JP4906987B2 - 含水ゲル状粒子および吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

含水ゲル状粒子および吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、吸水性樹脂の材料として好適に用いられる粒子状含水ゲル状重合体と、この粒子状含水ゲル状重合体を乾燥することによって吸水速度や吸水倍率に優れた吸水性樹脂を効率よく製造する方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶液重合することにより、吸水性重合体として、含水ゲル状重合体(以下、単に含水ゲルとする)が得られることはよく知られている。この含水ゲルは、半固体状で弾性に富むゲル状物として得られるもので、これを乾燥して粉末状態とすることにより吸水性樹脂、すなわち吸水剤として使用する。
【0003】
上記含水ゲルは、塊状あるいは、含水ゲル粒子の凝集体として得られることが多い。このような含水ゲルをそのまま乾燥すると乾燥効率が低下するため、通常、一旦、ニーダーやミートチョッパーなどの粉砕機を用いて所定の範囲内の大きさの粒子に粉砕し、その後、乾燥するというプロセスを経る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来では、含水ゲルの粒子の粒径分布についてはあまり考慮されず、含水ゲルを単に細かく砕くことがなされているだけであった。そのため、得られる粒子状の含水ゲルは、様々な大きさの粒子の混合物となり、その粒径分布は非常に広くなる。このように、粒子状の含水ゲルの粒径分布が広くなると含水ゲルの乾燥が均一に行われなくなる。
【0005】
つまり、粒子状の含水ゲルの大きさがほぼ一定ではないと、乾燥工程では、小さい粒子は先に乾燥されて、含水ゲルの乾燥物となるが、大きな粒子は、小さい粒子ほどには迅速に乾燥されない。そのため、小さい粒子を基準として乾燥を行うと、大きな粒子が未乾燥物として残存することになり、乾燥後の粉砕工程などで、未乾燥物が粉砕機に付着して粉砕を妨げるなどの不都合を招来することになる。また、未乾燥物が最終製品である吸水性樹脂に混入すると、吸水性樹脂の物性を低下させることになる。
【0006】
これに対して、大きい粒子を基準として乾燥を行うと、この大きな粒子が完全に乾燥するまでに非常に長時間を要することになるとともに、この長時間の乾燥の間に、小さい粒子が過乾燥してしまうという不都合が生じる。それゆえ、吸水性樹脂の製造を効率的に行うことができなくなる上に、過乾燥の粒子が最終製品である吸水性樹脂に混入するため、やはり吸水性樹脂の物性を低下させることになる。
【0007】
さらに、含水ゲルをニーダーやミートチョッパーで粉砕すると、その粉砕に伴って含水ゲルが練られてしまう。そのため、得られる含水ゲルの一次粒子の表面に、練りによる凹凸が生じて表面積が大きくなる。このような表面の凹凸が一次粒子に生じると、該凹凸同士が非常に絡み合い易くなるため、一次粒子同士が容易に凝集してしまう。しかも絡み合った凹凸は互いにかみ合うように接触しているため、凝集した一次粒子を解離することは非常に困難となる。
【0008】
このように解離しにくい一次粒子の凝集体を解離させるために、該凝集体に大きな外力を加えると、一次粒子同士の解離とともに該一次粒子自身が外力によって粉砕される頻度が非常に高くなる。その結果、所望のサイズの一次粒子の他に、一次粒子の粉砕に伴う微粉が大量に発生する。この微粉の発生は、上記一次粒子からなる吸水性樹脂としての性能を低下させるという問題点を招来する。また、微粉そのものは吸水性樹脂として用いることができないため、吸水性樹脂製造における歩留りを低下させることになるという問題点も招来する。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、粉砕後の一次粒子が凝集せず、均一かつ迅速な乾燥が可能であり、特に、乾燥後、高品質な吸水性樹脂となる粒子状含水ゲル状重合体と、この粒子状含水ゲル状重合体を用いて高品質の吸水性樹脂を効率よく製造する吸水性樹脂の製造方法とを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水溶性エチレン性不飽和モノマーを好ましくは架橋剤の存在下で重合させた後、粉砕することにより得られる粒子状含水ゲル重合体が、所定の範囲内の平均粒径を有し、かつ、粒径分布が所定の対数標準偏差値を有していれば、極めて良好な乾燥が可能であり、この粒子状含水ゲルを用いれば、高品質の吸水性樹脂を効率よく製造することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
また、上記粒子状含水ゲルは、その形状が角状であり、その表面が平滑な面となっていれば、該粒子状含水ゲル同士の凝集を抑制することが可能であり、その結果、高品質の吸水性樹脂をより効率的に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、上記の課題を解決するために、水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体において、平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、粒径分布が対数標準偏差値σζで1.5以下となっていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、アクリル酸および/またはその水溶性塩を主成分として含む単量体水溶液を架橋剤の存在下に重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体において、含水ゲルの含水率が10〜90重量%であり、かつ、主要な周面が平滑面からなる多面体形状を有しているとともに、ふるい分級で規定される平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、ふるい分級で規定される粒径分布が、次の式により算出される対数標準偏差値σζ
σζ=(1/2)ln(X /X
(ただし、X は、積算ふるい上でR=15.9%に相当する粒径であり、X は、積算ふるい上でR=84.1%に相当する粒径である。)で1.5以下となっていることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体では、粉砕が、堅型切断機、ニーダー、ギロチンカッター、スライサー、ロールカッター、シュレッダーまたはハサミによって行われることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、その表面に界面活性剤が存在することにより表面処理されてなることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、含水ゲル状重合体の粒子の形状が全体的に非常に均一となることから、該含水ゲル状重合体を乾燥するに際して、一部の粒子が先に乾燥したり、あるいは、乾燥しにくくなったりすることがない。それゆえ、従来用いられている乾燥法を用いても、含水ゲル状重合体を従来よりも均一に乾燥させることができる。さらに、粒子の形状が均一であることから、乾燥時間を大きな粒子にあわせた長い時間に設定する必要がなく、乾燥時間を短くすることもできる。このように、含水ゲル状重合体の粒径分布が揃っているため、従来よりも極めて良好な乾燥が可能となる。
【0017】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、さらに、固形分が20〜50%の範囲内となっていることを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、粒子状含水ゲル状重合体の含水率が乾燥に最適な範囲内となるので、粒子状含水ゲル状重合体の乾燥をより良好に行うことができる。
【0019】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、さらに、安息角が38°以下となっていることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、粒子状含水ゲル状重合体の粒子同士の間に引っ掛かりなどが生じにくく、粒子全体の流動性が高まることになる。そのため、粒子状含水ゲル状重合体は、角状で表面に凹凸がなく、さらにほぼ透明で全体的に均一な大きさの粒子となっている。それゆえ、乾燥をさらに良好に行うことができる。
【0021】
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記の課題を解決するために、平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、粒径分布が対数標準偏差値σζで1.5以下となっている粉砕された粒子状含水ゲル状重合体を乾燥することを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、アクリル酸および/またはその水溶性塩を主成分として含む単量体水溶液を架橋剤の存在下に重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体を乾燥させる吸水性樹脂の製造方法において、含水ゲルの含水率が10〜90重量%であるとともに、ふるい分級で規定される平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、ふるい分級で規定される粒径分布が、次の式により算出される対数標準偏差値σζ
σζ=(1/2)ln(X /X
(ただし、X は、積算ふるい上でR=15.9%に相当する粒径であり、X は、積算ふるい上でR=84.1%に相当する粒径である。)で1.5以下となっていることが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法では、粒子状含水ゲル状重合体の主要な周面が平滑面からなる多面体形状を有していることが好ましい。
