JP3056826B2 - 透明バリアー性フィルムの製造方法 - Google Patents
透明バリアー性フィルムの製造方法Info
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- JP3056826B2 JP3056826B2 JP3137214A JP13721491A JP3056826B2 JP 3056826 B2 JP3056826 B2 JP 3056826B2 JP 3137214 A JP3137214 A JP 3137214A JP 13721491 A JP13721491 A JP 13721491A JP 3056826 B2 JP3056826 B2 JP 3056826B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば食品等の包装に
用いられる、樹脂製フィルムの表面にSiOxが蒸着され
た透明バリアー性フィルムの製造方法に関するものであ
る。
用いられる、樹脂製フィルムの表面にSiOxが蒸着され
た透明バリアー性フィルムの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】このような食品等の包装に用いられるフ
ィルムは、内容物の変質を抑えるために酸素や水分の透
過を遮断する高いバリアー性が要求される。かかる要求
を満たすべく、例えばポリエチレンテレフタレート等の
樹脂製フィルムにアルミニウムを蒸着したバリアー性フ
ィルムが提案されているが、このようなアルミニウムを
蒸着したフィルムでは透明度が低くなってしまい、包装
された内容物の状態を外から確認することが困難であ
り、電子レンジでのスパークの問題等があった。
ィルムは、内容物の変質を抑えるために酸素や水分の透
過を遮断する高いバリアー性が要求される。かかる要求
を満たすべく、例えばポリエチレンテレフタレート等の
樹脂製フィルムにアルミニウムを蒸着したバリアー性フ
ィルムが提案されているが、このようなアルミニウムを
蒸着したフィルムでは透明度が低くなってしまい、包装
された内容物の状態を外から確認することが困難であ
り、電子レンジでのスパークの問題等があった。
【0003】そこで、このような問題を解決するため、
樹脂製のフィルムの表面にSiOx(珪素酸化物)を蒸着
したフィルムが用いられるようになってきている。そし
て、このSiOxの蒸着原料としては従来、SiOや、あ
るいはモル比1:1で混合されたSiとSiO2との混合
物が使用されていた。
樹脂製のフィルムの表面にSiOx(珪素酸化物)を蒸着
したフィルムが用いられるようになってきている。そし
て、このSiOxの蒸着原料としては従来、SiOや、あ
るいはモル比1:1で混合されたSiとSiO2との混合
物が使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの蒸
着原料のうち、まずSiOはバリアー性は高い反面、原
料費が非常に高く、このため製造されるフィルムも結果
的に高価なものとなってしまうという問題がある。他
方、SiO2はSiOと比較すると安価であるが、通常の
蒸着法で得られる膜はバリアー性に劣るという問題があ
り、例えば厚み12μmのポリエチレンテレフタレート
のフィルムに厚さ500ÅのSiOxを蒸着したフィルム
の水蒸気の透過量を比較したとき、SiOを蒸着原料と
した場合には40℃-90%RH・24hrsで2g/m2程度で
あるのに対して、SiO2を蒸着原料とした場合には同じ
く40℃-90%RH・24hrsの条件で50g/m2程度と大
幅に水蒸気透過量が増大してしまう。
着原料のうち、まずSiOはバリアー性は高い反面、原
料費が非常に高く、このため製造されるフィルムも結果
的に高価なものとなってしまうという問題がある。他
方、SiO2はSiOと比較すると安価であるが、通常の
蒸着法で得られる膜はバリアー性に劣るという問題があ
り、例えば厚み12μmのポリエチレンテレフタレート
のフィルムに厚さ500ÅのSiOxを蒸着したフィルム
の水蒸気の透過量を比較したとき、SiOを蒸着原料と
した場合には40℃-90%RH・24hrsで2g/m2程度で
あるのに対して、SiO2を蒸着原料とした場合には同じ
く40℃-90%RH・24hrsの条件で50g/m2程度と大
幅に水蒸気透過量が増大してしまう。
【0005】また一方、フィルムに蒸着されたこのよう
な珪素酸化物SiOXは、Xの値が1に近づくに従って黄
色を呈するという傾向を有しており、このため蒸着原料
としてSiOやモル比1:1のSiとSiO2との混合
物を使用し、特に蒸着中に酸素を導入しない場合には、
蒸着されたSiOXの上記Xの値が1に近くなってフィル
ムが黄色となってしまう。そしてこのような着色された
