JP3059274B2 - スピロオルトカーボナート化合物 - Google Patents

スピロオルトカーボナート化合物

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JP3059274B2
JP3059274B2 JP3315529A JP31552991A JP3059274B2 JP 3059274 B2 JP3059274 B2 JP 3059274B2 JP 3315529 A JP3315529 A JP 3315529A JP 31552991 A JP31552991 A JP 31552991A JP 3059274 B2 JP3059274 B2 JP 3059274B2
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文雄 三田
淳一 山内
十志和 高田
剛 遠藤
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なスピロオルトカ
ーボナート化合物に関する。本発明の化合物は重合性新
規化合物であって、成形材料、複合材料、注型材料、封
止材料、医用材料、歯科材料、塗料および接着剤等の原
料として有用である。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチル
メタクリレート、スチレン、エチレンオキシド、エピク
ロロヒドリン等の重合性モノマーが重合する際に大きな
収縮を伴うことはよく知られている。また、エポキシ樹
脂やフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂が硬化する際
の体積収縮は、注型材料、封止材料、接着材料等の分野
で大きな問題となっている。
【0003】もし、重合時に非収縮性を示す材料が出来
れば、寸法精度の向上やそり、歪、隙間発生の低減によ
る精密な成形、内部応力の減少による材料強度や接着力
の向上等が期待できる。
【0004】従来、スピロオルトカーボナート化合物の
数種のものについては、開環異性化重合に伴う体積減少
が非常に小さいまたは体積が増大するという現象が報告
され、前記の各種用途への応用が注目されている。
【0005】スピロオルトカーボナート化合物の開環異
性化重合法としては、三フッ化ホウ素・エ−テル錯体等
のルイス酸および/またはトリフルオロメタンスルホン
酸等のブレンステッド酸を重合開始剤に用いるカチオン
重合による方法、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ
ビス系化合物および/または過酸化ベンゾイル等の有機
過酸化物を用いるラジカル重合による方法等が知られて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ルイス酸および/また
はブレンステッド酸を重合開始剤に用いるカチオン重合
によるスピロオルトカーボナート化合物の開環異性化重
合法は、ルイス酸やブレンステッド酸が通常強酸である
ため取り扱いが困難で、重合への水分の影響が大であ
り、得られた重合体の着色、重合体に残存する酸成分の
腐食性および有毒性等の問題があった。
【0007】一方、アゾビス系化合物および/または有
機過酸化物を重合開始剤に用いるラジカル重合によるス
ピロオルトカーボナート化合物の開環異性化重合法は、
ルイス酸および/またはブレンステッド酸を用いるカチ
オン重合による方法に見られる問題は通常見受けられな
いものの、ラジカル重合により開環異性化し、重合膨張
を示すモノマーはごく一部に限られており、かつ、開環
異性化率が小であり、その結果重合膨張率が小であると
いう問題があった。
【0008】本発明の目的は、ラジカル重合により開環
異性化重合し、重合膨張率が大であるスピロオルトカー
ボナート化合物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記の問題
点を解決するために、ラジカル重合により開環異性化重
合し、重合膨張率が大であるスピロオルトカーボナート
化合物について鋭意検討した結果、ある特定の構造を有
するスピロオルトカーボナート化合物がラジカル重合に
より開環異性化重合し、重合膨張率が大であることを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は下記の化2
【0011】
【化2】 (式中、R↑1、R↑2、R↑3、R↑4、R↑5、R↑6、
R↑7、R↑8、R↑9、R↑10、R↑11およびR↑12は
それぞれ水素原子または低級アルキル基を、R↑13、R
↑14、R↑15およびR↑16はそれぞれ水素原子、低級ア
ルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、
シアノ基、アミノ基、アミド基、水酸基またはエステル
基を表す。)で示されるスピロオルトカーボナート化合
物に関するものである。
【0012】前記の化1中、R↑1、R↑2、R↑3、R
↑4、R↑5、R↑6、R↑7、R↑8、R↑9、R↑10、R
↑11およびR↑12がそれぞれ表す低級アルキル基として
