から始め、活動期(春〜初夏)、繁殖、成
長最盛期(初夏〜初秋)、成長安定期(初秋〜初冬)の
約1ケ年に亘って行なった。
図1に、約1ケ年間の通電による海洋生物付着量、陽
極消耗量および陽極電位と陽極電流密度との関係で示
す。なお、同図中、実線は各期(季節)毎の海洋生物の
付着量、点線は陽極の消耗量および破線は陽極電位をそ
れぞれ示す。
図1に示されるように、海洋生物の付着量は、陽極の
電流密度の増大と共に減少し、40〜50mA/m2を超えると
急激に減少している。さらに100mA/m2を超えると実質的
な海洋生物の付着量は無視できる0.5Kg/m2以下となり、
200mA/m2では0に近い値となる。
一方、陽極消耗量は、当然ながら自然腐食の0.1〜0.2
mm/Yより大きく、電流が高くなるほど大きくなり、500m
A/m2を超えると自然腐食の3倍以上となり、急激に消耗
量が増大している。
このことから明らかなごとく、陽極の電流密度は、50
0mA/m2以下、工業的、経済的および環境保全の見地から
40〜500mA/m2であり、最適は150〜300mA/m2である。
陽極電位は、陽極の電流密度が500mA/m2を超えると幾
分貴化するが、3000mA/m2でも−600mV以下であり、鉄鋼
の自然電位から殆んど分極していない。すなわち、海水
中での塩素発生電位である1.0V(SCE)に比して遥かに
卑であり、塩素の発生は全く考えられない。
付着海洋生物の陽極の電流密度との関係をさらに詳細
に検討すると、無通電では極板電面にイガイ、ムラサキ
イガイ、フジツボ、ホヤ、管棲多毛類等の多種のものが
付着し、10〜20cmの厚さに成長していた。電流密度が40
mA/m2未満ではフジツボ、ホヤが多く付着し、ムラサキ
イガイの付着は部分的に見られるが、40〜50mA/m2以上
となるとムラサキイガイの付着は急減もしくは皆無とな
り、フジツボ、ホヤ、管棲多毛類が局部的に付着する。
電流密度が100mA/m2以上となると殆どの海洋生物の付着
はみられなくなり、フジツボの成熟幼生が点在するか海
藻類が見られる程度で、茶褐色の生成物が見られた。こ
の生成物は指で擦ると容易に除去できる程度のもので、
その下は金属光沢をもった鉄鋼面であった。
実施例2 海洋生物の活動は季節的変動が多い。例えば水路や海
洋構造物のごとき固定構造物には季節的に海洋生物の種
類や付着量も異なる。四月、月、水温等の期毎によって
付着物の種類、性状および付着量が異なる。そこで、実
施例1の1ケ年通期に対応して1ケ年を4期(第1期:1
2月下旬〜3月中旬、第2期:3月下旬〜6月中旬、第3
期:6月下旬〜9月中旬、第4期:9月下旬、12月中旬)に
分け3ケ月毎の付着状況を試験した。各期の平均海水温
度は、第1期14.0℃、第2期16.6℃、第3期24.3℃およ
び第4期18.8℃で季節が水温と対応している。
試験結果は図2に示す。なお、同図中、実線は各期
(季節)毎の海洋生物の付着量、点線は陽極の消耗量お
よび破線は陽極電位をそれぞれ示す。
図1の年間通期の傾向に類似し、海洋生物の付着量は
陽極の電流密度が大きくなると減少している。なお、無
通電でも通電に比較して各期のほうが海洋生物の付着量
は少ない。これは各期毎に新しい鉄鋼材を投入したため
である。
各期毎に評価すると、冬場の第1期(平均水温14.0
℃)は、無通電でも0.3〜0.4Kg/m2と海洋生物の付着量
は少なく無視できる値である。
着生活動期の水が温みはじめる第2期(平均水温16.6
℃)になると付着量は増加し、主としてムラサキイガイ
の付着が活発になりフジツボ、ホヤ、藻類も付着し始め
る。陽極の電流密度の増加に伴なって陽極表面へのこれ
らの海洋生物の付着量は減少し、40〜50mA/m2を超える
電流密度から海洋生物の付着は急減し、120mA/m2以上で
は海洋生物の付着量は実質的には無視できる0.2Kg/m2
下となる。
温暖な夏場である第3期(平均水温24.3℃)では海洋
