JP5421067B2 - 飲料缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

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本願発明は、飲料缶胴用などとして好適な樹脂被覆アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
飲料缶等には、アルミニウム合金板に塗油を施し、カッピング、DI(Drawing and Ironing:深絞りとしごき)成形を施して缶胴とし、トリミング、洗浄、乾燥、外面および内面塗装焼付処理、ネッキングおよびフランジ加工を行い、これに飲料充填、缶蓋の巻き締めを行った2ピ−ス缶が多く用いられている。また、最近では生産性向上および作業環境改善を目的に、DI成形前のアルミニウム合金板に樹脂フィルムを被覆し、DI成形後の洗浄、乾燥、外面および内面塗装焼付の工程を省略する方法がとられるようになっている。前記のアルミニウム合金板はアルミニウム合金鋳塊を均質化処理後に熱間圧延を行い、必要に応じて焼鈍を施し、次いで冷間圧延を行うことで製造される。(以下、最終板厚まで冷間圧延したアルミニウム合金板を素板という。)
近年、飲料缶のコストダウンの必要性から、飲料缶胴用アルミニウム合金板は薄肉化と高強度化が進んでいる。加えて、成形加工時には成形加工性が良く、さらに塗装焼付処理時の加熱による強度低下がない等の特性が要求されている。
従来、上記用途にはAl−Mn−Mg系のJIS3004合金等の非熱処理型アルミニウム合金が用いられていた。しかし、JIS3004合金の場合には塗装焼付処理による加熱により強度低下が生じ、また塗装焼付処理後の強度を確保するために素板の強度を上げれば成形加工時の成形性に問題を生じるというような欠点があった。
一方、特許文献1〜4に示されるように時効硬化により塗装焼付処理後の強度向上を図ることができるAl−Mg−Si系合金を使用した缶胴用のアルミニウム合金板の提案もなされている。
特許文献2ではMg、Siに加え、Mn、Zn、Fe、Ti、Cu、Bなどの成形性あるいは強度の向上に寄与する合金元素の含有量を規定し、さらに溶体化処理温度、最終圧延率を規定したアルミニウム合金板およびその製造方法が示されている。また、特許文献3では、成形性を向上させるため、溶体化処理後の析出処理条件を規定したアルミニウム合金板の製造方法が示されており、特許文献4では、成形性を向上させるため、中間焼鈍後の冷間圧延条件を規定したアルミニウム合金板の製造方法が示されている。
しかし、特許文献1〜4の方法は、いずれもアルミニウム合金板中の合金元素の固溶および析出状態は厳密に規定されてはおらず、特許文献3、特許文献4の方法でも、素板の固溶析出状態を示す具体的な指標が開示されていないため、強度および成形性がともに優れるアルミニウム合金板を得る点では未だ不充分であり改善の余地があった。
特開昭56−139646号広報 特開昭63−149349号広報 特開平02−093049号広報 特開昭61−261466号広報
本願発明は、以上の従来技術における問題に鑑み、DI成形後に塗装焼付処理を施す飲料缶胴用に好適な、強度および成形性の優れた樹脂被覆アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、Al−Mg−Si系の熱処理型アルミニウム合金を用いることにより、強度および成形性に優れ、さらに従来の合金よりも塗装焼付処理後の強度に優れる樹脂被覆アルミニウム合金板とその製造方法を見出し、本願発明に至ったものである。
すなわち、請求項1の発明は、樹脂被覆アルミニウム合金板において、Mgを0.4mass%以上0.8mass%以下、Siを0.5mass%より多く1.5mass%以下、Cuを0.01mass%以上0.4mass%以下、Mnを0.01mass%以上0.4mass%未満含有し、残部Alと不可避的不純物とからなり、最終板厚での引張強さが270MPa以上380MPa以下、かつ導電率が40%IACS以上50%IACS以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載のアルミニウム合金板の製造方法において、前記合金組成を有する鋳塊に500℃以上560℃以下の温度で1時間以上48時間以内の均質化処理を行った後、熱間粗圧延を行い、続いて圧延終了温度を280℃未満とした熱間仕上圧延を施した後、冷間圧延を行い、かつ前記熱間仕上圧延後の冷間圧延前、もしくは冷間圧延の途中で、450℃以上580℃以下の温度で2分間以内に保持する溶体化処理を施し、さらに最終板厚としたアルミニウム合金板に樹脂フィルムを被覆することを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法である。
