JP3055722B2 - 高周波における角形比の大きい巻磁心の製造方法および巻磁心 - Google Patents
高周波における角形比の大きい巻磁心の製造方法および巻磁心Info
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Description
バータ等の磁気増幅器、パルス圧縮回路に用いられる磁
気スイッチ、スパイク電圧阻止用素子や電流センサー等
に用いられる可飽和リアクトルに適する超微結晶軟磁性
合金からなる、特に高周波における角形比の大きい巻磁
心及びその製造方法に関するものである。
いる可飽和リアクトル用磁心には、50%Niパーマロイや8
0%Niパーマロイ等が使用されていた。しかし、近年スイ
ッチング電源の高周波化が進むに伴って磁心損失が大き
いパーマロイ磁心に代わり高周波において高角形比、低
損失のCo基非晶質磁心が可飽和リアクトルに使用され
るようになってきているが、Co基非晶質磁心は高価な
Coを主原料とするため価格的な不利は免れない。
Co基非晶質磁心より高い特徴があるが、高周波ではC
o基非晶質合金に比べ磁心損失の点で劣っており、特に
20kHz以上の周波数で駆動するスイッチング電源の磁気
増幅器に使用した場合、磁心の温度上昇が激しくなり、
電源効率の低下や周囲の部品の信頼性が低下する問題が
ある。
63-302504号等で優れた軟磁性を示す超微結晶軟磁性合
金からなる磁心及びその製造方法を提案した。これらの
磁心は優れた軟磁気特性を示し、磁路方向の磁場中熱処
理を行うことにより可飽和リアクトルに適する高角形比
で低損失の磁心を得ることができる。また、特開平2-38
520号には、前記特開昭63-302504号に開示された合金を
用い占積率68〜85%の巻磁心が提案されている。
明者等は前記合金薄帯を単ロール法等の液体急冷法によ
り量産し、これを用いて磁心を製造したところ、高周波
における角形比の不十分な磁心がときおり製造されるこ
とがあることを知るに至った。
る、特に100kHzといった高周波においても角形比の大き
い超微結晶軟磁性合金薄帯からなる巻磁心及びその製造
方法を提供することである。
について鋭意研究を進めた結果、超微結晶合金巻磁心を
構成している薄帯の面粗さと巻磁心を巻回す際の張力が
巻磁心の高周波における角形性に影響を与えることを知
見し、本発明を創出するに至ったものである。
以下の平均粒径を有するbcc結晶粒が少なくとも50%を占
める超微結晶軟磁性合金薄帯から構成された巻磁心の製
造方法であつて、液体急冷法により得られた面粗さRmax
(最大高さ、以下同じ)が0.4〜6.0μmの範囲の非晶質
合金薄帯を長手方向に0.1〜5kg/mm2の張力を付与しな
がらトロイダル状に巻回して巻磁心を作製する工程、こ
の巻磁心の磁路方向に磁場を印加しつつ当該非晶質合金
の結晶化温度以上に加熱保持する結晶化のための熱処理
を施す工程からなることを特徴とする高周波における角
形比の大きい巻磁心の製造方法である。また、500オン
グストローム以下の平均粒径を有するbcc結晶粒が少な
くとも50%を占める超微結晶軟磁性合金薄帯がトロイダ
ル状に巻回された巻磁心であり、超微結晶軟磁性合金薄
帯の面粗さRmaxが0.4〜6.0μmの範囲にあり、かつ巻磁
心の占積率が65〜85%であることを特徴とする高周波に
おける角形比の大きい巻磁心である。
微結晶難磁性合金薄帯の面粗さRmaxは6μm以下の範囲
にあれば高周波における角形比および保磁力が良好であ
る。特に、液体急冷による非晶質化における超急冷用の
高速回転するロールに接触しない面(自由面、以下同
じ)の粗さが角形比や保磁力に影響する。面粗さRmaxが
0.4μmより小さい平滑な自由面を有する合金薄帯を
製造することは実用上困難であり、通常、面粗さRmaxを
0.4〜6μmにするのが好ましい。
おける角形比の低下や保磁力の増大が起こる理由はおお
むね次のようであると推定している。巻磁心の角形比は
磁場中熱処理により生じる誘導磁気異方性の方向に大き
く左右される。一般に、角形比の高い巻磁心では磁路方
向に誘導磁気異方性が生じているが、面粗さが大きい場
合は、合金薄帯表面での漏れ磁界の発生あるいはくぼみ
形成と関連した局部的な応力等により長手方向への誘導
磁気異方性の生成が妨げられ、薄帯表面に長手方向以外
を磁化容易方向とする領域が形成されるため角形比が低
下する。また、面粗さが大きいと表面の凹凸の影響によ
り磁壁がピン止めされ移動しにくくなるため特に高周波
で保磁力が増大する。
の他に巻磁心に巻回す際に付与する張力にも影響され
る。非晶質合金薄帯を巻回す場合、薄帯の長手方向に0.
