JP3061329B2 - シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵素 - Google Patents

シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵素

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JP3061329B2
JP3061329B2 JP27420992A JP27420992A JP3061329B2 JP 3061329 B2 JP3061329 B2 JP 3061329B2 JP 27420992 A JP27420992 A JP 27420992A JP 27420992 A JP27420992 A JP 27420992A JP 3061329 B2 JP3061329 B2 JP 3061329B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシクロヘキサンカルボン
酸フェニルエステル加水分解酵素に関するものである。
本発明による酵素、即ち、シクロヘキサンカルボン酸フ
ェニルエステル加水分解酵素は、医薬品として重要なセ
トラキサートの製造や、液晶性エステル化合物の製造等
の用途に使用される。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】これまでに見い出されて
いるシクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分
解酵素は存在しない。しかしフェノール性エステル加水
分解酵素としては、アリールエステラーゼの存在が知ら
れており、例えばクリニカ キミカ アクタ(Clin.Chi
m.Acta),7巻、560頁(1962年)に記載のヒト血液中ア
リールエステラーゼやバイオキミカ バイオフィジカ
アクタ(Biochim. Biophys. Acta),276巻、180頁(197
2)に記載のアリールエステラーゼ等が知られている。
【0003】従来から知られているこれらアリールエス
テラーゼは、動物の各組織から精製されたものであり、
該酵素の生産性が低く、工業的に該酵素を供することは
困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従
来の欠点を解決すべく鋭意研究した結果、フェノール性
のエステルを強く加水分解し、かつ酵素生産性の高い微
生物由来のシクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル
加水分解酵素を見い出すことが出来た。
【0005】即ち、本発明は、次の特徴的な理化学的性
質を有するシクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル
加水分解酵素を提供するものである。
【0006】作用 水存在下で、1モルのセトラキサート{本発明にいうセ
トラキサートとは4ー(2ーカルボキシエチル)フェニルトラ
ンスー4ーアミノメチルシクロヘキサンカルボキシレート
の慣用名である}から1モルのトラネキサム酸と1モルの
ヒドロキシフェニルプロピオン酸を生成せしめる。
【0007】基質特異性 N−アセチルセトラキサート、トラネキサム酸フェニ
ル、セトラキサート、4ー(2ーカルボキシエチル)フ
ェニルシクロヘキサンカルボキシレート、トラネキサム
酸ヘキシルに対して作用し、トラネキサム酸ミリスチ
ル、トラネキサム酸メチルに対しては、作用を示さな
い。これらのエステル類に対する作用の強さを、セトラ
キサートに対する作用を100とした相対活性値で表1
に示す。
【0008】
【表1】
【0009】至適pH:pH5.5〜6.5(図1に示す) pH安定性:4℃下にて24時間保存した時、pH5.0〜9.0
において80%以上の残存活 性を有する。
(図2に示す) 至適温度:0.1Mクエン酸緩衝液(pH6.0)において40
℃(図3に示す) 温度安定性:0.01M リン酸緩衝液(pH7.5)におい
て、各温度に5分間保持した 時、40℃以
下で95%以上の残存活性を有する。(図4に示す) 分子量:53、000±5、000((商品名:HPLC用カラムTSK-