【0024】
上記方法によれば、吸水性樹脂となる粒子状含水ゲル状重合体の粒径分布が揃っているため、乾燥を均一かつ迅速に行うことができる。そのため、吸水性樹脂の製造を効率化することができる。また、過乾燥や未乾燥となる粒子が発生しにくい。そのため、未乾燥物の発生などに伴う乾燥後の工程で生ずる不都合を回避することができるとともに、得られる吸水性樹脂の物性の低下を回避して、高品質の吸水性樹脂を得ることができる。
【0025】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、上記の課題を解決するために、水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体において、平均粒径が0.5〜5mmの範囲内であり、かつ、粒径分布が対数標準偏差値σζで1.5以下となっていることを特徴としている。
【0026】
また,本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、主要な周面が平滑面からなる略直方体形状を有していることを特徴としている。
【0027】
上記構成によれば、粒子状含水ゲル状重合体の形状が全体的に均質であるため粒子同士が凝集しにくくなる。そのため、乾燥が非常に良好に行われるとともに、乾燥工程などにおいて、粒子同士が凝集して凝集体を構成することが抑制され、また、凝集体が形成されても、該凝集体に弱い外力を加えるのみで容易に一次粒子に解離することができる。
【0028】
それゆえ、本発明の粒子状含水ゲル状重合体を用いて吸水性樹脂を製造すれば、吸水性樹脂として用いることのできない含水ゲル状重合体の微粉の発生が抑制される。その結果、高品質の吸水性樹脂を高い歩留りで得ることができるとともに、微粉の除去や回収などの負担を軽減し、吸水性樹脂の製造効率を向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
本発明にかかる粒子状含水ゲル状重合体は、エチレン性不飽和単量体を、好ましくは微量の架橋剤の存在下で水溶液重合して含水ゲル状重合体または含水ゲル状架橋重合体を得、この含水ゲル状重合体または含水ゲル状架橋重合体を粉砕し、好ましくは分級した後に得られるものである。この粒子状含水ゲル状重合体はその平均粒径が、0.5〜5mmの範囲内、または0.8〜5mmの範囲内となっており、かつ、粒子の粒径分布が対数標準偏差値σζで1.5以下となっている。
【0031】
また、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、上記粒子状含水ゲル重合体を製造し、この粒子状含水ゲル状重合体を乾燥させる方法である。
【0032】
上記含水ゲル状重合体、または含水ゲル状架橋重合体は、以下、まとめて単に含水ゲルと記載する。またこれら含水ゲルは特に記載のない限り、全て塊状または凝集体の含水ゲルを示す。一方、本発明にかかる含水ゲルは粒子状となっているが、これを、以下、粒子状含水ゲルと記載し、上記塊状または凝集体の含水ゲルと区別する。
【0033】
上記含水ゲルの原料として用いられるエチレン性不飽和単量体は、水溶性を有する単量体であり、具体的には、たとえば、(メタ)アクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルホスホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸などの酸基含有単量体、およびこれらのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類およびこれら四級化物(たとえば、アルキルハイドライドとの反応物、ジアルキル硫酸との反応物など);ジアルキルアミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類およびこれら四級化物;N−アルキルビニルピリジニウムハライド;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ビニルピリジン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン;N−ビニルアセトアミド;などが挙げられる。これらエチレン性不飽和単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合してもよい。
【0034】
上記例示のエチレン性不飽和単量体のうち、アクリル酸塩系単量体を主成分として含む単量体を用いると、得られる含水ゲルの吸水性能や安全性がより一層向上するので好ましい。ここで、アクリル酸塩系単量体とは、アクリル酸、および/またはアクリル酸の水溶性塩類を示す。
【0035】
また、アクリル酸の水溶性塩類とは、中和率が30モル%〜100モル%の範囲内、好ましくは50モル%〜99モル%の範囲内であるアクリル酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ヒドロキシアンモニウム塩、アミン塩、アルキルアミン塩を示す。上記例示の水溶性塩類のうち、ナトリウム塩およびカリウム塩が特に好ましい。
【0036】
これらアクリル酸塩系単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。なお、吸水性樹脂の平均分子量(重合度)は、特に限定されるものではない。
【0037】
上記エチレン性不飽和単量体を主成分として含む単量体組成物を、架橋剤の存在下で重合させることによって上記の含水ゲルを得ることができる。さらに、上記単量体組成物は、得られる含水ゲルの親水性を阻害しない程度に、上記エチレン性不飽和単量体と共重合可能な他の単量体(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。
【0038】
上記の共重合性モノマーとしては、具体的には、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの疏水性単量体;などが挙げられる。これら共重合性モノマーは、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0039】
また、上記単量体成分を重合させる際に用いられる架橋剤としては、たとえば、分子内にビニル基を複数有する化合物;分子内にカルボキシル基やスルホン酸基と反応することのできる官能基を複数含有する化合物;などが挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0040】
分子内にビニル基を複数含有する化合物としては、具体的には、たとえば、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−ジアリルアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ジアリルオキシ酢酸、ビス(N−ビニルカルボン酸アミド)、テトラアリロキシエタンなどが挙げられる。
【0041】
分子内にカルボキシル基やスルホン酸基と反応することのできる官能基を複数有する化合物としては、(ポリ)エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)グリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドールなどのエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンイミンなどの多価アミン化合物、並びに、それら多価アミンとハロエポキシ化合物との縮合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリンなどの多価オキサゾリン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オンなどのアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリンなどのハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウムなどの水酸化物あるいは塩化物などが挙げられる。
【0042】
上記の架橋剤の使用量としては、特に限定されるものではないが、上記単量体成分に対して、0.0001モル%〜10モル%の範囲内であることが好ましく、0.001モル%〜1モル%の範囲内であることがより好ましい。
【0043】
本発明において、上記の単量体成分を重合する方法としては、水溶液重合や、バットやベルト上での静置重合、あるいはニーダー中での重合が挙げられる。この中でも、ベルト上での静置重合が好ましい。また、上記のエチレン性不飽和単量体を水溶液重合させる際には、連続式重合、または回分重合の何れかの方式を採用してもよく、また、常圧、減圧、加圧の何れの圧力下で実施してもよい。なお、重合反応は、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスの気流下で行うことが好ましい。
【0044】
上記重合反応における重合開始時には、たとえば、重合開始剤、あるいは放射線や電子線、紫外線、電磁線などの活性化エネルギー線などを用いることができる。上記重合開始剤としては、具体的には、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの無機化合物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(N,N’−メチレンイソブチルアミジン)またはその塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)またはその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)またはその塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ化合物;などのラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0045】
これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。また、重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、たとえば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、L−アスコルビン酸などの還元剤を併用して酸化還元(レドックス)重合を行ってもよい。
【0046】
本発明において、上記単量体成分を重合して得られる含水ゲルは、内部に気泡を含有していると、得られる吸水性樹脂の吸水性能を向上させることができるので特に好ましい。内部に気泡を含有する含水ゲルは、上記単量体成分を、気泡を含有するように架橋剤の存在下で重合させることによって容易に得ることができる。このような重合方法としては、アゾ系開始剤の存在下での重合方法;発泡剤として炭酸塩(特開平5−237378号公報、特開平7−185331号公報)を用いての重合方法;ペンタンやトリフルオロエタン等の水に不溶な発泡剤をモノマー中に分散させての重合方法(米国特許第5328935号公報、米国特許第5338766号公報);固体微粒子状発泡剤を用いての重合法(国際公開WO96/17884号公報);界面活性剤の存在下に、不活性気体を分散させながら重合する方法;など、従来公知の種々の方法を採用することができる。
【0047】
上記単量体成分を架橋剤の存在下で重合させる際には、溶媒として水を用いることが好ましい。つまり、上記単量体成分および架橋剤を水溶液とすることが好ましい。これは、得られる吸水性樹脂の吸水性能を向上させるとともに、発泡剤による発泡を効率的に行うためである。
【0048】
上記水溶液(以下、単量体水溶液とする)中の単量体成分の濃度は、20重量%〜60重量%の範囲内がより好ましい。単量体成分の濃度が20重量%未満の場合には、得られる吸水性樹脂の水可溶性成分量が増加するおそれがあるとともに、発泡剤による発泡が不十分となり、吸水速度を向上させることができなくなるおそれがある。一方、単量体成分の濃度が60重量%を越える場合には、反応温度並びに発泡剤による発泡を制御することが困難となるおそれがある。
【0049】
また、単量体水溶液の溶媒として、水と、水に可溶な有機溶媒とを併用することもできる。該有機溶媒としては、具体的には、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、アルキレンカーボネートなどが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0050】
上記単量体水溶液に加えられる発泡剤は、該単量体水溶液に分散あるいは溶解するものを使用することができる。該発泡剤としては、具体的には、たとえば、n−ペンタン、2−メチルプロパン、2,2−ジメチルプロパン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、置換されたベンゼン、クロロメタン、クロロフルオロメタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロメタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルなどの上記単量体水溶液に分散あるいは溶解する揮発性の有機化合物;重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩;亜硝酸アンモニウム;ドライアイス;アミノ基含有アゾ化合物のアクリル酸塩などが挙げられる。上記発泡剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
【0051】
単量体に対する発泡剤の使用量は、単量体および発泡剤の組み合わせなどに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。しかしながら、単量体100重量部に対して0.001重量部〜10重量部の範囲内であることがより好ましい。発泡剤の使用量が上記の範囲から外れると、得られる吸水性樹脂の吸水性能が不十分となるおそれがある。
【0052】
上記のようにして得られた塊状または凝集体となっている含水ゲルの含水率は、一般に10重量%〜90重量%の範囲であり、好ましくは20重量%〜80重量%の範囲である。含水率が10重量%未満では、含水ゲルの粉砕が困難となったり、気泡を含有する含水ゲルの場合、気泡が潰れてしまうことがある。また、含水率が90重量%よりも高くなると、粉砕後に粒子状とした際の乾燥に時間を要しすぎることになる。
【0053】
得られた塊状の含水ゲルは、粒子状含水ゲルを得るために粉砕するが、この粉砕方法としては、竪型切断機(カッティングミルまたはロートプレックス)、ニーダー、ギロチンカッター、スライサー、ロールカッター、シュレッダー、ハサミなどの各種の粉砕手段を用いることができる。この粉砕手段としては特に限定されるものではないが、本発明にかかる粒子状含水ゲルをより効率的に得るためには、竪型切断機を用いることが特に好ましい。
【0054】
上記竪型切断機は、含水ゲルを、好ましくは界面活性剤の存在下で、固定刃と回転刃との剪断によって粉砕するものである。そのため、この竪型切断機を用いて粉砕を実施すれば、含水ゲルに与える機械的外力を少なくすることができ、かつ、表面に凹凸が少なく角状かつ透明な粒子状含水ゲルを得ることができる。なお、後述するが、粉砕と同時に粉砕生成物である粒子状含水ゲルを分級することがより好ましい。
【0055】
上記竪型切断機は、投入口および排出口を少なくとも備える粉砕部を有している。そして、上記投入口から含水ゲルを粉砕部へ少しずつ連続的に投入し、連続的に粉砕する。そして、粉砕されて得られる粉砕生成物は排出口から排出される。なお、粉砕生成物の排出は、ブロワーなどにより吸引しながらなされるとより効率的である。
【0056】
上記竪型切断機が備える粉砕部の構成について具体的に説明する。図1(a)・(b)に示すように、粉砕部2は筒状のケーシング11を有しており、このケーシング11内、すなわち粉砕部2内には、ケーシング11の外壁に周方向に沿って固定された固定刃13…が1〜4本(図1(a)・(b)では3本)設けられている。また、ケーシング11の中央部には、モーターで回転駆動する回転軸16が設けられている。さらに、図1(b)に示すように、粉砕部2には、滞留域17が設けられていてもよい。
【0057】
この回転軸16は、上記固定刃13…に対して平行に設けられている。この回転軸16の周りには、複数の回転刃12…(通常、2〜5本、図1(a)・(b)では3本)が互いに等間隔で、回転軸16の径方向の外向きに設けられている。上記の固定刃13…は、回転軸16の軸方向に延びるように設けられている。そして、上記回転刃12と固定刃13とは、互いにその対向面が一定の間隔を有して実質的に平行となっている。
【0058】
上記回転刃12と該回転刃12に対向する固定刃13との間隙は、0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.5mm以上2mm以下であることがより好ましい。上記間隙が0.1mmよりも狭くなると、粒子状含水ゲルに余計な機械的外力が加えられ、該粒子状含水ゲルが練られてしまうおそれがある。また、回転刃12が回転中に、固定刃13と接触するおそれもある。
【0059】
一方、上記回転刃12と固定刃13との間隙によって、粒子状含水ゲルの大きさが決定されるので、上記間隙が3mmよりも広くなると、粒子状含水ゲルが大きめに粉砕されることになり、塊状または凝集体の含水ゲルが粉砕されにくくなる。
【0060】
上記回転刃12の周速は、0.1m/秒以上50m/秒以下の範囲内であることが好ましく、1m/秒以上20m/秒以下の範囲内であることがより好ましい。上記周速が0.1m/秒よりも遅くなると、含水ゲルの単位時間当たりの粉砕量(処理量)が極端に低下するため好ましくない。一方、上記周速が50m/秒以上よりも速くなると、スクリーン14から排出される前に、粒子状含水ゲル同士が互いに再付着して凝集が起こり、円滑な排出がなされなくなる。そのため、製造効率を低下させることになり好ましくない。
【0061】
上記塊状の含水ゲルの粉砕に当たっては、界面活性剤を添加することが好ましい。この界面活性剤は、含水ゲルの表面に存在することが必要である。このように含水ゲルの表面に界面活性剤が存在することで、該含水ゲルの表面に対して表面処理を施すことができる。表面処理がなされた含水ゲルは、界面活性剤の潤滑効果により、上記各刃から必要以上の機械的外力を受けることなく、円滑に粉砕される。
【0062】
そのため、上記界面活性剤は、含水ゲルが回転刃12と固定刃13とによる剪断を受ける時点では、すでに、該含水ゲルの表面上に存在している必要がある。それゆえ、上記界面活性剤は、含水ゲルを粗砕する際や、含水ゲルの粗砕後に添加されることが好ましい。あるいは、粗砕された含水ゲルを粉砕する際に、界面活性剤を同時に添加してもよい。
【0063】
上記界面活性剤としては、たとえば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、あるいは両性界面活性剤などを用いることができる。
【0064】