1〜5kg/mm2より好ましくは0.1〜2.0kg/mm2の大きさの
張力を付与することにより、高周波、特に100kHzにおい
ても高角形比で低保磁力の優れた磁気特性を有する超微
結晶合金巻磁心が得られる。前記特開63-302504号等に
記載される超微結晶難磁性合金は、一旦非晶質合金を得
た後結晶化熱処理することにより製造され、この結晶化
熱処理時に合金に収縮が生ずる。張力が5kg/mm2を越
えると超微結晶粒を形成させる熱処理時に合金薄帯の収
縮による磁心内のひずみが大きくなり、高周波における
角形比が低下するばかりでなく、保磁力が増加する。こ
の一方、0.1kg/mm2未満の場合には巻磁心の作製が困難
になり、実用的でない。
率は65%以上85%以下、より好ましくは65%以上80%以下で
ある。占積率が85%より大きいと、磁心内のひずみが大
きくなり高周波において角形比の低下を招くとともに保
磁力Hcが著しく増加し、一方、占積率が65%より小さい
巻磁心では、巻磁心の作製が困難となるためである。
形比Br/B1(Brは残留磁束密度、B1は1 Oeの磁場中の磁
束密度)が90%以上、保磁力Hcが0.5 Oe以下の値を示
し、高周波において高角形比を示す可飽和リアクトル用
磁心として優れた磁気特性を示す。
せしめる結晶化熱処理する際に収縮が生ずる超微結晶軟
磁性合金に適用可能である。たとえば、本発明者等が提
案した特開昭63-302504号に開示されている、 一般式 (Fel-aMa)100-x-y-z-α-β-γCuxSiyBzM'αM''βXr(原子%) (但し、MはCo及び/又はNiであり、M’はNb,
W,Ta,Zr,Hf,Ti,及びMoからなる群から
選ばれた少なくとも1種の元素、M’’はV,Cr,M
n,Al,白金族元素,Sc,Y,Au,Zn,Sn,
Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、X
はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,x,y,
z,α,β及びγはそれぞれ0≦a<0.5,0.1≦x≦3, 0
≦y≦30,及び0≦z≦24, 0≦y+z≦30, 0.1≦α≦30,
0≦β≦10 及び0≦γ≦10 を満たす。)により表される
組成を有する合金の他、特開昭64-39347号、特開平1-14
2049号、特開平1-149940号、特開平1-156452号、特開平
1-242755号、特開平1-242756号等に開示されているいず
れの合金にも適用できる。
径を500オングストローム以下とするのは、この範囲で
優れた軟磁気特性が得られるからである。特に50〜200
オングストロームの範囲が望ましい。また、平均粒径50
0オングストローム以下のbcc結晶粒の合金中の50%以上
を占めていればよく、非晶質の部分が残存した組織であ
ってもよい。
しながら磁場中熱処理することにより、可飽和リアクト
ルに適する高周波において高角形比で低保磁力の特性を
示す。 熱処理は、通常真空中あるいは不活性ガス中で
行う。磁場は熱処理の間中かける必要はなく、微結晶合
金のキュリー温度より低い温度のときにあればよい。ま
た、磁場中熱処理は2段階以上で行うこともできる。熱
処理温度は、合金組成に応じて最適なものを選択する必
要があるが、概ね500℃〜800℃の範囲で実施される。
発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 原子%でCu1%,Nb3%,Si14.5%,B7%、残部実質
的にFeからなる組成の合金溶湯を単ロール法により急
冷し、幅5mm、厚さ18μmの非晶質合金薄帯を作製した。
得られた非晶質合金薄帯から外径19mm、内径15mmに巻回
し、トロイダル巻磁心を作製した。なお、巻磁心の巻回
し張力は1kg/mm2、占積率は80%である。
1に示す熱処理パターンで熱処理した。この際、磁場は
磁心の磁路方向に印加した。磁場の強さは10Oeである。
熱処理後、巻磁心を構成する合金の組織を観察したとこ
ろ、大部分が100〜200オングストローム程度の超微細結
晶粒からなっていた。上記非晶質合金薄帯から巻磁心を
作製するときに、自由面の面粗さの異なる非晶質合金薄