フィルムでは包装された内容物の色合い等を正しく把握
することが難しくなってしまう。従って、SiOXのXを
2に近づけ透明性を得る為に、蒸着中に酸素を導入しな
がら蒸発させているのが現状であり、酸素分圧のコント
ロール、バリアー性の安定化等に問題があった。またS
iOは1000〜1400℃で蒸発可能であり、一般的
には高周波加熱、抵抗加熱の蒸発方式が採られていた。
一方SiO 2 は1600〜2000℃の蒸発温度が必要
で、前述の方式では、安定して蒸着する事は困難であっ
た。
な珪素酸化物SiOXは、Xの値が1に近づくに従って黄
色を呈するという傾向を有しており、このため蒸着原料
としてSiOやモル比1:1のSiとSiO2との混合
物を使用し、特に蒸着中に酸素を導入しない場合には、
蒸着されたSiOXの上記Xの値が1に近くなってフィル
ムが黄色となってしまう。そしてこのような着色された
フィルムでは包装された内容物の色合い等を正しく把握
することが難しくなってしまう。従って、SiOXのXを
2に近づけ透明性を得る為に、蒸着中に酸素を導入しな
がら蒸発させているのが現状であり、酸素分圧のコント
ロール、バリアー性の安定化等に問題があった。またS
iOは1000〜1400℃で蒸発可能であり、一般的
には高周波加熱、抵抗加熱の蒸発方式が採られていた。
一方SiO 2 は1600〜2000℃の蒸発温度が必要
で、前述の方式では、安定して蒸着する事は困難であっ
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するためになされたもので、樹脂製フィルムの
表面にSiOx(珪素酸化物)を蒸着する透明バリアー性
フィルムの製造方法において、SiとSiO2とを含み、
これらSiとSiO2とのモル比Si/SiO2が、1/3〜
1/15である蒸着原料を、10-4Torr〜10-5Torrの
圧力下にて、電子ビーム加熱によって1500℃〜30
00℃に加熱することにより蒸発せしめ、形成するSi
Oxの膜厚は50〜3000Åの範囲が好ましく、更に
好ましくは、200〜1500Åの範囲であることを特
徴とする。
題を解決するためになされたもので、樹脂製フィルムの
表面にSiOx(珪素酸化物)を蒸着する透明バリアー性
フィルムの製造方法において、SiとSiO2とを含み、
これらSiとSiO2とのモル比Si/SiO2が、1/3〜
1/15である蒸着原料を、10-4Torr〜10-5Torrの
圧力下にて、電子ビーム加熱によって1500℃〜30
00℃に加熱することにより蒸発せしめ、形成するSi
Oxの膜厚は50〜3000Åの範囲が好ましく、更に
好ましくは、200〜1500Åの範囲であることを特
徴とする。
【0007】
【作用】本発明では、蒸着原料に含まれるSiとSiO2
とのモル比Si/SiO2が、1/3〜1/15とSiO2
の含有率が大きく、この為、蒸着中の酸素分圧が高くな
り蒸着されるSiOxのxの値が1よりも大きくなるので
フィルムが黄色を呈するのを防ぐことができ、しかも酸
素分子や水蒸気分子に対する高いバリアー性を維持出来
ることが判明した。
とのモル比Si/SiO2が、1/3〜1/15とSiO2
の含有率が大きく、この為、蒸着中の酸素分圧が高くな
り蒸着されるSiOxのxの値が1よりも大きくなるので
フィルムが黄色を呈するのを防ぐことができ、しかも酸
素分子や水蒸気分子に対する高いバリアー性を維持出来
ることが判明した。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。ま
ず、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートのフィ
ルムの表面に、SiとSiO2との混合物より成りそのモ
ル比Si/SiO2が1/3の蒸着原料を、2×10-5Tor
rの圧力下において電子ビーム加熱によって約1600
℃に加熱して蒸発せしめ、厚さ500ÅでSiOxを蒸着
したフィルムを製造した。これを実施例1とする。ただ
し、この時の蒸着条件は以下の通りである。 電子ビームガン出力 :12kW 加速電圧 :30kV エミッション電流 :0.4A ビームスキャン巾 :500mm 蒸着速度 :2000Å/sec
ず、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートのフィ
ルムの表面に、SiとSiO2との混合物より成りそのモ
ル比Si/SiO2が1/3の蒸着原料を、2×10-5Tor
rの圧力下において電子ビーム加熱によって約1600
℃に加熱して蒸発せしめ、厚さ500ÅでSiOxを蒸着
したフィルムを製造した。これを実施例1とする。ただ
