JP3056231U - 腰椎装具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】通気性、ずり上がり等の装着性や意匠性を改善
するとともに、腰痛予防効果及び治療効果を向上する。 【解決手段】骨盤位に装着され、腹部を重ね合わせて係
止し腹壁(40)に当接させる改善された腰椎装具Ｘが、腰
背部中央の装着外面に逢着され、両端が腰ベルト本体１
の外周に沿って腹部に至るまでそれぞれ弾性的かつ対称
的に延伸して腹部の装着外面に係止可能な緊締補助ベル
ト５を有する。この緊締補助ベルト５により緊締力は調
整自在である。ここで、緊締補助ベルト５は、長手方向
にのみ伸縮可能な弾性帯状体を横断方向に斜めに折り返
し、片側がそれぞれ概略＞形状に二重形成され、その開
端部を縫着している。また、腹部の重ね合わせ係止手
段、及び緊締補助ベルト５閉端部内面に設けた腹部両端
の装着外面への係止手段は、それぞれ雌雄を切り替えた
面テープによる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、腰痛予防及び腰痛治療に使用する腰椎装具に係り、詳しくは、「重 量物の取扱い」、「中腰等の不良姿勢」、「車両運転等の拘束座位姿勢」及び「 特殊車両等の全身振動」等の作業態様に起因する職業性腰痛症に対する予防効果 及び治療効果を改善した腰椎装具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、作業の機械化に伴う作業密度の増加により、職業性腰痛症が増加してお り、その予防対策が強く要請されている。

【０００３】 この職業性腰痛症の発症原因として「重量物の取扱い」、「中腰、前傾姿勢等 の不良姿勢」、「長時間の拘束座位姿勢」及び「全身振動」等が重要であり、い くつかの予防対策のうち、「環境管理」の改善に準じて重要である「作業管理」 対策の一環として、腰痛予防ベルトが検討されてきた。

【０００４】 そこでは、「腰背部は、筋肉量が多く、骨性支持が強固であるが前方腹壁が弱 い。そのため、腰背部は布による補強は不要で支柱のみとし、腹壁を包み込む形 式が意味がある。」〔大井 淑雄：脊椎支持装置（体幹器具），腰痛（医歯薬出 版；東京，1979）pp.223-231〕との医学上の知見を基本的に支持するとともに、 産業衛生学的な観点から、作業態様に適した腰痛予防ベルトの提案が期待されて いる。

【０００５】 こうしたなかで、本考案者は先に骨盤位に装着する腰椎装具（実用新案登録第 ２０４０６３３号；以下、従来装具。）を提案してきた。この従来装具は、腹圧 が十分掛けられ、骨盤関節（仙腸関節）を補強し、かつ、作業時の可動制限を最 小限にとどめるとともに、治療具としても不断に効果を有するという点で実績を 蓄積してきた。

【０００６】 ところで、本考案の一構成要素である緊締補助ベルトに関し、実公昭６１−４ ３４７４号「腰痛帯」における補助ベルトが類した構成要素としてみられるかも 知れないが、この「腰痛帯」は腰椎から仙椎に至る幅を有しており、基本的に腰 （部）に装着して腰椎を固定するコルセット効果を追求した治療用のものである 点で、骨盤位に装着する腰椎装具（本考案）とは峻別されなければならない。

【０００７】 強いていうならば、この「腰痛帯」が特徴的構成とする骨盤ベルトが機能的に は本考案の緊締補助ベルトに近いといえるが、この場合も「腰痛帯」を腰に装着 して腸骨の下方部位を締め付け得るというものであり、その目的効果は治療面に ある。

【０００８】 ここでは、産業衛生学的な観点（職業性腰痛症の予防対策）は欠落しており、 当然のことながら着用時（作業時）の可動性（運動性）を考慮したものとはなっ ていない。

【０００９】 すなわち、上記「腰痛帯」は腰椎の固定を目的とする治療用であるから、日常 的に長期使用すると腰部の筋萎縮は避けられないし、使用時に季肋部を圧迫する など可動制限を伴うという問題点を有する。

【００１０】 したがって、本考案の腰椎装具との対比において、技術解決課題（目的効果及 び作用効果）が相違するというべきである。

【００１１】 なお、考案の背景からすると、本考案は先述した従来装具（本考案者による） の技術的思想を継承し、研究開発を重ねて改善・進化してきたものであることを 付言しておく。

【００１２】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来装具には通気性、腰部の頻回な屈伸動作によるずり上がり 等の装着性（密着性を含む。）、及び意匠性の点で改善する余地があった。例え ば、女性への適用において、服の下に着用してシルエットを崩すことなく、フィ ット性や運動性（快適性を含む。）を改善することである。

【００１３】 本考案は、このような事情に鑑みなされたものであって、従来装具における上 記課題を解消し、通気性、ずり上がり等の装着性や意匠性を改善した腰椎装具を 提供するものである。なお、同時に、治療具としても不断に効果を有する腰椎装 具を得るという目的効果について変更はない。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