生物は種類の如何に拘らず付着成長繁殖が著しくなる。
顕著な特徴は、この時期はムラサキイガイの新しい付着
は殆どなく、フジツボ、ホヤ等の付着が多くなる。海洋
生物の成長繁殖が盛んなこの期は年間でもっとも付着量
が多く、陽極の電流密度の増大と共に減少はするもの
の、他の期に比して低電流密度下では数倍も多くなる。
100mA/m2では0.5Kg/m2以下の付着量となり、130mA/m2
上となると実質的に無視できる0.2Kg/m2以下にまで低減
する。
海洋生物の活動が安定する第4期(平均水温18.8℃)
は海洋生物の新しい付着は減少するため、全体に付着量
は低減し第2期に近い傾向を示す。この時期はフジツボ
やシロボヤの付着は若干認められるが、ムラサキイガイ
の新たな付着は殆ど認められない。
一方、陽極の消耗量は、侵食度(mm/Y)で示している
が、年間通期の侵食傾向と同様であり、第3期がやや高
くなっている。いずれにしろ陽極の電流密度が500mA/m2
を超えると陽極消耗量は大きくなり、工業的、経済的あ
るいは環境保全からみて得策ではない。
侵食度を0.5mm/Y以下に抑え、かつ海洋生物の付着を
最少にする陽極の電流密度は100〜400mA/m2が最適であ
る。
陽極電位も年間通期に酷似しており、実施例1で述べ
たように塩素の発生は考えられない。
実施例3 通年および第1〜4期において、海洋生物の付着量が
1.0Kg/m2未満、0.5Kg/m2未満、0.2Kg/m2未満および0.1K
g/m2以下に抑制するための限界陽極電流密度をそれぞれ
測定し、その結果を図3に示した。
海洋生物の付着量を実質的に0に近づける程、限界陽
極電流密度は高くしなくてはならない。実用上付着量が
無視できる0.2Kg/m2未満(通常、自然状態での海洋生物
の付着量30〜40Kg/m2の1/100以下)に抑えるには、通年
では最低140mA/m2以上が必要であるが、期別にすると第
1期は20mA/m2未満、第2期は110mA/m2、第3期は130mA
/m2および第4期は180mA/m2となり、ある時期は通年よ
りも高い電流密度となるが、平均110mA/m2となり、通年
定電流の80%に電流を低減できる。
実施例4 図4はボックスカルバート型取水路に設置した本発明
の海洋生物着生防止装置の一実施例を示す斜視図であ
り、図5は図4の海洋生物着生防止装置の断面図および
図6は図5のA−A′部分の側面図を示す。図4〜6に
おいて、1はパネル状構造体(電極体)、2は絶縁板
(電極サポート)、3は固着手段(ボルト)、4は海水
取水施設(冷却水取水路)をそれぞれ示す。なお、図4
において、矢印は水流方向を示す。また、図4〜6にお
いては、各パネル状構造体1に通電する直流電源は図示
されていない。この冷却水取水路4の内壁部分は幅2.4
m、高さ3.0m、長さ200mである。
図4〜6に示すように、電極となる複数のパネル状構
造体1は、冷却水取水路4の底面を除く内壁全面(対象
面積1800m2)に取り付けられている。この冷却水取水路
4の内壁の断面形状は図5に示されるように長方形であ
る。
このパネル状構造体1は、SS400の鉄鋼板で複合ラミ
ネート(裏面絶縁材とクッション材接合)からなり、そ
の寸法は幅0.85m、長さ1.8m、厚さ1.6mmである。
この各パネル状構造体1間の絶縁はFRP製電極サポー
ト2(幅0.1m、長さ4m)を用い、また固定は樹脂硬化型
埋込みの固定支持ボルト(商品名:ケミカルアンカー)
3を用いた。このFRP製電極サポート3の表面には凹部
を設け自己研削型防汚塗料を充填してこの部分の海洋生
物の付着を防止した。
具体的な固定方法は、流速に対する強度の保持と通電
による陽極(パネル状構造体)1の均一消耗を考慮して
ケミカルアンカーを用いて冷却水取水路4壁面に固定し
FRP製電極サポート2の支持溝にパネル状構造体1を挿
入嵌合し、さらにパネル状構造体1の振動を防止するた
め、その長さ方向の幅の中心部2m間隔に前記固定支持ボ
ルト3で固定した。