gel G3000SWXL 東ソー社製)によるゲル濾過法より)
(図5に示す) 本発明のシクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加
水分解酵素のその他の理化学的性質は以下の通りであ
る。
【0010】Km値 0.05Mクエン酸緩衝液(pH6.0)の条件におけるセトラキ
サートに対するKm値は0.6mMである。
【0011】阻害剤 種々の試薬及び金属イオンの濃度1mMまたは0.1mMでの本
発明の酵素に対する影響を表2に示す。表2から本発明
の酵素は水銀イオン、銀イオンにより強く阻害を受ける
ことがわかる。
【0012】
【表2】
【0013】本発明におけるシクロヘキサンカルボン酸
フェニルエステル加水分解酵素の活性測定方法及び酵素
活性値の表示方法は以下の通りである。
【0014】 シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解活性の測定 2.0mMセトラキサート溶液(in 0.1Mクエン酸緩衝液(pH6.0)) 0.5ml 酵素溶液 0.1ml 蒸 留 水 0.4ml ─────── total 1.0ml 上記組成の溶液をよく攪はん後、37℃、1時間インキュ
ベートし、反応液とした。この反応液に直ちに50%トリ
クロロ酢酸0.1mlを添加し、氷冷下15分間静置後遠心分
離操作をし、上清0.55mlを分取した。この除蛋白された
上清0.55mlに0.5M酢酸ナトリウム0.5mlと蒸留水0.45ml
を添加し攪はんした後HPLC分析サンプルとした。またブ
ランクとして酵素溶液を蒸留水に代えてまったく同じ操
作をした。HPLC分析カラムはShim-pack CLC-ODS(6.0m
mφ×150mm)(商品名:島津製作所社製)を使用した。
またトラネキサム酸の検出は蛍光検出法により行った。
このHPLC分析により測定された酵素溶液系のトラネキサ
ム酸の濃度(Eμmol/l)、ブランク系のトラネキサム
酸の濃度(Bμmol/l)から酵素反応により生成したト
ラネキサム酸の濃度をTμmol/lとするとTμmol/l=E
μmol/l−Bμmol/lとなる。このトラネキサム酸の濃度
より下記計算式(1)により酵素活性値を算出した。
【0015】酵素活性計算式 生成したトラネキサム酸の濃度をTμmol/lとすると酵
素溶液1.0ml当りの酵素活性値(u/ml)は 酵素活性値=(3/1000)×(1/60)×(1/0.1)×T (1) となる。ただし酵素活性単位u(ユニット)は1分間当
り1μmolのトラネキサム酸を生成することの出来る酵
素量と定義した。またトラネキサム酸定量用HPLCの
分析条件は以下のようにした。
【0016】HPLC分析条件 1.装置 1)液クロ本体 Waters 600E 2)カラム恒温槽(50゜C) 島津 CTO-6A 3)反応液送液ポンプ Waters 510 4)蛍光検出器 島津 RF-535 5)レコーダ及びデータ処理 島津 C-R4A 6)オートサンプラー Waters 700 7)反応槽(50℃) 島津 CRB-6A 8)UV検出器 Waters 484 2.カラム 島津 Shim-pack CLC-ODS(6.0mmφ×150mm) 3.移動相 I液 0.1M過塩素酸ナトリウム 10mMヘキサンスルホン酸ナトリウム (pH4.0) II液 I液 25% メタノール 75% (pH3.0) I液とII液による濃度勾配溶出法 4.反応液 Brij-35 0.4g 炭酸二ナトリウム 40.0g ホウ酸 13.4g 硫酸カリウム 18.4g オルソフタルアルデヒド/12mlエタノール 0.80g β-メルカプトエタノール 2.0ml (pH10.5) 5.流速 移動相:1.1ml/min 反応液:0.4ml/min 本発明のシクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加
水分解酵素は、該シクロヘキサンカルボン酸フェニルエ
ステル加水分解酵素の生産能のある微生物の培養物から
採取することが出来るが、その微生物としては、例えば
エスシェリシア・コリ N−0002微工研菌寄第13
190号(Escherichia coli N-0002 FERM P-13190)が
