JP3333332B2 - 粒状吸水性樹脂の処理法 - Google Patents

粒状吸水性樹脂の処理法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、水溶性エチレン性不飽
和モノマーを重合させて得られる粒状の吸水性樹脂の処
理法、すなわち粒状の吸水性樹脂からその粒径より大き
い粒径の製品、すなわち当該粒子が粒子間界面を実質的
に保存したまま凝集してなる造粒体または粒子間界面を
消失してゴム状塊体となった製品(これを粉砕すれば原
粒子より大きな小塊となる)、に関するものである。
【0002】更に詳しくは、本発明は、小粒として得ら
れた吸水性樹脂から所望範囲に粒径が制御された吸水性
樹脂の製造法に関するものである。このような本発明
は、吸水性樹脂の造粒法に関するものと捉えることもで
きる。
【0003】吸水性樹脂は、近年、生理用品、使い捨て
紙オムツ、使い捨て雑巾などの衛生関係、保水剤、土壌
改良剤として農園芸関係などに使われているほか、汚泥
の凝固、結露防止や油類の脱水などの種々の用途にもま
た使用方法が開発されている。
【0004】特に、生理用品、使い捨て紙オムツなどの
衛生用品に盛んに使用され、結露防止としては、建材、
コンテナー輸送、海上輸送などに利用されることで、社
会生活に大きく貢献している。
【0005】
【従来の技術】吸水性樹脂は、一般に、水溶性エチレン
性不飽和モノマーを重合させて製造されている。
【0006】この種の吸水性樹脂としては、アクリル酸
塩重合体架橋物、アクリル酸エステル‐酢酸ビニル共重
合体架橋物のケン化物、でんぷん‐アクリル酸塩グラフ
ト共重合体架橋物、でんぷん‐アクリロニトリルグラフ
ト共重合体架橋物のケン化物、無水マレイン酸グラフト
ポリビニルアルコール重合体架橋物、ポリエチレンオキ
シド架橋物などが知られている。例えば、特公昭60−
25045号、特開昭57−158210号、特開昭5
7−21405号、特公昭53−46199号、特開昭
58−71907号、特開昭55−84304号などに
その詳細が示されているが、代表的な製造例としては、
次のようなものが挙げられる。 例−1 α,β‐不飽和カルボン酸およびそのアルカリ
金属塩水溶液を架橋剤の存在下または不存在下に、ショ
糖脂肪酸エステルを含有する石油系炭化水素溶媒中に懸
濁させ、ラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方
法。 例−2 アクリル酸およびアクリル酸アルカリ塩水溶液
を、HLB8〜12の界面活性剤の共存下に、脂環族ま
たは脂肪族炭化水素溶媒中に懸濁させ、水溶性ラジカル
重合開始剤の存在下に重合させる方法。 例−3 でんぷんおよびセルロースのうち少なくとも1
種(A)と、水溶性または加水分解によって水溶性とな
る、付加重合性二重結合を有する単量体の少なくとも1
種(B)とを、必要により架橋剤(C)の共存下で、重
合させ、重合体の加水分解を行って重合体を得る方法。 例−4 アクリル酸カリウムと水混和性ないし水溶性ジ
ビニル系化合物とを含有し、これら単量体の濃度が55
〜80重量%の範囲にある加温水溶液に、重合反応開始
剤を添加し、外部加熱を行うことなく重合反応を行わせ
ると共に水分を気化させて吸水性樹脂を得る方法。 例−5 分子量750〜10,000のモノオレフィン
重合体に1〜20%のα,β‐不飽和カルボン酸あるい
はその無水物がグラフトした反応生成物、またはモノオ
レフィン重合体を最終的に酸価が10〜100になるよ
うに酸化して得られる生成物、を保護コロイドに用い
て、単量体水溶液を重合不活性で疎水性の液体中に懸濁
させ、水溶性ラジカル重合開始剤の存在下に重合させる
方法。 例−6 アクリル酸およびアクリル酸アルカリ塩と水混
和性ないし水溶性ジビニル系化合物とを含有した、これ
ら単量体の濃度が55〜80重量%の範囲にある加温水
溶液に、重合反応開始剤の添加、あるいは電子線照射に
より、外部加熱を行うことなく重合を行わせる方法。
【0007】上記のように、吸水性樹脂は、一般に、逆
相懸濁重合、逆相乳化重合、水溶液重合または有機溶媒
中での重合等の方法によって、重合体を合成して製造さ
れている。
【0008】しかし、水溶液重合および有機溶媒中での
重合は、塊状状態であって重合物が非常に大きな粘性を
示すために、特殊な重合反応器を必要としたり、反応器
内部に多量な残留物が滞留したり、あるいはこの残留物
を抑制するために特殊な界面活性剤を添加したりする必
要があった。また、得られた重合物を粉体状の製品にす
るための粉砕機が必要となり、このために生じる微粉末
等を造粒したり、或は造粒後に再粉砕する必要が生じる
ことから、この重合法は必ずしも経済的に優れたものと
は言えなかった。
【0009】一方、逆相懸濁重合は、モノマー水溶液が
液滴状で溶剤中に分散した状態での重合で、汎用の槽型
反応器を使用することができ、重合物が滴状になってい
るため工業プロセスとしては取り扱い易いことから、水
溶液重合等と比較して優位な重合方法ではある。しか
し、重合で生成した一次粒子の大きさが若干小さいため
に用途が限定され、残念ながら十分に優位なものとは言
えなかった。
【0010】そこで、逆相懸濁重合による吸水性樹脂の
製造においては、粒径問題を解決すれば工業的に極めて
優れたプロセスとなるため、対応策の一つとして、従来
より造粒方法の検討が行われてきた。
【0011】例えば、特開昭61−97333号公報お
よび特開昭61−101536号公報には、吸水性樹脂
と無機粉末との混合物を特殊装置により混合し、この混
合物に水溶液を添加する方法が示されている。しかし、
この方法は、吸水性樹脂粒子に水を添加するために粒子
