JP5745364B2 - 缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法、ならびに、缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法、ならびに、缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板及びその製造方法 Download PDF

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本発明に係る第1発明は、飲料缶胴に使用されるアルミニウム合金板に関し、詳細には、成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れ、耳率が低いAl−Mg−Si系の缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法に関する。更に、本発明に係る第2発明は、第1発明の缶胴用アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に被覆された樹脂フィルムを備える缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板に関し、成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れた缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板及びその製造方法に関する。
飲料缶等には、アルミニウム合金板に塗油を施し、カッピング、DI(Drawingand Ironing:深絞りとしごき)成形を施して缶胴とし、トリミング、洗浄、乾燥、外面及び内面の塗装焼付処理、ネッキング、ならびに、フランジ加工を行い、これに飲料を充填し、缶蓋の巻き締めを行った2ピ−ス缶が多く用いられている。また、最近では、生産性向上及び作業環境改善を目的として、DI成形前のアルミニウム合金板に樹脂フィルムを被覆し、DI成形後の洗浄、乾燥、外面及び内面の塗装焼付処理工程を省略する方法がとられものもみられるようになった。前述のアルミニウム合金板はアルミニウム合金鋳塊を均質化処理後に熱間圧延を行い、必要に応じて焼鈍を施し、次いで冷間圧延を行うことで製造される。
近年、飲料缶のコストダウンの必要性から、飲料缶胴用アルミニウム合金板については薄肉化が進んでおり、前記アルミニウム合金板の高強度化が望まれている。具体的には、前記アルミニウム合金板を缶胴用材料として使用する際に、成形性が良好で、さらに塗装焼付処理後の強度が高いことが要求されている。
また、缶胴用アルミニウム合金板としては、耳率が低いことが重要である。耳率が高いと、DI成形後のトリミングしろが増すだけではなく、カッピング及びDI成形時に耳部がピンチングを起こし、そのときに生じるアルミニウム片がDI成形時に工具と素材の間に巻込まれ、破胴を引き起こす原因となる。
ここで、耳率とは、板材を円筒状に絞った際のカップ高さに対する耳の高さの割合を言う。この耳率を低く抑えるためには、熱間圧延終了後または中間焼鈍後のアルミニウム合金板再結晶組織において0−90°耳成分である立方体方位を適度に発達させ、その後の冷間圧延で発達する45°耳成分である圧延集合組織とのバランスを良好に保つ必要がある。
従来、飲料缶胴の用途には、Al−Mn−Mg系のJIS3004合金等の非熱処理型アルミニウム合金が用いられている。しかしながら、このJIS3004合金では、塗装焼付処理時の加熱による強度低下が大きいという欠点があった。
そのため、時効硬化により塗装焼付処理後の強度に優れるAl−Mg−Si系合金を使用した缶胴用アルミニウム合金板とその製造方法が、例えば、特許文献1に提案されている。しかしながら、通常のAl−Mg−Si系のアルミニウム合金板を缶胴用に使用した場合、従来のAl−Mn−Mg系のアルミニウム合金板に比べて、塗装焼付け処理後の強度は優れるものの、0−90°耳成分である立方体方位が強く耳率が高くなり過ぎることを本発明者らは知見した。このように、通常のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板では、耳率が低い缶胴用としては未だ不十分であり改善の余地を残していた。
特開昭63−149349号公報