し、この時の蒸着条件は以下の通りである。 電子ビームガン出力 :12kW 加速電圧 :30kV エミッション電流 :0.4A ビームスキャン巾 :500mm 蒸着速度 :2000Å/sec
【0009】次に、蒸着原料のSiとSiO2とのモル比
Si/SiO2を1/5とし2×10-5Torrの蒸着圧力下
で電子ビーム加熱によって約1700℃に加熱して蒸発
せしめて上記フィルムの表面にSiOxを蒸着した。これ
を実施例2とする。また、以下同様に上記モル比Si/
SiO2を1/9とした蒸着原料を2×10-5Torrで約1
800℃に加熱してSiOxを蒸着したフィルムを実施例
3、モル比Si/SiO2を1/15とした蒸着原料を2
×10-5Torrで約1800℃に加熱してSiOxを蒸着し
たフィルムを実施例4とする。
Si/SiO2を1/5とし2×10-5Torrの蒸着圧力下
で電子ビーム加熱によって約1700℃に加熱して蒸発
せしめて上記フィルムの表面にSiOxを蒸着した。これ
を実施例2とする。また、以下同様に上記モル比Si/
SiO2を1/9とした蒸着原料を2×10-5Torrで約1
800℃に加熱してSiOxを蒸着したフィルムを実施例
3、モル比Si/SiO2を1/15とした蒸着原料を2
×10-5Torrで約1800℃に加熱してSiOxを蒸着し
たフィルムを実施例4とする。
【0010】また、これらの実施例に対する比較例とし
て、上記モル比Si/SiO2を1/1とした蒸着原料を
2×10-5Torrで約1500℃に加熱してSiOxを蒸着
したフィルム、上記モル比Si/SiO2を1/2とした
蒸着原料を2×10-5Torrで約1550℃に加熱してS
iOxを蒸着したフィルム、および上記モル比Si/SiO
2を1/18とした蒸着原料を2×10-5Torrで約18
00℃に加熱してSiOxを蒸着したフィルム、上記モル
比Si/SiO2を1/1とした蒸着原料を2×10-5Tor
rまで排気し、酸素を2×10-4Torrまで導入後、電子
ビーム加熱によって約1500℃に加熱してSiOxを蒸
着したフィルム、およびSiO2を蒸着原料として2×1
0-5Torrで約1800℃に加熱してSiO2を蒸着したフ
ィルムを製造した。これらをそれぞれ比較例1,2,
3,4,および5とする。ただし、これら実施例2〜4
および比較例1〜5のフィルムの蒸着においてSiOxの
蒸着条件は実施例1の場合と同様とする。
て、上記モル比Si/SiO2を1/1とした蒸着原料を
2×10-5Torrで約1500℃に加熱してSiOxを蒸着
したフィルム、上記モル比Si/SiO2を1/2とした
蒸着原料を2×10-5Torrで約1550℃に加熱してS
iOxを蒸着したフィルム、および上記モル比Si/SiO
2を1/18とした蒸着原料を2×10-5Torrで約18
00℃に加熱してSiOxを蒸着したフィルム、上記モル
比Si/SiO2を1/1とした蒸着原料を2×10-5Tor
rまで排気し、酸素を2×10-4Torrまで導入後、電子
ビーム加熱によって約1500℃に加熱してSiOxを蒸
着したフィルム、およびSiO2を蒸着原料として2×1
0-5Torrで約1800℃に加熱してSiO2を蒸着したフ
ィルムを製造した。これらをそれぞれ比較例1,2,
3,4,および5とする。ただし、これら実施例2〜4
および比較例1〜5のフィルムの蒸着においてSiOxの
蒸着条件は実施例1の場合と同様とする。
【0011】次いで、このフィルムの40℃−90%RH
・24hrsの条件下における水蒸気の透過量を測定する
とともに、それぞれの透明度を測定した。この結果を表
1に示す。ただし、水蒸気の透過量の測定はJISZ0
208のカップ法により、透明度の測定は自記分光光度
計により、波長400〜700nmにおける分光光線透過
率の積分値で評価した。
・24hrsの条件下における水蒸気の透過量を測定する
とともに、それぞれの透明度を測定した。この結果を表
1に示す。ただし、水蒸気の透過量の測定はJISZ0
208のカップ法により、透明度の測定は自記分光光度
計により、波長400〜700nmにおける分光光線透過
率の積分値で評価した。
【0012】
【表1】
【0013】表1に示された結果より分かるように、比
較例1〜5のフィルムでは酸素や水蒸気の透過量が多い
か、または黄色に着色されて透明度が低いか、あるいは
これらのすべてにおいて良好な結果を得られなかったの
に対し、実施例1〜4のフィルムでは水蒸気透過量が低
く抑えられているのに加え、高い透明度を得ることがで
きた。尚、透明バリアー性フィルムの実用範囲として
は、水蒸気の透過量で4g/m2以下、透明度で82%以上
とした。
較例1〜5のフィルムでは酸素や水蒸気の透過量が多い
か、または黄色に着色されて透明度が低いか、あるいは
これらのすべてにおいて良好な結果を得られなかったの