の乾燥に大きなエネルギーと時間を必要とすること、造
粒機として高速攪拌可能な特殊装置が必須であること等
に多くの問題を残している。
【0012】この改良として、特開平3−137129
号公報では水溶液にオキシアルキレン基含有ポリビニル
アルコール系樹脂を用いることで液の分散性を良くし、
これにより特殊機器の必要性回避を試み、また、特開平
2−284927号公報では水の添加と無機粉末を用い
ることで汎用性を追及しているが、水の添加によるエネ
ルギー問題は未解決になっている。
【0013】特開平2−308820号公報では、吸水
性樹脂粉末と水溶性高分子化合物粉末を混合し、水溶性
高分子化合物が溶解する温度以上で加熱乾燥する方法が
示されているが、粒子の強度を向上させるために水の添
加を必要としており、実用化に当たっては、やはりエネ
ルギー問題が残される。
【0014】
〔発明の概要〕
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、吸水性樹脂製
造に関し、上記の種々の問題点を解決して、所望粒径の
吸水性樹脂を安価に製造する方法を提供しようとするも
のである。
【0016】本発明は、吸水性樹脂の製造で、特定の含
水率の吸水性樹脂を一般的な混練機で処理することで、
吸水性樹脂の造粒物が安定に製造でき、かつ得られた造
粒物の強度が大きいという事実に基づくものである。す
なわち、本発明による粒状吸水性樹脂の処理法は、含水
率が30重量%以上である含水吸水性樹脂の粒子を、混
練機で機械的圧縮力を印加することによって処理して、
当該粒子を粒子間界面を有する粒子集合体あるいは粒子
間界面の消失した塊体にすること、を特徴とするもので
ある。
【0017】また、本発明による吸水性樹脂粒子の粒子
間界面を無くしたゴム状塊体からなる吸水性樹脂は、含
水率が30重量%以上である含水吸水性樹脂の粒子を、
該含水吸水性樹脂のガラス転移温度以上、ガラス転移温
度を70℃以上越えない温度条件下、混練機で機械的圧
縮力を印加することによって処理して得られたものであ
ること、を特徴とするものである。
【0018】また、本発明による小塊状吸水性樹脂の製
造法は、含水率が30重量%以上である含水吸水性樹脂
の粒子を、該含水吸水性樹脂のガラス転移温度以上、ガ
ラス転移温度を70℃以上越えない温度条件下、混練機
で機械的圧縮力を印加することによって処理して得られ
た吸水性樹脂粒子の粒子間界面を無くしたゴム状吸水性
樹脂を、乾燥させたのち粉砕すること、を特徴とするも
のである。 <効果>本発明の方法は、第一に、一般の樹脂で用いら
れる混練機を用いて実施できること、第二に、吸水性樹
脂の造粒物が簡単な操作で得られ、しかも同一機器で温
度条件を変化させるだけで異なる形態の造粒物を得るこ
とが出来ること、第三に、特殊な助剤を使用しないこ
と、等の優れた効果が得られるものであって、工業的貢
献度が極めて高いものである。
【0019】〔発明の具体的説明〕 1.機械的圧縮の解析 本発明は、含水状態の高吸水性樹脂粒子に機械的圧縮作
用を印加して、具体的には混練機で混練して、当該粒子
を凝集させてその粒子の直径より大きな直径の粒子に造
粒するか、あるいは当該粒子を粒子間界面の無いゴム状
の塊体にする。後者のゴム状塊体は、これを必要に応じ
て乾燥させてから粉砕すれば、原粒子より大きな粒子な
いし小塊として、前記の造粒体と同様に適度の粒径の製
品として有用である。
【0020】含水吸水性樹脂を混練機で処理することか
らなる本発明においては、処理時の温度条件がある特定
温度を境にして処理生成物の形態が異なる。すなわち、
特定温度以下の条件では、一次粒子の大部分がその形態
が破壊されたゴム状状態の吸水性樹脂が形成され、特定
温度以上では、一次粒子形態を保持したままこれらの粒
子の集合体としての造粒体が形成される。このように混
練処理時の温度条件によって、造粒形態を変化させるこ
とができることは極めて興味深いものである。
【0021】吸水性樹脂として繁用されている前記のよ
うな樹脂は、特にそれが含水状態では、ガラス転移温度
が低く、一般には高温下でより柔らかくなり易い。高分
子化合物の柔らかさを温度の観点から考えれば、一般に
より高温の方が形態保持性を失うと考えられるが、本発
明で生じた前記現象は全く逆のものであった。
【0022】本発明でのこの現象の発現理由は明確にさ
れていないが、吸水性樹脂の表面粘着性が関与している
と推定される。すなわち、ある種の粘着性物質では温度
の低下に従って粘着性を増加するものがあるが、吸水性
樹脂表面もまたこれに類似するもので、低温状態では表
面粘着性が強いために粒子同士が粘着して凝集体を形成
して混練等の機械的圧縮力が粒子に与えられ易くなる。
この結果、低温状態では与えられた機械的圧縮力が粒子
を破壊ないし高分子切断を促して一部の吸水性樹脂を流
動化させてゴム状状態を形成させる。他方、高温下では
吸水性樹脂はより柔らかくなる一方、表面粘着性が低下
することで一次粒子はお互いに滑り易くなって、与えら
れた機械的圧縮力を逃がし易くなってしまうために粒子
破壊のレベルまで力は与えられず、その結果、一次粒子
形状を残して造粒形態を形成するのであろう。 2.吸水性樹脂 本発明が適用される吸水性樹脂粒子、すなわち、混練機
で機械的圧縮力が印加される対象吸水性樹脂粒子は、好
ましくは水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得
られるものである。その様な吸水性樹脂の例としては、
例えば(メタ)アクリル酸塩重合体架橋物、(メタ)ア
クリル酸エステル‐酢酸ビニル共重合体ケン化物の架橋
物、でんぷん‐アクリル酸塩グラフト共重合体架橋物、
