JP3058660U - 大腿部緊縛型高所作業用安全帯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】墜落発生の際安全帯のベルトが上方へずれ、大
きな衝撃荷重により胸まで移動し、更にベルトの伸びと
相俟って、両腕を上げた体勢でベルトが抜ける、という
最悪の事態も予想されるものであった。 【解決手段】安全帯のベルト部によって形成し、該閉鎖
空間内に挿通された大腿部を緊縛固定し、安全帯のベル
トのずれ上がりを防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本願は、高所で作業する際に作業員が腰部に装着し、万が一の墜落を防止する 墜落防止用安全帯に関するものである。

【０００２】

【考案が解決しようとする課題】

主として建設現場等で使用される墜落防止用の安全帯は、耐候性、強度を考慮 した合成繊維製のベルトの一端にバックルを縫着し、中間部には細幅のベルト、 ロープでなり先端に構築物との連結用フックを有する連結用索体を固定した簡単 な構成のものであった。 高所における作業者にとって最大の関心事・心配事は墜落の防止であるが、作業 との兼ね合いより、過大な墜落防止手段を講じることはかえってその自由な移動 が阻害されたり、複雑な安全装備が構築物に引っかかって足を踏み外す、といっ たことも考えられるものであった。

【０００３】 よって先記したような必要最小限な構造の安全帯が一般的に使用されているが、 墜落の発生態様は一定でなく、思わぬ危険な状態も発生するものである。 墜落時の落下距離を小さくすることが落下引き留め時の衝撃荷重を小さくするた め、連結用フックの構築物への取り付け位置は、安全帯ベルトを装着する腰部位 置よりも高所にすることが決められている。よって、墜落が発生した際、腰部に バックル締着した安全帯ベルトが下肢の方へずれ、抜けるということは考えにく いことである。 しかし、墜落発生の際上方へずれ、大きな衝撃荷重により、胸まで移動し、更に 主としてナイロン繊維で織製されたベルトの伸びと相俟って、両腕を上げた体勢 でベルトが抜ける、という最悪の事態も予想されるものであった。これは、ベル ト、ロープに使用するナイロン繊維の伸度が高く、よって衝撃力を緩和するメリ ットがあるかわりに、収縮も大きく、バウンドを繰り返すうちに体勢が変わり、 危険な状況となることが考えられた。

【０００４】

【課題を解決するための手段および形態】

以上のような状況の中で、本願ではそのような最悪の事態を無くするため、安 全帯ベルトの上方への抜けを防止する手段を開示するものである。 安全帯のベルト部に、下方へ向け、Ｕ字状の空間を２つ形成し、そこへ両大腿部 を挿通することによって、ベルト部が上方へ移動しても大腿部を緊縛している限 り抜けることはない構造とするものである。 このベルト部下方へのＵ字状閉鎖空間の形成は、直接ベルト部に短尺のベルト両 端を縫い付ける方法と、両端部を環状としたベルトを挿通する２方法を採る。 この大腿部を挿通するＵ字状の空間の形成を、既に使用されているベルト部のみ の一般的な安全帯にも追加可能とするためには環部を形成してベルト部へ挿通す る方法を用いる。 また、腰部と接触する部分に腰痛緩和用に柔構造の補助ベルトを追加した重層構 造のベルト部を持つ安全帯では、幅広の胴当てベルトに対応する環状部を設ける か、胴当てベルトとともに輪状部を縫工して強度的な保証をするものである。 また、Ｕ字状の閉鎖空間を形成するベルトを一対に分割してバックルで連結する 方法も同等効果を有するため、他の実施例として採用する。

