JP3059083B2 - リサイクルに好適な缶蓋用アルミニウム合金積層板およびその製造方法 - Google Patents

リサイクルに好適な缶蓋用アルミニウム合金積層板およびその製造方法

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JP3059083B2
JP3059083B2 JP24872495A JP24872495A JP3059083B2 JP 3059083 B2 JP3059083 B2 JP 3059083B2 JP 24872495 A JP24872495 A JP 24872495A JP 24872495 A JP24872495 A JP 24872495A JP 3059083 B2 JP3059083 B2 JP 3059083B2
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秀次郎 朝野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は主として2ピース
アルミニウムDI缶(Drawn and Ironed
Can)の胴材と同一成分を使用したリサイクルに適し
たアルミニウム缶蓋材とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、2ピースアルミニウムDI缶の缶
胴材には絞り性、しごき加工性の優れたJIS300
4、AA3104などAl-Mn-Mg系アルミニウム合
金が用いられ、一方缶蓋材には缶胴材とは合金系の異な
るJIS5182、JIS5082などAl-Mg系ア
ルミニウム合金が用いられていた。
【0003】缶は衛生、耐食性、フレーバーの面から塗
装される。胴はDI成形後塗装され、蓋は塗装後成形さ
れる。従って蓋に塗装する有機被膜は成形時に破れない
よう、成形加工に対する延性とともにアルミニウム素材
との密着性も重要である。この有機皮膜の重合反応促進
のため焼付工程で200℃以上に加熱されるので、冷間
圧延で付与された板強度が塗装焼付工程で軟化し、缶の
内圧に耐えられなくなる恐れがある。従って焼付前の強
度が高く焼付処理をして軟化しても内圧に耐え得るだけ
の材料強度を示すAl-Mg系高強度アルミニウム合金
が使用されているのである。一方、リサイクルの観点か
らは合金系が異なる缶胴材と缶蓋材の使用は望ましいこ
とではない。缶胴材は缶蓋材に較べて、重量が大きいこ
と、より多くのFe,Si等の不純物元素を含むことか
ら、回収された缶は再溶解されほとんどが缶胴材にリサ
イクルされるが合金系が異なるため溶解時には缶胴材用
の成分調整のために多くの新地金や母合金を必要とす
る。また缶蓋材はほとんどが新地金や工場内で発生した
スクラップから製造されるためコストが高くなる。現在
の合金(3004/5182)では回収率75%までは
現状のリサイクルシステムで可能だがこれを上回ると
Can to Can の効率的なリサイクルができなく
なると言われている。
【0004】回収精製時点で胴と蓋を分離すれば上記の
問題点は解消するが、現状では技術的にもコスト的にも
満足できる方法は考案されるに至っていない。胴と蓋を
同一合金(組成)にすることが理想的であるが 1.蓋に使用されているAl-Mg合金を胴材に使用する
と、DI製缶時のシゴキ性が悪く、実用が困難である。 2.胴体に使用されるAl-Mn-Mg合金を蓋にするに
は、上記した如く、塗装焼付け後の強度が不足し、内圧
に耐えることが困難である。なお、胴材と蓋材を同一合
金(組成)にするこのような合金として5017,53
49,7000系合金などが提案されているが、従来材
に較べて缶性能が劣るため広く実用化されるには至って
いない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム製品の生
産量の半数近くを占める飲料缶に対してより軽量化が要
求されるのはもちろんのこと、地球環境問題からも精錬
・リサイクル、製造工程中の洗浄等を含めてトータルで
低エネルギーコストの缶材が求められている。従来の缶
蓋材は塗装焼付後の強度の観点から、缶胴材とは異なる
合金系が用いられているが胴材と蓋材とを同一合金で製
造するいわゆるユニアロイ化によるリサイクル性の向上
も従来の大きな課題であった。本発明は以上の事情を背
景としてなされたもので、前述の諸要求を満たすアルミ
ニウム2ピース缶蓋用の素材、およびその製造方法を提
供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は前記のような
目的を達成するため、合金の成分組成を適切に選定し、
また積層する有機樹脂皮膜および接着剤などを適切に使
用することにより優れた強度と、内容物との絶縁性を有
し、なおかつリサイクル性にも優れた缶蓋用アルミニウ
ム合金積層板、及びその製造方法に関するものである。
【0007】具体的には請求項1の Mg0.5〜1.