本発明は、上記従来技術における問題に鑑み、缶胴用として好適な成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れ、耳率が低いAl−Mg−Si系の缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法、ならびに、成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れた缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板及びその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究の結果、Al−Mg−Si系の熱処理型アルミニウム合金をベースに用い、従来の合金よりも塗装焼付処理後の強度に優れ、特にFe含有量を適正化することにより、耳率が低い缶胴用アルミニウム合金板とその製造方法を見出し、本発明に係る第1発明を完成するに至った。更に、本発明者らは、この缶胴用アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムを被覆することにより、成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れた缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板及びその製造方法を見出し、本発明に係る第2発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る第1発明は請求項1において、Si:0.5mass%を超え1.5mass%以下、Mg:0.4mass%以上0.8mass%以下、Fe:0.8mass%を超え1.2mass%以下、Cu:0.01mass%以上0.4mass%以下及びMn:0.01mass%以上0.1mass%未満を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、280MPa以上380MPa以下の引張強さ、44.0%IACS以上50.0%IACS以下の導電率、2.0%以上4.5%以下の表面における金属間化合物の面積占有率及び−3%以上+3%以下の耳率を有することを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板とした。
本発明は請求項2において、請求項1に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法であって、アルミニウム合金の鋳塊に500℃以上580℃以下で1時間以上48時間以内の均質化処理を施す工程と、当該均質化処理工程後に前記鋳塊に熱間圧延を施す熱間圧延工程であって、熱間仕上げ圧延の終了温度を200℃以上280℃未満とする熱間圧延工程と、当該熱間圧延工程後に圧延材に溶体化処理を施す溶体化処理工程であって、連続焼鈍炉を用いて500℃以上580℃以下で2分間以内の保持後に1℃/秒以上の冷却速度で100℃以下まで冷却する溶体化処理工程と、当該溶体化処理工程後に圧延材に冷間圧延を施す冷間圧延工程であって、80%以上90%以下の冷間圧延率にて最終板厚とする冷間圧延工程とを含むことを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板の製造方法とした。
更に本発明は請求項3において、請求項1に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法であって、アルミニウム合金の鋳塊に500℃以上580℃以下で1時間以上48時間以内の均質化処理を施す工程と、当該均質化処理工程後に前記鋳塊に熱間圧延を施す熱間圧延工程であって、熱間仕上げ圧延の終了温度を200℃以上280℃未満とする熱間圧延工程と、当該熱間圧延工程後に圧延材に第1の冷間圧延を施す第1の冷間圧延工程と、当該第1の冷間圧延工程後に圧延材に溶体化処理を施す溶体化処理工程であって、連続焼鈍炉を用いて500℃以上580℃以下で2分間以内の保持後に1℃/秒以上の冷却速度で100℃以下まで冷却する溶体化処理工程と、当該溶体化処理工程後に圧延材に第2の冷間圧延を施す第2の冷間圧延工程であって、30%以上70%以下の冷間圧延率にて最終板厚とする第2の冷間圧延工程とを含むことを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板の製造方法とした。
本発明に係る第2発明は、請求項1に記載の缶胴用アルミニウム合金板と、その少なくとも一方の表面に被覆された樹脂フィルムを備えることを特徴とする缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板とした。
本発明は請求項5では、請求項2に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、前記冷間圧延工程後に、缶胴用アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムを被覆する工程を更に含むことを特徴とする缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法とした。
本発明は請求項6では、請求項3に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、前記第2の冷間圧延工程後に、缶胴用アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムを被覆する工程を更に含むことを特徴とする缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法とした。