でんぷん‐アクリロニトリルグラフト共重合体ケン化物
の架橋物、でんぷん‐(メタ)アクリル酸エステルグラ
フト共重合体ケン化物の架橋物などがあげられる。ここ
で、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および
「メタクリル」を総称するものである。
【0023】また、これらの吸水性樹脂に良好な性能を
与えるモノマーであれば、これらを共重合させた共重合
体からなる吸水性樹脂であっても差し支えない。その様
な性能を与えるモノマーとしては、官能基としてカルボ
ン酸または(および)その塩、リン酸または(および)
その塩、スルホン酸または(および)その塩から誘導さ
れる基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーが挙げ
られる。具体的には、マレイン酸あるいはその塩、イタ
コン酸あるいはその塩、ビニルスルホン酸あるいはその
塩、2‐(メタ)アクリルアミド‐2‐メチルプロパン
スルホン酸あるいはその塩、2‐(メタ)アクリロイル
エタンスルホン酸あるいはその塩、2‐(メタ)アクリ
ロイルプロパンスルホン酸あるいはその塩、2‐イタク
ロイルエタンスルホン酸あるいはその塩、ビニルスルホ
ン酸あるいはその塩等を例示でき、これらの1種または
2種以上を添加することができる。ここで「(メタ)ア
クリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロ
イル」を総称するものである。
【0024】上記の例示モノマーは、高吸水性樹脂の主
要構造を形成する出発モノマーとして適当なものである
が、そのような目的に使用することはできるけれども、
むしろ上記例示モノマーと共重合させるのに有用な水溶
性モノマーの一群がある。そのようなモノマーの具体例
としては、例えば(メタ)アクリルアミド、2‐ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリルアミド、(ポリないしオリ
ゴ)エチレングリコール=モノ(メタ)アクリレート、
2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等がある。
これらは生成する吸水性樹脂の性能を低下させない範囲
の量で共重合させることができる。
【0025】また、本発明の吸水性樹脂がカルボキシレ
ート型、即ち塩型、の場合としては、ナトリウムやカリ
ウム等のアルカリ金属塩型のもの、マグネシウムやカル
シウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられるが、特に
好ましいのはアルカリ金属塩型のものである。 <架橋剤および添加剤>本発明が適用される前記のよう
な好ましい吸水性樹脂には、吸水性樹脂の性能向上のた
めに架橋剤や添加剤を加えることも可能である。架橋剤
は、一般に、前記の水溶性エチレン性不飽和モノマーと
共重合しうるエチレン性不飽和結合を複数個、典型的に
は2個、有する水溶性化合物である。そのような架橋剤
化合物の好ましい具体例としては、例えばN,N′‐メ
チレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリないしオリ
ゴ)エチレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、グ
リセリン=ジないしトリ(メタ)アクリレート等のジビ
ニル化合物、を挙げることができる。架橋剤は、それぞ
れ架橋剤であるためには複数個のエチレン性不飽和結合
を持たなければならないが、そのような化合物は、「そ
の場で(in situ)」、すなわち水相中で対応原
料化合物から合成することもできる。そのような原料化
合物の一方は、カルボン酸、リン酸、スルホン酸等の官
能基を有するエチレン性不飽和モノマー(水溶性である
ことが普通である)であり、他方はこれらの反応基と反
応しうる2個以上の官能基を有する水溶性の化合物、例
えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシ
ジルエーテル、グリセリン、ペンタエリスリトール等の
ポリオール、およびエチレンジアミン等のポリアミン、
ハロエポキシ化合物、ポリアルデヒド類である。
【0026】添加剤としては、微粒子状シリカ、二酸化
チタン粉末、およびアルミナ粉末等の不活性な無機質粉
末、あるいは界面活性剤等があるが所望の目的に応じて
適時、適量添加される。 <水溶性重合開始剤>本発明の吸水性樹脂の重合で用い
られる重合開始剤は、水溶性で、かつ水溶性エチレン性
不飽和モノマーの水溶液に溶解しうるものであればよ
い。
【0027】具体例を挙げると、(イ)過酸化水素、
(ロ)過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリ
ウム、過硫酸アンモニウム等、(ハ)パーオキシド類、
例えばt‐ブチルハイドロパーオキシドやクメンハイド
ロパーオキシド等、(ニ)アゾ系開始剤、例えばアゾイ
ソブチロニトリル、2,2′‐アゾビス(2‐アミジノ
プロパン)二塩酸塩等がある。
【0028】これらの重合開始剤の中でも、特に、過硫
酸塩、ハイドロパーオキシド類等の様な酸化性を示す開
始剤は、例えば亜硫酸水素ナトリウム、L‐アスコルビ
ン酸、第一鉄塩等の様な還元性物質あるいはアミン類と
の組合せによるレドックス開始剤として用いることがで
きる。
【0029】これらの開始剤の使用量は、一般には水溶
性エチレン性不飽和モノマーに対して0.01〜10重
量部%、好ましくは0.1〜2重量部%、である。 <有機溶媒および分散剤>本発明では、吸水性樹脂は、
その含水粒子の形で本発明による機械的圧縮に付すか