に対し、実施例1〜4のフィルムでは水蒸気透過量が低
く抑えられているのに加え、高い透明度を得ることがで
きた。尚、透明バリアー性フィルムの実用範囲として
は、水蒸気の透過量で4g/m2以下、透明度で82%以上
とした。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
蒸気の透過を抑えてバリアー性を維持したまま、透明度
の高いフィルムを低コストで提供することが可能とな
る。よって、このようなフィルムを例えば食料品等の包
装に用いた場合には、内容物の劣化等が抑えられるのに
加え、消費者等が直にその目で内容物を確認できるとい
う利点が得られる。また、他の工業用品包装用途、医薬
品包装用途にも、その効果が期待できる。
蒸気の透過を抑えてバリアー性を維持したまま、透明度
の高いフィルムを低コストで提供することが可能とな
る。よって、このようなフィルムを例えば食料品等の包
装に用いた場合には、内容物の劣化等が抑えられるのに
加え、消費者等が直にその目で内容物を確認できるとい
う利点が得られる。また、他の工業用品包装用途、医薬
品包装用途にも、その効果が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−310961(JP,A) 特開 平3−71832(JP,A) 特開 平4−28858(JP,A) 特開 昭55−58230(JP,A) 特公 昭38−11421(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 B32B 9/00 B65D 65/40 C08J 7/04
Claims (1)
- 【請求項1】 樹脂製フィルムの表面にSiOx(珪素酸
化物)を蒸着する透明バリアー性フィルムの製造方法に
おいて、SiとSiO2とを含み、これらSiとSiO2との
モル比Si/SiO2が1/3〜1/15である蒸着原料
を、10-4Torr〜10-5Torrの圧力下にて、電子ビーム
加熱によって1500℃〜3000℃に加熱することに
より蒸発せしめることによって、上記樹脂製フィルムの
表面にSiOxを蒸着することを特徴とする透明バリアー
性フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3137214A JP3056826B2 (ja) | 1991-05-13 | 1991-05-13 | 透明バリアー性フィルムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3137214A JP3056826B2 (ja) | 1991-05-13 | 1991-05-13 | 透明バリアー性フィルムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04337067A JPH04337067A (ja) | 1992-11-25 |
JP3056826B2 true JP3056826B2 (ja) | 2000-06-26 |
Family
ID=15193460
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3137214A Expired - Fee Related JP3056826B2 (ja) | 1991-05-13 | 1991-05-13 | 透明バリアー性フィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3056826B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5050879B2 (ja) * | 2008-01-29 | 2012-10-17 | 凸版印刷株式会社 | 透明ガスバリア性フィルムの製造方法 |
JP5549483B2 (ja) * | 2010-08-31 | 2014-07-16 | 凸版印刷株式会社 | 蒸着用材料、ガスバリア性蒸着フィルムの製造方法およびガスバリア性蒸着フィルム |
JP5720315B2 (ja) * | 2011-03-08 | 2015-05-20 | 凸版印刷株式会社 | 蒸着フィルムの評価方法 |
-
1991
- 1991-05-13 JP JP3137214A patent/JP3056826B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04337067A (ja) | 1992-11-25 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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