は、炭素数8以下のアルキル基、例えばメチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル
基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n
−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙
げられ、R↑13、R↑14、R↑15およびR↑16がそれぞ
れ表す低級アルキル基としては炭素数8以下のアルキル
基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル
基、n−オクチル基等が挙げられ、アルキルオキシ基と
しては例えばメチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プ
ロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオ
キシ基、n−ペンチルオキシ基等が挙げられ、ハロゲン
基としては例えばクロロ基、ブロモ基等が挙げられ、ア
ミノ基としては例えばN−メチルアミノ基、N,N−ジ
メチルアミノ基等が挙げられ、アミド基としては例えば
アミノカルボニル基、フォルミルアミノ基等が挙げら
れ、エステル基としては例えばメトキシカルボニル基、
アセチルオキシ基等が挙げられる。
【0013】本発明のスピロオルトカーボナート化合物
の好ましい例として次の化合物が挙げられる。
【0014】
【化3】
【化4】
【0015】なお、本発明のスピロオルトカーボナート
化合物は一種の化合物だけでなく、二種以上の化合物の
混合物として用いても良い。
【0016】本発明のスピロオルトカーボナート化合物
は他の重合性モノマーとの混合物として用いても良い。
他の重合性モノマーとしては、ラジカル重合性を有する
ものであれば良く、好ましい例としてアクリル酸、メタ
クリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、アクリロニトリル、アクリルアミド、塩化ビニル、
酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
【0017】前記の化1で示されるスピロオルトカーボ
ナート化合物の製造方法は特に限定されない。工業的に
有利な製造方法を例示すれば以下の通りである。
【0018】即ち、下記の化5
【0019】
【化5】
【0020】(式中、Arは芳香族基、Xはハロゲン基
を表す。)で示されるジハロジアリロキシメタン化合物
と、下記の化6
【0021】
【化6】
【0022】(式中、R↑1、R↑2、R↑3、R↑4、R
↑5、R↑6、R↑7およびR↑8はそれぞれ水素原子また
は低級アルキル基を表し、Yはハロゲン基を表す。)で
示されるジオール化合物とを脱ハロゲン化水素させるこ
とにより下記の化7
【0023】
【化7】
【0024】(式中、Arは芳香族基、R↑1、R↑2、
R↑3、R↑4、R↑5、R↑6、R↑7およびR↑8はそれ
ぞれ水素原子または低級アルキル基を表し、Yはハロゲ
ン基を表す。)で示されるジオキセパン化合物を製造
し、化7で示されるジオキセパン化合物と下記の化8
【0025】
【化8】
【0026】(式中、R↑9、R↑10、R↑11およびR
↑12はそれぞれ水素原子または低級アルキル基を表し、
R↑13、R↑14、R↑15およびR↑16はそれぞれ水素原
子、低級アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン基、
ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、水酸基また
はエステル基を表す。)で示されるジオール化合物とを
脱アリロールさせることにより下記の化9
【0027】
【化9】
【0028】(式中、R↑1、R↑2、R↑3、R↑4、R
↑5、R↑6、R↑7、R↑8、R↑9、R↑10、R↑11お
よびR↑12はそれぞれ水素原子または低級アルキル基を
表し、R↑13、R↑14、R↑15およびR↑16はそれぞれ
水素原子、低級アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲ
ン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、水酸
基またはエステル基を表し、Yはハロゲン基を表す。)
で示されるスピロオルトカーボナート化合物を製造し、
化9で示されるスピロオルトカーボナート化合物を脱ハ
ロゲン化水素することにより化1で示されるスピロオル
トカーボナート化合物を製造する方法、あるいは化5で
示されるジハロジアリロキシメタン化合物と、化8で示
されるジオール化合物とを脱ハロゲン化水素させること
により下記の化10
【0029】
【化10】
【0030】(式中、Arは芳香族基、R↑9、R↑1
0、R↑11およびR↑12はそれぞれ水素原子または低級
アルキル基を表し、R↑13、R↑14、R↑15およびR↑
16はそれぞれ水素原子、低級アルキル基、アルキルオキ
シ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ア