帯で巻磁心を作製した。このときの、100kHzにおける角
形比Br/B1、および保磁力Hcの変化を図2に示す。面粗
さRmaxが6μmを越えると角形比は低下し、保磁力は増加
しはじめる。Rmaxが0.4〜6μmの範囲で90%以上の高角形
比、0.5Oe以下の低保磁力が得られる。
的にFeからなる組成の合金溶湯を単ロール法により急
冷し、幅10mm、厚さ20μmの非晶質合金薄帯を作製し
た。非晶質合金薄帯の自由面の面粗さRmaxは3〜5μm
の範囲にあった。得られた非晶質合金薄帯を、外径19m
m、内径15mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。
3に示す2段階の熱処理パターンで熱処理した。磁場は
磁心の磁路方向に印加した。磁場の強さは10Oeである。
550℃に保持した炉に磁心を入れ、無磁場中で1時間熱
処理後、1'C/minの冷却速度で400℃まで冷却し、その温
度で1.5h磁場中熱処理を行い、磁場を印加したまま炉か
ら取り出し空冷した。熱処理後、巻磁心を構成する合金
の組織を観察したところ、大部分が100〜200オングスト
ローム程度の超微細結晶粒からなっていた。
ときに、薄帯の長手方向の張力を0.1〜20kg/mm2の範囲
で変えて作製した。このときの、100kHzにおける角形比
Br/B1および保磁力Hcの変化を図4に示す。張力が5kg/m
m2より大きい場合は、保磁力の著しい増大および角形比
の低下が生じる。一方、0.1kg/mm2未満では薄帯を巻回
すのが困難であった。したがって、0.1〜5kg/mm2の張力
を印加して巻磁心を作製することにより、高周波におけ
る角形比が大きくしかも保磁力が小さい、可飽和リアク
トル用磁心として優れた特性を示す。
%、残部実質的にFeからなる組成の合金溶湯を単ロー
ル法により急冷し、幅5mm、厚さ18μmの非晶質合金薄帯
を作製した。自由面の面粗さRmaxが3〜5μmの非晶質合
金薄帯を外径19mm、内径15mmに巻回し、トロイダル巻磁
心を作製した。
1に示す熱処理パターンで熱処理した。磁場は磁心の磁
路方向に印加した。磁場の強さは10 Oeである。熱処理
後、巻磁心を構成する合金の組織を観察したところ、大
部分が100〜200オングストローム程度の超微細結晶粒か
らなっていた。
ときに、巻磁心の占積率を変えて作製した。このとき
の、100kHzにおける角形比Br/B1、および保磁力Hcの変
化を図5に示す。占積率が85%を越えると角形比は80%以
下に低下し、また、保磁力も著しく増加する。一方、占
積率が65%より低い場合は巻磁心を作製するのが非常に
困難であった。占積率が65〜85%の範囲で巻磁心を作製
した場合に、高周波において高角形比で低保磁力の磁気
特性が得られる。
幅5mm、厚さ18μmの非晶質合金薄帯を作製した。自由面
の面粗さRmax3〜5μmの非晶質合金薄帯を、外径19mm、
内径15mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。巻磁心
の巻き回し張力は1kg/mm2、占積率は約80%であった。
1に示す熱処理パターンで熱処理した。磁場は磁心の磁
路方向に印加した。磁場の強さは10 Oeである。熱処理
後、巻磁心を構成する合金の組織を観察したところ、大
部分が100〜200オングストローム程度の超微細結晶粒か
らなっていた。100kHzにおける角形比Br/B1および保磁
力Hcを測定した結果を、比較例の巻磁心と対比して表1
に示す。なお、比較例は自由面の面粗さが7〜10μmの合
金薄帯を用いたものである。
0kHzの高周波でも高角形比で低保磁力の優れた特性が得
られる。
大きく低保磁力の可飽和リアクトルに適する超微結晶軟
磁性合金からなる巻磁心を得ることができるためその効
果は著しいものがある。
である。
た図である。
である。
性の変化を示した図である。
化を示した図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 500オングストローム以下の平均粒径を
有するbcc結晶粒が少なくとも50%を占める超微結晶軟磁
性合金薄帯から構成された巻磁心の製造方法であって、
液体急冷法により得られた面粗さRmaxが0.4〜6.0μmの