本発明により、缶胴用として好適な成形性と塗装焼付処理後の強度に優れ、耳率が低い缶胴用アルミニウム合金板とその製造方法、ならびに、成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れた缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板及びその製造方法が提供される。
A.缶胴用アルミニウム合金板
本発明に係る第1発明の缶胴用アルミニウム合金板は、所定の合金組成、引張強さ、導電率、金属間化合物の面積占有率及び耳率を有する。以下に、アルミニウム合金板について詳述する。
A−1.Al合金の組成
Al合金は、Si:0.5mass%を超え1.5mass%以下、Mg:0.4mass%以上0.8mass%以下、Fe:0.8mass%を超え1.2mass%以下、Cu:0.01mass%以上0.4mass%以下及びMn:0.01mass%以上0.1mass%未満を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる。以下において、「mass%」を単に「%」と記す。各成分の限定理由について説明する。
Si:Si含有量は、0.5%を超え1.5%以下とする。SiはMgとともにMg−Si系化合物の時効析出により強度を向上させる効果がある。また、SiはAl−Fe−Si系、Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を生成し、成形性の向上に寄与する。Siの含有量が0.5%以下では強度向上の効果が十分ではなく、1.5%を超えると強度が高くなり過ぎて成形性が低下する。
Mg:Mg含有量は、0.4%以上0.8%以下とする。MgはAlマトリックス中に固溶し強度を高めるとともに、Si及びCuとの共存によりMg−Si系化合物あるいはAl−Cu−Mg系化合物の時効析出による強度向上が図られる。Mgの含有量が0.4%未満では強度を高める効果が十分ではなく、0.8%を超えると強度が高くなり過ぎるとともに、加工硬化性が高くなり過ぎて成形性が低下する。
Fe:Fe含有量は、0.8%を超え1.2%以下とする。Feは本発明において重要な元素である。すなわち、FeはAl−Fe−Si系、Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を生成し、熱間圧延工程後あるいは溶体化処理工程後の再結晶組織における0−90°耳成分である立方体方位の発達を抑制する効果があり、耳率を低くするものである。また、前記金属間化合物の分布状態を均一化して、DI成形時の固体潤滑作用による成形性及び缶体表面性状の向上に寄与する。Feが0.8%以下では、低耳率や成形性向上の効果が不十分となり、また、コイル状のアルミニウム合金板において、巾方向で耳率などの特性にバラツキが生じる問題も招く。一方、1.2%を超えると耳率が高くなり過ぎるとともに、粗大な前記金属間化合物が生じて成形性を阻害する。
Cu:Cu含有量は、0.01%以上0.4%以下とする。CuはMgとの共存によりAl−Cu−Mg系化合物を析出させて強度を向上させる効果がある。Cuの含有量が0.01%未満では、強度を向上させる効果が不十分である。一方、0.4%を超えると、強度が高くなり過ぎて成形性を阻害するとともに耐食性が劣化する。
Mn:Mn含有量は、0.01%以上0.1%未満とする。Mnは強度向上に寄与するとともに、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物を生成し、成形性を向上させるのに有効な元素である。Mnの含有量が0.01%未満では、強度向上や成形性向上の効果が不十分である。一方、0.1%以上では、耳率が高くなり過ぎる。また、近年、Mnは枯渇元素として危惧される元素の一つであり、省資源化の観点より積極的に添加しない方が好ましい。
一般のアルミニウム合金では、鋳造組織を微細化するためにTi、或いは、Ti及びBを微量添加することがあり、本発明においても微量のTi、或いは、Ti及びBを含有していてもよい。但し、Tiの含有量が0.0001%未満では、鋳造組織の微細化効果が得られず、0.1%を超えると粗大なTiAl晶出物が生じて成形性を阻害する。したがって、Ti含有量は0.0001%以上0.1%以下の範囲内とすることが好ましい。また、結晶粒微細化効果向上のためにTiとともにBを添加する場合、Bの含有量が0.0001%未満では鋳造組織の微細化効果が得られず、0.01%を超えるとTiBの粗大粒子が混入して成形性を阻害する。従って、Bの含有量は0.0001%以上0.01%以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、本発明において、Ti及びBの他に、Cr、Znなどの不可避的不純物元素を、それぞれ0.1%以下でかつ合計で0.5%以下含有していてもよい。
本発明の缶胴用アルミニウム合金板は、前記組成のみならず、引張強さ、導電率、アルミニウム板表面の金属間化合物の面積占有率、耳率によっても規定される。以下に規定理由について説明する。