本願発明におけるアルミニウム合金は、Mg、SiおよびCuを適量含有することにより、DI成形後の塗装焼付処理によりMg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物をアルミニウム合金板中に微細析出させ、塗装焼付処理後に強度の優れた缶胴を得ることができる。また、本願発明では素板での引張強さおよび導電率を規定することにより、強度および成形性のバランスに優れた樹脂被覆アルミニウム合金板が得られる。
まず本願発明におけるアルミニウム合金の成分組成の限定理由について説明する。
MgはAlマトリックス中に固溶し、素板の強度を高めるとともに、SiおよびCuとの共存によりMg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物を析出させて素板の強度を向上させる効果がある。本願発明のように塗装焼付処理を施す用途においては、塗装焼付処理前の成形時には軟らかく、成形後の塗装焼付処理による加熱によりMg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物が微細に析出し強度を高める。Mgの含有量が0.4mass%未満では強化するには効果が少なく、0.8mass%を超えると素板の強度が高くなりすぎるとともに、加工硬化が強くなりすぎて成形性が低下する。
SiはMgとともにMg−Si系化合物を析出させて素板の強度を向上させる効果がある。Siの含有量が0.5mass%以下では強化するには効果が少なく、1.5mass%を超えるとMg−Si系化合物に加えて、化合物を形成しない単体のSiが析出するため、素板の強度が高くなりすぎて成形性が低下する。
CuはMgとの共存によりMg−Cu系化合物を析出させて素板の強度を向上させる効果がある。Cuの含有量が0.01mass%未満では充分な効果が得られず、0.4mass%を超えると、素板の強度が高くなりすぎて成形性を阻害するとともに、耐食性が劣化する。
Mnは強度向上に寄与するとともに、再結晶粒の微細化により成形性を向上させるのに有効な元素である。Mnの含有量が0.01mass%未満では充分な効果が得られず、0.4mass%以上では、晶析出物が多くなりすぎて成形性を阻害するとともに、晶析出物を形成するためにSiが消費され、マトリックス中に固溶するSi量が減少するため時効硬化による強度の向上が望めなくなる。
また、一般のアルミニウム合金では、鋳造組織を微細化するためにTi、あるいはTiおよびBを微量添加することがあり、本願発明においても微量のTi、あるいはTiおよびBを含有してもよい。ただし、Tiの含有量が0.0001mass%未満ではその効果が得られず、0.2mass%を超えると粗大なTiAl晶出物が生じ、成形性を阻害するため、Tiの含有量は0.0001mass%以上0.2mass%以下の範囲内とすることが好ましい。また、結晶粒微細化効果向上のためにTiとともにBを添加する場合、Bの含有量が0.0001mass%未満ではその効果が得られず、0.05mass%を超えるとTiBの粗大粒子が混入して成形性を阻害する。従って、Bの含有量は0.0001mass%以上0.05mass%以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、本願発明において、Feが含有される場合は0.01mass%〜0.5mass%とする。また、その他不純物元素もそれぞれ0.1mass%以下でかつ合計で0.5mass%以下なら含まれていても差し支えない。
本願発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、前記成分組成のみならず、素板の引張強さおよび導電率を規定している。引張強さおよび導電率の規定理由について説明する。
素板の引張強さは、DI成形時の成形性および塗装焼付処理後の缶胴材の耐圧強度に影響する。引張強さが270MPa未満では缶胴材の耐圧強度が確保できず、380MPaを超えるとDI成形時の成形性が低下する。従って、素板の引張強さは、270MPa以上380MPa以下とする。更に好ましくは、270MPa以上380MPaである。