上記界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤としては、具体的には、混合脂肪酸ナトリウム石けん、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム石けん、ステアリン酸ナトリウム石けん、オレイン酸カリウム石けん、ヒマシ油カリウム石けんなどの脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;アルキルリン酸カリウムなどのアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)硫酸エステル塩;特殊反応型アニオン界面活性剤;特殊カルボン酸型界面活性剤;β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などのナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル;などが挙げられる。
【0065】
また、ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体などのポリオレフィンオキサイド;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン誘導体;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエートなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド;などが挙げられる。
【0066】
さらに、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤としては、具体的には、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイドなどのアミンオキサイド;などが挙げられる。
【0067】
上記各界面活性剤に加えて、さらに、フッ素系界面活性剤やシロキサン系界面活性剤を用いることも可能である。
【0068】
上記各界面活性剤の中でも、特に好ましくは、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体である。これら界面活性剤は、含水ゲルに添加する際の添加量が少量で済む。また、これら界面活性剤は、添加後に、含水ゲルの表面に対して表面処理を施した状態でも、該含水ゲルの物性(たとえば、加圧下吸水倍率など)を阻害することがない。さらに、これら界面活性剤は使用上の安全性が高いため好ましい。
【0069】
上記界面活性剤の添加量は、含水ゲル100重量部に対し、0.001〜10重量部の範囲内であり、0.01〜5重量部の範囲内が好ましく、0.1〜2重量部の範囲内がより好ましい。上記添加量が0.001重量部よりも少ないと、粉砕して得られる粒子状含水ゲルが再凝集してしまう。一方、上記添加量が10重量部よりも多いと、添加に見合う効果が得られないばかりか、最終製品の吸水性樹脂の物性を低下させるおそれがある。
【0070】
上記構成を有する回転刃12と固定刃13との剪断において、さらに上記界面活性剤が添加されると、その潤滑効果のためにより一層円滑な粉砕が可能となる。そのため、角状かつ透明な形状を有し、その大きさも均一となっている本発明にかかる粒子状含水ゲルを効率よく得ることができる。
【0071】
上記界面活性剤を添加して竪型切断機によって粉砕された粒子状含水ゲルは、上記スクリーン14によって、所定の大きさの粒子となるように分級されることが特に好ましい。このスクリーン14は、図1(b)に示すように、回転刃12の外周側に円弧状に設けられているものであり、さらに、図1(a)に示すように、外周側全面に円状に設けられていることが特に好ましい。このように、スクリーン14が回転刃12の外周側に円弧状、特に全面に円状に設けられていると、粉砕された粒子状含水ゲルが、回転刃12により過剰な剪断や機械的外力を加えられることがなく、すぐに分級され、スクリーン14外の排出口3から竪型切断機外へ排出されることになるため、良好な粉砕が可能となる。
【0072】
上記スクリーン14としては、特に限定されるものではないが、たとえば、50個/100cm2 以上800個/100cm2 以下の範囲内で複数の孔が形成されているものであることが好ましい。また、スクリーン14における開孔率は、30%以上60%未満であることが好ましい。
【0073】
上記単位面積当たりの孔の数や開口率が上記の範囲から外れると、粒子状含水ゲルの分級が効果的に行われなくなるおそれがあるため好ましくない。なお、開孔率とは、スクリーン14の全体の面積と、該スクリーン14に形成された複数の孔の合計面積との割合を百分率で示したものである。また、スクリーン14に形成されている孔の形状も特に限定されるものではなく、円形であっても四角形や六角形などの角形形状であってもよい。
【0074】
さらに、上記スクリーン14は、テフロンコーティングされていることが好ましい。これによって、粘着性の高い塊状または凝集体の含水ゲルや粒子状含水ゲルがスクリーン14に付着することを抑制することができる。そのため、スクリーン14の目詰まりの発生が回避され、より効率的な粉砕が可能となる。
【0075】
上記回転刃12とスクリーン14との間隙は、該回転刃12とスクリーン14とが接触しない程度のみの間隙であることが好ましい。具体的には、0.1mm以上5mm以下の範囲内であることが好ましく、0.5mm以上3mm以下の範囲内がより好ましい。上記間隙が0.1mmよりも狭くなると、粒子状含水ゲルに余計な機械的外力が加えられ、該粒子状含水ゲルが練り潰されるおそれがある。また、回転刃12が回転中に、スクリーン14と接触するおそれもある。一方、上記間隙が5mmよりも広くなると、粒子状含水ゲルがスクリーン14の外部へ排出されにくくなり、処理効率が低下する。
【0076】
上述したような、好ましくは竪型切断機による粉砕方法で得られた粒子状含水ゲルは、その粒子の平均粒径(大きさ)の分布が従来よりも非常にシャープとなる。すなわち、粒子状含水ゲルの粒子の大きさは、非常に均一なものとなっている。また、後述するが、粒子の形状はその表面が平滑な角状形状で透明となっており、さらに安息角が38°以下となっている。このような構成を有する粒子状含水ゲルは均一な乾燥が可能であり、良好な性質を有する吸水性樹脂を得ることができる。
【0077】
上記粒子状含水ゲルについて具体的に説明する。まず、後述する微粉の発生をある程度考慮した場合では、粒子状含水ゲルの平均粒径は、0.8mm以上5mm以下の範囲内となっており、好ましくは、1mm以上4mm以下の範囲内であり、より好ましくは、1mm以上3mm以下の範囲内である。
【0078】
上記平均粒径の算出は次のようにして行うことができる。まず、得られた粒子状含水ゲルを、たとえばふるいにより分級し、分級したふるい上の重量を秤量する。次に、縦軸を積算ふるい上%とし、横軸をふるいのふるい目の開きとした対数確率紙を用い、この対数確率紙に対して、所定の式に従い、固形分α重量%相当の粒子状含水ゲルの粒径分布をプロットする。そして、このプロット上における積算ふるい上%が50重量%に相当する粒径を平均粒径とする。
【0079】
上記粒径分布を対数確率紙にプロットする際に用いられる所定の式は、用いる粒子状含水ゲルのサンプルの重量をw0 、分級後の粒子状含水ゲルの重量をw、分級に用いられたふるいのふるい目の開きをr、および固形分α重量%相当のふるい目の開きをR(α)とすると次式(1)のようになる。
【0080】
R(α)=(w0 /w)1/3 ×r ・・・(1)
上記粒子状含水ゲルの平均粒径の分布は、対数標準偏差値σζによって評価する。このσζは、上記プロットにおいて、積算ふるい上%がR=84.1%における粒径(X1 とする)およびR=15.9%の粒径(X2 とする)を算出し、これらX1およびX2 から、次式(2)により、算出する。
【0081】
σζ=(1/2)ln(X2 /X1 ) ・・・(2)
この対数標準偏差値σζは1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.8以下であることがさらに好ましい。対数標準偏差値がこの範囲内であれば、粒子状含水ゲルの粒径分布が非常にシャープであることになり、全体的に均質な粒子が得られていることを示す。
【0082】
上記粒子状含水ゲルは固形分が20%〜50%の範囲内であることが好ましく、25%〜40%の範囲内であることがより好ましい。粒子状含水ゲルの固形分が上記の範囲から外れると、良好な乾燥ができなくなり好ましくない。
【0083】
上記粒子状含水ゲルの形状をより詳しく説明する。竪型切断機による粉砕で得られた粒子状含水ゲルの形状は角状であり、またその表面は凹凸が極めて少ない平滑な面となっている。換言すれば、本発明にかかる粒子状含水ゲルの形状は、その主要な周面が平滑面からなる略平行六面体形状、略直方体形状などの略多面体形状となっている。そのため、該粒子状含水ゲルに光を照射すると、表面の凹凸により光が散乱されないために、粒子はほぼ透明に観察される。
【0084】
従来では、たとえば、ニーダーやミートチョッパーで含水ゲルを粉砕すると、その粉砕に伴って含水ゲルが練られてしまう。そのため、得られる含水ゲルの一次粒子(粒子状含水ゲル)の表面に、練りによる凹凸が生じて表面積が大きくなる。このような一次粒子に光を照射すると、凹凸のために光が散乱する。それゆえ、従来の粒子状含水ゲルは白濁した状態で観察される。
【0085】
このように粒子状含水ゲルの表面に凹凸が多く白濁していれば、粒子同士の間に引っ掛かりなどが生じ易くなり粒子全体の流動性が低下する。つまり、該凹凸同士が非常に絡み合い易くなるため、一次粒子同士が容易に凝集し、しかも絡み合った凹凸が互いにかみ合うように接触するため、凝集した一次粒子を解離することは非常に困難となる。さらに、この凝集の発生により、乾燥も良好に行うことができなくなる。
【0086】