ミド基、水酸基またはエステル基を表す。)で示される
ジオキセパン化合物を製造し、化10で示されるジオキ
セパン化合物と化6で示されるジオール化合物とを脱ア
リロールさせることにより化9で示されるスピロオルト
カーボナート化合物を製造し、化9で示されるスピロオ
ルトカーボナート化合物を脱ハロゲン化水素することに
より化1で示されるスピロオルトカーボナート化合物を
製造する方法が好ましい。
【0031】前記の化5で示されるジハロジアリロキシ
メタン化合物中、Arが表す芳香族基としては、例えば
フェニル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニ
ル基、p−プロピルフェニル基、p−フェニルフェニル
基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、X
が表すハロゲン基としては、例えばクロロ基、ブロモ
基、ヨード基等が挙げられる。
【0032】前記の化6で示されるジオール化合物中、
Yが表すハロゲン基としては、例えばクロロ基、ブロモ
基、ヨード基等が挙げられる。
【0033】化5で示されるジハロジアリロキシメタン
化合物と、化6または化8で示されるジオール化合物と
の脱ハロゲン化水素反応は、化5で示されるジハロジア
リロキシメタンと、化6または化8で示されるジオール
化合物とを、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ト
リn−プロピルアミン等のアミンの存在下混合すること
により行われる。化5で示されるジハロジアリロキシメ
タン化合物と、化6または化8で示されるジオール化合
物は等モル混合するのが好ましい。アミンは化5で示さ
れるジハロジアリロキシメタン化合物に対して、200
〜600モル%、好ましくは200〜300モル%用い
られる。
【0034】反応温度は−78〜100℃、好ましくは
−20〜50℃の範囲の温度が採用される。反応は通常
窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行わ
れる。
【0035】上記の反応は、溶媒の不存在下で行っても
良いが、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエ
チレン等のハロゲン化炭化水素等のような溶媒の存在下
で行うのが反応熱の除去、操作の容易さ等の点で好まし
い。
【0036】反応時間は通常1〜100時間の範囲内か
ら選ばれる。所望の転化率に到達した後、反応液を水で
洗浄した後、公知の方法により得られた化7で示される
ジオキセパン化合物または化10で示されるジオキセパ
ン化合物を単離、精製する。
【0037】化7で示されるジオキセパン化合物と化8
で示されるジオール化合物との脱アリロール反応または
化10で示されるジオキセパン化合物と化6で示される
ジオール化合物との脱アリロール反応は、化7で示され
るジオキセパン化合物と、化8で示されるジオール化合
物または化10で示されるジオキセパン化合物と化6で
示されるジオール化合物とをp−トルエンスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸等の酸触媒存在下、混合することに
より行われる。化7で示されるジオキセパン化合物と、
化8で示されるジオール化合物または化10で示される
ジオキセパン化合物と化6で示されるジオール化合物は
等モル混合するのが好ましい。酸触媒は化7で示される
ジオキセパン化合物または化10で示されるジオキセパ
ン化合物に対して、0.01〜10モル%、好ましくは
0.1〜5モル%用いられる。
【0038】反応温度は−78〜100℃、好ましくは
−20〜50℃の範囲の温度が採用される。反応は通常
窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行わ
れる。
【0039】上記の反応は、溶媒の不存在下で行っても
良いが、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエ
チレン等のハロゲン化炭化水素等のような溶媒の存在下
で行うのが反応熱の除去、操作の容易さ等の点で好まし
い。
【0040】反応時間は通常1〜100時間の範囲内か
ら選ばれる。所望の転化率に到達した後、反応液を水で
洗浄し、公知の方法により得られた化9で示されるスピ
ロオルトカーボナート化合物を単離、精製する。
【0041】化9で示されるスピロオルトカーボナート
化合物の脱ハロゲン化水素反応は、化9で示されるスピ
ロオルトカーボナート化合物と、ナトリウムメトキシ
ド、カリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシ
ド等のナトリムアルコキシド、カリウムアルコキシドを
混合することにより行われる。ナトリウムアルコキシ
ド、カリウムアルコキシドは化9で示されるスピロオル
トカーボナート化合物に対して100〜400モル%、
好ましくは100〜200モル%用いられる。
【0042】反応温度は−78〜100℃、好ましくは