8%(重量%、以下同じ)、Mn0.5〜1.8%、Fe
0.2〜0.8%、Siを0.1%〜0.4%を含有
し、さらにCu0.01〜0.5%、Cr0.01〜
0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種または
2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よ
りなる板厚0.2〜0.35mmのアルミニウム合金硬
質板の、少なくとも片面に有機高分子フィルムが積層さ
れ、ERV値が3mA以下であることを特徴とするリサ
イクルに好適な缶蓋用アルミニウム合金積層板。
【0008】請求項2の 積層する有機高分子フィルム
として5〜50μm膜厚のポリオレフィン、ポリエステ
ルまたはポリアミドを主体とするフィルムを使用するこ
とを特徴とする請求項1記載の缶蓋用アルミニウム合金
積層板。
【0009】請求項3の Mg0.5〜1.8%、Mn
0.5〜1.8%、Fe0.2〜0.8%、Siを0.
1%〜0.4%を含有し、さらにCu0.01〜0.5
%、Cr0.01〜0.3%、Zn0.05〜0.5%
のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を常法によ
り半連続鋳造、均質化処理、熱間圧延を施した後、60
%以上の最終冷間圧延を施したアルミニウム合金硬質板
の少なくとも片面に有機高分子フィルムを張合わせ、E
RV値を3mA以下とすることを特徴とするリサイクル
に好適な缶蓋用アルミニウム合金積層板の製造方法。
【0010】請求項4の Mg0.5〜1.8%、Mn
0.5〜1.8%、Fe0.2〜0.8%、Siを0.
1%〜0.4%を含有し、さらにCu0.01〜0.5
%、Cr0.01〜0.3%、Zn0.05〜0.5%
のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を常法によ
り連続鋳造圧延した後、60%以上の最終冷間圧延を施
したアルミニウム合金硬質板の両面または片面に有機高
分子フィルムを張合わせ、ERV値を3mA以下とする
ことを特徴とするリサイクルに好適な缶蓋用アルミニウ
ム合金積層板の製造方法。
【0011】請求項5の 有機高分子フィルムの張合わ
せ条件が図1の領域A(a−b−c−d−eで囲まれた
領域)に示す温度、時間の範囲であることを特徴とする
請求項3あるいは請求項4記載の缶蓋用アルミニウム合
金積層板の製造方法。
【0012】請求項6の 有機高分子フィルムの張合わ
せ条件が図1の領域B(a’−b’−c’−d−eで囲
まれた領域)に示す温度、時間の範囲であることを特徴
とする請求項3あるいは請求項4記載の缶蓋用アルミニ
ウム合金積層板の製造方法。
【0013】請求項7の 有機高分子フィルムの接着剤
として、熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤、ポリマーア
ロイ型接着剤のいずれかを用いることを特徴とする請求
項3〜6記載の缶蓋用アルミニウム合金積層板の製造方
法。である。
【0014】
【発明の実施の形態】まず合金成分組成の限定理由を説
明する。本願は缶蓋用アルミニウム合金積層板に関する
ものだが、リサイクル性を主眼にしているため本合金の
缶胴材としての特性も考慮にいれて組成の限定をしてい
る。缶胴材に関する説明は[]で囲む。
【0015】Mg:Mgは単独で固溶強化に効果がある
元素であり強度向上に不可欠な元素である。さらにMg
の添加はSiやCuとの共存によってMg2Siあるい
はAl-Cu-Mg相の析出による時効硬化を期待するこ
とができる。Mg量が0.5%未満ではその効果が少な
く、一方1.8%を超えて添加した場合には必要以上の
高強度が得られ絞り性をやや低下させる。[また加工硬
化しやすくなるため缶胴材としてはDI成形時の再絞り
性やしごき性を悪くする。]そこでMgの範囲は0.5
〜1.8%とした。
【0016】Mn:Mnは結晶粒の微細化とともに強
度、成形性向上に寄与する有効な元素である。[とりわ
け缶胴材としてDI成形時にしごき加工される場合には
固体潤滑的な効果が得られゴーリングと呼ばれる擦り疵
や焼付きなどの外観不良を抑制する。] Mn量が1.8%を超えればMnAl6の初晶巨大金属
間化合物が発生し著しく成形性を損ない、またスコアー
部(開口切込み部)の強度を低下させる。Mn量が0.
