JPH11188725A - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂の製造方法

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JPH11188725A
JPH11188725A JP9358404A JP35840497A JPH11188725A JP H11188725 A JPH11188725 A JP H11188725A JP 9358404 A JP9358404 A JP 9358404A JP 35840497 A JP35840497 A JP 35840497A JP H11188725 A JPH11188725 A JP H11188725A
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浩司 三宅
Takumi Hatsuda
卓己 初田
Yasuhiro Fujita
康弘 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 竪型切断機を用いて含水ゲル状架橋重合体を
解砕する際に、該竪型切断機内で含水ゲル状架橋重合体
が混合・撹拌されることを防止し、良好かつ効率的に該
含水ゲル状架橋重合体を解砕することによって、高品質
の吸水性樹脂を製造する方法を提供する。 【解決手段】 ケーシング11内に、回転刃12と、該
回転刃12に対向して設けられる固定刃13とを備える
竪型切断機を用いて、含水ゲル状架橋重合体を解砕し、
スクリーン14によって所定の大きさに分級する。ここ
で、上記竪型切断機には滞留域を設けず、かつ、回転刃
12に近接してスクリーン14および排出口3を設けて
いることにより、解砕された含水ゲル状架橋重合体を分
級した後にすぐに排出口から外部へ排出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着性および弾力
性に富む塊状の含水ゲル状架橋重合体を練り潰すことな
く解砕することによって、吸水速度や吸水倍率に優れた
吸水性樹脂を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水溶性エチレン性不飽和単量体を、微量
の架橋剤の存在下で水溶液重合することにより、吸水性
架橋重合体として、含水ゲル状架橋重合体が得られるこ
とはよく知られている。
【0003】この含水ゲル状架橋重合体は、半個体状で
弾性に富むゲル状物であり、そのまま使用されることは
ほとんどなく、多くの場合、乾燥効率を高めるために、
一旦、解砕(粗砕)されて解砕体とした後に、乾燥・粉
砕される。その後、乾燥粉末状態となった上記含水ゲル
状架橋重合体の解砕体は、吸水性樹脂、すなわち吸水剤
として使用される。
【0004】上記の解砕工程において、塊状の含水ゲル
状架橋重合体の解砕方法としては、従来、たとえば、
重合後の含水ゲル状架橋重合体をミートチョッパーなど
のスクリュー型押出機で解砕する方法、ニーダー中で
重合しながら得られた含水ゲル状架橋重合体を解砕する
方法、重合後の含水ゲル状架橋重合体をハサミを用い
て手で裁断する方法、環状切断エッジを対向ロールに
押し付けながら切断する方法などが知られている。
【0005】ところが、上記またはの方法では、水
溶液重合により得られた含水ゲル状架橋重合体をミート
チョッパーまたはニーダーで解砕するため、該含水ゲル
状架橋重合体が圧縮されて練られながら解砕されること
になる。そのため、含水ゲル状架橋重合体に対して強大
な機械的外力が作用し、その架橋重合鎖が切断され、水
可溶性成分量が増大するおそれがある。
【0006】一方、上記の方法を用いた場合には、細
断時に、含水ゲル状架橋重合体が含有する気泡を押し潰
すことは回避される。しかしながら、この方法では、生
産性が極めて低いために、吸水性樹脂の工業生産に適応
するには不適当であるという問題点を有している。ま
た、この方法では、ハサミの切刃に粘着性の比較的大き
な含水ゲル状架橋重合体の解砕体が付着するために、経
時的に切刃の切れ具合が悪くなるという問題点も招来す
ることになる。
【0007】さらに、上記の方法を用いた場合、対向
ロールへの含水ゲル状架橋重合体の押し付けにより、弾
力性に富む該含水ゲル状架橋重合体が変形することにな
る。そのため、環状切断エッジに含水ゲル状架橋重合体
が巻き付いて所望の大きさに切断できなくなるうえに、
連続運転ができなくなるという問題点を招来している。
【0008】そこで、上記の各問題点に対応するための
解砕方法として、固定刃と回転刃を有し、これら各刃に
よる剪断によって被解砕物を解砕する竪型切断機(カッ
ティングミルまたはロートプレックスともいう)によっ
て、上記含水ゲル状重合体を解砕する方法が提案されて
いる。このような竪型切断機を用いた吸水性樹脂の製造
方法としては、たとえば、特開平4−175319号公
報に開示されている吸水性樹脂の製造法が挙げられる。
【0009】上記のような解砕方法では、上記個体刃と
回転刃とによる剪断で、含水ゲル状架橋重合体を解砕す
るので、該含水ゲル状架橋重合体の解砕時における機械
的外力が減少されることになる。そのため、含水ゲル状
架橋重合体が解砕時に変形したり、練り潰されたりする
ことがなく、水可溶性成分量の増加を抑制することがで
きる。
【0010】また、得られる含水ゲル状架橋重合体の解
砕体は、上記回転刃の回転によって描かれる円弧に沿っ
て、該円弧の外周側に設けられた円弧状のスクリーンに
よって、所定の大きさに分級される。そのため、上記含
水ゲル状架橋重合体をより均一な大きさに解砕すること
ができる。さらに、この方法では、工業的に連続生産す
ることが可能となっている。
【0011】ここで、上記竪型切断機においては、被解
砕物を解砕する解砕部に、通常、滞留域が設けられてい
る。この滞留域は、被解砕物を解砕する際に、被解砕物
がある程度、竪型切断機内に留まるようにするためのも
のである。この滞留域では、上記剪断によりある程度解
砕された被解砕物は、回転刃の遠心力によって激しく混
合、撹拌される。それゆえ、被解砕物が未だ不十分な解
砕状態で竪型切断機外に排出されることがなく、被解砕
物のより良好な解砕を可能としている。
【0012】また、上記竪型切断機による解砕方法を用
いた重合体の製造方法としては、特開昭61−1159
09号公報に記載のアクリルアミド系重合体細粒状物の
製法が挙げられる。この方法では、アクリルアミド系の
重合体ゲルを滞留域に一定時間停滞させ、激しく撹拌す
ることによって、該重合体ゲル中の残留アクリルアミド
と、アルカリ性物質および/または活性水素を有するも
しくは活性水素を生成する化合物とを、効率よく化学反
応させている。これによって、アクリルアミドを消滅さ
せるための化学反応を促進、完結させて、アクリルアミ
ド残量の少ないアクリルアミド系重合体細粒状物を得る
ことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記含水ゲ
ル状架橋重合体を解砕して吸水性樹脂を得る場合には、
上述したように、該含水ゲル状架橋重合体に対して機械
的外力を作用させないように解砕する必要がある。これ
に対して、上記竪型切断機に滞留域が存在すると、上記
滞留域で解砕途中の含水ゲル状架橋重合体が滞留して、
回転刃の遠心力により、激しく混合・撹拌されることに
なる。
【0014】それゆえ、剪断により機械的外力が少ない
状態で解砕されて得られた含水ゲル状架橋重合体の解砕
体に対して、解砕後に機械的外力が作用することにな
る。その結果、含水ゲル状架橋重合体における架橋重合
鎖が切断され、水可溶性成分量が増大するおそれがある