挙げられる。本菌は該シクロヘキサンカルボン酸フェニ
ルエステル加水分解酵素生産菌として通商産業省工業技
術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第13190号
として寄託されている。
【0017】本発明のシクロヘキサンカルボン酸フェニ
ルエステル加水分解酵素を生産する生産菌を培養する際
に使用する培地としては特に限定されない。例えば炭素
源としてグルコース、糖密、可溶性でんぷん等の炭素
源、窒素源として肉エキス、酵母エキス、ポリペプトン
等の窒素源、無機塩類として例えば燐酸第一カリウム、
燐酸第二カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸アンモニウム等の無機塩類を適宣組み合わせた
ものであればよい。
【0018】本発明のシクロヘキサンカルボン酸フェニ
ルエステル加水分解酵素を生産する生産菌を培養する際
の培養条件としては、通気攪はん条件下で培養温度が15
〜40℃の範囲、好ましくは25〜35℃の範囲で培養する方
法が好適である。培養時のpH条件は、4.0〜9.0の範囲
で、好ましくはpH5.0〜8.0の範囲が適当である。培養時
間は、特に限定されないが酵素の生産性等の経済性を考
慮すると増殖の後期に達する時間から休止状態に入って
から10時間以内の範囲が適当である。シクロヘキサンカ
ルボン酸フェニルエステル加水分解酵素は、培養物の中
の菌体内と培養液側の両者に蓄積される。培養によって
得られた培養物から培養液と菌体とを分離する方法とし
ては、従来から行われている遠心分離法や濾過等の方法
が使用出来るが、遠心分離の方法が好適である。
【0019】本発明のシクロヘキサンカルボン酸フェニ
ルエステル加水分解酵素の分離精製は、次の様にして行
うことが出来る。菌体内に蓄積されたシクロヘキサンカ
ルボン酸フェニルエステル加水分解酵素を精製する場合
は、該酵素を菌体から何らかの方法によって抽出する必
要がある。抽出方法としては、従来から行われている超
音波による菌体破砕、あるいはガラス・ビーズと共に回
転させるダイノミル破砕機による菌体破砕又は、リゾチ
ーム等の酵素やトルエン等の有機溶媒による細胞膜の破
壊等の方法が挙げられる。これらの中から適当な方法を
選択して菌体から酵素の抽出を行うことにより、酵素の
採取が出来る。また菌体外のシクロヘキサンカルボン酸
フェニルエステル加水分解酵素を分離する場合は、培養
液を通常の酵素精製法に用いられる方法、例えば塩析、
透析等の処理によって分離することが出来る。
【0020】これらの方法で抽出または、分離された粗
酵素液からシクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル
加水分解酵素をさらに精製する必要性がある場合は、通
常実施されている一般的な酵素の精製手段である硫酸ア
ンモニウム沈澱法、イオン交換カラムクロマトグラフィ
ー法、ゲル濾過法、ヒドロキシアパタイトカラムクロマ
トグラフィー法、アフィニティークロマトグラフィー
法、疎水性カラムクロマトグラフィー法、調製用電気泳
動法等の方法を適宜組み合わせるか、あるいは繰り返す
ことによって精製を行うことが出来る。
【0021】本発明によるシクロヘキサンカルボン酸フ
ェニルエステル加水分解酵素の完全に純化された酵素の
比活性値は、約90ユニット/mg-タンハ゜ク を示す。又、ポリアク
リルアミドゲル電気泳動上において単一の蛋白バンドが
観測される。
【0022】
【発明の効果】本発明のシクロヘキサンカルボン酸フェ
ニルエステル加水分解酵素は、その工業的生産が可能で
ある。したがって、本発明のシクロヘキサンカルボン酸
フェニルエステル加水分解酵素は、フェノール性エステ
ル類例えばセトラキサートの加水分解、および本発明酵
素の逆反応を利用したフェノール性エステル類の合成例
えばセトラキサートの合成に好適に使用される。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
ない。
【0024】実施例1 1.0%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5% 食塩、0.