5%未満では強度が未達で結晶粒の微細化効果が不充分
である。またDI加工時のMn金属間化合物による固体
潤滑的な効果が得られない。そこでMnの範囲は0.5
〜1.8%とした。
【0017】Fe:FeはMnの晶出や析出を促進し、
アルミニウム基地中の固溶量やMn系不溶性化合物の分
散状態を制御するために必要な元素である。適正な化合
物分散状態を得るためには、Mn添加量に応じてFeを
添加することが必要である。Fe量が0.2%未満では
適正な化合物分散状態を得ることが困難であり、一方F
e量が0.8%以上では、Mn添加に伴なって初晶巨大
化合物が発生しやすくなり、成形性を著しく損う。そこ
でFeの範囲は0.2〜0.8%とした。
【0018】Si:SiはFeとの共存においてAl-
Mn系金属間化合物の形態、分布を支配する。またMg
2Si系化合物の析出による時効硬化にも寄与する。S
i量が0.1%未満ではその効果が得られず、0.4%
を越えれば粗大な金属間化合物総量が増え、かつ時効硬
化により材料の延性が乏しくなり成形性を阻害する。そ
こでSiの範囲は0.1〜0.4%とした。
【0019】Cu,Cr,Zn: これらはいずれも強
度向上に寄与する元素である。 Cu:焼鈍中にCuを溶体化させ、塗装焼付処理時のA
l-Cu-Mg系析出物の析出硬化を利用した強度向上に
寄与する。Cu量が0.05%未満ではその効果が得ら
れず、一方Cuを0.5%を越えて添加した場合には、
時効硬化は容易に得られるものの、硬くなりすぎて成形
性を阻害する。耐食性劣化。そこでCuの範囲は0.0
5〜0.5%とした。 Cr:Crも強度向上に効果的な元素であるが、0.0
5%未満ではその効果が少なく、0.3%を越えれば巨
大晶出物生成によって成形性の低下を招くため、好まし
くない。そこでCrの範囲は0.05〜0.3%とし
た。 Zn:Znの添加はMg2Zn3Al2の時効析出による
強度向上に寄与するが、0.1%未満ではその効果が得
られず、0.5%を越えれば強度への寄与については問
題ないが、耐食性を劣化させる。そこでZnの範囲は
0.1〜0.5%とした。
【0020】以上の各成分の残部はAlおよび不可避的
不純物とすれば良い。なお、通常のアルミニウム合金に
おいては、鋳塊結晶粒微細化のためにTi、あるいはT
iおよびBを微量添加することが行なわれており、この
発明においても微量のTi、もしくはTiおよびBを添
加してもかまわない。またTiはアルミニウム圧延板の
板厚方向に層状に分散し耐孔食性を改善する。但しTi
量が0.005%未満ではこれらの効果が得られず、
0.1%を越えれば初晶TiAl3 が晶出して成形性を
阻害ためTi量は0.005〜0.1%の範囲が好まし
い。またTiとともにBを添加すれば鋳塊結晶粒微細化
の効果が向上する。但しTiと併せてBを添加する場
合、B量が0.0001%未満ではその効果がなく、
0.01%を越えればTiB2 の粗大粒子が混入して成
形性を害することからBは0.0001〜0.01%の
範囲が好ましい。
【0021】上述の合金組成を正しく管理すれば蓋材の
みならず缶胴材、タブ材に対しても成形性、強度、耐食
性、外観特性など缶材料としての諸特性を全て満足する
ものが得られ、同一合金で缶を製造することが可能とな
る。従ってこれをリサイクルして再び缶素材を作る場
合、蓋材と胴材の分離回収は不要でリサイクルコストが
著しく低減し、その歩留りも高くなる。
【0022】缶蓋として使用するために、本願発明で
は、このアルミニウム合金板の少なくとも片面に有機高
分子フィルムを積層する。すなわち、少なくとも充填内
容物と接する缶内面側に有機高分子フィルムを積層する
のであるが、缶外面側にも有機高分子フィルムを積層し
てもかまわない。有機高分子フィルムはアルミニウム合
金硬質板と張合わせた後の成形性、耐食性、容器内容物
とアルミニウム素地との絶縁性の観点からポリオレフィ
ン、ポリエステルまたはポリアミドを主体とするフィル
ムが望ましい。フィルム厚さは5μm未満では均一な膜
厚のフィルムの製造が困難で製造コストが高くなり所望
のERV値も得られにくく、50μmを超えると上記特
性が飽和してしまい経済的でないので、5〜50μmが
好ましい。
【0023】また、ERV値が3mAを超えると絶縁性