この海洋生物着生装置の配線図を図7に示す。符号は
図4と同様のものを示し、5は接続線、6は直流回路、
7は直流電源、8は交流回路、9は制御回路、10は制御
盤(集中監視装置)をそれぞれ示す。
直流回路6は各パネル状構造体1の裏面に取り付けた
水路ケーブルを接続線5として、地中部はCVケーブルを
使用して直流電源7に接続した。内壁面のパネル状構造
体1は相対する内壁面のパネル状構造体1が対となり、
それぞれ陽極、陰極となるように直流電源7に直流回路
6が接続されている。直流電源7は全波整流方式で出力
電力DC 20V×80A、極性転換と断続通電を集中管理機能
を有する制御盤10からの指示により切換供給するように
なっている。制御盤10は通常、AC 600V、3φの電力を
受電し、200V、3φに変換して直流電源7に給電する共
に集中管理機能により直流電源7の運転を制御し、モニ
ターにより水路壁面の海洋生物付着状態を監視する。こ
の直流電源7は、直流回路6の電圧降下による電力ロス
や配管、配線の材料費、工事費を低減するため、図7に
図示されるように直流電源7は5分割して冷却水取水路
4の近傍に設置し、各分割毎に1回路として5台の直流
電源7を設置し、各々を制御盤10で集中管理するように
した。
通電は直流電源に組み込んだ極性転換機構により1時
間を3サイクルとして実施した。この通電運転サイクル
の一例であるタイムチャートを図8に示す。この通電運
転サイクルで、通電電流を54A(0.3A/m2)とし、海洋生
物の繁殖期である春期から約50日間運転した。
この結果、パネル状構造体の表面は殆んど海洋生物の
着生が見られず、黒褐色を呈していた。その後、通電電
流を5.4A(0.03A/m2)に低減したが、70日経過後も海洋
生物の着生は一部に海藻類の付着が見られるものの進行
していなかった。これに対して、何らの防汚処理を施さ
ない同様の冷却水取水路では、この時期に海藻類やフジ
ツボ、ムラサキイガイといった海洋生物が取水路表面に
付着し、日を追って成長しているのが観察された。
また、運転中、パネル状構造体の陽極電位は−600〜
−710mV(SCE)を示し、海水中の塩素発生電位1.1V(SC
E)に達していないので塩素の発生はなかった。また、
パネル状構造体の陰極電位は−900mVより卑であり完全
に防食されていた。そして、これらパネル状構造体は電
解反応に伴う生成物の付着がみられるが、極性転換によ
って容易に除去された。なお、電解電圧は2.0〜4.0Vで
あった。通電電流を5.4Aに低減後の電圧は1.0〜1.5Vで
あった。
実施例5 図9は本発明の海洋生物着生防止装置の他の実施例を
示す断面図である。同図において、符号は図4〜6と同
様のものを示し、11は陰極材を示す。
この装置においては、陽極となる複数のパネル状構造
体1は、実施例4と同様に冷却水取水路4の底面を除く
内壁全面(対象面積1800m2)に取り付けられている。ま
た、冷却水取水路4の内壁底面には陰極となる鉄鋼製陰
極材11が敷設されている。
この複数のパネル状構造体1を陽極とし、陰極材11を
陰極として電気回路を構成し、実施例4と同様の条件で
通電を行なった。すなわち、通電電流は54A(0.3A/m2
とし、通電、通電断続の繰返しとし、通電30分、非通電
30分を1サイクルとして24サイクル/日の運転を行なっ
た。このタイムチャートを図10に示す。
この結果、50日経過後も実施例4と同様にパネル状構
造体の表面は殆んど海洋生物の着生が見られず、黒褐色
を呈していた。陰極は陽極パネル状構造体に比較して表
面積が極めて小さく、過剰防食状態なので、カルシウ
ム、マグネシウムからなる被覆は殆ど陰極表面に付着す
ることなく剥離し、海洋生物の付着も殆どみられなかっ
た。
実施例6 鋼管杭桟橋の基礎鋼管杭に本発明を適用した例の斜視
図を図11に示す。また、その基礎鋼管杭部分の断面図を
図12に示す。本実施例では桟橋の1ブロックの鋼管杭を
対象とし、1ブロック平面形状延長36m×巾12m、基礎鋼