A−2.引張強さ(280MPa以上380MPa以下)
引張強さは、アルミニウム合金板を缶胴材に使用する際、DI成形時の成形性及び塗装焼付処理後の缶胴材の耐圧強度に影響する。引張強さが280MPa未満では、耐圧強度が不足する。一方、引張強さが380MPaを越えると、DI成形時の成形性が低下する。従って、本発明に係る缶胴用アルミニウム合金板では、引張強さを280MPa以上380MPa以下と規定する。
A−2.導電率(44.0%IACS以上50.0%IACS以下)
導電率は、アルミニウム合金板の強度、すなわち缶体の強度及び成形性に影響する。導電率は、合金元素のAlマトリックス中への固溶量あるいは析出量に関係し、固溶量が多いほど導電率は低くなる。本発明においては、後述する溶体化処理によりMg、Si及びCuをAlマトリックス中に固溶させるが、これらの固溶量が多ければ缶体としての強度が確保され、さらに塗装焼付処理時の加熱により前記元素の化合物が析出物として析出し、塗装焼付処理後の強度が向上する。すなわち高い時効硬化性を得ることができる。導電率が50.0%IACSを超えると、前記元素の固溶量が少ないために缶体としての強度が確保できず、また、塗装焼付処理後の強度上昇が少なく時効硬化性が劣る。さらに、前記元素の化合物からなる析出物量が多いためにDI成形時の成形性の低下を招く。一方、導電率が44.0%IACS未満では、前記元素の固溶量が多くなるため、強度が高過ぎるとともに、加工硬化性が強くなり過ぎて成形性が低下する。従って、本発明に係る缶胴用アルミニウム合金板では、導電率を44.0%IACS以上50.0%IACS以下と規定する。
A−3.アルミニウム合金板の表面における金属間化合物の面積占有率(2.0%以上4.5%以下)
金属間化合物の分布は、耳率及び成形性に影響する。金属間化合物の周囲はAlマトリックス中に比べて、圧延加工中にひずみが蓄積し易いため、その金属間化合物の周囲を核として比較的ランダムな方位の再結晶集合組織が発生する。すなわち、金属間化合物が多数存在すると、相対的に再結晶集合組織に占める0−90°耳成分である立方体方位の割合が低下する。通常のAl−Mg−Si系のアルミニウム合金板では金属間化合物が少ないため、従来のAl−Mn−Mg系のアルミニウム合金板に比べて、再結晶集合組織における0−90°耳成分である立方体方位が強くなってしまう。また、熱間圧延工程中は再結晶が繰返し進行する過程であり、金属間化合物は前述のようにその周囲に圧延加工中にひずみが蓄積し易くなるため、再結晶核の発生サイトとなる。すなわち、再結晶を促進する効果がある。この金属間化合物が少な過ぎると、コイル状のアルミニウム合金板の巾方向において、熱間圧延工程中の再結晶の進行が不均一となり、結果的にその後の再結晶集合組織が巾方向で不均一となる問題も生じる。これは、このまま最終板の巾方向における耳率のバラツキにも繋がるため、工業製品として好ましくない。また、金属間化合物はアルミニウム合金板中に均一に分布することで、DI成形時の固体潤滑作用による成形性及び缶体表面性状の向上にも寄与する。
本発明における金属間化合物は、Al−Fe−Si系、Al−Fe−Mn−Si系、Mg−Si系等の晶出物が挙げられる。本発明においては、金属間化合物の分布状態として板表面における金属間化合物の面積占有率を規定する。金属間化合物の面積占有率が2.0%未満では、前記効果が十分に得られず、再結晶後の0−90°耳成分である立方体方位が強過ぎて、耳率(0−90°耳)が高くなり過ぎるとともに、成形性も低下する。一方、金属間化合物の面積占有率が4.5%を超えると、相対的に再結晶後の0−90°耳成分である立方体方位の割合が低下し過ぎて耳率(45°耳)が高くなり過ぎるとともに、成形加工時の割れの起点が増えるため、成形性が低下する。従って、本発明に係る缶胴用アルミニウム合金板では、金属間化合物の面積占有率を2.0%以上4.5%以下と規定する。
A−4.耳率(−3%以上+3%以下)
耳の発生は、その後の成形加工時における成形性に影響する。前述の通り、耳率が高いと、DI成形後のトリミングしろが増すだけではなく、カッピング及びDI成形時に耳部がピンチングを起こし、そのときに生じるアルミニウム片がDI成形時に工具と素材の間に巻込まれ、破胴を引き起こす不具合が生じる。また、耳率を低く抑えるためには、熱間圧延終了後または中間焼鈍後のアルミニウム合金板再結晶組織において0−90°耳成分である立方体方位を適度に発達させ、その後の冷間圧延で発達する45°耳成分である圧延集合組織との良好なバランスを得る必要がある。耳率が−3%以上+3%以下の範囲外では、上記不具合が生じる。従って、本発明に係る缶胴用アルミニウム合金板では、耳率を−3%以上+3%以下と規定する。
B.缶胴用アルミニウム合金板の製造方法
次に、本発明に係る缶胴用アルミニウム合金板の製造方法について詳述する。まず、上述の合金組成を有するアルミニウム合金溶湯は、常法に従ってDC鋳造(半連続鋳造)される。
B−1.均質化処理工程