が劣り内容物の変質、フレーバー劣化、アルミニウムの
腐食が発生し、ひどい場合には内容物が漏れる。そこ
で、ERV値は3mA以下とする。
【0024】次にこの発明における製造プロセスを、そ
の作用とともに説明する。先ず前述のような合金組成を
有するアルミニウム合金鋳塊を、常法に従ってDC鋳造
法(半連続鋳造法)により鋳造する。次いでその鋳塊に対
して均質化処理を施す。均質化処理は530℃〜610
℃で2〜24時間で行うのが好ましい。530℃未満あ
るいは2時間未満では均質化効果が不充分で成形性が劣
化し、610℃を超えると共晶融解による局所溶解が発
生する。また24時間を超えると効果が飽和し不経済と
なる。熱間圧延は常法で行えばよい。なお、半連続鋳造
・熱間圧延の工程を連続鋳造圧延で代えても良い。連続
鋳造圧延は薄手の双ロール法でもよいし、厚手のベルト
キャスター、ブロックキャスター法等で鋳造後熱延して
もよい。連続鋳造法はDC鋳造法に較べて凝固速度が大
きいので溶質元素の固溶量が大であり接着処理後も高強
度が得られやすい。いずれの鋳造法プロセスによるもの
でも、この後必要に応じてバッチ焼鈍または連続焼鈍を
施す。熱間圧延上りで均質に再結晶が完了していれば敢
えて焼鈍をしなくてもよい。焼鈍後の再結晶組織をより
均質にするため焼鈍前に冷延してもよい。最終冷延の圧
延率は高いほど充分な強度が得られるとともに加工組織
を均一に強化する。このために少なくとも60%以上の
加工率が必要で、70%以上が好ましい。なお冷間圧延
を行なった後は、必要に応じて100〜200℃程度の
最終焼鈍を施すことにより延性が回復し絞り性の一層の
改善を図ることができる。
【0025】有機樹脂フィルムの積層方法は熱圧着でも
接着剤を使用してもよいし、両者併用でもよい。フィル
ム、接着剤の重合反応を促進しアルミニウム素材との密
着性を向上させるため接合時、または接合後熱をかけて
もよい。この時の加熱温度、時間はフィルム、塗料、接
着剤などの特性により最適条件は若干異なるがアルミニ
ウム素材(硬質板)の強度の観点から図1の領域A(a
−b−c−d−eで囲まれた領域)の範囲内で行なう必
要がある。領域Aの範囲以上の温度、時間では材料の著
しい軟化が生じ、缶蓋材としての強度、耐圧が不足す
る。領域Aの範囲以上の長時間加熱は実際の量産工程に
おいて経済的に成立しない。なお、アルミニウム素材
(硬質板)の強度の観点からより低温・短時間の図1の
領域B(a’−b’−c’−d−eで囲まれた領域)が
好ましい。なお、アルミニウム素材と有機樹脂フィルム
との密着性を向上させるため予めアルミニウム板に化成
処理を施してもよい。有機樹脂フィルムの積層に接着剤
を用いる場合には、先に述べた図1の領域Aあるいは領
域Bの温度、時間の範囲で充分な接着力を生じる接着剤
を用いる必要がある。この点から、熱可塑性接着剤、熱
硬化性接着剤、ポリマーアロイ型接着剤のいずれかを用
いるのが好ましい。
【0026】
【図1】
【0027】
【実施例】
実施例1 組成 Si0.23%,Fe0.42%,Cu0.20
%,Mn1.06%,Mg1.21% のアルミニウム
DC鋳塊を通常の熱間圧延にて4mmの熱延板に圧延
し、その後、冷間圧延にて1.7mm迄圧延後、連続焼
鈍炉で550℃まで20℃/秒で加熱し、3秒間保持後
急冷する中間熱処理を行い、更に85%の冷間圧延を行
った0.25mm厚みの硬質アルミニウム板と、厚み1
5μのPET(ポリエチレンテレフタレート)皮膜とを
接着剤にエポキシ樹脂とポリアミドとの2液型接着剤を
用い、210℃、180℃、160℃、140℃の温度
で10秒間連続加熱し接着した。比較として従来缶蓋材
JIS5182(Si0.12%, Fe0.26%,
Cu0.04%, Mn0.37%, Mg4.58
%)のアルミニウム合金をDC鋳造→熱間圧延3mm→
冷間圧延1mm→連続焼鈍500℃→冷間圧延0.25
mm→エポキシウレア 4μm塗装→焼付270℃x1
0秒の工程で製造した。これらの強度(耐力)、204
φ蓋に製蓋し350ml缶胴とシーミングした後の耐圧
強度、ERV値(蓋内面に1%NaCl水溶液を満たし
試料と電極間に6Vをかけたときに流れる電流値)とを