管杭の外径800mmで5列×4列の配置である。なお、図1
1では、配線を誇張して示している。
図11〜12において、12は海洋構造物(桟橋鋼管杭)、
13は金属体(陽極)、14は陰極端子、15は電極線接続
箱、16はDC配線、17は分岐箱、18は直流電源装置、19は
桟橋上部溝、20は絶縁・クッション材、21は防食材、22
は被覆防食カバーおよび23は固着手段をそれぞれ示す。
また、H.W.Lは満潮水線、L.W.L.は干潮水線を意味す
る。
基礎鋼管杭12は潮の干潮帯を中心にペトロラタムペー
スト、ペトロラタムテープ、プラスチック発泡体等の防
食材21およびFRP製被覆防食カバー22による被覆防食が
施されている。
図12に示されるように、この被覆防食の最外層である
FRP製被覆防食カバー22の一部、すなわち海洋生物着生
部分を除去し、これに代えて絶縁・クッション材20を介
して3.2mm tの鋼板(金属体)13を巻回し鋼管杭12に固
着手段23を用いて締付固定した。
鋼板13を陽極とするために、鋼板の裏面に電気回路接
点を設け絶縁被覆電線を取付け、桟橋上部溝19に設けた
電極線接続箱15に導き直流電源装置18の正極に接続し
た。一方、鋼管杭12は別個導線を接続し電極線接続箱15
に引き入れて直流電源装置18の負極に接続した。
図11に示される鋼管杭桟橋は、常時水面下にある鋼管
杭に対して腐食防止のためアルミニウム合金陽極による
電気防食が施されているので、この海洋生物着生物防止
装置はL.W.L下1mからH.W.Lまでを対象として設置した。
この海洋生物着生防止装置を1ブロックの基礎鋼管杭
20本について実施し、他のブロックは従来通り被覆防食
と常時海水面下は電気防食を実施した。秋期に工事を終
え、海洋生物が活動し始める初春から通電を開始し、春
夏秋の活動期を経て約6〜7ケ月後に観察を行なった。
通電は、海洋生物の活動初期には50mA/m2の連続通
電、4〜5月には250mA/m2、6〜8月には200mA/m2、9
月には100mA/m2、10月には50mA/m2、11月には20mA/m2
12〜2月には無通電でそれぞれ実施した。
さらに、一部の鋼管杭については、繁殖最盛期の4〜
5月は1日の通電量を定め30分単位で通電と非通電の断
続通電を行なった。
この結果、海洋生物着生防止装置を用いない鋼管杭
は、水面下周辺に海洋生物の着生が15〜20cmも見られた
が、海洋生物着生防止装置を用いた鋼管杭には一部スラ
イムや海藻類あるいは微少な貝類の着生が見られたもの
もあったが、海洋生物の着生量を計算したところ前者が
4〜6Kg/m2に対して後者0.2Kg/m2以下であり、従来の1/
20以下であった。
実施例7 図13は、本発明を基礎鋼管杭部分に適用した状態を示
す断面図である。同図において、図12と同一の符号は同
様のものを示し、201はクッション材、202は絶縁材をそ
れぞれ示す。この鋼管杭12では被覆防食が施されていな
いので、H.W.Lの上部の飛沫帯まで、絶縁材202とクッシ
ョン材201を介して3.2mm tの鋼板(金属体)13が鋼管杭
12に被覆されている。
本実施例においても、鋼板13を陽極とするために鋼板
の裏面に電気回路接点を設け絶縁被覆電線を取付け、桟
橋上部溝19に設けた電極線接続箱15に導き直流電源装置
18の正極に接続した。一方、鋼管杭12は別個導線を接続
して電極線接続箱15に引き入れて直流電源装置18の負極
に接続した。
この海洋生物着生防止装置を用い、実施例6と同様に
試験を行なった結果、鋼管杭には一部スライムや海藻類
あるいは微少な貝類の着生が見られたものであったが、
その着生量は極めて少なかった。
実施例8 船舶外板に本発明を適用した例の側面図を図14に示
す。また、その断面図を図15に示す。
図14〜15において、図12と同一の符号は同様のものを
示し、24はスクリュー、25は舵、26は絶縁キールをそれ
ぞれ示す。またW.Lは吃水線である。