という問題点を招来することになる。
【0015】また、良質の吸水性樹脂を得る場合には、
含水ゲル状架橋重合体に気泡が含有されていることが特
に好ましいが、上記の機械的圧力により、この気泡が押
し潰されてしまうという問題点も招来される。その結
果、良好な吸水性樹脂を得ることができなくなる。
【0016】しかも、上記含水ゲル状架橋重合体は粘着
性が大きいため、通常の状態でも、滞留域における竪型
切断機のケーシングに付着したり、上記スクリーンに付
着して目詰まりしたりし易くなっている。そのため、上
記のような滞留域が存在すると、上記含水ゲル状架橋重
合体の解砕体が解砕時に混合・撹拌されることによっ
て、上記の付着がさらに頻発する。そのため、該含水ゲ
ル状架橋重合体の解砕体が竪型切断機外へ排出されにく
くなり、製造効率を低下させることにもなる。
【0017】本発明は、上述した各問題点に鑑みてなさ
れたものであって、その目的は、竪型切断機を用いて含
水ゲル状架橋重合体を解砕する際に、該竪型切断機内で
含水ゲル状架橋重合体が混合・撹拌されることを防止
し、良好かつ効率的に該含水ゲル状架橋重合体を解砕す
ることによって、高品質の吸水性樹脂を製造する方法を
提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
吸水性樹脂の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、ケーシング内に、回転刃と、該回転刃に対向して設
けられる固定刃とを備える解砕手段を用いて、該回転刃
と固定刃とによる剪断によって、含水ゲル状架橋重合体
を解砕し、所定の大きさに分級する工程を含む吸水性樹
脂の製造方法において、上記剪断により解砕された含水
ゲル状架橋重合体を、分級した後にすぐに排出口から解
砕手段外へ排出することを特徴としている。
【0019】上記請求項1記載の方法によれば、解砕さ
れた含水ゲル状架橋重合体は、分級した後にすぐに排出
口から解砕手段外へ排出されるため、含水ゲル状架橋重
合体が解砕時または解砕後に変形したり、練り潰された
りすることがなく、水可溶性成分量の増加を抑制するこ
とができる。また、含水ゲル状架橋重合体に気泡が含有
されているような場合であっても、解砕時または解砕後
にこの気泡が押し潰されるようなことも効果的に抑制で
きる。それゆえ、高品質の吸水性樹脂を得ることができ
る。
【0020】しかも、上記のように、剪断による解砕
後、すぐに解砕手段から排出されて得られる含水ゲル状
架橋重合体の解砕体は、その表面が平滑であり、かつ、
表面積が小さいものとなっている。そのため、含水ゲル
状架橋重合体が解砕手段内のケーシングの壁面などに付
着したり、粘着性のために固まったりするようなことを
回避できる。さらに、乾燥中に含水ゲル解砕体の乾燥中
に凝集しにくくなるため、流動乾燥や撹拌乾燥によって
乾燥することで、含水ゲル状架橋重合体の解砕体を良好
に乾燥させることができる。それゆえ、効率的に、高品
質の吸水性樹脂を得ることができる。
【0021】また、上記のような解砕手段としては、解
砕された含水ゲル状架橋重合体をすぐに解砕手段外に排
出しないようにするための滞留域が設けられていない竪
型切断機が好適に用いられる。
【0022】本発明の請求項2記載の吸水性樹脂の製造
方法は、上記の課題を解決するために、上記請求項1記
載の方法に加えて、上記解砕手段における解砕された含
水ゲル状架橋重合体の分級は、上記回転刃の回転によっ
て描かれる円弧に沿って、該円弧の外周側全面に、該回
転刃と接触しない程度のみの間隙を有するように設けら
れた円状のスクリーンによってなされることを特徴とし
ている。
【0023】上記請求項2記載の方法によれば、円状の
スクリーンが回転刃の外周側全面に設けられているた
め、解砕された含水ゲル状架橋重合体が、回転刃により
過剰な剪断や機械的外力を加えられることがなく、すぐ
に分級され、スクリーン外の排出口へ排出されることに
なる。そのため、上記含水ゲル状架橋重合体が解砕時、
もしくは解砕後に練り潰されることを効果的に防止する
ことができ、良好な解砕が可能となる。
【0024】本発明の請求項3記載の吸水性樹脂の製造
方法は、上記の課題を解決するために、上記請求項2記
載の方法に加えて、上記解砕手段における回転刃とスク
リーンとの間隙は、0.1mm以上5mm以下の範囲内
であることを特徴としている。
【0025】上記請求項3記載の方法によれば、上記回
転刃とスクリーンとの間隙が上記の範囲内であれば、含
水ゲル状架橋重合体の解砕時に余計な機械的外力が加え
られて該含水ゲル状架橋重合体が練られたり、解砕され
た含水ゲル状架橋重合体が解砕手段外へ排出されにくく
なるようなことを効果的に防止できる。そのため、含水
ゲル状架橋重合体を解砕する処理効率を向上することが
できる。
【0026】本発明の請求項4記載の吸水性樹脂の製造
方法は、上記の課題を解決するために、上記請求項2ま
たは3記載の方法に加えて、上記解砕手段における排出
口は、上記スクリーンに隣接した位置に設けられている
ことを特徴としている。
【0027】上記請求項4記載の方法によれば、排出口
が上記のような位置に設けられていると、解砕されてス
クリーンで分級された含水ゲル状架橋重合体の解砕手段
外への排出がより行い易くなる。その結果、解砕された
含水ゲル状架橋重合体が解砕部内に滞留することがな
く、該含水ゲル状架橋重合体に余計な機械的外力が加え
られる余地がなくなり、より良好な吸水性樹脂を得るこ
とができる。
【0028】本発明の請求項5記載の吸水性樹脂の製造
方法は、上記の課題を解決するために、上記請求項1か
ら4の何れか1項に記載の方法に加えて、解砕されて分
級された含水ゲル状架橋重合体は、排出口から吸引され
て解砕手段外へ排出されることを特徴としている。
【0029】上記請求項5記載の方法によれば、解砕さ
れた含水ゲル状架橋重合体が排出口から吸引されるた
め、該含水ゲル状架橋重合体がより解砕手段外へ排出さ
れ易くなる。そのため、該含水ゲル状架橋重合体に余計
な機械的外力が加えられる余地がさらになくなり、より
一層良好な吸水性樹脂を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について、
図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。なお、本発明はこれに限定されるものではない。本
発明の吸水性樹脂の製造方法は、エチレン性不飽和単量
体を微量の架橋剤の存在下で水溶液重合して得られる含
水ゲル状架橋重合体を、乾燥のために、竪型切断機で練
り潰すことなく解砕する際に、解砕された含水ゲル状架
橋重合体の解砕体を、所定の大きさに分級した後にすぐ
に排出口から竪型切断機外へ排出する方法である。
【0031】上記含水ゲル状架橋重合体の原料として用
いられるエチレン性不飽和単量体は、水溶性を有する単
量体であり、具体的には、たとえば、(メタ)アクリル
酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン
酸、ケイ皮酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホ
ン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリ
ルスルホン酸、ビニルホスホン酸、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルリン酸、(メタ)アクリロキシアル
カンスルホン酸などの酸基含有単量体、およびこれらの
アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム
塩、アルキルアミン塩;N,N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノア
ルキル(メタ)アクリレート類およびこれら四級化物
(たとえば、アルキルハイドライドとの反応物、ジアル
キル硫酸との反応物など);ジアルキルアミノヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート類およびこれら四級化
物;N−アルキルビニルピリジニウムハライド;ヒドロ
キシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリ
レート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エ
チル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキ
シポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ビニル
ピリジン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリド
ン、N−アクリロイルピペリジン;N−ビニルアセトア
ミド;などが挙げられる。これらエチレン性不飽和単量
体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を
適宜混合してもよい。
【0032】上記例示のエチレン性不飽和単量体のう
ち、アクリル酸塩系単量体を主成分として含む単量体を
用いると、得られる含水ゲル状架橋重合体の吸水特性や
安全性がより一層向上するので好ましい。ここで、アク
リル酸塩系単量体とは、アクリル酸、および/またはア
クリル酸の水溶性塩類を示す。
【0033】また、アクリル酸の水溶性塩類とは、中和
率が30モル%〜100モル%の範囲内、好ましくは5
0モル%〜99モル%の範囲内であるアクリル酸のアル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ヒ
ドロキシアンモニウム塩、アミン塩、アルキルアミン塩
を示す。上記例示の水溶性塩類のうち、ナトリウム塩お
よびカリウム塩がさらに好ましい。
【0034】これらアクリル酸塩系単量体は、単独で用
いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。な
お、吸水性樹脂の平均分子量(重合度)は、特に限定さ
れるものではない。
【0035】上記エチレン性不飽和単量体を主成分とし
て含む単量体組成物を、架橋剤の存在下で重合させるこ
とによって上記の含水ゲル状架橋重合体を得ることがで
きるが、上記単量体組成物には、得られる含水ゲル状架
橋重合体の親水性を阻害しない程度に、上記エチレン性
不飽和単量体と共重合可能な他の単量体(共重合性モノ
マー)を含んでいてもよい。
【0036】上記の共重合性モノマーとしては、具体的
には、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートな
どの(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニルなどの疏水性単量体;などが挙げられ
る。これら共重合性モノマーは、単独で用いてもよく、
また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0037】また、上記単量体成分を重合させる際に用
いられる架橋剤としては、たとえば、分子内にビニル基
を複数有する化合物;分子内にカルボキシル基やスルホ
ン酸基と反応することのできる官能基を複数含有する化
合物;などが挙げられる。これら架橋剤は、単独で用い
てもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0038】分子内にビニル基を複数含有する化合物と
しては、具体的には、たとえば、N,N−メチレンビス
(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリ
レート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチ
レンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、N,N−ジシアリルアクリルアミ
ド、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ジ
アリルオキシ酢酸、N−メチル−N−ビニルアクリルア
ミド、ビス(N−ビニルカルボン酸アミド)、テトラア
リロキシエタンなどのポリ(メタ)アリロキシアルカン
などが挙げられる。
【0039】分子内にカルボキシル基やスルホン酸基と
反応することのできる官能基を複数有する化合物として
は、(ポリ)エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコー
ル、(ポリ)グリセリン、2−ブテン−1,4−ジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメ
チロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキ
シプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトー
ル、ソルビトールなどの多価アルコール化合物;(ポ
リ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポ
リ)グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロ
ールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリ
コールジグリシジルエーテル、グリシドールなどのエポ
キシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミドポリアミ
ン、ポリエチレンイミンなどの多価アミン化合物、並び
に、それら多価アミンとハロエポキシ化合物との縮合
物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートなどの多価イソシアネート化合物;
1,2−エチレンビスオキサゾリンなどの多価オキサゾ
リン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシ
ランカップリング剤;1,3−ジオキソラン−2−オ
ン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒ
ドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−
ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジ
オキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン
などのアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒド
リンなどのハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マ
グネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウムなどの水
酸化物あるいは塩化物などが挙げられる。
【0040】上記の架橋剤の使用量としては、特に限定
されるものではないが、上記単量体成分に対して、0.