ら、その製造は逆相懸濁重合法によるのがふつうであ
る。
【0030】逆相懸濁重合は、高吸水性樹脂を与える前
記のようなモノマーの水溶液を有機溶媒中に液滴として
分散させた状態で当該モノマーの重合条件を印加するこ
とからなる。
【0031】逆相懸濁重合で用いられる有機溶媒および
分散剤は、前記のようなエチレン性不飽和モノマー水溶
液が架橋剤の存在下または不存在下で、重合時に油中水
滴型の分散液が安定良く形成されるものであって、重合
に不活性なものであればいかなるものも使用することが
できる。なお、有機溶媒ならびに分散剤は、単一種類の
ものであっても複数種を混合したものであってもよい。
【0032】このような有機溶媒としては、脂肪族炭化
水素、脂環族炭化水素および芳香族炭化水素があって、
脂肪族炭化水素としてはノルマルペンタン、ノルマルヘ
キサン、ノルマルヘプタン等が、脂環族炭化水素として
はシクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン等が、芳香族炭化水素とし
てはベンゼン、トルエン、キシレン等を使用するのが適
当である。特に、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン
およびシクロヘキサンは工業的に品質が一定していて、
入手が容易であり、かつ安価なため好ましい。
【0033】分散剤としては、水相‐油相間の安定なエ
マルジョンまたはディスパージョンを形成ないし維持す
ることができる任意のものを使用することができる。
【0034】これらは、一般に界面活性を有する物質か
らなっていて、具体的には、例えば、有機界面活性剤と
して、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン
脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビ
タン脂肪酸エステルエーテル、ソルビトール脂肪酸エス
テルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪
酸エステル等が使用できる。特に、ソルビトールモノス
テアレート、ソルビトールモノラウリレート、ソルビタ
ンモノステアレート、ソルビタンモノラウリレート、シ
ョ糖ジステアレート、ショ糖モノ・ジステアレート等が
工業的使用においては品質が一定していて、かつ入手が
容易であることから好ましい。
【0035】界面活性機能を発現する無機粉体等も本発
明においては使用でき、具体的には、アエロジル、サイ
ロイド等で、製品設計により適した物が選択され使用で
きる。
【0036】これらは、必要に応じて各群内および(ま
たは)各群間で1種以上を併用することができる。 3.混練処理 本発明では、含水量が30重量%以上である含水吸水性
樹脂の粒子を混練機で機械的圧縮力を印加することによ
って処理する。本発明ではこの処理時の温度条件により
その温度条件に従った種々形態の吸水性樹脂を得ること
ができる(詳細後記)。 <混練機>混練機は、本発明の目的に反しない限り、任
意の混練機を用いることができ、圧縮、せん断ないし混
合の機能を有する機器ならば如何なるものでも利用する
ことができる。本発明で用いる混練機は一般的なもので
あって、市販されている多くの型式のものを利用するこ
とができる。市販されているもののうち、特に好ましい
ものとしては、例えば栗本鉄鋼所(株)製のKRCニー
ダー、H型双腕型混練機、KEX(2軸混練押し出し
機)、住友重機械工業(株)製のバイボラック、(株)
日立製作所製の日立メガネ翼重合機、日立立形メガネ翼
式高粘度液処理機、三菱重工(株)製のSCR(セルフ
クリーニング式リアクタ)、HVR(横形2軸式リアク
タ)、日本製鋼(株)製の2軸混練(押し出し)機等が
ある。 <温度>含水吸水性樹脂粒子に混練機で機械的圧縮力を
印加するときの温度条件は、この処理を経た吸水性樹脂
の形態が、一次粒子の形態を残したものか、残さないも
の(すなわち粒子間界面を無くしたもの)かで設定され
る。この温度境界は、使用した混練機器特性で若干変動
するが、処理する含水吸水性樹脂のガラス転移温度より
70℃高い温度で、これ以上では一次粒子形態を残した
ものが、この温度以下、ガラス転移温度以上では一次粒
子形態を失した形態のものが得られる。なお、処理時の
温度の上限は、吸水性樹脂本来の性能を有していて本発
明の目的が達成される範囲内、すなわち吸水性樹脂の著
しい分解ないし吸水性の著しい低下が認められない範囲
内、にあることは言うまでもない。具体的な上限値は、
吸水性樹脂の種類等によって異なるが通常250℃であ
る。
【0037】また、境界温度近傍では、すなわちガラス
転移温度を50℃以上越え、90℃以上越えない温度条
件下では、粒子の境界面を無くした吸水性樹脂と一次粒
子との混合物、すなわち粒子の粒子間界面を無くした吸
水性樹脂がバインダーの様になって一次粒子を造粒させ
ているもので、2態様を混合した様相のもの、が得られ
る。
【0038】この2態様が混合した様相のものは、粒子
の粒子間界面を無くした吸水性樹脂(イ)が、粒子の表
面粘着性を強める様に作用しているもの(詳細後記)で
あって、これを長時間混練し続けると、全体は(イ)の
状態へと移行する。
【0039】具体的な時間は用いる混練機によって異な
り、短い時で30分以上、長い場合では2時間以上、必
要となる。
【0040】混練機をバッチ操作で運転することで、こ
の必要な時間を簡単に確認することができる。工業的操
作においては、バッチ操作、或いは大型機における滞留
時間を増加させることで混練時間を増すことは経済的に
劣る為、上記(イ)を簡単に得るには温度領域を変更す