測定した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2 実施例1に示した組成のアルミニウム鋳塊を、通常の熱
間圧延にて2mm厚みまで圧延した。2mm厚みの熱延
板を連続焼鈍炉で550℃まで20℃/秒で加熱し、3
秒間保持後急冷する熱処理を行い、続いて87%の冷間
圧延で0.25mm厚みにした硬質アルミニウム板と、
厚み15μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)
皮膜とを接着剤にエポキシ樹脂とポリアミドとの2液型
接着剤を用い、210℃、180℃、160℃、140
℃の温度で10秒間連続加熱し接着した。有機樹脂被覆
アルミニウム板の強度(耐力)の測定結果を、実施例1
の従来缶蓋材 JIS5182の結果とともに表2に示
す。
【0030】
【表2】
【0031】実施例3 組成 Si0.19%,Fe0.40%,Cu0.22
%,Mn1.14%,Mg1.04% のアルミニウム
溶湯を、通常の2ロール式薄手連続鋳造装置を用い連続
的に5mm厚の連続鋳造板にした。連続鋳造板を冷間圧
延にて2.0mm迄圧延し、550℃の温度まで20℃
/秒の加熱速度で加熱し、3秒間保持後急冷する中間熱
処理を行い、更に87%の冷間圧延を行ない0.25m
m厚みにした硬質アルミニウム板に膜厚10μmのポリ
アミド樹脂皮膜とを、接着剤にアクリル系オリゴマーと
ニトリルゴムの混合物を用い、210℃、180℃、1
60℃、140℃の温度で10秒間連続加熱し接着し
た。有機樹脂被覆アルミニウム板の強度(耐力)と製蓋
後の耐圧強度の測定結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】以上の実施例1〜3からわかるように、本
発明の図1のA領域の範囲外の300℃加熱材は著しい
軟化が生じ耐圧が不足した。また従来の5182にエポ
キシウレアを塗装し従来より低い温度で焼付した場合は
重合反応が不充分であるため樹脂皮膜特性が劣り、内容
物との絶縁性を示すERV値が高くなった。一方、本発
明による基本的に缶胴材と同一組成の蓋材に有機樹脂を
積層し本発明の図1のA領域の範囲内の適正条件で加熱
処理することにより従来の蓋材に較べてほとんど遜色無
い、強度、ERV値(内容物の絶縁性)を有する蓋材が
得られた。特に図1のB領域のものは強度に優れ、例え
ば高炭酸飲料のようにより強い耐圧強度が必要な飲料用
缶の缶蓋材として適用可能である。
【0034】実施例4 実施例1の缶蓋と同一合金で製造した缶胴材とをそれぞ
れ2000缶成形し缶胴は簡易塗装を施した後、内容物
は充填せずにシーミングした。これをシュレッダーで細
かく切断した後、再溶解した。同様に従来組成の缶(胴
材3004/蓋材5182)も2000缶作り、再溶解
した。再溶解したアルミニウム合金の組成を表4に示
す。
【0035】
【表4】
【0036】発明合金では再溶解後も若干のMgの酸化
・蒸発ロスはあるが極めてわずかの成分調整でもとの合
金組成の胴材、蓋材への再生が可能であり、容易に10
0%Can to Canへリサイクルすることができ
る。これに対して従来組成の缶(胴材3004/蓋材5
182)のように胴材と蓋材とで合金系が異なる場合は
胴材(3004)に再生するときにもMgを薄めるため
の多量のAl地金の添加と、Mn、Cu母合金の添加が
必要である。
【0037】
【発明の効果】本発明による、缶胴材と基本的に同一組
成の素材に有機樹脂フィルムを張合わせることによって
積層したアルミニウム合金材を適正な製造工程で製作す
ることにより、必要な強度、耐圧、絶縁性をもつ缶蓋材
を提供できる。その上リサイクルする場合も従来材に較
べて極めてわずかの成分調整で缶胴材、缶蓋材への再生
が可能となり、地球環境保全に貢献し、なおかつ製造コ
ストの低減にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項5、6の、有機高分子フィルムの張合わ
せ条件(加熱温度・加熱時間)を示す図である。領域A
(a−b−c−d−eで囲まれた領域)が請求項5で、
領域B(a’−b’−c’−d−eで囲まれた領域)が