0001モル%〜10モル%の範囲内であることが好ま
しく、0.001モル%〜1モル%の範囲内であること
がより好ましい。
【0041】本発明において、上記の単量体成分を重合
する方法は、特に限定されるものではなく、バルク重
合、沈澱重合、水溶液重合または逆相懸濁重合などの従
来公知の種々の重合方法を採用することができる。その
なかでも、得られる吸水性樹脂の吸水特性を向上させる
とともに、重合の制御の容易さから、上記の単量体成分
を水溶液とした、水溶液重合または逆相懸濁重合が好ま
しい。
【0042】上記重合反応中は、単量体成分を撹拌する
ことなく、静置して重合させるほうが好ましい。さら
に、上記のエチレン性不飽和単量体を水溶液重合させる
際には、連続式重合、または回分重合の何れかの方式を
採用してもよく、また、常圧、減圧、加圧の何れの圧力
下で実施してもよい。なお、重合反応は、窒素、ヘリウ
ム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスの気流下で
行うことが好ましい。
【0043】上記重合反応における重合開始時には、た
とえば、重合開始剤、あるいは放射線や電子線、紫外
線、電磁線などの活性化エネルギー線などを用いること
ができる。上記重合開始剤としては、具体的には、たと
えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸
カリウム、過酸化水素などの無機化合物;t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、クメンハイ
ドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−ア
ゾビス(N,N’−メチレンイソブチルアミジン)また
はその塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン
アミジン)またはその塩、2,2’−アゾビス(2−ア
ミジノプロパン)またはその塩、4,4’−アゾビス−
4−シアノ吉草酸などのアゾ化合物;などのラジカル重
合開始剤が挙げられる。
【0044】これら重合開始剤は、単独で用いてもよ
く、また、二種類以上を併用してもよい。また、重合開
始剤として過酸化物を用いる場合には、たとえば、亜硫
酸塩、重亜硫酸塩、L−アスコルビン酸などの還元剤を
併用して酸化還元(レドックス)重合を行ってもよい。
【0045】本発明において、上記単量体成分を重合し
て得られる含水ゲル状架橋重合体は、内部に気泡を含有
していると、得られる吸水性樹脂の吸水特性を向上させ
ることができるので特に好ましい。内部に気泡を含有す
る含水ゲル状架橋重合体は、上記単量体成分を、気泡を
含有するように、架橋剤の存在下で重合させることによ
って容易に得ることができる。このような重合方法とし
ては、アゾ系開始剤の存在下での重合方法;発泡剤とし
て炭酸塩(特開平5−237378号公報、特開平7−
185331号公報)を用いての重合方法;ペンタンや
トリフルオロエタンなどの水に不溶な発泡剤をモノマー
中に分散させての重合方法(米国特許第5328935
号公報、米国特許第5338766号公報);固体微粒
子状発泡剤を用いての重合法(国際公開WO96/17
884号公報);界面活性剤の存在下に、不活性気体を
分散させながら重合する方法;など、従来公知の種々の
方法を採用することができる。
【0046】上記単量体成分を架橋剤の存在下で重合さ
せる際には、溶媒として水を用いることが好ましい。つ
まり、上記単量体成分および架橋剤を水溶液とすること
が好ましい。これは、得られる吸水性樹脂の吸水特性を
向上させるとともに、発泡剤による発泡を効率的に行う
ためである。
【0047】上記水溶液(以下、単量体水溶液とする)
中の単量体成分の濃度は、20重量%〜60重量%の範
囲内がより好ましい。単量体成分の濃度が20重量%未
満の場合には、得られる吸水性樹脂の水可溶性成分量が
増加するおそれがあるとともに、発泡剤による発泡が不
十分となり、吸水速度を向上させることができなくなる
おそれがある。一方、単量体成分の濃度が60重量%を
越える場合には、反応温度並びに発泡剤による発泡を制
御することが困難となるおそれがある。
【0048】また、単量体水溶液の溶媒として、水と、
水に可溶な有機溶媒とを併用することもできる。該有機
溶媒としては、具体的には、たとえば、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、アセトン、ジメチルスルホキシ
ド、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリ
ン、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレン
グリコール、アルキレンカーボネートなどが挙げられ
る。これら有機溶媒は、単独で用いてもよく、また、二
種類以上を併用してもよい。
【0049】上記単量体水溶液に加えられる発泡剤は、
該単量体水溶液に分散あるいは溶解するものを使用する
ことができる。該発泡剤としては、具体的には、たとえ
ば、n−ペンタン、2−メチルプロパン、2,2−ジメ
チルプロパン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、置換さ
れたベンゼン、クロロメタン、クロロフルオロメタン、
1,1,2−トリクロロトリフルオロメタン、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アゾジ
カルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルなどの上
記単量体水溶液に分散あるいは溶解する揮発性の有機化
合物;重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸ア
ンモニウム、亜硝酸アンモニウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩;ドライアイス;ア
ミノ基含有アゾ化合物のアクリル酸塩などが挙げられ
る。上記発泡剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を
併用してもよい。
【0050】単量体に対する発泡剤の使用量は、単量体
および発泡剤の組み合わせなどに応じて適宜設定すれば
よく、特に限定されるものではない。しかしながら、単