範囲の非晶質合金薄帯を長手方向に0.1〜5kg/mm2の張
力を付与しながらトロイダル状に巻回して巻磁心を作製
する工程、この巻磁心の磁路方向に磁場を印加しつつ当
該非晶質合金の結晶化温度以上に加熱保持して結晶化の
ための熱処理を施す工程からなることを特徴とする高周
波における角形比の大きい巻磁心の製造方法。 - 【請求項2】 500オングストローム以下の平均粒径を
有するbcc結晶粒が少なくとも50%を占める超微結晶軟磁
性合金薄帯がトロイダル状に巻回された巻磁心であり、
超微結晶軟磁性合金薄帯の面粗さRmaxが0.4〜6.0μmの
範囲にあり、かつ巻磁心の占積率が65〜85%であること
を特徴とする高周波における角形比の大きい巻磁心。 - 【請求項3】 面粗さRmaxが0.4〜6.0μmの範囲にある
面は、液体急冷による非晶質化における超急冷用の高速
回転するロールに接触しない面である請求項2に記載の
高周波における角形比の大きい巻磁心。 - 【請求項4】 100kHzにおける角形比Br/B1(Brは残留
磁束密度、B1は1Oeの磁場中の磁束密度)が90%以上、保
磁力Hcが0.5 Oe以下である請求項2または請求項3に記
載の高周波における角形比の大きい巻磁心。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3289092A JP3055722B2 (ja) | 1990-10-16 | 1991-10-08 | 高周波における角形比の大きい巻磁心の製造方法および巻磁心 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27706890 | 1990-10-16 | ||
JP2-277068 | 1990-10-16 | ||
JP3289092A JP3055722B2 (ja) | 1990-10-16 | 1991-10-08 | 高周波における角形比の大きい巻磁心の製造方法および巻磁心 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH053126A JPH053126A (ja) | 1993-01-08 |
JP3055722B2 true JP3055722B2 (ja) | 2000-06-26 |
Family
ID=26552247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3289092A Expired - Lifetime JP3055722B2 (ja) | 1990-10-16 | 1991-10-08 | 高周波における角形比の大きい巻磁心の製造方法および巻磁心 |
Country Status (1)
Country | Link |
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US11230754B2 (en) | 2015-01-07 | 2022-01-25 | Metglas, Inc. | Nanocrystalline magnetic alloy and method of heat-treatment thereof |
WO2018150807A1 (ja) * | 2017-02-14 | 2018-08-23 | パナソニック株式会社 | 薄帯部品とその製造方法、および、薄帯部品を用いたモータ |
JP7318219B2 (ja) * | 2019-01-30 | 2023-08-01 | セイコーエプソン株式会社 | 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 |
JP7272141B2 (ja) * | 2019-07-01 | 2023-05-12 | 株式会社プロテリアル | 巻磁心の製造方法 |
-
1991
- 1991-10-08 JP JP3289092A patent/JP3055722B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH053126A (ja) | 1993-01-08 |
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