01%消泡剤から成る培地(pH 7.2)1,000mlを5lの三
角フラスコに入れ、120 ℃で15分間オートクレーブした
後、30℃下でこの培地にエスシェリシア・コリ N−0
002(微工研菌寄第13190号)を植菌する。30℃
で24時間振とう培養を行った後この培養液を、あらかじ
め上記と同様の組成を有する培地 170lを仕込みそして
蒸気滅菌をしたジャー・ファーメンターに植菌し本培養
を行った。
【0025】22時間培養の後、培養物中のシクロヘキサ
ンカルボン酸フェニルエステル加水分解活性を測定した
結果、0.05ユニット/ml-培養物であった。
【0026】培養物を遠心分離機にかけて菌体を採取し
た。得られた菌体の100g(湿菌体重量)を1lの0.01M
リン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、 その懸濁液をダイノ
ミル細胞破砕機に連続的に通過させて菌体破砕を行っ
た。その破砕液を遠心分離機を使用して遠心分離し、上
清液を得た。この上清液中のシクロヘキサンカルボン酸
フェニルエステル加水分解酵素の総活性は 831ユニット、比
活性は0.007ユニット/mg-タンハ゜ク であった。この上清液を、
あらかじめ 0.01Mのリン酸緩衝液(pH7.2)にて平衡化
したDE52イオン交換樹脂(商品名:ワットマン社製)を
充填したカラム(9.0×30cm)に負荷させた。カラムを2
lの 0.01Mリン酸緩衝液(pH7.2)で充分に洗浄後、食
塩濃度が 0Mから0.3Mである直線濃度勾配(総容量:16
l) にて吸着されたタンパク質を溶出せしめ、シクロ
ヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解活性画分
を回収した。本活性画分中のシクロヘキサンカルボン酸
フェニルエステル加水分解酵素の総活性は、795ユニット、
比活性は0.09ユニット/mg-タンハ゜ク であった。
【0027】この溶出液を限外濾過により脱塩濃縮後、
氷冷下飽和硫酸アンモニウム溶液をゆっくり混ぜながら
55%飽和硫酸アンモニウム溶液になるまで添加した。約
1時間静置後遠心分離操作をした。この上清を同様にさ
らに75%飽和硫酸アンモニウム溶液とした。約1時間静
置後遠心分離操作をした。この沈澱物に氷冷した0.01M
リン酸緩衝液(pH7.2)100mlを加え溶解した。この溶液
を限外濾過により脱塩後シクロヘキサンカルボン酸フェ
ニルエステル加水分解活性画分とした。本活性画分中の
シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵
素の総活性は、765ユニット、比活性は0.26ユニット/mg-タンハ゜ク
であった。
【0028】次いであらかじめ0.01Mのリン酸緩衝液(p
H7.2)で平衡化したDEAE−トヨパール(商品名:東
ソー社製)を充填したカラム(3.2×28cm )に通した。
1lの 0.05Mの食塩を含むリン酸緩衝液 (pH7.2)でカ
ラムを洗浄後、食塩濃度が 0.05Mから0.15Mである直線
濃度勾配(総容量:6l) にて吸着されたタンパク質を
溶出せしめ、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステ
ル加水分解活性画分を回収した。本活性画分中のシクロ
ヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵素の総
活性は、627ユニット、比活性は1.77ユニット/mg-タンハ゜ク であっ
た。
【0029】この活性画分を限外濾過装置を用いて、脱
塩及び濃縮した後、あらかじめ0.1Mの硫酸ナトリウムを
含有する0.05Mリン酸緩衝液(pH7.2)で平衡化したセフ
ァクリル S−400(商品名:ファルマシア社製)を充填
したカラム(2.2×120cm)に負荷しゲル濾過を行った。
シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解活
性画分を回収した。本活性画分中のシクロヘキサンカル
ボン酸フェニルエステル加水分解酵素の総活性は、561ユ
ニット、比活性は32.9ユニット/mg-タンハ゜ク であった。
【0030】次いで限外濾過装置にて脱塩後、あらかじ
め0.01Mのリン酸緩衝液(pH7.2)で平衡化したDEAE