課題を解決するため本考案は、骨盤位に装着される腰椎装具の改善であって、 着用時の可動性を考慮した所定帯幅の腰ベルト本体が、通気・伸縮性素材からな り、複数本の絶縁性支柱部材を縫着した腰背部と、その両側に骨盤部を包み込む ための脇部と、脇部からベルト両端に至り重ね合わせて係止可能な腹部を連成し てなるとともに、 前記腰背部中央の装着外面に逢着され、両端が前記腰ベルト本体の外周に沿って 前記腹部に至るまでそれぞれ弾性的かつ対称的に延伸して前記腹部の装着外面に 係止可能な緊締補助ベルトを有し、 前記腹部を重ね合わせて係止し腹壁に当接させるとともに、前記緊締補助ベルト により緊締力を調整自在に装着してなることを特徴とするものである。

【００１５】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態は、上記構成において、腰ベルト本体の帯幅が、季肋部の 圧迫を回避可能な１０〜１５ｃｍであって、腰背部を他部より幅広に形成してお り、かつ、絶縁性支柱部材を縫着した装着内面（腰背部内面）に、ずり上がりを 防止するためのすべり止め加工を施している。

【００１６】 また、緊締補助ベルトは、長手方向にのみ伸縮可能な弾性帯状体を横断方向に 斜めに折り返し、逢着部から片側をそれぞれ概略＞形状に二重形成し、その開端 部を腰背部中央の装着外面に逢着している。

【００１７】 また、腹部両端の装着外面に面テープ〔雌〕を広範囲に張設するとともに、腹 部片端の装着内面、及び緊締補助ベルトの閉端部内面には面テープ〔雄〕を設け て、それぞれ腹部の装着外面の面テープ〔雌〕との間で係止可能としている。

【００１８】 ここで、脇部は通気・伸縮性素材からなり、腰ベルト本体の長さ方向に体形に 沿って面状の圧迫を加え、腰椎の安定化と良好な装着性を補助する。

【００１９】 また、緊締補助ベルトによる係止は、緊締力を調整自在（無段階調節を可能） とする。

【００２０】 また、腹壁への当接は、腹部の圧迫支持であり、腹圧による椎間板内圧の軽減 を促すとともに、腰・仙椎結合部の辷りを予防する。

【００２１】 また、すべり止め加工や緊締補助ベルトによる締めつけは、ベルトの骨盤部へ の密着性を高めてベルトのずり上がりを防止する。

【００２２】 さらに、腰ベルト本体が一枚の薄手の通気性・伸縮性を有する帯状体であり、 その上から緊締補助ベルトを弾性的に締めつけるので、服の下に着用してシルエ ットを崩さず、フィット性や運動性（快適性を含む。）を向上する。

【００２３】

【実施例】

本考案の一実施例を添付図面を参照して説明する。

【００２４】 図１は本考案の腰椎装具の正面図、図２は同じく背面図、及び図３は腹部を係 止した状態での外観図である。

【００２５】 図示するように、腰ベルト本体（１）は、着用時の可動性を考慮した所定幅の 帯状体とされ、しかも、アンダーウエアと同じく薄手の通気・伸縮性素材をから なり、装着における身体部位に対応して、長さ方向の中央にやや幅広の腰背部（ ２）と、その両側の脇部（３，３）と、両端の腹部（４，４）であり、腰背部（ ２）中央の装着外面に縫着した緊締補助ベルト（５，５）を備えている。

【００２６】 所定帯幅としては、10〜15cm程度（好適には14cm）が有効であるが、骨盤部（ ６）を包み、かつ、前屈時に季肋部を圧迫しない程度の帯幅であれば許容される 。

【００２７】 腰背部（２）には、横断（幅）方向に複数本の絶縁性支柱部材（11・・11）を 内包するように逢着し、その装着内面にはすべり止め（12・・12）加工を施して いる。ここで、脊椎を中心として絶縁性支柱部材（11・・11）が対称的に位置す るように装着するのが好ましい。なお、絶縁性支柱部材（11）には、感電等の電 気的事故を排除するために非金属製（通常は樹脂製）の可撓性部材を用いる。

【００２８】 脇部（３，３）は、通気・伸縮性素材からなり、骨盤部（６）を包み込むよう に装着するのが好ましい。

【００２９】 腹部（４，４）は、装着外面に面テープ〔雌〕（41，41）を広範囲に張設する とともに、装着内面の少なくとも片端には面テープ〔雄〕（42）を設けており、 両端部を重ね合わせて係止するようにしている。この重合部（腹壁当接部40）を 、腹壁に当接するように装着するのが好ましい。

【００３０】 緊締補助ベルト（５，５）は、長手方向にのみ伸縮可能な弾性帯状体を横断方 向に斜めに折り返し、逢着部（50）から片側をそれぞれ概略＞形状に二重形成し ている。そして、両端には面テープ〔雄〕（51，51）を設けて、腹部（４，４） の装着外面の面テープ〔雌〕（41，41）との間に係止可能としている。