素板の導電率は、DI成形時の成形性および塗装焼付処理後の缶胴材の耐圧強度に影響する。導電率は、合金元素のAlマトリックス中への固溶量あるいは析出量に関係し、固溶量が多いほど、あるいは析出量が少ないほど導電率は低くなる。本願発明においては、溶体化処理によりMg、SiおよびCuをAlマトリックス中に固溶させるが、これらの固溶量が多ければ塗装焼付処理時の加熱により前記元素の化合物が析出物として析出し、塗装焼付処理後の強度が向上する。すなわち高い時効硬化性を得ることができる。導電率が50%IACSを越える場合には、前記元素の固溶量が少ないために塗装焼付処理後の強度上昇が少なく、時効硬化性が劣る。また、前記元素の化合物からなる析出物量が多いためにDI成形時の成形性が低下する。一方、導電率が40%IACS未満の場合には、前記元素の固溶量が多くなるため、素板の強度が高すぎるとともに、加工硬化により成形性が低下する。
次に本願発明合金板の製造方法について説明する。
まず、上記の合金組成を有するアルミニウム合金溶湯を常法に従ってDC鋳造(半連続鋳造)する。
均質化処理は鋳塊の偏析を均質化する目的を有する。特に本発明ではMg、Si、Cuの固溶を促進させ、溶体化処理時における溶体化効果を容易にならしめる効果を有する。均質化処理温度が500℃未満では、前記元素の固溶が不充分であるとともに、前記元素からなる化合物が粗大に析出するため、後工程での溶体化処理において固溶が進まず充分な溶体化効果が得られない。560℃を超えると鋳塊内部に局部的な共晶溶融が生じてしまい好ましくない。また、均質化処理の保持時間が1時間未満では前記目的が達成されず、48時間を越えると経済性が悪化する。したがって、均質化処理条件は500℃以上560℃以下の温度範囲で1時間以上48時間以内の保持時間が望ましい。さらに好ましくは3時間以上6時間以内である。
上記均質化処理の後に引き続き熱間粗圧延及び熱間仕上圧延を行う。熱間仕上圧延の終了温度が280℃以上では、熱間圧延終了時にその余熱によりMg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物が粗大に析出するため、後工程での溶体化処理において固溶させきれず充分な溶体化効果が得られない。従って、熱間仕上圧延終了温度は280℃未満が望ましい。但し、熱延性を考慮すると200℃以上とすることが好ましい。なお、前記温度範囲にするためには、潤滑油の使用量、クーラント及び各圧下率の配分、圧延速度等が調整される。
また、熱間仕上圧延上がりの板厚は、巻取性を考慮すると10mm以下が好ましい。
熱間仕上圧延後冷間圧延前あるいは冷間圧延の途中で溶体化処理を施す。溶体化処理は合金中へのMg、SiおよびCuの固溶促進のため、加熱温度を450℃以上580℃以下が好ましい。450℃未満ではMg、SiおよびCuの固溶が充分に行われず強度向上に寄与しなくなるともに、塗装焼付処理時の加熱により時効硬化性が低下する。一方、580℃を超える温度ではバ−ニングによるMgの局部的な溶融が起こるとともに、塗装焼付処理後の強度が高くなり過ぎ、成形性が低下してしまう。加熱保持時間は2分間以内が好ましい。2分間を越える保持を行っても溶体化処理の効果が飽和してしまうため不経済である。また、過度に長い時間の保持を行うと結晶粒の粗大化によって最終板の外観劣化、あるいは成形性が低下する等の不具合が発生する場合がある。溶体化処理方法は急速加熱、急速冷却する連続焼鈍が結晶粒微細化による成形性の向上、および生産性向上の点から望ましい。また溶体化加熱後の冷却過程でのMg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物の析出を防ぎ最終板の強度を確保する見地から1℃/sec以上の冷却速度で100℃以下まで冷却することが好ましい。
溶体化処理後の冷間圧延は、最終板厚までの圧延率を30%以上とするのが好ましい。30%未満では充分な加工硬化が得られず強度を確保できない。
最終板厚まで冷間圧延を行ったアルミニウム合金板に対して、樹脂フィルムを被覆する。本願発明において、樹脂フィルムには、ビスフェノールAなどの有害な環境ホルモンの放出の少ない、ポリエステル系、ポリオレフィン系、またはポリアミド系が好適である。一般に樹脂フィルムは優れた加工性を有しているため、缶胴成形前のアルミニウム合金板に予め施すことが可能であり、DI成形性の向上も期待できる。缶胴成形後に防食性の保護塗装を施す場合に比して、塗装工程の能率化及び簡略化が可能となり、生産性の向上の点からも望ましい。