DC鋳造により得られた鋳塊は、均質化処理が施される。均質化処理は、鋳塊の偏析を均質化する目的で行なわれる。本発明における均質化処理工程では、Mg、Si、Cuの固溶を促進させ、後工程の溶体化処理工程における溶体化を容易にする。均質化処理温度が500℃未満では、前述のMg、Si、Cuの固溶が不十分となるとともに、Mg−Si系の粗大化合物が析出する。その結果、固溶しきれないこれら元素や粗大化合物により、後工程の溶体化処理工程において十分な溶体化効果が得られないため強度が不足する。一方、均質化処理温度が580℃を超えると、鋳塊内部に局部的な共晶溶融が生じるので好ましくない。均質化処理工程での保持時間については、1時間未満では鋳塊偏析を均質化することができず、48時間を超えると生産性やコストの観点から好ましくない。したがって、均質化処理条件は、500℃以上580℃以下の温度範囲で1時間以上48時間以内の保持時間と規定する。好ましくは3時間以上6時間以内の保持時間である。
B−2.熱間圧延工程
均質化処理工程の後に引き続いて、鋳塊に熱間圧延が施される。熱間圧延工程は、リバース式の圧延機により粗圧延を行う工程と、その後に、シングルリバース式又はタンデム式の圧延機により、コイル状に巻き取るまでの仕上げ圧延を行う工程とからなる。本発明では、熱間仕上げ圧延の終了温度を規定する。熱間仕上げ圧延の終了温度が280℃以上では、熱間仕上げ圧延終了後の余熱により、Mg−Si系化合物の析出が進行し、後工程の溶体化処理工程において固溶しきれずに十分な溶体化効果が得られないため強度が不足する。また、熱間仕上げ圧延の終了温度が200℃未満では、極端に遅い圧延速度に設定する必要があり、生産性の点で好ましくない。したがって、熱間仕上げ圧延工程の終了温度は、200℃以上280℃未満の温度範囲と規定する。なお、このような温度範囲は、潤滑油の使用量、クーラントと各圧下率の配分、圧延速度等を調整することによって達成される。また、熱間圧延上がりの板厚は、巻取性を考慮すると10mm以下とするのが好ましい。
B−3.溶体化処理工程
熱間圧延されたアルミニウム合金板は、後述する冷間圧延工程にかけられる。ここで、冷間圧延工程の途中の段階、或いは、冷間圧延工程の前段階において溶体化処理が施される。溶体化処理は合金中へのMg、Si及びCuの固溶促進のため、到達温度を500℃以上580℃以下の温度範囲とした。500℃未満ではMg、Si及びCuの固溶が十分に行われず強度が不足するとともに、塗装焼付処理時の時効硬化性が低下する。一方、580℃を超える温度ではバーニングによるMgの局部的な溶融が起こる。到達温度に到達した後の保持時間は、到達後直ちに冷却を開始してもよく、但し上限は2分間以内と規定する。2分間を超える保持を行っても、溶体化処理の効果が飽和してしまうため不経済となる。また、過度に長い時間の保持を行うと結晶粒の粗大化によって最終板の外観劣化、或いは、成形性が低下する等の不具合が発生する場合がある。
溶体化加熱後の冷却過程については、この過程でのMg−Si系化合物の析出を防止し、最終板の強度や時効硬化性を確保する見地から、1℃/秒以上の冷却速度で100℃以下まで冷却する工程と規定する。上記溶体化処理方法は、溶体化効果や生産性の観点より急速加熱、急速冷却する連続焼鈍(CAL)により実現できる。通常のバッチ式でのコイル単位の熱処理に比べて連続焼鈍の方が、コイル状の板を効率よく溶体化でき、結晶粒微細化による外観劣化の防止と成形性の向上及び、生産性の向上が望めるからである。
B−4.冷間圧延工程
上述のように、冷間圧延工程としては、その前段階において溶体化処理が施される態様(以下、「第1の態様」と記す)と、その途中の段階において溶体化処理が施される態様(以下、「第2の態様」と記す)が採用される。第2の態様では、溶体化処理工程の前の冷間圧延工程を第1の冷間圧延工程とし、溶体化処理工程の後の冷間圧延工程を第2の冷間圧延工程とする。第1の態様及び第2の態様ともに、最終板厚までの最終圧延率が高過ぎると強度が高くなり過ぎて成形性が低下するとともに、45°耳成分である圧延集合組織が発達し過ぎて耳率が高くなる。一方、最終板厚までの最終圧延率が低過ぎると、十分な加工硬化が得られず強度が確保できないとともに、45°耳成分である圧延集合組織が十分に発達せず耳率が高くなる。
なお、第2の態様では、溶体化処理工程前に第1の冷間圧延工程が施されるために、溶体化処理後の再結晶集合組織において0−90°耳成分である立方体方位が第1の態様に比べて低くなるため、第1の態様に比べて、最終板厚までの最終圧延率を低くする。従って、第1の態様における冷間圧延工程では、最終板厚までの最終圧延率を80%以上90%以下と規定し、第2の態様における第2の冷間圧延工程では、最終板厚までの最終圧延率を30%以上70%以下と規定する。第1の態様における最終圧延率が80%未満、第2の態様における最終圧延率が30%未満では、強度が不足するとともに耳率が高くなる。一方、第1の態様における最終圧延率が90%を超え、第2の態様における最終圧延率が70%を超えると、強度が高くなり過ぎて成形性が低下するとともに、耳率が高くなる。
C.樹脂フィルムの被覆