る方が好ましい。
【0041】混練処理時のこれらの温度条件は、外部か
ら熱を加えることによりおよび(または)機械的圧縮力
を印加することにより実現することができる。 <含水率>原料となる吸水性樹脂粒子の含水率は、30
重量%以上、好ましくは35重量%以上、である。含水
率が30重量%未満では造粒体は得られるものの収率が
悪いので工業的意義において不適当な領域といえる。ま
た、上限は限定されないが、工業的観点から設定するな
らば、上限は15,000重量%、好ましくは、10,
000重量%、である。
【0042】この含水率を有する吸水性樹脂粒子ならば
如何なるものでも本発明に適応することができる。例え
ば前記の油中水滴型の逆相懸濁重合法により生成される
含水吸水性樹脂が典型的であるが、その外にもこの方法
あるいは他の方法により得られた含水率30重量%未満
の吸水性樹脂に水を加えて所定含水量に水分調節したも
の等がある。
【0043】吸水性樹脂の含水率は、少なくとも機械的
圧縮力を印加する時点において上記範囲内にあればよ
く、機械的圧縮力を印加する全ての時点において含水率
が所定範囲内に保持されている必要はない。したがっ
て、混練操作中には、含水率は上記所定範囲内であるい
は範囲外に変化させてよく、また一定でもよい。
【0044】混練機はジャケットタイプが使用可能で、
そのような混練機を使用して混練と同時に加熱して脱水
および脱溶媒処理することが可能である。本発明では、
このように、対象である吸水性樹脂に対して脱水および
脱溶媒処理を同時に実施する方法が好ましい。 <助剤類の添加>本発明における混練処理時には、前述
の架橋剤類、開始剤類およびモノマー類等を必要に応じ
添加ないし追加することが出来る。
【0045】特に、一次粒子形態を破壊して粒子の粒子
間界面を無くしたゴム状吸水性樹脂を生成させる条件に
於いては、得られる吸水性樹脂造粒体の吸水性能が若干
低下する傾向にある(これは、高分子鎖が破断されたも
のと推定される)。従って、用いる吸水性樹脂と反応可
能な、例えば前記した架橋剤、開始剤および(または)
モノマー等を必要に応じて添加して高分子反応により吸
水性樹脂の吸水特性を調整することが可能である。 <分散剤の除去>逆相懸濁重合による吸水性樹脂、ある
いはある種の水溶液重合による吸水性樹脂のように、生
成吸水性樹脂中に分散剤が残留しているものがある。本
発明において分散剤のこの程度の残留は多くの場合特に
問題とならないが、得られる造粒体の強度を特に高レベ
ルで得ようとするときは、分散剤をできるだけ除去する
ことが好ましい。
【0046】分散剤を除去する段階は、合目的的な範囲
内でいずれでもよいが、好ましいのは混合機で処理する
前の段階である。
【0047】分散剤除去の方法は、工業的に実施できる
いかなる方法を用いても良く、例えば具体的な方法とし
ては、分散剤を溶解する溶媒で用いる吸水性樹脂を洗浄
する方法がある。 <混練生成物>前記したように、本発明による吸水性樹
脂は、含水吸水性樹脂の粒子に混練機で機械的圧縮力を
印加するときの温度条件に応じて種々の形態で得ること
ができる。
【0048】すなわち、(イ)含水吸水性樹脂のガラス
転移温度を少なくとも70℃以上越える温度条件下で
は、該吸水性樹脂粒子の粒子間界面を有する粒子の集合
体を、(ロ)該含水吸水性樹脂のガラス転移温度以上、
ガラス転移温度を70℃以上越えない温度条件下では、
吸水性樹脂粒子の粒子界面を無くしたゴム状吸水性樹脂
を、主とするものが得られる。「主とするもの」である
から、(イ)の場合には吸水性樹脂粒子の粒子間界面を
有する粒子集合体以外の形態のものが、(ロ)の場合に
はゴム状吸水性樹脂以外の形態のものが、生成しあるい
は残存して含まれるものを包含する。例えば、(イ)の
吸水性樹脂粒子の粒子間界面を有する粒子集合体を主と
するものは、一次粒子の集合体以外に、その他の形態の
もの(例えば、ゴム状吸水性樹脂あるいは一次粒子、あ
るいは一次粒子の集合体もしくはゴム状吸水性樹脂にい
たる中間的段階にあるもの)を少量(20重量%以下)
含んでなるものを包含する。また、(ロ)のゴム状吸水
性樹脂を主とするものは、ゴム状吸水性樹脂以外に、そ
の他の形態のもの(例えば、吸水性樹脂の一次粒子、あ
るいは一次粒子の集合体もしくはゴム状吸水性樹脂にい
たる中間的段階にあるもの)を少量(20重量%以下)
含んでなるものを包含する。
【0049】上記(イ)での吸水性樹脂粒子の粒子の集
合体は、一次粒子相互が直接的に接触して集合体が生成
しているものと解されるところから、主として、吸水性
樹脂の一次粒子の表面粘着性が関与しているものと考え
られるものである。また、(ロ)でのゴム状吸水性樹脂
は、吸水性樹脂粒子の大部分が実質的に破壊され、粒子
の境界面が無くなって吸水性樹脂が連続したものと考え
られるものである。
【0050】そして、(ハ)上記(イ)および(ロ)の
境界温度近傍(これは(イ)および(ロ)での温度領域
と一部重複する)、すなわちガラス転移温度を50℃以
上越え、90℃以上越えない温度条件下、では、吸水性
樹脂の一次粒子とゴム状吸水性樹脂との混合物を主とす
るものが得られる。このものは、吸水性樹脂の一次粒子
の粒子間にゴム状吸水性樹脂が存在し、このゴム状吸水
性樹脂が所謂バインダーとして作用していると考えられ
るものである。 4.混練後の処理 上記のような混練処理により得られたものに、必要に応
じて、乾燥、表面改質および(または)無機粉体の添加
等の後処理を施すことは何ら問題ない。
【0051】例えば、上記のような混練処理されたもの
が水分および(または)有機溶媒を多く含むものである
場合には、必要に応じてそれを乾燥処理に付して、水分
および(または)有機溶媒の量を低減させることができ