−20〜50℃の範囲の温度が採用される。反応は通常
窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行わ
れる。
【0043】上記の反応は、溶媒の不存在下で行っても
良いが、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、テトラヒドロフラン等のような溶媒の存在下
で行うのが反応熱の除去、操作の容易さ等の点で好まし
い。
【0044】反応時間は通常1〜100時間の範囲内か
ら選ばれる。所望の転化率に到達した後、反応液を水で
洗浄し、公知の方法により得られた化1で示されるスピ
ロオルトカーボナート化合物を単離、精製する。
【0045】本発明のスピロオルトカーボナート化合物
は、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等のカチオン重合触
媒により開環異性重合する。また、アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビス−2,4
−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカ
ルボニトリル等のアゾビス系重合開始剤;ジイソプロピ
ルペルオキシジカーボナート、2,4−ジクロルベンゾ
イルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイ
ルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−
ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、ジ−
t−ブチルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキ
シド、ピナンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオ
キシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等の過酸化物系
重合開始剤等のラジカル重合開始剤によっても開環異性
化重合する。
【0046】また、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、
キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサント
ン、2−エチルアントラキノン等の芳香族ケトン;アセ
トフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン
イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ
ル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメ
トキシ−2−フェニル−アセトフェノンベンジルジメチ
ルケタール等のアセトフェノン類等の開始剤を用いた紫
外線ラジカル重合や、ノルカンファーキノン/N,N−
ジメチルアミノエチルメタクリレート、カンファーキノ
ン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、カ
ンファーキノン/p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸
エチル等のα−ジケトン/アミン系開始剤を用いた可視
光線ラジカル重合も使用される。
【0047】前記のラジカル重合開始剤は、化1で示さ
れるスピロオルトカーボナート化合物に対して、0.0
1〜10モル%、好ましくは0.05〜3モル%の範囲
内で用いられる。
【0048】ラジカル重合反応の温度は、使用するラジ
カル重合開始剤の種類によっても異なるが、室温〜20
0℃、好ましくは50〜180℃の範囲の温度が選択さ
れる。
【0049】ラジカル重合反応は減圧〜加圧の如何なる
圧力下でも行い得るが、好ましくは常圧で行われる。
【0050】ラジカル重合反応は、溶媒の不存在下で行
っても良いが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘミメ
リテン、プソイドクメン、メシチレンなどの芳香族炭化
水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化
水素;シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭
化水素;塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエ
チレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロ
ロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のような溶媒の存
在下で行っても良い。
【0051】ラジカル重合反応時間は通常1〜100時
間の範囲内から選ばれる。所望の重合度に到達した後、