本発明に係る第2発明は、第1発明の缶胴用アルミニウム合金板と、その少なくとも一方の表面に被覆された樹脂フィルムを備える缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板である。樹脂フィルムは、缶胴用アルミニウム合金板をDI成形する前に、上記第1の態様では冷間圧延工程後に、上記第2の態様では第2の冷間圧延工程後に、アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に被覆される。樹脂フィルムは、ビスフェノールAなどの有害な環境ホルモンの放出の少ないポリエステル系樹脂が望ましい。ポリエステル系樹脂フィルムは、優れた加工性を有しているため、缶胴成形前のアルミニウム合金板に予め施すことが可能であり、DI成形性の向上も図られる。また、缶胴成形後に防食性の保護塗装を施す場合に比して、塗装工程の能率化及び簡略化が可能となり、生産性の向上の点からも望ましい。なお、ポリエステル系樹脂以外の樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂及びポリアミド系樹脂の1種又は2種以上を含んでいてもよい。
樹脂フィルムの厚さは、10〜30μmとするのが好ましい。樹脂フィルムの厚さが10μm未満では、薄過ぎて成形加工時に破損するおそれがある。一方、30μmを超えるとコスト高になってしまう。
樹脂フィルムの密着性を向上させるため、アルミニウム合金板に前処理を施すのが好ましい。前処理としては、化成処理や陽極酸化処理が挙げられる。化成処理又は陽極酸化処理によって化成皮膜又は陽極酸化皮膜を形成することで、樹脂フィルムの密着性向上が図られる。特に化成皮膜は、簡略な設備で形成できコスト的にも有利なため、工業上特に望ましい。化成皮膜は、リン酸亜鉛法、ベーマイト法、MBV法又はEW法(アルカリ−クロム酸塩系)、アロヂン法(クロム酸塩系、リン酸−クロム酸塩系)などの各化成処理により形成される。陽極酸化皮膜は、硫酸、シュウ酸、クロム酸、有機酸などの電解液を用いた陽極酸化処理により形成される。また、化成処理や陽極酸化処理の前処理として、アルミニウム合金板の表面にアルカリエッチング処理を施したり、酸処理を施してもよい。
樹脂フィルムの被覆方法としては、樹脂フィルムをその融点以上に加熱してアルミニウム合金板に熱圧着する方法が好適に用いられる。熱圧着温度が200℃未満では十分な密着性が得られず、DI成形時に剥離が生じるおそれがある。一方、熱圧着温度が300℃を超える温度では、樹脂フィルムが変質してしまう。したがって、樹脂フィルムを熱圧着する温度は、200℃以上300℃以下が好ましい。
D.塗装焼付処理
飲料缶等では、DI成形後に150℃以上250℃以下で3〜10分間程度加熱する塗装焼付処理を行うのが通常である。前記溶体化処理によりMg、Si及びCuが十分に固溶されているため、塗装焼付処理によってMg−Si系化合物やAl−Cu−Mg系化合物の微細析出が起こり、時効硬化による強度の向上が図られる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1〜13及び比較例1〜17
表1に示す組成のアルミニウム合金をDC鋳造法により厚さ500mmの鋳塊とした。上記合金鋳塊に対して、均質化処理を施し、次いで熱間圧延を行った。熱間圧延後においては、第1の態様として、溶体化処理を施した後に冷間圧延を行う工程を製造工程aとした。一方、第2の態様として、第1の冷間圧延を行った後に溶体化処理を施し、次いで第2の冷間圧延を行う工程を製造工程bとした。製造工程a、製造工程bともに、最終板厚0.28mmのアルミニウム合金板とした。表2に上記製造プロセスの条件を示す。
Figure 0005745364
Figure 0005745364
なお、溶体化処理条件においては、実施例1〜13、比較例1〜13及び15〜17が連続焼鈍炉によるもので、溶体化処理温度に到達後に保持時間を設けないで直ちに冷却速度1℃/秒以上で100℃以下まで冷却し、実施例13は溶体化処理温度に到達後に1分間の保持を行った。一方、比較例14はバッチ式焼鈍炉によるもので、溶体化処理温度に到達後に、2時間の保持を行った。
上記のようにして作製したアルミニウム合金板について、引張強さ、導電率、アルミニウム板表面における金属間化合物の面積占有率、耳率を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005745364
また、上記の実施例及び比較例において作製したアルミニウム合金板を用いて、その両面に前処理としてアルカリエッチングを施し、更にアルカリエッチング面に化成処理としてリン酸クロメート処理を施して、Cr含有量15mg/cmの化成皮膜を形成した。次いで、化成処理を施したアルミニウム合金板の両面に、樹脂フィルムとして厚さ15μmのポリエステル系樹脂フィルムを270℃で熱圧着し、樹脂を被覆したアルミニウム合金板を作製した。このような缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板について、しごき成形性及び耐圧強度を評価した。これらの結果を表4に示す。
Figure 0005745364
以下に評価方法について説明する。
引張強さ
