JP3057365B2 - 酸型含水ゲル状重合体の連続中和方法 - Google Patents

酸型含水ゲル状重合体の連続中和方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸型含水ゲル状重合体
の連続中和方法に関する。さらに詳しくは、高粘弾性を
持つ酸型含水ゲル状重合体の、低粘度アルカリ性物質で
の効率良い連続中和方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高粘弾性の酸型含水ゲル状重合体
を中和しようとしても通常の撹拌機では、酸型含水ゲル
が強い粘弾性を持つため撹拌が不能で中和自体が困難で
あった。この酸型含水ゲル状重合体の中和方法として、
押出し機(特開昭49−17668号公報)や双腕型ニ
ーダー(特開平1−131209号公報)を用いた方法
が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、押出し
機による中和は、粘性が高く塑性変形する含水ゲル重合
体の中和には比較的有効であるものの、含水ゲル状重合
体が弾性を持ち、塑性変形が起こりにくい含水ゲル状重
合体関しては、中和時に含水ゲルとアルカリ性物質との
接触がうまく行えず中和が不均一となり、剪断力をアッ
プして無理に中和を行おうとすれば中和時に含水ゲル状
重合体に多大のシェアーがかかって中和時にポリマーの
切断が起こったり、中和に長時間を要するなどの問題点
があった。一方、多軸の撹拌機を有する双腕型ニーダー
の様な機械を用いた含水ゲル状重合体の中和は、例えば
ゲルが脆く剪断力によって簡単にゲルが細分化される含
水ゲル状重合体の中和に関しては、比較的容易に中和が
行えるものの、高粘弾性を持ち多少の剪断力を加えても
ゲルが変形するだけで簡単には細分化できない含水ゲル
状重合体に関しては、中和が困難となったり中和を行う
のに長時間を費やしたりする。また、粘着性を有するゲ
ルに関しても、せっかく細分化したゲルが撹拌時に一体
化し、撹拌翼などにゲルが巻き付いて中和不能となるな
どの問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するため鋭意研究した結果、特殊な機能を持つ一
軸混練機を使用することにより、均一な中和を効率よ
く、しかも連続的に行えることを見いだし、本発明に到
達した。すなわち本発明は、酸型含水ゲル状重合体の中
和を、一本のスクリュー、これと連結されたカッターお
よび目皿を備えた、押出し、細断及び混練の機能を持つ
一軸混練機で連続的に行うことを特徴とする、酸型含水
ゲル状重合体の連続中和方法である。
【0005】本発明の方法において使用する押出し、細
断及び混練機能を有する一軸押出し機で高粘弾性をもつ
含水ゲル状重合体を連続的に均一な中和が行える機能は
下記の通りである。 高粘弾性を有する含水ゲル状重合体が、該一軸押し出
し機の投入口から、アルカリ物質の水溶液と共に連続的
に供給される。 含水ゲルとアルカリ物質の水溶液が押し出し機能を有
するスクリュ−により加圧状態で混練機内の多数の小穴
を有する目皿に連続的に供給される。 混練機内に有する多数の小穴を有する目皿の抵抗によ
り含水ゲルは更に加圧変形し、含水ゲルの一部が目皿内
に入る。 目皿の小穴内に入った含水ゲルは、目皿の手前に隣接
して設置した回転式のカッターにより小片に細断され、
ゲルと共に供給されるアルカリ水溶液と接触する。 ゲルの小片の大きさは目皿の小穴の口径にもよるが、
通常5mm角以下に細断されるためゲルの表面積が大き
く、アルカリ水溶液と接触することにより効率的で短時
間の中和が起こる。 更に、細断されたゲル小片とアルカリ水溶液が目皿内
を通過する際に、小穴内の壁面抵抗により適度な混練が
起こり、更に中和を促進する。本発明の一軸混練機中で
のゲルの処理時間は、上記〜のトータルで通常1分
以内、長くても3分以内で終了する。従って、短時間で
均一に中和できることから重合体の過度の剪断によるポ
リマーの切断や加水分解を防止することができ、また混
練機が有する細断機能により含水ゲルを細断することが
できるので、その後の含水ゲルを効率よく乾燥できる。
【0006】本発明の方法において使用する押し出し、
細断及び混練機能を有する一軸押出し機としては、上記
機能を有する機種であれば特に限定されるものではない