樹脂被覆の前処理として、化成皮膜または陽極酸化皮膜を被覆すると樹脂フィルムとの密着性が向上する。特に化成皮膜は、簡略な設備で形成でき、コスト的にも有利なため、工業上特に望ましいと言える。化成皮膜はリン酸亜鉛法、ベーマイト法、MBV法、またはEW法(アルカリークロム酸塩系)、アロヂン法(クロム酸塩系、リン酸―クロム酸塩系)などの化成処理により形成される。陽極酸化皮膜は硫酸、しゅう酸、クロム酸、有機酸などの電解液を用いた陽極酸化処理により形成される。
被覆方法は樹脂フィルムの融点以上に加熱して熱圧着する方法が好ましい。熱圧着温度が200℃未満では充分な密着性が得られず、DI成形時に剥離が生じるおそれがある。一方、300℃を超える温度では、樹脂フィルムが変質してしまう。したがって、樹脂フィルムを熱圧着する温度は、200℃以上300℃以下が好ましい。
本願発明においては、樹脂フィルムを熱圧着する際の加熱により、Mg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物の微細析出が起こり、時効硬化による強度の向上が期待できる。なお、前記時効硬化により、DI成形前の強度が多少高くなっても、上記のとおり樹脂フィルムを被覆することによって、DI成形時の成形性が向上するため、樹脂被覆アルミニウム合金板をDI成形する際に成形性は損なわれない。したがって、樹脂フィルムを被覆することによって、より高強度で薄肉化した缶胴を実現できる。
樹脂フィルムの厚さが10μm未満では膜厚が薄すぎて成形加工時に破れるおそれがあり、30μmを超えるとコスト高になる。このため樹脂フィルムの厚さは10〜30μmが望ましい。
本願発明においては素板に樹脂被覆する前100℃以上250℃以下で1時間以上24時間未満の熱処理を施してもよい。この熱処理はMg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物の微細析出を図るためであり、最終板の強度をさらに向上させ、塗装焼付処理後に所望の強度を得ることができる。100℃未満あるいは1時間未満では強度の向上効果が充分に得られない。一方、250℃を越えると前記化合物が粗大化して成形性を阻害する可能性がある。また、24時間を越えると上記効果が飽和してしまうため、不経済である。なお、前記熱処理による時効硬化により強度が向上しても、その後樹脂被覆されるため、DI成形する際に成形性は損なわれない。
また、飲料缶等では、DI成形後に150℃以上250℃以下で3〜10分間程度加熱する塗装焼付処理を行うのが通常である。前記溶体化処理によりMg、SiおよびCuが充分に固溶されているため、塗装焼付処理により、Mg−Si系化合物あるいはMg−Cu系化合物の微細析出が起こり、時効硬化による強度の向上が期待できる。
表1に示す組成のアルミニウム合金をDC鋳造法により厚さ500mmの鋳塊とした。次いでそれらを表2に示す工程に従ってアルミニウム合金板とした。なお、表1に示す組成において、成分の含有量が0.001mass%未満の場合は「−」と表記した。
Figure 0005421067
表2に示す製造工程aは、本願発明の第2発明であり、上記合金鋳塊に560℃で6時間の均質化処理を施したのち熱間仕上圧延の終了温度を270℃とし、厚さ2mmの板に圧延し、次いで冷間圧延により厚さ0.6mmの板に圧延したのち連続焼鈍炉により550℃で2分間の溶体化処理を施し、空冷後冷間圧延により厚さ0.3mmの板に圧延する。その後、両面に前処理としてアルカリエッチング後リン酸クロメート処理を施してCrを15mg/cmの厚さに形成し、次いで厚さ15μmの樹脂フィルムを270℃で熱圧着し、樹脂被覆アルミニウム合金板を製造した。
また、製造工程bは、熱間圧延後冷間圧延に先立って溶体化処理を施す工程である。連続焼鈍炉により520℃の溶体化処理を施したのち空冷後冷間圧延により厚さ0.3mmの板に圧延し、前記製造工程aと同様に樹脂被覆アルミニウム合金板を製造した。
また、製造工程cは、本願発明の実施の一態様として、厚さ0.3mmに圧延したアルミニウム合金板に120℃×2hrの熱処理を施す工程である。熱処理を施したのち前記製造工程aと同様に樹脂被覆アルミニウム合金板を製造した。
製造工程d〜gは、本願発明の比較例としての製造工程である。製造工程dは、均質化処理温度が480℃と低い。製造工程eは、熱間仕上圧延の終了温度が300℃と高い。製造工程fは、溶体化処理温度が590℃と高い。製造工程gは、最終板厚に冷間圧延を行うまでは製造工程aと同様であるが、その後樹脂フィルムを被覆しない工程である。
Figure 0005421067
以上の製造工程からなるアルミニウム合金板について強度、導電率、DI成形性の代替評価として、しごき成形性及び耐圧強度を評価した。結果を表3に示す。なお、前記の各特性値は次の方法により測定した。