このように解離しにくい一次粒子の凝集体を解離させるために、該凝集体に大きな外力を加えると、一次粒子同士の解離とともに該一次粒子自身が外力によって粉砕される頻度が高くなる。その結果、所望のサイズの一次粒子の他に、一次粒子の粉砕に伴う微粉が大量に発生する。この微粉の発生は、上記吸水性樹脂の性能を低下させる上に、吸水性樹脂製造における歩留りを低下させることになる。
【0087】
これに対して、本発明では、上述したように、竪型切断機により、塊状または凝集体の含水ゲルが練られることなく、はさみで切断したように鋭利に切断されて粉砕される。そのため、得られる粒子状含水ゲルの表面は、多少の凹凸や曲面はあってもほぼ滑らかな平面状、すなわち平滑面となっている。
【0088】
そのため、上記粒子状含水ゲルは一次粒子間で引っ掛かりが生じにくく、乾燥後に一次粒子同士が凝集しにくい。また、凝集しても軽い外力を加えるのみで容易に解離する。それゆえ、一次粒子を解離させるに当たって、微粉の発生量を極めて少なくすることができる。
【0089】
したがって、本発明にかかる粒子状含水ゲルを用いれば、吸水性樹脂の製造過程において、微粉の発生量が少なくすることができるため、微粉を取り除いたり回収したりする負担を大幅に軽減することができる。また、一次粒子全体が均質であるため、乾燥をより一層良好に行うことができる。その結果、吸水性樹脂の製造効率をさらに一層向上させることができる。
【0090】
なお、本発明においては、乾燥した粒子状含水ゲルの粒径が150μm未満のもの、より望ましくは200μm未満のものを微粉とする。粒径が150μm未満の粒子状含水ゲルは、少なくとも吸水性樹脂として用いることができない。また、粒径が150〜200μmの範囲内にある粒子状含水ゲルは吸水性樹脂として用いることは可能ではあるが、この範囲の粒子状含水ゲルが存在することで、粒子状含水ゲルの粒径分布が広くなるため好ましくない。
【0091】
したがって、本発明にかかる粒子状含水ゲルにおいては、乾燥後の粒径の下限が150μmであることが好ましく、200μmであることがより好ましい。一方、乾燥後の粒径の上限は、紙おむつやナプキンなどの衛生材料に用いる場合には、850μmであることがより好ましい。すなわち、本発明にかかる粒子状含水ゲルの乾燥後における粒径は、150μm以上850μm以下の範囲内であることが好ましく、200μm以上850μm以下の範囲内であることが特に好ましい。
【0092】
また、本発明においては、竪型切断機による粉砕で粒子状含水ゲルを得ることが特に好ましいが、このとき、粒子状含水ゲルの粒径は、上述した0.8mm以上5mm以下の範囲よりもさらに広い、0.5mm以上5mm以下の範囲内であってもよい。特に、乾燥後に上記範囲内の粒径を有する吸水性樹脂を得るためには、粒子状含水ゲルの粒径は、好ましくは0.5mm以上3mm以下、より好ましくは0.5mm以上1mm以下の範囲内である。
【0093】
ミートチョッパーやニーダーを用いて粒子状含水ゲルを得た場合には、上述したように、粒子状含水ゲルの凝集体を解砕する際に、該粒子状含水ゲルの一次粒子自身が外力によって粉砕されて微粉が発生する。そのため、一次粒子そのものの粒径も小さくなる傾向にある。これに対して、竪型切断機を用いて粒子状含水ゲルを得た場合には、上述したように、凝集した粒子状含水ゲルを解砕する際でも一次粒子自身はほとんど粉砕されず単に解離するだけである。そのため、一次粒子の粒径はほとんど変化しない。その結果、微粉の少ないシャープな粒径分布の吸水性樹脂が得られる。
【0094】
それゆえ、乾燥後の粒子状含水ゲルの粒径を150μm以上850μm以下の範囲内とする場合、微粉が発生する場合には粒径が小さくなることを見越して少し大きめの範囲(0.8〜5mm)を設定するが、粉砕を竪型切断機により実施すれば、微粉の発生を考慮する必要がないために、未乾燥の粒子状含水ゲルの粒径は上記0.8mm以上5mm以下の範囲よりもさらに小さくすることができる。したがって、本発明にかかる粒子状含水ゲルの平均粒径は、0.5mm以上5mm以下の範囲内であればよい。
【0095】
本発明において粉砕される含水ゲルは、内部架橋剤の存在下に水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる含水ゲルであり、その固形分は25〜50%、好ましくは30〜45%となっている。上記含水ゲルは架橋構造を有しているため、竪型粉砕機で粉砕すると練られることなく粉砕され、図5に示すように、表面に平滑な面20を複数有する略多面体形状の粒子状含水ゲル21が得られる。
【0096】
また、上記含水ゲルの吸水倍率は、20〜60倍の範囲内、より好ましくは30〜50倍の範囲内である。吸水倍率が20倍よりも小さいと乾燥後の吸水倍率が低く、紙おむつなどの衛生材料に用いる場合好ましくない。吸水倍率が60倍よりも大きいと含水ゲルが柔らかくなるため、粉砕時に含水ゲルが練られてしまい、表面に平滑な面を有する多面体状の含水ゲルが得られないおそれがある。なお、含水ゲルの吸水倍率(固形分換算)は、ティーバッグに入れた含水ゲルを生理食塩水中に24時間浸漬した後、遠心分離機により1300rpmで3分間液切りした後測定したものである。
【0097】
上記粒子状含水ゲル21において、その表面が平滑であり、かつ、その粒径分布がシャープであることを間接的に示す指標として、本実施の形態では、安息角を用いている。この安息角について説明すると、図2に示すように、粉砕により得られた粒子状含水ゲル21を、フッ素樹脂含浸フィルム22を貼った長さ15cm、幅6cmの板23の上に均一に敷き広げる。次に、この板23の一端を徐々に持ち上げ、粒子状含水ゲル21全体が流れ落ち始める高さHを測定する。そして、測定した高さHから次式(3)に基づき安息角θを算出する。
【0098】
θ=sin-1(H/20) ・・・(3)
この安息角は小さければ小さいほど、粒子状含水ゲル21が滑らかに流動することになる。粒子状含水ゲル21が滑らかに流動するということは、該粒子状含水ゲル21の粒子表面に凹凸が少なく、凹凸に由来する粒子状含水ゲル21同士、または粒子状含水ゲル21と板23との間の摩擦力が小さいことを示す。
【0099】
また、粒径分布がシャープ、すなわち、粒子状含水ゲルの粒子の大きさが均一であれば、粒子全体の流動性が向上する。粒子の大きさが不均一であると、たとえば、小さい粒子が大きな粒子同士の間隙に入り込むなどして、粒子全体の流動性を妨げることになる。しかしながら、粒子の大きさが均一であれば、このような現象は発生しない。それゆえ、この安息角が小さいほど、粒子状含水ゲルの表面が平滑であり、かつ、粒径分布がシャープであることを示すことになる。
【0100】
本発明にかかる粒子状含水ゲルの有する安息角は、38°以下であることが好ましく、36°以下であることがより好ましい。安息角が38°以下であれば、粒子状含水ゲルが全体的に平滑な面を有する略多面体形状(図5参照)を有していると判断することができる。すなわち、安息角が38°以下であれば、粒子状含水ゲルの表面が平滑であり、かつ、粒径分布がシャープであると判断することができる。
【0101】
本発明にかかる粒子状含水ゲルは、上述したように、粒子状含水ゲルの粒径分布が揃っており、また、その粒子表面に凹凸が少なく透明な粒子となっているので、乾燥が非常に均一に行われる。そのため、小さい粒子が過乾燥したり、大きな粒子が未乾燥のままで残存したりするようなことがなく、従来よりも非常に良好な乾燥が可能となる。その結果、高品質の吸水性樹脂を得ることができる。また、乾燥時間をこれまでよりも短時間化できるので、吸水性樹脂の製造効率を向上させることもできる。
【0102】
次に、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、上述した粒子状含水ゲルを用いる方法であり、その製造過程は、図3に示すように、粒子状含水ゲルを乾燥粉砕、および分級する各工程を少なくとも有するものである。
【0103】
具体的に説明すると、上述した方法により得られる本発明にかかる粒子状含水ゲルは、まず、ステップ1(以下、ステップをSと略す)の乾燥工程により乾燥する。このときの乾燥方法については特に限定されるものではなく、たとえば、バンド乾燥機、攪拌乾燥機、流動層乾燥機などを用いるような従来からの乾燥方法を好適に用いることができる。
【0104】
乾燥工程で得られる上記粒子状含水ゲルは、S2の粉砕工程により所定の範囲内の大きさとなるように粉砕される。このときの粉砕方法についても限定されるものではなく、ロールミルなどを用いた従来からの粉砕方法を好適に用いることができる。
【0105】
粉砕工程で得られる粉砕生成物は、S3の分級工程で分級されるが、この分級方法についても特に限定されるものではなく、たとえば、ふるいを用いたふるい分けなどが好適に用いられる。そしてS1〜S3までの各工程が終了した後に、吸水性樹脂が得られる。
【0106】
ここで、上記粒子状含水ゲルは、その粒子の形状が均質であり、粒径分布もシャープであるため、S1の乾燥工程において、全体的に均一な乾燥を行うことができる。そのため、従来のように未乾燥物が発生したり、小さな粒子が過乾燥したりするようなことがない。
【0107】
その結果、S2の粉砕工程で、未乾燥の粒子が粉砕機に付着して、粉砕を妨げるような不都合を生じさせることがない。そのため、吸水性樹脂の製造をより効率化することができる。また、S3の分級工程終了後、得られる吸水性樹脂に未乾燥物や過乾燥物が混入しないため、該吸水性樹脂を高品質なものとすることができる。
【0108】
さらに、S1の乾燥工程では、上述したように乾燥を迅速に行うことができるため、吸水性樹脂の製造を効率化することができる。また、もともとの粒子状含水ゲルの粉砕、分級を適宜設定することで、単にS1で乾燥しただけで所望の吸水性樹脂を得ることができる。すなわち、上記S2およびS3の各工程を省略することも可能であるため、より吸水性樹脂の製造を効率化することができる。
【0109】
たとえば、従来の粒子状含水ゲルは、上記S1の乾燥工程で乾燥されて水分が失われるに伴い、該粒子状含水ゲルの一次粒子同士が凝集し、しかも一次粒子同士が解離しにくくなる。これに対して、本発明にかかる粒子状含水ゲルは、上述したように凝集しくい。その結果、上記S2およびS3の各工程を省略することは十分可能である。