が、具体的には挽肉などの作成に使用されているミート
チョッパーを例示することができる。
【0007】本発明において使用する押出し機のゲルの
投入口の口径は特に制限はないが、機械面からの機器の
大きさ及びゲルの取扱性の観点から、通常口径が5〜1
50cmのものを使用する。投入口へのゲルの供給方法
も特に制限はないが、ローブポンプ、スネークポンプ、
ベーンポンプ、コメットポンプ、ピストンポンプなどの
ゲルの定量供給性が確保できるポンプで投入する方が、
中和の度合及び均一性を確保する上で好ましい。一方、
アルカリ水溶液に関しては、通常の定量ポンプで含水ゲ
ルと同時にゲルの投入口などから供給する。
【0008】本発明において使用する押出機は、押出し
機内にスクリュウーを有し、通常、含水ゲルを加圧する
ためにスクリューのピッチは、前部のピッチより後部の
方が狭くなっている構造を有する。
【0009】本発明において使用する押出機は、スクリ
ュウ−の末端に多数の小穴を有する目皿が設置される。
目皿の小穴の数は目皿の大きさによっても異なるが通常
10個以上、好ましくは20個以上である。小穴の個数
が10個未満であると、小穴の口径が相対的に大きくな
りその後に細断されるゲルの大きさが大きくなり乾燥に
長時間を要するので好ましくない。目皿の小穴の口径
は、通常1〜50mm、好ましくは3〜30mmであ
る。1mm未満であると含水ゲルが目皿部分の抵抗で圧
縮されて小穴内に変形する際に含水ゲルに多大のシアー
がかかり、ポリマーの切断等が起こるので好ましくな
い。一方、目皿の口径が50mm以上であると、その後
に細分化されるゲルの大きさが大きくなり乾燥に長時間
を要する。目皿の厚みに関しては、特に制限はないが通
常1〜100mm、好ましくは2〜50mmである。目
皿の厚みが1mm未満であると目皿の小穴内での混練が
うまくおこなえず、厚みが100mmを越える場合は、
目皿の小穴をゲルが進行する際に壁面との抵抗によりゲ
ルに大きなシェアーがかかる。
【0010】スクリュウーの末端部に設置され目皿の手
前に隣接するカッターは、通常スクリュウーと連結され
た構造をもっているため、スクリュウーを回転させると
カッターも回転する構造を有する。目皿とカッターとの
間隔は、通常10mm以下である。目皿とカッターとの
間隔は、狭い方がハサミの原理によりゲルが細断しやす
いので目皿とカッターは接触していた方が好ましいが、
目皿とカッターが接触しているとカッターの回転時間と
共に徐々に目皿がすり減り、目皿の厚みが徐々に薄くな
る場合もあるので、ゲルの細断が可能な範囲で10mm
以下の隙間があっても良い。
【0011】本発明において、中和の均一性を更に向上
させるために、本発明の一軸押出機を必要により2基以
上連結してもよい。
【0012】本発明の方法において、中和する酸型含水
ゲル状重合体は、カルボン酸基、スルホン酸基及びリン
酸基等の酸基を有する重合性単量体を主単量体として水
溶液重合して得られる。本発明において、カルボン酸基
を有する重合性単量体としては、不飽和モノまたはポリ
カルボン酸[(メタ)アクリル酸(アクリル酸および/
またはメタクリル酸をいう。以下同様の記載を用い
る。)、(エタ)アクリル酸、クロトン酸、ソルビン
酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸など]、それら
の無水物[無水マレイン酸など]などがあげられる。ス
ルホン酸基を有する重合性単量体としては、脂肪族また
は芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリル
スルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスル
ホン酸など)、(メタ)アクリルスルホン酸[(メタ)
アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプ
ロピルなど]、(メタ)アクリルアミドスルホン酸[2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸な
ど]などがあげられる。リン酸基を有する重合性単量体
としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン
酸モノエステル[2−ヒドロキシエチルアクリロイルホ
スフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリロイルホス
フェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホス
フェートなど]があげられる。これらのうちで好ましい
ものはカルボン酸基またはスルホン酸基を有する重合性
単量体であり、特に好ましいものはカルボン酸基を有す
る重合性単量体である。これらの酸基を有する単量体は
単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0013】酸型含水ゲル状重合体は酸基を有する単量
体とともに必要により他の重合性単量体を使用すること
ができ、この重合性単量体としては例えば(メタ)アク
リル酸エステル、イソブチレン、酢酸ビニル、アクリル
アミド等が挙げられる。この量は全重合性単量体および
共重合性架橋剤の合計重量に基づいて通常90%以下、
好ましくは70%以下である。また、デンプン、セルロ
ース誘導体の存在下に重合させてもよい。
【0014】本発明において、必要により該単量体と共
重合可能な二重結合を少なくとも2個有する架橋剤
(a)を共重合することができる。架橋剤(a)として
は、ビス(メタ)アクリルアミド、ポリオール類と不飽
和モノまたはポリカルボン酸とのジまたはポリエステ
ル、カルバミルエステル、ジまたはポリビニル化合物、
ポリオール類のジ−またはポリ−(メタ)アリルエーテ
ル、ポリカルボン酸のジ−またはポリ−アリルエステ
ル、不飽和モノ-またはポリ-カルボン酸とポリオールの
モノ(メタ)アリルエーテルとのエステルおよびポリア
リロキシアルカン類等があげられる。これらの内で好ま
しい架橋剤(a)は、N,N’−メチレンビスアクリル
アミド、エチレングリコールジアクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、テトラアリロキシエ
タンおよびネオペンチルグリコールトリアリルエーテル
である。特に好ましい架橋剤(a)は、分子内にアミド
基、エステル基のような中和時に加水分解しやすい結合
様式を含まないという点で、テトラアリロキシエタンお
よびネオペンチルグリコールトリアリルエーテル、ペン
タエラスリトールトリアリルエーテルである。
【0015】架橋剤(a)の量は、重合性単量体の合計
重量に対して通常5%以下、好ましくは3%以下、更に
好ましくは1%以下である。尚、架橋剤存在下で重合し
て得られる含水ゲル重合体は、高吸水性樹脂等の原料と
して使用され、架橋剤不存在下で重合して得られる含水
ゲル重合体は高分子凝集剤等の原料として使用される。
【0016】本発明における酸型含水ゲル重合体は、必
要により、該一軸混練機にカルボン酸基、スルホン酸基
及びリン酸基と共有結合しうる官能基を少なくとも2個
有する第二の架橋剤(b)を添加し、更に架橋される。
この架橋剤(b)としては、ポリグリシジルエーテル化
合物、ポリオール化合物およびポリアミン化合物等が挙
げられる。これらの内で好ましい架橋剤(b)は、ポリ
グリシジルエーテル化合物、ポリオール化合物、ポリア
ミン化合物である。特に好ましい架橋剤(b)は、カル
ボン酸基と強い共有結合を形成して剪断後弾性率に優れ
た吸水性樹脂が得られ、且つ架橋反応を比較的低い温度
で行わせることができ経済的であると言う点で、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン−1,
3−ジグリシジルエーテル、ポリアミドポリアミンエピ
クロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹
脂である。
【0017】架橋剤(b)の量は、単量体の合計重量に
対して通常3%以下、好ましくは2%以下、更に好まし
くは1%以下である。架橋剤(b)の量が3重量%を越
えるとゲルが固くなりすぎて中和が不均一となる。
【0018】本発明において、中和する高粘弾性を持つ
ゲル状重合体のゲルの弾性率は、通常10,000〜
5,000,000dyne/cm2、好ましくは5
0,000〜3,000,000dyne/cm2であ
る。ゲルの弾性率が、10,000dyne/cm2未
満の含水ゲルであれば本発明の一軸混練機を使用しなく
ても中和が可能であり、弾性率が5,000,000d