強度:JIS5号試験片を用いて引張試験を行い、素板(樹脂被覆前の厚さ0.3mmアルミニウム合金板)の引張強度を測定した。
導電率:素板について渦電流導電率測定装置を用いて、銅を基準試料として測定した。
しごき成形性:樹脂被覆アルミニウム合金板について、第一しごきおよび第二しごきのダイス内径を変化させることで、第三しごきのしごき率を変化させていき、成形できる最大のしごき率を限界しごき率とした。具体的には、しごき率(%)={1−(第三しごき後の缶胴側壁厚さ)/(第二しごき後の缶胴側壁厚さ)}×100で求め、限界しごき率が46.5%以上を「○」、46.5%未満を「×」とした。
耐圧強度:樹脂被覆アルミニウム合金板をDI成形した缶に対し、200℃で10分間の塗装焼付処理相当の熱処理(以下、空焼きという。)を施し、エアー式の耐圧試験機にてドーム成形したボトムがバックリングする圧力を測定した。圧力が6.8kgf/cm以上のものを「○」、6.8kgf/cm未満のものを「×」とした。
Figure 0005421067
表3から明らかなように合金組成が本願発明の範囲にあるNo.1〜10の合金板は、引張強さと導電率が規定範囲内にあるため、DI成形時のしごき成形性および耐圧強度の全てが良好であった。
これに対して、No.11〜21の比較例については以下に示す問題が発生した。
No.11はMg量が0.4%未満で過小のため空焼き後の耐力が低く、耐圧強度が劣る。
No.12はMg量が0.8%を超えて過多のため素板の引張強さが高く、しごき成形性が劣る。
No.13はSi量が0.5%未満で過小のため空焼き後の耐力が低く、耐圧強度が劣る。
No.14はSi量が1.5%を超えて過多のため素板の引張強さが高く、またSi単体が析出してしごき成形性が劣る。
No.15はCu量が0.4%を超えて過多のため素板の引張強さが高く、しごき成形性が劣る。
No.16はMn量が0.4%を超えて過多のため素板の引張強さが高く、しごき成形性が劣る。
No.17はTi量が0.2%を超えて過多のため粗大な晶出物が生じ、しごき成形性が劣る。
No.18は均質化処理温度が500℃未満と低く、導電率が50%IACSを超えている。そのために時効硬化性が劣り、空焼き後の耐力は低くなるために、耐圧強度が劣ってしまう。また、析出物が多いため、しごき成形性も劣っている。
No.19は熱間仕上圧延の上がり温度が280℃より高く、導電率が50%IACSを超えている。そのために時効硬化性が劣り、空焼き後の耐力が低くなるため、耐圧強度が劣ってしまう。また、析出物が多いため、しごき成形性も劣っている。
No.20は溶体化処理温度が580℃より高く導電率が40%IACS未満で過小となり、素板の引張強さが高く、また加工硬化性が強すぎてしごき成形性が劣る。
No.21は素板の引張強度および導電率は本願発明の規定範囲内であるが、樹脂フィルムを被覆していないためしごき成形性が劣る。
本願発明のアルミニウム合金を飲料缶胴に用いることにより、強度および成形性のバランスに優れ、塗装焼付処理後に強度の優れた缶胴を得ることができ、産業上顕著な効果を奏するものである。

Claims (2)

  1. 樹脂被覆アルミニウム合金板において、Mgを0.4mass%以上0.8mass%以下、Siを0.5mass%より多く1.5mass%以下、Cuを0.01mass%以上0.4mass%以下、Mnを0.01mass%以上0.4mass%未満含有し、残部Alと不可避的不純物とからなり、最終板厚での引張強さが270MPa以上380MPa以下、かつ導電率が40%IACS以上50%IACS以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板。
  2. 請求項1記載のアルミニウム合金板の製造方法において、前記合金組成を有する鋳塊に500℃以上560℃以下の温度で1時間以上48時間以内の均質化処理を行った後、熱間粗圧延を行い、続いて圧延終了温度を280℃未満とした熱間仕上圧延を施した後、冷間圧延を行い、かつ前記熱間仕上圧延後の冷間圧延前、もしくは冷間圧延の途中で、450℃以上580℃以下の温度で2分間以内に保持する溶体化処理を施し、さらに最終板厚としたアルミニウム合金板に樹脂フィルムを被覆することを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法。
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