【００３１】 そこで、まず腰ベルト本体（１）を装着し、その上から緊締補助ベルト（５， ５）を用いて適度な緊締力（締め具合）で弾性的に締めつける。したがって、装 着時に、締め心地が自由に変えられる。また、骨盤位（６）の上部から締めつけ ることによって、ベルト（１）の骨盤部（６）への密着性を高めてずり上がりを 防止する。

【００３２】 図４は、装着方法を示す使用状態の正面視説明図である。参考までに、（ａ） 間違った装着例と、（ｂ）正しい装着例を示す。

【００３３】 このように、本考案の腰椎装具（Ｘ）は、腰背部（２）、脇部（３，３）、腹 部（４，４）及び腹壁当接部（40）が各身体部位に位置するように、腰部骨盤位 （６）に巻き付け、その上から緊締補助ベルト（５，５）を締めつけて装着し、 その緊締力を適宜加減・調節して使用する。

【００３４】

【考案の効果】

本考案は以上の構成よりなるものであり、これによれば職業性腰痛症の予防の ために作業態様を考慮したものとなっているので、可動制限が少なく、ずり上が りの防止等装着性に優れ、しかも、随意背筋力を発揮し易く腹圧を掛け易い利点 を有し、作業動作による腰部への負荷を軽減するとともに腰椎の安定化ならびに 腰椎の保護を果たすことによって顕著な腰痛予防効果を奏する。特に、急性腰部 捻挫の発症予防効果が大きく、腰痛による欠勤率の低減にも寄与することが期待 できる。

【００３５】 また、骨盤位に装着することにより、腰部の前屈時の腰ベルト上端部による季 肋部の圧迫を解消し、締めつけの不快感をなくすことができるとともに、その装 着・使用は、上記腰痛予防効果に止まらず腰痛症への対処、特に、腰・仙椎結合 部の安定化及び椎間板内圧の減圧、並びに腰痛の原因となる仙腸関節の捻挫を予 防する仙腸関節補強効果において、治療装具としてもきわめて有効であり、腰痛 の緩和及び腰椎の保護等不断に高い治療効果を奏する。

【００３６】 しかも、薄手の通気・伸縮性素材を使用することにより、従来装具より装着性 や意匠性を改善しており、女性への適用においても、服の下に着用してシルエッ トを崩すことなく、フィット性や運動性（快適性を含む。）の点で改善効果が期 待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による腰椎装具の正面図である。

【図２】同じく背面図である。

【図３】同じく腹部を係止した状態での外観図である。

【図４】装着方法を示す使用状態の正面視説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 腰ベルト本体 11 絶縁性支柱部材 12 すべり止め ２ 腰背部 ３ 脇部 ４ 腹部 40 腹壁当接部 41 面テープ〔雌〕（係止手段） 42 面テープ〔雄〕（係止手段） ５ 緊締補助ベルト 50 逢着部 51 面テープ〔雄〕（係止手段） ６ 骨盤位（又は骨盤部） Ｘ 腰椎装具

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 骨盤位に装着される腰椎装具において、
   着用時の可動性を考慮した所定帯幅の腰ベルト本体が、
   通気・伸縮性素材からなり、複数本の絶縁性支柱部材を
   縫着した腰背部と、その両側に骨盤部を包み込むための
   脇部と、脇部からベルト両端に至り重ね合わせて係止可
   能な腹部を連成してなるとともに、前記腰背部中央の装
   着外面に逢着され、両端が前記腰ベルト本体の外周に沿
   って前記腹部に至るまでそれぞれ弾性的かつ対称的に延
   伸して前記腹部の装着外面に係止可能な緊締補助ベルト
   を有し、前記腹部を重ね合わせて係止し腹壁に当接させ
   るとともに、前記緊締補助ベルトにより緊締力を調整自
   在に装着してなることを特徴とする腰椎装具。
2. 【請求項２】 腰ベルト本体の帯幅が、季肋部の圧迫を
   回避可能な１０〜１５ｃｍであって、腰背部を他部より
   幅広に形成したものであり、かつ、絶縁性支柱部材を縫
   着した腰背部内面に、ずり上がりを防止するためのすべ
   り止め加工を施したものであり、緊締補助ベルトが、長
   手方向にのみ伸縮可能な弾性帯状体を横断方向に斜めに
   折り返し、逢着部から片側をそれぞれ概略＞形状に二重
   形成し、その開端部を腰背部中央の装着外面に逢着した
   ものである請求項１記載の腰椎装具。
3. 【請求項３】 腹部の重ね合わせ係止手段、及び緊締補
   助ベルトの閉端部内面に設けた腹部両端の装着外面への
   係止手段が、それぞれ雌雄を切り替えた面テープによる
   ものである請求項１又は２記載の腰椎装具。