yne/cm2を越えるとゲルが堅すぎて中和が不均一
となる。
【0019】本発明において使用する中和剤は、通常5
〜80%の水溶液として使用される。5重量%未満で
は、水の量が多くなり過ぎてその後の乾燥が非効率的と
なり、一方80重量%を越えると均一に中和しにくくな
る。
【0020】本発明において使用する中和剤としては
は、アルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、
重炭酸ナトリウムなど)、アンモニア、アミン化合物
(メチルアミン、トリメチルアミンなどのアルキルアミ
ン;トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの
アルカノールアミンなど)およびこれらの二種以上が挙
げられる。中和度は用途によってもことなるが、特に高
吸水性樹脂の原料として使用する場合は通常60〜90
モル%、好ましくは65〜80モル%である。中和度が
60モル%未満の場合、得られる高吸水性樹脂のpHが
酸性となり、一方、90モル%を越えるとpHがアルカ
リ性となり、いづれの場合も人体の皮膚に対する安全性
の点で好ましくないことから、紙おむつ用吸収剤組成物
の構成成分としては適当でない。
【0021】本発明の酸型含水ゲル重合体の重合方法
は、従来から知られている方法でよく、たとえばラジカ
ル重合触媒を用いて重合させる方法および放射線、電子
線、紫外線などを照射する通常の方法などがあげられ
る。重合は、溶媒として水を使用し水溶液重合で行われ
る。通常溶媒は水単独であるが、必要があれば水と親水
性溶媒の混合溶媒中で行っても良い。親水性溶媒として
はメタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびメチルエ
チルケトン等を挙げることができる。重合性単量体の水
溶液濃度は、通常10重量%以上、好ましくは15〜8
0重量%である。10重量%未満では得られた樹脂の分
子量が低くなりやすい。
【0022】乾燥方法は通常、50〜230℃の温度の
熱風で加熱して乾燥する方法、通常50〜230℃に加
熱されたドラムドライヤーなどの使用による薄膜乾燥
法、減圧乾燥法、凍結乾燥法など通常の方法でよい。ま
た粉砕方法についても特に限定はなく、ハンマー式粉砕
機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機、ジェット気流式粉
砕機など通常の装置が使用できる。
【0023】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。含水ゲル重合体の弾性率、乾燥後のポリマーの加
圧吸収量及び水可溶性成分(以上高吸水性樹脂)、固有
粘度[η](高分子凝集剤)は下記の方法により測定し
た。以下特に定めない限り%は重量%を示す。
【0024】測定法は次の通り。 含水ゲル状重合体の弾性率:酸型含水ゲル重合体を約2
cm角に裁断する。このゲルを20〜30℃に調温し、
クリープメーター(山電株式会社製)の支持テーブル中
央に置く。次いでプランジャー(プランジャーNO.
2)を接続した上部シリンダーを下降させてゲルに50
0gの荷重がかかるまでゲルを圧縮し、ゲルのクリープ
曲線を計測した。クリープメーター付属の自動解析装置
を用いて、含水ゲルの粘性及び弾性を算出し、この弾性
の数値を、酸型含水ゲル状重合体の弾性率とした。
【0025】加圧下吸収量:(架橋重合体−高吸水性樹
脂) 250メッシュのナイロン網を底面に貼った円筒型プラ
スチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に
乾燥したポリマー0.1gを入れて均一に広げ、この上
に20g/cm2の荷重となるように外径30mmの分
銅を乗せた。人工尿60mlの入ったシャーレ(直径:
12cm)の中にポリマーの入ったチューブをナイロン
網側を下面にして30分間浸漬し、30分後の増加重量
の10倍値を加圧下吸収量とした。
【0026】水可溶性成分:(架橋重合体−高吸水性樹
脂) サンプル2gを1%食塩水300g中に加えて充分膨潤
させ、5時間撹を続けた。その後、0.2ミクロンのメ
ンブランフィルターでろ過し、さらにろ液(ag)を蒸
発乾固して残重量(bg)を測定し、下式により水可溶
性成分を算出した。 水可溶性成分(%)=b/a×150×100