量体100重量部に対して0.001重量部〜10重量
部の範囲内であることがより好ましい。発泡剤の使用量
が上記の範囲から外れると、得られる吸水性樹脂の吸水
特性が不十分となるおそれがある。
【0051】上記のようにして得られた含水ゲル状架橋
重合体の含水率は、一般に10〜90重量%の範囲であ
り、好ましくは20〜80重量%の範囲である。含水率
が10重量%未満では、含水ゲル状架橋重合体の解砕が
困難となったり、気泡を含有する含水ゲルの場合、気泡
が潰れてしまうことがある。また、含水率が90重量%
よりも高くなると、解砕後の乾燥に時間を要しすぎるこ
とになる。
【0052】本発明において、吸水性樹脂は、上記の含
水ゲル状架橋重合体を解砕して、所定の大きさの含水ゲ
ル状架橋重合体の解砕体(以下、含水ゲル解砕体と略
す)とした後に乾燥することによって得ることができ
る。本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法では、上記含
水ゲル状架橋重合体を、固定刃と回転刃とによる剪断に
よって解砕し、さらに、この解砕によって得られる含水
ゲル解砕体を所定の大きさに分級した後にすぐに装置外
に排出している。
【0053】そのため、上記含水ゲル状架橋重合体が解
砕時、もしくは解砕後に練り潰されることがなく、特に
該含水ゲル状架橋重合体が内部に気泡を有するような場
合であっても、上記の気泡が押し潰されるようなことは
ない。それゆえ、吸水特性に優れた吸水性樹脂を得るこ
とができる。
【0054】上記回転刃と固定刃とを備える解砕手段と
しては、竪型切断機(ロートプレックスまたはカッティ
ングミルとも言う)を用いることができる。この竪型切
断機は、解砕された被解砕物(この場合は、含水ゲル状
架橋重合体)をすぐに装置外に排出しないようにするた
めの滞留域が設けられていない点が、従来からの竪型切
断機とは異なっている。
【0055】このような竪型切断機について説明する
と、たとえば、図1および図2に示すように、ホッパー
1、解砕部2、排出口3、モーター4、架台5、補集器
6、ブロワー7、および配管8を備えている(補集器
6、ブロワー7および配管8については図2には図示せ
ず)。なお、図3に示すように、補集器6およびブロワ
ー7の代わりに、サンプル受け6aが備えられていても
よい。
【0056】含水ゲル状架橋重合体は、図1および図2
の矢印Aに示すように、ホッパー1から解砕部2へ少し
ずつ連続的に投入され、解砕部2で解砕される。解砕さ
れて得られる含水ゲル解砕体は、図1および図2の矢印
Bに示すように、排出口3から排出されるが、このと
き、上記ブロワー7によって排出口3から含水ゲル解砕
体が吸引される。そして、吸引された含水ゲル解砕体
は、補集器6によって図1の矢印Cに示すように収集さ
れる。なお、上記モーター4は、解砕部2における回転
刃を回転させるものである。
【0057】上記解砕部2は、図3および図4(a)・
(b)に示すように、筒状のケーシング11を有してお
り、このケーシング11内、すなわち解砕部2内には、
ケーシング11の外壁に周方向に沿って固定された固定
刃13…が1〜4本(図4(a)・(b)では、3本、
なお、図3には図示せず)設けられている。また、ケー
シング11の中央部には、上記モーター4で回転駆動す
る回転軸16が設けられている。
【0058】この回転軸16は、上記固定刃13…に対
して平行に設けられており、この回転軸16の周りに
は、複数の回転刃12…(通常、2〜5本、図3および
図4(a)・(b)では3本)が互いに等間隔で、回転
軸16の径方向の外向きに設けられている。上記の固定
刃13…は、回転軸16の軸方向に延びるように設けら
れている。そして、上記回転刃12と固定刃13とは、
互いにその対抗面が一定の間隔を有して実質的に平行と
なっている。
【0059】上記回転刃12と該回転刃12に対向する
固定刃13との間隙Dは、図5に示すように、0.1m
m以上3mm以下であることが好ましく、0.5mm以
上2mm以下であることがより好ましい。上記間隙が
0.1mmよりも狭くなると、含水ゲル解砕体に余計な
機械的外力が加えられ、該含水ゲル解砕体が練られてし
まうおそれがある。また、回転刃12が回転中に、固定
刃13と接触するおそれもある。
【0060】一方、上記回転刃12と固定刃13との間
隙によって、含水ゲル解砕体の大きさが決定されるの
で、上記間隙が3mmよりも広くなると、含水ゲル解砕
体が大きめに解砕されることになり、含水ゲル状架橋重
合体が解砕されにくくなる。
【0061】上記回転刃12の周速は、0.1m/秒以
上50m/秒以下の範囲内であることが好ましく、1m
/秒以上20m/秒以下の範囲内であることがより好ま
しい。上記周速が0.1m/秒よりも遅くなると、含水
ゲル状架橋重合体の単位時間当たりの解砕量(処理量)
が極端に低下するため好ましくない。一方、上記周速が
50m/秒以上よりも速くなると、含水ゲル状解砕体が
スクリーン14から排出される前に再結合、凝集が起こ
り、円滑な排出がなされなくなるため、製造効率を低下
させることになり好ましくない。
【0062】なお、図3および図4(a)・(b)に示
すように、解砕部2には、プレカッター15が備えられ
ていることが好ましい。このプレカッター15は、回転
軸16を中心として回転することにより、回転刃12お
よび固定刃13により含水ゲル状架橋重合体が解砕され
る前に、該含水ゲル状架橋重合体を粗砕する。これによ
って、含水ゲル状架橋重合体の解砕をより効率化するこ
とができる。
【0063】上記スクリーン14は、図4(a)に示す
ように、回転刃12の外周側に円弧状に設けられている
ものであり、さらに、図3および図4(b)に示すよう
に、外周側全面に円状に設けられていることが特に好ま
しい。このように、スクリーン14が回転刃12の外周
側に円弧状、特に全面に円状に設けられていると、解砕
された含水ゲル解砕体が、回転刃12により過剰な剪断
や機械的外力を加えられることがなく、すぐに分級さ
れ、スクリーン14外の排出口3から竪型切断機外へ排
出されることになるため、良好な解砕が可能となる。
【0064】上記スクリーン14としては、たとえば、
図6に示すように、複数の孔14a…が形成されている
か、または、図7に示すように、格子状となって、孔1
4a…が形成されている。孔14aの形状としては、円
形であっても四角形や六角形などの角形形状であっても
よく、特に限定されるものではない。上記孔14aの単