−トヨパール(商品名:東ソー社製)を充填したカラム
(2.0×20cm )に通した。300mlの 0.05Mの食塩を含む
リン酸緩衝液 (pH7.2)でカラムを洗浄後、食塩濃度が
0.05Mから0.15Mである直線濃度勾配(総容量:2l)に
て吸着されたタンパク質を溶出せしめ、シクロヘキサン
カルボン酸フェニルエステル加水分解活性画分を回収し
て精製酵素溶液を得た。この精製酵素溶液中のシクロヘ
キサンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵素の総活
性は 412ユニット、比活性は91ユニット/mg-タンハ゜ク であった。
【0031】こうして得られた酵素の純度をポリアクリ
ルアミド・ゲル電気泳動によって調べた結果、一本のバ
ンドのみが観察され、純粋なシクロヘキサンカルボン酸
フェニルエステル加水分解酵素であることが確認され
た。
【0032】得られた精製酵素を使って本酵素の基質特
異性、至適pH、pH安定性、至適温度、温度安定性、
分子量を調べた。
【0033】基質特異性 前記表1に示す各種基質を50mMクエン酸緩衝液に2mMに
なる様溶解した。この基質溶液0.9mlに対し0.1mlの酵素
液を添加し、攪拌後37℃5分間反応させた。その後の処
理は通常の酵素活性測定法と同様にした。但し各々の反
応に対しコントロールとして酵素液の代わりに蒸留水を
添加したものを用意し同様に操作した。反応後の分析は
通常のHPLC分析とした。分析後酵素液系のトラネキ
サム酸またはヒドロキシフェニルプロピオン酸生成量か
ら蒸留水系のトラネキサム酸またはヒドロキシフェニル
プロピオン酸生成量を差引き酵素活性を計算した。
【0034】その時の結果をセトラキサートを基質とし
た場合の活性を100として相対活性で前出の表1に示し
た。 至適pH 精製酵素標品を蒸留水にて0.1u/ml程度まで希釈し、サ
ンプルとした。酵素反応のpHは次に示す緩衝液を使って
調製した。酵素反応は通常の方法により行った。但し反
応時間は30分とし、各々の反応に対しコントロールとし
て酵素液の代わりに蒸留水を添加したものを用意し同様
に操作した。反応後の分析は通常のHPLC分析とし
た。分析後酵素液系のトラネキサム酸生成量から蒸留水
系のトラネキサム酸生成量を差引き酵素活性を計算し
た。
【0035】反応系に用いた各種緩衝液(全ての緩衝液
は0.1Mとした。) クエン酸緩衝液:pH2.5,3.0,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,
6.5 燐酸緩衝液:pH:6.1,6.6,7.1,7.5,8.0 トリス緩衝液:7.4,8.0,8.5,9.0 グリシン緩衝液:8.3,8.6,9.0,9.4,9.7,10.9,11.8 この時の結果を図1に示した。
【0036】pH安定性 精製酵素標品を各緩衝液中に一定量取り4℃、24時間静
置保存した。その後酵素の残存活性を通常の酵素活性測
定法で測った。但し反応時間は30分とした。
【0037】保存に用いた各種緩衝液(全ての緩衝液は
0.1Mとした。) クエン酸緩衝液:pH2.5,3.0,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,
6.5 燐酸緩衝液:pH:6.1,6.6,7.1,7.5,8.0 トリス緩衝液:7.4,8.0,8.5,9.0 グリシン緩衝液:8.3,8.6,9.0,9.4,9.7,10.9,11.8 この時の結果を図2に示す。
【0038】至適温度 精製酵素標品を蒸留水にて0.1u/ml程度まで希釈し、サ
ンプルとした。酵素反応は通常の方法により行った。但
し反応温度は20、30、40、50、55、60、70、80、90℃で
それぞれ行った。また反応時間は5分とし、各々の反応
に対しコントロールとして酵素液の代わりに蒸留水を添
加したものを用意し同様に操作した。反応後の分析は通
常のHPLC分析とした。分析後酵素液系のトラネキサ
ム酸生成量から蒸留水系のトラネキサム酸生成量を差引
き酵素活性を計算した。この時の結果を図3に示す。
【0039】温度安定性 酵素精製標品を10mM燐酸緩衝液(pH7.5)中で20、30、4
0、50、55、60、80、90℃に5分間保持した。その後直
ちに氷冷した。このサンプルを10mM燐酸緩衝液(pH7.