公知の方法により得られたポリマーを単離、精製する。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。なお、物性値は下記の方法により測定した。 1↑H−NMR:日本電子製PMX60SI型(測定周波
数;60MHz) IR:日本分光工業製フーリエ変換赤外分光光度計FT
/IR−3型 融点:柳本製作所製微量融点測定装置MP型 元素分析:柳本製作所製CHN−コーダーMT2型 数平均分子量および分子量分布:東ソー製GPC−80
00システム(ポリスチレンゲルカラム;TSKゲルG
5000HXL,G4000HXL,G2500HX
L,移動相溶媒;THF,流速;1.0ml/分,検出
器;RI,ポリスチレン換算値) 密度;柴山科学器械製作所製密度勾配管法比重測定装置
A型(密度勾配液;臭化カルシウム水溶液,測定温度;
25℃)
【0053】実施例1 攪拌装置を備えた容量100mlのガラス製容器の内部を
乾燥した窒素ガスで十分に置換した。該容器内に、5−
クロロ−1,4−ペンタンジオール19.0g(137m
mol)、トリエチルアミン27.8g(274mmol)およ
び塩化メチレン70mlを仕込み、この溶液にジフェノキ
シジクロロメタン36.9g(137mmol)の塩化メチ
レン80ml溶液を25℃で攪拌しながら30分かけて添
加した。室温で8時間攪拌後、反応混合液を1規定の水
酸化ナトリウム水溶液200mlで3回洗浄し、有機層を
水層から分離した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
した後、濃縮、減圧蒸留して、沸点178℃/0.6mm
Hgの無色透明の液体22.9gを得た。この液体は1↑H
−NMRスペクトルおよびIRスペクトルより2,2−
ジフェノキシ−4−クロロメチル−1,3−ジオキセパ
ンと同定された。単離収率は50%であった。
【0054】1↑H−NMRスペクトル(その結果は図
1として添付する) 測定溶媒;重クロロホルム 内部標準物質;テトラメチルシラン
【0055】
【化11】
【0056】
【表1】
【0057】IRスペクトル(その結果は図2として添
付する)
【0058】攪拌装置を備えた容量100mlのガラス製
容器の内部を乾燥した窒素ガスで十分に置換した。該容
器内に前記の反応で得られた2,2−ジフェノキシ−4
−クロロメチル−1,3−ジオキセパン9.58g(2
8.6mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物272
mg(1.43mmol)および塩化メチレン50mlを仕込
み、この溶液にオルトキシリレングリコール3.95g
(28.6mmol)を25℃で攪拌しながら添加した。2
5℃で攪拌を続け、48時間後に2規定の水酸化ナトリ
ウム水溶液50mlを添加し、有機層を水層から分離後、
有機層を2規定の水酸化ナトリウム水溶液100mlで2
回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、濃縮すると白色固体が析出した。該白色固体をn−
ヘキサン/酢酸エチル=3/1(容量比)の混合溶液で
再結晶により精製し、無色の結晶4.35gを得た。こ
の固体は1↑H−NMRスペクトルおよびIRスペクト
ルよりスピロ[4’−クロロメチル−2,4−ベンゾジ
オキセピン−3,2’−[1,3]ジオキセパン]と同
定された。単離収率は53%であった。
【0059】1↑H−NMRスペクトル(その結果は図
3として添付する) 測定溶媒;重クロロホルム 内部標準物質;テトラメチルシラン
【0060】
【化12】
【0061】
【表2】
【0062】IRスペクトル(その結果は図4として添
付する)
【0063】攪拌装置を備えた容量100mlのガラス製
容器の内部を乾燥した窒素ガスで十分に置換した。該容
器内にナトリウムメトキシド1.51g(28mmol)お
よびジメチルホルムアミド30mlを仕込み、この溶液に
前記の反応で得られたスピロ[4’−クロロメチル−
2,4−ベンゾジオキセピン−3,2’−[1,3]ジ
オキセパン]4.0g(14mmol)のジメチルホルムア
ミド20ml溶液を25℃で攪拌しながら30分かけて添
加した。25℃で攪拌を続け、10時間後に水50mlを
添加し、水層中の有機物をエーテル50mlで抽出した。
有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮する
と、白色固体が析出した。該白色固体をn−ヘキサン/
酢酸エチル=75/25(容量比)で再結晶により精製
し、無色の結晶2.99gを得た。この固体は1↑H−N
MRスペクトルおよびIRスペクトルよりスピロ[2,
4−ベンゾジオキセピン−4’−メチレン−3,2’−
[1,3]ジオキセパン]と同定された。単離収率は8
6%であった。
【0064】1↑H−NMRスペクトル(その結果は図
5として添付する) 測定溶媒;重クロロホルム 内部標準物質;テトラメチルシラン
【0065】
【化13】
【0066】
【表3】
【0067】IRスペクトル(その結果は図6として添
付する)
【0068】元素分析
【0069】
【表4】
【0070】融点;88〜90℃
【0071】密度;1.340