JIS5号試験片を使用して、圧延方向と平行方向で引張試験を実施し、引張強さを測定した。引張強さが280MPa以上380MPa以下を合格(○)とし、280MPa未満或いは380MPaを超えるものを不合格(×)とした。
導電率
渦電流導電率測定装置を用いて、銅を基準試料として測定した。導電率が44.0%IACS以上50.0%IACS以下を合格(○)とし、44.0%IACS未満或いは50.0%IACSを越えるものを不合格(×)とした。
アルミニウム板表面における金属間化合物の面積占有率
アルミニウム板表面を鏡面まで研磨した後、光学顕微鏡によって400倍の倍率で10視野を写真撮影し、測定面積が0.5mmの領域から、画像解析により1μm以上の大きさの金属間化合物の面積占有率を測定した。この際、金属間化合物としては、Al−Fe−Si系、Al−Fe−Mn−Si系、Mg−Si系の晶出物が観察されるが、これらの合計を採用した。アルミニウム板表面における金属間化合物の面積占有率が2.0%以上4.5%以下を合格(○)とし、2.0%未満或いは4.5%を越えるものを不合格(×)とした。
耳率
直径57mmのブランクを33mmのパンチで絞って絞りカップを成形した後、圧延方向に対してカップ高さを測定し、次式より耳率を算出した。
耳率(%)=[{(0°−180°耳の平均値)−(45°耳の平均値)}/(0°−180°耳及び45°耳の平均値の最小値)]×100
ここで、0°−180°耳とは、0°位置、90°位置、180°位置及び270°位置の耳高さを意味し、45°耳とは、45°位置、135°位置、225°位置及び315°位置の耳高さを意味する。また、上記計算式では、0−180°耳の場合はプラス(+)、45°耳の場合はマイナス(−)で表記した。耳率が−3.0%以上+3.0%以下を合格(○)とし、−3.0%未満或いは+3.0%を超えるものを不合格(×)とした。
しごき成形性
樹脂被覆したアルミニウム合金板試料について、しごき成形性を評価した。第一しごき及び第二しごきのダイス内径を変化させることで、第三しごきのしごき率を変化させていき、成形できる最大のしごき率を限界しごき率とした。具体的には、しごき率(%)={1−(第三しごき後の缶胴側壁厚さ)/(第二しごき後の缶胴側壁厚さ)}×100を求め、このしごき率の最大値を限界しごき率とした。限界しごき率が46.5%以上を合格(○)とし、46.5%未満を不合格(×)とした。
耐圧強度
樹脂被覆したアルミニウム合金板試料をDI成形した缶に対し、200℃で10分間の塗装焼付処理相当の熱処理を施した。次いで、エアー式の耐圧試験機にてドーム成形したボトムがバックリングする圧力を測定して耐圧強度とした。耐圧強度が6.3kgf/cm以上のものを合格(○)とし、6.3kgf/cm未満のものを不合格(×)とした。
表3から明らかなように、実施例1〜13では、アルミニウム合金板の引張強さ、導電率、アルミニウム板表面における金属間化合物の面積占有率及び耳率の全てが合格であった。また、表4から明らかなように、実施例1〜7ではしごき成形性及び耐圧強度が合格であった。
これに対して、比較例1では、アルミニウム合金板のSi含有量が少な過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例2では、アルミニウム合金板のSi含有量が多過ぎたため、引張強さ、導電率及びしごき成形性が不合格であった。
比較例3では、アルミニウム合金板のMg含有量が少な過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例4では、アルミニウム合金板のMg含有量が多過ぎたため、引張強さ、導電率及びしごき成形性が不合格であった。
比較例5では、アルミニウム合金板のFe含有量が少な過ぎたため、金属間化合物の面積占有率及び耳率が不合格であった。
比較例6では、アルミニウム合金板のFe含有量が多過ぎたため、金属間化合物の面積占有率及び耳率が不合格であった。
比較例7では、アルミニウム合金板のCu含有量が少な過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例8では、アルミニウム合金板のCu含有量が多過ぎたため、引張強さ、導電率及びしごき成形性が不合格であった。
比較例9では、アルミニウム合金板のMn含有量が少な過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例10では、アルミニウム合金板のMn含有量が多過ぎたため、金属間化合物の面積占有率及び耳率が不合格であった。
比較例11では、均質化処理温度が低過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例12では、熱間仕上げ圧延の終了温度が高過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例13では、溶体化処理温度が低過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例14では、溶体化処理方式がバッチ焼鈍炉のため、保持時間が長過ぎて、かつ、冷却速度が遅過ぎたため、引張強さ、導電率及び耐圧強度が不合格であった。