【0110】
しかしながら、本発明にかかる粒子状含水ゲルでも、S1の乾燥工程にて多少は凝集するおそれがある。ただし、該粒子状含水ゲルは凝集しても容易に解離するので、粉砕工程によって粉砕しなくても、軽い外力を加えるのみで一次粒子に戻すことができる。そこで、図4に示すように、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法では、上記粉砕工程の代わりに、凝集した粒子状含水ゲルを元の一次粒子に戻すための解砕工程を実施することが非常に好ましい。
【0111】
上記解砕工程を含む吸水性樹脂の製造方法について説明する。まず、図3に示す吸水性樹脂の製造方法と同様に、図4に示すように、S11として乾燥工程を実施する。その後、乾燥工程で得られる粒子状含水ゲルの凝集体を、S12の解砕工程により解砕して一次粒子に解離する。なお、粒子状含水ゲルの凝集体に外力を加えることによって該凝集体をほぐし、解離させて一次粒子に戻すことを、「解砕」と表現する。
【0112】
上記解砕工程に用いられる解砕方法としては、上述したロールミルによる粉砕方法などを用いることも可能ではある。しかしながら、上記凝集体は大きな外力を加えなくても容易に解砕することができる上に、大きな外力を加えると微粉が発生するおそれがあるので、小さな外力を加える方法であることが好ましい。
【0113】
小さな外力を加える方法としては、たとえば、緩やかに回転可能な攪拌羽根を備える一軸混合機を用いて解砕する方法などが挙げられる。この攪拌羽根を備える一軸混合機としては、従来から用いられているものを好適に用いることができるが、攪拌羽根の回転数を十分低い値にまで落とすことができるものであることが非常に好ましい。これは、回転数が大き過ぎると一次粒子自身が解砕されて微粉が発生するおそれがあるためである。ただし、回転羽根の具体的な回転数は各装置によって異なるため、特に限定されるものではない。
【0114】
なお、上記解砕工程は、乾燥工程と同時に実施して、乾燥・解砕工程としてもよい。この場合、乾燥方法としては、攪拌乾燥機や流動層乾燥機を用いる方法が挙げられる。このように解砕工程と乾燥工程とを同時に実施すれば、吸水性樹脂の製造方法をより簡素化できるので好ましい。
【0115】
解砕工程で得られる粉砕生成物は、S13の分級工程で分級される。ここで、S12の解砕工程では、粒子状含水ゲルの凝集体が容易かつ確実に一次粒子に解離するとともに、解離した一次粒子がより均一な形状を有している。そのため、解砕工程により得られた解砕物は、所定範囲内の粒径を有する粒子がほとんどで、所定範囲よりも大きい粒子や小さい粒子(すなわち微粉)の量を非常に少なくすることができる。そのため、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法では、この分級工程は適宜省略することが可能となっている。
【0116】
なお、このS13の分級工程で、所定範囲以上の粒径を有する粒子がある程度得られた場合には、さらに、S14として、この粒子を粉砕する粉砕工程を追加してもよい。この粉砕工程後得られた粒子に対しては再び分級工程が実施される(すなわちS13にもどる)。そして、S11〜S13(またはS11〜S14)までの各工程が終了した後に、吸水性樹脂が得られる。
【0117】
本発明においては、含水ゲルを乾燥後粉砕することにより、吸水性樹脂の使用目的に応じた粒径の吸水性樹脂が容易に得られる。所望する粒径よりも大きい粒子や凝集物は粉砕される。この粉砕に際して、目的とする粒径の吸水性樹脂は分級などにより分離することができるので、粉砕機で粉砕される吸水性樹脂の量を少なくすることができる。その結果、微粉の発生量を少なくすることができるとともに、粉砕機の付加も低減することができる。
【0118】
このように、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、本発明にかかる粒子状含水ゲルを用いている。そのため、吸水性樹脂の製造を従来よりも効率化できるとともに、高品質な吸水性樹脂を得ることができる。
【0119】
以上のような本発明にかかる製造方法により得られた吸水性樹脂は、優れた吸水性能によって、例えば、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パッド、創傷保護材、創傷治癒材等の衛生材料(体液吸収物品);ペット用の尿等の吸収物品;建材や土壌用保水材、止水材、パッキング材、ゲル水嚢等の土木建築用資材;ドリップ吸収材や鮮度保持材、保冷材等の食品用物品;油水分離材、結露防止材、凝固材等の各種産業用物品;植物や土壌等の保水材等の農園芸用物品等、種々の用途に好適に用いられるものとなっている。
【0120】
【実施例】
本発明の吸水性樹脂の製造方法について以下の実施例および比較例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例および比較例により限定されるものではない。
【0121】
なお、以下の実施例および比較例では、安息角は、前記実施の形態中で説明した方法と同様に行った。また、吸水性樹脂(または含水ゲル)の吸水倍率、粒子状含水ゲルの粒径分布、および粒径分布の対数標準偏差値の測定は、以下のようにして測定した。
(吸水性樹脂の吸水倍率)
吸水性樹脂(あるいは乾燥させた含水ゲル)約2.0gを正確に秤量し、5cm四方の不織布のティーバッグの中に入れ、ヒートシールにより封入した。このティーバッグを、人工尿中に室温で浸漬した。1時間後にティーバッグを引き上げ、遠心分離機を用いて1300rpmで3分間液切りを行った後、上記ティーバッグの重量W1 (g)を測定した。別途、同様の走査を、ティーバッグに吸水性樹脂を封入しないで行い、そのときのティーバッグの重量W0(g)をブランクとして求めた。吸水倍率は次式に基づいて算出した。
【0122】
【数1】
Figure 0004906987
【0123】
なお、上記人工尿の組成およびそれらの配合量は、表1に示す。
【0124】
【表1】
Figure 0004906987
【0125】
(粒子状含水ゲルの粒径分布、および粒径分布の対数標準偏差値の測定)
まず、固形分α重量%のサンプル30gを20重量%NaCl水溶液1000gに投入し、スターラーチップを300rpmで回転させることによって120分間攪拌した。この攪拌の終了後、六種類のふるい(ふるい目の開きが、それぞれ9.5mm、2.0mm、0.85mm、0.6mm、0.3mm、0.075mmのもの)にサンプルを投入し、さらに6000gの20重量%NaCl水溶液を投入して分級した。分級されたふるい上のサンプルを十分に水切りした後に秤量した。
【0126】
上記分級・水切り後の粒子状含水ゲルの重量をwとし、ふるい目の開きをrとし、サンプル重量w1 =30gとして、前記実施の形態で説明した式(1)に基づいて、粒子状含水ゲルの粒径分布を対数確率紙にプロットした。プロットの積算ふるい上%Rが50重量%に相当する粒子径を粒子状含水ゲルの平均粒子径とした。なお、式(1)を次に示す。
【0127】
R(α)=(30/w)1/3 ×r・・・(1)
また、上記プロットから、積算ふるい上%R=84.1%(これをX1 とする)と積算ふるい上%R=15.9%(これをX2とする)との粒径を求め、前記実施の形態で説明した式(2)により対数標準偏差値σζを求めた。なお、式(2)を次に示す。
【0128】
σζ=(1/2)ln(X2 /X1 )・・・(2)
〔実施例1〕
65%中和アクリル酸ナトリウム、およびポリエチレングリコールジアクリレート(平均エチレンオキサイドユニット数8)を0.04モル%(対アクリル酸ナトリウム)含むモノマー水溶液を調製した。このときのアクリル酸ナトリウムの濃度は35重量%であった。このモノマー水溶液に窒素を吹き込み、水溶液中の溶存酸素濃度を0.1ppm以下とした。
【0129】
ついで、水溶性アゾ系開始剤(和光純薬株式会社製;商品番号V−50)0.02g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)、L−アスコルビン酸0.002g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)、過酸化水素0.001g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を順番に添加し、重合を行った。重合開始温度は22℃であり、10分後温度は80℃に達した。
【0130】
重合後の含水ゲルをギロチンカッターにより25mm角に粗砕した。この粗砕した含水ゲルに、分子量約3,000のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を0.5重量%(対固形分)添加し、孔径3mm、開口率34%、孔数480個/100cm2 のスクリーンを有する竪型切断機にて粉砕した。
【0131】
この粉砕により本発明にかかる粒子状含水ゲル(1)を得た。この粒子状含水ゲル(1)の平均粒径は950μmであった。また、R=15.9%のときの粒径は400μmであり、R=84.1%のときの粒径は1510μmであったため、σζ=0.66となった。また、この粒子状含水ゲル(1)の安息角を二回測定したところ、36.2°および34.8°となった。さらに、この粒子状含水ゲル(1)の吸水倍率は38倍であった。
【0132】
この粒子状含水ゲル(1)を、160℃で60分間乾燥したところ、未乾燥物は得られなかった。さらに、この粒子状含水ゲル(1)を粉砕しても、粉砕機にはゴム状の未乾燥物の付着は全くなかった。上記粉砕・乾燥後に得られた吸水性樹脂(1)の吸水倍率は65倍であり、可溶分は12%であった。
【0133】
〔実施例2〕