【0027】固有粘度[η]:(非架橋体−高分子凝集
剤) 中和した酸型含水ゲル重合体1.0gを精秤し、200
mlのメスフラスコに入れた。メスフラスコに純水約1
00mlを加え、スターラーを用いて冷暗(20℃以
下、光遮断下)でゆっくり12時間撹拌した。撹拌した
溶液に4規定の水酸化ナトリウム水溶液100mlを加
え1時間ほど撹拌を続け完全に溶解した。ホールピペッ
ト、メスフラスコを使用して、0.08%、0.05%
及び0.02%のポリマー純分となる様に2規定の水酸
化ナトリウム液を添加しそれぞれの溶液を調整した。3
0±0.1℃に調整した恒温槽の水中にキャノンフェン
スケ粘度計を垂直にセットし、各濃度の溶液10mlを
キャノンフェンスケ粘度計に入れる。約30分試料溶液
を調温後、使用の流出時間(t0)及び2規定の水酸化
ナトリウム流出時間(t)を3回測定して平均値を取
り、下式により還元粘度(ηsp/C)を算出した。 ηsp/C=(t−t0)/t0 × 1/C グラフの横軸に各試料溶液の濃度C(%)を、縦軸に還
元粘度(ηsp/C)を取り、各測定値をプロットし、
各測定値を通る直線を引き、縦軸と交わる点すなわちC
=0におけるηsp/Cの値が固有粘度[η]である。
尚、固有[η]は、ポリマーの分子量が大きく、GPC
などにより分子量が測定不可能な高分子量体の分子量の
指標として一般に使用されている。
【0028】製造例1[酸型含水ゲル状重合体(A)の
製造] 容量1リットルのガラス製反応容器にアクリル酸175
g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.03g
および脱イオン水320gを仕込み、内容物の温度を0
℃に保った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を0.
3ppm以下とした後、過酸化水素の0.11%水溶液
1g、アスコルビン酸の0.1%水溶液1.2gおよび
4,4’−アゾビス(4−シアノヴァアレニックアシッ
ド)の2%水溶液2.5gを添加して重合を開始させ、
約5時間静置重合することにより酸型含水ゲル状重合体
(A)を得た。クリープメーターを用いてこの含水ゲル
状重合体の粘弾性を測定したところ、ゲルの弾性率は約
380,000dyne/cm2であった。
【0029】製造例2[酸型含水ゲル状重合体(B)の
製造] 容量1リットルのガラス製反応容器にアクリル酸50
g、アクリルアミド50gおよび脱イオン水400gを
仕込み、内容物の温度を5℃に保った。内容物に窒素を
流入して溶存酸素量を0.3ppm以下とした後、過酸
化水素の0.11%水溶液1g、アスコルビン酸の0.
1%水溶液1.2gおよび2,2’−アゾビス(2−メ
チルプロピオンアミド)ジハイドロクロライドの2%水
溶液2.5gを添加して重合を開始させ、約5時間重合
することにより酸型含水ゲル状重合体(B)を得た。ク
リープメーターを用いてこの含水ゲル状重合体の粘弾性
を測定したところ、ゲルの弾性率は約120,000d
yne/cm2であった。この含水ゲル重合体(B)の
分子量の指標として固有粘度[η]を測定した。
【0030】実施例1 市販のミートチョッパー(飯塚工業株式会社製、Typ
e:12RF)に外層部(内径70mm、T型円筒状)
を装着し、その内部にスクリュー(スクリュー長:12
cm)を入れ、スクリューの片末端をモーターの回転部
にはめ込んだ。スクリューのもう一方の末端に回転式カ
ッター及び目皿(目皿の小穴数:50個、小穴径5m
m、厚み8mm、SUS製)を装着し、ネジ付きのフタ
で外装部に固定させた。このミートチョッパーのゲルの
投入口から、ハサミを用いて3〜8cmに切断した酸型
含水ゲル重合体(A)500gと48%の水酸化ナトリ
ウム水溶液292gを入れ、モーターを回転させること
により接続したスクリューを100rpmで回転させ、
カッター及び目皿方向にゲルを圧縮し、押し込んだ。直
ちに、ゲルの排出口である目皿の小穴から、回転式のカ
ッターで細断された2mm角程度の含水ゲルが凝集した
ウドン状のゲルが排出された。排出されたゲルをもう一
度ミートチョッパーの投入口に投入すると、排出口であ
る目皿の小穴からはほぼ均一なウドン状のゲルが排出さ
れた。ゲルの投入から排出までの時間は、1回の操作で
約30秒、トータルで約1分間であった。このゲルに、