【0072】実施例2 実施例1においてオルトキシリレングリコール3.95
g(28.6mmol)に代えて4ークロロオルトキシリレ
ングリコール4.94g(28.6mmol)を用いた以外
は同様にして反応を行い、スピロ[7−クロロ−2,4
−ベンゾジオキセピン−4’−メチレン−3,2’−
[1,3]ジオキセパン]を得た。
【0073】元素分析
【0074】
【表5】
【0075】実施例3 実施例1において5−クロロ−1,4−ペンタンジオー
ル19.0g(137mmol)に代えて3−メチル−5−
クロロ−1,4−ペンタンジオール20.9g(137m
mol)を用い、オルトキシリレングリコールに代えて4
ークロロオルトキシリレングリコールを用いた以外は同
様にして反応を行い、スピロ[7−クロロ−2,4−ベ
ンゾジオキセピン−4’−メチレン−5’−メチル−
3,2’−[1,3]ジオキセパン]を得た。
【0076】元素分析
【0077】
【表6】
【0078】参考例1 実施例1で得たスピロ[1,5−ジヒドロ−4’−メチ
レン−2,4−ベンゾジオキセピン−3,2’−[1,
3]ジオキセパン]248mgおよびt−ブチルヒドロペ
ルオキシド2.7mgをガラス製容器に仕込み、脱気、封
管後、180℃で20時間加熱し、淡黄色透明の固体を
得た。この固体を塩化メチレン2mlに溶解し、n−ヘキ
サン50mlに再沈澱して白色固体220mgを得た。生成
物の数平均分子量は1780、分子量分布は1.93で
あった。
【0079】生成物のIRスペクトルを測定したとこ
ろ、1753cm↑-1に開環重合体のカーボナートに起因
する吸収が、1720cm↑-1に開環重合体のケトンに起
因する吸収が観測された。
【0080】生成物の密度を測定したところ、1.24
0であり、モノマーの密度から計算した体積膨張率は
7.5%であった。
【0081】参考例2 スピロ[1,5−ジヒドロ−4’−メチレン−2,4−
ベンゾジオキセピン−3,2’−[1,3]ジオキセパ
ン]248mgに代えて実施例2で得たスピロ[7−クロ
ロ−2,4−ベンゾジオキセピン−4’−メチレン−
3,2’−[1,3]ジオキセパン]282mgを用いた
以外は参考例1と同様にして重合を行い、数平均分子量
1650、分子量分布1.90のポリマーを得た。モノ
マーからの体積膨張率は8.0%であった。
【0082】参考例3 スピロ[1,5−ジヒドロ−4’−メチレン−2,4−
ベンゾジオキセピン−3,2’−[1,3]ジオキセパ
ン]248mgに代えて実施例3で得たスピロ[7−クロ
ロ−2,4−ベンゾジオキセピン−4’−メチレン−
5’−メチル−3,2’−[1,3]ジオキセパン]2
96mgを用いた以外は参考例1と同様にして重合を行
い、数平均分子量2040、分子量分布2.20のポリ
マーを得た。モノマーからの体積膨張率は8.3%であ
った。
【0083】参考例4 スピロ[1,5−ジヒドロ−4’−メチレン−2,4−
ベンゾジオキセピン−3,2’−[1,3]ジオキセパ
ン]248mgに代えてスピロ[1,5−ジヒドロ−4’
−メチレン−2,4−ベンゾジオキセピン−3,2’−
[1,3]ジオキセパン]124mgおよびメチルメタク
リレート50mgの混合物を用いた以外は参考例1と同様
にして重合を行い、数平均分子量4500、分子量分布
1.87のポリマーを得た。モノマーからの体積膨張率
は−0.6%であった。
【0084】
【発明の効果】本発明の方法によればカチオン開環異性
化重合のみならず、ラジカル開環異性化重合し、体積膨
張を示すスピロオルトカーボナート化合物が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化合物の1例の前駆体の1↑H−
NMRスペクトルを示す図である。
【図2】本発明による化合物の1例の前駆体のIRスペ
クトルを示す図である。
【図3】本発明による化合物の1例の前駆体の1↑H−
NMRスペクトルを示す図である。
【図4】本発明による化合物の1例の前駆体のIRスペ
クトルを示す図である。
【図5】本発明による化合物の1例の1↑H−NMRス
ペクトルを示す図である。
【図6】本発明による化合物の1例のIRスペクトルを
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 493/10 C08F 24/00 C08F 224/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化1 【化1】 (式中、R↑1、R↑2、R↑3、R↑4、R↑5、R↑6、
    R↑7、R↑8、R↑9、R↑10、R↑11およびR↑12は
    それぞれ水素原子または低級アルキル基を、R↑13、R
    ↑14、R↑15およびR↑16はそれぞれ水素原子、低級ア
    ルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、
    シアノ基、アミノ基、アミド基、水酸基またはエステル
    基を表す。)で示されるスピロオルトカーボナート化合
    物。
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