る。なお、混練処理によっては、混練処理中に既に水分
および(または)有機溶媒の量が所定レベルまで低減し
ている場合があって(このような混練処理に付すことが
好ましいことは前記した通りである)、そのような場合
には更に乾燥処理に付す必要性はない。
【0052】必要に応じて更に乾燥処理を行う場合の乾
燥方法は任意であるが、代表的な方法としては加熱によ
る方法が挙げられる。加熱は常圧あるいは減圧下で行う
ことができる。
【0053】乾燥処理よる水分残存量は、乾燥品の目的
によって異なる。例えば、乾燥後に表面改質を行なう場
合は、一般に水分量が15〜30重量%となる様に乾燥
させることが好ましく、また、市販品並の乾燥状態のも
のを得ようとする場合は、水分量が10重量%以下にな
るまで乾燥処理を行うのが好ましい。
【0054】なお、本発明は、乾燥処理等の必要により
行なわれる後処理の有無およびその内容によって何ら制
約を受けないことは言うまでもない。
【0055】混練処理によりあるいはその後に必要に応
じて乾燥処理に付すことにより、前述の(イ)および
(ハ)の場合には、そのまま吸水性樹脂粒子の一次粒子
の集合体、すなわち吸水性樹脂粒子の一次粒子の造粒
物、として吸水性樹脂を得ることができる。なお、その
ままでは所望の造粒物を直接得ることが困難な場合に
は、乾燥物を粉砕処理に付して所望粒径のものにするこ
とができる。例えば前述の(ロ)の場合、すなわち吸水
性樹脂粒子の粒子間界面を無くしたゴム状吸水性樹脂を
主とするものの場合が、これに該当する。
【0056】
【実施例】以下の重合例、実施例および比較例は、本発
明をさらに具体的に説明するためのものである。したが
って、本発明がこれらに限定されないことはもちろんで
ある。
【0057】各実験例で採用された人工尿および測定方
法は下記の通りである。 <人工尿>用いられた人工尿は、下記組成のものであ
る。 尿素 1.94% 塩化ナトリウム 0.80% 塩化カルシウム 0.06% 硫酸マグネシウム 0.11% 純水 97.09% <吸水能(倍率)の測定方法>吸水能の測定は、汎用の
ティーバック式を用いた。
【0058】具体的には、吸水性樹脂1gを400メッ
シュのナイロン袋(10cm×10cmの大きさ)に入
れ、1リットルの人工尿に60分浸漬した(同時にブラ
ンクのナイロン袋も浸漬した)。30分後、ナイロン袋
を引き上げ15分水切り後、重量測定をし、ブランク補
正して、吸水性樹脂1gが吸液した人工尿の重量を吸液
量とした。 <造粒品強度の測定方法>造粒品強度は、岡本精工
(株)製の「グラノ」で測定した。
【0059】ロードセルは2000g、荷重用チップは
10mmφであり、セルの測定速度は100μm/分の
条件で測定を実施し、造粒品が最初に破砕された荷重を
造粒品強度とした。
【0060】測定点数は20点で、平均値を代表値とし
た。 <ガラス転移温度Tg>ガラス転移温度Tgは、示差走
査熱量測定(DSC)装置(昇温速度10℃/分)にて
測定し、図1に示すB点に相当する点の温度をTgとし
た。 <含水率の測定>含水率は、(株)ケット化学研究所製
の「KETT赤外線水分計FD1A」で測定した。
【0061】測定条件は、測定用含水吸水性樹脂量5.
0g、温度120℃、測定時間30分で、乾燥減量から
含水率に換算して示される機器の指示値をそのまま用い
た。
【0062】重合例1 シクロヘキサン324重量部に、分散剤としてソルビタ
ンモノステアレート1.6重量部を添加し、溶解させた
後、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した(A
液)。
【0063】100%アクリル酸104重量部と水51
重量部を混合し、冷却下で25%水酸化ナトリウム16
1重量部を徐々に加えた。さらにN,N‐メチレンビス
アクリルアミド0.042重量部および過硫酸カリウム
0.11重量部を添加し、溶解させた後、窒素ガスを吹
き込んで溶存酸素を追い出した(B液)。
【0064】攪拌翼、還流冷却器、温度計、棒バッフル
および窒素ガス導入管を付設した1リットル重合槽に、
上記のA液400gとB液300gを添加し、攪拌して
分散させた後、昇温した。重合は55℃で開始され、こ
れを1時間継続して重合を完了させた。得られた重合後
のスラリー液を沈降分離し、上澄みのシクロヘキサンを
除去するとシクロヘキサン22重量%、含水吸水性樹脂
78重量%の濃厚スラリーを得られた(C液)。また、
得られた含水吸水性樹脂のTgは3℃であった。
【0065】比較例1 C液を神鋼パンテック(株)製のジャケット付きSVミ
キサー(自公転型竪型混合機)に仕込み、脱溶媒/脱水
を実施した。
【0066】常圧で加熱を開始し、30分後(これは脱
溶媒終了前の段階である)にシクロヘキサン5重量%、
含水吸水性樹脂95重量%のサンプルD(湿潤粉体)を
得た。
【0067】更に加熱を継続し、残りの溶媒除去と引き
続き脱水を実施し、吸水性樹脂中の水分を5重量%まで
除去した。得られた吸水性樹脂は、粉末状の球状単粒子
ポリマーで造粒はしておらず、平均粒径180μm、人
工尿吸水能52g/gのものであった。
【0068】実施例1〜5 栗本鉄鋼所(株)製のKRCニーダー(TYPE S
2:径50mm/長さ660mm)を用いて、熱源温度
120〜160℃およびその他表1に示される種々の条
件でサンプルD(比較例1)を処理した。得られた結果
は、表1に示される通りである。
【0069】得られた吸水性樹脂の水分が若干多いの
で、比較例1と同様の神鋼パンテック(株)製のSVミ
キサーで、比較例1と同様な条件で水分5重量%まで脱
水した。得られた吸水性樹脂の測定結果は、表1に示さ
れる通りである。