上記実施例1において、孔径3mmのスクリーンに代えて、孔径6mm、開口率51%、孔数180個/100cm2 のスクリーンを用いた以外は実施例1と同様にして、本発明にかかる粒子状含水ゲル(2)を得た。
【0134】
この粒子状含水ゲル(2)の平均粒径は1600μmであった。また、R=15.9%のときの粒径は800μmであり、R=84.1%のときの粒径は2400μmであったため、σζ=0.55となった。また、この粒子状含水ゲル(2)の安息角を二回測定したところ、35.1°および33.4°となった。
【0135】
この粒子状含水ゲル(2)を、160℃で60分間乾燥したところ、未乾燥物は得られなかった。さらに、この粒子状含水ゲル(2)を粉砕していても、粉砕機にはゴム状の未乾燥物の付着は全くなかった。上記粉砕・乾燥後に得られた吸水性樹脂(2)の吸水倍率は65倍であり、可溶分は12%であった。
【0136】
〔比較例1〕
上記実施例1において、含水ゲルを双椀型ニーダーで粉砕することによって、比較粒子状含水ゲル(1)を得た。この比較粒子状含水ゲル(1)の平均粒径は1.8mmであった。また、R=15.9%のときの粒径は320μmであり、R=84.1%のときの粒径は8000μmであったため、σζ=1.6となった。さらに、10mm以上の粒径を有する粒子は2%存在した。加えて、この比較粒子状含水ゲル(1)の安息角を二回測定したところ、40.0°および41.0°となった。
【0137】
この比較粒子状含水ゲル(1)を、160℃で60分間乾燥したところ、未乾燥物が発生した。さらに、この比較粒子状含水ゲル(1)を粉砕すると、粉砕機内部にゴム状の含水ゲルが付着して、粉砕の妨げとなった。また、上記粉砕・乾燥後に比較吸水性樹脂(1)を得た。この比較吸水性樹脂(1)の吸水倍率は65倍であり、可溶分は13%であった。
【0138】
〔比較例2〕
上記実施例1において、含水ゲルをミートチョッパー(ダイス径9.5mm)により粉砕することによって、比較粒子状含水ゲル(2)を得た。この比較粒子状含水ゲル(2)の平均粒径は1.8mmであった。また、R=15.9%のときの粒径は400μmであり、R=84.1%のときの粒径は5000μmであったため、σζ=1.26であった。さらに、この比較粒子状含水ゲル(2)の安息角を二回測定したところ、40.5°および38.7°となった。
【0139】
この比較粒子状含水ゲル(2)を、160℃で60分間乾燥したところ、未乾燥物が発生した。さらに、この比較粒子状含水ゲル(2)を粉砕すると、粉砕機内部にゴム状の含水ゲルが付着して、粉砕の妨げとなった。また、上記粉砕・乾燥後に比較吸水性樹脂(2)を得た。この比較吸水性樹脂(2)の吸水倍率は65倍であり、可溶分は15%であった。
【0140】
さらに、以下の実施例3および比較例3および4では、得られた吸水性樹脂の粒径分布を示す指標として、以下に示すRosin-Rammlar プロットにより得られる均等数nを用いた。
【0141】
解砕後の吸水性樹脂をふるいで分級し、ふるい上積算%Rと粒子径Dpとを以下の式(3)にしたがってグラフにプロットした。このプロットの傾きを最少二乗法により求め均等数nを算出した。
【0142】
loglog(100/R)=nlog Dp−C ・・・(3)
〔実施例3〕
70%中和アクリル酸ナトリウム、およびポリエチレングリコールジアクリレート(平均エチレンオキサイドユニット数8)を0.1モル%(対アクリル酸ナトリウム)含むモノマー水溶液を調製した。このときのアクリル酸ナトリウムの濃度は39重量%であった。このモノマー水溶液に窒素を吹き込み、水溶液中の溶存酸素濃度を0.5ppm以下とした。
【0143】
ついで、過硫酸ナトリウム0.12g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)およびL−アスコルビン酸0.0005g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を順番に添加し、重合を行った。重合開始温度は18℃であり、12分後温度は90℃に達した。
【0144】
重合後の含水ゲルをギロチンカッターにより30mm角に粗砕した。この粗砕した含水ゲルに、分子量約3,000のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を1重量%(対固形分)添加し、実施例1と同様にして竪型切断機により粉砕した。そして得られた粉砕物を、孔径1.5mm、開口率23%、孔数1300個/100cm2 のスクリーンを有する竪型切断機にてさらに粉砕した。
【0145】
この粉砕により本発明にかかる粒子状含水ゲル(3)を得た。この粒子状含水ゲル(3)の平均粒径は710μmであった。また、σζ=0.45となった。さらに、固形分換算した平均粒径は520μmであった。また、粒子状含水ゲル(3)の吸水倍率は25倍であった。この粒子状含水ゲル(3)を、170℃で40分間、熱風乾燥機により乾燥したところ、未乾燥物は得られなかった。さらに、乾燥後に得られた凝集物をレディゲミキサー中で攪拌し、凝集物を一次粒子に解砕した。
【0146】
得られた解砕物を、ふるい目の開きが850μmおよび212μmのふるいにより分級した。このときの850μmのふるいをパスした212μmのふるい上分(850/212μmとする)を本発明にかかる吸水性樹脂(3)として得た。この850/212μmふるい上分の割合は79重量%であり、212μmのふるいをパスした解砕物(すなわち微粉)の割合は0.4重量%であった。平均粒子径は700μmであった。粒径分布のシャープさを示すRosin-Rammlar プロットの均等数nは4.4であった。また、吸水性樹脂(3)の吸水倍率は42倍であり、可溶分は4%であった。
【0147】
〔比較例3〕
実施例3で得られた、粗砕した角状の含水ゲルに、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を1重量%(対固形分)添加し、孔径1.2mm、開口率35%のダイスを有するミートチョッパーにて粉砕して、比較粒子状含水ゲル(3)を得た。この比較粒子状含水ゲル(3)を170℃、40分間、熱風乾燥機で乾燥した。乾燥後の凝集物を実施例3と同様にしてレディゲミキサー中で攪拌し、凝集物を解砕した。
【0148】
得られた解砕物を実施例3と同様にして分級し、850/212μmふるい上分を比較吸水性樹脂(3)として得た。この850/212μmふるい上分の割合は59重量%であり、212μmパスした解砕物(すなわち微粉)の割合は32重量%であった。平均粒子径は1300μmであった。粒径分布のシャープさを示すRosin-Rammlar プロットの均等数nは2.0であった。比較吸水性樹脂(3)の吸水倍率は42倍であり、可溶分は5%であった。
【0149】
〔比較例4〕
実施例3で得られた、粗砕した角状の含水ゲルに、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体を1%添加し、ニーダー中で20分間攪拌し、粉砕して、比較粒子状含水ゲル(4)を得た。その後、実施例3と同様にして解砕物を得た。
【0150】
得られた解砕物を実施例3と同様にして分級し、850/212μmふるい上分を比較吸水性樹脂(4)として得た。この850/212μmふるい上分の割合は38重量%であり、212μmパスした解砕物(すなわち微粉)の割合は1重量%であった。平均粒子径は1300μmであった。粒径分布のシャープさを示すRosin-Rammlar プロットの均等数nは2.1であった。比較吸水性樹脂(4)の吸水倍率は41倍であり、可溶分は5%であった。
【0151】
上記各実施例および比較例から、本発明にかかる粒子状含水ゲル(1)・(2)は、比較粒子状含水ゲル(1)・(2)に比べて、粒径分布がシャープで、均一な粒径を有するものとなることがわかる。
【0152】
また、本発明にかかる粒子状含水ゲル(3)、ミートチョッパーで得られた比較粒子状含水ゲル(3)、およびニーダーで得られた比較粒子状含水ゲル(4)を比較した場合、本発明にかかる粒子状含水ゲル(3)は平均粒径がシャープでかつ均等数も大きく、より均一な平均粒径を有するものとなっていることがわかる。
【0153】
さらに、粒子状含水ゲルの形状を比較すると、図6(a)に示すように、本発明にかかる粒子状含水ゲル(3)は、透明でその主要な周面が平滑面となっている略多面体形状(図5参照)であるのに対し、図6(b)・(c)に示すように、他の比較粒子状含水ゲル(3)・(4)は、何れも表面が練られて凹凸が生じ、白濁していることがわかる。なお、図6(b)が比較粒子状含水ゲル(4)であり、図6(c)が比較粒子状含水ゲル(3)である。
【0154】
また、その形状について比較すると、本発明にかかる粒子状含水ゲル(3)は、各粒子の形状がほぼ統一されて略直方体形状となっているのに対し、他の比較粒子状含水ゲル(3)・(4)は、何れも、各粒子の形状が不定形となっていることがわかる。なお、図6(d)は、図6(a)〜(c)と同縮尺の定規の目盛りであり、1目盛りが1mmを示す。
【0155】
さらに、本発明にかかる製造方法により得られた吸水性樹脂(3)では、微粉はほとんど発生しなかったが、ミートチョッパーで得られた比較吸水性樹脂(3)の製造過程では、かなりの微粉が発生した。なお、ニーダーで得られた比較吸水性樹脂(4)の製造過程では微粉の発生量は少なかったが、粒径分布が吸水性樹脂(3)ほどにはシャープではなく、平均粒径が均一とはならなかった。
【0156】
このように本発明にかかる粒子状含水ゲル状重合体は、粒径分布がシャープであり、角状で粒子表面に凹凸のない透明な粒子となっているため、良好な乾燥が可能である。また、この粒子状含水ゲル状重合体を用いて吸水性樹脂を製造すると、乾燥を良好に行うことができる上に、未乾燥物が発生しないため、乾燥後の粉砕工程などで未乾燥物により生じるさまざまな不都合の発生を回避することができる。その結果、効率よく高品質の吸水性樹脂を製造することができる。
【0157】