5)で50倍希釈し、残存酵素活性測定サンプルとした。
酵素活性の測定は通常の方法により行った。但し反応時
間は30分とした。
【0040】この時の結果をに図4に示した。図から本
酵素の温度安定範囲は40℃以下で95%以上の残存活性で
あった。しかし本酵素は50℃以上でも80%以上の残存活
性が見られた。このことは至適温度の実験と合わせて考
えると本酵素は40℃以上では一旦不活性型になるが、冷
却されることにより再び活性型になることが出来ると考
えられる。さらにこの現象を確認するため次の実験を行
った。先の実験と保持温度は同じ20〜90℃とし、保持時
間を5分から1時間と延ばした。さらに酵素を溶解して
いる緩衝液のpHをpH7.5からpH5.5、7.0、8.0の3種に変
えた。この時も本酵素は同じ現象がみられることがわか
った。本発明の酵素は温度安定性について特徴的な性質
を有していることが判明した。
【0041】分子量 ゲル濾過法による分子量の測定を行った。カラムはHPLC
用カラムTSK-gel G3000SWXLを使用した。移動相は50mM
燐酸緩衝液(pH7.1)、0.2M硫酸ナトリウムを使用し
た。流速は0.5ml/minとした。マーカー蛋白は図5に示
したものを使用した。HPLCの検出はUV280nmで行
い、また標品の溶出位置はその酵素活性の測定も併せて
行った。その結果を図5に示した。
【0042】実施例2 実施例1で得られたシクロヘキサンカルボン酸フェニル
エステル加水分解酵素を用いて、セトラキサートからの
酵素反応による生成物の同定及び定量を行った。
【0043】 トラネキサム酸の定量 2.0mMセトラキサート溶液(in 0.1Mクエン酸緩衝液(pH6.0)) 0.5ml 精製酵素溶液(20ユニット/ml) 0.1ml 蒸 留 水 0.4ml ─────── total 1.0ml よく攪はん後、37℃、3時間インキュベートし、反応液
とした。この反応液に直ちに50%トリクロロ酢酸0.1mlを
添加し、氷冷下15分間静置後遠心分離操作をし上清0.55
mlを分取した。この除蛋白された上清0.55mlに0.5M酢酸
ナトリウム0.5mlと蒸留水0.45mlを添加し攪はんした後H
PLC分析サンプルとした。HPLC分析カラムはShim-pack
CLC-ODS(6.0mmφ×150mm)(商品名:島津製作所社
製)を使用した。またトラネキサム酸の検出は蛍光検出
法により行った。このHPLC分析により生成したトラネキ
サム酸濃度を測定した結果、340μmole/lであった。
この結果、1.0 モルのセトラキサートからトラネキサム
酸が1.0モル生成することが認められた。
【0044】 ヒドロキシフェニルプロピオン酸の定
量 トラネキサム酸の定量と同様に操作した。但しヒドロ
キシフェニルプロピオン酸の検出は波長254nmでのUV
検出法により行った。その結果生成したヒドロキシフェ
ニルプロピオン酸の濃度は330μmole/lであった。こ
の結果、1.0 モルのセトラキサートからヒドロキシフェ
ニルプロピオン酸が1.0モル生成することが認められ
た。
【0045】比較例1 実施例2の精製酵素溶液を表3に示す市販のエステル加
水分解酵素溶液(酵素粉末5mg/ml)に代えた以外は、
実施例2と全く同じ操作を行った。その結果を表3に示
す。表3から市販のエステル加水分解酵素はセトラキサ
ートを基質として加水分解出来ないかまたは出来たとし
ても本発明の酵素に比べその比活性が著しく低いことが
確認された。
【0046】表3では、生成したトラネキサム酸及びヒ
ドロキシフェニルプロピオン酸の濃度を示す。
【0047】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシクロヘキサンカルボン酸フェニル
エステル加水分解酵素のpH活性曲線を示す図である。
【図2】 同酵素のpH安定性を示す図である。
【図3】 同酵素の温度活性曲線を示す図である。
【図4】 同酵素の温度安定性を示す図である。
【図5】 同酵素の分子量を示す図である。(●:本発
明の酵素、○:マーカータンパク)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/00 - 9/99 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するシクロヘキ
    サンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵素 作用:水の存在下で、セトラキサートに作用し、トラ
    ネキサム酸とヒドロキシフェニルプロピオン酸を生成せ
    しめる。 基質特異性:N−アセチルセトラキサート、トラネキ
    サム酸フェニル、セトラキサート、4ー(2ーカルボキ
    シエチル)フェニルシクロヘキサンカルボキシレートに
    対して作用する。 至適pH:pH5.5〜6.5 pH安定性:4℃下にて24時間保存した時、pH5.0〜9.0
    において80%以上の残存活性を有する。 至適温度:40℃ 温度安定性:各温度に5分間保持した時、40℃以下で
    95%以上の残存活性を有する。 分子量:53,000±5,000
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