【0070】実施例6〜10 熱源温度を25〜60℃に低下させたことを除いて実施
例1〜5と同様な操作を実施した。得られた結果は、表
2に示される通りである。得られた吸水性樹脂はゴム状
で水分が若干多く、比較例1および実施例1〜5と同様
のSVミキサーで乾燥を実施したが、吸水性樹脂が攪拌
軸に巻き付いて乾燥運転ができなかった。そこで、棚段
式箱型乾燥機で脱水を行って、水分5重量%まで脱水し
た。得られた吸水性樹脂は塊状物であった。結果は、表
2に示される通りである。
【0071】また、この塊状物をハンマー型粉砕機で粉
砕し、20メッシュ金網でふるい分けして20メッシュ
通過物を得て、物性を測定した。
【0072】実施例11〜15 ジャケット付き0.5リットル双腕型混練機を用いて、
回転数60rpmにて比較例1のサンプルDを表3に示
す条件に於いて、脱溶剤し、引き続き脱水を実施して、
含水率5重量%の吸水性樹脂を得た。この操作はバッチ
運転で実施した。結果は、表3に示される通りである。
【0073】実施例14および15の条件では、脱溶剤
後、しばらくしてゴム状不定形となり、この機器では過
負荷で運転不可となった。そこで実施例6〜10と同様
に、棚段式箱型乾燥機で脱水を行って、水分5重量%ま
で脱水した。得られた塊状物をハンマー型粉砕機で粉砕
し、20メッシュ金網でふるい分けして20メッシュ通
過物を得て、物性を測定した。
【0074】実施例16〜20 ジャケット付き0.2リットルプラストミルを用いて、
比較例1のサンプルDを表4に示す条件に於いて、脱溶
剤し、引き続き脱水を実施して、含水率5重量%の吸水
性樹脂を得た。この操作はバッチ運転で実施した。結果
は、表4に示される通りである。
【0075】用いたプラストミルは高負荷運転が可能で
あるため、実施例19または20の条件ではゴム状にな
ったがそのまま運転を継続できた。吸水性樹脂の状態
は、攪拌熱でジャケットの温度設定より品温が上昇し、
脱水が進むにつれてゴム状物の流動性が悪くなり、含水
率6重量%近傍で攪拌により一気に破砕されるのが観察
された。
【0076】重合例2 ノルマルヘプタン100重量部に、分散剤としてショ糖
脂肪酸エステル(商品名「DKエステルF20」、第一
工業製薬(株)製)0.6重量部を添加し、溶解させた
後、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した(E
液)。
【0077】攪拌翼、還流冷却器、温度計、棒バッフル
および窒素ガス導入管を付設した1リットル重合槽に、
E液400gと重合例1のB液300gを添加し、攪拌
して分散させた後、昇温した。重合は55℃で開始さ
れ、これを1時間継続して重合を完了させた。重合体ス
ラリー液が得られた(F液)。
【0078】比較例2 F液(重合例2)を比較例1と同様な操作で処理した。
工程途中で、脱溶媒終了前のノルマルヘプタン5重量
%、含水吸水性樹脂95重量%のサンプルG(湿潤粉
体)を得、更に加熱を継続し、残りの溶媒除去と引き続
き脱水を実施して、吸水性樹脂中の水分を5重量%まで
除去した。得られた吸水性樹脂は、粉末状の球状単粒子
ポリマーであって、造粒はしておらず、平均粒径150
μm、人工尿吸水能50g/gのものであった。
【0079】実施例21〜22 サンプルDの代わりに、比較例2のサンプルGを用いた
以外は実施例1〜5と同様な操作を実施した。結果は、
表5に示される通りである。
【0080】実施例23〜27 サンプルDの代わりに、比較例2のサンプルGを用いた
以外は実施例16〜20と同様な操作を実施した。結果
は、表6に示される通りである。
【0081】重合例3 水溶液重合の方法として、特開平3−179008号公
報記載の手法を用い、重合を実施した。すなわち、アク
リル酸414重量部、アクリル酸ナトリウム37重量
%、水溶液4380重量部、架橋剤としてポリエチレン
グリコール=ジアクリレート(n=8)54.97重量
部、次亜燐酸ナトリウム1水和物9.76重量部および
イオン交換水380重量部を用いて、濃度40%、中和
度75%の単量体水溶液Hを得た後、窒素ガスを吹き込
んで溶存酸素を追い出した。
【0082】内容量10リットルのシグマ型羽根を有す
るジャケット付きステンレス製双腕型混練機に蓋をつ
け、この反応器に上記のH液を送入し、窒素ガスを吹き
込んで反応系内を窒素置換した。ついで2本のシグマ型
羽根を回転させると共に、ジャケットに35℃の温水を
通じて加熱しながら重合開始剤として過硫酸アンモニウ
ム2.62重量部と亜硫酸水素ナトリウム0.12重量
部を添加することにより重合を開始させた。重合が開始
してから60分後に蓋をはずして含水ゲル重合体を取り
出し、50メッシュの金網上に広げ、120℃の温度で
熱風乾燥させて含水率5%の乾燥物を得た後、ハンマー
型粉砕機で粉砕して、吸水性樹脂Jを得た。Jの人工尿
吸水能41g/gであった。
【0083】実施例28〜29 重合例3の吸水性樹脂Jを200メッシュの篩で分級
し、得られた200メッシュ以下の吸水性樹脂に水を加
え、含水率50重量%の吸水性樹脂Lを得た。サンプル
Dの代わりに吸水性樹脂Lを用いた以外は実施例23〜
27と同様な操作を実施した。結果は、表7に示される
通りである。
【0084】状況は、実施例26或いは27と同じで、
ゴム状で流動性を得た吸水性樹脂は脱水と共に硬くな
り、破砕へと進んだ。得られた造粒体は、原料となった
吸水性樹脂Lの粒子形状が無い(粒子間境界面が無い)
もので、吸水性樹脂Jの200メッシュ以上の粒子と同
じ形状のものであった。
【0085】実施例30〜31 実施例28または29で用いた吸水性樹脂L100重量
部にエチレングリコール=ジグリシジルエーテルを0.