本実施例では、船舶外板(海洋構造物)12に塗布され
る防汚、防錆塗料に代えて、絶縁・クッション材20を介
して鋼板(金属体)13を取付けたものである。鋼板13と
絶縁・クッション材20とは予め一体構造として作成し、
これを船舶外板12に取付けるには、接着剤を絶縁・クッ
ション材20に塗布すると共に、要所にはスタッドボルト
(固着手段)23で締結した。なお、このスタッドボルト
24の頭部は整流キャップで成形し、船体外板の接水抵抗
を極力低減した。
この海洋生物着生防止装置を用い試験を行なった結
果、6ケ月後の船舶外板には一部スライムや微少な貝類
の着生が見られたものの、その着生量は極めて少なかっ
た。
上記実施例においては、海水中に構築された海洋構造
物や海水取水設備を例に挙げたが、淡水や汽水中に構築
された水中構造物や発電所の発電用水等の取水施設に
も、同様に適用できることはいうまでもない。
産業上の利用可能性 以上説明したように、本発明は、水中生物の生態に合
わせて、防汚対象となる陽極の電流密度を制御すること
によって、工業的、経済的な水中生物の着生防止あるい
は抑制が可能となった。特に、毒性金属イオンの発生や
塩素、次亜塩素酸塩の生成による水中生物の除去ではな
く、無毒性金属の活性溶解に基づく水中生物の着生、付
着防止方法である。そして、水中生物の付着量を所定の
値以下に抑制するための陽極の電流密度が明確になった
ことにより、運転管理が容易になり、陽極の寿命が推定
可能になった。
さらに、水中生物の生態を季節、気候、場所あるいは
月別に把握していわゆる水中生物の活動(活性、不活
性)に合わせた期別毎に陽極の電流密度の大きさを変動
させることによって、消費電力の低減や陽極の寿命をさ
らに延長させることが可能となった。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中構造物または取水施設の表面の水中生
    物着生部分に、絶縁材とクッション材を介して鉄、マグ
    ネシウム、アルミニウムまたはこれらの合金材からなる
    複数の各々が互いに絶縁された金属体で被覆し、それぞ
    れを電極とし、相対する金属体を一対として電気回路を
    構成し、極性転換機能を有する直流電源に接続して両極
    間に連続または断続して陽極電流密度を40〜500mA/m2
    通電すると共に、通電極性を転換させ、一方の金属体が
    陽極にある時に該金属体を構成する金属の表面が溶解活
    性化されることにより、該金属体表面への水中生物の着
    生を抑制または防止することを特徴とする水中生物の着
    生防止方法。
  2. 【請求項2】前記水中構造物が水中に構築された各種港
    湾、臨海施設または船舶である請求項1に記載の水中生
    物の着生防止方法。
  3. 【請求項3】前記取水施設が冷却水用または発電水用取
    水路である請求項1に記載の水中生物の着生防止方法。
  4. 【請求項4】前記金属体が板状材または成形材である請
    求項1に記載の水中生物の着生防止方法。
  5. 【請求項5】前記電気回路が交流との併用機能を有する
    請求項1に記載の水中生物の着生防止方法。
  6. 【請求項6】前記水中構造物が被覆防食されている請求
    項1に記載の水中生物の着生防止方法。
  7. 【請求項7】前記通電極性の転換が10秒〜60分間隔で行
    なわれる請求項1に記載の水中生物の着生防止方法。
  8. 【請求項8】前記断続通電における通電、非通電が10秒
    〜60分間隔で行なわれる請求項1に記載の水中生物の着
    生防止方法。
  9. 【請求項9】前記陽極の電流密度を水中生物の種類ある
    いは水中生物の活動生態時期に合せて定期または不定期
    に変動させる請求項1に記載の水中生物着生防止方法。
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