JP3097963B2 - 環状カーボナート化合物の重合方法 - Google Patents

環状カーボナート化合物の重合方法

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JP3097963B2 JP03135806A JP13580691A JP3097963B2 JP 3097963 B2 JP3097963 B2 JP 3097963B2 JP 03135806 A JP03135806 A JP 03135806A JP 13580691 A JP13580691 A JP 13580691A JP 3097963 B2 JP3097963 B2 JP 3097963B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の一般式で示され
る環状カーボナート化合物をアゾビス系ラジカル重合開
始剤を用いて重合することを特徴とする重合方法に関す
る。本発明における環状カーボナート化合物は、開環異
性化重合時に体積膨張を示し、成形材料、複合材料、注
型材料、封止材料、医用材料、歯科材料、塗料および接
着剤等の原料として有用である。本発明の環状カーボナ
ート化合物の重合方法は、上記分野において好適に実施
し得る有用な重合方法である。
【0002】
【従来の技術】本発明における特定の一般式で示される
環状カーボナート化合物の一部は公知で、例えば三フッ
化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸系カチオン重合開始
剤およびナトリウムメトキシド等のアニオン重合開始剤
により開環異性化重合し、重合時に体積膨張を示すこと
が知られている(日本化学会第59春季年会講演予稿集
1004頁(1989年)、高分子学会予稿集39巻2
84頁(1990年))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】三フッ化ホウ素エーテ
ル錯体等のルイス酸系カチオン重合開始剤を用いるカチ
オン重合による環状カーボナート化合物の開環異性化重
合法は、ルイス酸が通常強酸であるため取り扱いが困難
で、重合への水分の影響が大であり、得られた重合体の
着色、重合体に残存する酸成分の腐食性および有毒性等
の問題があった。また、ナトリウムメトキシド等をアニ
オン重合開始剤に用いるアニオン重合による環状カーボ
ナート化合物の開環異性化重合法は、重合への水分の影
響が大であり、得られた重合体の着色等の問題があっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記の問題
点を解決するために、環状カーボナート化合物をラジカ
ル重合開始剤により開環異性化重合させる方法について
鋭意検討した結果、ある特定の構造を有する環状カーボ
ナート化合物がアゾビス系ラジカル重合開始剤により開
環異性化重合し、重合膨張を示すことを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は下記の化2
【0006】
【化2】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ
水素原子または低級アルキル基を表す。)で示される環
状カーボナート化合物を該環状カーボナート化合物に対
して、0.01〜10モル%のアゾビス系ラジカル重合
開始剤を用いて、室温〜200℃で重合することを特徴
とする重合方法に関するものである。
【0007】前記の化2中、R1、R2、R3、R4、R5
およびR6がそれぞれ表す低級アルキル基としては、炭
素数8以下のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−
ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシ
ル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ
る。
【0008】本発明における環状カーボナート化合物の
好ましい例として次の化合物が挙げられる。
【0009】
【化3】
【0010】なお、本発明における環状カーボナート化
合物は一種の化合物だけでなく、二種以上の化合物の混
合物として用いても良い。
【0011】本発明における環状カーボナート化合物は
他の重合性モノマーとの混合物として用いても良い。他
の重合性モノマーとしては、ラジカル重合性を有するも
のであれば良く、好ましい例としてアクリル酸、メタク
リル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、
アクリロニトリル、アクリルアミド、塩化ビニル、酢酸
ビニル、スチレン等が挙げられる。
【0012】前記の化2で示される環状カーボナート化
合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法(高分子
学会予稿集39巻284頁(1990年))によって得
られたものが使用できる。
【0013】本発明で用いられるアゾビス系重合開始剤
としては、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビ
ス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−アゾビ
ス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイ
ソ酪酸ジメチル、3,5−ジヒドロキシメチルフェニル
アゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモ
フェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,
2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’
−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−
アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,
1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、4−ニ
トロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、ポリ(ビ
スフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペン
タノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,
2’−アゾビスイソブチレート)等が挙げられる。
【0014】アゾビス系重合開始剤は、化2で示される
環状カーボナート化合物に対して、0.01〜10モル
%、好ましくは0.05〜3モル%の範囲内で用いられ
る。
【0015】重合反応の温度は、使用する重合開始剤の
種類によっても異なるが、室温〜200℃、好ましくは
50〜180℃の範囲の温度が選択される。
【0016】重合反応は減圧〜加圧の如何なる圧力下で
も行い得るが、好ましくは常圧で行われる。
【0017】重合反応は、溶媒の不存在下で行っても良
いが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘミメリテン、
プソイドクメン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ヘ
キサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シ
クロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;
塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエチレン、
クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素等のような溶媒の存在下で行
っても良い。
【0018】重合反応時間は通常1〜100時間の範囲
内から選ばれる。所望の重合度に到達した後、公知の方
法により得られたポリマーを単離、精製する。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。なお、物性値は下記の方法により測定した。1 H−NMRおよび13C−NMR:日本電子製EX−9
0型 IR:日本分光工業製フーリエ変換赤外分光光度計FT
/IR−3型 元素分析:柳本製作所製CHN−コーダーMT2型 数平均分子量:東ソー製GPC−8000システム(ポ
リスチレンゲルカラム;TSKゲルG5000HXL,
G4000HXL,G2500HXL,移動相溶媒;T
HF,流速;1.0mL/分,検出器;RI,ポリスチ
レン換算値) 密度;柴山科学器械製作所製密度勾配管法比重測定装置
A型(密度勾配液;臭化カルシウム水溶液,測定温度;
25℃)
【0020】実施例1 5−メチレン−1,3−ジオキサン−2−オン228m
g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.3mg
およびクロロベンゼン0.4mLをガラス製容器に仕込
み、脱気、封管後、60℃で48時間加熱した。反応混
合液をエーテル50mLに再沈澱して淡黄色透明の固体
109mgを得た。該生成物の数平均分子量は8100
であった。該生成物の1H−NMRスペクトルを測定し
たところ、4.68および5.37ppmにピーク面積
比2対1のピークが観測された。該生成物の13C−NM
Rスペクトルを測定したところ、67.8、118.
4、137.4および154.5ppmにピークが観測
された。該生成物のIRスペクトルを測定したところ、
1749、1662、1446、1284、980およ
び940cm-1にピークが観測された。該生成物の元素
分析を行ったところ、C;52.77%、H;5.33
%であった。これらの結果から、該生成物は下記の化3
の繰返し単位からなる、5−メチレン−1,3−ジオキ
サン−2−オンが開環異性化重合した構造のポリマーで
あることが確認された。
【0021】
【化4】
【0022】該ポリマーの密度を測定したところ、1.
31であり、モノマーの密度から計算した体積膨張率は
4.0%であった。
【0023】実施例2 実施例1において、2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル3.3mgに代えて1,1’−アゾビス−1−シク
ロヘキサンカルボニトリル4.9mgを用いた以外は実
施例1と同様にして重合を行い、淡黄色透明の固体12
0mgを得た。該生成物の数平均分子量は7900であ
った。該生成物は1H−NMRスペクトルおよび13C−
NMRスペクトルから5−メチレン−1,3−ジオキサ
ン−2−オンが開環異性化重合した構造のポリマーであ
ることが確認された。
【0024】実施例3 実施例1において、クロロベンゼン0.4mLに代えて
トルエン0.4mLを用いた以外は実施例1と同様にし
て重合を行い、淡黄色透明の固体103mgを得た。該
生成物の数平均分子量は9400であった。該生成物は
1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトル
から5−メチレン−1,3−ジオキサン−2−オンが開
環異性化重合した構造のポリマーであることが確認され
た。
【0025】実施例4 実施例1において、5−メチレン−1,3−ジオキサン
−2−オン228mgに代えて4,6−ジメチル−5−
メチレン−1,3−ジオキサン−2−オン284mgを
用いた以外は実施例1と同様にして重合を行い、開環異
性化重合した構造のポリマーを得た。
【0026】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定の一般式で
示される環状カーボナート化合物の、アゾビス系ラジカ
ル重合開始剤を用いることを特徴とする重合方法が提供
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化1 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ
    水素原子または低級アルキル基を表す。)で示される環
    状カーボナート化合物を該環状カーボナート化合物に対
    して、0.01〜10モル%のアゾビス系ラジカル重合
    開始剤を用いて、室温〜200℃で重合することを特徴
    とする重合方法。
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