位面積当たりの数としては、50個/100cm2 以上
800個/100cm2 以下の範囲内であることが好ま
しい。孔14aの単位面積当たりの数が上記の範囲内か
ら外れると、含水ゲル解砕体の分級が効果的に行われな
くなるため好ましくない。
【0065】また、スクリーン14における開孔率は、
30%以上60%未満であることが好ましい。開口率が
上記の範囲から外れると、やはり含水ゲル解砕体の分級
が効果的に行われなくなるため好ましくない。なお、開
孔率とは、スクリーン14の全体の面積と、該スクリー
ン14に形成された複数の孔14a…の合計面積との割
合を百分率で示したものである。
【0066】ここで、解砕される含水ゲル状架橋重合体
および解砕された含水ゲル解砕体は粘着性が高く、スク
リーン14などに付着し易くなっている。特に、含水ゲ
ル解砕体は、スクリーン14の孔14a…に付着して該
スクリーン14の目詰まりを招来し易くなる。そのた
め、解砕された含水ゲル解砕体が竪型切断機外へ排出さ
れにくくなり、処理効率の低下を招くとともに、含水ゲ
ル解砕体に対して余計な機械的外力が加えられるおそれ
がある。
【0067】それゆえ、上記スクリーン14に対して
は、テフロンコーティングが施されていることが特に好
ましい。これによって、含水ゲル状架橋重合体および含
水ゲル解砕体のスクリーン14への付着を抑制すること
ができ、処理効率を向上させて、高品質の吸水性樹脂を
得ることができる。
【0068】上記回転刃12とスクリーン14との間隙
Eは、図8に示すように、該回転刃12とスクリーン1
4とが接触しない程度のみの間隙であるが、具体的に
は、0.1mm以上5mm以下の範囲内であることが好
ましく、0.5mm以上3mm以下の範囲内がより好ま
しい。上記間隙が0.1mmよりも狭くなると、含水ゲ
ル解砕体に余計な機械的外力が加えられ、該含水ゲル解
砕体が練られてしまうおそれがある。また、回転刃12
が回転中に、スクリーン14と接触するおそれもある。
一方、上記間隙が5mmよりも広くなると、含水ゲル解
砕体がスクリーン14の外部へ排出されにくくなり、処
理効率が低下する。
【0069】上記のように、本発明にかかる吸水性樹脂
の製造方法では、回転刃12とスクリーン14との間
に、互いに接触しない程度の間隙が設けられている構成
である。回転刃12とスクリーン14との間隙がこのよ
うに規定されていることで、回転刃12と固定刃13と
による剪断で解砕された含水ゲル解砕体に余計な機械的
外力が加えられないようにすることが可能となる。
【0070】これに加えて、上記排出口3は、図4
(a)・(b)に示すように、スクリーン14に隣接す
る位置に設けられていることがより好ましい。排出口3
がこのような位置に設けられていると、解砕されてスク
リーン14で分級された含水ゲル解砕体の竪型切断機外
への排出がより行い易くなる。その結果、含水ゲル解砕
体が解砕部2内に滞留することがなく、該含水ゲル解砕
体に余計な機械的外力が加えられる余地がなくなり、よ
り良好な吸水性樹脂を得ることができる。
【0071】さらに、解砕されて分級された含水ゲル解
砕体は、排出口3から吸引されて竪型切断機外へ排出さ
れることがより一層好ましい。このような構成とするこ
とで、含水ゲル解砕体がより竪型切断機外へ排出され易
くなる。そのため、含水ゲル解砕体に余計な機械的外力
が加えられる余地がさらになくなり、より一層良好な吸
水性樹脂を得ることができる。本実施の形態では、含水
ゲル解砕体の吸引は、図1に示すように、ブロワー7に
よってなされる。
【0072】上述してきた回転刃12、スクリーン14
および排出口3の位置関係については、換言すれば、解
砕部2内において、従来の竪型切断機に設けられていた
滞留域を取り除いた構成であるともみなすことができ
る。
【0073】従来の竪型切断機では、図9に示すよう
に、解砕部におけるケーシング51内に、回転刃52、
固定刃53、スクリーン54、プレカッター55、およ
び回転軸56が備えられ、さらに解砕部に隣接して排出
口57が設けられている構成については、本発明に用い
られる竪型切断機とほぼ同様である。しかしながら、ス
クリーン54とケーシング51との間に、滞留域58が
設けられている点が、本発明に用いられる竪型切断機と
は異なっている。
【0074】このような滞留域58が存在すると、上記
含水ゲル状架橋重合体を解砕する際に、該滞留域58で
解砕途中の含水ゲル状架橋重合体が滞留して、回転刃5
2の遠心力により激しく混合・撹拌される。含水ゲル状
架橋重合体が激しく混合・撹拌されると、機械的外力が
少ない状態で解砕された含水ゲル状架橋重合体に対し
て、解砕後に機械的外力が作用することになる。その結
果、含水ゲル状架橋重合体における架橋重合鎖が切断さ
れ、水可溶性成分量が増大し、良質の吸水性樹脂が得ら
れなくなる。
【0075】また、上記含水ゲル状架橋重合体は、上述
したように、気泡を含有していることが好ましいが、上
記滞留域58で激しく混合・撹拌されることによってこ
の気泡が押し潰されることになる。その結果、得られる
吸水性樹脂における気泡が少なくなり、やはり良質の吸
水性樹脂を得ることができない。
【0076】さらに、含水ゲル状架橋重合体は通常の状
態であっても粘着性が高く、解砕されて含水ゲル解砕体
となったとしても、たとえば、上記スクリーン54やケ
ーシング51の壁面に付着し易くなっている。それに加
えて、上記滞留域58が設けられていると、含水ゲル解
砕体が練られることにより粘着性を増大させることにな
る。
【0077】粘着性が増大すると、一度解砕された含水
ゲル解砕体同士が互いに接着し合い、再び大きな塊状に
なってしまう。このような塊状の含水ゲル解砕体は、上
記スクリーン54やケーシング51に極めて付着し易く
なる。ここで、上記スクリーン54に対してテフロンコ
ーティングがなされていて、通常の含水ゲル状架橋重合
体が付着しにくくなっていても、塊状となった含水ゲル
解砕体は付着し易く、スクリーン54に目詰まりを起こ
すなどの問題点を招来する。
【0078】これに対して、本発明にかかる吸水性樹脂
の製造方法では、竪型切断機の解砕部2に、従来の竪型
切断機のような滞留域58が設けられていない。そのた
め、回転刃12と固定刃13とによる剪断で、機械的外
力のより少ない状態で切断された含水ゲル解砕体は、解
砕後に回転刃12の遠心力によって激しく混合・撹拌さ
れるようなことがない。
【0079】その結果、含水ゲル状架橋重合体が解砕時