比較例15では、最終冷間圧延率が高過ぎたため、引張強さ及びしごき成形性が不合格であった。
比較例16では、最終冷間圧延率が低過ぎたため、引張強さ及び耐圧強度が不合格であった。
比較例17では、最終冷間圧延率が高過ぎたため、引張強さ、耳率及びしごき成形性が不合格であった。
本発明に係る缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法により、成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れ、耳率の低い飲料缶胴が製造可能となる。更に、このような缶胴用アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムを被覆した、成形性及び塗装焼付処理後の強度に優れた缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板及びその製造方法が提供される。

Claims (6)

  1. Si:0.5mass%を超え1.5mass%以下、Mg:0.4mass%以上0.8mass%以下、Fe:0.8mass%を超え1.2mass%以下、Cu:0.01mass%以上0.4mass%以下及びMn:0.01mass%以上0.1mass%未満を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成され、280MPa以上380MPa以下の引張強さ、44.0%IACS以上50.0%IACS以下の導電率、2.0%以上4.5%以下の表面における金属間化合物の面積占有率及び−3%以上+3%以下の耳率を有することを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法であって、アルミニウム合金の鋳塊に500℃以上580℃以下で1時間以上48時間以内の均質化処理を施す工程と、当該均質化処理工程後に前記鋳塊に熱間圧延を施す熱間圧延工程であって、熱間仕上げ圧延の終了温度を200℃以上280℃未満とする熱間圧延工程と、当該熱間圧延工程後に圧延材に溶体化処理を施す溶体化処理工程であって、連続焼鈍炉を用いて500℃以上580℃以下で2分間以内の保持後に1℃/秒以上の冷却速度で100℃以下まで冷却する溶体化処理工程と、当該溶体化処理工程後に圧延材に冷間圧延を施す冷間圧延工程であって、80%以上90%以下の冷間圧延率にて最終板厚とする冷間圧延工程とを含むことを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  3. 請求項1に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法であって、アルミニウム合金の鋳塊に500℃以上580℃以下で1時間以上48時間以内の均質化処理を施す工程と、当該均質化処理工程後に前記鋳塊に熱間圧延を施す熱間圧延工程であって、熱間仕上げ圧延の終了温度を200℃以上280℃未満とする熱間圧延工程と、当該熱間圧延工程後に圧延材に第1の冷間圧延を施す第1の冷間圧延工程と、当該第1の冷間圧延工程後に圧延材に溶体化処理を施す溶体化処理工程であって、連続焼鈍炉を用いて500℃以上580℃以下で2分間以内の保持後に1℃/秒以上の冷却速度で100℃以下まで冷却する溶体化処理工程と、当該溶体化処理工程後に圧延材に第2の冷間圧延を施す第2の冷間圧延工程であって、30%以上70%以下の冷間圧延率にて最終板厚とする第2の冷間圧延工程とを含むことを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 請求項1に記載の缶胴用アルミニウム合金板と、その少なくとも一方の表面に被覆された樹脂フィルムを備えることを特徴とする缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板。
  5. 請求項2に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、前記冷間圧延工程後に、缶胴用アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムを被覆する工程を更に含むことを特徴とする缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法。
  6. 請求項3に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、前記第2の冷間圧延工程後に、缶胴用アルミニウム合金板の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムを被覆する工程を更に含むことを特徴とする缶胴用樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法。
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