フェノールフタレイン溶液を添加したが、どのゲルの部
分にも赤色の着色は見られなかった。このゲルを表面温
度150℃のドラムドライヤー上に延伸し、約5分間乾
燥した。乾燥物を衝撃式の粉砕器を用いて、18〜10
0メッシュに粉砕し、乾燥物の加圧吸収量及び可溶性成
分を測定した。
【0031】実施例2 実施例1で使用したミートチョッパーのゲルの投入口か
ら、ハサミを用いて3〜8cmに切断した酸型含水ゲル
重合体(A)500gと48%の水酸化ナトリウム水溶
液55gを入れ、モーターを回転させることにより接続
したスクリューを100rpmで回転させ、カッター及
び目皿方向にゲルを圧縮し押し込んだ。直ちに、ゲルの
排出口である目皿の小穴から、ほぼ均一なウドン状のゲ
ルが排出された。ゲルの投入から排出までの時間は、約
30秒であった。このゲルを取り出しポリマーの固有粘
度[η]を測定した。
【0032】比較例1 実施例1で使用したミートチョッパーから回転式のカッ
ターを取り外し、一軸押出機として用い、この一軸押出
機のゲルの投入口から、ハサミを用いて3〜8cmに切
断した酸型含水ゲル重合体(A)500gと48%の水
酸化ナトリウム水溶液292gを入れ、モーターを回転
させることにより接続したスクリューを回転させ、目皿
方向にゲルを圧縮し、押し込んだ。ゲルの排出口である
目皿の小穴から、殆どゲルが排出されず、モーターに負
荷がかかりすぎてモーターの回転が止ったため、モータ
ーの馬力をアップして回転を継続したが、ほぼ排出され
るまでに約5時間を必要とした。このゲルに、フェノー
ルフタレイン溶液を添加したところ、排出されたゲルの
表面は赤色に着色した。このゲルを表面温度150℃の
ドラムドライヤー上に延伸し、約5分間乾燥した。乾燥
物を衝撃式の粉砕器を用いて、18〜100メッシュに
粉砕し、乾燥物の加圧吸収量及び可溶性成分を測定し
た。
【0033】比較例2 実施例1で使用したミートチョッパーから回転式のカッ
ターを取り外し、一軸押出機として用い、この一軸押出
機のゲルの投入口から、ハサミを用いて3〜8cmに切
断した酸型含水ゲル重合体(B)500gと48%の水
酸化ナトリウム水溶液55gを入れ、モーターを回転さ
せることにより接続したスクリューを回転させ、目皿方
向にゲルを圧縮し、押し込んだ。ゲルの排出口である目
皿の小穴から、殆どゲルが排出されず、モーターに負荷
がかかりすぎてモーターの回転が止ったため、モーター
の馬力をアップして回転を継続したが、ほぼ排出される
までに約3時間を必要とした。このゲルに、フェノール
フタレイン溶液を添加ところ、どの排出されたゲルの表
面は赤色に着色した。このゲルを取り出しポリマーの固
有粘度[η]を測定した。
【0034】比較例3 内容量2000ml、開口部160mm×150mm、
深さ135mm、羽根の回転径70mmのシグマ型羽根
を2本有する双腕型ニーダーに、3〜8cmに切断した
含水ゲル重合体(A)500gと48%の水酸化ナトリ
ウム水溶液297gを添加した。2本のシグマ型バネを
それぞれ50rpm及び70rpmで2時間回転させた
が、含水ゲル重合体は、ほとんど細分化できず水酸化ナ
トリウム水溶液が双腕ニーダーの下部に溜まっていたた
め、更に撹拌を22時間継続したところ、下部の水酸化
ナトリウム水溶液がほぼ無くなっていたので回転を終了
した。このゲルを表面温度150℃の熱風乾燥機上に積
層し、約60分間乾燥した。乾燥物を衝撃式の粉砕器を
用いて、18〜100メッシュに粉砕し、乾燥物の加圧
吸収量及び可溶性成分を測定した。
【0035】比較例4 比較例3で用いた双腕型ニーダーに、3〜8cmに切断
した含水ゲル重合体(B)500gと48%の水酸化ナ
トリウム水溶液55gを添加した。2本のシグマ型バネ
をそれぞれ50rpm及び70rpmで撹拌させたが、
含水ゲル重合体は細分化できず一体化し、シグマ羽根に
ゲルが巻き付いた。2時間撹拌を続けたが水酸化ナトリ
ウム水溶液が双腕ニーダーの下部に溜まっていたため、
更に撹拌を22時間継続したが、下部にまだ水酸化ナト
リウム水溶液が溜まっているのを確認したので中和を断
念した。
【0036】実施例1、比較例1、3の加圧吸収量およ
び水可溶性成分、並びに実施例2、比較例2、4および
含水ゲル状重合体(B)の固有粘度を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1から、高吸水性樹脂においては、実施