に変形したり、練り潰されたりすることがなく、水可溶
性成分量の増加を抑制することができる。また、含水ゲ
ル状架橋重合体に気泡が含有されているような場合であ
っても、解砕時にこの気泡が押し潰されるようなことも
抑制できる。それゆえ、高品質の吸水性樹脂を得ること
ができる。
【0080】しかも、上記のようにして得られる含水ゲ
ル解砕体は、該含水ゲル解砕体の表面が平滑であり、か
つ、表面積が小さいものとなっている。そのため、含水
ゲル解砕体が解砕部2内のケーシング11やスクリーン
14に付着したり、含水ゲル解砕体同士が粘着性のため
に固まったりするようなことがない。また、乾燥中に含
水ゲル解砕体の乾燥中に含水ゲル解砕体が凝集しにくく
なっている。それゆえ、流動乾燥や撹拌乾燥を上記含水
ゲル解砕体の乾燥方法として用いることによって、該含
水ゲル解砕体を良好に乾燥させることができる。その結
果、高品質の吸水性樹脂を効率的に得ることができる。
【0081】以上のような本発明にかかる製造方法によ
り得られた吸水性樹脂は、優れた吸水性能によって、例
えば、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パッド、創傷保
護材、創傷治癒材等の衛生材料(体液吸収物品);ペッ
ト用の尿等の吸収物品;建材や土壌用保水材、止水材、
パッキング材、ゲル水嚢等の土木建築用資材;ドリップ
吸収材や鮮度保持材、保冷材等の食品用物品;油水分離
材、結露防止材、凝固材等の各種産業用物品;植物や土
壌等の保水材等の農園芸用物品等、種々の用途に好適に
用いられるものとなっている。
【0082】
【実施例】本発明の吸水性樹脂の製造方法について以下
の実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明
はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0083】〔実施例1〕75%中和アクリル酸ナトリ
ウム、およびポリエチレングリコールジアクリレート
(平均エチレンオキサイドユニット数8)を0.04モ
ル%(対アクリル酸ナトリウムモノマー)含むモノマー
水溶液を調製した。このときのアクリル酸ナトリウムの
濃度は35重量%であった。このモノマー水溶液に窒素
を吹き込み、水溶液中の溶存酸素濃度を0.1ppm以
下とした。
【0084】ついで、水溶性アゾ系開始剤(和光純薬株
式会社製;商品番号V−50)0.02g/モル(対ア
クリル酸ナトリウムモノマー)、L−アスコルビン酸
0.002g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマ
ー)、過酸化水素0.001g/モル(対アクリル酸ナ
トリウムモノマー)を順番に添加し、重合を行った。重
合開始温度は22℃であり、12分後温度は82℃に達
した。
【0085】重合後の含水ゲル状架橋重合体をギロチン
カッターにより25mm角に粗砕した。この粗砕した含
水ゲル状架橋重合体に、分子量約20,000のポリエ
チレングリコールを0.5重量%(対固形分)添加し、
上述した竪型切断機にて解砕した。回転刃の周速は6m
/秒であった。解砕された含水ゲル状架橋重合体を、直
径9mm、開孔率46%、孔数72個/100cm2
孔開きスクリーンを用いることにより、平均粒径4,2
00μmの含水ゲル解砕体(1)を得た。このときの処
理量は、200kg/時間であった。
【0086】得られた含水ゲル解砕体(1)を、160
℃で65分間乾燥した後に、粉砕し、吸水性樹脂(1)
を得た。この吸水性樹脂(1)の吸水倍率は64倍であ
り、可溶分は10%であった。
【0087】〔比較例1〕上記実施例1において、竪型
切断機に、滞留域を有するものを用いた以外は同様にし
て、平均粒径4,600μmの比較含水ゲル解砕体を得
た。このときの処理量は、60kg/時間であった。ま
た、竪型切断機の解砕部におけるケーシング内には、滞
留域に凝集した含水ゲル解砕体が体積していた。
【0088】得られた比較含水ゲル解砕体を、160℃
で65分間乾燥した後に、粉砕し、比較吸水性樹脂を得
た。この比較吸水性樹脂の吸水倍率は58倍であり、可
溶分は14%であった。
【0089】〔実施例2〕上記実施例1において、孔開
きスクリーンとして、直径6mm、開孔率51%、孔数
180個/100cm2 のものを用いた以外は同様にし
て、平均粒径1,600μmの含水ゲル解砕体(2)を
得た。このときの処理量は、200kg/時間であっ
た。
【0090】得られた含水ゲル解砕体(2)を、160
℃で65分間乾燥した後に、粉砕し、吸水性樹脂(2)
を得た。この吸水性樹脂(2)の吸水倍率は62倍であ
り、可溶分は8%であった。
【0091】〔実施例3〕上記実施例1において、孔開
きスクリーンとして、直径3mm、開孔率34%、孔数
480個/100cm2 のものを用いた以外は同様にし
て、平均粒径950μmの含水ゲル解砕体(3)を得
た。このときの処理量は、100kg/時間であった。
【0092】得られた含水ゲル解砕体(3)を、160
℃で65分間乾燥した後に、粉砕し、吸水性樹脂(3)
を得た。この吸水性樹脂(3)の吸水倍率は67倍であ
り、可溶分は13%であった。
【0093】このように本発明にかかる吸水性樹脂の製
造方法では、解砕された含水ゲル状架橋重合体を、分級
した後にすぐに排出口から竪型切断機外へ排出するた
め、含水ゲル状架橋重合体が解砕時、もしくは解砕後に
練り潰されることがない。その結果、得られる吸水性樹
脂(1)〜(3)は、従来の方法で得られる比較吸水性
樹脂よりも可溶分が少なく、かつ、吸水特性に優れた高
品質なものとすることができる。
【0094】また、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方
法により得られる含水ゲル状架橋重合体の解砕体は、そ
の表面が平滑であり、かつ、表面積が小さいものとなっ
ている。そのため、上記解砕体が解砕部内で、ケーシン
グの壁面やスクリーンなどに付着したり、解砕体同士が
粘着性のために固まったりするようなことがない。それ
ゆえ、得られる含水ゲル解砕体(1)〜(3)は、従来
の方法で得られる比較含水ゲル解砕体よりも単位時間当
たりに処理される処理量が多くなる。その結果、高品質
の吸水性樹脂を効率的に得ることができる。
【0095】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の吸水性樹脂の製
造方法は、以上のように、ケーシング内に、回転刃と、