請求項6でそれぞれ規定する領域である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 C22C 21/00 C22F 1/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg0.5〜1.8%(重量%、以下同
    じ)、Mn0.5〜1.8%、Fe0.2〜0.8%、
    Siを0.1%〜0.4%を含有し、さらにCu0.0
    1〜0.5%、Cr0.01〜0.3%、Zn0.05
    〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有し、残部
    がAlおよび不可避的不純物よりなる板厚0.2〜0.
    35mmのアルミニウム合金硬質板の、少なくとも片面
    に有機高分子フィルムが積層され、ERV値が3mA以
    下であることを特徴とするリサイクルに好適な缶蓋用ア
    ルミニウム合金積層板。
  2. 【請求項2】 積層する有機高分子フィルムとして5〜
    50μm膜厚のポリオレフィン、ポリエステルまたはポ
    リアミドを主体とするフィルムを使用することを特徴と
    する請求項1記載の缶蓋用アルミニウム合金積層板。
  3. 【請求項3】 Mg0.5〜1.8%、Mn0.5〜
    1.8%、Fe0.2〜0.8%、Siを0.1%〜
    0.4%を含有し、さらにCu0.01〜0.5%、C
    r0.01〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうち
    の1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可
    避的不純物よりなるアルミニウム合金を常法により半連
    続鋳造、均質化処理、熱間圧延を施した後、60%以上
    の最終冷間圧延を施したアルミニウム合金硬質板の少な
    くとも片面に有機高分子フィルムを張合わせ、ERV値
    を3mA以下とすることを特徴とするリサイクルに好適
    な缶蓋用アルミニウム合金積層板の製造方法。
  4. 【請求項4】 Mg0.5〜1.8%、Mn0.5〜
    1.8%、Fe0.2〜0.8%、Siを0.1%〜
    0.4%を含有し、さらにCu0.01〜0.5%、C
    r0.01〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうち
    の1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可
    避的不純物よりなるアルミニウム合金を常法により連続
    鋳造圧延した後、60%以上の最終冷間圧延を施したア
    ルミニウム合金硬質板の両面または片面に有機高分子フ
    ィルムを張合わせ、ERV値を3mA以下とすることを
    特徴とするリサイクルに好適な缶蓋用アルミニウム合金
    積層板の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機高分子フィルムの張合わせ条件が図
    1の領域A(a−b−c−d−eで囲まれた領域)に示
    す温度、時間の範囲であることを特徴とする請求項3あ
    るいは請求項4記載の缶蓋用アルミニウム合金積層板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 有機高分子フィルムの張合わせ条件が図
    1の領域B(a’−b’−c’−d−eで囲まれた領
    域)に示す温度、時間の範囲であることを特徴とする請
    求項3あるいは請求項4記載の缶蓋用アルミニウム合金
    積層板の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機高分子フィルムの接着剤として、熱
    可塑性接着剤、熱硬化性接着剤、ポリマーアロイ型接着
    剤のいずれかを用いることを特徴とする請求項3〜6記
    載の缶蓋用アルミニウム合金積層板の製造方法。
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