例1では加圧吸収量が大きく水可溶性成分が小さいが、
比較例1、3では加圧吸収量が小さく水可溶性成分が大
きくポリマーの切断が起こっていることが分かる。ま
た、高分子凝集剤においては実施例2の固有粘度は含水
ゲル状重合体(B)の固有粘度とほとんど変わらない
が、比較例2の固有粘度は含水ゲル状重合(B)の固有
粘度より小さくなっており、やはりポリマーの切断が起
こっていることが分かる。また、比較例4では中和がで
きなかった。
【0039】
【発明の効果】本発明の次のような特長および効果を有
する。 ゲルの押し出し、細断、混練の機能を有する一軸押出
機を使用することにより高粘弾性を有する酸型含水ゲル
重合体を短時間で均一に中和することができる。 短時間で中和できかつ中和時にゲルにかかるシアーも
低いため、中和時のポリマーの切断劣化等が起こらな
い。 含水ゲル重合体及び中和剤水溶液を連続的に供給する
ことにより、酸型含水ゲル重合体連続中和が可能であ
り、本発明の一軸混練機のサイズも小さくなるため、工
業的な大量生産に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−60630(JP,A) 特開 平1−144404(JP,A) 特開 平1−131209(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 6/02 C08F 8/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸型含水ゲル状重合体の中和を、一本の
    スクリュー、これと連結されたカッターおよび目皿を備
    えた、押出し、細断及び混練の機能を持つ一軸混練機で
    行うことを特徴とする、酸型含水ゲル状重合体の連続中
    和方法。
  2. 【請求項2】 該一軸混練機の持つ機能が押し出し、細
    断、混練の順である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該一軸混練機が、ミートチョッパーに外
    層部を装着し、その内部にスクリューを入れ、スクリュ
    ーの片末端をモーターの回転部にはめ込み、スクリュー
    のもう一方の末端に回転式カッター及び目皿を装着した
    ものである請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 該一軸混練機を2基以上連結して中和を
    行う請求項1〜3いずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 該スクリューのピッチが、前部より後部
    の方が狭くなった構造を有するものである請求項1〜3
    いずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 該酸型含水ゲル状重合体が、カルボン酸
    基を有する重合性単量体を水溶液重合したゲルであるこ
    とを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 該酸型含水ゲル状重合体が、カルボン酸
    基を有する重合性単量体を架橋剤の存在下に水溶液重合
    したゲルであることを特徴とする請求項1〜6いずれか
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 該酸型含水ゲル状重合体の弾性率が1
    0,000〜5,000,000dyne/cm2であ
    る請求項1〜7いずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 該酸型含水ゲル状重合体の弾性率が5
    0,000〜3,000,000dyne/cm2であ
    る請求項1〜8いずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 中和を、アルカリ性物質の水溶液で行
    うことを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の方
    法。
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