074重量部添加し、攪拌/均一化させてサンプルMを
得た。
【0086】サンプルDの代わりにサンプルMを用いた
以外は実施例28〜29と同様な操作を実施した。結果
は、表7に示される通りである。状況、および得られた
造粒体は、実施例28または29のものと同じであっ
た。
【0087】 表1 実施例 1 2 3 4 5 Dの供給量Kg/h 12 6 18 12 12 回転数rpm 75 75 75 200 75 熱源温度℃ 160 160 160 160 120 含水率 重量% 41 34 48 36 48 KRCニーダー 単粒子の 単粒子の 単粒子の 単粒子の 単粒子の 出口形態 造粒体 造粒体 造粒体 造粒体 造粒体 SVミキサー 単粒子の 単粒子の 単粒子の 単粒子の 単粒子の 出口形態 造粒体 造粒体 造粒体 造粒体 造粒体 粒径 μm 520 700 410 300 430 人工尿吸水能g/g 50 50 52 50 51 破砕強度Kg 1.3 1.5 1.1 1.6 1.0
【0088】 表2 実施例 6 7 8 9 10 Dの供給量Kg/h 12 6 18 12 12 回転数rpm 75 75 75 200 75 熱源温度℃ 60 60 60 60 25 KRCニーダー出口 含水率 重量% 57 56 57 57 58 出口形態 ゴム状の ゴム状の ゴム状の ゴム状の ゴム状の 不定形 不定形 不定形 不定形 不定形 乾燥/破砕/整粒後 人工尿吸水能 42 38 41 40 38 粒径 μm 380 360 370 370 380 破砕強度Kg 2< 2< 2< 2< 2<
【0089】 表3 実施例 11 12 13 14 15 熱源温度℃ 160 120 90 60 40 形態 単粒子の 単粒子の 単粒子の ゴム状の ゴム状の 造粒体 造粒体 造粒体 不定形 不定形 (破砕/整粒後) 粒径 μm 430 510 580 380 370 人工尿吸水能g/g 50 51 51 40 38 破砕強度Kg 1.1 1.3 1.6 2< 2<
【0090】 表4 実施例 16 17 18 19 20 回転数rpm 70 70 100 70 70 熱源温度℃ 160 120 120 60 40 形態 単粒子の 単粒子の 単粒子の 不定形 不定形 造粒体 造粒体 造粒体 粒径 μm 430 510 440 640 700 人工尿吸水能g/g 50 51 51 34 33 破砕強度Kg 1.1 1.3 1.5 2< 2<
【0091】
【0092】 表6 実施例 23 24 25 26 27 回転数rpm 70 70 100 70 70 熱源温度℃ 160 120 120 60 40 形態 単粒子の 単粒子の 単粒子の 不定形 不定形 造粒体 造粒体 造粒体 粒径 μm 450 530 460 680 720 人工尿吸水能g/g 49 49 48 32 31 破砕強度Kg 1.2 1.4 1.5 2< 2<
【0093】 表7 実施例 28 29 30 31 回転数rpm 70 70 70 70 熱源温度℃ 60 40 60 40 形態 不定形の 不定形の 不定形の 不定形の 塊状体 塊状体 塊状体 塊状体 粒径 μm 660 690 680 720 人工尿吸水能g/g 28 25 39 38 破砕強度Kg 2< 2< 2< 2<
【0094】
【発明の効果】本発明は、第一に、汎用の混練機を用い
て実施できること、第二に、吸水性樹脂の造粒物が簡単
な操作で得られ、しかも同一機器で温度条件を変化させ
るだけで異なる形態の造粒物を得ることが出来ること、
第三に、特殊な助剤を使用しない等の優れた方法であっ
て、工業的貢献度が極めて高いものであることは、「発
明の概要」の項において前記したところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリマーのガラス転移のDSC曲線の模式図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 ▲吉▼澤 英一 (56)参考文献 特公 昭60−17336(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/12 - 3/16 C08F 2/00 - 2/60

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水率が30重量%以上である含水吸水
    性樹脂の粒子を、該含水吸水性樹脂のガラス転移温度を
    少なくとも70℃以上超える温度条件下、混練機で機械
    的圧縮力を印加することによって処理して、該吸水性樹
    脂粒子の粒子間界面を有する粒子集合体を生成させるこ
    とを特徴とする、粒状吸水性樹脂の処理法。
  2. 【請求項2】 含水率が30重量%以上である含水吸水
    性樹脂の粒子を、該含水吸水性樹脂のガラス転移温度以
    上、ガラス転移温度を70℃以上超えない温度条件下、
    混練機で機械的圧縮力を印加することによって処理し
    て、該吸水性樹脂粒子の粒子間界面を無くしたゴム状吸
    水性樹脂を生成させることを特徴とする、粒状吸水性樹
    脂の処理法。
  3. 【請求項3】 含水率が30重量%以上である含水吸水
    性樹脂の粒子を、該含水吸水性樹脂のガラス転移温度を
    50℃以上超え、90℃以上超えない温度条件下、混練
    機で機械的圧縮力を印加することによって処理して、該
    吸水性樹脂粒子と該吸水性樹脂粒子の粒子間界面を無く
    したゴム状吸水性樹脂との混合物を生成させることを特
    徴とする、粒状吸水性樹脂の処理法。
  4. 【請求項4】 含水率が30重量%以上である含水吸水
    性樹脂の粒子を、該含水吸水性樹脂のガラス転移温度以
    上、ガラス転移温度を70℃以上越えない温度条件下、
    混練機で機械的圧縮力を印加することによって処理して
    得られたものであることを特徴とする、吸水性樹脂粒子
    の粒子間界面を無くしたゴム状塊体からなる吸水性樹
    脂。
  5. 【請求項5】 含水率が30重量%以上である含水吸水
    性樹脂の粒子を、該含水吸水性樹脂のガラス転移温度以
    上、ガラス転移温度を70℃以上超えない温度条件下、
    混練機で機械的圧縮力を印加することによって処理して
    得られた吸水性樹脂粒子の粒子間界面を無くしたゴム状
    吸水性樹脂を、乾燥させたのち粉砕することを特徴とす
    る、小塊体吸水性樹脂の製造法。
  6. 【請求項6】 含水率が30重量%以上である含水吸水
    性樹脂の粒子が、水溶性エチレン性不飽和モノマー、水
    および水溶性重合開始剤からなるモノマー水溶液相を、
    有機溶媒および分散剤とからなる油相中に分散させて、
    水溶性架橋剤の存在下または不存在下に油中水滴型の逆
    相懸濁重合法を実施して得られたものであることを特徴
    とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒状吸水
    性樹脂の処理法。
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