【０００５】

【実施例】

本願の一実施例を示す。 ナイロン繊維製の細幅織ベルト3 の一端にバックル1 を縫着し、他端にはほつれ 止め加工を施す。ベルト3 の中間部にはＤ形状のリング21を挿通し、ナイロン製 のロープ22を結着する。ロープ22の先端にはフック23を結着する。 このＤリング21、ロープ22に変えて最近では、巻取り機24を固定し、先端にフッ ク23を有する細幅織のベルト25を巻き取る方式のものが多く見られるが、これで あっても同等である。 Ｕ字状の閉鎖空間4 の形成は種々の方法が考えられるが、最も簡単なのは短尺の ベルト5 の両端をベルト部3 の所定位置に間隔を置いて下方へ向け縫い付ける方 法である。（図２） また、他の方法としては、ベルト5 の両端を環状に縫工し、ベルト部3 へ挿通す る方法である。この方法は、既に使用している安全帯にＵ字状の閉鎖空間を追加 する際に適している。（図３） また、第３，４の実施例としては、ベルト部3 のバックル1 寄りと、先端寄りに 短尺のベルト6 の一端を縫工、または環状に形成して挿通し、中央部には、下向 き略Ｙ字状でその分岐両端に小型のバックル73を取り付けたものを縫着71、また はＹ字基辺端を環状72にして挿通配置し、両端のベルト6 をバックル73にそれぞ れ締着してＵ字状の閉鎖空間を形成する方法もある。この方法は、ベルト部3 を まず腰部に締着して、後に大腿部をバックル締着する便利さがあるが、先に示し た実施例のものでは、ズボンを履く様に先ず閉鎖空間内に足を入れて履く形で装 着するものである。 また、第５実施例として、ベルト部3 のバックル1 寄りと、先端寄りに短尺の補 片ベルト81を下方へ向け縫い付け、その下端に、短尺のベルト8 によってＯ字状 の閉鎖空間4 を形成して配置したものである。 また、第６実施例として図１のように、ベルト部3 に取付金具32を挿通配置し、 該取付金具32に短尺のベルト5 の両端を挿通して折曲し、重合部を縫着して閉鎖 空間4 を形成し、短尺のベルト5 間にバックル53を介在して設け、閉鎖空間4 の 解放と、大腿部緊縛操作を可能としたものである。 以上の６つの実施例において、ベルト部3 が補助ベルト31を重層した構造の場合 には、幅広となるベルト部3 全体が挿通できる環部を設けるか、重層両ベルトと もに縫工することで同等効果を有するものである。

【０００６】 以上の構成の、腰部、両大腿部を緊縛する安全帯であるが、万が一の墜落が発生 すると、腰部のベルト部は胸の方へずり上がっても、大腿部のベルトでそれ以上 のずれを防止し、人体を墜落より防護するものである。 また、図６に示す様、ベルト部に縫着または吊支したベルト端部に環状のベルト を縫工するなど、この閉鎖空間を略Ｏ字状に形成することも同等な効果を有する 。

【０００７】

【考案の効果】

以上の様に本願を採用することにより、墜落発生時の人体引き留めにおいて、 ベルトのずれによる危険な状況を回避できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願第６実施例の正面図。

【図２】本願第１実施例の正面図。

【図３】本願第２実施例の正面図。

【図４】本願第３実施例の正面図。

【図５】本願第４実施例の正面図。

【図６】本願第５実施例の正面図。

【符号の説明】

1 バックル 2 索体 3 ベルト部 31 補助ベルト 32 取付金具 4 閉鎖空間 5 ベルト 51 縫着 52 環部 53 バックル 6 ベルト 61 縫着 62 環部 7 ベルト 71 縫着 72 環部 73 バックル 8 ベルト

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【手続補正書】

【提出日】平成１０年１２月８日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項２

【補正方法】変更

【補正内容】

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端部にバックル1 を有し、中間部に連
   結用索体2 を有する単層または重層のベルト部3 に、下
   方へ向け略Ｕ字状又はＯ字状の閉鎖空間4 を所定間隔で
   ２つ形成して配置し、装着時において当該空間内に挿通
   された大腿部をそれぞれ緊縛固定することを特徴とする
   大腿部緊縛型高所作業用安全帯。
2. 【請求項２】 Ｕ字状閉鎖空間4 の形成は、短尺のベル
   ト5 により、その両端を所定間隔でベルト部3 に逢着51
   して設けたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項に記載の大腿部緊縛型高所作業用安全帯。
3. 【請求項３】 Ｕ字状閉鎖空間4 の形成は、短尺のベル
   ト5 の両端部に環部52を形成し、所定間隔でベルト部3
   に嵌装して設けることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項に記載の大腿部緊縛型高所作業用安全帯。
4. 【請求項４】 Ｕ字状閉鎖空間4 の形成は、ベルト部3
   の両端部にそれぞれ所定長のベルト6 を下向きに縫着61
   し、中間部に下向き略Ｙ字状のベルト7 を縫着71し、Ｙ
   字分岐の先端に設けたバックル73により両端部のベルト
   6 をそれぞれ締着して設けることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載の大腿部緊縛型高所作業用
   安全帯。
5. 【請求項５】 Ｕ字状閉鎖空間4 の形成は、ベルト部3
   の両端部にそれぞれ所定長のベルト6 の一端に環部62を
   形成して下方へ向け挿通し、中間部に下向き略Ｙ字状の
   ベルト7 基辺端を環状72として挿通し、Ｙ字分岐の先端
   に設けたバックル73により両端部のベルト6 をそれぞれ
   締着して設けることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項に記載の大腿部緊縛型高所作業用安全帯