【発明の効果】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、以上のように、水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体において、平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、粒径分布が対数標準偏差値σζで1.5以下となっている構成である。
【0158】
また、本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、以上のように、アクリル酸および/またはその水溶性塩を主成分として含む単量体水溶液を架橋剤の存在下に重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体において、含水ゲルの含水率が10〜90重量%であり、かつ、主要な周面が平滑面からなる多面体形状を有しているとともに、ふるい分級で規定される平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、ふるい分級で規定される粒径分布が、次の式により算出される対数標準偏差値σζ
σζ=(1/2)ln(X /X
(ただし、X は、積算ふるい上でR=15.9%に相当する粒径であり、X は、積算ふるい上でR=84.1%に相当する粒径である。)で1.5以下となっている構成であることが好ましい。
【0159】
また、本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体では、以上のように、粉砕が、堅型切断機、ニーダー、ギロチンカッター、スライサー、ロールカッター、シュレッダーまたはハサミによって行われる構成であることが好ましい。
【0160】
また、本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、以上のように、その表面に界面活性剤が存在することにより表面処理されてなる構成であることが好ましい。
【0161】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、以上のように、上記構成に加えて、さらに、固形分が20〜50%の範囲内となっている構成である。
【0162】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、以上のように、上記構成に加えて、さらに、安息角が38°以下となっている構成である。
【0163】
それゆえ、上記各構成では、従来の粒子状含水ゲル状重合体と比較して、極めて良好な乾燥が可能となっているという効果を奏する。
【0164】
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、以上のように、平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、粒径分布が対数標準偏差値σζで1.5以下となっている粉砕された粒子状含水ゲル状重合体を乾燥する方法である。
【0165】
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、以上のように、アクリル酸および/またはその水溶性塩を主成分として含む単量体水溶液を架橋剤の存在下に重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体を乾燥させる吸水性樹脂の製造方法において、含水ゲルの含水率が10〜90重量%であるとともに、ふるい分級で規定される平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、ふるい分級で規定される粒径分布が、次の式により算出される対数標準偏差値σζ
σζ=(1/2)ln(X /X
(ただし、X は、積算ふるい上でR=15.9%に相当する粒径であり、X は、積算ふるい上でR=84.1%に相当する粒径である。)で1.5以下となっている方法であることが好ましい。
【0166】
また、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法では、以上のように、粒子状含水ゲル状重合体の主要な周面が平滑面からなる多面体形状を有している方法であることが好ましい。
【0167】
それゆえ、上記方法では、乾燥工程が効率的に行われる上に、過乾燥や未乾燥の発生も抑制される。そのため、未乾燥物などによって発生する乾燥後の工程における不都合を回避するとともに、高品質の吸水性樹脂を得ることができるという効果を奏する。
【0168】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、以上のように、水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体において、平均粒径が0.5〜5mmの範囲内であり、かつ、粒径分布が対数標準偏差値σζで1.5以下となっている構成である。
【0169】
本発明に係る粒子状含水ゲル状重合体は、以上のように、上記構成に加えて、主要な周面が平滑面からなる略直方体形状を有している構成である。
【0170】
それゆえ、上記構成では、均質な乾燥が可能であり、かつ、吸水性樹脂として用いることのできない含水ゲル状重合体の微粉の発生が抑制されるので、高品質の吸水性樹脂を高い歩留りで得ることができるとともに、微粉の除去や回収などの負担を軽減し、吸水性樹脂の製造効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の実施の一形態にかかる粒子状含水ゲル状重合体を製造する際に用いられる竪型切断機における粉砕部の内部構造を示す断面図であり、(b)は、図1(a)に示す竪型切断機における粉砕部の内部構造の他の例を示す断面図である。
【図2】 本発明にかかる粒子状含水ゲル状重合体の安息角を測定する測定系を示す説明図である。
【図3】 本発明の実施の一形態にかかる吸水性樹脂の製造方法の一例を示す工程図である。
【図4】 図3に示す吸水性樹脂の製造方法の他の例を示す工程図である。
【図5】 本発明にかかる粒子状含水ゲルの形状を示す模式図である。
【図6】 (a)〜(c)は、本発明の実施の一形態にかかる粒子状含水ゲルおよび従来の粒子状含水ゲルの形状を光学顕微鏡により観察した状態を示す図面代用写真であり、(d)は、(a)〜(c)と同縮尺で光学顕微鏡により観察した定規の目盛りを示す図面代用写真である。
【符号の説明】
2 粉砕部
12 回転刃
13 固定刃
14 スクリーン
21 粒子状含水ゲル

Claims (8)

  1. アクリル酸および/またはその水溶性塩を主成分として含む単量体水溶液を架橋剤の存在下に重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる含水ゲル状粒子において、
    含水ゲルの含水率が10〜90重量%であり、かつ、主要な周面が平滑面からなる多面体形状を有しているとともに、
    ふるい分級で規定される平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、ふるい分級で規定される粒径分布が、次の式により算出される対数標準偏差値σζ
    σζ=(1/2)ln(X/X
    (ただし、Xは、積算ふるい上でR=15.9%に相当する粒径であり、Xは、積算ふるい上でR=84.1%に相当する粒径である。)
    で1.5以下となっていることを特徴とする含水ゲル状粒子
  2. 粉砕が、堅型切断機、ニーダー、ギロチンカッター、スライサー、ロールカッター、シュレッダーまたはハサミによって行われることを特徴とする請求項1に記載の含水ゲル状粒子
  3. 含水ゲル状粒子が、その表面に界面活性剤が存在することにより表面処理されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の含水ゲル状粒子
  4. さらに、安息角が38°以下となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の含水ゲル状粒子
  5. アクリル酸および/またはその水溶性塩を主成分として含む単量体水溶液を架橋剤の存在下に重合した後に、少なくとも粉砕することによって得られる粒子状含水ゲル状重合体を用いる吸水性樹脂の製造方法において、
    含水ゲルの含水率が10〜90重量%であるとともに、
    ふるい分級で規定される平均粒径が0.8〜5mmの範囲内であり、かつ、ふるい分級で規定される粒径分布が、次の式により算出される対数標準偏差値σζ
    σζ=(1/2)ln(X/X
    (ただし、Xは、積算ふるい上でR=15.9%に相当する粒径であり、Xは、積算ふるい上でR=84.1%に相当する粒径である。)
    で1.5以下となっており、
    上記粒子状含水ゲル状重合体を乾燥させる工程を有することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
  6. 粒子状含水ゲル状重合体の主要な周面が平滑面からなる多面体形状を有していることを特徴とする請求項5に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  7. 粒子状含水ゲル状重合体を粉砕する工程と、粉砕生成物を分級する工程とを有することを特徴とする請求項5または6に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  8. 粒子状含水ゲル状重合体を、バンド乾燥機、攪拌乾燥機、または流動層乾燥機を用いて乾燥させることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
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