該回転刃に対向して設けられる固定刃とを備える解砕手
段を用いて、該回転刃と固定刃とによる剪断によって、
含水ゲル状架橋重合体を解砕し、所定の大きさに分級す
る工程を含む吸水性樹脂の製造方法において、上記剪断
により解砕された含水ゲル状架橋重合体を、分級した後
にすぐに排出口から解砕手段外へ排出する方法である。
【0096】それゆえ、上記方法では、含水ゲル状架橋
重合体が解砕時、もしくは解砕後に練り潰されることが
ない。その結果、特に該含水ゲル状架橋重合体が内部に
気泡を有するような場合でも、気泡が押し潰されるよう
なことはなく、吸水特性に優れた吸水性樹脂を効率的に
得ることができるという効果を奏する。
【0097】本発明の請求項2記載の吸水性樹脂の製造
方法は、以上のように、上記請求項1記載の方法に加え
て、上記解砕手段における解砕された含水ゲル状架橋重
合体の分級は、上記回転刃の回転によって描かれる円弧
に沿って、該円弧の外周側全面に、該回転刃と接触しな
い程度のみの間隙を有するように設けられた円状のスク
リーンによってなされる方法である。
【0098】それゆえ、上記方法では、解砕された含水
ゲル状架橋重合体が、回転刃により過剰な剪断や機械的
外力を加えられることがなく、すぐに排出口から解砕手
段外へ排出されることになる。そのため、上記含水ゲル
状架橋重合体が解砕時、もしくは解砕後に練り潰される
ことを効果的に防止することができ、良好な解砕が可能
となるという効果を奏する。
【0099】本発明の請求項3記載の吸水性樹脂の製造
方法は、以上のように、上記請求項2記載の方法に加え
て、上記解砕手段における回転刃とスクリーンとの間隙
は、0.1mm以上5mm以下の範囲内である方法であ
る。
【0100】それゆえ、上記方法では、含水ゲル状架橋
重合体の解砕時に余計な機械的外力が加えられて該含水
ゲル状架橋重合体が練られたり、解砕された含水ゲル状
架橋重合体が解砕手段外へ排出されにくくなるようなこ
とを効果的に防止できる。そのため、含水ゲル状架橋重
合体を解砕する処理効率を向上することができるという
効果を奏する。
【0101】本発明の請求項4記載の吸水性樹脂の製造
方法は、以上のように、上記請求項2または3記載の方
法に加えて、上記解砕手段における排出口は、上記スク
リーンに隣接した位置に設けられている方法である。
【0102】それゆえ、上記方法では、解砕されてスク
リーンで分級された含水ゲル状架橋重合体の解砕手段外
への排出がより行い易くなる。その結果、解砕された含
水ゲル状架橋重合体が解砕部内に滞留することがなく、
該含水ゲル状架橋重合体に余計な機械的外力が加えられ
る余地がなくなり、より良好な吸水性樹脂を得ることが
できるという効果を奏する。
【0103】本発明の請求項5記載の吸水性樹脂の製造
方法は、以上のように、上記請求項1から4の何れか1
項に記載の方法に加えて、解砕されて分級された含水ゲ
ル状架橋重合体は、排出口から吸引されて解砕手段外へ
排出される方法である。
【0104】それゆえ、上記方法では、解砕された含水
ゲル状架橋重合体がより解砕手段外へ排出され易くな
る。そのため、該含水ゲル状架橋重合体に余計な機械的
外力が加えられる余地がさらになくなり、より一層良好
な吸水性樹脂を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる吸水性樹脂の製
造方法に用いられる竪型切断機の構成を示す模式図であ
る。
【図2】図1に示す竪型切断機の構成を示す斜視図であ
る。
【図3】図1に示す竪型切断機における解砕部の構成を
示す説明図である。
【図4】(a)は、図1に示す竪型切断機における解砕
部の内部構造を示す断面図であり、(b)は、図1に示
す竪型切断機における解砕部の内部構造の他の例を示す
断面図である。
【図5】図1に示す竪型切断機における回転刃と固定刃
との位置関係を示す説明図である。
【図6】図1に示す竪型切断機におけるスクリーンの構
成を示す説明図である。
【図7】図1に示す竪型切断機におけるスクリーンの他
の構成を示す説明図である。
【図8】図1に示す竪型切断機における回転刃とスクリ
ーンとの位置関係を示す説明図である。
【図9】従来の竪型切断機における解砕部の構成を示す
断面図である。
【符号の説明】
2 解砕部 3 排出口 11 ケーシング 12 回転刃 13 固定刃 14 スクリーン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケーシング内に、回転刃と、該回転刃に対
    向して設けられる固定刃とを備える解砕手段を用いて、
    該回転刃と固定刃とによる剪断によって、含水ゲル状架
    橋重合体を解砕し、所定の大きさに分級する工程を含む
    吸水性樹脂の製造方法において、 上記剪断により解砕された含水ゲル状架橋重合体を、分
    級した後にすぐに排出口から解砕手段外へ排出すること
    を特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】上記解砕手段における解砕された含水ゲル
    状架橋重合体の分級は、上記回転刃の回転によって描か
    れる円弧に沿って、該円弧の外周側全面に、該回転刃と
    接触しない程度のみの間隙を有するように設けられた円
    状のスクリーンによってなされることを特徴とする請求
    項1記載の吸水性樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】上記解砕手段における回転刃とスクリーン
    との間隙は、0.1mm以上5mm以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項2記載の吸水性樹脂の製造方
    法。
  4. 【請求項4】上記解砕手段における排出口は、上記スク
    リーンに隣接した位置に設けられていることを特徴とす
    る請求項2または3記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】解砕されて分級された含水ゲル状架橋重合
    体は、排出口から吸引されて解砕手段外へ排出されるこ
    とを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の吸
    水性樹脂の製造方法。
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